JPH06322668A - 粉粒体担持シート並びにその製造方法 - Google Patents

粉粒体担持シート並びにその製造方法

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JPH06322668A
JPH06322668A JP5136807A JP13680793A JPH06322668A JP H06322668 A JPH06322668 A JP H06322668A JP 5136807 A JP5136807 A JP 5136807A JP 13680793 A JP13680793 A JP 13680793A JP H06322668 A JPH06322668 A JP H06322668A
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JP
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powder
granular material
sheet
powdery
sheet body
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JP5136807A
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Masaharu Maejima
正治 前島
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TOKAI PULP KK
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TOKAI PULP KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は例えば高吸水性樹脂粉末等の機能性
の粉粒体を、紙、不織布、織布等のシート体に担持させ
た機能性を有する粉粒体担持シート並びにその製造方法
を提供する。 【構成】 本発明の粉粒体担持シート1は、表面に複数
の拘束部3が形成されるシート体2に対し、前記拘束部
3には粉粒体4が物理的ないし機械的手段で担持されて
成ることを特徴とする。またその製造方法は、表面に複
数の拘束部3が形成されるシート体2の表面に粉粒体4
を散布した後、このシート体2を二本の加圧ロール間に
通過させて、前記粉粒体4を前記拘束部3中に圧入する
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の目的】
【産業上の利用分野】本発明は例えば高吸水性樹脂粉末
等の機能性の粉粒体を、紙、不織布、織布等のシート体
に担持させた機能性を有する粉粒体担持シート並びにそ
の製造方法に関する。
【0002】
【発明の背景】脱臭、芳香、防虫、高吸水等の機能を有
する機能性の粉粒体は、そのままでは扱いにくいため、
紙、不織布、織布等のシートに担持させて使用すること
が一手法として考えられている。このような粉粒体の担
持手法として例えば紙に粉粒体を担持させる場合には、
紙繊維が分散したスラリー中に粉粒体を混合分散させ、
填料歩留剤や分散剤等を添加したものを金網上に流した
後、脱水してシート状に形成し、これを乾燥するという
湿式製法がある。
【0003】またすでににシートが形成されているもの
に、後から粉粒体を担持させる方法として、粉粒体を水
その他の溶媒、あるいは接着剤等の媒体や固着剤に分散
し、これをシート体に噴霧、塗工あるいは含浸させて、
シート体の表面ないし内部に担持させることが従来より
広く行われている。
【0004】一方、水等の溶媒の存在により、機能性粉
粒体の機能が低下するような例えば高吸水性樹脂粉末を
シート体に担持させる場合には、紙おむつの製造を例に
とれば、パルプマット形成後に高吸水性樹脂粉末を散布
機で直接散布する乾式の手法等が採られている。
【0005】以上が粉粒体をシート体に担持させる従来
