JPH06322050A - 樹脂改質剤 - Google Patents

樹脂改質剤

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JPH06322050A
JPH06322050A JP11199893A JP11199893A JPH06322050A JP H06322050 A JPH06322050 A JP H06322050A JP 11199893 A JP11199893 A JP 11199893A JP 11199893 A JP11199893 A JP 11199893A JP H06322050 A JPH06322050 A JP H06322050A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】合成樹脂に混練、混合あるいは塗布することに
より、合成樹脂の表面電気抵抗の低下に寄与し、帯電防
止性、塗装性改良等に有用な樹脂改質剤を提供する。 【構成】数平均分子量が1000〜10000のポリス
チレン系樹脂ユニットと500〜10000の親水性ポ
リマーユニットより構成されるブロックポリマーからな
る樹脂用帯電防止性改質剤。 【効果】本発明の樹脂改質剤は、少量かつ単一で、合成
樹脂の表面電気抵抗の低下に寄与し、その持続性も有す
るため、安価な通常の合成樹脂の帯電防止化、塗装性改
良等が容易となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な樹脂改質剤に関
する。さらに詳しくは、合成樹脂に混練、混合あるいは
塗布することにより、合成樹脂の表面電気抵抗の低下に
寄与し、帯電防止性、塗装性改良等に有用な樹脂改質剤
に関する。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂は、成形物、フィルム、シー
ト、繊維等様々な形態で広く普及しており、その高い絶
縁性能から、電気製品の内外装等にも多数利用されてい
る。しかしながら、その絶縁性、高い表面抵抗ゆえの静
電気発生は、加工性の低下、塵埃付着による商品価値の
低下、電気ショックの発生、放電・爆発の危険性、電気
部品の誤動作等、様々な問題を引き起こしている。ま
た、撥水性による塗料のはじき等の問題を有していた。
【0003】このため、これまでにも多くの親水性樹脂
改質剤の開発が行われてきた。しかし、従来の合成樹脂
用改質剤は、低分子量のものが多く、商品製造直後の性
能は有効であっても、水洗、払拭等により製品表面から
の脱離が生じて、性能低下が起きていた。このため、持
続的な表面性能を示す材料の開発が望まれていた。
【0004】特開平3−24143号、さらには特開平
4−239045号等には、比較的分子量の大きな樹脂
系改質剤を用いて、合成樹脂の表面抵抗の低減が可能と
提案されている。しかしながら、該提案では、充分な表
面性能を発現させるためには、実質的に10%以上の改
質剤を必要とするほか、基材樹脂との混合状態を向上す
るための相溶化樹脂成分(変性した基材樹脂)を必要と
する場合もある。このため、多成分化やコストアップを
招き、安価な通常の合成樹脂に対して広く適用するため
には、経済性の観点からもで不十分であった。また、特
開平4−342751号には、ポリオキシエチレングラ
フトコポリマーを用いる方法が提案されているが、アル
カリ金属塩を併用しなければ充分な特性を発現すること
ができなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の点に
着目し、合成樹脂に優れた低表面抵抗性を持続的に付与
するための、少量かつ単一で有効な樹脂改質剤組成物を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に対し、鋭意検討を重ねた結果、分子量の適切に制御さ
れたポリスチレン系樹脂ユニットと親水性ポリマーユニ
ットを結合したブロックポリマーが、合成樹脂の表面抵
抗を低下させるとともに、その性能の持続性が著しいこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は、(a)ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の数平
均分子量(Mn)が1,000〜10,000の範囲に
あるポリスチレン系樹脂ユニット、および(b)分子量
が500〜10,000の範囲にある親水性ポリマーユ
ニットより構成されるブロックポリマーからなることを
特徴とする樹脂改質剤である。
【0008】本発明における樹脂改質剤の製造方法は、
特に限定を要しないが、例えば、末端に反応性基を有す
るポリスチレン系樹脂を該反応性基と結合可能な官能基
を有する親水性ポリマーユニットと適当な条件下で反応
して得られ、(チオ)エステル結合、アミド結合、(チ
オ)エーテル結合、あるいはイオン結合等のいずれかに
より結合されるように、公知の方法を用いることができ
る。さらに、詳細には、例えば、末端にカルボキシル基
を有するポリスチレン系樹脂と末端に1級アミンあるい
は水酸基を有するアルキレンオキサイドとの反応は、S.
