JPH06313211A - 熱寸法安定性に優れたポリエステル繊維の製造法 - Google Patents

熱寸法安定性に優れたポリエステル繊維の製造法

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JPH06313211A
JPH06313211A JP10254393A JP10254393A JPH06313211A JP H06313211 A JPH06313211 A JP H06313211A JP 10254393 A JP10254393 A JP 10254393A JP 10254393 A JP10254393 A JP 10254393A JP H06313211 A JPH06313211 A JP H06313211A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 産業資材用途に適した高モジュラス、低収縮
なる特性を有するポリエステル繊維を、直接紡糸延伸法
によって効率的かつ安定に製造する方法を提供する。 【構成】 エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位
とするポリエステルを、孔径1.0mmφ以上の紡糸口
金を通して溶融紡糸し、雰囲気温度250〜400℃、
雰囲気温度×保温帯長さ2.5×103 〜6.0×10
3 ℃・cmの保温筒を通した後、固化点が口金下2m以
内となるよう急冷固化せしめ、2500m/分以上の速
度で引取り、固有粘度0.85以上、単糸デニール6以
下、密度1.365g/cm3 以上の未延伸糸を得、こ
れを一旦巻取ることなく100℃以下の温度で1.4〜
2.0倍延伸し4500m/分以上の速度で巻取る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は工業用途に好適なポリエ
ステル繊維、特にタイヤコードやVベルト用、ゴムホー
ス用として、レーヨン並の高モジュラス、低収縮でかつ
レーヨンに比べて高強力な、熱寸法安定性に優れた産業
用ポリエステル繊維を効率よく製造する方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は、種々の優れた特性
を有するため、衣料用のみならず工業用としても広く利
用されている。特に高強度でかつ寸法安定性に優れたポ
リエステル繊維は、工業用途に有用で、タイヤ用途のみ
ならず、産業用途にも使用されているが、最近益々高度
の性能が要求されている。例えばタイヤコード用として
はタイヤ成型時の歩留り向上のため、更に低収縮化や乗
心地向上のために高モジュラス化、また大型タイヤの適
用には耐疲労性の向上等である。一方Vベルト用コード
としてはメンテナンスフリーのために高モジュラス化、
更に大型の高負荷ラップドベルト用コードとしては伸度
の大きな高タフネスや耐疲労性が要求されている。
【0003】かかる要求特性を満足させるために、近年
高速紡糸された高配向未延伸糸を延伸する方法が提案さ
れている。例えば特開昭53―58032号公報には、
高配向な未延伸糸を延伸して得られるポリエステル繊維
を用いたタイヤコードは、高モジュラス、低収縮、耐疲
労性の点で優れており、車の高速走行時の操縦安定性や
乗心地性が改善されることが示され、またタイヤ成型時
の凹凸(いわゆるデントバルヂ)が少いことから近年好
まれて使用されつつある。
【0004】また特開昭57―154410号公報に
は、紡糸速度2000〜5000m/分の速度で引取っ
た複屈折20×10-3〜97×10-3の高配向未延伸糸
を1.5〜3.0倍に延伸する高モジュラス・低収縮糸
の製造法が開示され、かかる繊維を用いたポリエステル
コードは、例えば中間伸度が4.6%、180℃におけ