手法であるが、湿式製法や粉粒体を溶媒等の分散媒に分
散させて塗工等する手法では、粉粒体が水あるいはその
他の分散媒から影響を受けて、粉粒体の有する機能が低
下してしまう。特に粉粒体が高吸水性樹脂粉末の場合に
は分散媒を使用できず、吸着剤の場合には吸着能の低下
が避けられない。
【0006】また湿式法の場合には、粉粒体を含む排水
の漏洩による環境への影響の問題や、粉粒体の存在によ
る繊維間の結合強度の低下の問題があり、噴霧、塗工あ
るいは含浸による担持手法の場合にも、シート表面の硬
化、通気性、柔軟性の低下などの弊害を生じる問題があ
る。更に設備面では、粉粒体を分散媒とともに使用する
ときには、分散媒の乾燥除去が必要となり、そのために
大がかりな設備を要し、多額な費用もかかる。
【0007】一方、上述のような乾式法では以上のよう
な問題は生じないが、現状では乾式法を用いて作られる
製品の寸法が比較的小さいため、これに対応して散布機
の巾寸法もほぼ1m以下に設計されており、そのため巾
が1m以上の製品には対応できない。また従来の散布機
は、散布量が10g/m2 以上と多いため、これ以下の
散布量でバラツキ精度を少なくできる方法は現状では存
在しない。
【0008】
【開発を試みた技術的事項】本発明はこのような背景を
考慮してなされたものであって、分散媒を用いずに、粉
粒体を直接シート体に効率的に担持させる新規な粉粒体
担持シート並びにその製造方法の開発を試みたものであ
る。
【0009】
【発明の構成】
【目的達成の手段】本出願に係る第一の発明たる粉粒体
担持シートは、表面に複数の拘束部が形成されるシート
体に対し、前記拘束部には粉粒体が物理的ないし機械的
手段で担持されて成ることを特徴として成るものであ
る。
【0010】また本出願に係る第二の発明たる粉粒体担
持シートは、前記要件に加えて前記シート体は、見掛け
密度0.1〜0.5g/cm3 、拘束部の径寸法10〜
500μm、厚さ0.1〜10mmの範囲にあり、また
前記粉粒体は粒径が10〜400μmの範囲にあること
を特徴として成るものである。
【0011】更にまた本出願に係る第三の発明たる粉粒
体担持シートは、前記要件に加え、前記粉粒体は高吸水
性樹脂粉体であることを特徴として成るものである。
【0012】更にまた本出願に係る第四の発明たる粉粒
体担持シートの製造方法は、表面に複数の拘束部が形成
されるシート体の表面に粉粒体を散布した後、このシー
ト体を二本の加圧ロール間に通過させて、前記粉粒体を
前記拘束部中に圧入することを特徴として成るものであ
る。
【0013】更にまた本出願に係る第五の発明たる粉粒
体担持シートの製造方法は、前記要件に加え前記シート
体の表面に粉粒体を散布した後、その上に表面に複数の
拘束部が形成される他のシート体を被覆し、これらを二
本の加圧ロール間に通過させることを特徴として成るも
のである。
【0014】更にまた本出願に係る第六の発明たる粉粒
体担持シートの製造方法は、表面に複数の拘束部が形成
されるシート体の上面に粉粒体を散布した後、前記シー
ト体の下面側から吸引して前記粉粒体を前記拘束部中に
誘引することを特徴として成るものである。
【0015】更にまた本出願に係る第七の発明たる粉粒
体担持シートの製造方法は、表面に複数の拘束部が形成
される伸縮性のシート体を、張力をかけながらリターン
ロールに巻回して、巻回部分における外側表面の拘束部
を拡大変形させながら、そこに粉粒体を散布して拘束部
内に埋没させ、その後リターンロールへの巻回を解除し
て粉粒体を拘束部中に保持させることを特徴として成る
ものである。
【0016】更にまた本出願に係る第八の発明たる粉粒
体担持シートの製造方法は、前記要件に加え担持作業後
に前記シート体に振動を付加して余剰の粉粒体を除去す
ることを特徴として成るものである。
【0017】更にまた本出願に係る第九の発明たる粉粒
体担持シートの製造方法は、表面に複数の拘束部が形成
されるシート体の表面に粉粒体を散布した後、このシー
