JPH06316468A - 無機繊維強化セラミック複合材料 - Google Patents

無機繊維強化セラミック複合材料

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JPH06316468A
JPH06316468A JP5103977A JP10397793A JPH06316468A JP H06316468 A JPH06316468 A JP H06316468A JP 5103977 A JP5103977 A JP 5103977A JP 10397793 A JP10397793 A JP 10397793A JP H06316468 A JPH06316468 A JP H06316468A
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Masaki Shibuya
昌樹 渋谷
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Abstract

(57)【要約】 【目的】高い耐熱性及び機械的特性を有する無機繊維強
化セラミック複合材料を提供する。 【構成】炭化ケイ素で被覆された無機繊維とセラミック
マトリックスとからなり、無機繊維及びマトリックス
が、Si、C、Ti又はZr、及びOから構成される、
無機繊維強化セラミック複合材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高耐熱性及び高機械的
特性を有する無機繊維強化セラミック複合材料に関す
る。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】特公平2−39468号
公報には、構成元素がSi、Ti又はZr、C及びOで
ある無機繊維とセラミックスとからなる無機繊維強化セ
ラミックス複合材料が記載されている。また、特公昭6
3−48827号公報及び特公平1−9268号公報に
は、上記の無機繊維の原料であるポリチタノカルボシラ
ンあるいはポリジルコノカルボランは加熱焼成によって
セラミックスに転換されることが開示されている。
【0003】特公平2−39468号公報に記載の複合
材料のセラミックス原料として、特公昭63−4882
7号公報に開示のポリチタノカルボシラン又はポリジル
コノカルボランを使用しようとすると、これらのポリマ
−と構成元素がSi、Ti又はZr、C及びOである無
機繊維との間の反応性が高く、複合材料を製造する温度
では無機繊維が反応によって劣化して、高強度の複合材
料を得ることができない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高温の空気
中でも長時間酸化劣化することなく、さらに優れた機械
的強度を有する、無機繊維強化セラミック複合材料を提
供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、炭化ケ
イ素で被覆された無機繊維とマトリックスとからなる無
機繊維強化セラミック複合材料であり、無機繊維及びマ
トリックスが、(1)Si、M、C及びOから実質的に
なる非晶質物質、(2)β−SiC、MC、β−SiC
とMCとの固溶体及び/又はMC1-x からなる粒径が5
0nm以下の各結晶質物質、及び非晶質のSiO2 とMO
2 からなる集合体、又は(3)上記(1)の非晶質物質
と上記(2)の結晶質物質との混合物(但し、上式にお
いてMはTi又はZrを示し、xは0より大きく1未満
の数である。)で構成される無機繊維強化セラミック複
合材料が提供される。本発明によれば、さらに、上記複
合材料の表面が炭化ケイ素で被覆された無機繊維強化セ
ラミック複合材料が提供される。
【0006】本発明における無機繊維自体は公知であ
り、例えば、特公昭60−1405号公報、同58−5
286号公報、同60−20485号公報、及び同59
−44403号公報に記載の方法に従って調製すること
ができる。これら公報の記載は本明細書の一部として参
照される。代表的な調製方法としては、ポリチタノカル
ボシラン又はポリジルコノカルボシラン(以下両者を総
称して「有機金属重合体」という。)を紡糸し、紡糸繊
維を空気中での加熱あるいは電子線の照射によって不融
化し、ついで不融化繊維を焼成する方法を挙げることが
できる。
【0007】無機繊維は、そのままの形態であることも
でき、平織、朱子織、模紗織、綾織、袋織、からみ織、
らせん織、三次元織、及び不織布のような形態であるこ
ともできる。また、無機繊維の形態が織物又は不織布で
ある場合、これらを以下に説明する炭素被覆処理に供し
てもよく、無機繊維に予め炭素被覆した後に、織物又は
不織布にしてもよい。
【0008】本発明における炭化ケイ素で被覆された無
機繊維の被覆炭化ケイ素層の厚みは、一般には0.1〜
2μmである。被覆炭化ケイ素層の厚みが過度に小さい
と、本発明の複合材料の製造時における無機繊維とマト
リックスの原料となる有機金属重合体との反応による無
機繊維の劣化を抑制する効果が小さくなる。被覆炭化ケ