Yasudaらの方法[J. Polym. Sci., Polym. Chem. Ed.,2
1,2609(1983)]に従い、トリフェニルホスフィン、ヘキ
サクロロエタン、トリエチルアミンを用いて行う事が可
能である。
【0009】上記製法で本発明の樹脂改質剤をつくるた
めに使用する末端に反応性基を有するポリスチレン系樹
脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレンとアクリ
ロニトリル、ブタジエン、アクリルアミド、メタクリル
酸またはその誘導体との共重合体等が挙げられ、末端反
応性基としては、例えば、カルボン酸及びその誘導体で
あるカルボン酸エステル、カルボン酸塩、さらには、ア
ルコール性水酸基、フェノール性水酸基、アミノ基、お
よびその誘導体等が挙げられる。このうち、反応の多様
性から、カルボン酸およびその誘導体が好ましい。該反
応性基の量は、平均で分子鎖当たり1.0以上有すれば
よく、好ましくは、1.0〜3.0である。
【0010】また、該ポリスチレン系樹脂は、ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換
算の数平均分子量(Mn)が1,000〜10,000
の範囲にあるものであり、Mnが1,000以下である
と、表面からの離脱が起こりやすく、性能の持続性に問
題が生じ、Mnが10,000以上では、表面への移行
がおこりにくく、少量での性能発現が困難となる。
【0011】官能基を有する親水性ポリマーユニットと
しては、末端に反応性基を有するポリスチレン系樹脂の
官能基と結合可能な官能基を有する親水性ポリマーであ
ればよいが、好ましくは、末端に官能基を有するポリア
ルキレンオキサイド等、詳しくは、末端にエポキシ基を
有するポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサ
イド、末端にアルコール性水酸基を有するポリエチレン
グリコール、末端にアミノ基を有するポリエチレンオキ
サイド、ポリプロピレンオキサイド等が挙げられ、該官
能基の量は、平均で分子鎖当たり1.0以上有すればよ
い。また、該親水性ポリマーユニットは、分子量が50
0〜10,000の範囲にあることが好ましい。
【0012】本発明の樹脂改質剤は、ポリスチレン系樹
脂ユニット(a)および親水性ポリマーユニット(b)
より構成される分子量分布を有するブロックポリマーで
あり、その重量平均分子量と数平均分子量の比で示され
る分子量の分散度は、2.0以下であることが好まし
い。また、前記(a)および(b)ユニットの分子量比
は、20/1〜1/10であり、好ましくは、5/1〜
1/5である。本発明の樹脂改質剤は、一部その構成成
分のホモポリマーを含有しても差し支えないが、10重
量%以下にすることが好ましい。
【0013】本発明の樹脂改質剤は、合成樹脂に混練、
混合あるいは塗布することにより、合成樹脂の表面電気
抵抗の低下に寄与し、帯電防止性、塗装性改良等に効果
を示す。この際の本樹脂改質剤の添加量は、基材となる
合成樹脂に対して0.1〜10重量%、より好ましく
は、0.5〜5重量%であることが好ましい。
【0014】本発明の樹脂改質剤の適用可能な合成樹脂
としては、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル
系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等が
挙げられ、なかでも本発明の樹脂改質剤のポリスチレン
系樹脂ユニットとの相溶性に優れるポリスチレン樹脂、
ゴム強化ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、M
S樹脂に対し、より良好な効果を示す。
【0015】本発明の樹脂改質剤は、その利用に際し、
各種添加剤を併用することも可能であり、例えば、抗酸
化剤、難燃剤、界面活性剤、各種金属塩、フィラー等
を、その製造過程、あるいは加工、成形過程において、
最終物性を損なわない範囲内において適宜用いることも
差支えない。
