JPH0633070A - 液状炭化水素中の水銀の除去方法 - Google Patents

液状炭化水素中の水銀の除去方法

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JPH0633070A
JPH0633070A JP4100198A JP10019892A JPH0633070A JP H0633070 A JPH0633070 A JP H0633070A JP 4100198 A JP4100198 A JP 4100198A JP 10019892 A JP10019892 A JP 10019892A JP H0633070 A JPH0633070 A JP H0633070A
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昭男 古田
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邦男 佐藤
Masatoshi Yamada
正年 山田
Toru Matsuzawa
亨 松澤
Kazuo Sato
一夫 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 液状炭化水素中に含有されている全ての水銀
を除去することを目的とする。 【構成】 水銀として有機水銀を390μg/リットル
含有している東南アジア産の天然ガスコンデンセート
(全水銀含有量440μg/リットル)を、20mlの
15.9重量%の炭素を担持したγ−アルミナを充填し
た内径14mmの反応管に温度200℃、圧力30kg
/cm2 G、流量52ml/時の条件下で通し、つい
で、アルミナ上に未硫化品組成でMo6.9重量%、コ
バルト0.9重量%およびニッケル0.4重量%含有す
る硫化物吸着剤上に通したところ、水銀含有量1μg/
リットル以下の製品が得られた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、天然ガスコンデンセー
ト、特に重質コンデンセートの如き水銀化合物を含有し
ている液状炭化水素中の水銀を除去する方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】天然ガスコンデンセート、特に重質コン
デンセート液状炭化水素には単体水銀のほかに水銀化合
物が含まれており、その含有量は産地により大差がある
が、数μg/l以下から数千μg/lに達する。
【0003】これら水銀を含むコンデンセート又はこれ
を蒸留したナフサはエチレン原料あるいはリフォーマー
原料として使われるが、エチレンプラントの場合、アル
ミニウム製低温熱交換器のアマルガム腐食を起こした
り、化学原料として用いる際の水素化精製用貴金属触媒
の被毒が問題となり、またリフォーマーの場合には改質
用の貴金属触媒の被毒が問題となる。
【0004】天然ガスなどガス中の水銀除去方法は硫黄
を担持した活性炭などを用いて既に工業的に実施されて
いる。一方、液状炭化水素中の水銀の除去に関しても工
業化が望まれているが、液状炭化水素中の水銀の除去
は、天然ガス中の水銀の除去に比し困難である。
【0005】液状炭化水素中の水銀の除去が困難な理由
は、液状炭化水素中には単体水銀のほか、イオン化しう
る水銀、有機水銀化合物も含まれ、それぞれ反応性が異
なるため、単一の方法では除去が難しいためである。特
に有機水銀化合物は反応性が低いため、吸着法や抽出法
では1μg/lレベルまで除去するのが困難である。
【0006】本発明者らは、さきに水銀を含有する液状
炭化水素又はガスを、モリブデン、タングステン及びバ
ナジウムよりなる群から選ばれる一種又は二種以上の金
属の硫化物を含有する吸着剤に接触させることを特徴と
する水銀の除去方法(特開平2−2873)を提案した
が、この吸着剤は単体水銀の除去には有効であるが、有
機水銀化合物やイオン化しうる水銀の除去に関してはあ
まり有効ではない。
【0007】さらに、液状炭化水素中の水銀の除去方法
として、a)水素を用いて有機水銀化合物を水素化分解
し、ついで吸着剤により除去する方法(特開平1−23
1920号)、b)熱処理したのち、吸着処理する方法
(特開平1−315489号)なども提案されている。
【0008】上記a)の水素化分解法としては、Ni,
Pdなどを触媒として高温で水素を用いて分解する方法
が提案されている。この場合には水素を使うこと及び反
