JPH06322482A - 高靭性高速度鋼部材およびその製造方法 - Google Patents
高靭性高速度鋼部材およびその製造方法Info
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- JPH06322482A JPH06322482A JP5135307A JP13530793A JPH06322482A JP H06322482 A JPH06322482 A JP H06322482A JP 5135307 A JP5135307 A JP 5135307A JP 13530793 A JP13530793 A JP 13530793A JP H06322482 A JPH06322482 A JP H06322482A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 主として、塑性加工用材料の高靭性化と異方
性の緩和を計った高速度鋼部材およびその製造方法を提
供する。 【構成】 焼入れ焼もどし後の硬化状態のNb無添加ま
たはNbを2.0%未満で含有する高速度鋼部材であって、
前記高速度鋼部材の組織中の一次晶炭化物のうち、M6
C型とM2C型の1種または2種の合計が全体に対する
面積率で皆無かまたは2%以下、残部が実質的にMC型
の一次晶炭化物からなる高靭性高速度鋼部材である。
性の緩和を計った高速度鋼部材およびその製造方法を提
供する。 【構成】 焼入れ焼もどし後の硬化状態のNb無添加ま
たはNbを2.0%未満で含有する高速度鋼部材であって、
前記高速度鋼部材の組織中の一次晶炭化物のうち、M6
C型とM2C型の1種または2種の合計が全体に対する
面積率で皆無かまたは2%以下、残部が実質的にMC型
の一次晶炭化物からなる高靭性高速度鋼部材である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は主として塑性加工用部材
として、新規な組織概念に基づいて得られる靭性に優れ
た高速度鋼部材およびその製造方法に関する。
として、新規な組織概念に基づいて得られる靭性に優れ
た高速度鋼部材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、高速度鋼として分類される鋼種の
組織には、基本的に2種類の形態からなる一次晶炭化物
を含有する。すなわちM6C又はM2Cと称される立方晶
の結晶構造で、Fe3(W、Mo)3C、Fe4(W、M
o)2Cの組成を有する複炭化物と、MCと称される
(V、Ti、Nb)Cの組成を有する単炭化物である。
前者は、溶鋼の凝固過程で、融体(L)からオーステナ
イト(γ)とM6C(M2C)が同時に晶出する共晶反応
によって肋骨状または羽毛状などと称される共晶炭化物
として形成される。これに対して後者のMC型炭化物の
晶出形態は、やや複雑で単独晶として晶出する炭化物
と、共晶状態で形成される2種類の形態がある。
組織には、基本的に2種類の形態からなる一次晶炭化物
を含有する。すなわちM6C又はM2Cと称される立方晶
の結晶構造で、Fe3(W、Mo)3C、Fe4(W、M
o)2Cの組成を有する複炭化物と、MCと称される
(V、Ti、Nb)Cの組成を有する単炭化物である。
前者は、溶鋼の凝固過程で、融体(L)からオーステナ
イト(γ)とM6C(M2C)が同時に晶出する共晶反応
によって肋骨状または羽毛状などと称される共晶炭化物
として形成される。これに対して後者のMC型炭化物の
晶出形態は、やや複雑で単独晶として晶出する炭化物
と、共晶状態で形成される2種類の形態がある。
【0003】すなわちMC型炭化物の単独晶は、凝固過
程で融体(L)からMCだけが最初に晶出する晶出反応
である。続いて融体(L)からγとMCが同時に晶出す
る共晶反応によってもMC型炭化物が形成される。通常
の高速度鋼では、これらの一次晶の炭化物のうち、量的
には共晶炭化物であるM6C型又はM2C型の炭化物が、
単独晶として晶出するMC型の炭化物に比較して圧倒的
に多い。また、共晶反応によって形成されるM6C型又
はM2C型の一次晶炭化物は、工業的に利用できる一般
の造塊条件下では必ず共晶反応で生成し、単独晶で晶出
させることはできない。
程で融体(L)からMCだけが最初に晶出する晶出反応
である。続いて融体(L)からγとMCが同時に晶出す
る共晶反応によってもMC型炭化物が形成される。通常
の高速度鋼では、これらの一次晶の炭化物のうち、量的
には共晶炭化物であるM6C型又はM2C型の炭化物が、
単独晶として晶出するMC型の炭化物に比較して圧倒的
に多い。また、共晶反応によって形成されるM6C型又
はM2C型の一次晶炭化物は、工業的に利用できる一般
の造塊条件下では必ず共晶反応で生成し、単独晶で晶出
させることはできない。
【0004】そして、この共晶温度は、Steven[(G.S.St
even,A.E.Nehrenberg:Trans ASM57(1964)p.925]によれ
ば、各元素の重量%で以下に示す(1)式で表わされ
る。 TM6C(°F)=2310-200(%C)+40(%V)+8(%W)+5(%Mo)・・・・・(1) 一方、前述の如く、MC型の一次晶炭化物は、単独晶と
して晶出するものと、共晶反応で形成されるものがあ
る。MC型炭化物の晶出温度と、上記の(1)式で表わ
される共晶炭化物の共晶温度との温度差をΔT(℃)と
すると、V,Si,N,Cが高い程、またW,Moが低
い程ΔT(℃)は大きくなることが知られている。通常
は、ΔT(℃)が大きい程、晶出するMC型炭化物が粗
大化し、被研削性などを低下させるといわれている。
even,A.E.Nehrenberg:Trans ASM57(1964)p.925]によれ
ば、各元素の重量%で以下に示す(1)式で表わされ
る。 TM6C(°F)=2310-200(%C)+40(%V)+8(%W)+5(%Mo)・・・・・(1) 一方、前述の如く、MC型の一次晶炭化物は、単独晶と
して晶出するものと、共晶反応で形成されるものがあ
る。MC型炭化物の晶出温度と、上記の(1)式で表わ
される共晶炭化物の共晶温度との温度差をΔT(℃)と
すると、V,Si,N,Cが高い程、またW,Moが低
い程ΔT(℃)は大きくなることが知られている。通常
は、ΔT(℃)が大きい程、晶出するMC型炭化物が粗
大化し、被研削性などを低下させるといわれている。
【0005】そのため水野等は、晶出する一次晶のMC
型炭化物を微細化する方策として、合金元素の調整によ
