JPH09241929A - 中空無機繊維およびその製造方法 - Google Patents

中空無機繊維およびその製造方法

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JPH09241929A
JPH09241929A JP8050456A JP5045696A JPH09241929A JP H09241929 A JPH09241929 A JP H09241929A JP 8050456 A JP8050456 A JP 8050456A JP 5045696 A JP5045696 A JP 5045696A JP H09241929 A JPH09241929 A JP H09241929A
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JP
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fiber
carbon
hollow inorganic
metal
inorganic fiber
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JP8050456A
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English (en)
Inventor
Koichi Imai
宏一 今井
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Nikkiso Co Ltd
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Nikkiso Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 中空状態の無機繊維およびその製造方法を提
供すること。 【解決手段】 内部が空洞であり、繊維外径が大きくと
も15μmであり、内部空洞の体積が繊維全体の体積の
20〜80%であることを特徴とする中空無機繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】この発明は中空無機繊維およびそ
の製造方法に関する。さらに詳しくは、それ自体軽量で
あり、しかも無機繊維であることにより難燃性であると
いう特性を有することにより、軽量化および難燃化を達
成することのできる複合材料の形成に好適な中空無機繊
維およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、複合材料には無機充填材が多用さ
れている。この無機充填材として、金属酸化物、金属炭
化物、金属窒化物の粉末、粒子、繊維、ウイスカー等が
使用される。また、複合材料におけるマトリックスとし
ては、合成樹脂、ゴム、金属、セラミックス等が使用さ
れている。複合材料は構造材、耐熱材、摺動材その他各
種の用途に採用される。
【0003】しかしながら、通常の場合、このような無
機充填材を配合してなる複合材料は、軽量化を達成する
ことができない。というのは、無充填材は一般に比重が
大きいからである。複合材料の軽量化を達成するために
比重の小さな無機充填材の例としては、球状のガラス中
を中空にしたガラスバルーンがある位である。
【0004】一般に繊維を中空にする技術としては、人
工透析用ホローファイバーの製造技術があるが、直径の
小さな無機繊維を中空にする技術については見当たらな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、中
空状態の無機繊維およびその製造方法を提供することに
ある。この発明の目的は、比重の小さな、しかも直径の
小さな中空状態の無機繊維およびその製造方法を提供す
ることにある。この発明の目的は高強度の中空無機繊維
およびその製造方法を提供することにある。この発明の
目的はそのままの状態で緩衝材、耐火性断熱材、触媒担
体、吸着材等の用途を有する中空無機繊維およびその製
造方法を提供することにある。この発明の目的は、プラ
スチック、ゴム、金属およびセラミックスのいずれかを
マトリックスとして複合することにより軽量で高強度の
複合材料を形成することのできる中空無機繊維およびそ
の製造方法を提供することにある。長繊維であるところ
の他の種類の炭素繊維、無機繊維、または有機繊維と併
用して剪断および圧縮に対する大きな強度を有する複合
材料とすることのできる中空無機繊維およびその製造方
法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の請求項1に記載の発明は、内部が空洞であり、繊維外
径が大きくとも15μmであり、内部空洞の体積が繊維
全体の体積の20〜80%であることを特徴とする中空
無機繊維であり、請求項2に記載の発明は、前記中空無
機繊維が600℃以上の融点を有する金属または炭素を
除く半金属元素で形成されてなる前記請求項1に記載の
中空無機繊維であり、請求項3に記載の発明は、前記中
空無機繊維が金属または炭素を除く半金属元素の酸化
物、窒化物、炭化物および/またはこれらの混合物で形
成されてなる前記請求項1に記載の中空無機繊維であ
り、請求項4に記載の発明は、炭素繊維の表面を、金
属、金属含有化合物、炭素を除く半金属元素、および炭
素を除く半金属元素を含有する化合物よりなる群から選
択される少なくとも一種の化合物で被覆した後に、前記
炭素繊維を除去することを特徴とする前記請求項1に記
載の中空無機繊維の製造方法であり、請求項5に記載の
発明は、炭素繊維の表面を、金属、金属含有化合物、炭
素を除く半金属元素、および炭素を除く半金属元素を含
有する化合物よりなる群から選択される少なくとも一種
の化合物で被覆し、高温熱処理により、炭素繊維の表面
に存在する金属または金属含有化合物を炭化物に変え、
