JPH0631092A - 洗濯機の重量センサ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、脱水時等に機能すべきダンパ機構
に影響を与えることなく洗濯物等の重量を精度よく検知
することを目的とする。 【構成】 少なくとも１つの槽体支承部１の部分に設け
られ吊り棒４を能動的に変位させる変位手段３と、吊り
棒４が変位を開始する点の変位手段３の仕事量に基づい
て洗濯物等の重量を求める演算手段とを有することを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、洗濯機の重量センサの
改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】洗濯機には、例えば洗濯機本体としての
外箱内に、外槽としての固定の水槽と内槽としての洗濯
槽を兼ねた脱水槽とを備えた２槽構造のものがある。以
下、この明細書において、上記外槽及び内槽を含めてバ
スケットと云う。バスケットは、外箱の内部四隅に設け
られたバスケット支承部に４本の吊り棒を介して弾性的
に吊持された構造となっている。

【０００３】このような構造の洗濯機においてバスケッ
ト内に投入される洗濯物等の重量を検出する従来の重量
センサとしては、例えば図６に示すようなものがある。
同図において、２１はバスケット、２２はバスケット支
承部、２３は吊り棒であり、バスケット支承部２２の部
分にセンサホルダ２４が取付けられ、このセンサホルダ
２４にコイルばね２５とコイルばね２５の変位量を検出
するための電磁誘導式等のセンサ２６が収納されてい
る。また、吊り棒２３の下部には脱水時のバスケット２
１の異常振動を抑制するためのコイルばね２７及び摩擦
装置２８等からなるダンパ機構が設けられている。そし
て投入された洗濯物等の重量に対応したコイルばね２５
の変位量をセンサ２６で検出し、その検出信号に基づい
て洗濯物等の重量を検知するようになっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の洗濯機の重量セ
ンサは、吊り棒の上端部とバスケット支承部との間にコ
イルばねを設け、洗濯物等の投入により吊り棒がコイル
ばねを変形するように構成し、このコイルばねの変位量
をセンサで検出することにより洗濯物等の重量を検知す
るようになっている。このため、重量センサ側のコイル
ばねのばね定数がダンパ機構に影響を与えて十分なダン
ピング効果を得られなくなることがあり、新たにセンサ
を含めたダンパ機構の再設計或いはバスケットの寸法、
形状等の設計変更を必要とすることにもなるという問題
があった。

【０００５】本発明は、上記問題に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、洗濯及び脱水時に機能す
べきダンパ機構に対して何等影響を与えることなく、洗
濯物等の重量を精度よく検知することのできる洗濯機の
重量センサを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
に、本発明は、第１に、洗濯物等が投入される槽体を外
箱側に設けた複数の槽体支承部に吊り棒を介して弾性的
に吊持した構造の洗濯機における前記洗濯物等の重量を
検出する洗濯機の重量センサであって、少なくとも１つ
の前記槽体支承部の部分に設けられ前記吊り棒を能動的
に変位させる変位手段と、該変位手段により前記吊り棒
が変位を開始する点の当該変位手段の仕事量に基づいて
前記洗濯物等の重量を求める演算手段とを有することを
要旨とする。

【０００７】第２に、上記第１の構成において、前記変
位手段は電磁石であり、該電磁石が作用する前記吊り棒
部分は磁性材料で形成してなることを要旨とする。

【０００８】

【作用】上記構成において、第１に、洗濯物等の重量検
出時に、変位手段の駆動により、投入されたその洗濯物
等の重量に抗して吊り棒が変位される。この吊り棒が変
位を開始する点の変位手段の仕事量から洗濯物等の重量
が精度よく求められる。重量検出時以外は、吊り棒は、
ばね等を介さずに槽体支承部に固定状態となるので、洗
濯及び脱水時に機能すべきダンパ機構に対して何等影響
を与えることがない。

【０００９】第２に、変位手段は具体的に電磁石で構成
される。洗濯物等の重量検出時に、電磁石のコイルに電
流を流すと磁力が発生し、投入された洗濯物等の重量に
抗して吊り棒を引き寄せようとする。電流が小さいとき
は吊り棒は動かないが、徐々に電流を大きくしていく
と、磁力と吊り棒の荷重（洗濯物等の重量）が等しくな
ったところで吊り棒は電磁石に吸着される。電流の大き
さの２乗と吊り棒の荷重は比例関係にあるので、吊り棒
が変位を開始した瞬間の電流値から洗濯物等の重量が求
められる。また、逆に予め電磁石のコイルに大きな電流
を流しておいて電流を小さくしていき吊り棒が電磁石か
ら離れていく瞬間の電流値を用いても洗濯物等の重量が
求められる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。