ト体を二本の加圧ロール間に通過させて、前記粉粒体を
前記拘束部中に圧入するA工程と、表面に複数の拘束部
が形成されるシート体の上面に粉粒体を散布した後、前
記シート体の下面側から吸引して前記粉粒体を前記拘束
部中に誘引するB工程と、表面に複数の拘束部が形成さ
れる伸縮性のシート体を、張力をかけながらリターンロ
ールに巻回して、巻回部分における外側表面の拘束部を
伸張させて拡大変形させながら、そこに粉粒体を散布し
て拘束部内に埋没させ、その後リターンロールへの巻回
を解除して粉粒体を拘束部中に保持させるC工程との全
部工程またはいずれか二工程を、この順でまたは順序を
入れ替えて組み合わせて成ることを特徴として成るもの
である。これら発明により上記目的を達成しようとする
ものである。
【0018】以下本発明を図に基づいて具体的に説明す
る。図1中符号1は本発明の粉粒体担持シートを拡大
し、その断面を示すものであり、このものは表面に複数
の一例として細孔状の拘束部3が形成されたシート体2
に、その拘束部3の部分に粉粒体4が担持されて成る。
もちろん拘束部3は実質的に粉粒体4の拘束保持ができ
ればよいから細孔状のほか、繊維が絡み状となったもの
でもよい。
【0019】ここでシート体2は、紙、織布、不織布あ
るいは合成樹脂のシート等を含むものであり、シート状
であれば厚さ、材質は問わない。また拘束部3は、シー
ト体2の片面に形成されていても、両面に形成されてい
てもよく、両面に形成された拘束部3同志がシート体2
内で連絡しているものでもよい。なお、紙、織布あるい
は不織布のようにシート体2が繊維の集合体であり、表
面を拡大したときに、表面に実質上の凹部分が形成され
ているものは、このような凹部分が拘束部3と成る。
【0020】また粉粒体4は、高吸水性樹脂、吸着剤、
芳香剤または防虫剤等の何らかの機能をもつ粉体ないし
粒体であり、一単位の形状は球状、針状、扁平状等、種
類を問わない。なお、粉粒体4の一単位の形状や粒径分
布と、シート体2への担持との関係については後述す
る。このような粉粒体4は、図1(a)のように拘束部
3に対してその全体が入り込んで担持されていてもよい
し、図1(b)のように拘束部3に一部のみ担持されて
いてもよい。また拘束部3への粉粒体4の担持は、物理
的ないし機械的手段によりなされているものであり、そ
の具体的内容については、以下述べる担持方法の中で説
明する。
【0021】本発明の粉粒体担持シート1の製造方法
は、シート体2の拘束部3内への粉粒体4の担持を物理
的ないし機械的手段で行うことを主体とするものであ
り、この担持手段として基本的に圧入法、吸引法及びシ
ート伸張法の三つがある。 (1)圧入法 まず圧入法は図2に示すように、原反ロール5から繰り
出された複数の拘束部3が形成されたシート体2の上面
に、散布機6を用いて粉粒体4を散布し、この状態でシ
ート体2を彫刻ロール7と弾性ロール8とから成る加圧
ロールの間に通過させて、粉粒体4を拘束部3中に圧入
させるものである。なお彫刻ロール7と弾性ロール8と
は、シート体2の厚さに応じて互いの距離を調節し、シ
ート体2にかかる圧力を調整できるようになっており、
また両ロールを駆動させてシート体2の送り速度を調節
できるようになっている。
【0022】また粉粒体4を担持したシート体2は、そ
の後反転ロール9によって粉粒体4の担持面が斜め下を
向くように反転し、シート体2に接触する振動ロール1
0の作用により振動が加えられる。これにより余剰の粉
粒体4が振るい落とされ、単位面積当たりの粉粒体4の
担持が均一化する。また振るい落とされた粉粒体4は、
反転ロール9から振動ロール10にかけてシート体2の
下方を覆っているキャッチパン11で受け止めて回収
し、散布機6へ送られ再利用される。そして最後に粉粒
体4を担持したシート体2は、製品ロール12として巻
回される。
【0023】以上が圧入法の基本的流れであるが、その
バリエーションとして図3に示すように、別の原反ロー
ル13からシート体2の上面側に他のシート体2aを被
