JPH06312941A - Hgf産生促進剤 - Google Patents

Hgf産生促進剤

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JPH06312941A
JPH06312941A JP5232338A JP23233893A JPH06312941A JP H06312941 A JPH06312941 A JP H06312941A JP 5232338 A JP5232338 A JP 5232338A JP 23233893 A JP23233893 A JP 23233893A JP H06312941 A JPH06312941 A JP H06312941A
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hgf
disease
heparin
interleukin
derivatives
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JP5232338A
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Toshiichi Nakamura
敏一 中村
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  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 生体の組織、器官などの傷害の治癒を促進す
る活性を有するHGF(Hepatocyte Growth Factor、肝
細胞増殖因子)の産生促進剤を提供することを目的とす
る。 【構成】 本発明のHGF産生促進剤は、インターロイ
キン−1α、インターロイキン−1β、ヘパリン又はそ
の誘導体(低分子ヘパリン等)、ヘパラン硫酸、プロス
タグランジンE1、プロスタグランジンE2、プロスタグ
ランジンI2、これらプロスタグランジン類の誘導体、
及びこれらプロスタグランジン類又はその誘導体の包接
化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種を有効成
分として含有することからなる。本発明のHGF産生促
進剤は、HGF産生細胞におけるHGF産生を促進する
活性を有するので、創傷の治癒などに有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はHGF(Hepatocyte Gro
wth Factor、肝細胞増殖因子)産生促進剤に関し、より
詳細にはHGF産生細胞のHGF産生を促進する物質に
関する。
【0002】
【従来の技術】HGFは本発明者らが再生肝ラット血清
中から成熟肝実質細胞を in vitro で増殖させる因子と
して見いだしたタンパク質である(Biochem Biophys Re
s Commun, 122, 1450, 1984)。本発明者らはさらに、
HGFをラット血小板より単離することに成功し(Pro
c. Natl. Acad. Sci, 83, 6489,1986, FFBS Letter, 2
2,311, 1987)、そのアミノ酸配列を一部決定した。さ
らに、本発明者らは解明されたHGFアミノ酸配列をも
とにヒトおよびラット由来のHGFcDNAクローニン
グを行い、このcDNAを動物組織に組換えて肝実質細
胞増殖因子をタンパク質として得ることに成功した(ヒ
トHGF:Nature, 342, 440, 1989;ラットHGF:Pr
oc. Natl. Acad. Sci, 87, 3200, 1990)。
【0003】HGFの分子量はSDS−ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動で82〜85kDである。ラットHG
F分子は463アミノ酸残基からなるα鎖と233アミ
ノ酸残基からなるβ鎖が1個のジスルフィド結合により
架橋したヘテロダイマー構造を持ち、α、β両鎖とも2
個のグルコサミン型糖鎖結合部位が存在する。ヒトHG
Fもまたほぼ同じ生理活性を有し、463アミノ酸残基
からなるα鎖と234アミノ酸残基からなるβ鎖とから
