JPH06320619A - ポリエステルフイルムおよびその製造方法 - Google Patents

ポリエステルフイルムおよびその製造方法

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JPH06320619A
JPH06320619A JP13402793A JP13402793A JPH06320619A JP H06320619 A JPH06320619 A JP H06320619A JP 13402793 A JP13402793 A JP 13402793A JP 13402793 A JP13402793 A JP 13402793A JP H06320619 A JPH06320619 A JP H06320619A
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JP
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polyester
film
projections
polyester film
particles
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JP13402793A
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English (en)
Inventor
Katsuya Okamoto
克哉 岡本
Koichi Abe
晃一 阿部
Shoji Nakajima
彰二 中島
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ポリエステルAを主成分とする二軸配向フイ
ルムであって、少なくとも一方の表面における突起の個
数が1×103 個/mm2 以上5×103 個/mm2
満であり、該突起個数と該表面を形成する表層に含有さ
れる粒子の個数との比である突起個数/粒子個数
(NR )が5以上であるポリエステルフイルム、および
その製造方法。 【効果】 突起個数は比較的少なくても破壊されにくく
均一な突起を効率よく形成することができるとともに、
平坦性も確保でき、耐摩耗性の良好な、かつ、磁気記録
媒体用途に用いた場合に、極めて優れた電磁変換特性を
与えることを可能とするポリエステルフイルムが得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリエステルフイルム
およびその製造方法に関し、とくに、表面に微細な突起
を形成したポリエステルフイルムおよびその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルフイルムは、種々の用途に
幅広く用いられている。ポリエステルフイルムの加工工
程、たとえば包装用途における印刷工程、磁気記録媒体
用途における磁性層塗布工程、あるいは感熱転写用途に
おける感熱転写層塗布などの工程における加工速度の増
大に伴い、あるいは、最終製品の要求品質の高度化に伴
い、ポリエステルフイルムには、一層良好な走行性、耐
摩耗性等の表面特性が要求されるとともに、特に磁気記
録媒体用途においては、高い電磁変換特性を得るため
に、フイルム表面の平坦化が強く望まれている。良好な
走行性および電磁変換特性を得るためには、フイルム表
面に微細な突起を均一に形成することが有効であること
が知られている。
【0003】フイルム表面に微細な突起を形成するため
に、コロイド状シリカに起因する実質的に球形のシリカ
粒子を含有せしめたポリエステルフイルムが知られてい
る(たとえば特開昭59−171623号公報)。ま
た、表面突起形成のための粒子を含有する薄層を基層に
積層したポリエステルフイルムも知られている(たとえ
ば特開平2−77431号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の、粒子(たとえば不活性粒子)含有により