覆し、これらシート体2、2aを一緒にして彫刻ロール
7と弾性ロール8との間に通過させるようにしてもよ
い。因みにこのような方法を採る場合には、加圧ロール
間を通過する際に発生する微粉体の飛散を防止できると
ともに、二枚のシート体2、2aに対して一度に粉粒体
4の担持が行える。なお必要により、上側のシート体2
a側にも振動ロール10とキャッチパン11を設けるよ
うにする。
【0024】(2)吸引法 次に吸引法は図4に示すように、原反ロール5から繰り
出された複数の拘束部3を有するシート体2の上面に散
布機6を用いて粉粒体4を散布するとともに、シート体
2の下面側に設けたサクションボックス14により、粉
粒体4をシート体2の拘束部3中に誘引するという方法
である。なお、この方法でも図4に示すように、振動ロ
ール10とキャッチパン11とを設けて余剰の粉粒体4
を振るい落とす構造を採ることができる。またなお、こ
の吸引法は、シート体2の上面にある粉粒体4を下面側
から負圧で誘引するものであるから、シート体2は不織
布などのようにシート体2の両面の拘束部3同志が直
接、または間接に流通しているものを適用する。なおこ
の吸引は一定負圧で行うほか、負圧を一定周期で変化さ
せ、脈動状態で行ってもよい。
【0025】以上が吸引法であるが図5に示すように、
上記の圧入法をこれに組み合わせることもできる。すな
わち彫刻ロール7と弾性ロール8とから成る加圧ロール
をサクションボックス14の下流側に設けて、シート体
2内に誘引された粉粒体4をシート体2と共に加圧する
ことにより、シート体2への粉粒体4の担持をより強固
なものとすることができる。
【0026】(3)シート伸張法 この方法は図6に示すように、原反ロール5から繰り出
された複数の拘束部3を有する伸縮性のシート体2を小
径のリターンロール15に張力をかけながら巻回して、
このシート体2の巻回部分(図中Aで示す)の外側表面
の拘束部3を図のように伸張させて拡大変形させる。こ
の状態でリターンロール15の上方に設けた散布機6か
ら粉粒体4を散布して、拡大変形した拘束部3内に粉粒
体4の一部または全部を埋没させる。なお小径のリター
ンロール15を用いたのは、シート体2の外側の拘束部
3をなるべく変形させて拡大させるためであり、この意
味においてリターンロール15は拘束部3をある程度拡
大変形させることができる程度の径を有するロールであ
ればよい。
【0027】次に粉粒体4が拘束部3内に埋没した状態
でリターンロール15が回転して、シート体2の巻回さ
れていた部分が進行すると、シート体2の外側表面の伸
張状態が解除されるとともに拘束部3の拡大が解除され
て元の状態に回復し、これによって拘束部3内に粉粒体
4が担持される。なおこの方法でも、図6のように振動
ロール10とキャッチパン11とを設けて、余剰の粉粒
体4を振り落とす構造を採ることができる。なおシート
伸張法において拘束部3の拡大率は、シート体2にかか
る張力、シート体2の厚さ、リターンロール15の径寸
法によって異なってくるが張力がかからない場合のシー
ト体2の外側の拘束部3の拡大率は、例えばリターンロ
ール15の径が100mm、シート体2の厚さが10m
mでは、110%すなわち1割の拡大された孔となる。
【0028】またこのシート伸張法にも、上述の圧入法
と吸引法の両方またはいずれかを併せ適用することがで
きる。ここではシート伸張法、圧入法及び吸入法をすべ
て用いる手法について説明する。すなわち上記のシート
伸張法において、リターンロール15の代わりに、図7
に示すように周囲に複数の吸引孔16が形成されて成る
小径の吸引リターンロール17を設け、この吸引リター
ンロール17内に吸引機18を上向きに設ける。
【0029】またこの吸引リターンロール17の下流側
には、彫刻ロール7と弾性ロール8とから成る加圧ロー
ルをシート体2を挟むように設ける。因みにこのような
構造を具えた装置で粉粒体4をシート体2に担持させる
