JP3154360B2 - 無機繊維強化セラミック複合材料 - Google Patents

無機繊維強化セラミック複合材料

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JP3154360B2
JP3154360B2 JP07196693A JP7196693A JP3154360B2 JP 3154360 B2 JP3154360 B2 JP 3154360B2 JP 07196693 A JP07196693 A JP 07196693A JP 7196693 A JP7196693 A JP 7196693A JP 3154360 B2 JP3154360 B2 JP 3154360B2
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inorganic
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武民 山村
昌樹 渋谷
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高耐熱性及び高強度を
有する無機繊維強化セラミック複合材料に関する。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】特開昭63−26586
2号公報には、構成元素がSi、Ti又はZr、C及び
Oである無機繊維と炭素質マトリックスとからなる無機
繊維強化炭素複合材料が開示されている。この複合材料
の室温における引張強度は約50kg/mm2と優れている
が、この複合材料は600℃以上の空気中においてはマ
トリックスとなる炭素が燃焼してその強度を維持するこ
とができない。
【0003】特公平2−39468号公報には、構成元
素がSi、Ti又はZr、C及びOである無機繊維とセ
ラミックスとからなる無機繊維強化セラミックス複合材
料が記載されている。また、特公昭63−48827号
公報及び特公平1−9268号公報には、上記の無機繊
維の原料であるポリチタノカルボシランあるいはポリジ
ルコノカルボランは加熱焼成によってセラミックスに転
換されることが開示されている。
【0004】特公平2−39468号公報に記載の複合
材料のセラミックス原料として、特公昭63−4882
7号公報に開示のポリチタノカルボシラン又はポリジル
コノカルボランを使用しようとすると、これらのポリマ
−と構成元素がSi、Ti又はZr、C及びOである無
機繊維との間の反応性が高く、複合材料を製造する温度
では無機繊維が反応によって劣化して、高強度の複合材
料を得ることができない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高温の空気
中でも酸化劣化することなく、さらに優れた機械的強度
を有する、無機繊維強化セラミック複合材料を提供す
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、炭素で
被覆された無機繊維とマトリックスとからなる無機繊維
強化セラミック複合材料であり、無機繊維及びマトリッ
クスが、 (1)Si、M、C及びOから実質的になる非晶質物
質、 (2)(i)下記、及びの粒径が50nm以下の
各結晶質物質 β−SiC MC β−SiCとMCとの固溶体及び/又はMC 1-x 及び (ii)非晶質のSiO 2 とMO 2 からなる集合体、又は (3)上記(1)の非晶質物質と上記(2)の結晶質物
質との混合物(但し、上式においてMはTi又はZrを
示し、xは0より大きく1未満の数である。)で構成さ
れる無機繊維強化セラミック複合材料が提供される。
【0007】本発明における無機繊維自体は公知であ
り、例えば、特公昭60−1405号公報、同58−5
286号公報、同60−20485号公報、及び同59
−44403号公報に記載の方法に従って調製すること
ができる。これら公報の記載は本明細書の一部として参
照される。代表的な調製方法としては、ポリチタノカル
ボシラン又はポリジルコノカルボシラン(以下両者を総
称して「有機金属重合体」という。)を紡糸し、紡糸繊
維を空気中での加熱あるいは電子線の照射によって不融
化し、ついで不融化繊維を焼成する方法を挙げることが
できる。
【0008】無機繊維は、そのままの形態であることも
でき、平織、朱子織、模紗織、綾織、袋織、からみ織、
らせん織、三次元織、及び不織布のような形態であるこ
ともできる。また、無機繊維の形態が織物又は不織布で
ある場合、これらを以下に説明する炭素被覆処理に供し
てもよく、無機繊維に予め炭素被覆した後に、織物又は
不織布にしてもよい。
【0009】本発明における炭素で被覆された無機繊維
の被覆炭素層の厚みは、一般には0.1〜2μmであ