なる。α鎖中には線溶酵素プラスミンと同様のクリング
ル構造が4個存在し、β鎖のアミノ酸配列においてもセ
リンプロテアーゼ活性を有するプラスミンのB鎖と約3
7%のホモロジーを有する。ラットHGFとヒトHGF
のアミノ酸配列のホモロジーはα鎖において91.6%、β
鎖において88.9%と非常に高い相同性を持ち、その活性
は全く互換性がある。
【0004】肝実質細胞を特異的に増殖させる因子とし
て発見されたHGFは、本発明者をはじめとする研究者
による最近の研究成果によって、生体内で種々の活性を
示している事が明らかとなり、研究対象としてのみなら
ずヒトや動物の治療薬などへの応用に期待が集まってい
る。本発明者らは、HGFが増殖因子として肝細胞のみ
ならず広く上皮系細胞に働く事を明らかにし、いくつか
の発明を成就した。特開平4−49246号において
は、HGFが腎の近位尿細管細胞の増殖を促進すること
より、腎疾患治療剤としての応用開発を、また特願平2
−419158号においては、HGFがメラノサイト、
ケラチノサイトなど正常上皮細胞の増殖を促進すること
より、上皮細胞促進剤として創傷治療や皮膚潰瘍治療、
毛根細胞の増殖剤などへの応用開発を成就し、その詳細
を開示した。特に、HGFはEGF等他の多くの増殖因
子に見られるガン化作用やガン細胞増殖活性を有さない
ことから、より実用に適している。さらに本発明者ら
は、特願平3−140812号においてHGFのヒト肝
ガン由来HepG2細胞株、リンパ芽球ガン由来IM9
細胞株などのガン細胞増殖抑制活性を利用し、制ガン剤
としても利用可能であることを開示した。また、特願平
3−321412号においてHGFが癌治療における正
常細胞、組織の受ける傷害を緩和し、副作用を軽減ない
し防止できる癌療法用副作用防止剤として有用であるこ
とを開示している。さらに、特願平4−298053号
においてHGFが慢性及び急性の肺疾患、例えば肺炎、
肺気腫、慢性閉塞性肺疾患、塵肺、燕下性肺炎の予防及
び治療に有用であることを開示している。そのほか、本
発明者等はHGFが中枢神経系の発生段階に寄与する神
経誘導因子の実体である可能性を指摘しており、中枢疾
患への有用性や眼疾患における有用性、即ち、角膜潰瘍
における有用性を明らかにしてきている。これらは、本
発明者等の種々の文献の中でも言及しており、その有用
性は明白である(Medicalimmunology, 26, No 1, 1993
等)。本発明者等の最近の報告の一部のなかでは、Bioc
hemical and Biophysical Research Communications, 1
91, No 2, 528, 1993において、HGFの有用性が消化
器にも及ぶことを明らかにしている。そのほか、HGF
が破骨細胞の形成に関与することから破骨細胞吸収阻害
もしくは、骨芽細胞形成促進を介して骨疾患への有用性
やプロテオグリカン合成促進作用を介する変形性関節炎
への有用性も明白になってきており、HGFの医薬品と
しての可能性は、肝疾患はもとより、当初予期できなか
った腎疾患、皮膚疾患、血液疾患、眼疾患、肺疾患、
胃、十二指腸疾患、癌及びその関連疾患、骨疾患等多岐
にわたることが明らかになってきている。
【0005】HGFの医薬品としての実用性を考える上
でさらに重要な点は、HGFがG1期、すなわち増殖期
に入った細胞のみを増殖促進し、G0期、すなわち静止
期にある細胞には作用しないことである。このことは、
傷害のある組織の増殖再生は促進するが、傷害を受けて
いない組織に対しては全く作用を及ぼさないことを意味
する。従って、過剰にHGFを投与しても、あるいは血
液などを介して非患部にHGFが到達しても、正常組織
にガン化を誘導したり過剰な増殖を起こすことがないと
考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記のようにHGFが
肝細胞だけでなく広く上皮細胞の増殖を促進し、またガ
ン細胞の増殖抑制活性を有することから、生体内ではH
GFが組織傷害治癒に働いていることが予想される。H
GF産生細胞は上皮細胞自身ではなく、肝臓ではKup
ffer細胞や類洞壁血管内皮細胞、腎臓では毛細血管
内皮細胞、肺では肺胞マクロファージや血管内皮細胞な
ど主に間葉系の細胞により産生されていることが解明さ