イ素層の厚みを過度に大きくしても、上記の抑制効果に
差異が認められなくなる。
【0009】炭化ケイ素で被覆された無機繊維は化学的
気相含浸法(CVI法)によって好適に調製することが
できる。調製法の一例をつぎに示す。まず無機繊維ある
いは無機繊維の織物をCVI法による析出温度域に加熱
する。加熱方法については特別の制限はないが、本発明
における無機繊維が半導体的特性を示すために、無機繊
維の量が少なくかつ単純な形状であるときは、装置構成
の簡単な高周波誘導加熱炉による加熱が便利である。勿
論、これ以外の反応容器の外側から加熱する外部加熱方
法も採用することができる。
【0010】加熱された無機繊維又はその織物にCVI
法の反応ガスを供給してCVI反応させて、無機繊維の
表面に炭化ケイ素を析出させる。炭化ケイ素の析出量
は、CVI反応ガスの供給量あるいは加熱時間を調節す
ることによって容易に調節することができる。
【0011】反応ガスは反応によってSiCを生成する
ものであれば特に制限はなく、ケイ素源として四塩化ケ
イ素のようなハロゲン化物を、炭素源としてはメタン、
エタンのようなアルカンを使用することができる。さら
に、モノメチルトリクロロシランのような分子内に炭素
源、ケイ素源の両方を有する反応ガスを使用することも
できる。これらの反応ガスは一般には水素をキャリアガ
スとして反応系内に導入される。反応温度は、反応ガス
の種類、反応系内の圧力などによって異なるが、通常1
000〜1800℃、好ましくは1200〜1500℃
である。
【0012】本発明におけるマトリックスは、例えば特
公昭61−49335号公報、同62−60414号公
報、同63−37139号公報、同63−49691号
公報に記載の有機金属重合体から誘導される。これら公
報の記載は本明細書の一部として参照される。有機金属
重合体はシリコ−ン樹脂を含有することもできる。シリ
コ−ン樹脂としては、シリコ−ンオイル、シリコ−ンワ
ニス及びシリコ−ンゴムのいずれをも使用することがで
きる。シリコ−ン樹脂の使用割合は、有機金属重合体1
00重量部当たり900重量部以下、特に10〜200
重量部であることが好ましい。
【0013】本発明における無機繊維及びマトリックス
はいずれも、(1)Si、M、C及びOから実質的にな
る非晶質物質、(2)β−SiC、MC、β−SiCと
MCとの固溶体及び/又はMC1-x からなる粒径が50
nm以下の各結晶質物質、及び非晶質のSiO2 とMO2
からなる集合体、又は(3)上記(1)の非晶質物質と
上記(2)の結晶質物質との混合物(但し、上式におい
てMはTi又はZrを示し、xは0より大きく1未満の
数である。)で構成されている。上記成分で構成される
無機繊維及びマトリックスは、それ自体、高い機械的強
度及び耐熱性を有している。
【0014】炭化ケイ素で被覆された無機繊維及有機金
属重合体から本発明の無機繊維強化セラミック複合材料
を調製する方法を説明する。代表的な調製法において
は、有機金属重合体又はこれとシリコ−ン樹脂との混合
物を有機溶剤に溶解又は分散させ、得られる溶液又は分
散液に炭素で被覆された無機繊維をまず浸漬する。有機
溶剤としては、通常、トルエン、キシレンのような芳香
族炭化水素が使用される。
【0015】ついで、炭化ケイ素で被覆された無機繊維
を有機金属重合体又はこれとシリコ−ン樹脂とが溶解さ
れた有機溶剤に浸漬して、有機金属重合体又はこれとシ
リコ−ン樹脂とを炭化ケイ素で被覆された無機繊維に含
浸させ、含浸された含浸物を、乾燥して有機溶剤を除去
した後、窒素、アルゴンのような不活性ガス雰囲気中で
加熱焼成する。加熱焼成温度は一般には800〜150
0℃、好ましくは1000〜1300℃である。上記の
浸漬、含浸、乾燥及び焼成は、炭化ケイ素で被覆された
無機繊維の間隙に本発明におけるマトリックスをよりよ
く充填させるために、複数回繰り返すことができる。
【0016】本発明の無機繊維強化セラミック複合材料
における、無機繊維の割合については特別の制限はない
が、一般には、30〜70容積%である。この無機繊維
強化セラミック複合材料は、前述したように、高い耐熱
性及び機械的特性を有している。高温空気中での耐酸化
性をさらに高めるために、この複合材料の表面を炭化ケ
イ素で被覆することもできる。
【0017】上記複合材料の表面への炭化ケイ素の被覆
は、化学気相蒸着法(CVD法)によって好適に行うこ
とができる。CVD法としては、常圧CVD法、減圧C
VD法、プラズマCVD法、パルスCVD法のような公
知の方法をすべて採用することができる。これらの中で
も、均質かつ緻密は炭化ケイ素皮膜を得ることのできる
減圧CVD法が好ましく採用される。減圧CVD法にお
ける反応系内の圧力は一般に1〜200torrである。圧
力が1torr未満では反応が過度に遅くなり、圧力が20
0torrを超えると皮膜の均質さ及び緻密さが損なわれる
ようになる。反応ガス及び反応温度は記述のCVI法と
同様である。
【0018】
【実施例】以下に実施例を示す。 参考例1 5リッタ−のフラスコに無水キシレン2.5リッタ−及
びナトリウム400gを入れ、窒素ガス気流下でキシレ