応器からの排出水素からの水銀の除去も必要になること
のデメリットのほか、原料中の不純物の吸着による劣化
など触媒寿命に問題がある。
【0009】b)の方法としては、水銀類を含む炭化水
素系油を加熱処理した後に、活性炭自体又はその表面
に、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、錫、アルミニウム及びカ
ドミウムから選ばれる少なくとも一種の金属、その合金
又はその酸化物、塩化物、硫化物又はそれらの混合物が
担持された処理剤と接触させる方法が提案されている。
この熱処理法も有効な方法であり、かつ処理剤を加熱処
理槽にも充填するとさらに水銀類除去率が向上するとの
開示もあるが、まだ十分な除去率は得られない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、液状炭化水
素中の全水銀を、長期にわたって効率的に除去する方法
を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、液状炭化
水素に含まれている全ての水銀化合物を除去する方法を
研究していたところ、水銀化合物を含有している液状炭
化水素を高温で担体上に担持された炭素質触媒に接触さ
せる場合、該水銀化合物は容易に単体水銀に分解され、
該水銀は吸着剤により容易に除去しうることを見いだし
本発明をなすに到った。
【0012】本発明は、水銀化合物を含有する液状炭化
水素を150〜300℃の範囲内の温度で担体上に担持
された炭素質触媒に接触させることにより、該水銀化合
物を単体水銀に分解した後、分解により生成した単体水
銀を吸着剤に吸着させることにより除去する方法であ
る。
【0013】以下、本発明を詳しく説明する。本発明方
法で用いられる液状炭化水素としては、天然ガス又は石
油随伴ガスより得られる液状炭化水素、灯油、軽油、直
留ナフサ、減圧留出物、熱分解ガソリン、接触分解ナフ
サ等、水銀を含んでいるものは何れでも用いられるが、
特に水銀含有量の多い天然ガスコンデンセート(NG
L)より水銀を除去するのに適している。
【0014】本発明で使用する担体に担持された炭素質
触媒の担体としては、アルミナ、シリカ、シリカ・アル
ミナ、ゼオライト、多孔質ガラス、多孔質セラミック、
活性炭、鉄、アルミニウムなどの金属等あらゆるものが
使用できるが、中でも表面積の大きい多孔質担体が好ま
しい。
【0015】担体に担持された炭素質触媒は、担体に炭
化水素を含浸させた後、密閉容器中において窒素、メタ
ン、ヘリウム、アルゴン、炭酸ガス等の不活性のガス雰
囲気中で350℃〜1000℃の温度に加熱することに
より得ることができる。
【0016】使用する炭化水素としては、パラフィン
系、ナフテン系、オレフィン系、芳香族系炭化水素の何
れでも使用可能である。
【0017】炭化水素を加熱分解する温度は、炭化水素
の種類によって適当な温度範囲が選択される。加熱温度
が350〜600℃の範囲はパラフィン系、ナフテン
系、オレフィン系の炭化水素、中でもオレフィン系炭化
水素の炭素質化に適当である。加熱温度が500〜10
00℃の範囲は、さらに芳香族系の炭化水素化合物も使
用可能となるが、中でもパラフィン系、ナフテン系、オ
レフィン系炭化水素の炭素質化に適当である。
【0018】加熱分解により形成される炭素質触媒は炭
化水素の環化から芳香族化、さらに重縮合反応が進むこ
とにより生成する炭素前駆体( carbon precursor ) で
あって、多核多環芳香族を主体構造とする固体物質であ
る。
【0019】加熱温度は400〜600℃の範囲の温度
が好ましい。400℃以下では炭素質化に要する所要時
間が長くなり、炭化水素の種類を限定する必要がある。
例えばジエン類やアセチレン類などがこの場合使用され
る。600℃以上では炭素質化が激しく進行するように
なり、調整が簡単ではない。さらに、1000℃以上で
は黒鉛化が起こり、実用的ではない。加熱時間は30分
以上が適当である。
【0020】多孔質担体に炭化水素を含浸させてから炭
素質化させるため、原料は液状炭化水素であれば、パラ
フィン系、ナフテン系、オレフィン系および芳香族系の
何れの化合物をも使用することができる。石油の蒸留留
分、例えば灯油、軽油、重油、直留ナフサや熱分解ガソ
リン、接触分解ナフサなども使用できる。
【0021】固体状炭化水素、とくに芳香族系炭化水素
は原料となる液状炭化水素に溶解できるものは、使用す
ることができる。例えば、アセナフチレン(融点93