る乾熱収縮率が3.4%であるレーヨンコードに近似し
た特性を有することが示されている。
【0005】しかしながら、これらの繊維は、レーヨン
繊維やビニロン繊維に対し未だモジュラス及び収縮性の
面で不充分である。特に収縮性の面では、ポリエステル
繊維から得られるコードはゴム中に埋め込み加硫後冷却
する際、冷却時のコード収縮を抑制するために特別の冷
却工程(いわゆるポストキュアインフレーション工程)
を必要とするが、この工程は設備投資が大きくコスト合
理化のためにはこの工程を省略することが必要であり、
そのためにもレーヨン繊維やビニロン繊維から得られる
コード並の低収縮化が必要であり、上記改善案において
も不充分である。
【0006】収縮特性をさらに改善するためには、上記
方法においては紡糸速度を5000m/分以上の高速度
にする必要があるが、このような高速下で紡糸すると紡
糸過程での空気抵抗の増大によって紡糸張力が著しく高
くなると共に、紡出糸の斑が拡大して均質な紡出糸が得
られ難く、紡糸における単糸切れや延伸における糸切れ
の発生が顕著になるという欠点を有していた。また、紡
糸引取り後一旦巻取ることなく延伸する、いわゆる直接
紡糸延伸法によって製造方法の簡素化を行おうとする
と、延伸速度は7500m/分もの超高速にする必要が
あるため、製造設備が超高速に耐えうる大がかりのもの
を必要とするばかりでなく、超高速化によって糸切れが
更に増加するという欠点を有していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術を背景になされたもので、その目的は、レーヨンやビ
ニロンと同等の高モジュラス、低収縮なる特性を有し、
かつレーヨンに比べて高強力な、産業資材用途に適した
熱寸法安定性の優れたポリエステル繊維を、紡糸直延伸
法によって安定かつ効率的に製造することのできる新規
な方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意検討した結果、従来高速紡糸によっ
て得られる比較的高配向の未延伸糸を出発繊維として延
伸熱処理すれば高モジュラス、低収縮のポリエステル繊
維が得られるとされているが、未延伸糸の配向度よりも
結晶化度(密度)が支配的影響を及ぼしていることをつ
きとめた。本発明者らは、かかる知見を基にさらに鋭意
検討した結果、ポリマー固有粘度、口金細孔径、冷却条
件等を特定範囲に組み合わせることにより、比較的低い
速度で高結晶化度の未延伸糸を得ることが可能となり、
紡糸直延伸法によっても延伸速度を比較的低速化できる
ことを見い出し本発明に到達した。
【0009】すなわち、本発明は、 (1)、(イ)エチレンテレフタレートを主たる繰返し
単位とするポリエステルを口金細孔径が1.0mmφ以
上の紡糸口金を通して溶融紡糸し、(ロ)溶融紡糸され
た紡出糸を、紡糸口金下直下に設けられた、雰囲気温度
T(℃)と保温帯長さL(cm)が下記及び式を同
時に満足する局所保温帯を通過させ、 250≦T≦400 2.5×103 ≦T×L≦6.0×103 (ハ)前記局所保温帯を通過させた紡出糸に冷風を吹き
付け急冷して、該紡出糸の固化点を口金面より2m以内
となるようにし、(ニ)冷却固化された紡出糸を250
0m/分以上の引取速度で引取って、固有粘度が0.8
5以上、単糸デニールが6デニール以下、密度が1.3
65g/cm3 以上の未延伸糸を得、(ホ)引取られた
未延伸糸を、一旦巻取ることなく引続いて100℃以下
の温度で1.4〜2.0倍に延伸し、次いで熱処理を行
なった後に4500m/分以上の速度で巻き取る、こと
からなる熱寸法安定性に優れたポリエステル繊維の製造
方法、 (2)、局所保温体下部に紡出糸条群の外周部及び中央
部に冷風吹出装置を設け、該紡出糸条の両面から冷風を
吹き付けて急冷する上記1記載の熱寸法安定性に優れた
