JPH06320288A - ウエルドナットの溶接方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ウエルドナットを基板部材にプロジェクショ
ン溶接するに際し、基板部材に押付けられるウエルドナ
ットの突起から発生するスパッタがウエルドナットのね
じ穴内に飛散して付着するのを防止することである。 【構成】 溶接される端面に突起１０を設けたウエルド
ナット１を基板部材４にプロジェクション溶接するに際
し、固定電極２の中心穴２１および基板部材４のボルト
穴４１からウエルドナット１のねじ穴１１へ挿通したパ
イロットピン５の外周に縦溝５１を形成し、この縦溝５
１からエアをウエルドナット１の上記端面のねじ穴１１
まわりに供給して、溶接時に上記突起１０から発生する
スパッタを、ウエルドナット１外へ飛散せしめる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はウエルドナットを基板部
材に溶接する方法、特にプロジェクション溶接する方法
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ウエルドナットは基板部材に、そのボル
ト穴と同心に予め溶接されたもので、自動車等において
ボルト締めされる鋼板に広く用いられている。

【０００３】ウエルドナット（以下、単にナットとい
う）の溶接方法としては、プロジェクション溶接が一般
に用いられている。図２はプロジェクション溶接の代表
例を示すもので、基台６にて支持された固定電極２の中
心穴２１にパイロットピン５を挿通しておき、ホース８
およびニップル７を介してエアをパイロットピン５の底
面に供給する。パイロットピン５はエア圧により押上げ
られて底板５２が固定電極２の中心穴２１の段部２２に
押付けられエアはシャットアウトされる。この状態で、
鋼板４およびナット１をこれ等のボルト穴４１およびね
じ穴１１においてパイロットピン５により位置合せして
供給する。そして可動電極３にてパイロットピン５とと
もにナット１を押し込んで、突起１０を鋼板４に押付け
て図２に示す状態とし、両電極２，３間に通電し、突起
１０を押しつぶしつつ溶融させ溶接を行うのである。パ
イロットピン５の外周と固定電極２の中心穴２１との間
の間隙は位置合せを正確にするために可及的に小さくし
てあり、溶接時にエアはほとんど流通しない。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記プロジ
ェクション溶接において、各突起１０の位置および押付
け圧、電流等の条件を各ボルトの溶接において厳密に所
定の条件に設定することは極めて困難で、条件が若干づ
れると溶接時に突起１０からスパッタが発生する。そし
てこのスパッタはナット１のねじ穴１１内へ飛散してね
じ部に付着し、付着量によってはボルトのねじ締めに不
具合が生じることがある。

【０００５】そこで、本発明はこのスパッタのナット１
のねじ穴１１内への侵入を阻止し、上記の不具合の発生
を防止することを課題としてなされたものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、図１に例示す
るように、パイロットピン５を押上げるために供給され
るエアを利用し、このエアが基板部材４のボルト穴４１
の周縁からナット１の端面のねじ穴１１開口まわりへ噴
出するようになし、もってスパッタのねじ穴１１内への
侵入を防止するとともに、スパッタをナット１外へ飛散
せしめることを特徴とする。

【０００７】例えば図示のようにパイロットピン５の外
周に複数の縦溝５１を形成し、この縦溝５１にパイロッ
トピン５を押上げるエアの一部を導き、縦溝５１と基板
部材４のボルト穴４１との間隙から、ナット１のねじ穴
１１開口まわりの端面へエアを噴出させる。

【０００８】

【作用】ナット１のねじ穴１１の周縁に噴出するエアに
よりねじ穴１１と突起１０との間が遮断されてスパッタ
のねじ穴１１への侵入が防止され、かつスパッタは各突
起１０間の間隙から吹き出すエアによりナット１外へ飛
散される。