℃)やピレン(融点150℃)はトルエンや重油に溶解
して担体に含浸させる。
【0022】気体状炭化水素は炭素数が3以上であれ
ば、90〜120kg/cm2 に加圧液化して担体に含
浸させ、加熱分解することができる。
【0023】パラフィン系炭化水素としては炭素数3
(C3 )のプロパンからC18のヘキサデカン、オレフィ
ン系炭化水素としてはC3 のプロピレンからC30のスク
アレン、C4 のプロピンからC18のオクタデシンなどの
アセチレン類、ナフテン系炭化水素としてはC5 のシク
ロペンタンからC19のn−トリデシルシクロヘキサン、
またジシクロペンタジエンなどの環式炭化水素、芳香族
炭化水素としてはベンゼン、C7 のトルエンからC19
n−トリデシルベンゼン、また、インデンなどの環式炭
化水素、アズレンなどの非ベンゼン系芳香族化合物、な
どを挙げることができる。
【0024】これらの化合物は酸素、窒素、硫黄、ハロ
ゲンなどの置換基を有していても、使用することができ
る。芳香族化合物でもヘテロ元素を含む複素環式化合物
は炭素質化反応に対して、触媒能を持つため、原料炭化
水素に複素環式化合物を添加することは大変有効であ
る。例えば含酸素化合物ではフラン類、含窒素化合物で
はピリジン類やピロール類、含硫黄化合物ではチオフェ
ン類などがあり、多環化合物やチアゾールのような数種
のヘテロ元素を含んでいてもよい。
【0025】本発明の炭素質触媒は水銀化合物を接触分
解する反応管内部で強制的に炭素質を発生させてつくる
こともできる。
【0026】水銀化合物の接触分解温度は、150〜3
00℃、好ましくは180〜250℃である。150℃
以下では水銀化合物の分解が十分でなく、また、300
℃以上では分解可能であるが、炭化水素の分解あるいは
重合が起き、またコストの面から不利であるので好まし
くない。
【0027】また、圧力は液状炭化水素を液状に保てる
圧力であればよく、通常20〜50kg/cm2 の圧力
が用いられる。また、液空間速度(SV)は0.1〜8
0/時の範囲でよく、1〜25/時の割合で反応させる
のが好ましい。SVが大き過ぎると水銀化合物の分解が
不十分となる。
【0028】吸着剤としては単体水銀に対して吸着活性
を有するものが使用できる。例えば金属の硫化物、酸化
物、ハロゲン化物もしくはこれらを担体に担持させたも
のがある。金属としてはコバルト、モリブデン、タング
ステン、ニッケル、亜鉛、銅、鉄、銀、すず、アルミニ
ウム、カドミウム、ビスマスなどがある。またこれらの
化合物の混合物、例えば硫化物の混合物を使用してもよ
い。担体としてはアルミナ、シリカゲル、シリカ−アル
ミナ、活性白土などがある。更に硫黄を担持した吸着剤
あるいはキレート樹脂等の吸着剤も使用できる。
【0029】また単体水銀とアマルガムを形成する金属
も吸着活性がある。金属としてはアルミニウム、ランタ
ン、すず、鉛、アンチモン、ビスマス、銅、銀、金、亜
鉛、カドミウム、インジウム、テルル、クロム、マンガ
ン、鉄、コバルト、ニッケル、白金などがある。これら
の金属は粒状、フィルム状、線状、網状などの形態で使
用できる。あるいは担体、例えば金属、セラミック、プ
ラスチックなどにめっきしたものでもよいし、アルミナ
やゼオライトに分散させて担持したものでもよい。
【0030】吸着剤による吸着温度は200℃以下、好
ましくは130℃以下である。特に水銀の吸着量を高め
る意味からは100℃以下の温度が好ましい。吸着の際
の液線速は0.01cm/秒以上、好ましくは0.1c
m/秒以上である。
【0031】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基いて本発明を詳
しく説明するが、本発明はこれら実施例により何等制限
されるものではない。
【0032】先ず、担体上に担持した触媒か有機水銀化
合物の分解活性を有することを示すための実施例及び比
較例を示す。
【0033】実施例1、比較例1〜4 ジエチル水銀を添加した、水銀含有量410μg/リッ
トル(イオン化しうる水銀含有量50μg/リットル、
有機水銀含有量360μg/リットル)を含有するヘビ
ーナフサ(IBP 105℃、FBP 162℃、比重
15/4℃0.742)を、下記触媒1mlを充填し
た内径8mmのステンレス反応管に、温度180℃、圧力
30kg/cm2 G、流量52ml/時の条件下で通し
た。このとき液空間速度(SV)は52hr-1である。
【0034】(1)比表面積150m2 /gの粒径1.