ポリエステル繊維の製造法、及び (3)、固化点応力が7.5×107 dyne/cm2
以上である上記1記載の熱寸法安定性に優れたポリエス
テル繊維の製造法、である。
【0010】本発明で用いられるポリエステルは、主た
る繰返し単位がエチレンテレフタレートである、すなわ
ち分子鎖中にエチレンテレフタレート繰返し単位を90
モル%以上、好ましくは95モル%以上含むポリエステ
ルである。かかるポリエステルとしてはポリエチレンテ
レフタレートが好適であるが、10モル%未満、好まし
くは5モル%未満の割合で他の共重合成分を含んでも差
しつかえない。このような共重合成分としては、例えば
イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、
オキシ安息香酸、ジエチレングリコール、プロピレング
リコール、トリメリット酸、ペンタエリスリトール等が
あげられる。またこれらのポリエステルには、安定剤、
着色剤等の添加剤を含んでも差しつかえない。
【0011】本発明においては、上記したポリエステル
を特定の条件で引取って高結晶化度の未延伸糸となした
後に直接延伸するわけであるが、以下図面を参照しなが
ら具体的に説明する。
【0012】図1において、溶融されたポリエステル
は、紡糸口金(3)より細孔を通して紡出される。紡出
された糸条は、紡糸口金と冷却封吹出装置(5)との間
に設けられた局所保温帯:保温筒(4)を通過した後、
冷却風吹出装置から吹出される冷風により急冷され、冷
却筒(6)の中で冷却固化され、オイリングロール
(7)で油剤を付与された後引取りロール(8)で引取
られる。
【0013】この紡糸過程において未延伸糸の結晶化度
を高めるためには、口金から吐出された糸条のドラフト
を高めて細化変形速度を高めること、及び急冷して変形
応力を高めることが大切である。ここでドラフトは、ポ
リマーの吐出線速度に対する紡出糸の引取速度の比であ
り、低い引取速度のものでドラフトを高めるためには口
金細孔を大きくすることが必要であり、本発明において
は1.0mmφ以上、好ましくは1.2mmφ以上とす
る必要がある。
【0014】また急冷して変形応力を高めるためには、
未延伸糸の固有粘度は0.85以上、好ましくは0.9
以上とし、単糸デニールは6デニール以下、好ましくは
4デニール以下とする必要がある。固有粘度が0.85
未満の場合には急冷しても変形応力は不充分となり、ま
た単糸デニールが6デニールを越える場合でも冷却速度
が遅くなって冷風量を増大しても充分急冷されず変形応
力は不充分となるため、結晶化が進みにくくなって高モ
ジュラス、低収縮糸が得られなくなる。
【0015】また紡出糸は、局所保温帯を通過させた後
冷風を吹き付けて急冷固化させるが、該固化点を口金よ
り2m以内、好ましくは1.5m以内となるよう冷却風
量を調節することが大切である。冷却速度が低下して固
化点が2mを越える場合には、変形応力が充分増加せ
ず、本発明の目的とする高モジュラス、低収縮糸が得ら
れなくなる。
【0016】なお、本発明においては、冷風を吹き付け
て紡出糸を冷却するにあたって単糸間の冷却斑を減少さ
せることが重要である。特に本発明の如く紡糸速度が比
較的大きい場合には、細化冷却中の走行糸への随伴気流
速度が大きくなるため吹き付けられる冷風の単糸間への
貫通性が低下し、単糸間の冷却斑が生じて得られる未延
伸糸の配向斑や結晶斑が生じ易く、紡糸延伸における糸
切れの原因となる。このため、全ての単糸に均一に冷風
をあてることが大切であり、図1に示される如き紡出糸
群の外周側と中央部とに設けられた冷却風吹出し装置を
用い、紡出糸の両面から冷風を吹き付ける方法が有用で
ある。
【0017】また、高モジュラス、低収縮なる特性を得
るに必要な未延伸糸の結晶化度を得るには、上記固化点
における張力をコントロールすることが好ましく、7.