【０００９】

【実施例】図１は本発明によりナットの溶接がなされて
いる状態を示すものである。固定電極２はこれを貫通す
る中心穴２１を有し、その下端開口は大径としてあって
段部２２が形成されている。固定電極２を支持する基台
６は上端が筒部６１としてあり、その底面にエア導入穴
６２が穿設してある。基台６の側面部にはニップル７が
取付けられ、これにホース８が接続してあり、図略のエ
ア供給源からホース８およびニップル７を介して上記エ
ア導入穴６２にエアが供給されるようになっている。

【００１０】固定電極２の中心穴２１に挿通されるパイ
ロットピン５には、中心穴２１に摺接する大径部５０
に、周方向に所定の間隔をおいて３本の縦溝５１が形成
してある。

【００１１】溶接を行うに際しては、パイロットピン５
を基台筒部６１の底面にエア導入穴６２を覆うようにし
て立て、固定電極２の中心穴２１に挿通させた状態で固
定電極２の下端部を基台筒部６１にねじ締めし、固定電
極２を基台６に支持せしめる。そしてホース８およびニ
ップル７からエアをエア導入穴６２に供給する。エア圧
によりパイロットピン５は押上げられ、パイロットピン
５の底板５１が固定電極２の段部２２に押付けられた状
態で、パイロットピン５は位置保持される。

【００１２】固定電極２から突出するパイロットピン５
によりボルト穴４１を有する基板部材たる鋼板４を位置
合せして固定電極２の上面に載置する。そして下端面外
周に所定の間隔をおいて複数の突起１０を設けたナット
１をそのねじ穴１１によりパイロットピン５に挿通させ
る。ナット１はパイロットピン５の上端段部によりねじ
穴１１の下部開口端が支持される。

【００１３】この状態で、可動電極３をナット１に押し
当て、エアにより支持されているパイロットピン５とと
もにナット１を押し下げて突起１０を固定電極２に押付
ける。このとき、パイロットピン５は図１（Ａ）に示す
位置となる。なおパイロットピン５の縦溝５１の下端
は、パイロットピン５が上記の位置となったときに固定
電極の段部２２よりも下位となるように形成してある。

【００１４】上記の状態で、電極２，３間に通電し、ナ
ット１の溶接を行う。このとき、基台６内に供給されて
いるエアの一部はパイロットピン５の縦溝５１を通り、
縦溝５１と鋼板４のボルト穴４１の外周縁間の隙間から
ナット１のねじ穴１１の開口縁に向けて噴出し、各突起
１０間の隙間から外部へ吹き出す。また一部はねじ穴１
１に沿って外部へ吹き出す。

【００１５】しかして、溶接時、溶触する突起１０から
発生するスパッタは、突起１０とナットねじ穴１１との
間がエアにより遮断されるので、ねじ穴１１に侵入する
のが阻止されるとともに、ナット１外に吹き出すエアと
ともにナット外１へ飛散するのである。

【００１６】

【発明の効果】しかして本発明によれば、ナットを基板
部材にプロジェクション溶接するに際し、スパッタがナ
ットのねじ穴に飛散して付着するのを確実に阻止するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１（Ａ）は本発明の実施態様を示す図、第１
（Ｂ）は図１（Ａ）のＢ−Ｂ線に沿う位置でのパイロッ
トピンの断面図である。

【図２】従来の溶接の実施態様を示す図である。

【符号の説明】

１ ウエルドナット １０ 突起 １１ ねじ穴 ２ 固定電極 ３ 可動電極 ４ 基板部材 ４１ ボルト穴 ５ パイロットピン ５１ 縦溝（間隙） ６ 基台

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 溶接される端面のねじ穴外周に突起を設
   けたウエルドナットを基板部材にプロジェクション溶接
   をするに際し、基板部材のボルト穴からウエルドナット
   のねじ穴へ挿通されるパイロットピンの外周面と上記ボ
   ルト穴の周縁との間に形成した間隙からエアをウエルド
   ナットの上記端面のねじ穴開口まわりに供給し、このエ
   アにより溶接時に上記突起から発生するスパッタを、ウ
   エルドナット外へ飛散させることを特徴とするウエルド
   ナットの溶接方法。