【0016】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。ただし、これにより本発明の内容が限定されるもの
ではない。なお、数平均分子量(Mn)の測定は、単分
散ポリスチレン(ウォーターズ社製)でキャリブレーシ
ョンしたゲルパーミエーションクロマトグラフィーを使
用し、移動相としてテトラヒドロフランを、検出にはR
I検出器を使用した。また、樹脂単位重量当たりのカル
ボキシル基当量は、三菱化成工業(株)製自動滴定装置GT
-05 を使用して測定した。表面抵抗は、23℃、相対湿度
55%RH の条件下で、東亜電波工業(株)製ULTRA MEGOHMME
TER SM-8210 により、印加電圧1000Vにおける60秒値を
測定した。
【0017】(実施例−1)末端にカルボキシル基を有
するポリスチレン樹脂(Mn=2,500 、官能基量8.60×
10~4等量)5.0 g、トリエチルベンジルアンモニウムク
ロライド、1.0 gを50mlの1,4-ジオキサンに溶解し、エ
ポキシ基有するポリエチレンオキサイド(明成化学工業
(株)製、EX861、エポキシ当量:587 )11.2gを加
えた。100 ℃にて3 時間、充分に攪拌した後、溶液をメ
タノール中にあけ、得られた粘稠な沈澱物を分離し、80
℃にて一昼夜減圧乾燥して、所望の樹脂改質剤(組成物)
5.5gを粘稠な液体として得た。
【0018】該樹脂改質剤0.10gとジェネラルパーパス
ポリスチレン樹脂 (新日鐵化学(株)製) 1.90gをクロロ
ホルム18gに溶解し、充分攪拌した後、得られた溶液を
ドクターブレードを用いてガラス板上に塗布した。室温
で 1時間放置後、熱風オーブン中で80℃にて1 時間乾燥
して、10cm×10cm×30μm の樹脂改質剤含有ポリスチレ
ンフィルムを得た。
【0019】該フィルムの表面抵抗測定結果は表1の通
りである。さらに、該フィルムを水に1時間浸漬したの
ち、熱風オーブン中で80℃にて1時間乾燥して、同様に
表面抵抗を測定した。結果は表1の通りである。
【0020】(実施例−2)末端にカルボキシル基を有
するポリスチレン樹脂(Mn=2,500 、官能基量8.60×
10~4等量/g)5.0 g、テトラフェニルホスフィン3.4
g、ヘキサクロロエタン3.1 g、トリエチルアミン2.1
mlを140 mlの1,2-ジクロロエタンに溶解し、アミノ基を
有するポリプロピレンオキサイド(三石テキサコケミカ
ル(株)製、ジェファーミンD−2000、アミン当量:
1041)9.0 gを加えた。3 時間、室温で充分に攪拌した
後、溶液をメタノール中にあけ、得られた粘稠な沈澱物
を分離し、80℃にて一昼夜減圧乾燥して、所望の樹脂改
質剤(組成物)5.8 gを粘稠な液体として得た。実施例−
1と同様の操作により、樹脂改質剤含有ポリスチレンフ
ィルムを得て、表面抵抗測定に供した。結果は表1の通
りである。
【0021】(実施例−3)実施例−2と同様にして得
られた樹脂改質剤を0.05gとジェネラルパーパスポリス
チレン樹脂 (新日鐵化学(株)製) 1.95gを用いた以外
は、実施例−1と同様の条件により、樹脂改質剤含有ポ
リスチレンフィルムを得、該フィルムの表面抵抗を行っ
た。結果は表1の通りである。
【0022】(実施例−4)末端にカルボキシル基を有
するポリスチレン樹脂(Mn=5,600 、官能基量4.08×
10~4等量/g)を用いた以外は、実施例−2と同様の操
作により、所望の樹脂改質剤(組成物)6.1 gを粘稠な液
体として得た。実施例−1と同様の操作により、樹脂改
質剤含有ポリスチレンフィルムを得て、表面抵抗測定に
供した。結果は表1の通りである。
【0023】(実施例−5)末端にカルボキシル基を有
するポリスチレン樹脂(Mn=2,500 、官能基量8.60×
10~4等量/g)5.0 gを50mlの1,2-ジクロロエタンに溶
解し、チオニルクロライド1.0 g、N,N-ジメチルフォル
ムアミド1.0 mlを加え、70℃で3 時間加熱還流した。こ
の後、系内を減圧とし、未反応のチオニルクロライドを
除去した後、ポリエチレングリコール(和光純薬工業
(株)製、平均分子量:2000)9.0 gを加えた。3 時間、
