JPH0633182B2 - 酸化物系セラミックス用接着剤 - Google Patents

酸化物系セラミックス用接着剤

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JPH0633182B2
JPH0633182B2 JP61303958A JP30395886A JPH0633182B2 JP H0633182 B2 JPH0633182 B2 JP H0633182B2 JP 61303958 A JP61303958 A JP 61303958A JP 30395886 A JP30395886 A JP 30395886A JP H0633182 B2 JPH0633182 B2 JP H0633182B2
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博志 山下
實 木下
亨 小見山
久司 釣
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は酸化物系セラミックス用接着剤に関し、より詳
細には接着層がより優れた透明性を有し、かつ単結晶体
を含めて酸化物系セラミツクスを容易に、かつ極めて高
強度に接着できる新規な酸化物系セラミツクス用接着剤
に関する。
〔従来技術〕
一般に酸化物系セラミツクスは、高温における機械的強
度や、耐熱性が優れた材料として注目され、これらの材
料を用いた応用開発が進められている。
ところで、かかる酸化物系セラミツクスを用いて各種の
機械、或いはその部材を製造する場合、これらセラミツ
クスの特性を十分に発揮させるためには、これら機械や
部材の製造工程において酸化物系セラミツクス相互間の
接着が必要になる。
特に成形、加工の制約から、単純な形状に成形された部
材から複雑な形状の部材を組み立てる場合には、酸化物
系セラミツクス相互間の接着技術の開発が不可欠とな
る。
そこで従来、酸化物系セラミツクスを接着させるには、
接着剤を被接着体間に介在させ、または介在させずに、
高温、高圧下でホツトプレスする方法が採用されてい
た。
しかしながら、ホツトプレス法では高温、高圧下で処理
しなければならないので、複雑な形状のものや、異形部
材の接着は至難のであつた。
また、近年検討されているHIP 法(熱間等方加圧成形
法)でも同様のことが云える。
従って、大型で複雑な形状の材料を接着するには、圧力
を要せず、加熱するだけで容易に接着できる接着剤の開
発が要望されている。
ところで、これまで知られている酸化物系セラミツクス
の接着剤、接着方法としては、例えば下記のものがあ
る。
(a)フツ化ナトリウムおよびフツ化カルシウムの少なく
とも1種、またはこれらとカオリンとの混合物を有効成
分とするセラミツクス用接着剤、接着方法(特公昭59-2
5754)。
(b)アルカリ金属フツ化物およびアルカル土類金属フツ
化物の少なくとも1種と、ランタニド系元素の酸化物の
少なくとも1種との混合物を有効成分とするセラミツク
ス用接着剤、接着方法(特公昭60-18627)。
(c)アルカリ金属フツ化物およびアルカリ土類金属フツ
化物の少なくとも1種、またはこれとカオリンとの混合
物を有効成分とするセラミックス用接着剤、接着方法
(特公昭61-16751)。
(d)MgO-Al2O3-SiO2系や、MgO-Al2O3-TiO2系の酸化物系
セラミツクスを、MgO 、Al2O3 、SiO2、BaO およびZrO2
をそれぞれ特定量含むガラスで融着した後、このガラス
を結晶化ガラスとするセラミツクスの接着方法(特開昭
57-47777)。
しかしながら、(a)〜(c)の接着剤はその接着強度が20〜
30Kg/mm 程度であるが、酸化物系セラミツクスの用途に
よつては必ずしも接着強度が十分とはいえず、また特に
問題となるのは単結晶体酸化物系セラミツクス、例えば
アルミナ、マグネシヤ等の接着が不可能であることであ
る。
また(d)の方法では、接着強度が極めて低く、実用性に
乏しい欠点がある。
そこで本発明者等は、上記従来の欠点を解消するためSi
O 、Al O 、Li O、MgO および/またはZnO 、TiO およ
び/またはZrO を主成分とする結晶化ガラスを有効成分
とする酸化物系セラミツクス用接着剤を先に提案した
(特願昭61-224661)。
この接着剤は、容易かつ安価に製造することができ、酸
化物系セラミツクスの間に介在させて加熱するだけの操