表面に突起を形成したポリエステルフイルムには、基本
的に、以下のような二つの大きな問題がある。
【0005】まず、ポリエステルにポリエステルとは異
質の不活性粒子等の粒子を添加して表面突起を形成する
ので、粒子周りにボイドが生じ易い。ボイドが生じる
と、形成された突起が破壊され易くなり、フイルム表面
が削り取られ易くなったりフイルム表面に傷がつき易く
なったりして、フイルム表面の耐摩耗性が低下するとい
う問題を生じる。
【0006】また、フイルム表面に形成される突起の個
数は、数が多くなることにより、フイルム表面の摩擦係
数は低下し、走行性やハンドリング性の向上が認められ
るが、今後ますます高性能化が予測される磁気記録媒体
用途(たとえば、デジタルVTRやハイビジョン対応な
ど)においては、突起個数の増大に伴って表面粗さが大
きくなることは、ベースフイルムの磁性層供与面であ
れ、あるいは、走行面であっても、電磁変換特性(出
力、S/N)に大きな影響を及ぼす。
【0007】本発明の目的は、本質的に含有粒子に頼る
ことなくポリエステルの結晶化を利用して表面に所望の
微細突起を特定個数形成したポリエステルフイルムおよ
びその製造方法を提供することにあり、究極的には、破
壊されにくい均一な表面突起が特定個数形成された、耐
摩耗性の良好な、かつ、磁気記録媒体用途に用いた場合
に、極めて優れた電磁変換特性を与えることを可能とす
るポリエステルフイルムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】この目的に沿う本発明の
ポリエステルフイルムは、ポリエステルAを主成分とす
る二軸配向フイルムであって、少なくとも一方の表面に
おける突起の個数が1×103 個/mm2 以上5×10
3 個/mm2 未満であり、該突起個数と該表面を形成す
る表層に含有される粒子の個数との比である突起個数/
粒子個数(NR)が5以上であることを特徴とするもの
からなる。
【0009】すなわち、本発明のポリエステルフイルム
においては、表面に形成された突起の個数とその表層の
含有粒子個数との比NR が5以上であり、表面突起は、
本質的に、粒子含有によって形成されるのではなく、ポ
リエステルA自身の結晶化を利用して形成される。した
がって、粒子を添加する場合のボイド発生の問題は実質
的に無くなり、破壊されにくい突起が形成される。NR
が5未満であると、含有粒子によって形成される突起の
割合が多くなり、ボイド生成による破壊され易い突起の
割合が増大するので、望ましい耐摩耗性が得られない。
【0010】このように大部分あるいは全部の表面突起
が、ポリエステルAの結晶化を利用して形成され、表面
突起個数が1×103 個/mm2 以上5×103 個/m
2未満とされることにより、微細な破壊されにくい突
起がフイルム表面に均一に形成され、さらに極めて高い
平坦性が達成される。その結果、表面の耐摩耗性が高い
とともに、優れた電磁変換特性を達成し得るポリエステ
ルフイルムが得られる。すなわち、上記のように、結晶
化を利用した突起形成によれば、従来の粒子による突起
形成と比較して、1つ1つの突起の強度が著しく向上す
るため、突起個数が少ない場合でも、ガイドロールなど
と接触した場合の、突起破壊によるフイルム表面のダメ
ージは改善され、耐摩耗性と優れた平坦性との両立が可
能となる。
【0011】また、結晶化を利用して形成される表面突
起は、含有粒子を核とするものではないから、ポリエス
テルAと同等あるいはそれに近い硬さ、つまり含有粒子
によって形成された突起に比べ低い硬度を有する。形成
される突起が比較的柔らかいので、フイルムがプラスチ
ック製ガイド上を走行される場合にあっても、該ガイド
表面を削ることが極めて少なくなり、ガイド表面削れに
伴う問題も解消される。
【0012】上記のようなポリエステルAの結晶化を利
用した表面突起の形成は、次のように行われる。ポリエ
ステルAを主成分とする二軸配向フイルムを作製するに
際し、未延伸フイルムの少なくとも片面に熱処理を施