場合には、小径の吸引リターンロール17に巻回された
シート体2の外表面の拘束部3が拡大変形した状態で、
散布機6から粉粒体4を散布する。この粉粒体4は、吸
引機18の吸引作用で拡大した拘束部3内に強く誘引さ
れる。その後巻回部分のシート体2が加圧ロールに至る
と、加圧作用により拘束部3の入口付近の粉粒体4がよ
り強く拘束部3内に圧入されて、多くの粉粒体4がシー
ト体2に強く担持されるようになる。なお、この方法に
おいて吸引リターンロール17ではなく、前記リターン
ロール15を用いてもよく、また加圧ロールによる圧入
工程を省略してもよい。
【0030】ここで本発明に関連して粉粒体4の粒径分
布あるいは形状と拘束部3の径寸法並びに粉粒体の担持
状態との関係について述べる。シート体2の拘束部3の
径寸法と粉粒体4の径寸法とは、いずれもある特定の数
値で表されるものではなく、それぞれ固有の分布曲線で
表される範囲を有するものであり、両者の組み合わせは
次の六つのケースに分類できる(図8参照)。すなわち
拘束部3の径寸法Pの範囲Pmin (最小径)〜P
max (最大径)に対し、粉粒体4の径寸法Rが R<Pmin R<Pmaxmin <R<Pmax R>Pmin R>Pmax Rの分布範囲はP1 〜P2 の範囲を越えて分布 の各場合が想定できる。
【0031】例えばの場合、すなわち粉粒体4のすべ
ての径寸法が拘束部3の径寸法より小さい場合(R<P
min )は、シート体2の表裏の拘束部3が相互に通じて
いるときには、理論上は粉粒体4のすべてが拘束部3を
通り抜けてしまうが、実際にはこれは長時間に亘り、振
動、吸引あるいは吹き込み等の外力を加えた場合に起こ
ることである。従って一旦、シート体2の内部に入り込
んで担持された粉粒体4は、シート体2を構成する繊維
に絡んだり、なじんだり、あるいは繊維の網目構造の中
に保持されるなどして担持可能である。なおもちろん拘
束部3中を通り抜ける粉粒体もある。
【0032】またの場合のように粉粒体4のすべての
径寸法が、拘束部3の径寸法より大きい場合(R>P
max )は、理論上は粉粒体4のすべてが拘束部3に入り
込むことはできないが、実際には粉粒体4が凹凸を有す
るときは、その凸部分が拘束部3に突きささるように担
持されたり、あるいは本発明の方法による加圧、吸引、
シート体2の伸張により、瞬間的に拘束部3が広がり、
そこに粉粒体4が押し込まれて担持される場合もある。
【0033】一方、の場合のように粉粒体4の径寸法
と拘束部3の径寸法との分布が同範囲にあるときは、粉
粒体4と拘束部3との両方の径寸法の大小関係により、
上記またはのようにしてあるいは粉粒体4が、ちょ
うど拘束部3に嵌まるようにして担持されるわけである
が、いずれにせよ両者の径寸法が近似していることか
ら、他の組み合わせと比較すると最も担持率は高いと考
えることができる。また拘束部3への粉粒体4の担持状
態は、粉粒体4間あるいは粉粒体4とシート体2の繊維
表面との間の滑りやすさにも左右される。
【0034】ここで粉粒体4間の作用については、流動
性の指標である安息角度が低い値のものが充填性が良い
といえる。更に形状からいえば、角ばった不定形のもの
よりは球形あるいは球形に近いものが、ころがり作用に
より粉体同志の固着やブロッキングが起こりにくく、担
持が容易であるが、気流体中に分散させ、反対側から吸
引する場合には針状粉体でも容易に拘束部3中へ担持さ
れる。以上のような関係からシート体2は、見掛け密度
0.1〜0.5g/cm3 、拘束部3の径寸法10〜5
00μm、厚さ0.1〜10mmの範囲にあり、また粉
粒体4は粒径が10〜400μmの範囲にある組み合わ
せが好ましい。
【0035】また図1(c)のように密度勾配があるシ
ート体2は、表裏で拘束部3の径寸法及び拘束部3の数
が異なるため、粉粒体4のサイズによっては、片面は閉
じた面となる。従って一旦担持された粉粒体4が反対面
側から抜け落ちることがないという理由や、粉粒体4が
図1(c)のように先つぼまりの中に押し込まれていく
