JPH0631650B2 - スプ−ルタイプ切換弁装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 （産業上の利用分野） 本発明は、ダイアフラムポンプ等の作動切換に使用され
るスプールタイプ切換弁装置に関するものである。

（従来の技術） 従来、実公昭６１−３５７４８号広報に示されるよう
に、ダイアフラムポンプの作動切換において使用される
スプールの端部に設けられたデテント機構により、スプ
ールの中立位置での停止が防止されるようにしたものが
ある。

この従来のデテント機構は、スプールの端軸周面に山形
凸部を設け、さらにスプールの端軸周面に圧縮コイルス
プリングによりボールを弾力的に圧接してなる。

そうして、スプールが軸方向に移動するときに、ボール
の半径方向の押圧力が山形凸部の斜面に作用して、スプ
ール軸を常に中立位置を基準にして一方または他方の軸
方向に押圧し、スプールが中立位置で停止しないように
している。

（発明が解決しようとする問題点） このように、従来は山形凸部と圧縮コイルスプリングに
よって押圧されるボールとによってデテント機構を構成
しているので、圧縮コイルスプリングの押圧力が強い
と、山形凸部とボールとの間に働く摩擦抵抗も大とな
り、この両者間に摩耗が生じ、耐久性において問題が生
ずる。また、その摩耗がいったん現われると、スリーブ
の内部に回転自在に嵌合されているスプールが回転でき
なくなり、山形凸部およびボールの一部のみにおいてそ
の摩耗が進行する問題もある。

一方、圧縮コイルスプリングの押圧力が弱いと、ボール
から山形凸部に作用する軸方向への強制力が弱く、確実
なスプール切換作動が得られない問題がある。

本発明の目的は、デテント機構における摩耗防止と、確
実なスプール切換作動とを両立させることにある。

〔発明の構成〕

（問題点を解決するための手段） 本発明は、スリーブ46の内部にスプール31が軸方向移動
自在に嵌着され、このスプール31の端部に設けられたデ
テント機構51により、スプール31の中立位置での停止が
防止されるスプールタイプ切換弁装置において、前記デ
テント機構51は、スプール31の端部に一体的に設けられ
た軸部55にスプール作動体57が嵌着され、スリーブ46の
端部にスプリング受け体53が一体的に設けられ、前記ス
プール作動体57とスプリング受け体53との間に、一対の
ほぼＣ形に成形された丸形断面のワイヤスプリング58が
対称に嵌着され、このワイヤスプリング58は、中央の直
線状部62の両側部が相互に対向する方向に円弧状に彎曲
されるとともに、両側の端部61が直線状部62と平行に形
成され、このワイヤスプリング58の両側の端部61が、前
記スプール作動体57の側面に設けられた小孔に回動自在
に嵌着され、ワイヤスプリング58の直線状部62が、スプ
リング受け体53に直線状に形成された溝60に回動自在に
嵌着されたものである。

（作用） 本発明、スプール31が移動され中立位置に近付くしたが
って、ワイヤスプリング58がスプリング受け体53側を中
心に回動され、スプール作動体57との間で収縮され、そ
してスプール31が中立位置を僅かでも過ぎると、ワイヤ
スプリング58に蓄えられた反発力が開放され、このワイ
ヤスプリング58によるスナップアクションでスプール31
は瞬時に強制切換される。その際、ワイヤスプリング58
は、平行に形成された直線状部62および両側の端部61を
回転中心軸として、円滑かつ安定的に反転動作する。

（実施例） 以下、本発明を図面に示す実施例を参照して詳細に説明
する。

第１図に示すように、ポンプ本体１の両側部に、センタ
ーディスタ２，３により中央部を挟持されかつセンター
ロッド４により相互に連結されたダイアフラム５，６の
外周部を挟着固定し、このダイアフラム５，６を介して
内側の作動流体室７，８と外側のポンプ室９，10とを区
画形成する。

両側のポンプ室９，10には、吸込用逆止弁11，12を介し
て吸込口13を接続するとともに吐出用逆止弁14，15を介
して吐出口16を接続する。また上記両側の作動流体室
７，８には、切換弁17によって作動流体を交互に給排す
る作動流体孔18，19を臨ませる。作動流体は空気であ
る。上記切換弁17はポンプ本体１の中央部に埋込むよう
にして設置するが、図面では、外部に出してある。