【００１１】図１ないし図３は、本発明の第１実施例を
示す図である。本実施例は、変位手段として電磁石が用
いられている。まず、図１及び図２を用いて重量センサ
の構成を説明する。槽体支承部としてのバスケット支承
部１の部分にセンサホルダ２が取付けられ、このセンサ
ホルダ２内の上部に、電磁石３が収納されている。電磁
石３は、コの字形鉄心３ａにコイル３ｂが巻回されて構
成されている。なお、鉄心の形状はこれに限定するもの
ではない。また、吊り棒４は電磁石３と対向する上端部
もしくは全体が磁性体材料５により形成され、常時はこ
の上端部の部分で、センサホルダ２を介してバスケット
支承部１に支承されている。吊り棒４の上端部と電磁石
３との間には僅かな空隙が設けられ、重量検出時に、そ
の上端部が電磁石の作用により吸着されるようになって
いる。電磁石３のコイル３ｂにはサージ電圧吸収用のダ
イオード６が並列に接続されている。コイル３ｂの一端
は電源に接続され、他端はコイル電流制御部を構成する
トランジスタ７と、コイル電圧を検出することにより吊
り棒４の変位開始時期を検知する演算手段及び制御手段
としてのマイコン９にＡ／Ｄコンバータ８を介して接続
されている。コイル電流制御部は、トランジスタ７とそ
のエミッタ−グランド間に接続された抵抗１０、この抵
抗１０に発生する電圧をトランジスタ７のベースに負帰
還させるためのオペアンプ１２、バイアス電圧可変用の
Ｄ／Ａコンバータ１３、そのためのデータを送出するマ
イコン９によって構成されている。トランジスタ７のコ
レクタは上記のように電磁石３のコイル３ｂの一端に接
続され、ベースは抵抗１１を介してオペアンプ１２の出
力端に接続されている。オペアンプ１２の（＋）端子に
はＤ／Ａコンバータ１３が接続され、（−）端子にはト
ランジスタ７のエミッタ電圧が入力されている。これに
よりＤ／Ａコンバータ１３の出力電圧とエミッタ電圧と
が等しくなるように制御される。コイル電流はトランジ
スタ７のエミッタを流れ、エミッタ電圧を上昇させる。
したがって、エミッタ電圧を制御することにより、コイ
ル電流が制御できるようになっている。電磁石３が磁性
体５を吸着させようとすると、その変位の開始時から電
磁石３のコイル３ｂのインダクタンスが上昇し始め、コ
イル３ｂの両端電圧も増加する。そこで電磁石３の作用
により磁性体５（吊り棒４）が変位を開始する時期を検
知するために、コイル３ｂとトランジスタ７のコレクタ
の接続点の電圧がＡ／Ｄコンバータ８を介してマイコン
９に入力されている。

【００１２】なお、Ａ／Ｄコンバータ８の代りにコンパ
レータを用い、その一方の入力端子に基準電圧を与え、
他方の入力端子をトランジスタ７のコレクタとコイル３
ｂの接続点に接続してもよい。この場合、マイコン９に
はコレクタ電圧値ではなく、上記の基準電圧との大小を
示す信号が入力されることになる。

【００１３】次に、図３を用いて、上述のように構成さ
れた重量センサの作用を説明する。

【００１４】トランジスタ７のコレクタ電圧を検知しな
がら、コイル電流Ｉを、図３に示すように、傾斜状に大
きくしていく。このとき電流Ｉとこれによって発生する
吸引力Ｆｍには、 Ｆｍ∝Ｉ² の関係があり、比例係数は鉄心３ａの形状、透磁率、コ
イル３ｂの巻線回数等により決定される。電流Ｉの大き
さが小さいときは、電磁石３の吸引力が吊り棒４の荷重
Ｆｗに比べて小さいため吊り棒４は動かないが、 Ｆｍ＝Ｆｗ となったところで吊り棒４が動き始める。このときコイ
ル３ｂのインダクタンスが急激に上昇し、電磁石３のコ
イル両端電圧が上昇する。したがってトランジスタ７の
コレクタ電位Ｖは低下するので、マイコン９はこの時コ
イル電流制御部を操作し電磁石３のコイル３ｂへの通電
を終了する。そしてコイル３ｂの電圧Ｖが急激に上昇す
る寸前のコイル電流値Ｉより吊り棒４の荷重、即ち洗濯
物等の重量を演算する。コイル３ｂへの通電を終了した
ことから電磁石３の作用がなくなり吊り棒４はもとの位
置に戻る。

【００１５】また、上記の場合とは逆に、コイル３ｂに
予め大きな電流を流しておき吊り棒４を吸着させておい
て電流を徐々に下げていってもよい。この場合、吊り棒
４が電磁石３から離れる瞬間にインダクタンスが急激に
減少するので、コイル両端電圧は減少し、トランジスタ
７のコレクタ電位が上昇する。ここで通電を終了する。
通電終了寸前のコイル電流値は上記の場合と等しくなる
ので、洗濯物等の重量の演算結果も等しくなる。