作で従来の約2倍以上の接着強度が得られる。
しかしながら、接着層がより透明性に優れ、特に光学用
途に好適な接着層を形成することができる接着剤の開発
が要望された。
〔発明の目的〕
本発明は発明者等が先に提案した上記酸化物系セラミツ
クス接着剤により形成された接着層のより透明化をはか
ると共に、優れた接着強度を維持する接着剤を提供する
ことを目的とするものである。
〔発明の構成〕
上記目的を達成する本発明の酸化物系セラミックス用接
着剤は、50〜60重量%の結晶化ガラス、25〜35重量%の
PbO系低融点ガラスおよび5〜25重量%の稀土類金属酸
化物からなり、前記結晶化ガラスは60〜70重量%のSi
O2、19〜23重量%のAI2O3 、2〜6重量%のLiO2、1〜
8重量%のMgOおよび/またはZnO、3〜5重量%のTiO2
および/またはZrO2を主成分とし、前記PdO系低融点ガ
ラスは60〜90重量%のPdOおよび5〜15重量%のB2O3
主成分とすることを特徴とするものである。
本発明の酸化物系セラミツクス用接着剤は、特定組成の
結晶化ガラスと PbO系低融点ガラス、および稀土類金属
酸化物からなる。
ここで結晶化ガラスとは、60〜70重量%のSiO2、19〜23
重量%のAI2O3、2〜6重量%のLiO2、1〜8重量%のM
gO および/またはZnO 、3〜5重量%のTiO2および/
またはZrO2を主成分とするものであり、これら成分を常
法に従つて調製した後、これを1200℃付近で約1時間、
再加熱すると結晶化ガラスが得られる。
結晶化ガラスの上記各成分のうち、TiO2およびZrO2は結
晶化の際に核形成剤として作用し、これらの併用によつ
て結晶化がより有効に行われる。
またこの結晶化ガラスには、上記主成分の他に、P2O5
Na2O、K2O 、BaO 、CaO 等を2重量%以下程度の量で適
宜含有させることもできる。
本発明におけるPbO系低融点ガラスも常法に従って調整
することができ、結晶化ガラスの融点を低下させる機能
を有すると共に、酸化物系セラミツクスの濡れ性を改善
して接着強度を向上させ、また接着層の熱膨脹係数を調
節して耐熱衝撃性を向上させる作用を有する。
かかる結晶化ガラスおよび低融点ガラスは、いずれも粉
末状で用いられ、粒度は3μm以下であることが好まし
い。
また、これら結晶化ガラスおよび低融点ガラスの使用割
合は、通常では結晶化ガラス50〜60重量%に対して PbO
系低融点ガラスが25〜35重量%であり、この範囲外では
接着強度が低下する傾向がある。
更に本発明において重要なことは、希土類金属酸化物が
混合されることである。
ここで稀土類金属としては、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、
Eu、Gdのセリウム族金属およびY、Tb、Dy、Ho、Er、T
m、Ybのイツトリウム族金属を挙げることができ、これ
ら金属の酸化物の単一または複数種を使用することがで
きる。
そして好ましい希土類金属酸化物としては、Y2O3、La2O
3 、CeO2、Pr6O11 、Nd2O3 、Pm2O3 、Sm2O3 、Eu2O
3 、Gd2O3 、Tb4O7 、Dy2O3 、Ho2O3 、Er2O3 、Tm2O
3 、Yb2O3 を挙げることができる。
かかる希土類金属酸化物の混合比率は、通常では希土類
金属酸化物が接着剤の5〜25重量%である。
希土類金属酸化物の混合比率が5重量%に満たないと不
透明となり、25重量%を越えると再び不透明となるので
好ましくない。
本発明の接着剤は、結晶化ガラス、低融点ガラスおよび
希土類金属酸化物を粒径0.5〜5μの粒径範囲の混合
粉末状態で使用しても良いし、ペレツト状等に適宜成形
して使用することもでき、または混合粉末にバインダ
ー、例えばバルサム、スクリーンオイル等の有機粘結
剤、または有機溶剤を適量配合してペースト状で使用し
ても良い。
本発明の接着剤を酸化物系セラミツクス相互間に介在さ
せるには、接着剤の形態に応じて、例えば粉末状の場合
には被接着面に散布すれば良く、ペレツト状のものは被
接着面に挟み込み、またペースト状のものは通常の接着
剤と同様に被接着面に塗布して使用される。
介在される量は、用いる接着剤の組成、接着剤介在後の
加熱条件、接着される酸化物系セラミツクスの形状、特
に厚さに応じて適宜決定することができ、特に限定され
ないが、通常では、本発明の接着剤の有効成分の重量換
算で被接着面積1cm2当り0.01〜1g、好ましくは0.05