し、その後に該未延伸フイルムを二軸延伸することによ
って、所望の表面突起が形成される。
【0013】未延伸フイルムに先ず熱処理を施すことに
より、未延伸フイルムのとくに表面の結晶化が進めら
れ、多数の微細な結晶が生成する。この未延伸フイルム
が二軸に延伸され、フイルムが二軸に配向されて目標と
するフイルム自身の強度が達成されるとともに、結晶と
そうでない部分の硬さの差によって、上記微細結晶に起
因する均一な微細表面突起が形成される。ここで、表面
突起がポリエステルAの微細結晶からなるものが否かに
ついては、対象となる突起の下を、フイルム厚さ方向に
適切な溶媒でエッチングしていき、その突起を形成する
起因物が不溶物として残存する場合は、外部から添加さ
れた粒子、あるいは、内部析出した粒子とする(I)。
不溶物として残存するものが実質的になかった場合は、
その突起を形成する起因物は微細結晶であると推定でき
る(II)。上記の溶媒としては、例えば、フェノール
/四塩化炭素(重量比:6/4)の混合溶媒などが好ま
しく用いられる。この方法で視野を約1mm2 とした時
のIの頻度、IIの頻度を求め、II/(I+II)の
値が、たとえば70%以上である場合が好ましいことに
なる。ただし、表面突起がポリエステルAの微細結晶か
らなるものか否かの判定法については、上記の方法に限
定されるものではなく、適切な方法を選択することがで
きる。
【0014】本発明においては、ポリエステルAの種類
は特に限定されないが、結晶化パラメータΔTcgが8
0℃以下、好ましくは70℃以下、さらに好ましくは6
5℃以下、特に好ましくは60℃以下、また、溶媒に溶
かしたときの溶液ヘイズが20%以下、好ましくは10
%以下であることが望ましい。
【0015】結晶化パラメータΔTcgが80℃よりも
大きいと、本発明で目標としている表面突起が得られに
くい。たとえ得られたとしても、フイルム表面の耐傷つ
き性が劣る。また、ΔTcgが小さすぎる場合(例えば
40℃未満)は、熱処理による結晶化が進行しすぎ、表
面に形成される突起の個数が過剰となり、走行性などは
向上するものの、平坦性に劣り、結果的に電磁変換特性
を低下させる要因となる。
【0016】溶液ヘイズが20%よりも大きいと、ポリ
マ中の析出粒子または添加粒子量が多いことになり、本
発明の目標を満足する表面が得られず、また耐削れ性も
劣る。
【0017】ポリエステルAとしては、上記のような条
件を満たす限り特に限定されないが、エチレンテレフタ
レート、エチレンα,β−ビス(2−クロルフェノキ
シ)エタン−4,4′−ジカルボキシレート、エチレン
2,6−ナフタレート単位から選ばれた少なくとも一種
の構造単位を主要構成成分とする場合に特に好ましい。
中でもエチレンテレフタレートを主要構成成分とするポ
リエステルの場合が特に好ましい。なお、本発明の目的
を阻害しない範囲内で、2種以上のポリエステルを混合
しても良いし、共重合ポリマを用いても良い。
【0018】目標とする表面突起を形成するために、ポ
リエステルAを主成分とするフイルムは、上述の如く二
軸延伸前に熱処理により結晶化が進められるが、この二
軸延伸前の未延伸フイルム中に存在する球晶の直径d
は、0.03〜0.45μmの範囲にあることが好まし
い。より好ましくは、0.10〜0.30μmの範囲で
ある。このような範囲にコントロールすることにより、
二軸延伸後のフイルム表面における、突起強度と平坦性
がともに優れたものとなる。
【0019】本発明のポリエステルフイルムは、ポリエ
ステルAを主成分とする二軸配向フイルム単層で用いら
れてもよいし、ポリエステルBを主成分とするフイルム
の少なくとも片面に積層された積層フイルムとして用い
られてもよい。
【0020】ポリエステルBの種類は特に限定されな
い。ポリエステルBには、粒子が含有されていないこと
が好ましいが、含有されていてもよい。
【0021】本発明のポリエステルフイルムは、単層で
ある場合においても、上記のような積層フイルムである