ってMC型炭化物の晶出温度とM2CまたはM6C炭化物
との晶出温度差ΔT(℃)を低めることを提案している
(電気製鋼、Vol.55,No.4,1984,P.225)。共晶状で形
成された一次晶の炭化物は、鋳造時にネットワーク状に
連結して形成され、また形状的にも連続不規則形状とな
る。このような鋳造組織の鋼塊から、機械的性質の優れ
た塑性加工用部材を得るためには、熱間加工等でこれら
の炭化物を破砕し、粒状晶化することが重要な条件とな
る。しかし、製品寸法との関係で加工比が十分に得られ
ない場合には、縞状(ストリーク,フック)組織とし
て、鍛伸材の長手方向に共晶炭化物が密集偏在した組織
となり、機械的性質が異方性を示す原因になる。
型炭化物を微細化する方策として、合金元素の調整によ
ってMC型炭化物の晶出温度とM2CまたはM6C炭化物
との晶出温度差ΔT(℃)を低めることを提案している
(電気製鋼、Vol.55,No.4,1984,P.225)。共晶状で形
成された一次晶の炭化物は、鋳造時にネットワーク状に
連結して形成され、また形状的にも連続不規則形状とな
る。このような鋳造組織の鋼塊から、機械的性質の優れ
た塑性加工用部材を得るためには、熱間加工等でこれら
の炭化物を破砕し、粒状晶化することが重要な条件とな
る。しかし、製品寸法との関係で加工比が十分に得られ
ない場合には、縞状(ストリーク,フック)組織とし
て、鍛伸材の長手方向に共晶炭化物が密集偏在した組織
となり、機械的性質が異方性を示す原因になる。
【0006】このような製品を塑性加工用部材などに使
用する場合、高速度鋼の破壊は一次晶炭化物と基地の界
面から発生するため、機械的性質が低下する。この問題
を解消するためには、一次晶炭化物量が少ない程、また
そのサイズが微細な程、さらには、これらの炭化物を鍛
伸材の長手方向に連続させないことが靭性を向上させる
うえで有効であり、一次晶炭化物量が少ないマトリック
スハイス、あるいは一次晶炭化物を超微細化した粉末ハ
イスが登場し、広く使用されている。
用する場合、高速度鋼の破壊は一次晶炭化物と基地の界
面から発生するため、機械的性質が低下する。この問題
を解消するためには、一次晶炭化物量が少ない程、また
そのサイズが微細な程、さらには、これらの炭化物を鍛
伸材の長手方向に連続させないことが靭性を向上させる
うえで有効であり、一次晶炭化物量が少ないマトリック
スハイス、あるいは一次晶炭化物を超微細化した粉末ハ
イスが登場し、広く使用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述のマトリックスハ
イスは、硬さが低く、鍛造比が十分とれない太径材の場
合、機械的性質の絶対値が不足する。一方、粉末ハイス
は製造コストが高くなり、一般用途には供しにくい難点
がある。また、従来から、高速度鋼の被研削性を改良す
る方策として、MC型炭化物のサイズを微細にするため
にNb、Ta、Ti等のMC型炭化物形成元素の添加量
を制限し、さらにNを低くすることでMC型の一次晶炭
化物をできるだけ低温側で晶出させることが知られてい
る。これは、MC型炭化物の晶出温度と、M6C型やM2
C型の共晶炭化物の晶出温度との温度差が小さくなり、
その結果、MC型炭化物の粗大化が防止されて微細化で
きるというものである。さらに、Ceなどの希土類元素
を添加してNと結合させると同様な効果があることも知
られている。
イスは、硬さが低く、鍛造比が十分とれない太径材の場
合、機械的性質の絶対値が不足する。一方、粉末ハイス
は製造コストが高くなり、一般用途には供しにくい難点
がある。また、従来から、高速度鋼の被研削性を改良す
る方策として、MC型炭化物のサイズを微細にするため
にNb、Ta、Ti等のMC型炭化物形成元素の添加量
を制限し、さらにNを低くすることでMC型の一次晶炭
化物をできるだけ低温側で晶出させることが知られてい
る。これは、MC型炭化物の晶出温度と、M6C型やM2
C型の共晶炭化物の晶出温度との温度差が小さくなり、
その結果、MC型炭化物の粗大化が防止されて微細化で
きるというものである。さらに、Ceなどの希土類元素
を添加してNと結合させると同様な効果があることも知
られている。
【0008】しかし、上記の方策でMC型炭化物の粗大
化が阻止できても、依然として、一次晶のM6C型やM2
C型の共晶炭化物の生成は避けられず、その後の均熱処
理でも共晶炭化物の大半は固溶させることができず、熱
間又は冷間加工によって縞状炭化物の偏析が起る問題は
解決されていなかった。本発明の目的は、従来材のこれ
らの欠点を是正すべく、全く新規な概念で、材料の高靭
性化と異方性の緩和を計った高速度鋼部材およびその製
造方法を提供することである。
化が阻止できても、依然として、一次晶のM6C型やM2
C型の共晶炭化物の生成は避けられず、その後の均熱処
理でも共晶炭化物の大半は固溶させることができず、熱
間又は冷間加工によって縞状炭化物の偏析が起る問題は
解決されていなかった。本発明の目的は、従来材のこれ
らの欠点を是正すべく、全く新規な概念で、材料の高靭
性化と異方性の緩和を計った高速度鋼部材およびその製
造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明者は、高速度鋼部材
の一次晶炭化物、つまり前述のMC型晶出炭化物やM6
C型、M2C型の共晶炭化物の生成条件、およびこれら
の一次晶炭化物と機械的性質との関係について詳細に検
討した。その結果、単独晶で晶出したMC型炭化物は、
比較的分散した状態で形成されるために、共晶炭化物の
晶出状態と比べて熱間加工後の分布が均一分散となり、
機械的性質を劣化させる傾向は大幅に緩和されることが
わかった。単結晶としてMC炭化物を晶出させるには、
ΔT(℃)が30℃以上あれば良く、これを満たすため
の組成条件を見出した。
の一次晶炭化物、つまり前述のMC型晶出炭化物やM6
C型、M2C型の共晶炭化物の生成条件、およびこれら
の一次晶炭化物と機械的性質との関係について詳細に検
討した。その結果、単独晶で晶出したMC型炭化物は、
比較的分散した状態で形成されるために、共晶炭化物の
晶出状態と比べて熱間加工後の分布が均一分散となり、
機械的性質を劣化させる傾向は大幅に緩和されることが
わかった。単結晶としてMC炭化物を晶出させるには、
ΔT(℃)が30℃以上あれば良く、これを満たすため
の組成条件を見出した。
【0010】そして、単独晶として晶出した一次晶のM
C型炭化物は、オーステナイト化後も未固溶炭化物とし
