JPH06316098A - 記録装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 低い制御電圧で、高い画質の記録を達成でき
るような記録装置を提供すること。 【構成】 本記録装置に搭載されるアパチャ電極１の絶
縁層２は、マイナスに帯電するトナーが用いられる場合
には、トナーなどとの接触、摩擦によってマイナスに帯
電し易いポリイミドにより構成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、複写機、プリンタ、フ
ァクシミリ等に利用し得る記録装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の記録装置の１つとして、
複数の開口部を有し、その開口部を通過するトナーの流
れを制御するトナー流制御手段としてのアパチャ電極
と、このアパチャ電極の裏面に配置され、帯電したトナ
ーを前記アパチャ電極の開口部に供給するトナー供給装
置と、そのトナー供給装置により供給され、前記アパチ
ャ電極の開口部を通過したトナーを、前記アパチャの表
面に配置される支持体に導く対向電極とを備えるものが
ある。

【０００３】上記アパチャ電極は、特願平４−２５４４
９４号に添付された明細書及び図面に於て開示されてい
るように、開口部が形成された絶縁性を有するシート
と、この開口部の周りに設けられた制御電極とから構成
されている。また、上記トナー供給装置は、トナーを担
持するトナー担持体を有しており、このトナー担持体
は、アパチャ電極の絶縁シート側に接触して配置され、
このアパチャ電極の開口部にトナーを供給するように構
成されている。そして、上記構成により、アパチャ電極
の開口部に供給されたトナーは、アパチャ電極の制御電
極にトナー流制御電圧が印加され、トナー担持体と、ア
パチャ電極の制御電極との間に形成されるトナー流制御
電界によって、クーロン力を受けて開口部の通過が制御
されるようになっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような記録装置においては、帯電したトナーがアパチ
ャ電極の絶縁シートに押しつけられてアパチャ電極に供
給されるために、この帯電したトナーが、アパチャ電極
の絶縁シートに付着する。そして、この付着したトナー
の層の厚み分だけ、トナー担持体とアパチャ電極の制御
電極との距離が大きくなって、トナー流制御電界が低く
なる。この結果、トナー流の制御性が悪くなり、記録濃
度が低くなったり、かぶりが大きくなったりする。

【０００５】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、低い制御電圧で、高い画質の記録を達成
できるような記録装置を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の記録装置は、絶縁性を有するシートに開
口部を備え、この開口部を帯電したトナーが通過するこ
とを制御するトナー流制御手段と、そのトナー流制御手
段に帯電したトナーを供給するトナー供給手段と、前記
トナー流制御手段の開口部を通過したトナーを支持体に
導く対向電極とから構成されるものであり、前記絶縁性
を有するシートが、前記帯電したトナーの帯電極性と同
じ極性に帯電する材料から構成されている。

【０００７】

【作用】上記の構成を有する本発明の記録装置は、トナ
ー流制御手段を構成する絶縁シートが、供給されるトナ
ーの帯電極性と同極性に帯電するために、トナーと絶縁
シートは反発し合うことにより、絶縁シート上に付着す
ることがなくなる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例を図面を
参照しながら説明する。図１は本発明の記録装置の構成
を示す図であり、装置外装２６の右側部には、画像を記
録すべき支持体Ｐを挿入するための挿入口２１が設けら
れており、左側部には画像が記録された支持体Ｐが排出
される取り出し口２２が設けられている。そして、装置
内部には、トナー流制御手段としてのアパチャ電極１
と、対向電極６と、トナー供給装置１０とが設けられて
いる。

【０００９】前記アパチャ電極１は、図２に詳細に示す
ように、後述する絶縁材料からなる板状の絶縁シート２
により構成されており、その長手方向には多数の開口部
４が等間隔で一列に並んで設けられている。また、前記
絶縁シート２の上面には、各開口部４を独立して取り囲
むように多数の制御電極３が設けられている。前記絶縁
シート２は、厚さ１２．５μｍの高分子樹脂フィルム、
例えばポリイミドによって構成されており、前記制御電
極３は、厚さ１μｍの金属膜、例えば銅によって構成さ
れている。

【００１０】本実施例において、後述されるようなマイ
ナスに帯電するトナーが用いられる都合上、この絶縁シ
ート２を構成するポリイミドには、トナーなどとの接
触、摩擦によってマイナスに帯電し易いもの、例えば、
トーレデュポンから発売されているカプトンが用いられ
る。各制御電極３は制御電圧印加回路５にそれぞれ接続
されている。