場合においても、フイルム全体としてのヘイズが20%
未満、好ましくは10%未満であることが望ましい。ヘ
イズが20%以上であると、ヘイズを増大させている表
面凹凸が大きすぎる場合が多く、それだけ耐摩耗性が悪
く、磁気記録媒体用途にあっては電磁変換特性を悪化さ
せてしまう。
【0022】次に、本発明のポリエステルフイルムの製
造方法について、より具体的に説明する。本発明におい
ては、未延伸フイルムの少なくとも片面に熱処理を施
し、その後に二軸延伸する。ここで未延伸フイルムと
は、口金から押し出された直後の冷却固化される前の状
態から、一軸方向にわずかに微延伸(2倍程度まで)さ
れたものまでを指す。この熱処理の目的は、延伸前のフ
イルム表面を好ましい結晶化度にまで結晶性を高めるこ
とであり、処理方法としては、押出し直後の温度の高
いフイルムを徐冷することにより結晶化させる方法、
一旦冷却、固化したフイルムを再加熱して結晶化させる
方法、一軸方向に微延伸させた状態で加熱処理する方
法、がある。
【0023】本発明の目的に沿う表面形態を得るために
は、の方法が好ましいが、又はの方法を用いて
も、適切な条件を採用することにより望ましい表面形態
を得ることができる。の熱処理方法については、特に
限定されないが、ロールに巻き付けた状態で熱処理する
方法、ロール/ロール間でラジエーションヒータを用い
て熱処理する方法、ステンタを用いて加熱する方法、な
どがある。処理条件としては、100〜240℃の温度
下で、0.5〜150秒熱処理することが望ましい。よ
り好ましくは、140〜220℃で1〜50秒、さらに
好ましくは155〜200℃で2〜10秒の熱処理条件
が、目標とする表面形態を、フイルムの製膜プロセス中
で効率良く得るために望ましい条件である。
【0024】本発明に係るポリエステルAとしては、好
ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)が用い
られる。このポリエステルAには、実質的に粒子が含有
されないことが望ましい。ポリエステルAの重合は、重
合触媒として三酸化アンチモン、また、ΔTcgを低下
させ、結晶核剤効果を高めるために、エステル交換触媒
としての金属化合物は酢酸塩を用いることが好ましい。
酢酸塩としては、特に限定されないが、マグネシウム化
合物を用いることが、本発明の目的を達成するためには
特に好ましい。また、PETの重合時に添加されるリン
化合物としては、ホスホン酸塩を用いることが好まし
い。但し、ポリエステルAの製造方法としては上記に何
等限定されるものではない。核剤効果を高めるために、
触媒添加量を増大することは、内部粒子の析出の原因と
なり、溶液ヘイズが大きくなるために好ましくない。
【0025】[物性の測定方法ならびに効果の評価方
法]本発明の特性値の測定方法並びに効果の評価方法は
次の通りである。 (1)フイルム表面の突起個数 2検出器方式の走査型電子顕微鏡[ESM−3200、エリ
オニクス(株)製]と断面測定装置[PMS−1、エリ
オニクス(株)製]においてフイルム表面の平坦面の高
さを0として走査したときの突起の高さ測定値を画像処
理装置[IBAS2000、カールツァイス(株)製]に送
り、画像処理装置上にフイルム表面突起画像を再構築す
る。次に、この表面突起画像で突起部分を2値化して得
られた個々の突起部分の中で最も高い値をその突起の高
さとし、これを個々の突起について求める。この測定を
場所をかえて500回繰返し、20nm以上の高さのも
のを突起とし、突起個数を求めた。また走査型電子顕微
鏡の倍率は、1000〜8000倍の間を選択する。なお、場合
によっては、高精度光干渉式3次元表面解析装置(WY
KO社製TOPO−3D、対物レンズ:40〜200
倍、高解像度カメラ使用が有効)によって得られるピー
クカウントなどの個数情報を上記SEMの値に読み替え
て用いてもよい。また、突起を立体的に捉えるため、フ
イルムを82.5°傾けて、倍率1万〜50万倍で電子
顕微鏡(SEM)による写真を撮影し、100視野測定