次いで前記炭素繊維を除去することを特徴とする前記請
求項1に記載の中空無機繊維の製造方法であり、請求項
6に記載の発明は、前記炭素繊維が小さくとも直径3μ
mの平均繊維長を有してなる前記請求項4または5に記
載の中空無機繊維の製造方法であり、請求項7に記載の
発明は、前記炭素繊維が大きくとも直径5μmである気
相成長炭素繊維またはウイスカー状炭素である前記請求
項4または5に記載の中空無機繊維の製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
−中空無機繊維− この発明にかかる中空無機繊維は、内部が空洞である。
この「空洞」という意味は、繊維の内部が中実ではない
という意味に理解されるべきである。中空無機繊維にお
ける空洞という状態として以下のような例を挙げること
ができる。この発明において、たとえば空洞を有するあ
る中空無機繊維は、繊維の一端から他端へと貫通する貫
通孔を有し、ある中空無機繊維は、繊維の一端から内部
に向かって開口するが他端部が閉鎖された状態の空洞を
有し、ある中空無機繊維は、両端が閉鎖状態になっては
いるが内部が空洞であり、ある中空無機繊維は、内部に
空間があり、その内部空間は周側面に開口する一つまた
は複数の穴によって外部と連通状態になっているといっ
た空洞を有する。
【0008】この発明の中空無機繊維の平均外径は大き
くても15μmであり、好ましくは15〜5μmであ
り、内部空洞の体積が繊維全体の体積の20〜80%で
あり、好ましくは30〜70%である。もっとも、この
中空無機繊維の平均外径は、この中空無機繊維の製造方
法に使用される原料の一例である炭素繊維の種類に応じ
て決定される。また、この中空無機繊維の好ましい平均
外径は、この中空無機繊維の用途に応じて適宜に決定さ
れる。たとえば、(1) 外径が15〜8μmであり、内径
が前記外径よりも小さくかつ5〜9μmの範囲内であ
り、繊維自体の体積の25〜81%が内部空洞の体積で
ある中空無機繊維、(2) 外径が5〜1μmであり、内径
が前記外径よりも小さくかつ0.8〜1.8μmの範囲
内であり、繊維自体の体積の21〜81%が内部空洞の
体積である中空無機繊維を例示することができる。
【0009】この中空無機繊維の空洞の体積が前記範囲
内にあると、この中空無機繊維を複合材料用の充填材と
して使用する場合に、充填材としての強度を維持しつ
つ、複合材料に所定の強度を付与し、しかも複合材料の
軽量化を達成し、しかも複合材料に耐熱性を付与するこ
とができる。
【0010】なお、ここで、この中空無機繊維の平均外
径、平均内径および繊維自体の体積は、走査型電子顕微
鏡で撮影した写真を元に測定することができ、また、内
部空洞の体積も容易に測定可能である。
【0011】この発明の中空無機繊維は、金属、炭素を
除く半金属元素、これら金属もしくは炭素を除く半金属
元素の酸化物、これら金属もしくは炭素を除く半金属元
素の窒化物、これら金属もしくは炭素を除く半金属元素
の炭化物、およびこれらの混合物のいずれか一種または
二種以上で形成されるのが好ましい。
【0012】金属で形成された中空無機繊維は、これを
使用して得られた複合材料に導電性、軽量性、難燃性な
いし不燃性、所定の強度を付与することができるので有
利である。炭素を除く半金属元素で形成された中空無機
繊維、金属もしくは炭素を除く半金属元素の酸化物、こ
れら金属もしくは炭素を除く半金属元素の窒化物、これ
ら金属もしくは炭素を除く半金属元素の炭化物、または
これらの混合物で形成された中空無機繊維も、その特性
故の利点があり、その利点は実験等により確認される。
【0013】前記金属および炭素を除く半金属元素とし
ては、たとえば第IB族に属する元素たとえばCu、A
g、Au、第IIB族に属する元素たとえばZn、Cd、
第III B族に属する元素たとえばB、Al、第IVA族に
属する元素たとえばTi、Zr、第IVB族に属する元素
たとえばSi、第VB族に属する元素たとえばAs、S
b、第VIA族に属する元素たとえばCr、Mo、W、第
VIB族に属する元素たとえばSe、Te、第IIX 族に属
する元素たとえばFe、Co、Niなどを挙げることが
できる。
【0014】これらの中でも好ましいのはCu、Ag、
Au、Al、Ti、Si、Cr、Mo、W、Fe、C
o、およびNiなどであり、特に好ましいのは第IIX 族
に属する元素殊にNi、である。
【0015】金属含有化合物、および炭素を除く半金属
元素を含有する化合物としては、前記金属の酸化物、窒
化物、炭化物、および炭素を除く半金属元素を含有する
半金属の酸化物、窒化物、炭化物等を挙げることがで
き、たとえばアルミナ、酸化亜鉛、クロム酸化物、コバ
ルト酸化物、酸化ケイ素(シリカ)、酸化ジルコニウ
ム、酸化スズ、酸化タングステン、酸化チタン、酸化
鉄、酸化ニッケル、酸化モリブデンなどの酸化物、炭化
ケイ素、炭化タングステン、炭化チタン、炭化ホウ素な
どの炭化物、窒化チタン、窒化アルミニウム、窒化ケイ
素などの窒化物、あるいはサイアロンなどの酸化窒化物
を挙げることができる。
【0016】これらの中でも好ましいのは、第IVA族に
属する元素の窒化物殊に窒化チタン、第IVB族に属する
元素の酸化物殊に酸化ケイ素、第IVB族に属する元素の
炭化物殊に炭化ケイ素である。
【0017】また、中空無機繊維は、600℃以上の融
点を有する金属または炭素を除く半金属元素で形成され
ているのも好ましい。このような融点を有する金属また
は炭素を除く半金属元素で形成された中空無機繊維は、
耐熱性である等の利点を有する。
【0018】この発明の中空無機繊維は、それ自体が、
金属、金属含有化合物、炭素を除く半金属元素、および
炭素を除く半金属元素を含有する化合物よりなる群から
選択される少なくとも一種の化合物で形成されるのであ
るが、後述する製造方法によっては、内部側が炭化物で