また上記両側の作動流体室７，８に切換圧減圧孔21，22
を臨ませ、この両側の切換圧減圧孔21，22にダイアフラ
ム５，６による作動流体排出動作終了直前の動きに連動
してこの切換圧減圧弁21，22を開く開閉弁23，24を設け
る。この開閉弁23，24は、上記減圧孔21，22内部に弁本
体25を螺合して、この弁本体25にプッシュロッド26を遊
嵌し、このプッシュロッド26の後部小径部に弁体として
のＯリング27を嵌着してこのＯリング27を弁座28に対向
させ、さらにプッシュロッド26の後端とポンプ本体１の
対向面との間に圧縮コイルスプリング29を装着すること
により、プッシュロッド26の先端を作動流体室７，８に
突出させる。

前記切換弁17は、スプール31の両端面に上記両側の切換
圧減圧孔21，22と連通する切換圧室32，33を臨ませ、こ
の両端の切換圧室32，33と切換弁17への作動流体供給口
34とをオリフィス35，36を介して接続してなる。

上記切換弁17は、上記作動流体供給口34に直通のポート
41，42と、前記ポンプ本体１の作動流体孔18，19に直通
のポート43，44と、作動流体としての空気を大気に放出
するポート45とを備えている。なお上記各ポートは、ス
プール31と嵌合するスリーブ46に形成する。

次に第１図に示される実施例の作用を説明する。

作動流体供給口34から所定の圧力で切換弁17に空気を入
れる。

このときスプール31の位置は、ポート41が開、ポート42
が閉となる状態にあり、空気がポート41を通ってポート
43に入り、さらにポンプ本体１の作動流体室７に入る。

このとき反対側の作動流体室８の空気は孔19からポート
44を通ってポート45から大気に排気される。

したがってダイアフラム５，６およびセンターロッド４
は左方向に移動し、ダイアフラム５が左側ポンプ室９内
の流動材料を吐出口16に押出すとともに、ダイアフラム
６が吸込口13から右側のポンプ室10内に流動材料を吸込
む。

この左方向への移動の終了直前にセンターディスク３の
端面が開閉弁24のプッシュロッド４を押し、切換圧室33
の空気が、この開閉弁24、作動流体室８、孔19、ポート
44，45を順次経て大気に排気される。

このときオリフィス36での空気供給流量よりも開閉弁24
での空気排出流量の方が大きいので、スプール31の両端
の切換圧室32，33に予め等しくかかっていた圧力のバラ
ンスがくずれ、切換圧室33の方が低い圧力になる。

したがってスプール31は切換圧室33の方向へ移動し、ポ
ート41が閉、ポート42が開となり、ダイアフラム５，６
およびセンターロッド４は右方向に移動することにな
る。

この右方向への移動の終了直前においても上記作動流体
の自動切換が同様になされ、ポンプ作用が繰返し行われ
る。

次に、上記切換弁17の一端部に設けられたデテント機構
51について説明する。このデテント機構51は、スプール
31が中立位置で停止するおそれを防止するものである。

第１図に示されるように、このデテント機構51は、スリ
ーブ46の一端にパッキン52を介してスプリング受け体53
が一体的に設けられ、このパッキン52およびスプリング
受け体53の中央の穴を通してスプール31と一体的な軸部
54が前記切換室32に突出され、この軸部54よりもやや小
径の軸部55に袋ナット56が一体に螺合され、そして、上
記小径の軸部55にスプール作動体が57が、軸方向に僅か
なクリアランスをもって遊嵌されている。このスプール
作動体57の左右両側には丸形断面のワイヤスプリング58
が左右対称に嵌着され、前記スプリング受け体53の左右
両側部に一体成形された立上部59のＶ溝60に上記ワイヤ
スプリング58の反対側部が嵌着されている。

第２図に示されるように、上記ワイヤスプリング58は、
中央の直線部分に対し両側部が相互に対向する方向に円
弧状に彎曲されてほぼＣ形に成形され、両側の端部61と
中央の直線状部62とが平行に形成されている。そして、
このワイヤスプリング58の両側の端部61が、スプール作
動体57の側面に設けられた小孔に回動自在に嵌着され、
ワイヤスプリング58の直線状部62が、スプリング受け体
53に直線状に形成されたＶ溝60に回動自在に嵌着されて
いる。すなわち、このＣ形ワイヤスプリング58は、その
切欠部を介して対向する端部61が上記スプール作動体57
の小孔に嵌着され、この小孔内で回動される。さらにワ
イヤスプリング58の直線状部62が前記Ｖ溝60に嵌着さ
れ、このＶ溝60の内部で回動される。