状態になるという理由から、担持状態が良好になる。
【0036】
【発明の作用】本発明ではシート体の拘束部に粉粒体が
物理的ないし機械的手段で担持されるから、シート体の
表面特性を変化させずに、粉粒体の有する機能を低下さ
せることのない粉粒体担持シートが得られる。また表面
に複数の拘束部が形成されるシート体の表面に粉粒体を
散布し、このシート体を加圧ロール間に通過させたり、
シート体の下面側から吸引して、粉粒体を拘束部中に担
持させる方法では、分散媒を用いないから、粉粒体の機
能が低下せず、また乾燥処理を施す必要もない。
【0037】更にシート体に粉粒体を散布後、その上に
他のシート体を被覆して、二本の加圧ロール間に通過さ
せる方法では、加圧ロール間を通過する際に発生する微
粉体の飛散を防止できるとともに、二枚の粉粒体担持シ
ートが一度に得られる。
【0038】更にまた伸張性のシート体に張力をかけな
がらリターンロールに巻回して、拘束部を拡大変形させ
ながら、そこに粉粒体を散布して拘束部中に埋没させる
方法では、粉粒体が拡大変形された拘束部に入り込み、
その後リターンロールへの巻回が解除されることで、拘
束部が元の状態に復帰傾向となり、粉粒体が拘束部内に
閉じ込められたり、挟み込まれるようにして担持され
る。
【0039】
【実施例】
<実施例1>図3のように、嵩高で通気性、吸水性、耐
水性及び柔軟性が良好なるシート体2(50g/m2
見掛け密度0.35g/cm3 、東海パルプ株式会社製
造)を走行させる間に、散布機6(ライナー社製、巾2
100mm)から粉粒体4である高吸水性樹脂粉末(住
友精化、アクアキープ(登録商標))をほぼ均一に1m
2 当たり23g散布した後、その上に他のシート体2a
(シート体2と同じもの)を重ね合わせ、彫刻ロール7
と弾性ロール8とから成る加圧ロールの間を圧力12k
g/cm2 、速度40m/分で通過させて、高吸水性樹
脂粉末をシート体2及びシート体2aの拘束部3中に圧
入させる。
【0040】加圧ロールを通した後、シート体2とシー
ト体2aとは再び分離し、拘束部3中に圧入されなかっ
た余剰の粉粒体、あるいは最終的にシート体2に担持す
べき粉粒体の量を調整するために、それぞれシート体2
の裏側より振動ロール10でシート体2、2aを振動さ
せ、脱落する粉末を吸引ポンプに接続されたキャッチパ
ン11で捕集して再び散布機6に戻す。これにより高吸
水性樹脂を1m2 当たり5.5g担持し、吸水量が33
00g/m2 の二枚のシート体2、2aが得られた。
【0041】<実施例2>図4のように、シート体2と
して通気性、多孔性を有し、且つ表面から裏面にかけて
密度勾配のある合成繊維系乾式不織布フィレドンPS
(日本バイリーン社製造400g/m2 、5mm厚)を
用い、このシート体2の低密度側、すなわち拘束部3の
径寸法が大きい面を上面に向けてセットする。この状態
で、散布機6より粉粒体4であるゼオライト粉末(小沢
化学株式会社製造)を、1m2 当たり約50g(シート
体2の最大保持可能な量より多量である)ほぼ均一に散
布すると同時に、シート体2の裏側より吸引ポンプに接
続されたサクションボックス14により、真空度1.5
kg/cm2 の吸引圧でゼオライト粉末を吸引する。
【0042】その後、実施例1の場合と同様に、彫刻ロ
ール7と弾性ロール8との加圧ロール間を圧力10kg
/cm2 、速度35m/分で通過させ、ゼオライト粉末
を更にシート体2の内部まで圧入させる。また実施例1
同様に、余剰のゼオライト粉体の除去を行う。これによ
りゼオライト粉末を1m2 当たり42g担持したシート
が得られた。なお、アンモニア濃度3000ppmの大
気10リットル中に、このシート20×20cm
2 (1.7g)を投入したところ、1時間後に150p
pmの測定値を得た。
【0043】<実施例3>図7のように復元性を有する
低密度多孔性のシート体2として、合成繊維マットをフ
ェノール樹脂で補強した不織布ベアテックスSMF(金