あり、外部側が炭素を除く半金属元素または金属で形成
されることもある。つまり、この発明の中空無機繊維
は、その軸線に直交する断面において、内側表面から外
側表面に向かって炭化物から金属または炭素を除く半金
属元素へと変化する傾斜材料であっても良い。このよう
な傾斜材料となった中空無機繊維の好適例として、中空
無機繊維の内側が炭化ケイ素であり、外側に向かうにつ
れて炭素量が減少し、最外部がケイ素であるような中空
無機繊維が挙げられる。
【0019】−中空無機繊維の製造方法− この発明に係る中空無機繊維は、炭素繊維の表面を、金
属、金属含有化合物、炭素を除く半金属元素、および炭
素を除く半金属元素を含有する化合物よりなる群から選
択される少なくとも一種の化合物で被覆する工程(コー
ティング工程)および、前記コーティング工程の後に、
内部に存在する炭素繊維を除去する工程(炭素繊維除去
工程)により、製造されることができる。
【0020】コーティング工程 この発明の方法に使用される原料としての炭素繊維とし
ては、たとえばPAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、
およびセルロース系炭素繊維等の所謂炭素繊維、ならび
に、気相成長炭素繊維およびウイスカー状炭素等を挙げ
ることができる。気相成長炭素繊維としては、基板法気
相成長炭素繊維、流動法気相成長炭素繊維および流動法
気相成長炭素繊維を更に黒鉛化した黒鉛化気相成長炭素
繊維等を挙げることができる。
【0021】この発明の方法においては、前記炭素繊維
の中でも、気相成長炭素繊維が好ましく、特に流動気相
成長炭素繊維および黒鉛化気相成長炭素繊維が好まし
い。気相成長炭素繊維は繊維軸に平行に繊維中心に5〜
20nmの中空孔を有している為、後述するの炭素繊
維除去工程で繊維が中心部から酸化除去されるので効率
が良い。
【0022】前記気相成長炭素繊維は、いわゆる基板法
と流動気相法とのいずれかにより製造されることができ
る。前記基板法は、基板に触媒金属たとえば遷移金属も
しくは遷移金属化合物を担持させ、これを高温度に加熱
しながら、この基板上に炭素源ガスである炭化水素ガス
を流通させることにより、基板表面に炭素繊維を生成さ
せる方法である。前記流動気相法は、基板を使用せず、
触媒金属になり得る金属化合物と炭素源である炭素化合
物とを、あるいは触媒金属と炭素源となる炭化水素成分
を含有する有機金属化合物を気化して、反応管中で所定
の高温度に加熱することにより、空間中で炭素繊維を生
成させる方法である。具体的には、たとえば特開昭60
−54998号公報、特開昭60−215816号公
報、特開昭60−224815号公報、特開昭61−7
0014号公報、特開昭63−42920号公報等にお
いて記載されている方法が挙げられる。
【0023】また、この発明の方法に使用される炭素繊
維としては、平均直径が小さくとも3μmである長繊維
または短繊維も好適である。このような炭素繊維は、中
空孔径の大きい中空無機繊維が製造できるという利点が
ある。
【0024】この発明の方法に使用される炭素繊維とし
ては、平均直径が大きくとも5μmの気相成長炭素繊維
またはウイスカー状炭素も好ましい。このような炭素繊
維は中空孔径の小さい中空無機繊維が製造できるという
利点がある。
【0025】この発明の方法において、中空無機繊維を
製造するに当たり、芯材として炭素繊維を選択したこと
は特筆するべきことである。というのは、炭素繊維の表
面に後述するような被覆膜を形成する反応において炭化
反応することがあったとしてもそのような炭化反応は炭
化物被膜を形成する上で差し支えのないことであり、ま
た、酸化反応することがあったとしても酸化反応により
ガス化して消失するのでこのような酸化反応も差し支え
のないことであり、このような炭化反応あるいは酸化反
応を除き、炭素繊維は被膜形成反応において安定である
からである。
【0026】炭素繊維の表面に形成されるところの、金
属、金属含有化合物、炭素を除く半金属元素、および炭
素を除く半金属元素を含有する化合物よりなる群から選
択される少なくとも一種の化合物の被覆は、金属単体、
金属含有化合物、炭素を除く半金属元素、および炭素を
除く半金属元素を含有する化合物を原料にして形成する
ことができる。
【0027】原料としての、金属および炭素を除く半金
属元素としては、前述したように、たとえば第IB族に
属する元素たとえばCu、Ag、Au、第IIB族に属す
る元素たとえばZn、Cd、第III B族に属する元素た
とえばB、Al、第IVA族に属する元素たとえばTi、
Zr、第IVB族に属する元素たとえばSi、第VB族に
属する元素たとえばAs、Sb、第VIA族に属する元素
たとえばCr、Mo、W、第VIB族に属する元素たとえ
ばSe、Te、第VIII族に属する元素たとえばFe、C
o、Niなどを挙げることができる。
【0028】金属化合物および炭素を除く半金属元素を
含有する化合物としては、これらのハロゲン化物および
有機化合物等を挙げることができる。
【0029】第IVB族に属する元素であるSiを含有す
る重合可能な有機化合物は特に興味ある化合物である。
このSi含有の重合可能な有機化合物を炭素繊維の表面
に被覆した後に、このSi含有の重合可能な有機化合物
を重合して高分子化し、張力下に加熱することにより酸
化すると、強度の大きな中空繊維を得ることができる。
【0030】前記Siを含有する重合可能な有機化合物
として、たとえばビニル基等の重合性二重結合を有する
シリコン化合物、ビニル基等の重合性二重結合を有する
シリコン化合物の縮合オリゴマーまたは重合オリゴマー
であってさらにラジカル重合可能なシリコン化合物等を
挙げることができる。具体的には、前記Siを含有する
重合可能な有機化合物として、シラノールエステル類、
シラ炭化水素類、シラザン類、シルチアン類、シロキサ
ン類、それらの誘導体等の内ビニル基等の重合性二重結