2mm、長さ5mmのγ−アルミナに沸点150〜20
0℃の炭化水素油を含浸させ、ステンレス管に充填し、
窒素封入し、500℃で5時間加熱することにより得ら
れた炭素含有量15.9重量%、水素含有量3.0重量
%、窒素含有量0.06重量%の触媒(触媒(1))。 (2)比表面積180m2 /gの粒径1.2mm、長さ
5mmのγ−アルミナ押出成形品(触媒(2))。 (3)比表面積800m2 /gの粒径1〜2mmのコー
ル系活性炭の破砕品(触媒(3))。 (4)比表面積1000m2 /gの粒径1〜2mmの椰
子殻活性炭の破砕品(触媒(4))。結果を表1に示
す。
【0035】
【表1】
【0036】表1に示す結果から、担体に担持された炭
素質触媒(実施例1)は、他の担体のみを用いた触媒
(比較例1〜3)に比し、有機水銀等の分解活性が大き
いことがわかる。
【0037】実施例2、比較例5、6 ジエチル水銀を添加することにより得られた全水銀含有
量440μg/リットル、有機水銀を水銀として390
μg/リットルの水銀を含有する東南アジア産の天然ガ
スコンデンセートを、内径14mmのステンレス管に2
0mlの触媒(1)を充填した反応管に圧力30kg/
cm2 G、流量52ml/時で表2に示す温度条件下に
通した。このとき液空間速度(SV)は2.6hr-1
ある。ついで分解処理したコンデンセートを内径3mm
のガラス管に0.3〜0.5mmに破砕した、アルミナ
上に未硫化品組成でMoを金属として6.9重量%、コ
バルトを0.9重量%およびニッケルを0.4重量%含
有する硫化物吸着剤(吸着剤(1))1.0ml充填し
た充填物層上に常温、出口大気圧開放で40時間にわた
って通した。40時間後の結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】表2の結果から、本発明によれば有機水銀
化合物も比較的低温で分解され、液状炭化水素中に含有
されている水銀を効率良く除去することができることが
わかる。
【0040】実施例3、比較例7、8 ジエチル水銀をn−ヘキサンに添加し、水銀として40
0μg/リットルを含有する模擬液を調製した。接触分
解は実施例2と同じ装置を使用し、分解触媒は20ml
充填した。分解温度は225〜230℃、圧力、流量は
実施例2と同様とした。吸着は実施例2と同じ装置に吸
着剤(1)を1.0ml充填したものを用いた。このと
き液線速は0.20cm/secであった。温度、圧力
は実施例2と同様である。なお、吸着剤(2)は触媒
(1)と同じ物質を用いた。結果を表3に示す。
【0041】
【表3】
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、液状炭化水素中に含ま
れている水銀化合物及び水銀を効率良く除去することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10G 29/10 6958−4H (72)発明者 松澤 亨 愛知県半田市州の崎町2番110 日揮株式 会社衣浦研究所内 (72)発明者 佐藤 一夫 愛知県半田市州の崎町2番110 日揮株式 会社衣浦研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水銀化合物を含有する液状炭化水素を1
    50〜300℃の温度で担体上に担持された炭素質触媒
    に接触させることにより、該水銀化合物を単体水銀に分
    解した後、分解生成した単体水銀を吸着剤により吸着除
    去することを特徴とする液状炭化水素中の水銀の除去方
    法。
  2. 【請求項2】 炭素質触媒の担体がアルミナである請求
    項1記載の液状炭化水素中の水銀の除去方法。
  3. 【請求項3】 水銀化合物を含有する液状炭化水素を1
    80〜250℃、SV0.1〜80/時の条件下で炭素
    質触媒に接触させる請求項1又は2記載の液状炭化水素
    中の水銀の除去方法。
  4. 【請求項4】 吸着剤がモリブデンの硫化物とコバルト
    及び/又はニッケルの硫化物とを含むものである請求項
    1、2又は3記載の液状炭化水素中の水銀の除去方法。
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