井重要工業製、500g/m2 、厚さ7mm)を用い、
このものを3.5kg/cm2 の張力をかけながら小径
の吸引リターンロール17(直径100mmφ)に巻回
し、拘束部3を拡大させる。この状態で粉粒体4である
青銅粉末(粒径20〜100μm)を散布機6より約5
7g/m2 散布し、吸引リターンロール17で吸引させ
てシート体2に担持させる。吸引リターンロール17を
通過したシート体2は、拘束部3が元の状態に復原し、
担持された粉粒体は狭められた拘束部3内に封入され
る。これにより青銅粉が1m2 当たり40g担持された
シート体2が得られる。なおこのものは、研磨用シート
として用いることができる。
【0044】
【発明の効果】本発明の粉粒体担持シート1は、複数の
拘束部3が形成されるシート体2に対し、その拘束部3
に粉粒体4が物理的ないし機械的手段で担持されて成る
から、シート体2の表面特性が変化せず、また粉粒体4
の有する機能も低下しない。
【0045】また本発明の粉粒体担持シートの製造方法
は、粉粒体4をシート体2の拘束部3に圧入、吸引し、
あるいは拘束部3を拡大変形させた状態で担持させるよ
うにしたから、水等の溶媒を一切用いることがなく、そ
のため高吸水性樹脂粉末などの溶媒を使用できない粉粒
体も容易に担持させることができる。そして溶媒を用い
ないことから、乾燥工程が不要であるため、設備に費用
がかからず、且つ小規模のスペースで作業が行え、しか
も排水等への対応をする必要もない。
【0046】更にまたシート体2に振動を付加して余剰
の粉粒体4を除去するようにすれば、1m2 当たり10
g以下で精度良く散布することができなかった従来の散
布機を用いて、多めに粉粒体4を散布した後、余剰の粉
粒体4を除去することで単位面積当たりの担持量が均一
の製品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粉粒体担持シートの種々の実施例を示
す骨格的断面図である。
【図2】本発明の粉粒体担持シートにおける粉粒体の担
持手段として圧入法を適用した製造ラインを骨格的に示
す側面図である。
【図3】同上他の実施例を骨格的に示す側面図である。
【図4】同上粉粒体の担持手段として吸引法を適用した
製造ラインを骨格的に示す側面図である。
【図5】同上これに圧入法を組み合わせた実施例を骨格
的に示す側面図である。
【図6】同上粉粒体の担持手段としてシート伸張法を適
用した製造ラインを骨格的に示す側面図である。
【図7】同上これに圧入法、吸入法を組み合わせた実施
例を骨格的に示す側面図である。
【図8】シート体のシート細孔径寸法の分布に対する粉
粒体の粒子径寸法の六通りの分布状態を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1 粉粒体担持シート 2 シート体 2a シート体 3 拘束部 4 粉粒体 4a 高吸水性樹脂粉末 5 原反ロール 6 散布機 7 彫刻ロール 8 弾性ロール 10 反転ロール 11 振動ロール 12 キャッチパン 13 原反ロール 14 サクションボックス 15 リターンロール 16 吸引孔 17 吸引リターンロール 18 吸引機 A 巻回部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D21H 23/02 7199−3B D21H 5/22 Z

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に複数の拘束部が形成されるシート
    体に対し、前記拘束部には粉粒体が物理的ないし機械的
    手段で担持されて成ることを特徴とする粉粒体担持シー
    ト。
  2. 【請求項2】 前記シート体は、見掛け密度0.1〜
    0.5g/cm3 、拘束部の径寸法10〜500μm、
    厚さ0.1〜10mmの範囲にあり、また前記粉粒体は
    粒径が10〜400μmの範囲にあることを特徴とする
    請求項1記載の粉粒体担持シート。