〜0.3 gとするのが適当である。
本発明の酸化物系セラミツクスの接着方法においては、
上記接着剤を酸化物系セラミツクス相互間に介在させた
後、これを加熱する。
この加熱温度は、1200〜1600℃の範囲内であることが必
要であり、具体的には、この温度範囲内における結晶化
ガラスの溶融温度、接着剤の組成等に応じて適宜決定さ
れる。
加熱温度が1200℃未満では、ガラスの結晶化が不十分
で、接着作用が殆ど発揮されず、また1600℃を越える温
度では、一度結晶化したガラスの結晶性が失われて再び
ガラス状態に戻り、接着部周辺のセラミツクス上に流れ
る。
加熱時間は、加熱温度、セラミツクスの形状等に応じて
変動するが、通常では20〜60分程度とするのが適当であ
る。
加熱時の雰囲気は、酸化雰囲気であつても、非酸化雰囲
気であつても良く、例えば空気中、真空中、または不活
性ガスの雰囲気等を挙げることができる。
なお、加熱に際しては、何等の加圧手段を採用する必要
はないが、接着面の密着性を確保するために若干加圧す
ることが好ましい。
かかる加熱処理によつて、酸化物系セラミツクス相互間
に介在させた接着剤が融着し、セラミツクスは相互に強
固に接着される。
本発明者の知見によれば、加熱処理後の接着層に結晶化
ガラスの結晶が一部残存している場合には、特に接着強
度が高く、結晶が消失した場合には、接着強度が低下す
る。
従って、加熱温度、加熱時間等を調節して接着層に結晶
が一部残存している状態にするのが好ましい。
本発明の接着剤によつて接着できる酸化物系セラミツク
スは特に限定されず、例えばアルミナ、マグネシヤ等の
単結晶体、アルミナジルコニヤ、マグネシヤジルコニ
ヤ、コーヂライトムライト、コージライト等を挙げるこ
とができる。
またこれら酸化物系セラミツクスは、ホツトプレス成形
品、常圧焼結品、単結晶体品等のいづれでも良く、これ
らの形状、大きさも特に限定されず、立方体、直方体、
球状、柱状、筒状、等のいずれであつても良く、更にこ
れらを組み合せた複雑な形状、或いは異形状であつても
良い。
〔発明の効果〕
以上述べたように本発明の酸化物系セラミツクス用接着
剤は、結晶化ガラス、 PbO系低融点ガラスおよび希土類
金属酸化物を適宜組み合せただけなので、容易に、かつ
安価に製造することができる。
また本発明の酸化物系セラミツクス接着剤を酸化物系セ
ラミツクスの間に介在させ、加熱するだけの極めて簡便
な操作で、酸化物系セラミックスを強固に、すなわちで
は45Kg/mm2程度以上、従来法の約2倍以上の高強度に
接着することができる。
特に従来の接着剤では殆ど不可能であつた単結晶体をも
同様に強固に接着することができる。
また本発明の酸化物系セラミックス用接着剤によれば、
低融点ガラスを配合することによって結晶化ガラスの融
点を低下させることができると共に、酸化物系セラミッ
クスの濡れ性を改善して接着強度を向上させ、また接着
層の熱膨張係数を調節して耐熱衝撃性を向上させること
ができる。
更に本発明では、希土類金属酸化物を添加しているの
で、接着層における光散乱を防止して屈折率を均一に
し、透明性を向上させることができ、従って光学用途に
好適な接着層を形成することができる。
すなわち酸化物系セラミツクス、例えば通常のMgO 単結
晶体の屈折率1.722 以上である。
本発明者らが先に提案した結晶化ガラスを主成分とする
接着剤(特願昭61-224661)を使用すると、屈折率は1.7
22 よりも小さくなり、また透明性を幾分低下する。
そこで本発明では、結晶化ガラスと PbO系低融点ガラス
に希土類金属酸化物を混入することによつて屈折率を高
め、透明性を向上させ、しかも先の接着剤以上の高い接
着強度を保持することができた。
また接着後の接着層は、耐化学薬品性(48%KOH水溶液に
70℃で50時間浸漬)に変化がなく、また高温度、例えば
600 ℃での強度も極めて高く、高温部材の接着用として
も極めて好適である。勿論、複雑形状のものも容易に接
着することができる。
更にまた、低融点ガラスの配合量を変化させて、接着層
の熱膨脹係数を調節することもできるので、接着層の耐
熱衝撃性を向上させることもできる。
すなわち、希土類金属酸化物の添加によって耐化学薬品
性を向上させることもでき、酸化物系セラミックス用接
着剤として更に好ましい特性が付与される。
以下、本発明の実施例を述べる。
〔実施例〕
実施例1 下記第2表に示した組成の結晶化ガラス粉末と前記第1