を行なった平均値から突起数を1mm2 あたりに換算し
てもよい。
【0026】(2)表層に含有される粒子個数 本発明で表層とは、フイルム表面より、深さ3Dまでの
部分をいう。ここで、3Dとは、フイルム中に含有され
る粒子の平均粒径D×3を意味する。フイルム断面を透
過型電子顕微鏡(TEM)により観察し、表面より深さ
3Dまでの部分に存在する粒子個数を倍率3000〜100000
倍で500視野について観察し、1mm2 あたりに換算
した平均粒子個数を求める。
【0027】(3)フイルム中の粒子の平均粒径 フイルムからポリマをプラズマ低温灰化処理法で除去
し、粒子を露出させる。処理条件はポリマは灰化される
が粒子は極力ダメージを受けない条件を選択する。その
粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、粒子画像
をイメージアナライザーで処理する。SEMの倍率はお
よそ2000〜10000倍、また、1回の測定での視
野は1辺がおよそ10〜50μmから適宜選択する。観
察箇所をかえて粒子数5000個以上で、粒径とその体
積分率から、次式で体積平均径dを得る。 d=Σdi ・Nvi ここでdi は粒径、Nvi はその体積分率である。粒子
が有機粒子等で、プラズマ低温灰化処理法で大幅にダメ
ージを受ける場合には、以下の方法を用いてもよい。フ
イルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、30
00〜100000倍で観察する。TEMの切片厚さは
約1000Åとし、場所を変えて500視野以上測定
し、上記の式から体積平均径dを求める。
【0028】(4)結晶化パラメータΔTcg パーキンエルマー社製のDSC(示差走査熱量計)II
型を用いて測定した。DSCの測定条件は次の通りであ
る。すなわち、試料10mgをDSC装置にセットし、
300℃の温度で5分間溶融した後、液体窒素中に急冷
する。この急冷試料を10℃/分で昇温し、ガラス転移
点Tgを検知する。さらに昇温を続け、ガラス状態から
の結晶化発熱ピーク温度をもって冷結晶化温度Tccと
した。TccとTgの差(Tcc−Tg)を結晶化パラ
メータΔTcgと定義する。
【0029】(5)ポリマの溶液ヘイズ ポリエステル2gを、フェノール/四塩化炭素(重量
比:6/4)の混合溶媒20mlに溶解し、ASTM−
D−1003−52により測定した。なお光路長は20
mmとして測定を行った。
【0030】(6)球晶の平均直径 フイルムの断面を光学または電子顕微鏡で観察し、いず
れも合計100個の球晶が観察できるまで測定を繰り返
し、得られた値を平均して球晶の平均直径とした。
【0031】(7)フイルムヘイズ ヘイズメーターを用い、JIS−K−6714に準じて
測定を行った。
【0032】(8)突起破壊強度 フイルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたも
のをテープ走行試験機を使用して、ガイドピン上を繰り
返し走行させる。(ガイド材質:SUS、表面粗度:
0.3S)フイルムの一端に200gの荷重を掛け、巻
き付け角:90度、走行速度3.3cm/秒で20パス
走行させた後、ガイドピン上に付着した白粉量を評価
し、さらにフイルム表面を微分干渉顕微鏡で観察し、突
起破壊および粒子の脱落状況の評価を行なった。倍率1
000倍で10視野について観察を行ない、全突起数に
対する粒子脱落箇所の割合をもって、優(粒子脱落がほ
とんど認められない)、良(粒子脱落が若干認められる
が白粉付着量はごく微量)、不良(粒子脱落が多数認め
られ、白粉付着量も多い)の3段階評価とした。
【0033】(9)電磁変換特性(出力特性) 本発明のフイルムを磁気テープとした場合の電磁変換特
性について、(a)メタル塗布型テープ、(b)メタル
蒸着型テープの2種類について測定を行った。 (a)メタル塗布型テープ(MP) 本発明のフイルムに前述の熱処理を施した面と反対側の