  3. 【請求項3】 前記粉粒体は高吸水性樹脂粉体であるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の粉粒体担持シー
    ト。
  4. 【請求項4】 表面に複数の拘束部が形成されるシート
    体の表面に粉粒体を散布した後、このシート体を二本の
    加圧ロール間に通過させて、前記粉粒体を前記拘束部中
    に圧入することを特徴とする粉粒体担持シートの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記シート体の表面に粉粒体を散布した
    後、その上に表面に複数の拘束部が形成される他のシー
    ト体を被覆し、これらを二本の加圧ロール間に通過させ
    ることを特徴とする請求項4記載の粉粒体担持シートの
    製造方法。
  6. 【請求項6】 表面に複数の拘束部が形成されるシート
    体の上面に粉粒体を散布した後、前記シート体の下面側
    から吸引して前記粉粒体を前記拘束部中に誘引すること
    を特徴とする粉粒体担持シートの製造方法。
  7. 【請求項7】 表面に複数の拘束部が形成される伸縮性
    のシート体を、張力をかけながらリターンロールに巻回
    して、巻回部分における外側表面の拘束部を拡大変形さ
    せながら、そこに粉粒体を散布して拘束部内に埋没さ
    せ、その後リターンロールへの巻回を解除して粉粒体を
    拘束部中に保持させることを特徴とする粉粒体担持シー
    トの製造方法。
  8. 【請求項8】 担持作業後に前記シート体に振動を付加
    して余剰の粉粒体を除去することを特徴とする請求項
    4、5、6または7記載の粉粒体担持シートの製造方
    法。
  9. 【請求項9】 表面に複数の拘束部が形成されるシート
    体の表面に粉粒体を散布した後、このシート体を二本の
    加圧ロール間に通過させて、前記粉粒体を前記拘束部中
    に圧入するA工程と、表面に複数の拘束部が形成される
    シート体の上面に粉粒体を散布した後、前記シート体の
    下面側から吸引して前記粉粒体を前記拘束部中に誘引す
    るB工程と、表面に複数の拘束部が形成される伸縮性の
    シート体を、張力をかけながらリターンロールに巻回し
    て、巻回部分における外側表面の拘束部を伸張させて拡
    大変形させながら、そこに粉粒体を散布して拘束部内に
    埋没させ、その後リターンロールへの巻回を解除して粉
    粒体を拘束部中に保持させるC工程との全部工程または
    いずれか二工程を、この順でまたは順序を入れ替えて組
    み合わせて成ることを特徴とする粉粒体担持シートの製
    造方法。
JP5136807A 1993-05-14 1993-05-14 粉粒体担持シート並びにその製造方法 Pending JPH06322668A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006118103A (ja) * 2004-10-25 2006-05-11 Mitsubishi Chemicals Corp 機能性布帛の製造方法及び機能性布帛
DE102006002553A1 (de) * 2006-01-18 2007-07-26 Küsters Technologie GmbH & Co.KG Verfahren zur Behandlung von Vlies oder Textil und zur Anwendung des Verfahrens geeignete Anlage
JP2010143163A (ja) * 2008-12-22 2010-07-01 Panasonic Electric Works Co Ltd 機能性繊維成形体の製造方法

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