合を有するシリコン化合物を挙げることができる。
【0031】炭素繊維の表面に、金属、金属含有化合
物、炭素を除く半金属元素、および炭素を除く半金属元
素を含有する化合物よりなる群から選択される少なくと
も一種の化合物の被膜を形成する方法としては、たとえ
ばメッキ法、イオンプレーティング法、スパッタリング
法、CVD法、プラズマCVD法などを挙げることがで
きる。
【0032】前記メッキ法は、化学メッキ法および電気
メッキ法のいずれであっても良く、Ni、Au、Agお
よび銅などの金属被膜を炭素繊維の表面に形成すること
ができる。
【0033】前記イオンプレーティング法は、Al、A
u、Ag、CuおよびSiなどの、抵抗加熱および高周
波誘導加熱で被膜形成するに足る蒸気圧を有する金属
を、被膜として、炭素繊維の表面に、形成することがで
きる。
【0034】また、N2 、NH3 、CH4 、O2 等のい
ずれかのうちの少なくとも一種を加えてこのイオンプレ
ーティング法を行なうと、反応性のある金属、たとえば
Al、Si、Tiなどは、AlN、Si34 、Ti
N、Al43 、SiC、TiC、Al23 、SiO
2 、TiO2 などで示される無機化合物として被膜を炭
素繊維の表面に形成することができる。
【0035】前記スパッタリング法は、蒸発困難なN
i、Ti、Mo、Taなどの金属、および酸化物、窒化
物、炭化物、これらの混合物であるセラミックなどを被
膜として炭素繊維の表面に形成することができる。
【0036】前記CVD法は、AlCl3 、SiCl
4 、FeCl3 などのハロゲン化物、および蒸発分解す
る(C253 Alなどの有機化合物を被膜として炭
素繊維の表面に形成することができる。
【0037】前記プラズマCVD法は、前記CVD法に
プラズマエネルギーを加えて前記ハロゲン化物および有
機化合物を被膜として炭素繊維の表面に形成することが
できる。これは、前記CVD法において炭素繊維に被膜
が形成されるよりも、炭化反応が進行する化合物におい
て、好適な被膜の形成方法である。
【0038】また、N2 などの反応性ガスを混入させて
窒化物の被膜を形成することができる。
【0039】上記以外の方法として、たとえばSiを含
有する重合可能な有機化合物を被覆形成材料に採用する
ときには、たとえば、このSiを含有する重合可能な有
機化合物またはその溶液に、ラジカル重合触媒を溶解
し、炭素繊維をその中に浸漬し、引き上げた後に必要に
応じて乾燥し、不活性ガス中で50〜150℃に加熱す
ることにより、前記Siを含有する重合可能な有機化合
物を重合させる。炭素繊維が長繊維の場合には少なくと
も重合の後期において張力をかけることも好ましい。
【0040】炭素繊維除去工程 前記したコーティング工程において炭素繊維に被膜が形
成された化合物から、炭素繊維を除去することにより、
この発明の中空無機繊維が得られる。
【0041】前記炭素繊維を除去する方法としては、
(1)表面に被膜が形成された炭素繊維を、酸素を含ん
だ雰囲気中に入れ、350〜1000℃で処理するこ
と、(2)表面に被膜が形成された炭素繊維を、NO、
NO2 などの酸化性ガスを含む雰囲気中に入れ、350
〜1000℃で処理すること、(3)濃硫酸、濃硝酸あ
るいはH22 等の酸化剤を加えた水溶液、または重ク
ロム酸、過塩素酸等の酸化剤を含む水溶液に、表面に被
膜が形成された炭素繊維を入れて加熱または沸騰環流の
処理(この発明において溶液酸化処理と称する。)を行
なうこと、等を挙げることができる。
【0042】これらの中でも、容易に中空無機繊維を製
造できるという理由により、(1)の方法が好ましい。
【0043】なお、Siを含有する重合可能な有機化合
物の重合体で被覆された炭素繊維は前記(1)および
(2)の炭素繊維除去工程においてその被覆がセラミッ
ク化されるのであるが、炭素繊維が長繊維であるときに
は張力をかけるのが好ましい。
【0044】−中空無機繊維の用途− この発明に係る中空無機繊維は、前述したように、無機
化合物で形成され、しかも特定の繊維外径および内部空
洞の体積を有しているので、この中空無機繊維の集合体
を断熱材、緩衝材として好適に使用される。また、中空
無機繊維を形作る素材が多孔質である場合には、触媒の
担体としても好適に使用されることができる。
【0045】この発明に係る中空無機繊維は、これがマ
トリックスとしてプラスチック、ゴム、金属、あるいは
セラミックス中に分散されると、マトリックス材料およ
び中空無機繊維が炭化物であるか酸化物であるか等の種
類に応じて、様々な特性を有する複合材料が形成され
る。
【0046】この発明に係る中空無機繊維の利用とし
て、この発明に係る中空無機繊維、金属酸化物の粉末、
シリコーン樹脂、シランカップリング剤、有機過酸化
物、エチレン性不飽和二重結合を少なくとも2個分子中
に有するラジカル重合可能な単量体および溶剤を含有す
るマトリックス用組成物を挙げることができる。
【0047】このマトリックス用組成物は、液状のま
ま、あるいはそのシート状物をセラミック繊維のトウま
たはその製品に含浸し、あるいは加熱浸透することによ
りセラミックス系複合材料を形成することができる。
【0048】このマトリックス用組成物につき、さらに
詳述する。
【0049】このマトリックス用組成物における中空無
機繊維はこの発明に係る中空無機繊維として既に詳述し
たのでその詳細な説明を省略する。
【0050】前記金属酸化物としては、たとえばシリ
カ、アルミナ、酸化チタン、酸化リチウム、酸化亜鉛、
酸化スズ、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、三酸化
ホウ素、ジルコニア、部分安定化ジルコニア、五酸化バ
ナジウム、酸化バリウム、イットリアおよびフェライト
などの単一酸化物、ならびに、ムライト、ステアタイ
ト、フォルステライト、コージュエライト、チタン酸ア
ルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウ
ム、チタン酸カリウムおよびチタン酸ジルコン酸鉛など
の複合酸化物を挙げることができる。これらは、その一
種を単独で使用することもできるし、またその二種以上
を併用することもできる。
【0051】これら金属酸化物の中でも好ましいのは、
アルミナ、シリカまたは酸化チタンより選択される少な
くとも一種を含む酸化物またはこれらから構成される複
合酸化物である。
【0052】好適な金属酸化物は、その平均粒径が1μ
m以下、特に0.5μm以下である。このような微細な
粒径を有する金属酸化物の微粉末は、主にシリコーン樹
脂、有機過酸化物およびエチレン性不飽和二重結合を少
なくとも2個分子中に有するラジカル重合可能な単量体
により形成される三次元網目構造中に、シリコーン樹脂
によって稠密に接合された状態で包含され、それ故に物
性に優れた複合材料に容易に成形することができる。
【0053】前記シリコーン樹脂としては、二重鎖構造
を有する可溶性シロキサン重合体を挙げることができ、
この可溶性シロキサン重合体は、ホモポリマーであって
もコポリマーであっても良い。この可溶性シロキサン重
合体は、前記金属酸化物のバインダーとして作用する。
なお、この二重鎖構造を有する可溶性シロキサン重合体
はオリゴマーと称されるものを含む。
【0054】二重鎖構造を有するシロキサン重合体を調
製するための原料としては、化学式R’Si(OR)3
(式中、Rはメチル基、エチル基などのアルキル基、
R’はアルキル基、フェニル基、ビニル基、シクロペン
チル基、シクロヘキシル基、メタクリロイル基などの脂
肪族、脂環族または芳香族の置換基を表す。)で示され
るトリアルコキシシランが挙げられる。
【0055】このトリアルコキシシランとして、メチル
トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、プロ
ピルトリメトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシ
ラン、メチルトリブトキシシラン、オクチルトリエトキ
シシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエ
トキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシランなどを挙げることができる。
【0056】この二重鎖構造を有する可溶性シロキサン
重合体は、たとえばJ.F.Brown et at., J. Polymer Sc
i., Part C No.1 p.83 (1963)に記載されている公知の
方法により、一種または二種以上のトリアルコキシシラ
ンを酸触媒を用いて加水分解し、縮合することにより調
製することができる。これらはポリシルセスキオサンと
も呼ばれ、一般的には以下の化学式で示される。
【0057】
【化1】
【0058】ただし、R1 は水素原子または前記化学式
R’Si(OR)3 中のRを表し、R2 およびR3 は前
記化学式R’Si(OR)3 中のR’を表す。
【0059】ポリシルセスキオキサンとしては、たとえ
ば、ポリメチルシルセスキオキサン、ポリフェニルシル
セスキオキサン、ポリビニルメチルシルセスキオキサ
ン、ポリフェニルメチルシルセスキオキサン、ポリフェ
ニルプロピルシルセスキオキサン、ポリメチル−n−ヘ
キシルシルセスキオキサン、ポリフェニルメタクリロキ
シプロピルシルセスキオキサンなどを挙げることができ
る。
【0060】これらの中でも好ましいのは、ポリフェニ
ルシルセスキオキサン、ポリフェニルメチルシルセスキ
オキサン、ポリフェニルエチルシルセスキオキサンであ
る。共重合体である場合、フェニル基とメチル基または
エチル基とのモル比(フェニル基/メチル基またはエチ
ル基)が2/1〜1/2であるのが好ましい。これら
は、加熱時の熱収縮率が小さく、しかも製造が容易であ
るからである。
【0061】バインダーとして好ましい前記シロキサン
重合体の分子量は特に限定されるものではないが、通常
1,000以上であるのが好ましく、特に1,500以
上であるのが好ましい。
【0062】前記シランカップリング剤としては、エチ
レン性不飽和二重結合を少なくとも1個分子中に有する
3官能性シラン化合物を挙げることができる。このよう
な3官能性シラン化合物として、ビニルトリス(β−メ
トキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、
ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルト
リエトキシシランなどを挙げることができる。これらの
中でも、γ−メタクリロキシアルキルトリアルコキシシ
ランが好ましく、特にγ−メタクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエト
キシシランが好ましい。
【0063】前記有機過酸化物としては、ジクミルパー
オキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t
−ブチルパーオキサイド、α,α−ビス(t−ブチルパ
ーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルパー
オキシジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−
トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチル
パーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオ
キシ)オクタンなどを挙げることができる。
【0064】これらの過酸化物は硬化のための加熱時に