室温で充分に攪拌した後、溶液をメタノール中にあけ、
得られた粘稠な沈澱物を分離し、80℃にて一昼夜減圧乾
燥して、所望の樹脂改質剤(組成物)7.2 gを粘稠な液体
として得た。実施例−1と同様の操作により、樹脂改質
剤含有ポリスチレンフィルムを得て、表面抵抗測定に供
した。結果は表1の通りである。
【0024】(実施例−6)ジェネラルパーパスポリス
チレン樹脂のかわりに、ハイインパクトポリスチレン
(新日鐵化学(株)製) 1.90gを用いた以外は、実施例−
2と同様の条件により、樹脂改質剤含有ポリスチレンフ
ィルムを得、該フィルムの表面抵抗を行った。結果は表
1の通りである。
【0025】(比較例−1)ジェネラルパーパスポリス
チレン樹脂 (新日鐵化学(株)製) 2.00gをクロロホルム
18gに溶解し、実施例−1と同様の操作により、ポリス
チレンフィルムを調製して、表面抵抗測定に供した。結
果は表1の通りである。
【0026】(比較例−2)市販の低分子量ノニオン系
帯電防止剤、ミヨコール324 (ミヨシ油脂製)0.10gと
ハイインパクトポリスチレン (新日鐵化学(株)製) 1.90
gをクロロホルム18gに溶解し、実施例−1と同様の操
作により、ポリスチレンフィルムを調製して、表面抵抗
測定に供した。結果は表1の通りであり、水洗により表
面抵抗値が著しく増大し、帯電防止剤の添加効果は消失
した。
【0027】(比較例−3)末端にカルボキシル基を有
するポリスチレン樹脂(Mn=27,000、官能基量1.04×
10~4当量)を用いた以外は、実施例−1と同様の操作に
より、アミド結合により結合されたポリスチレン−ポリ
プロピレンオキサイドブロックコポリマーを得た。実施
例−1と同様の操作により、該ブロックコポリマーを10
重量%含有するポリスチレンフィルムを得、表面抵抗測
定に供した。結果は表1の通りであり、大量の添加にも
かかわらず表面抵抗の低下は小さかった。
【0028】
【表1】
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、従来の低分子量の樹脂
改質剤に比較して、持続性ある合成樹脂の表面抵抗低下
効果を発現することが可能であり、また、従来の高分子
量型あるいは多成分型の樹脂改質剤に比較して、少量か
つ容易に合成樹脂の低表面抵抗化をはかることが可能で
ある。本発明の樹脂改質剤組成物を用いることにより、
安価な通常の合成樹脂の帯電防止化、塗装性改良等が、
容易に持続性をもって行える。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 正生 神奈川県川崎市中原区井田1618番地 新日 本製鐵株式会社先端技術研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)ゲルパーミエーションクロマトグラ
    フィーによるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)
    が1,000〜10,000の範囲にあるポリスチレン
    系樹脂ユニット、および(b)分子量が500〜10,
    000の範囲にある親水性ポリマーユニットより構成さ
    れるブロックポリマーからなることを特徴とする帯電防
    止性樹脂改質剤。
  2. 【請求項2】親水性ポリマーユニットがポリアルキレン
    オキサイドユニットである請求項1に記載の樹脂改質
    剤。
  3. 【請求項3】ユニット(a)およびユニット(b)が、
    エステル結合、アミド結合、エーテル結合あるいはイオ
    ン結合のいずれかにより結合されている請求項1に記載
    の樹脂改質剤。
  4. 【請求項4】カルボン酸、カルボン酸エステルおよびカ
    ルボン酸塩のうち少なくとも一種の反応性基を有するポ
    リスチレン系樹脂と、アミノ基、エポキシ基および水酸
    基のうち少なくとも一種の官能基を有するポリアルキレ
    ンオキサイド化合物とを反応させて得られたものである
    請求項1に記載の樹脂改質剤。
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