【００１１】前記アパチャ電極１は、装置内のシャーシ
（図示せず）に設けられた台８によって支えられてい
る。そして、前記アパチャ電極１の下部には、トナー供
給装置１０が設けられている。このトナー供給装置１０
は、トナーケース１５によって覆われており、トナー担
持ローラ１１と、供給ローラ１２と、ブレード１３とか
ら構成されている。また、前記トナーケース１５の内部
には、トナー１４が貯蔵されている。前記供給ローラ１
２は、前記トナー担持ローラ１１にトナー１４を供給す
るために、図の矢印方向に回転するように構成されてい
る。更には、前記ブレード１３は、トナー担持ローラ１
１に圧接するように配設されている。そして、トナー担
持ローラ１１は、アパチャ電極１の少なくとも全ての開
口部４に接するように設けられている。

【００１２】前記アパチャ電極１の上方には対向電極６
が配置されている。更に、この対向電極６とアパチャ電
極１との間には支持体Ｐが通過できるような、例えば１
ミリのスペースが設けられている。そして、この対向電
極６には、電源７によって、プラス１キロボルトの電圧
が印加されるようになっている。

【００１３】支持体Ｐは一対のガイドローラ２３によっ
て、挿入口２１から対向電極６の下方へ向って搬送さ
れ、対向電極６を通過した後、内部に熱源を備えたヒー
トローラ２４とプレスローラ２５との間に搬送されて、
支持体上のトナーが熱定着されるように構成されてい
る。

【００１４】次に、上記のように構成される記録装置の
動作を説明する。まず始めに、トナー供給装置１０に於
て、トナーケース１５に貯蔵されたトナー１４は、供給
ローラ１２によって、トナー担持ローラ１１に供給され
る。この場所で、トナー１４は、供給ローラ１２とトナ
ー担持ローラ１１とによって、接触しつつ摩擦して、マ
イナスに帯電する。この帯電したトナー１４は、トナー
担持ローラ１１が回転することによって、ブレード１３
を経由してアパチャ電極１の開口部４に搬送される。ま
た、前記ブレード１３によって、トナー担持ローラ１１
に担持されたトナー１４は、薄く均一な厚みのトナー層
となる。そして、このトナー１４は、アパチャ電極１の
開口部４に供給される。

【００１５】アパチャ電極１の開口部４に供給されたマ
イナス帯電トナー１４は、制御電圧印加回路５から制御
電極３に印加される電圧によって、この制御電極３に対
応して設けられた開口部４の通過が制御される。具体的
に述べると、制御電圧印加回路５からトナー通過電圧と
して、プラス４０ボルトの電圧が制御電極３に印加され
るとき、接地されたトナー担持ローラ１１と制御電極３
との間に、すなわち制御電極３に対応する開口部４の内
部において、マイナス帯電したトナー１４が開口部４を
通過できるような電界が発生し、トナー１４は開口部４
を通過する。

【００１６】また制御電圧印加回路５からトナー遮蔽電
圧として、マイナス３０ボルトの電圧が制御電極３に印
加されると、接地されたトナー担持ローラ１１と制御電
極３との間に、すなわちその開口部４内部において、マ
イナス帯電したトナー１４が、開口部４の通過を阻止さ
れる電界が発生し、トナー１４は開口部４を通過しな
い。

【００１７】このアパチャ電極１は、絶縁シート２がト
ナーやトナー担持ローラ１１と接触することによって、
マイナスに帯電するポリイミド、カプトンによって構成
されているために、トナーとの接触面において、マイナ
ス帯電トナー１４と、アパチャ１とが静電気力によって
反発しあうことによって、トナーが付着することがなく
なる。この結果、アパチャ電極１の制御電極３と、アー
スに接続されたトナー担持体１１との距離が広がること
がなくなって、低い電圧でトナー流の制御が可能とな
る。図３は、アパチャ電極１の絶縁シート２に、マイナ
スに帯電するカプトンと、プラスに帯電するユーピレッ
クス（宇部興産製のポリイミド）を用いたときに、制御
電圧によって、記録されるべた黒濃度の変化を示す実験
データである。この図によれば、明らかに、破線で示す
カプトンの方が実線で示すユーピレックスより低い制御
電圧でトナー流が制御されることがわかり、上述したト
ナー流制御メカニズムを確認することができる。アパチ
ャ電極の絶縁シートの帯電性は、トレック社の表面電位
計ＳＸ−３６０によって計測したものであって、カプト
ンは、マイナス、ユーピレックスは、プラスの表面の電
位が計測された。

【００１８】一方、挿入口２１より装置内部に挿入され
た支持体Ｐは、一対のガイドローラ２３によって対向電
極６に搬送される。対向電極６には電源７によってプラ
ス１キロボルトの電圧が印加されている。この電圧印加
によって対向電極６とアパチャ電極１との間に電界が形
成され、この電界に沿ってアパチャ電極１の開口部４を
通過してきたトナー１４が対向電極６へ吸引される。そ
して、搬送されてきた支持体Ｐにトナー１４が塗布され
る。そして、順次支持体が搬送されることによって、ト
ナー画像が支持体Ｐ上に形成される。