面に磁性塗料をグラビヤロールを用いて塗布した。磁性
塗料は次のようにして調製した。 ・Fe 100部 平均粒子サイズ 長さ :0.3μm 針状比:10/1 抗磁力 :2000Oe ・ポリウレタン樹脂 15部 ・塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体 5部 ・ニトロセルロース樹脂 5部 ・酸化アルミ粉末 3部 (平均粒径:0.3μm) ・カーボンブラック 1部 ・レシチン 2部 ・メチルエチルケトン 100部 ・メチルイソブチルケトン 100部 ・トルエン 100部 ・ステアリン酸 2部 上記組成物をボールミルで48時間混合分散した後、硬
化剤6部を添加して得られた混練物をフィルターでろ過
して磁性塗布液を準備し、上記フイルム上に塗布、磁場
配向させ、110℃で乾燥し、さらに小型テストカレン
ダー装置(スチールロール/ナイロンロール、5段)
で、温度70℃、線圧200kg/cmでカレンダー処
理した後、70℃、48時間でキュアリングしメタル塗
布型磁気テープを得た。上記のテープ原反をVTRカセ
ットに組み込みVTRテープとした。このテープに家庭
用VTRを用いてテレビ試験波形発生器により100%
クロマ信号を記録し、その再生信号からカラービデオノ
イズ測定器でクロマS/Nを測定した。このクロマS/
Nを市販されているスタンダードビデオテープと比較し
て同等のもの(差が+0dB以下のもの)を出力特性:
不良、差が+2dB以下のものを出力特性:良、差が+
2dBを超えるものを出力特性:優とした。 (b)テープ蒸着型テープ(ME) 本発明のフイルムの熱処理を施した面と反対側の面に真
空蒸着機内で微量の酸素の存在下にコバルト・ニッケル
合金(Ni20重量%)を高周波スパッタリング法によ
り斜め蒸着し、厚さ0.2μmの蒸着層を形成させた。
続いてテープ幅にスリットし蒸着テープのパンケーキを
作成した。このパンケーキから長さ250mの長さをV
TRカセットに組み込みVTRカセットテープとした。
このテープに家庭用VTRを用いてシバソク製のテレビ
試験波形発生器(TG7/U706)により100%ク
ロマ信号を記録し、その再生信号からシバソク製カラー
ビデオノイズ測定器(925D/1)でクロマS/Nを
測定した。このクロマS/Nを市販されている8mmビ
デオテープ(120分ME)と比較して同等のもの(差
が+0dB以下のもの)を出力特性:不良、差が+1d
B以下のものを出力特性:良、差が+1dBを超えるも
のを出力特性:優とした。
【0034】
【実施例】次に本発明を実施例に基づいて説明する。 実施例 ポリエステルAとして、常法により重合したポリエチレ
ンテレフタレート(重合触媒:酢酸マグネシウム0.0
6重量%、三酸化アンチモン0.03重量%、リン化合
物としてジメチルフェニルホスホネート0.15重量%
を用いた)を用いた(固有粘度:0.62、融点:25
8℃、ΔTcg:58℃、溶液ヘイズ:2.5%)。
【0035】また、ポリエステルBとして、酢酸マグネ
シウム0.06重量%、三酸化アンチモン0.008重
量%、トリメチルホスフェート0.02重量%を用い
て、常法により重合したポリエチレンテレフタレートを
用いた(固有粘度:0.62、融点:259℃、ΔTc
g:84℃)。ポリエステルA、Bともに外部粒子は特
に添加しない。
【0036】実施例1、2 ポリエステルAの単層フイルムとした。ポリエステルA
のペレットを180℃で3時間乾燥後、公知の押出機を
用いて、290℃で溶融押出しを行ない、静電印加キャ
スト法を用いて、表面温度20℃のキャスティングドラ
ム上に巻き付けて、冷却、固化し、未延伸フイルムを作
った。この未延伸フイルムの、ドラムと接しない方の面
について、公知のラジエーションヒータを用いて、フイ
ルム表面が以下の温度となるような条件で熱処理を行な
った。 実施例1: 160℃、 6秒間 熱処理 実施例2: 180℃、2.5秒間 熱処理 熱処理後フイルムを、温度90℃にて、長手方向に3.