5×107 dyne/cm2 以上、特に8.0×107
〜1.1×108 dyne/cm2 にすることが有用で
ある。かかる固化点張力を決定する因子としては、口金
細孔径、口金下雰囲気温度、口金から冷却風があたるま
での距離、引取速度等があげられ、これらの条件を必要
に応じて適宜設定組み合わせればよい。
【0018】さらに本発明においては、口金面から冷却
風吹出装置までの距離を短くして紡出糸を急冷する場
合、冷却風によって口金面が冷却されると、吐出の均一
性が損われるため、紡糸口金直下に設けられた、雰囲気
温度T(℃)と保温帯長さL(cm)が下記および
式を同時に満足するような局所保温帯を通過させること
が必要である。 250≦T≦400 2.5×103 ≦T×L≦6.0×103 雰囲気温度が250℃未満の場合又は雰囲気温度×保温
帯長が2.5×103℃・cm未満の場合には、口金面
が冷却されて吐出斑が発生し、糸切れが多発して安定し
た紡糸ができなくなる。一方400℃を越える場合又は
6.0×103℃・cmを越える場合には、紡出糸を急
冷することはできなくなって変形応力が低下するため、
充分結晶化の高い未延伸糸は得られなくなり、発明の目
的は達成されなくなる。
【0019】以上のような冷却条件のもとで冷却固化さ
れた紡出糸は、2500m/分以上、好ましくは250
0〜4500m/分で引取る必要がある。引取速度が2
500m/分未満の場合には、上記冷却条件でも紡糸過
程における結晶化が進み難いため、本発明の目的は達成
できない。一方、4500m/分を越える場合には、糸
切れが増加する傾向にある。
【0020】引取られた未延伸糸は一旦巻取られること
なく引続き延伸されるが、かかる未延伸糸を延伸するこ
となく巻取った場合、その未延伸糸の密度は1.365
g/cm3 以上、好ましくは1.370g/cm3 以上
であることが必要である。未延伸糸の密度が上記範囲よ
り小さい場合には、本発明の目的とする低収縮糸が得ら
れない。
【0021】次に引取られた未延伸糸は、一旦巻取るこ
となく引続いて100℃以下の温度で1.4〜2.0倍
に延伸する必要があるが、図1に示される如く、2段以
上の多段延伸することが好ましい。すなわち、図1にお
いて引取りロール(8)で引取られた未延伸糸は、第1
段延伸ロール(9)と第2段延伸ロール(10)との間
で80℃以下、好ましくは60℃以下の温度で全延伸倍
率の70%を越える倍率で延伸され、次いで第2段延伸
ロール(10)と第3段延伸ロール(11)の間で10
0℃以下、好ましくは80℃以下の温度で全延伸倍率が
1.4〜2.0倍となるよう延伸される。ここで全延伸
倍率が1.4未満の場合にはレーヨン並以上の高強力糸
を得ることができず、一方2.0倍を越える場合には、
糸切れが多発して安定した延伸ができなくなるので好ま
しくない。
【0022】延伸された糸条は、例えば図1に示される
如き、延伸糸の融解温度Tm−30℃からTm−100
℃の範囲に加熱された第3段延伸ロール(11)上で熱
処理された後、必要に応じて弛緩ロール(12)との間
で0〜10%弛緩処理され、次いで4500m/分以上
の速度で巻取られることが大切である。巻取速度が45
00m/分未満の場合には、全延伸倍率が前記範囲内に
あっても不充分であり、レーヨン並以上の高強力糸を得
ることは困難である。
【0023】以上に詳述した本発明の方法により得られ
るポリエステル繊維をゴム補強用コードとして使用する
場合には、例えば以下の方法を適用することが好まし
い。すなわち、該ポリエステル繊維を撚係数K=T・D
1/2 (Tは10cm当りの撚数、Dは撚糸コードのデニ
ール)が900〜2500で合撚糸して撚糸コードとな
し、該コードに接着剤を付与した後235〜250℃で
熱処理する。この際、熱処理時の張力が1.0〜2.0
g/deの範囲で、かつ実質的に延伸が起こらない条件
で熱処理することが好ましい。
【0024】かくして得られるポリエステルコードは、
荷重2.25g/de時の中間伸度E(%)と150℃
乾熱収縮率S(%:JIS L―1017―1963
(5.12)に準拠)とが下式を満足し、高モジュラ
ス、低収縮の特性を示す。 E+S≦5.5
【0025】
【作用】従来、高モジュラス、低収縮でかつ耐疲労性の