表、(1) に示した組成のPbO系低融点ガラスとを下記第
3表に示したA〜Dの比率でEu2O3と混合したもの160mg
に、スクリーンオイル0.06〜0.5ccを混合してペース
ト状とし、これを平板正方形の単結晶MgO(15×15×15m
m)相互間に介在させ、1400℃で20分間加熱して接着させ
た。
得られた接着体試料から3×3×30mmの角棒を切り出
し、スパン20mm、荷重速度0.5mm/分の条件で三点曲げ
試験をJIS R1601-1981記載の方法に従って室温および 6
00℃の温度条件で行い、3本の平均値をその接着強度と
した。結果を第3表に併記した。また、接着体の光透過
率を測定した。
結果を図の曲線1に示す。なお比較のために平板正方形
の MgO単結晶の光透過率を図の曲線2で示した。
なお前記三点曲げ試験は、接着剤層を介して二つの単結
晶 MgOが接着されている接着体試料角棒(3×3×30m
m)を一定間隔に配置された2支点上に置き、接着剤層
の上法から2支点間の中央の一点に荷重をかけ、単結晶
MgO層が両側にはじけたときの荷重(Kg/mm2)を接着
強度とした。
実施例2 上記第2表に示した結晶化ガラスの粉末と、上記第1表
を示した PbO系低融点ガラスの組成(1)の成分の低融
点ガラスの粉末とを上記第3表に示したEの比率で Yb2
O3と混合し、実施例1と同様にスクリーンオイルと混合
し、接着体試料を作成し、角棒を切り出して同一条件で
接着強度を測定した。
結果を上記第3表に併記した。
比較例1 前記第2表に示した組成の結晶化ガラス粉末を前記第1
表に示した組成の PbO系低融点ガラスと下記第4表に示
す比率で混合したものから実施例1と同様に接着体試料
を作成し、接着強度を測定した(特願昭61-224661
号)。結果を第4表に示した。また、接着体試料の光透
過率を測定した。結果を図の曲線3に示す。
第3表、第4表、および図から明らかなとおり、本発明
の接着剤は結晶化ガラスと PbO系低融点ガラスとからな
る接着剤に比較して接着体の接着強度を向上させること
ができると共に、接着体の光透過を MgO単結晶の光透過
率により近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
図は本発明の接着剤を用いて作成した単結晶 MgO接着体
の光透過率曲線(曲線1)、単結晶 MgOの光透過率曲線
(曲線2)および結晶化ガラスと PbO系低融点ガラスと
からなる接着剤を用いて作成した単結晶 MgO接着体の光
透過率曲線(曲線3)を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木下 實 大阪府池田市緑丘1丁目2−17−106 (72)発明者 小見山 亨 兵庫県川西市水明台4丁目6−56 (72)発明者 釣 久司 兵庫県赤穂市加里屋字加藤974 審判の合議体 審判長 渡辺 順之 審判官 唐戸 光雄 審判官 徳永 英男 (56)参考文献 特開 昭47−5835(JP,A) 特開 昭59−156973(JP,A) 特開 昭58−213682(JP,A) 特開 昭55−80739(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】50〜60重量%の結晶化ガラス、25〜35重量
    %のPbO系低融点ガラスおよび5〜50重量%の希土類金属
    酸化物からなり、前記結晶化ガラスは60〜70重量%のSi
    O2、19〜23重量%のAl2O3、2〜6重量%のLi2O、1〜8
    重量%のMgOおよび/またはZnO 、3〜5重量%のTiO2
    および/またはZrO2を主成分とし、前記PbO系低融点ガ
    ラスは60〜90重量%のPbOおよび5〜15重量%のB2O3を主
    成分とすることを特徴とする酸化物系セラミックス用接
    着剤。
JP61303958A 1986-12-22 1986-12-22 酸化物系セラミックス用接着剤 Expired - Lifetime JPH0633182B2 (ja)

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JP6208512B2 (ja) * 2013-09-27 2017-10-04 京セラ株式会社 セラミック接合体
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