れており、近隣細胞から必要に応じてHGFが供給され
る、いわゆるパラクリン機構が成立していることが明ら
かにされている。しかしながら、肝臓や腎臓に傷害を受
けたとき、傷害を受けていない臓器、例えば肺などにお
いてもHGFの産生が高まることから、いわゆるエンド
クリン機構によってもHGFが供給されていると考えら
れる。
【0007】すなわち、HGFの産生を促進する物質は
傷害を受けた組織から分泌され、血液などを介してHG
F産生細胞に到達し、細胞内に蓄えられたHGFを放出
させたり、新たに産生を開始させる働きを持つと考えら
れる。創傷治癒や腎再生促進を目的としてHGFを投与
することは勿論であるが、HGF産生を促進する物質を
投与すれば、より少ない投与量、投与回数で同じ効果が
得られると予想される。より詳細には、組織傷害治療法
としてHGFを直接投与する場合と比較すると、HGF
産生促進物質を投与するほうが、HGFの血中濃度を長
時間維持することが可能であり、一回の投与量や投与回
数を減らすことができると予想される。また、HGFを
経皮吸収させることは困難であるが、HGFの産生を促
進する物質が経皮吸収性を有するなら、経皮吸収により
HGF産生を促進する製剤を得ることが可能となり、製
剤化及び使用法が容易になると共に適用の拡大も期待で
きる。
【0008】一方、生体は呼吸器、皮膚、消化器を始め
とするあらゆる組織、器官において外的、内的を問わず
常に物理的、化学的、あるいは微生物による傷害を受け
ている。これに対してHGF、FGF、EGF、PDG
Fなど細胞増殖因子を始め、あらゆる機能を動員して、
器官の機能組織細胞、マトリクス細胞などの修復作業を
行うことが、ホメオスタシスの一つの重要な要因である
が、その補償機能ネットワークを作動させ、調節する中
心的な因子が組織内に存在すると考えられてきた。HG
F産生促進因子は、肝臓、腎臓等の臓器傷害の補償機能
やHGFの発現機構を研究するのに有用であるだけでな
く、生体のHGF受容体を有する組織、器官傷害を治癒
する因子であり、治療薬として非常に有用であることは
明らかである。その有用性は前述のHGFの有用性を考
慮すれば明白であるが、例えば、肝臓について考えれ
ば、肝切除や肝炎による器官傷害の際、HGF投与によ
って肝実質細胞のみを再生させることができるのに対
し、器官傷害の修復機能全体をコントロールするHGF
産生促進因子を投与することにより、実質細胞のみなら
ず、非実質細胞である類洞周囲結合組織など支持組織を
始め傷害部位全体の再生が加速され、真の修復促進が行
われる。
【0009】すなわち、HGF産生促進因子を治療薬と
して利用することができれば、従来の発見されてきた種
々の細胞増殖因子を単独で使用するのに比べて、格段に
マイルドかつすみやかに傷害を治療することができ、そ
の有用性は計り知れない。かかる観点から、本発明者
は、HGF産生を促進する物質を鋭意研究した結果、イ
ンターロイキン−1α、インターロイキン−1β、ヘパ
リン及びその誘導体、ヘパラン硫酸、プロスタグランジ
ンE1及びその誘導体、プロスタグランジンE2及びその
誘導体、プロスタグランジンI2及びその誘導体、並び
にこれらプロスタグランジン類又はその誘導体の包接化
合物に顕著なHGF産生促進作用があることを見出して
本発明を完成した。即ち、本発明は、HGF産生促進作
用を有することにより前述のごとく多岐にわたる疾患に
関する治療剤を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本発明のHGF産生促進剤は、インターロ
イキン−1α、インターロイキン−1β、ヘパリン又は
その誘導体、ヘパラン硫酸、プロスタグランジンE1
プロスタグランジンE2、プロスタグランジンI2、これ
らプロスタグランジン類の誘導体、及びこれらプロスタ
グランジン類又はその誘導体の包接化合物からなる群よ
り選ばれた少なくとも一種を有効成分として含有するこ
とからなる。なお、これらの有効成分は、二種以上を併
用してもよい。本発明のHGF産生促進剤の有効成分で
あるインターロイキン−1α及びインターロイキン−1
βは公知の物質であり、これらは常法に準じて哺乳動物
組織等から単離されたもの、遺伝子工学的手段で調製さ