て残留し、高速度鋼部材に耐摩耗性を付与させ、かつオ
ーステナイト結晶粒の粗大化防止の観点からも重要な役
割を果たすことができること見出した。さらに、従来の
高速度鋼で必然的に生じていた融体(L)からγ+M6
CまたはM2Cへの共晶反応を抑制するのに適した化学
組成範囲にすることにより、また非平衡的に晶出した一
次晶のM6CまたはM2C型の炭化物の場合は、これを高
温の均質拡散処理等で強制的に基地中に固溶させること
でM6CまたはM2C型炭化物を一定限度以下に制限する
か、実質的に消失させ、MC型炭化物だけを基地中に分
散させることにより、機械的性質、とりわけ靭性値の絶
対値と異方性が大幅に改善された高靭性高速度鋼部材が
得られることを見出し本発明に至ったものである。
C型炭化物は、オーステナイト化後も未固溶炭化物とし
て残留し、高速度鋼部材に耐摩耗性を付与させ、かつオ
ーステナイト結晶粒の粗大化防止の観点からも重要な役
割を果たすことができること見出した。さらに、従来の
高速度鋼で必然的に生じていた融体(L)からγ+M6
CまたはM2Cへの共晶反応を抑制するのに適した化学
組成範囲にすることにより、また非平衡的に晶出した一
次晶のM6CまたはM2C型の炭化物の場合は、これを高
温の均質拡散処理等で強制的に基地中に固溶させること
でM6CまたはM2C型炭化物を一定限度以下に制限する
か、実質的に消失させ、MC型炭化物だけを基地中に分
散させることにより、機械的性質、とりわけ靭性値の絶
対値と異方性が大幅に改善された高靭性高速度鋼部材が
得られることを見出し本発明に至ったものである。
【0011】すなわち、本発明の第1発明は、焼入れ焼
もどし後の硬化状態のNb無添加またはNbを2.0%未満で
含有する高速度鋼部材であって、前記高速度鋼部材の組
織中の一次晶炭化物のうち、M6C型とM2C型の1種ま
たは2種の合計が全体に対する面積率で皆無かまたは合
計2%以下、残部が実質的にMC型の一次晶炭化物から
なることを特徴とする高靭性高速度鋼部材である。第2
発明は、焼入れ焼もどし後の硬化状態のNb無添加また
はNbを2.0%未満で含有する高速度鋼部材であって、前
記高速度鋼部材の組織中の一次晶炭化物のうち、M6C
型とM2C型の1種または2種の合計が全体に対する面
積率で皆無かまたは合計2%以下、残部が実質的にMC
型の一次晶炭化物からなり、前記MC型炭化物の晶出温
度と、M6C型またはM2C型共晶炭化物の共晶温度との
温度差が30℃以上であり、一次晶のMC型炭化物が非
共晶的凝固組織を有する高靭性高速度鋼部材である。前
記の本発明の炭化物分布の構成をとれば高速度鋼部材の
硬さがHRC60以上であり、かつ鍛伸材の長手方向
と、それに垂直な方向のシャルピー衝撃値の比が0.7
以上とすることができる。
もどし後の硬化状態のNb無添加またはNbを2.0%未満で
含有する高速度鋼部材であって、前記高速度鋼部材の組
織中の一次晶炭化物のうち、M6C型とM2C型の1種ま
たは2種の合計が全体に対する面積率で皆無かまたは合
計2%以下、残部が実質的にMC型の一次晶炭化物から
なることを特徴とする高靭性高速度鋼部材である。第2
発明は、焼入れ焼もどし後の硬化状態のNb無添加また
はNbを2.0%未満で含有する高速度鋼部材であって、前
記高速度鋼部材の組織中の一次晶炭化物のうち、M6C
型とM2C型の1種または2種の合計が全体に対する面
積率で皆無かまたは合計2%以下、残部が実質的にMC
型の一次晶炭化物からなり、前記MC型炭化物の晶出温
度と、M6C型またはM2C型共晶炭化物の共晶温度との
温度差が30℃以上であり、一次晶のMC型炭化物が非
共晶的凝固組織を有する高靭性高速度鋼部材である。前
記の本発明の炭化物分布の構成をとれば高速度鋼部材の
硬さがHRC60以上であり、かつ鍛伸材の長手方向
と、それに垂直な方向のシャルピー衝撃値の比が0.7
以上とすることができる。
【0012】本発明でいうNb無添加またはNbを2.0%
未満で含有する高速度鋼部材の具体的な組成としては、
高速度鋼部材が、重量%でC0.5〜2.0%、Si
2.0%以下、Mn1.5%以下、Cr3.5%〜6.
0%、Mo3.0〜6.0%を含み、V5.0%以下と
Nb2.0%未満の1種または2種を合計で0.5%以
上、N0.02〜0.07%含有し、残部がFeおよび
不可避的不純物からなるの、または高速度鋼部材が、重
量%でC0.5〜2.0%、Si2.0%以下、Mn
1.5%以下、Cr3.5%〜6.0%、W2.0%以
下、Mo3.0〜6.0%を含み、V5.0%以下とN
b2.0%未満の1種または2種を合計で0.5%以
上、N0.02〜0.07%含有し、残部がFeおよび
不可避的不純物からなるものが推奨される。また、上記
の具体的な組成において、Feの一部を必要に応じてC
o12.0%以下,Ti0.10%以下の範囲内で適宜
置換することができる。
未満で含有する高速度鋼部材の具体的な組成としては、
高速度鋼部材が、重量%でC0.5〜2.0%、Si
2.0%以下、Mn1.5%以下、Cr3.5%〜6.
0%、Mo3.0〜6.0%を含み、V5.0%以下と
Nb2.0%未満の1種または2種を合計で0.5%以
上、N0.02〜0.07%含有し、残部がFeおよび
不可避的不純物からなるの、または高速度鋼部材が、重
量%でC0.5〜2.0%、Si2.0%以下、Mn
1.5%以下、Cr3.5%〜6.0%、W2.0%以
下、Mo3.0〜6.0%を含み、V5.0%以下とN
b2.0%未満の1種または2種を合計で0.5%以
上、N0.02〜0.07%含有し、残部がFeおよび
不可避的不純物からなるものが推奨される。また、上記
の具体的な組成において、Feの一部を必要に応じてC
o12.0%以下,Ti0.10%以下の範囲内で適宜
置換することができる。
【0013】本発明の方法は、重量%でC0.5〜2.
0%、Si2.0%以下、Mn1.5%以下、Cr3.
5%〜6.0%、Mo3.0〜6.0%を含み、V5.
0%以下とNb2.0%未満の1種または2種を合計で
0.5%以上、N0.02〜0.07%含有し、残部が
Feおよび不可避的不純物からなる鋼を熱間加工前、あ
るいは熱間加工の途中で1100〜1200℃の均質拡
散処理を行なうことを特徴とする高靭性高速度鋼部材の
製造方法である。この製造方法は、組成が重量%でC
0.5〜2.0%、Si2.0%以下、Mn1.5%以
下、Cr3.5%〜6.0%、W2.0%以下、Mo
3.0〜6.0%を含み、V5.0%以下とNb2.0
%未満の1種または2種を合計で0.5%以上、N0.