前記二重鎖構造を有する可溶性シロキサン重合体および
エチレン性不飽和二重結合を少なくとも2個分子中に有
するラジカル重合可能な単量体の重合開始剤として機能
する。
【0065】前記エチレン性不飽和二重結合を少なくと
も2個分子中に有するラジカル重合可能な単量体として
は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン
グリコールジイタコネート、テトラメチレングリコール
ジイタコネート、エチレングリコールジクロトネート、
エチレングリコールジマレエート、トリメチロールプロ
パントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタン
トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
(メタ)アクリレートなどの重合性不飽和カルボン酸の
エステル、特に多価アルコールとのエステルを挙げるこ
とができる。なお、上記例示において、(メタ)アクリ
レートなる表現は、アクリレートとメタクリレートとの
両者を示すものである。
【0066】これらの中でも、硬化によって前記シリコ
ーン樹脂により架橋構造を形成させるに当たって、架橋
の鎖長を適正に長くし、硬化前のこのマトリックス用組
成物に優れたタック性、すなわちシート上に形成された
マトリックス用組成物同士を積層してこれを加圧するこ
とにより接着する性質をもたせるというこの成分の添加
目的に対する効果に優れていることと、ラジカル重合性
に優れることから、多価アルコールのジ(メタ)アクリ
レートおよび/または多価アルコールのトリ(メタ)ア
クリレートたとえばトリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレートが好ましい。
【0067】このマトリックス用組成物は、有機溶媒を
含有しても良い。有機溶媒を含有することにより前記各
成分が有機溶媒中に溶解または分散されて、各成分の均
一な分布が助長される。
【0068】前記有機溶剤は、各構成成分の種類とそれ
らの混合割合によって適宜にその種類を選択してよい。
このマトリックス用組成物に好適に使用される有機溶媒
は、アルコール、芳香族炭化水素、アルカン、ケトン、
ニトリル、エステルおよびグリコールエステルなどから
選択される。有機溶剤は、このマトリックス用組成物の
硬化前に完全に除去されるのが好ましく、したがって、
低沸点のアセトンのような溶剤が好ましいが、必ずしも
これに限定されるものではない。なお、有機溶媒はこれ
らの一種を単独で使用することもできるし、またその二
種以上を併用することもできる。
【0069】このマトリックス用組成物(有機溶媒を除
く。)中における各成分の配合割合の一例を以下のよう
に示すことができる。
【0070】すなわち、配合割合として、この発明に係
る中空無機繊維については10〜50重量部、金属酸化
物の粉末については350〜750重量部、好ましくは
450〜650重量部、シリコーン樹脂については80
〜170重量部、好ましくは100〜150重量部、シ
ランカップリング剤については25〜125重量部、好
ましくは50〜100重量部、有機過酸化物については
1〜4重量部、好ましくは1.5〜3重量部、エチレン
性不飽和二重結合を少なくとも2個分子中に有するラジ
カル重合可能な単量体については25〜125重量部、
好ましくは50〜100重量部である。
【0071】前記有機溶剤の配合割合は、得ようとする
マトリックス用組成物の所望粘度に応じて適宜に決定さ
れる。
【0072】前記マトリックス用組成物は、その液また
はシート状物をセラミック繊維のトウまたは無機繊維の
製品に含浸あるいは加熱浸透することによりプリグレグ
が形成される。
【0073】前記セラミック繊維としては、ガラス繊
維、アルミナ繊維、シリカ繊維、チラノ繊維(Si−T
i−C−O)、ならびにアルミナおよび/またはシリカ
を主成分とする各種繊維よりなる酸化物系無機繊維を挙
げることができる。これらの中でもガラス繊維が好まし
く、特に第1鉄原子の含有量が多くとも0.5重量%の
ガラス繊維が好ましい。
【0074】セラミック繊維は、市販品を使用する場合
には、付着しているサイジング剤を除去してから使用す
ることが好ましい。
【0075】セラミック繊維は、トウ引き揃え物とし
て、あるいは編物、織物、不織布などの製品の形態とし
て使用される。
【0076】前記プリプレグは、前記マトリックス用組
成物の液に、セラミック繊維のトウまたはその製品を浸
漬し、余分の液を絞り出した後に、熱風を吹き付ける
か、あるいは乾燥機中を通過させて溶剤を除去すること
により、得ることができる。
【0077】セラミック繊維としてウイスカーおよび/
または短繊維を使用するときには、マトリックス用組成
物の液にウイスカーおよび/または短繊維を混合し、得
られる混合物を所定平面上に流延し、溶剤を乾燥除去す
ることによりプリプレグを得ることもできる。
【0078】また、別法として、マトリックス用組成物
の液から所定の坪量を有するシート状物(この用語は、
概念としてフィルム状物を含む。)を形成し、セラミッ
ク繊維のトウまたはセラミック繊維の製品の片面または
両面に前記シート状物を重ね合わせ、あるいは前記シー
ト状物とセラミック繊維のトウまたはセラミック繊維の
製品とを交互に重ね合わせ、これを通常120℃以下の
温度に加熱することによりシート状物の粘度を低下させ
ながら、セラミック繊維間にマトリックス用組成物を浸
透させることにより、シート状のプリプレグが得られ
る。
【0079】また、セラミック繊維が短繊維であるとき
には、マトリックス用組成物の液にセラミック繊維を均
一に分散混合し、平面上あるいはネット上にシート状に
展延し、溶剤を除去することによりシート状のプリプレ
グを得ることができる。
【0080】このようにして得られたプリプレグは、積