改善されたポリエステル繊維を紡糸直延伸法で製造する
には、比較的高配向の未延伸糸を延伸熱処理すればよい
ことが、特開昭53―58032号公報、特開昭57―
154410号公報等に開示されている。しかしなが
ら、これらの方法により得られるポリエステル繊維は、
高モジュラス、低収縮の特性を有するものの、レーヨン
と比較すると未だ不充分なものであった。
【0026】これに対して、本発明の方法によれば、紡
糸口金細孔径が1.0mmφ以上と大きいため吐出され
た糸条のドラフトを高めて細化変形速度を高めることが
でき、得られる未延伸糸の結晶化度をあげることができ
る。また、紡出糸の固化点が2m以内となるよう得られ
る未延伸糸の単糸デニールを6デニール以下として急冷
し、かつ未延伸糸の固有粘度が0.85以上となる高重
合度のポリエステルを用い、さらに2500m/分以上
の速度で引取っているため、紡出糸に作用する変形応力
を充分増大させることができ、従来の方法と比較すると
より低引取速度で密度1.365g/cm3 以上といっ
た高結晶性の未延伸糸が得られる。
【0027】また、かかる高結晶性の未延伸糸は、通常
ガラス転移点を越える100℃以上の温度で予熱された
後延伸されるが、本発明の前記紡糸方法によれば、得ら
れる未延伸糸は過冷却状態を保持しているためと推定さ
れ、100℃以下、特にガラス転移点以下の温度でも延
伸可能であり、したがって延伸過程での結晶化進行が抑
制されるため配向度を高めることが可能となり、高強力
糸を糸切れなく安定して紡糸直延伸することができるよ
うになる。
【0028】しかも、かくして得られるポリエステル繊
維は、その詳細な理由は不明であるが、高配向高結晶性
の未延伸糸を延伸したものであるため、極めて高モジュ
ラスであるといった特性を有しながらレーヨン並の低収
縮特性を有するといった特徴を有する。
【0029】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
なお、実施例における各評価項目は下記方法により測定
した。
【0030】(1)強度、伸度及び中間伸度 JIS L1017の方法にしたがった。なお処理コー
ドの中間震度は、2.25g/de負荷時の伸度とし
た。
【0031】(2)固化点 紡糸引取り中の糸条を給油ローラー直上で切断後、直ち
に冷却筒中の糸条を自然落下速度に合わせて冷却筒より
引き出し、長さ方向のデニール変化を測定して、口金吐
出後、細化しデニールが引取り未延伸糸のデニールと同
一となる点を固化点とし、口金面からの距離で表わし
た。
【0032】
【実施例1】固有粘度1.10、カルボキシル末端基濃
度10eq/106 gのポリエチレンテレフタレートチ
ップをエクストルーダ型紡糸機で紡糸温度300℃で紡
糸した。紡糸口金は細孔径と孔数が表1記載の如く種々
ことなるものを用い、吐出量は紡糸・延伸速度に応じて
変更したが、直接紡糸延伸後巻取った繊維の繊度が約1
500デニールとなるようにした。口金直下には5〜5
0cmの口金保温筒を設け、その下の外周に設けられた
円筒状冷却風吹出装置より25℃の冷却風を500mm
に亘って4〜8Nm3 /分吹き付けながら紡出糸を冷却
固化させた。紡出糸は引続き給油ローラで油剤を付与さ
れた後、表1記載の速度で引取った。
【0033】引取られた未延伸糸は、一旦巻取られるこ
となく第1段延伸ロール、第2段延伸ロール及び第3段
延伸ロールで表2記載の条件で延伸熱処理された後、弛
緩ロールで3%の弛緩を与えた後巻取った。
【0034】紡糸条件を変えることによって未延伸糸の
特性は変化するが、延伸倍率は未延伸糸の特性に合わせ
て変更し、延伸糸残留伸度が10〜13%になるよう全
延伸倍率を設定し、各延伸ロール間の延伸倍率配分は引
取りロールと第1段延伸ロール間が1.02、第1、第
2段延伸ロール間が全延伸倍率の80%とし、残りを第
2、第3段延伸ロール間で延伸した。
【0035】得られた延伸糸は、下撚、上撚をそれぞれ
40T/10cmで2本合撚糸し、1500de×2本
の生コードとした。この生コードを常法にしたがって接
着剤(RFL液)に浸漬の後、240℃で2分間緊張熱
処理して6.75kg強力時(2.25g/de時)の
中間伸度が3.5%となるよう処理コードを作成した。