れたものなど何れも用いることができる。更に、上記の
物質は、そのアミノ酸配列の一部が欠失又は他のアミノ
酸に置換された物質、他のアミノ酸配列が挿入された物
質、N末端及び/又はC末端に1又は2以上のアミノ酸
が結合した物質、糖鎖が付加、置換又は欠失した物質等
であってもよい。また、ヘパリン及びヘパラン硫酸も公
知の物質であり、これらは常法に準じて哺乳動物組織等
から単離されたものを用いることができる。ヘパリンの
誘導体としては、ヘパリンを化学処理することにより低
分子化した低分子ヘパリン(平均分子量4,400〜
5,600程度)、ヘパリンの官能基(例えば、水酸
基、カルボキシル基等)に化学処理(例えば、アシル
化、アルキル化、エステル化、アミド化等)をすること
により置換基を導入した化合物などが例示される。上記
のヘパリン及びヘパリン誘導体は、その塩(例えば、ア
ルカリ金属塩等)の形態であってもよい。
【0011】さらに、本発明において、プロスタグラン
ジン(以下、PGという)系の有効成分であるPG
1、PGE2及びPGI2は公知の物質であり、例え
ば、市販のものを用いることができる。これらPG類の
誘導体としては、安定性の向上、作用の増強などを図る
ために種々の化学的な修飾を加えた化合物が包含され、
上記PG類及びその誘導体であってカルボキシル基を有
する化合物の場合には、医薬として許容され得る塩の形
態であってもよい。また、上記のPG類及びその誘導体
の包接化合物としては、例えば、これらの化合物とα−
シクロデキストリン、β−シクロデキストリン等との包
接化合物が例示される。上記のPG類誘導体及び包接化
合物としては、例えば、特公昭53−36458、54
−32773、57−20305、特開昭49−473
52、51−101961、51−122040、52
−27753、52−42856、53−84942、
54−44639、55−100360、58−476
2、58−203964、58−203911、59−
20267等に記載の化合物又はこれらの公報に記載の
方法又はこれに準じて調製した化合物が挙げられる。P
G類誘導体及び包接化合物の好適な例としては、例え
ば、OP2507及びONO41483などが挙げられ
る。
【0012】本発明の促進剤は種々の製剤形態(例え
ば、液剤、固形剤、カプセル剤など)をとりうるが、一
般的には有効成分であるインターロイキン−1α、イン
ターロイキン−1β、ヘパリン又はその誘導体、ヘパラ
ン硫酸、PGE1、PGE2、PGI2、これらPG類の
誘導体、及びこれらPG類又はその誘導体の包接化合物
からなる群より選ばれた一種若しくは二種以上の成分の
み又はそれらと慣用の担体と共に注射剤とされるか、又
は慣用の担体と共に外用薬とされる。当該注射剤は常法
により調製することができ、例えば、上記の有効成分を
適切な溶剤(例えば、滅菌水、緩衝液、生理食塩水等)
に溶解した後、フィルター等で濾過して滅菌し、次いで
無菌的な容器に充填することにより調製することができ
る。注射剤中の有効成分含量は、適宜調整される。ま
た、外用薬としては、例えば、軟膏状、ゲル状、液状な
どの剤形に製剤化され、製剤中の有効成分含量は、外用
薬の適用疾患、適用部位などに応じて適宜調整すること
ができる。
【0013】製剤化に際して、好ましくは安定化剤が添
加され、安定化剤としては、例えば、アルブミン、グロ
ブリン、ゼラチン、マンニトール、グルコース、デキス
トラン、エチレングリコールなどが挙げられる。さら
に、製剤化に必要な添加物、例えば、賦形剤、溶解補助
剤、酸化防止剤、無痛化剤、等張化剤等を含んでいても
よい。液状製剤とした場合は凍結保存、又は凍結乾燥等
により水分を除去して保存するのが望ましい。凍結乾燥
製剤は、用時に注射用蒸留水などを加え、再溶解して使
用される。本発明の促進剤は、該製剤の形態に応じた適
当な投与経路により投与され得る。例えば、注射剤の形
態にして静脈、動脈、皮下、筋肉内等に投与することが
できる。その投与量は、患者の症状、年齢、体重などに
より適宜調整される。
【0014】HGFは生体の組織、器官などの傷害の治
癒を促進する作用を有する。従って、本発明のHGF産
生促進剤は、前述したような、例えば、肝疾患治療剤、
腎疾患治療剤、創傷治療剤、皮膚潰瘍治療剤、毛根細胞