02〜0.07%含有し、残部がFeおよび不可避的不
純物からなる鋼にも適用可能である。
0%、Si2.0%以下、Mn1.5%以下、Cr3.
5%〜6.0%、Mo3.0〜6.0%を含み、V5.
0%以下とNb2.0%未満の1種または2種を合計で
0.5%以上、N0.02〜0.07%含有し、残部が
Feおよび不可避的不純物からなる鋼を熱間加工前、あ
るいは熱間加工の途中で1100〜1200℃の均質拡
散処理を行なうことを特徴とする高靭性高速度鋼部材の
製造方法である。この製造方法は、組成が重量%でC
0.5〜2.0%、Si2.0%以下、Mn1.5%以
下、Cr3.5%〜6.0%、W2.0%以下、Mo
3.0〜6.0%を含み、V5.0%以下とNb2.0
%未満の1種または2種を合計で0.5%以上、N0.
02〜0.07%含有し、残部がFeおよび不可避的不
純物からなる鋼にも適用可能である。
【0014】また前記の製造方法が対象とする鋼の組成
のうち、Feの一部を必要に応じてCo12.0%以
下、Ti0.10%以下の範囲内で適宜置換することが
できる。
のうち、Feの一部を必要に応じてCo12.0%以
下、Ti0.10%以下の範囲内で適宜置換することが
できる。
【0015】
【作用】発明者は、MC型炭化物の晶出温度を下げてΔ
T(℃)を小さくさせようとする従来の考え方とは全く
逆にΔT(℃)を拡大させ、凝固過程でMC型炭化物を
粒状に晶出させ、続いて共晶反応によって晶出する一次
晶のM6C型やM2C型の共晶炭化物を多くとも2%以内
に制限し、実質的に消失させることでMC型炭化物に若
干の粗大化は伴うものの、機械的性質、とりわけ靭性の
異方性が緩和されることを新たに見出したものである。
T(℃)を小さくさせようとする従来の考え方とは全く
逆にΔT(℃)を拡大させ、凝固過程でMC型炭化物を
粒状に晶出させ、続いて共晶反応によって晶出する一次
晶のM6C型やM2C型の共晶炭化物を多くとも2%以内
に制限し、実質的に消失させることでMC型炭化物に若
干の粗大化は伴うものの、機械的性質、とりわけ靭性の
異方性が緩和されることを新たに見出したものである。
【0016】本発明の高速度鋼部材に高靭性を付与させ
るための基本的な要件である、焼入れ焼もどし後の硬化
状態の組織における一次晶炭化物の構成には、後述する
合金組成の適正な組合せが好適である。すなわち、組織
中に一次晶のMC型炭化物を晶出させるためにVとNb
の1種または2種を適量含有させるとともに、M6Cま
たはM2Cの共晶炭化物の主な形成元素であるMo,また
はMoとWを実質的に共晶反応が起らない範囲で添加す
るのが好ましい。高速度鋼部材の一次晶炭化物のうち、
M6C型とM2C型の1種または2種の合計が全体に対す
る面積率で2%を越えると、本発明の目的とする機械的
性質の異方性が顕著になるため、その上限を2%に限定
する。好ましくは、上記一次晶の共晶炭化物が皆無の組
織である。
るための基本的な要件である、焼入れ焼もどし後の硬化
状態の組織における一次晶炭化物の構成には、後述する
合金組成の適正な組合せが好適である。すなわち、組織
中に一次晶のMC型炭化物を晶出させるためにVとNb
の1種または2種を適量含有させるとともに、M6Cま
たはM2Cの共晶炭化物の主な形成元素であるMo,また
はMoとWを実質的に共晶反応が起らない範囲で添加す
るのが好ましい。高速度鋼部材の一次晶炭化物のうち、
M6C型とM2C型の1種または2種の合計が全体に対す
る面積率で2%を越えると、本発明の目的とする機械的
性質の異方性が顕著になるため、その上限を2%に限定
する。好ましくは、上記一次晶の共晶炭化物が皆無の組
織である。
【0017】本発明によれば、MC型炭化物の晶出温度
と、M6C型またはM2C型の共晶炭化物の晶出温度との
温度差が30℃以上になると、単独晶のMC型炭化物が
粒状に晶出し易くなり、高速度鋼材の異方性を緩和させ
る効果が大きくなり好ましいものとなる。これに対し
て、温度差が30℃未満では、MC型炭化物が共晶状に
形成される量が多くなり、その後の熱処理や加工ではこ
の共晶状に形成されたMC型炭化物を十分消失させるこ
とができなくなり、特に靭性の異方性を大きくする原因
になる。そのため、MC型炭化物の晶出温度と、M6C
型またはM2C型の共晶炭化物の晶出温度との温度差を
30℃以上とすることが望ましい。
と、M6C型またはM2C型の共晶炭化物の晶出温度との
温度差が30℃以上になると、単独晶のMC型炭化物が
粒状に晶出し易くなり、高速度鋼材の異方性を緩和させ
る効果が大きくなり好ましいものとなる。これに対し
て、温度差が30℃未満では、MC型炭化物が共晶状に
形成される量が多くなり、その後の熱処理や加工ではこ
の共晶状に形成されたMC型炭化物を十分消失させるこ
とができなくなり、特に靭性の異方性を大きくする原因
になる。そのため、MC型炭化物の晶出温度と、M6C
型またはM2C型の共晶炭化物の晶出温度との温度差を
30℃以上とすることが望ましい。
【0018】また、高速度鋼部材の硬さは、HRC60
未満では塑性加工用部材として 耐摩耗性が不足するた
め、焼入れ焼もどし後の硬化状態でHRC60以上であ
ることが望ましい。高速度鋼部材の焼入れ焼もどし後の
硬化状態で、その硬さをHRC60以上とするには、基
地中にW当量で表されるW+2Mo(重量%)の値で6
%以上固溶させることが望ましい。さらに、本発明の焼
入れ焼もどし後の高速度鋼部材は、鍛造や圧延などによ
って、断面を減縮しつつ伸ばされた鍛伸材の長手方向
と、それに垂直な方向のシャルピー衝撃値の比が0.7