4倍延伸し、さらにステンタを用いて、延伸速度200
0%/分で、95℃で、幅方向に3.5倍延伸し、さら
に定長下で210℃にて5秒間熱処理を行ない、総厚さ
10μmの二軸配向フイルムを得た。
【0037】実施例3、4 A/B/A3層構成の積層フイルムとした。ポリエステ
ルA、Bのペレットをそれぞれ2台の押出機に供給し、
290℃で溶融し、3層用の矩形の合流ブロック(フィ
ードブロック)で、合流積層した。以下実施例1、2と
同様のプロセスで総厚さ10μmの二軸配向積層フイル
ムを得た。ただし未延伸フイルムの熱処理条件はいずれ
も180℃で2.5秒間とした。また、実施例4におい
ては、延伸倍率を長手方向に4.0倍、幅方向に4.5
倍とした。積層厚さは、両面A層とも1μmとなるよう
に吐出量を調節した。
【0038】比較例1、2 ポリエステルAに不活性粒子を添加(エチレングリコー
ル中に平均粒径0.3μmのコロイダルシリカ粒子を分
散させ、重合時に添加)せしめた、ペレット(粒子含有
量:0.5重量%)を用いて、上記実施例1、2と同様
のプロセスにて、総厚さ10μmの二軸配向単層フイル
ムを得た。ただし未延伸フイルムの熱処理条件は、比較
例1、2とも180℃、2.5秒とした。また、比較例
2においては、延伸倍率を長手方向に4.0倍、幅方向
に5.0倍とした。
【0039】比較例3 ポリエステルBに、比較例1、2と同様な不活性粒子を
添加せしめたペレットを用いて、比較例1と同様のプロ
セスにて、総厚さ10μmの二軸配向単層フイルムを得
た。
【0040】比較例4 ポリエステルAのみを用いて、以下の未延伸フイルムを
210℃、4秒の条件で熱処理し、比較例1と同様のプ
ロセスにて、総厚さ10μmの二軸配向単層フイルムを
得た。
【0041】比較例5 ポリエステルAおよびポリエステルBのA/B/Aの3
層積層フイルムとし、未延伸フイルムの熱処理を行わな
かった。積層厚さは、両面A層とも1μmとなるように
吐出量を調節した。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】本発明のポリエステルフイルムおよびそ
の製造方法によれば、含有粒子に頼ることなくポリエス
テルAの結晶化を利用してフイルム表面に特定範囲の個
数の微細突起を形成するようにしたので、突起個数は比
較的少なくても破壊されにくく均一な突起を効率よく形
成することができるとともに、平坦性も確保でき、耐摩
耗性の良好な、かつ、磁気記録媒体用途に用いた場合
に、極めて優れた電磁変換特性を与えることを可能とす
るポリエステルフイルムが得られる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルAを主成分とする二軸配向
    フイルムであって、少なくとも一方の表面における突起
    の個数が1×103 個/mm2 以上5×103 個/mm
    2 未満であり、該突起個数と該表面を形成する表層に含
    有される粒子の個数との比である突起個数/粒子個数
    (NR )が5以上であることを特徴とするポリエステル
    フイルム。
  2. 【請求項2】 前記ポリエステルAの結晶化パラメータ
    ΔTcgが80℃以下である請求項1のポリエステルフ
    イルム。
  3. 【請求項3】 前記ポリエステルAの結晶化パラメータ
    ΔTcgが70℃以下である請求項2のポリエステルフ
    イルム。
  4. 【請求項4】 前記ポリエステルAを溶媒に溶かしたと
    きの溶液ヘイズが20%以下である請求項1ないし3の
    いずれかに記載のポリエステルフイルム。
  5. 【請求項5】 前記ポリエステルAを溶媒に溶かしたと
    きの溶液ヘイズが10%以下である請求項4のポリエス
    テルフイルム。
  6. 【請求項6】 前記二軸配向フイルムの二軸延伸前の未
    延伸フイルム中に存在する球晶の直径dが0.03〜
    0.45μmである請求項1ないし5のいずれかに記載
    のポリエステルフイルム。
  7. 【請求項7】 ポリエステルBを主成分とするフイルム
    の少なくとも片面に、請求項1ないし6のいずれかに記
    載のポリエステルフイルムが積層されてなることを特徴
    とするポリエステルフイルム。
  8. 【請求項8】 フイルム全体のヘイズが20%未満であ
    る請求項1ないし7のいずれかに記載のポリエステルフ
    イルム。
  9. 【請求項9】 フイルム全体のヘイズが10%未満であ
    る請求項8のポリエステルフイルム。
  10. 【請求項10】 未延伸フイルムの少なくとも片面に熱
    処理を施し、その後に該未延伸フイルムを二軸延伸する
    ことを特徴とする、請求項1ないし9のいずれかに記載
    のポリエステルフイルムの製造方法。
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