増殖剤、制ガン剤、肺傷害治療剤、ガン療法用副作用防
止剤などの用途を有し、より具体的には、例えば、肝疾
患(例えば、肝炎、肝硬変、肝不全、外科手術後の肝再
生等)、腎疾患(例えば、糸球体腎炎、腎不全、腎性貧
血症、糖尿病性腎症、薬剤投与後の腎傷害等)、皮膚疾
患(例えば、白斑病、熱傷、床擦れ、皮膚潰瘍、禿頭症
等)、血液疾患(例えば、血小板減少症、骨髄移植
等)、眼疾患(例えば、角膜潰瘍等)、肺疾患(例え
ば、肺炎、肺気腫、肺結核、慢性閉塞性肺疾患、塵肺、
肺線維症等)、胃十二指腸疾患(例えば、胃炎、胃潰
瘍、十二指腸潰瘍等)、癌疾患及びその関連疾患(例え
ば、各種癌、癌療法による副作用、例えば肝毒性、腎毒
性、悪心、嘔吐、血小板減少、脱毛などの予防等)、骨
疾患(例えば、骨粗鬆症、骨異形成症、変形性関節炎
等)、中枢疾患(例えば、神経分化異常症等)などの疾
患の予防・治療に有用である。
【0015】
【発明の効果】本発明の促進剤によれば、HGFの産生
を促進することができ、生体の組織、器官などの傷害の
治癒を促進することができるなどの効果、より具体的に
は、肝疾患、腎疾患、皮膚疾患、血液疾患、眼疾患、肺
疾患、胃十二指腸疾患、癌及びその関連疾患、骨疾患、
中枢疾患などの治療に有用である。
【0016】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。 実施例1インターロイキン−1α及びインターロイキン−1βの
HGF産生促進活性 ヒト皮膚線維芽細胞を24穴プレートに、5×104
胞/cm2となるように播種し、24時間培養した。培
地を、1%ウシ胎児血清(FCS)を添加した新鮮なD
MEM(Dulbecco's modified Eagle's medium)に交換し
た後、インターロイキン−1α又はインターロイキン−
1βを添加し、24時間培養した。培養により産生され
たHGFは、常法に準じて、ウサギ抗ヒトHGFポリク
ロナール抗体を用いた酵素免疫測定法により測定した。
その結果を図1に示す。図中、●はインターロイキン−
1αを、○はインターロイキン−1βを示す。図1に示
されるように、インターロイキン−1α及びインターロ
イキン−1βは共に低濃度においてもHGF産生を著し
く促進することが判明した。
【0017】実施例2ヘパリンのHGF産生促進活性 MRC−5ヒト胎芽肺線維芽細胞を24穴プレートに、
5×104細胞/cm2となるように播種し、24時間培
養した。培地を、1%FCSを添加した新鮮なDMEM
に交換した後、リン酸緩衝液に溶解したヘパリンを添加
し、24時間培養した。培養により産生されたHGF
は、常法に準じて、ウサギ抗ヒトHGFポリクロナール
抗体を用いた酵素免疫測定法により測定した。その結果
を図2に示す。図2に示されるように、ヘパリンは低濃
度においてもHGF産生を著しく促進することが判明し
た。
【0018】実施例3PG類のHGF産生促進活性 ヒト皮膚線維芽細胞を24穴プレートに、5×104
胞/cm2となるように播種し、24時間培養した。培
地を、1%FCSを添加した新鮮なDMEMに交換した
後、10-12〜10-6MのPG類(すなわち、PGE1
PGE2並びにPEI2の誘導体又は包接化合物であるO
P2507及びONO41483)を添加し、24時間
培養した。培養により産生されたHGFは、常法に準じ
て、ウサギ抗ヒトHGFポリクロナール抗体を用いた酵
素免疫測定法により測定した。その結果を図3に示す。
図3において、●はPGE1、○はPGE2、□はOP2
507、△はONO41483をそれぞれ示す。図3に
示されるように、PGE1、PGE2、OP2507及び
ONO41483は、いずれも10-8MからHGF産生
促進作用が認められ、10-6Mで最大促進を示した。こ
の時の産生促進は、対照と比較してPGE1で30.6
倍、PGE2で6.7倍、OP2507で75.4倍、
ONO41483で20.7倍であった。
【0019】実施例4ヒト皮膚線維芽細胞及びMRC−5細胞のHGF産生に
及ぼす種々のPG類の効果 ヒト皮膚線維芽細胞及びMRC−5細胞は、24穴プレ
ートに5×104細胞/cm2で播種し、24時間培養し
た。培地を、1%FCSを添加した新鮮なDMEMに交