未満では目的とする特性を達成することができなくなる
ため、シャルピー衝撃値の比を0.7以上にすることが
好ましい。この値は、本発明の製造方法を採用すること
により達成される。
未満では塑性加工用部材として 耐摩耗性が不足するた
め、焼入れ焼もどし後の硬化状態でHRC60以上であ
ることが望ましい。高速度鋼部材の焼入れ焼もどし後の
硬化状態で、その硬さをHRC60以上とするには、基
地中にW当量で表されるW+2Mo(重量%)の値で6
%以上固溶させることが望ましい。さらに、本発明の焼
入れ焼もどし後の高速度鋼部材は、鍛造や圧延などによ
って、断面を減縮しつつ伸ばされた鍛伸材の長手方向
と、それに垂直な方向のシャルピー衝撃値の比が0.7
未満では目的とする特性を達成することができなくなる
ため、シャルピー衝撃値の比を0.7以上にすることが
好ましい。この値は、本発明の製造方法を採用すること
により達成される。
【0019】以下に本発明の高速度鋼部材を構成する好
ましい化学組成の限定理由について述べる。Cは基地の
マルテンサイト硬化の他にCr、W、Mo、V等の焼も
どし析出炭化物へのCの供給源および残留するMC型炭
化物のCの供給源あるいはMC型炭化物の晶出温度を高
める硬化があり、必須の元素である。最高C量は他元素
の添加量に応じて適宜決定されるべきで、後述する本発
明のCr、W、Mo、V、Nb等の含有量との関係にお
いて下限0.5%、上限2.0%とするのが良い。
ましい化学組成の限定理由について述べる。Cは基地の
マルテンサイト硬化の他にCr、W、Mo、V等の焼も
どし析出炭化物へのCの供給源および残留するMC型炭
化物のCの供給源あるいはMC型炭化物の晶出温度を高
める硬化があり、必須の元素である。最高C量は他元素
の添加量に応じて適宜決定されるべきで、後述する本発
明のCr、W、Mo、V、Nb等の含有量との関係にお
いて下限0.5%、上限2.0%とするのが良い。
【0020】Siは脱酸剤として用いられるが、MC型
炭化物の晶出温度を高める効果があり、さらに焼もどし
硬さの向上にも寄与する反面、Siが2.0%を越える
と、靭性を著しく低下させる。本発明の目的とする高靭
性に対しては低いほど好ましいが、必要とする硬さに応
じて適宜添加量を2.0%以下で選択すれば良い。Mn
は脱酸効果を有するため1.5以下にする。Crは部材
の焼入れ性向上のために従来の高速度鋼と同一の考え方
でも必須元素である。3.5%未満では焼入れ性に劣
り、6.0%を越えると硬さの絶対値が低下するので
3.5〜6.0%とする。
炭化物の晶出温度を高める効果があり、さらに焼もどし
硬さの向上にも寄与する反面、Siが2.0%を越える
と、靭性を著しく低下させる。本発明の目的とする高靭
性に対しては低いほど好ましいが、必要とする硬さに応
じて適宜添加量を2.0%以下で選択すれば良い。Mn
は脱酸効果を有するため1.5以下にする。Crは部材
の焼入れ性向上のために従来の高速度鋼と同一の考え方
でも必須元素である。3.5%未満では焼入れ性に劣
り、6.0%を越えると硬さの絶対値が低下するので
3.5〜6.0%とする。
【0021】Moは本発明において、焼もどし時のMo
2Cの二次硬化の主因となる析出炭化物への供給源とし
て3.0〜6.0%添加するが、従来の高速度鋼と異な
り、本発明では一次晶炭化物の生成にはほとんど必要が
ない。3.0%未満では上記の効果が少なく、また6.
0%を越える添加は、共晶炭化物の平衡論的な晶出限界
を越える ため、Moの含有量を3.0〜6.0%にす
る。WはMoと同様な効果を有するが、本発明の高速度
鋼部材には必ずしも添加しなくてもよく、必要に応じて
2.0%以下の範囲で含有することができる。
2Cの二次硬化の主因となる析出炭化物への供給源とし
て3.0〜6.0%添加するが、従来の高速度鋼と異な
り、本発明では一次晶炭化物の生成にはほとんど必要が
ない。3.0%未満では上記の効果が少なく、また6.
0%を越える添加は、共晶炭化物の平衡論的な晶出限界
を越える ため、Moの含有量を3.0〜6.0%にす
る。WはMoと同様な効果を有するが、本発明の高速度
鋼部材には必ずしも添加しなくてもよく、必要に応じて
2.0%以下の範囲で含有することができる。
【0022】VとNbは同じMC型炭化物の生成傾向が
極めて強いことにおいて類似する。それぞれVC、Nb
Cの一次晶炭化物を晶出するが、NbCは1300℃以
下のオーステナイト化では基地中にほとんど固溶できな
いのに対して、VCは1100℃以上でかなり固溶度を
有する。VとNbはMC型の炭化物を晶出し、本発明の
高速度鋼部材の耐摩耗性を高め、同時に結晶粒の阻大化
防止に有効である。VとNbが単独または複合で0.5
%未満では上記効果が得られないため、その含有量が
0.5%以上とすることが望ましい。さらに、Vが5.
0%を越えると、またNbが2.0%以上ではMC型炭
化物が粗大化して目的とする靭性が損なわれるため、V
とNb含有量をそれぞれ5.0%以下、2.0%未満に
する。
極めて強いことにおいて類似する。それぞれVC、Nb
Cの一次晶炭化物を晶出するが、NbCは1300℃以
下のオーステナイト化では基地中にほとんど固溶できな
いのに対して、VCは1100℃以上でかなり固溶度を
有する。VとNbはMC型の炭化物を晶出し、本発明の
高速度鋼部材の耐摩耗性を高め、同時に結晶粒の阻大化
防止に有効である。VとNbが単独または複合で0.5
%未満では上記効果が得られないため、その含有量が
0.5%以上とすることが望ましい。さらに、Vが5.