層形成に十分なタック性とドレープ性と作業上十分なア
ウトタイム性とを有している。
【0081】このようにして製造されたプリプレグは、
公知の積層法あるいはフィラメントワインディング法な
どの方法によりシート状にされ、次いで加熱加圧処理す
なわち硬化処理が加えられる。ここにおいて特筆するべ
きことは、この効果処理においては、一段硬化で硬化反
応が十分に完結するので、二段硬化(予備硬化を含
む。)や三段硬化(予備硬化と後硬化とを含む。)を必
要としないことである。もっとも、場合によってはこれ
ら予備硬化および後硬化を行っても差し支えはない。
【0082】前記加熱加圧処理の条件は、加熱温度が1
20〜250℃、好ましくは130〜180℃、圧力が
2〜10kg/cm2 、好ましくは3〜5kg/cm
2 、処理時間が10〜60分、好ましくは15〜30分
である。
【0083】この加熱加圧処理は、真空バッグ後にオー
トクレーブ中で行われるかあるいはホットプレスを用い
て行われる。後者は、均一な厚さを有するシートを製造
することができるので有利である。
【0084】このようにして得られるセラミックスのシ
ートである複合材料は、通常、その厚さが0.1〜5m
mであり、好ましくは0.1〜3mmである。厚さが、
前記範囲内であると、耐火性の要求される内装材に充分
な耐火性能を与えることができるとともに、ある程度の
柔軟性が確保され、内装材に貼着する際の作業性に優れ
る。
【0085】このセラミックスシートである複合材料
は、収縮および表面亀裂が観察されず、また通常22〜
50kg/mm2 程度の曲げ強さを有すると共に、空気
中かつ常圧下で700℃まで加熱してもほとんど収縮し
ない。
【0086】このセラミックスシートである複合材料が
ほとんど熱収縮を起こさない理由は、硬化によって生成
した強固な三次元網目構造の中に、この発明における中
空無機繊維および金属酸化物の微粒子が高密度かつ十分
な接触状態を保持して充填され、しかも無機繊維とマト
リックスとが良好な接合状態を保ち、剥離や分離を生じ
ないからであると考えられる。
【0087】このようなセラミックスシートの複合材料
は、次のようにして使用される。すなわち、このセラミ
ックスシートである複合材料は、通常、耐火性能を付与
しようとする対象物ないし保護しようとする被保護部材
の表面に貼付ないし接着される。
【0088】
【実施例】以下、この発明を実施例により具体的に説明
する。なお、この実施例により、この発明は何ら限定さ
れることはない。
【0089】(実施例1)平均直径0.8μmおよび平
均アスペクト比15の気相成長炭素繊維0.1gを容積
30cm3 のSUS浅底ボートに入れ、真空反応管中央
部に配置した。
【0090】真空反応管を0.1Paまで真空排気し、
SUSボートごと前記気相成長炭素繊維を外部ヒータに
より500℃に加熱した。加熱を続けたまま、反応系内
にH2 およびN2 の混合ガス(H2 :N2 =1:4)を
導入し、50Paになる様に調節した。反応管の一部に
巻いたコイルに13.56MHzの高周波を与え、反応
管内に水素・窒素混合プラズマを発生させた。さらにガ
ス導入ラインよりTiCl4 を導伴させ、反応管内が1
00Paになる様にした。
【0091】この状態でSUSボートを機械的に振動さ
せながら1時間保持した後、TiCl4 の供給を停止
し、高周波印加および加熱を止めて30分放置した後、
前記SUSボートごと繊維を取り出した。
【0092】この繊維は青みがかった色を示し、重量は
0.45gに増加していた。
【0093】この繊維を空気中で600℃、1時間で熱
処理した後、繊維を取り出し、走査型電子顕微鏡(SE
M)にて観察したところ、平均外径が1.2μm、平均
内径が0.8μmの中空繊維であった。走査型電子顕微
鏡で観察された繊維においては、その中空繊維の内部空
洞は繊維全体の45%であった。X線回折からTiNを
主成分としていることがわかった。
【0094】(実施例2)平均直径0.2μmおよび平
均アスペクト比30の気相成長炭素繊維0.05gをS
USメッシュに入れ、真空実験用ベルジャー内に吊し
た。
【0095】ベルジャーの内部を10-3Paまで排気
し、その後にArガスを導入し、1.5Paとした。S
USメッシュを−0.5V、蒸発用水冷ハースを0V
(アース)として、アルゴンガスの真空プラズマを発生
させた。水冷ハースにはあらかじめ、Si塊を入れてお
き、これに電子線照射することで、Siを蒸発させ、イ
オンプレーティング法で気相成長炭素繊維の周囲にSi
被膜を形成させた。
【0096】イオンプレーティングの際にSUSメッシ
ュに微振動を与え、気相成長炭素繊維間にSi蒸気が侵
入しやすいようにした。
【0097】約30分間イオンプレーティングを行なっ
た後にSi被膜付き気相成長炭素繊維を取り出し、重量
より平均膜厚を計算したところ、0.1μmであった。
【0098】このSi被膜付き気相成長炭素繊維を電気
炉に入れ、空気中で徐々に昇温し、700℃に達してか
らその温度に3時間保持した後に取り出した。取り出し
た繊維を走査型電子顕微鏡で観察したところ、平均外径
が0.45μm、平均内径が0.2μmの中空繊維であ
った。走査型電子顕微鏡で観察された繊維においては、
その中空繊維の内部空洞は繊維全体の20%であった。
またX線回折からSiO2 を主成分としていることがわ
かった。
【0099】(実施例3)実施例2と同様のイオンプレ
ーティング法で、直径5μmおよび長さ3mmのチョッ
プド炭素繊維に約1μmのSi被膜を形成させた。
【0100】このチョップド炭素繊維を電気炉に入れ、
Ar雰囲気下に1200℃まで50℃/分で昇温し、1
200℃到達後、ただちに電気炉の温度を600℃まで
下げ、電気炉を酸素雰囲気にし、600℃で5時間保持
した。
【0101】炉内より繊維を取り出し、SEMで観察し
たところ、平均外径が約6.5μm、平均内径が約4.