【００１９】その後、支持体Ｐは取り出し口の方向に搬
送され、ヒートローラ２４とプレスローラ２５とによっ
て挟み込まれ、支持体Ｐ上のトナー画像は熱定着され
る。トナー像の熱定着された支持体Ｐは、取り出し口２
２へ搬送され、排出される。

【００２０】以上詳述したように、本実施例によれば、
トナー担持ローラによって、アパチャ電極に供給された
トナーが、アパチャ電極に付着することがなくなって、
低い制御電圧で、強いトナー流制御電界を形成すること
ができるので、高い画質の記録が可能となる。

【００２１】本発明は、以上詳述した実施例に限定され
るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲において、
種々の変更を加えることができる。

【００２２】本実施例において、アパチャ電極に供給さ
れるトナーの帯電極性をマイナスにして、アパチャ電極
の絶縁シートにマイナスに帯電しやすいポリイミドであ
るカプトンを用いたが、プラス帯電極性のトナーを用い
た場合、アパチャ電極の絶縁シートには、プラスに帯電
し易い絶縁性の材料を用いればよい。プラスに帯電し易
い材料は、宇部興産のポリイミド、ユーピレックスがあ
る。このように、アパチャ電極の絶縁シートに用いられ
る材料は、トナーの帯電極性によって色々あるので、材
質には限定されない。さらに、周知の帯電列のように、
接触するトナーの材質などによって、アパチャ電極の絶
縁シートの帯電極性もいろいろ変化するので、トナーと
絶縁シートの最適な組み合わせは、無数にある。

【００２３】また、上記実施例のポリイミドであるカプ
トンに、プラズマ処理を施すことによって、ポリイミド
の表面に、プラスイオンを注入するなどしてマイナス帯
電極性から、プラス帯電極性に変化させることができ
る。このように、絶縁シートに、プラズマ処理等の表面
改質を施すことによって、その帯電極性は容易に変化さ
せることができる。

【００２４】また、図４に示されるように、絶縁シート
４２に、トナーの帯電極性と同極に帯電し易いコート層
４９を設けたアパチャ電極４１を用いることもできる。
カプトンなどのポリイミドは、樹脂シートの中でも非常
に高価なものであるので、絶縁シート４２には、価格の
安い、望ましくは、ポリエステル、ＰＥＴ、ナイロンな
どのフィルムを用いて、重要な部分に、ポリイミドを用
いることが可能である。更に、図５に示されるように、
トナー担持ローラ１１と接触する部分にのみコート層５
９を設けたアパチャ電極５１を用いることもできる。こ
の構成によれば、コート層が、必要最小限ですむので、
記録装置の価格が安くなる効果がある。

【００２５】また本実施例において、トナー供給装置に
は、トナーを薄層化して帯電させる、いわゆる非磁性１
成分の帯電方式を採用しているが、キャリアとトナーと
を混合して帯電させるような２成分系の帯電方式や、マ
グネットローラを用いて帯電させるような磁性１成分の
帯電方式などを用いてもよい。

【００２６】更に、本実施例においては、トナー流制御
手段として、絶縁シートに開口部を形成したアパチャ電
極を用いたが、例えば、米国特許第５０３６３４１号の
明細書に記載されるような編目状の電極などを用いるこ
とも可能である。

【００２７】

【発明の効果】以上詳述したことから明かなように、本
発明の記録装置よれば、トナー流制御手段を構成する絶
縁シートが、供給されるトナーの帯電極性と同極性に帯
電することにより、トナーと絶縁シートとが反発し合う
ため、絶縁シート上に付着することがなくなり、低い制
御電圧で、トナー流を制御することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の記録装置の構成を具体化した一実施例
を示す図である。

【図２】図１に示す記録装置に搭載されるアパチャ電極
を示す斜視図である。

【図３】本発明の記録装置により記録実験を行った結果
を示す図である。

【図４】アパチャ電極の第１変形例を示す断面図であ
る。

【図５】アパチャ電極の第２変形例を示す断面図であ
る。

【符号の説明】

１ アパチャ電極 ２ 絶縁シート ３ 制御電極 ４ 開口部 ５ 制御電圧印加回路 ６ 対向電極 １０ トナー供給装置 １１ トナー担持ローラ ４９ コート層

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 絶縁性を有するシートに開口部を備え、
   この開口部を帯電したトナーが通過することを制御する
   トナー流制御手段と、 そのトナー流制御手段に帯電したトナーを供給するトナ
   ー供給手段と、 前記トナー流制御手段の開口部を通過したトナーを支持
   体に導く対向電極とから構成される記録装置において、 前記絶縁性を有するシートが、前記帯電したトナーの帯
   電極性と同じ極性に帯電する材料から構成されたことを
   特徴とする記録装置。