0%を越えると、またNbが2.0%以上ではMC型炭
化物が粗大化して目的とする靭性が損なわれるため、V
とNb含有量をそれぞれ5.0%以下、2.0%未満に
する。
【0023】Nは、ΔT(℃)を拡大させる有効な元素
で0.02〜0.07%の範囲内で添加する。Nの含有
量が0.02%未満では、上記の効果が得られず、逆に
0.07%を越えて含有するとMC型炭化物が巨大にな
り過ぎて、かえって靭性を低下させる原因になるため、
Nの範囲を0.02〜0.07%とする。Coの含有は
従来の高速度工具鋼と同一効果を有し、含有量が多くな
ると焼もどし硬さが増加する。しかし、12.0%を越
えて添加すると熱間加工性を損なうため、製品として所
望する硬さに応じて12.0%以下の範囲で任意選択で
きる。Tiは、Nと同様にΔT(℃)を拡大させる効果
があり、必要に応じて0.10%以下の範囲内で添加す
る。Tiの含有量が0.10%を越えると、MC型炭化
物が巨大になり過ぎて、靭性を低下させる原因になるた
め、Tiの添加量を0.10%以下とする。なお、Ti
とNは複合添加により、MC型炭化物が凝固する際に微
細に晶出する効果もある。
で0.02〜0.07%の範囲内で添加する。Nの含有
量が0.02%未満では、上記の効果が得られず、逆に
0.07%を越えて含有するとMC型炭化物が巨大にな
り過ぎて、かえって靭性を低下させる原因になるため、
Nの範囲を0.02〜0.07%とする。Coの含有は
従来の高速度工具鋼と同一効果を有し、含有量が多くな
ると焼もどし硬さが増加する。しかし、12.0%を越
えて添加すると熱間加工性を損なうため、製品として所
望する硬さに応じて12.0%以下の範囲で任意選択で
きる。Tiは、Nと同様にΔT(℃)を拡大させる効果
があり、必要に応じて0.10%以下の範囲内で添加す
る。Tiの含有量が0.10%を越えると、MC型炭化
物が巨大になり過ぎて、靭性を低下させる原因になるた
め、Tiの添加量を0.10%以下とする。なお、Ti
とNは複合添加により、MC型炭化物が凝固する際に微
細に晶出する効果もある。
【0024】量産規模から得られる鋼塊の鋳造組織で
は、非平衡状態で凝固し易く、高速度鋼の場合では平衡
論的に形成される一次晶炭化物の量よりは多く存在す
る。平衡論的に残存する共晶炭化物は、その後の熱処理
や加工によって消失させることはできないが、非平衡的
に晶出するM6C型やM2C型の共晶炭化物は、高温の均
質拡散処理によって基地中に強制固溶させることができ
る。均質拡散処理の時期は、表面積が小さい鋼塊かまた
は熱間加工途中のうちの初期の段階で実施するのが望ま
しい。また、均質拡散処理温度は、1100℃未満では
効果がなく、逆に1200℃を越えると共晶炭化物の一
部が再溶融して、その後の熱間加工性を損なうため、1
100〜1200℃で行なうのがよい。
は、非平衡状態で凝固し易く、高速度鋼の場合では平衡
論的に形成される一次晶炭化物の量よりは多く存在す
る。平衡論的に残存する共晶炭化物は、その後の熱処理
や加工によって消失させることはできないが、非平衡的
に晶出するM6C型やM2C型の共晶炭化物は、高温の均
質拡散処理によって基地中に強制固溶させることができ
る。均質拡散処理の時期は、表面積が小さい鋼塊かまた
は熱間加工途中のうちの初期の段階で実施するのが望ま
しい。また、均質拡散処理温度は、1100℃未満では
効果がなく、逆に1200℃を越えると共晶炭化物の一
部が再溶融して、その後の熱間加工性を損なうため、1
100〜1200℃で行なうのがよい。
【0025】強制固溶させたMoやWは、その分基地中
の濃度を増し、焼もどしにおける軟化抵抗を高め、高速
度鋼部材の硬さや機械的性質の絶対値を上昇させるのに
役立つ。上記効果は、本発明の望ましい組成範囲で特に
有効で、不適当な組成の場合には、均質拡散処理地に炭
化物のオストワルド成長が起り、逆に炭化物の粗大化に
より硬さや機械的性質が低下することがある。
の濃度を増し、焼もどしにおける軟化抵抗を高め、高速
度鋼部材の硬さや機械的性質の絶対値を上昇させるのに
役立つ。上記効果は、本発明の望ましい組成範囲で特に
有効で、不適当な組成の場合には、均質拡散処理地に炭
化物のオストワルド成長が起り、逆に炭化物の粗大化に
より硬さや機械的性質が低下することがある。
【0026】
【実施例】以下に本発明の実施例について詳述する。 (実施例1)本発明の高速度鋼部材に用いた化学成分、
および従来鋼の化学成分を表1に示す。供試料は50kg
の研究用小鋼塊を用い、1140℃の温度に加熱して、
鍛造比が10に相当する60mm角まで熱間鍛造を行な
った。鍛造後の供試材から10gの小試験片をそれぞれ
削り出し、示差熱分析計を用いて、凝固時のMC型炭化
物の晶出温度と、M6C、M2C型共晶炭化物の晶出温度
をそれぞれ測定した。得られたMC型炭化物の晶出温度
と、M6C、M2C型共晶炭化物の晶出温度との差を求
め、その値をΔT(℃)として、表2に示した。測定方
法は、1450℃に加熱して溶融し、その後平均冷却速
度を10℃/minで冷却し、その冷却過程で発生する
発熱、吸熱変動より求めた。
および従来鋼の化学成分を表1に示す。供試料は50kg
の研究用小鋼塊を用い、1140℃の温度に加熱して、
鍛造比が10に相当する60mm角まで熱間鍛造を行な
った。鍛造後の供試材から10gの小試験片をそれぞれ
削り出し、示差熱分析計を用いて、凝固時のMC型炭化
物の晶出温度と、M6C、M2C型共晶炭化物の晶出温度
をそれぞれ測定した。得られたMC型炭化物の晶出温度
と、M6C、M2C型共晶炭化物の晶出温度との差を求
め、その値をΔT(℃)として、表2に示した。測定方
法は、1450℃に加熱して溶融し、その後平均冷却速
度を10℃/minで冷却し、その冷却過程で発生する
発熱、吸熱変動より求めた。
【0027】熱間鍛造後の供試材は焼なまし後に各種試
験片を削り出した。シャルピー衝撃試験片は10mm×
10mm×55mm(10RCノッチ)の形状とし、鍛
造方向(L)と、鍛造方向に垂直な方向(T)とから、
それぞれ採取した。なお、試験片は粗削り形状に機械加
工した後、焼入れ温度をM6C、M2C型の共晶炭化物の
晶出温度より40℃低い温度とし、油冷後、560℃で
1時間の焼もどし処理を2〜3回実施した後、所定の寸
法に仕上加工した。また、シャルピー衝撃試験後の試験
片を用いて、MC型の一次晶炭化物、M6C、M2C型の
一次晶炭化物を分別腐食後、画像処理計で測定し、それ
ぞれの一次晶炭化物の面積率を求め、その結果を表2に