第３図に示されるように、(A)の上方切換状態からスプ
ール31が下方に移動されると、ワイヤスプリング58がス
プリング受け体53のＶ溝60を中心に下方に回動され、ス
プール作動体57との間で収縮され、(B)に示されるよう
にスプール31がワイヤスプリング58に抗して中立位置に
近付くにしたがって、ワイヤスプリング58は、その端部
61が直線状部62に接近するように弾性変形され、内部に
復元力を蓄える。そしてスプール31が中立位置を僅かで
も過ぎると、(C)に示されるようにワイヤスプリング58
が前記Ｖ溝60を中心に下方に回動する動作が、ワイヤス
プリング58に蓄えられた反発力によるスナップアクショ
ンで瞬時になされ、スプール31は瞬時に下限まで強制切
換される。この(B)から(C)への切換において、切換前は
軸部55に嵌合されたスプール作動体57の下側にクリアラ
ンス63があるので、先ずスプール作動体57のみが軽いス
プリング力で中立位置よりも下側に反転し、その慣性力
がワイヤスプリング58の押圧力とともに軸部54の端面に
作用し、スプール31の切換が確実になされる。(D)はス
プール31が上方に移動している状態を示しているが、こ
のときは、スプール作動体57の上側にクリアランス64が
ある。

このように、前記クリアランス63，64を設けることによ
り、スプール作動体57を軽く作動でき、ワイヤスプリン
グ58が比較的弱いものであっても良い。これは、スプー
ル31の切換作動に要する空気圧を低くできることを意味
する。

〔発明の効果〕

本発明によれば、ほぼＣ形に成形されたワイヤスプリン
グによって、スプール作動体に対し直接的にスナップア
クションを与えるデテント機構を構成したから、従来の
ようなボールを用いたデテント機構と異なり摩擦による
摩耗の問題がなく、耐久性において優れている。また、
ワイヤスプリング自体の反転により軸方向の強制力が確
実に得られ、円滑なスプール切換作動が得られる。特
に、本発明のＣ形ワイヤスプリングは、平行に形成され
た直線状部および両側の端部が回転中心軸となって、円
滑かつ安定的に反転動作できる利点がある。さらに、Ｃ
形ワイヤスプリングは、直線状部をスプリング受け体の
溝に嵌着するとともに、両側の端部をやや開いてスプー
ル作動体の小孔に自身の復元力により嵌着するのみで、
特に固定することもなく一定の取付位置に簡単に装着で
き、しかも、装着後は自身の復元力により前記小孔に係
止され、この位置で安定した反転動作が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のスプールタイプ切換弁装置の一実施例
を示す断面図、第２図はそのデテント機構の平面図、第
３図はそのデテント機構の作用を示す断面図である。 31……スプール、46……スリーブ、51……デテント機
構、53……スプリング受け体、55……軸部、57……スプ
ール作動体、58……ワイヤスプリング、60……溝、61…
…両側の端部、62……直線状部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】スリーブの内部にスプールが軸方向移動自
   在に嵌着され、このスプールの端部に設けられたデテン
   ト機構により、スプールの中立位置での停止が防止され
   るスプールタイプ切換弁装置において、 前記デテント機構は、スプールの端部に一体的に設けら
   れた軸部にスプール作動体が嵌着され、スリーブの端部
   にスプリング受け体が一体的に設けられ、前記スプール
   作動体とスプリング受け体との間に、一対のほぼＣ形に
   成形された丸形断面のワイヤスプリングが対称に嵌着さ
   れ、 このワイヤスプリングは、中央の直線状部の両側部が相
   互に対向する方向に円弧状に彎曲されるとともに、両側
   の端部が直線状部と平行に形成され、 このワイヤスプリングの両側の端部が、前記スプール作
   動体の側面に設けられた小孔に回動自在に嵌着され、ワ
   イヤスプリングの直線状部が、前記スプリング受け体に
   直線状に形成された溝に回動自在に嵌着されたことを特
   徴とするスプールタイプ切換弁装置。 【請求孔２】スプール作動体は、軸部に対して軸方向に
   僅かなクリアランスをもって遊嵌されていることを特徴
   とする特許請求の範囲第１項記載のスプールタイプ切換
   弁装置。