換した後、10-6MのPG類(PGE1、PGE2、OP
2507及びONO41483)を添加し24時間培養
した。培養により産生されたHGFは、常法に準じて、
ウサギ抗ヒトHGFポリクロナール抗体を用いた酵素免
疫測定法により測定した。その結果を表1に示す。表1
に示されるように、ヒト皮膚線維芽細胞において、著し
いHGF産生促進作用を示したのは、PGE1とPGI2
の誘導体であるOP2507であった。一方、MRC−
5細胞においては、逆にPGI2の誘導体よりもPGE1
及びPGE2の方がHGF産生促進作用がわずかながら
強いことが分かった。
【0020】
【表1】
【0021】実施例5ヒト皮膚線維芽細胞におけるPGE2によるHGF産生
の経時変化 ヒト皮膚線維芽細胞は、24穴プレートに5×104
胞/cm2で播種し、24時間培養した。培地を、1%
FCSを添加した新鮮なDMEMに交換した後、10-6
MのPGE2の存在下又は非存在下(コントロール)
に、3、6、9、12及び24時間培養した。各培養時
間において、培養系に産生されたHGFを、常法に準じ
て、ウサギ抗ヒトHGFポリクロナール抗体を用いた酵
素免疫測定法により測定した。その結果を図4に示す。
図中、●はPGE2の存在下を、○はコントロールを示
す。図4に示されるように、コントロールと比較して、
PGE2のHGF産生促進作用は添加直後から認めら
れ、HGFの産生が増加した。更に、添加後6時間から
急激にHGF産生が増加しはじめ、12〜24時間でプ
ラトーに達した。
【0022】実施例630%部分肝切除ラットに対するヘパリンの投与効果 30%部分肝切除ラットにヘパリンを投与したときの効
果(DNA合成変化、血中HGF濃度変化)を、以下の
方法にて試験した。動物の処理 雄性ウィスターラット(体重120-210g)を用い、エー
テル麻酔下に開腹し、左側葉のみを脱転し、結紮・切除
した。ほぼ全体の30%の肝を切除できる。肝切除直後
及び切除後12時間おきに所定濃度のヘパリンを腹腔内
に投与し、12、24、36、48及び72時間後に屠
殺した。屠殺1時間前に、5−ブロモ−2’−デオキシ
ウリジン(BrdU)50mg/kgを腹腔内投与し
た。屠殺時に、下大静脈より全採血した後、残余肝を摘
出し、重量を測定すると共に一部は組織染色試験用に7
0%エタノール固定し、他は−80℃で凍結保存した。
なお、ヘパリンに代え、生理食塩水を投与した系を対照
(コントロール)とした。DNA合成 70%エタノール固定した肝の一部をパラフィン包埋
後、常法に準じ、抗BrdUモノクローナル抗体を用い
て免疫組織染色した。染色後、100倍視野でカラー写
真を撮影し、ランダムに選んだ4視野中の染色細胞数の
比率(%)を求め、その平均をラベリングインデックス
(以下、LIという)とした。
【0023】血中HGF濃度 屠殺時に採取した全血より血漿を調製し、4℃に保存し
た。血漿を、下記に示す手順で、ヘパリン−セファロー
スカラムにて部分精製し、HGF濃度をポリクローナル
−α−ラットHGF抗体を用いた酵素免疫測定法により
測定した。 (a)血漿1mlを4mlの低塩濃度HS(Hartman's solu
tion)緩衝液で希釈する。 (b)低塩濃度HS緩衝液にて平衡化したヘパリン−セフ
ァロースカラムCL−6B(ベッド容積1ml)に上記
のサンプルを通す。 (c)低塩濃度HS緩衝液5mlにてカラムを洗浄する。 (d)高塩濃度HS緩衝液(2M塩化ナトリウム含有)5m
lにて溶出する。最初の2mlを回収する。 (e)回収した溶出液を十分量のW.E.液に対して一夜
透析し、透析後、酵素免疫法でHGF濃度を測定する。
【0024】上記の方法で試験した結果は以下のとおり
であった。DNA合成 ヘパリン1mg/kgを投与したときのLIの経時変化
を図5に示す。図5に示されるように、24時間後に非
常に強いDNA合成の促進が認められた。また、36〜
48時間にかけても対照よりやや高いDNA合成の促進
が認められた。次に、ヘパリン投与量と24時間後のL
Iの関係を表2に示す。
【0025】
【表2】
【0026】表2に示されるように、24時間後のLI
値はヘパリン投与量に対して相関していた。以上の結果
に示されるように、ヘパリンの投与によりDNA合成が
促進されることが明らかになった。