示した。
験片を削り出した。シャルピー衝撃試験片は10mm×
10mm×55mm(10RCノッチ)の形状とし、鍛
造方向(L)と、鍛造方向に垂直な方向(T)とから、
それぞれ採取した。なお、試験片は粗削り形状に機械加
工した後、焼入れ温度をM6C、M2C型の共晶炭化物の
晶出温度より40℃低い温度とし、油冷後、560℃で
1時間の焼もどし処理を2〜3回実施した後、所定の寸
法に仕上加工した。また、シャルピー衝撃試験後の試験
片を用いて、MC型の一次晶炭化物、M6C、M2C型の
一次晶炭化物を分別腐食後、画像処理計で測定し、それ
ぞれの一次晶炭化物の面積率を求め、その結果を表2に
示した。
【0028】表2に示すように、従来鋼のΔT(℃)は
30℃未満であり、これに対し本発明鋼部材はすべて3
5℃以上であり、なかでもΔT(℃)が高いものは最高
110℃の差がある。これはTiとNとの複合微量添加
によるところが大きい。共晶反応によって形成されるM
6C型とM2C型炭化物の一次晶の面積率のうち、本発明
鋼部材はいずれも1.5%以下であり、本発明の特徴の
一つである面積率2%以下を満足していることがわか
る。MC型炭化物の面積率は、鋼中のVやNbの含有量
と密接な関係があり、VおよびまたはNbの添加量の増
加と共に漸増する。図1と図2に本発明鋼部材 RV6
93と従来鋼(マトリックス鋼A)の焼入れ、焼もどし
後のミクロ組織を示す。
30℃未満であり、これに対し本発明鋼部材はすべて3
5℃以上であり、なかでもΔT(℃)が高いものは最高
110℃の差がある。これはTiとNとの複合微量添加
によるところが大きい。共晶反応によって形成されるM
6C型とM2C型炭化物の一次晶の面積率のうち、本発明
鋼部材はいずれも1.5%以下であり、本発明の特徴の
一つである面積率2%以下を満足していることがわか
る。MC型炭化物の面積率は、鋼中のVやNbの含有量
と密接な関係があり、VおよびまたはNbの添加量の増
加と共に漸増する。図1と図2に本発明鋼部材 RV6
93と従来鋼(マトリックス鋼A)の焼入れ、焼もどし
後のミクロ組織を示す。
【0029】本発明鋼部材はほぼ球形の粒状MC型炭化
物が分散した組織となっており、ネット状のM6C型ま
たはM2C型共晶炭化物がほぼ消失した組織を呈してい
ることがわかる。さらに本発明鋼部材の焼入れ、焼もど
し後の熱処理硬さはHRC60以上の硬さを示してい
る。また、本発明鋼部材の最大の特徴のひとつは、加工
方向と、これに垂直な方向の機械的性質、代表的には衝
撃値のT/L比が従来鋼対比で圧倒的に高いことがあげ
られる。T/L比が鍛造比10でかかる高値を示すこと
は、一次晶炭化物が残存する鋼では画期的と思われる。
本発明鋼部材は、T/L比が0.7以上で、高い値のも
のは0.85にも達する場合がある。そのうえ、機械的
性質の絶対値がL,T方向のいずれも硬さに比較して高
いことも特徴の一つである。
物が分散した組織となっており、ネット状のM6C型ま
たはM2C型共晶炭化物がほぼ消失した組織を呈してい
ることがわかる。さらに本発明鋼部材の焼入れ、焼もど
し後の熱処理硬さはHRC60以上の硬さを示してい
る。また、本発明鋼部材の最大の特徴のひとつは、加工
方向と、これに垂直な方向の機械的性質、代表的には衝
撃値のT/L比が従来鋼対比で圧倒的に高いことがあげ
られる。T/L比が鍛造比10でかかる高値を示すこと
は、一次晶炭化物が残存する鋼では画期的と思われる。
本発明鋼部材は、T/L比が0.7以上で、高い値のも
のは0.85にも達する場合がある。そのうえ、機械的
性質の絶対値がL,T方向のいずれも硬さに比較して高
いことも特徴の一つである。
【0030】(実施例2)表1に示す供試材のうち、低
CのSKH51とRV693およびRV695の3鋼種
に対して鋼塊の段階で1180℃×20Hrの均質拡散
処理(ソーキング)を施し、その後は、実施例1と同じ
要領で熱間鍛造を行ない、同様な方法で試験を実施し、
均熱拡散処理を行なわなかった表2の結果と比較した。
表3は、均熱拡散処理を施した供試材から得られた結果
を示したもので、低CのSKH51は均質拡散処理によ
って、逆にわずかながら一次晶炭化物の面積率が増加す
る傾向が認められた。これは、平衡論的に見ても一次晶
炭化物が消失できない組成のため、逆に高温の保持で炭
化物のオストワルド成長によって炭化物がやや粗大化
し、硬さが若干低下することによって機械的性質の絶対
値も低下している。
CのSKH51とRV693およびRV695の3鋼種
に対して鋼塊の段階で1180℃×20Hrの均質拡散
処理(ソーキング)を施し、その後は、実施例1と同じ
要領で熱間鍛造を行ない、同様な方法で試験を実施し、
均熱拡散処理を行なわなかった表2の結果と比較した。
表3は、均熱拡散処理を施した供試材から得られた結果
を示したもので、低CのSKH51は均質拡散処理によ
って、逆にわずかながら一次晶炭化物の面積率が増加す
る傾向が認められた。これは、平衡論的に見ても一次晶
炭化物が消失できない組成のため、逆に高温の保持で炭
化物のオストワルド成長によって炭化物がやや粗大化
し、硬さが若干低下することによって機械的性質の絶対
値も低下している。
【0031】これに対して、本発明鋼部材は、組成的に
均質拡散処理を行なわない状態で共晶炭化物が0.7%
以下と少なく、均質拡散処理によって非平衡状態で晶出
していたM6C型やM2C型の共晶炭化物が基地中に固溶
し、実質的に消失したものである。この場合、基地中の
合金元素量が炭化物の固溶により濃化し、焼もどし硬さ
がやや上昇して機械的性質の絶対値が向上するとともに
異方性がさらに緩和されることが判明した。
均質拡散処理を行なわない状態で共晶炭化物が0.7%
以下と少なく、均質拡散処理によって非平衡状態で晶出
していたM6C型やM2C型の共晶炭化物が基地中に固溶
し、実質的に消失したものである。この場合、基地中の
合金元素量が炭化物の固溶により濃化し、焼もどし硬さ
がやや上昇して機械的性質の絶対値が向上するとともに
異方性がさらに緩和されることが判明した。
【0032】(実施例3)実施例1に用いた本発明鋼部
材RV695の化学成分に相当する鋼を量産規模で製造
し、200mm丸の素材に熱間鍛造した。また、比較材
として同じ量産規模で製造した低CのSKH51(実施
例1と同等組成)200mm丸素材から深溝成形用の転
造ダイスを製作し実用性能を比較した。熱処理条件は、
RV695相当鋼には1120℃で焼入れした後、56
0℃で焼もどし処理を行ない、その硬さはHRC62.