【0036】以上の製糸条件で得られた延伸糸、処理コ
ードの特性と製糸安定性を表2に示した。なお実験No
1には特開昭57―154410号公報に示された方法
にしたがって製糸した比較例を示した。上記結果から本
発明によれば、比較的低速度の条件のもとで一層高モジ
ュラス、低収縮なるポリエステル繊維を、糸切れなく安
定して製造することができることがわかる。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【実施例2】冷却風吹出装置を図1に示される如く紡糸
口金下外周と口金直下中央部の2ケ所に設ける以外は実
施例1と同様に行なった。結果を表3に示す。
【0040】
【表3】
【0041】
【発明の効果】本発明の製造法で得られるポリエステル
繊維は、レーヨン並の高モジュラス、低収縮特性を示
し、かつレーヨンに比べて高強度、高タフネスであるた
め耐久性に優れるといった特徴を有する。したがって本
発明にかかる繊維は、タイヤコードのほか、Vベルト、
タイミングベルト、搬送用ベルト等の各種ベルト類、オ
イルブレーキホース等の各種ホース類、繊維補強ゴムシ
ート、コーテッドファブリック等、特に、高モジュラ
ス、熱寸法安定性が要求される用途に好適に用いること
ができる。
【0042】また、本発明の製造法によれば、高モジュ
ラス、低収縮なポリエステル繊維を従来に比べて大巾に
低い製糸速度で製造することができるので、製造設備の
大巾な簡素化ができる上、糸切れがなく安定してかつ効
率的に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造法の工程正面図を示す。
【符号の説明】
1 スピンブロック 2 パック 3 紡糸口金 4 保温筒 5 冷却風吹出装置 5′ 冷却風吹出装置 6 冷却筒 7 オイリングロール 8 引取ロール 9 第1段延伸ロール 10 第2段延伸ロール 11 第3段延伸ロール 12 弛緩ロール 13 巻取機 Y 未延伸糸糸条
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D02J 1/22 J

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (イ)エチレンテレフタレートを主たる
    繰返し単位とするポリエステルを口金細孔径が1.0m
    mφ以上の紡糸口金を通して溶融紡糸し、(ロ)溶融紡
    糸された紡出糸を、紡糸口金下直下に設けられた、雰囲
    気温度T(℃)と保温帯長さL(cm)が下記及び
    式を同時に満足する局所保温帯を通過させ、 250≦T≦400 2.5×103 ≦T×L≦6.0×103 (ハ)前記局所保温帯を通過させた紡出糸に冷風を吹き
    付け急冷して、該紡出糸の固化点を口金面より2m以内
    となるようにし、(ニ)冷却固化された紡出糸を250
    0m/分以上の引取速度で引取って、固有粘度が0.8
    5以上、単糸デニールが6デニール以下、密度が1.3
    65g/cm3 以上の未延伸糸を得、(ホ)引取られた
    未延伸糸を、一旦巻取ることなく引続いて100℃以下
    の温度で1.4〜2.0倍に延伸し、次いで熱処理を行
    なった後に4500m/分以上の速度で巻き取る、こと
    からなる熱寸法安定性に優れたポリエステル繊維の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 局所保温体下部に紡出糸条群の外周部及
    び中央部に冷風吹出装置を設け、該紡出糸条の両面から
    冷風を吹き付けて急冷する請求項1記載の熱寸法安定性
    に優れたポリエステル繊維の製造法。
  3. 【請求項3】 固化点応力が7.5×107 dyne/
    cm2 以上である請求項1記載の熱寸法安定性に優れた
    ポリエステル繊維の製造法。
JP10254393A 1993-04-28 1993-04-28 熱寸法安定性に優れたポリエステル繊維の製造法 Expired - Fee Related JP2839817B2 (ja)

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