る。被覆炭素層の厚みが過度に小さいと、本発明の複合
材料の製造時における無機繊維とマトリックスの原料と
なる有機金属重合体との反応による無機繊維の劣化を抑
制する効果が小さくなる。被覆炭素層の厚みを過度に大
きくしても、上記の抑制効果に差異が認められなくな
る。
【0010】炭素で被覆された無機繊維の調製方法につ
いては特別の制限はなく、例えばつぎのような方法で調
製することができる。その一例として、無機繊維束又は
その織物に、フェノ−ル樹脂を含浸させた後、窒素、ア
ルゴンのような不活性ガス雰囲気中で600〜1000
℃の温度で焼成する方法が挙げられる。フェノ−ル樹脂
としては、室温で有機溶剤に溶解するものが好ましく使
用され、例えば重量平均分子量が500〜20,000
であるフェノ−ル樹脂を例示することができる。フェノ
−ル樹脂の具体例としては、レゾ−ル型又はノボラック
型のフェノ−ル樹脂、クレゾ−ル・ホルマリン樹脂、変
成フェノ−ル樹脂、フェノ−ル・フルフラ−ル樹脂、レ
ゾルシン樹脂が挙げられる。上記の有機溶剤の具体例と
しては、メタノ−ル、エタノ−ルのようなアルコ−ル、
ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水
素、ヘキサン、ヘプタンのような脂肪族炭化水素が挙げ
られる。
【0011】炭素で被覆された無機繊維の調製法の別の
例として、化学的気相含浸法(CVI法)によって無機
繊維に炭素を被覆する方法が挙げられる。反応ガスとし
てメタン、エタン、プロパンのような炭化水素ガスを用
い、400torr以下の減圧下に900〜1300℃
で処理することが好ましい。
【0012】本発明におけるマトリックスは、例えば特
公昭61−49335号公報、同62−60414号公
報、同63−37139号公報、同63−49691号
公報に記載の有機金属重合体から誘導される。これら公
報の記載は本明細書の一部として参照される。有機金属
重合体はシリコ−ン樹脂を含有することもできる。シリ
コ−ン樹脂としては、シリコ−ンオイル、シリコ−ンワ
ニス及びシリコ−ンゴムのいずれをも使用することがで
きる。シリコ−ン樹脂の使用割合は、有機金属重合体1
00重量部当たり900重量部以下、特に10〜200
重量部であることが好ましい。
【0013】本発明における無機繊維及びマトリックス
はいずれも、 (1)Si、M、C及びOから実質的になる非晶質物
質、 (2)(i)下記、及びの粒径が50nm以下の
各結晶質物質 β−SiC MC β−SiCとMCとの固溶体及び/又はMC 1-x 及び (ii)非晶質のSiO 2 とMO 2 からなる集合体、又は (3)上記(1)の非晶質物質と上記(2)の結晶質物
質との混合物(但し、上式においてMはTi又はZrを
示し、xは0より大きく1未満の数である。)で構成さ
れている。上記成分で構成される無機繊維及びマトリッ
クスは、それ自体、高い機械的強度及び耐熱性を有して
いる。
【0014】炭素で被覆された無機繊維及有機金属重合
体から本発明の無機繊維強化セラミック複合材料を調製
する方法を説明する。代表的な調製法においては、有機
金属重合体又はこれとシリコ−ン樹脂との混合物を有機
溶剤に溶解又は分散させ、得られる溶液又は分散液に炭
素で被覆された無機繊維をまず浸漬する。有機溶剤とし
ては、通常、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水
素が使用される。
【0015】ついで、炭素で被覆された無機繊維を有機
金属重合体又はこれとシリコ−ン樹脂とが溶解された有
機溶剤に浸漬して、有機金属重合体又はこれとシリコ−
ン樹脂とを炭素で被覆された無機繊維に含浸させ、含浸
された含浸物を、乾燥して有機溶剤を除去した後、窒
素、アルゴンのような不活性ガス雰囲気中で加熱焼成す
る。加熱焼成温度は一般には800〜1500℃、好ま
しくは1000〜1300℃である。上記の浸漬、含
浸、乾燥及び焼成は、炭素で被覆された無機繊維の間隙
に本発明におけるマトリックスをよりよく充填させるた
めに、複数回繰り返すことができる。
【0016】本発明の無機繊維強化セラミック複合材料
における、無機繊維の割合については特別の制限はない
が、一般には、30〜70容積%である。
【0017】
【実施例】以下に実施例を示す。 参考例1 5リッタ−のフラスコに無水キシレン2.5リッタ−及
びナトリウム400gを入れ、窒素ガス気流下でキシレ
ンの沸点まで加熱し、ついでジメチルジクロロシラン1
リッタ−を1時間で滴下した。滴下終了の後、10時間
加熱還流して沈澱物を生成させた。この沈澱をろ過し、
メタノ−ル、ついで水で洗浄して、白色粉末のポリジメ
チルシラン420gを得た。他方、ジフェニルジクロロ
シラン750g及びホウ酸124gを窒素ガス雰囲気下
にn−ブチルエ−テル中で100〜120℃で加熱し、