2であった。また、低CのSKH51相当鋼には115
0℃で焼入した後、560℃で焼もどし処理を行ない、
その硬さはHRC63.3であった。転造ダイスによる
実用性能試験は、成形荷重が6トンで成形速度を6m/
secとした。寿命判定は被加工材に転写される工具の
割れ疵が発生するまでの成形個数で評価した。実用性能
試験を実施した結果、低CのSKH51は275個で割
れが発生し、本発明鋼部材は、42,000個の成形が
可能であった。
材RV695の化学成分に相当する鋼を量産規模で製造
し、200mm丸の素材に熱間鍛造した。また、比較材
として同じ量産規模で製造した低CのSKH51(実施
例1と同等組成)200mm丸素材から深溝成形用の転
造ダイスを製作し実用性能を比較した。熱処理条件は、
RV695相当鋼には1120℃で焼入れした後、56
0℃で焼もどし処理を行ない、その硬さはHRC62.
2であった。また、低CのSKH51相当鋼には115
0℃で焼入した後、560℃で焼もどし処理を行ない、
その硬さはHRC63.3であった。転造ダイスによる
実用性能試験は、成形荷重が6トンで成形速度を6m/
secとした。寿命判定は被加工材に転写される工具の
割れ疵が発生するまでの成形個数で評価した。実用性能
試験を実施した結果、低CのSKH51は275個で割
れが発生し、本発明鋼部材は、42,000個の成形が
可能であった。
【0033】
【発明の効果】以上の如く、本発明鋼は、高速度鋼の合
金組成を有しながら従来にない共晶炭化物を実質的に含
有しない高速度鋼部材という全く新しい組織概念に基づ
いて発明されたのである。つまり、一次晶炭化物のう
ち、MC型炭化物だけが均一に分散した組織とすること
で、HRC60以上の硬さと、最高のシャルピー衝撃値
を有し、さらに鍛伸材の長手方向と、それに垂直な方向
のシャルピー衝撃値の比が0.7以上が得られるなど高
靭性高速度鋼部材として極めて有意な材料である。
金組成を有しながら従来にない共晶炭化物を実質的に含
有しない高速度鋼部材という全く新しい組織概念に基づ
いて発明されたのである。つまり、一次晶炭化物のう
ち、MC型炭化物だけが均一に分散した組織とすること
で、HRC60以上の硬さと、最高のシャルピー衝撃値
を有し、さらに鍛伸材の長手方向と、それに垂直な方向
のシャルピー衝撃値の比が0.7以上が得られるなど高
靭性高速度鋼部材として極めて有意な材料である。
【図1】本発明鋼部材 RV693の焼入れ、焼もどし
後の金属ミクロ組織を示す図である。
後の金属ミクロ組織を示す図である。
【図2】従来鋼(マトリックス鋼A)の焼入れ、焼もど
し後の金属ミクロ組織を示す図である。
し後の金属ミクロ組織を示す図である。
【表1】
【表2】
【表3】
Claims (11)
- 【請求項1】 焼入れ焼もどし後の硬化状態のNb無添
加またはNbを2.0%未満で含有する高速度鋼部材であっ
て、前記高速度鋼部材の組織中の一次晶炭化物のうち、
M6C型とM2C型の1種または2種の合計が全体に対す
る面積率で皆無かまたは2%以下、残部が実質的にMC
型の一次晶炭化物からなることを特徴とする高靭性高速
度鋼部材。 - 【請求項2】 MC型炭化物の晶出温度と、M6C型ま
たはM2C型共晶炭化物の晶出温度との温度差が30℃
以上であり、一次晶のMC型炭化物が非共晶的凝固組織
を有する請求項1に記載の高靭性高速度鋼部材。 - 【請求項3】 高速度鋼部材の硬さがHRC60以上で
あり、かつ鍛伸材の長手方向と、それに垂直な方向のシ
ャルピー衝撃値の比が0.7以上である請求項1または
2に記載の高靭性高速度鋼部材。 - 【請求項4】 高速度鋼部材が、重量%でC0.5〜
2.0%、Si2.0%以下、Mn1.5%以下、Cr
3.5%〜6.0%、Mo3.0〜6.0%を含み、V
5.0%以下とNb2.0%未満の1種または2種を合
計で0.5%以上、N0.02〜0.07%含有し、残
部がFeおよび不可避的不純物からなる請求項1ないし
3のいずれかに記載の高靭性高速度鋼部材。 - 【請求項5】 高速度鋼部材が、重量%でC0.5〜
2.0%、Si2.0%以下、Mn1.5%以下、Cr
3.5%〜6.0%、W2.0%以下、Mo3.0〜
6.0%を含み、V5.0%以下とNb2.0%未満の
1種または2種を合計で0.5%以上、N0.02〜
0.07%含有し、残部がFeおよび不可避的不純物か
らなる請求項1ないし3のいずれかに記載の高靭性高速
度鋼部材。 - 【請求項6】 Feの一部をCo12.0%以下で置換
した請求項4または5に記載の高靭性高速度鋼部材。 - 【請求項7】 Feの一部をTi0.10%以下で置換
した請求項4ないし6のいずれかに記載の高靭性高速度
鋼部材。 - 【請求項8】 重量%でC0.5〜2.0%、Si2.
0%以下、Mn1.5%以下、Cr3.5%〜6.0
%、Mo3.0〜6.0%を含み、V5.0%以下とN
b2.0%未満の1種または2種を合計で0.5%以
上、N0.02〜0.07%含有し、残部がFeおよび
不可避的不純物からなる鋼を熱間加工前、あるいは熱間
加工の途中で1100〜1200℃の均質拡散処理を行
なうことを特徴とする高靭性高速度鋼部材の製造方法。 - 【請求項9】 重量%でC0.5〜2.0%、Si2.
0%以下、Mn1.5%以下、Cr3.5%〜6.0
%、W2.0%以下、Mo3.0〜6.0%を含み、V
5.0%以下とNb2.0%未満の1種または2種を合
計で0.5%以上、N0.02〜0.07%含有し、残
部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を熱間加工
前、あるいは熱間加工の途中で1100〜1200℃の
均質拡散処理を行なうことを特徴とする高靭性高速度鋼
部材の製造方法。 - 【請求項10】 Feの一部をCo12.0%以下で置
換した請求項8または9に記載の高靭性高速度鋼部材の
製造方法。 - 【請求項11】 Feの一部をTi0.10%以下で置
換した請求項8ないし10のいずれかに記載の高靭性高
速度鋼部材の製造方法。
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