【0027】血中HGF濃度 ヘパリン1mg/kgを投与したときの血中HGF濃度
の経時変化を図6に示す。図6に示されるように、コン
トロールにおいては12時間後にピークを示し、その後
徐々に減少する傾向を示した。それに対し、ヘパリンを
投与すると、同様に12時間後に血中HGF濃度の著し
い上昇が見られ、さらに48時間後にも血中HGF濃度
の上昇が認められた。このように、ヘパリンの投与によ
り血中HGF濃度の上昇が認めれる。なお、2つのピー
クは、異なる作用機構により血中HGF濃度が上昇して
いるものと推察される。
【0028】実施例730%部分肝切除ラットに対する低分子ヘパリンの投与
効果 ヘパリンに代え、低分子ヘパリン[フラグミン静注(商
品名)、平均相対分子量約5,000]を用いて、実施
例6と同様な試験を行った。低分子ヘパリン1mg/k
gを投与したときの24時間及び36時間後のLI値を
表3に示す。
【0029】
【表3】
【0030】表3に示されるように、低分子ヘパリンの
投与によりDNA合成が促進されることが明らかになっ
た。
【0031】実施例830%部分肝切除ラットに対するPG類の投与効果 ヘパリンに代え、PG類(OP−2507、PGE1
を用いて、実施例6と同様な試験を行った。なお、投与
方法は、背部皮下投与とし、肝切除直後及び12時間後
にPG類を投与し、24時間後に屠殺した。PG類を1
00μg/kg又は30μg/kg投与したときの24
時間後のLI値及び血中HGF濃度を表4に示す。
【0032】
【表4】
【0033】表4に示されるように、PG類の投与によ
りDNA合成が促進され、血中HGF濃度が上昇するこ
とが明らかになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1におけるインターロイキン−1α及び
インターロイキン−1β濃度とHGF産生量の関係を示
す図である。図中、●はインターロイキン−1αを、○
はインターロイキン−1βを示す。
【図2】実施例2におけるヘパリン濃度とHGF産生量
の関係を示す図である。
【図3】実施例3におけるPG類濃度とHGF産生量の
関係を示す図である。図中、●はPGE1、○はPG
2、□はOP2507、△はONO41483をそれ
ぞれ示す。
【図4】実施例5における培養時間とHGF産生量の関
係を示す図である。図中、●はPGE2の存在下を、○
はコントロールを示す。
【図5】実施例6におけるヘパリン1mg/kgをラッ
トに投与したときのLI(ラベリングインデックス)の
経時変化を示す図である。図中、●はヘパリンを投与し
た系を、○はコントロールを示す。
【図6】実施例6におけるヘパリン1mg/kgをラッ
トに投与したときの血中HGF濃度の経時変化を示す図
である。図中、●はヘパリンを投与した系を、○はコン
トロールを示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31/725 ADU 8314−4C (31)優先権主張番号 特願平5−67509 (32)優先日 平5(1993)3月2日 (33)優先権主張国 日本(JP)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インターロイキン−1α、インター
    ロイキン−1β、ヘパリン又はその誘導体、ヘパラン硫
    酸、プロスタグランジンE1、プロスタグランジンE2
    プロスタグランジンI2、これらプロスタグランジン類
    の誘導体、及びこれらプロスタグランジン類又はその誘
    導体の包接化合物からなる群より選ばれた少なくとも一
    種を有効成分として含有するHGF(Hepatocyte Growt
    h Factor、肝細胞増殖因子)産生促進剤。
  2. 【請求項2】 肝疾患、腎疾患、皮膚疾患、血液疾
    患、眼疾患、肺疾患、胃十二指腸疾患、癌疾患、癌関連
    疾患、骨疾患又は中枢疾患の治療に用いられる請求項1
    記載のHGF産生促進剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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