ンの沸点まで加熱し、ついでジメチルジクロロシラン1
リッタ−を1時間で滴下した。滴下終了の後、10時間
加熱還流して沈澱物を生成させた。この沈澱をろ過し、
メタノ−ル、ついで水で洗浄して、白色粉末のポリジメ
チルシラン420gを得た。他方、ジフェニルジクロロ
シラン750g及びホウ酸124gを窒素ガス雰囲気下
にn−ブチルエ−テル中で100〜120℃で加熱し、
生成した白色樹脂状物をさらに真空中400℃で1時間
加熱することによって、ポリボロジフェニルシロキサン
530gを得た。
【0019】ついで、上記のポリジメチルシラン250
gに上記のポリボロジフェニルシロキサン8.27gを
添加して混合し、還流管を備えた2リッタ−の石英管中
で窒素ガス気流下で350℃にまで加熱し、6時間重合
し、シロキサン結合を一部含むポリカルボシランを得
た。生成物を放冷の後、キシレンを加えて溶液として取
り出し、ろ過した後に、キシレンを蒸発させ、固体状有
機ケイ素重合体140gを得た。
【0020】得られた有機ケイ素重合体40g及びチタ
ンテトラブトキシド7.3gに、キシレン0.3リッタ
−を加え、窒素ガス気流下で120℃で0.5時間攪拌
しながら還流反応を行った。キシレンを除去した後、得
られた中間生成体をさらに300℃で窒素ガス気流下で
1時間重合して、有機金属重合体を得た。
【0021】参考例2 参考例1で得られた有機金属重合体を紡糸装置を用いて
210℃に加熱溶融して300μmの口金より400m
/分の紡糸速度で溶融紡糸して繊維を得た。紡糸繊維を
無張力下に空気中で室温から15℃/分の昇温速度で1
90℃にまで昇温し、同温度に4時間保持して不融化さ
せた。不融化繊維を窒素ガス気流下で無張力で100℃
/時間の昇温速度で1300℃まで昇温し、同温度に1
時間保持して焼成して、無機長繊維を得た。得られた無
機長繊維の構成元素の割合は、Si:49重量%、C:
29重量%、Ti:5重量%、O:15重量%であっ
た。
【0022】実施例1 参考例2で得られた無機長繊維の三次元織物[糸密度
(束/25mm):X方向15、Y方向15、Z方向1
2)]を、外部加熱型の電機炉内に入れ、加熱部の温度
を1300〜1400℃に保持した。ついで、三次元織
物にCVI反応ガスとして四塩化ケイ素:メタン:水素
=1:1:4(モル比)の混合ガスを供給して、SiC
を織物を構成する無機繊維の表面に析出させた後、反応
ガスの供給を停止した。得られたCVI処理織物を構成
する無機繊維表面の炭化ケイ素被覆層の厚さは平均1.
5μmであった。
【0023】上記のCVI処理織物を、参考例1で得ら
れた有機金属重合体100重量部、市販のシリコ−ンワ
ニス100重量部及びキシレン200重量部の混合物に
浸漬し、アルゴン雰囲気5気圧で含浸させた。さらに、
アルゴン気流下150℃でキシレンを乾燥除去した後、
1200℃で焼成した。引き続き、上記の浸漬、含浸、
乾燥及び焼成を8回繰り返して、無機繊維強化複合材料
を得た。得られた複合材料の室温引張強度は53kg/mm2
であり、1200℃の空気中に100時間保持した後の
複合材料の重量減少率は0.1重量%、引張強度は50
kg/mm2であった。1500℃の空気中に100時間保持
した後の複合材料の重量減少率は7重量%、引張強度は
22kg/mm2であった。
【0024】実施例2 実施例1で得られた複合材料を反応管内にセットし、ア
ルゴンガス流通下に1250℃に昇温した。この後、ア
ルゴンガスの供給を停止し、四塩化ケイ素:メタン:水
素=1:1:4(モル比)の混合ガスを10リッタ−/
分で流通させ、系内の圧力を80torrに保持して、2時
間複合材料表面への炭化ケイ素の被覆を行った。こうし
て得られた複合材料の室温引張強度は53kg/mm2、空気
中1200℃で1時間熱処理した後の試料の重量減少は
0.1重量%、引張強度は47kg/mm2であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D04H 3/00 B 7199−3B

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭化ケイ素で被覆された無機繊維とマトリ
    ックスとからなる無機繊維強化セラミック複合材料であ
    り、無機繊維及びマトリックスが、(1)Si、M、C
    及びOから実質的になる非晶質物質、(2)β−Si
    C、MC、β−SiCとMCとの固溶体及び/又はMC
    1-x からなる粒径が50nm以下の各結晶質物質、及び非
    晶質のSiO2 とMO2 からなる集合体、又は(3)上
    記(1)の非晶質物質と上記(2)の結晶質物質との混
    合物(但し、上式においてMはTi又はZrを示し、x
    は0より大きく1未満の数である。)で構成される無機
    繊維強化セラミック複合材料。
  2. 【請求項2】請求項1の複合材料の表面が炭化ケイ素で
    被覆されている無機繊維強化セラミック複合材料。
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