生成した白色樹脂状物をさらに真空中400℃で1時間
加熱することによって、ポリボロジフェニルシロキサン
530gを得た。
【0018】ついで、上記のポリジメチルシラン250
gに上記のポリボロジフェニルシロキサン8.27gを
添加して混合し、還流管を備えた2リッタ−の石英管中
で窒素ガス気流下で350℃にまで加熱し、6時間重合
し、シロキサン結合を一部含むポリカルボシランを得
た。生成物を放冷の後、キシレンを加えて溶液として取
り出し、ろ過した後に、キシレンを蒸発させ、固体状有
機ケイ素重合体140gを得た。
【0019】得られた有機ケイ素重合体40g及びチタ
ンテトラブトキシド7.3gに、キシレン0.3リッタ
−を加え、窒素ガス気流下で120℃で0.5時間攪拌
しながら還流反応を行った。キシレンを除去した後、得
られた中間生成体をさらに300℃で窒素ガス気流下で
1時間重合して、有機金属重合体を得た。
【0020】参考例2 参考例1で得られた有機金属重合体を紡糸装置を用いて
210℃に加熱溶融して300μmの口金より400m
/分の紡糸速度で溶融紡糸して繊維を得た。紡糸繊維を
無張力下に空気中で室温から15℃/分の昇温速度で1
90℃にまで昇温し、同温度に4時間保持して不融化さ
せた。不融化繊維を窒素ガス気流下で無張力で100℃
/時間の昇温速度で1300℃まで昇温し、同温度に1
時間保持して焼成して、無機長繊維を得た。得られた無
機長繊維の構成元素の割合は、Si:49重量%、C:
29重量%、Ti:5重量%、O:15重量%であっ
た。
【0021】実施例1 参考例2で得られた無機長繊維の三次元織物[糸密度
(束/25mm):X方向15、Y方向15、Z方向1
2)]に、フェノ−ルホルムアルデヒド樹脂(ベルパ−
ル Sタイプ、鐘紡績株式会社)をアルゴン雰囲気中で
溶融させた溶融物を含浸させ、そのまま200℃で加熱
硬化させた後、1000℃で炭化させた。得られた成形
物を、参考例1で得られた有機金属重合体100重量
部、市販のシリコ−ンワニス100重量部及びキシレン
200重量部の混合物に浸漬し、アルゴン雰囲気5気圧
で含浸させた。さらに、アルゴン気流下150℃でキシ
レンを乾燥除去した後、1200℃で焼成した。引き続
き、上記の浸漬、含浸、乾燥及び焼成を8回繰り返し
て、無機繊維強化複合材料をえた。得られた複合材料の
室温引張強度は52kg/mm2であり、1000℃の空気中
に1時間保持した後の複合材料の重量減少率は0.5重
量%、引張強度は50kg/mm2であった。
【0022】比較例1 実施例1と同じ無機長繊維の三次元織物に、実施例1で
使用したフェノ−ルホルムアルデヒド樹脂の含浸、硬化
及び炭化を6回繰り返して、無機繊維強化複合材料を得
た。得られた複合材料の室温引張強度は50kg/mm2であ
り、1000℃の空気中に1時間保持した後の複合材料
の重量減少率は45重量%であり、マトリックスである
炭素がすべて燃焼し、元の三次元織物と同様の外観とな
った。
【0023】比較例2 実施例1と同じ無機長繊維の三次元織物に、フェノ−ル
ホルムアルデヒド樹脂の含浸、硬化及び炭化を行うこと
なく、実施例1で使用した、有機金属重合体、シリコ−
ンワニス及びキシレンの混合物の浸漬、含浸、乾燥及び
焼成を9回繰り返して、無機繊維強化複合材料を得た。
得られた複合材料の室温引張強度は10kg/mm2であり、
顕微鏡観察の結果、マトリックスとの反応による無機長
繊維の劣化が観測された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特許2547112(JP,B2) 特許2547111(JP,B2) 特公 平7−57711(JP,B2) 特公 平6−72052(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/52 C04B 35/80

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素で被覆された無機繊維とマトリック
    スとからなる無機繊維強化セラミック複合材料であり、
    無機繊維及びマトリックスが、 (1)Si、M、C及びOから実質的になる非晶質物
    質、 (2)(i)下記、及びの粒径が50nm以下の
    各結晶質物質 β−SiC MC β−SiCとMCとの固溶体及び/又はMC 1-x 及び (ii)非晶質のSiO 2 とMO 2 からなる集合体、又は (3)上記(1)の非晶質物質と上記(2)の結晶質物
    質との混合物(但し、上式においてMはTi又はZrを
    示し、xは0より大きく1未満の数である。)で構成さ
    れる無機繊維強化セラミック複合材料。
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