5μmの中空繊維であった。走査型電子顕微鏡で観察さ
れた繊維においては、その中空繊維の内部空洞は繊維全
体の50%であった。またX線回折からSiCを主成分
としていることがわかった。
【0102】(実施例4)直径7μmの炭素繊維6,0
00本を束にした炭素繊維束に振動を与えながらNiC
2 水溶液中で、Niを正極、炭素繊維束を負極として
電気メッキを行ない、炭素繊維上に約1.5μmのNi
被膜を形成した。
【0103】このNi被膜付き炭素繊維を10mmに切
断し、電気炉に入れ、空気中で500℃で8時間処理し
た後に取り出した。取り出した繊維に、走査型電子顕微
鏡で観察したところ、平均外径が10μm、平均内径が
7μmの中空繊維であった。走査型電子顕微鏡で観察さ
れた繊維においては、その中空繊維の内部空洞は繊維全
体の50%であった。またX線回折からNiを主成分と
していることがわかった。
【0104】(実施例5)実施例2と同様の方法で、平
均外径0.4μm、平均内径0.3μm、平均アスペク
ト比15の中空繊維(SiO2 を主成分とする)を得
た。この中空繊維60重量部に対し、アルミナ粉(直径
0.4μm)400重量部、シリコーン樹脂(Dow
chemical 4−3136)125重量部、シラ
ンカップリング剤60重量部、トリメチルロールプロパ
ン・トリアクリレート25重量部、ジクミルパーオキサ
イド2重量部、アセトン250重量部を混合し、スラリ
ーとした(A)。
【0105】一方、中空繊維(SiO2 を主成分とす
る)の代わりにチタニア粉(直径0.4μm)200重
量部として、比較用のスラリーを前記と同様の方法で作
製した(B)。
【0106】このスラリーをアルミナ繊維織物(住友化
学工業株式会社製;アルテックスクロス SV600−
8H)に含浸させた後、80℃で乾燥することによりシ
ート状のプリプレグを得た。このプリプレグを積層し、
150℃、3kg/cm2 、15分で成形することによ
り、平板を得た。更にこの平板を800℃で1時間焼成
してセラミック化した。
【0107】このセラミック平板の物性を前記(A)お
よび(B)につき各々測定し、表1に示される結果が得
られた。
【0108】
【表1】
【0109】
【発明の効果】この発明によると、中空状態の無機繊維
およびその製造方法を提供することができる。この発明
によると、比重の小さな、しかも直径の小さな中空状態
の無機繊維およびその製造方法を提供することができ
る。この発明によると高強度の中空無機繊維およびその
製造方法を提供することができる。この発明によるとそ
のままの状態で緩衝材、耐火性断熱材、触媒担体、吸着
材等の用途を有する中空無機繊維およびその製造方法を
提供することができる。この発明によると、プラスチッ
ク、ゴム、金属およびセラミックスのいずれかをマトリ
ックスとして複合することにより軽量で高強度の複合材
料を形成することのできる中空無機繊維およびその製造
方法を提供することができる。長繊維であるところの他
の種類の炭素繊維、無機繊維、または有機繊維と併用し
て剪断および圧縮に対する大きな強度を有する複合材料
とすることのできる中空無機繊維およびその製造方法を
提供することができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部が空洞であり、繊維外径が大きくと
    も15μmであり、内部空洞の体積が繊維全体の体積の
    20〜80%であることを特徴とする中空無機繊維。
  2. 【請求項2】 前記中空無機繊維が600℃以上の融点
    を有する金属または炭素を除く半金属元素で形成されて
    なる前記請求項1に記載の中空無機繊維。
  3. 【請求項3】 前記中空無機繊維が金属または炭素を除
    く半金属元素の酸化物、窒化物、炭化物およびこれらの
    混合物よりなる群から選択される少なくとも一種で形成
    されてなる前記請求項1に記載の中空無機繊維。
  4. 【請求項4】 炭素繊維の表面を、金属、金属含有化合
    物、炭素を除く半金属元素、および炭素を除く半金属元
    素を含有する化合物よりなる群から選択される少なくと
    も一種の化合物で被覆した後に、前記炭素繊維を除去す
    ることを特徴とする前記請求項1に記載の中空無機繊維
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 炭素繊維の表面を金属、金属含有化合
    物、炭素を除く半金属元素、および炭素を除く半金属元
    素を含有する化合物よりなる群から選択される少なくと
    も一種の化合物で被覆し、高温熱処理により、炭素繊維
    の表面に存在する金属または金属含有化合物を炭化物に
    変え、次いで前記炭素繊維を除去することを特徴とする
    前記請求項1に記載の中空無機繊維の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記炭素繊維が小さくとも直径3μmの
    平均繊維長を有してなる前記請求項4または5に記載の
    中空無機繊維の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記炭素繊維が大きくとも直径5μmで
    ある気相成長炭素繊維またはウイスカー状炭素である前
    記請求項4または5に記載の中空無機繊維の製造方法。
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