【００１６】次いで、図４及び図５には、本発明の第２
実施例を示す。本実施例は、変位手段として圧電素子が
用いられている。本実施例では、バスケット支承部が二
重構造とされ、吊り棒４は上段支承部１４に固定され下
段支承部１５は洗濯機本体外箱に固定されている。そし
て上段支承部１４と下段支承部１５の間に、圧電素子１
６がサンドイッチされる形で配置されている。上段支承
部１４と下段支承部１５とが１対の電極となってコンデ
ンサが形成されている。コンデンサはコンデンサ容量を
検知する容量検知回路１７を経てマイコン９に接続され
ている。また、圧電素子１６には任意の電圧を印加する
電圧印加回路１８が接続されている。マイコン９に容量
検知回路１７の信号を読み込み、これをもとに電圧印加
回路１８を制御して圧電素子１６に対する印加電圧を制
御するようになっている。

【００１７】重量検出時にマイコン９は電圧印加回路１
８を制御して圧電素子１６に任意の電圧を与える。与え
る電圧が小さいときは吊り棒４の荷重により、圧電素子
１６は変位を生じない。与える電圧を徐々に大きくして
いくと圧電素子１６に変位が生じ、上段支承部１４は押
し上げられる。このとき二重の支承部１４，１５によっ
て構成されるコンデンサは電極間距離が変化することに
よってその静電容量が減少する。容量検知回路１７を通
してマイコン９が容量の減少、即ち上段支承部１４の変
位を確認して、圧電素子１６への電圧印加を終了し、終
了前の電圧を記憶しておく。電圧印加を終了したこと
で、上段支承部１４はもとの位置に戻る。上段支承部１
４が変位を開始したときに圧電素子１６に与えられてい
た電圧と、吊り棒４の荷重、即ち洗濯物等の重量は比例
しているのでこの電圧値から洗濯物等の重量が演算され
る。

【００１８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
第１に、少なくとも１つの槽体支承部の部分に設けられ
吊り棒を能動的に変位させる変位手段と、この変位手段
により吊り棒が変位を開始する点の当該変位手段の仕事
量に基づいて洗濯物等の重量を求める演算手段とを具備
させたため、洗濯物等の重量を精度よく検知することが
できるとともに重量検出時以外は、吊り棒はばね等を介
さずに槽体支承部に固定状態となるので、洗濯や脱水時
に機能すべきダンパ機構に対して何等影響を与えること
がないという利点がある。したがって、重量センサを設
けることによって新たなダンパ機構や振動抑制対策のた
めの再検討、再設計を行う必要がなく、即時に現状の洗
濯機に重量センサを組み込むことが可能になる。即ち開
発設計時間、コスト削減に大きく寄与し得る。

【００１９】第２に、変位手段を電磁石とし、この電磁
石が作用する吊り棒部分を磁性材料で形成することによ
り、吊り棒が変位を開始する瞬間の電磁石のコイル電流
値から洗濯物等の重量を求めることができて検知精度の
向上が保証される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る洗濯機の重量センサの第１実施例
を縦断面で示す構成図である。

【図２】上記第１実施例におけるセンサ回路の回路図で
ある。

【図３】上記第１実施例において電磁石のコイル電流
（エミッタ電圧）とセンサ回路におけるトランジスタの
コレクタ電圧との関係を示す図である。

【図４】本発明の第２実施例を縦断面で示す構成図であ
る。

【図５】上記第２実施例におけるセンサ回路のブロック
図である。

【図６】従来の洗濯機の重量センサを縦断面で示す構成
図である。

【符号の説明】

１ バスケット支承部（槽体支承部） ３ 電磁石（変位手段） ４ 吊り棒 ５ 磁性材料 ９ マイコン（演算手段） １６ 圧電素子（変位手段）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 洗濯物等が投入される槽体を外箱側に設
   けた複数の槽体支承部に吊り棒を介して弾性的に吊持し
   た構造の洗濯機における前記洗濯物等の重量を検出する
   洗濯機の重量センサであって、 少なくとも１つの前記槽体支承部の部分に設けられ前記
   吊り棒を能動的に変位させる変位手段と、該変位手段に
   より前記吊り棒が変位を開始する点の当該変位手段の仕
   事量に基づいて前記洗濯物等の重量を求める演算手段と
   を有することを特徴とする洗濯機の重量センサ。
2. 【請求項２】 前記変位手段は電磁石であり、該電磁石
   が作用する前記吊り棒部分は磁性材料で形成してなるこ
   とを特徴とする請求項１記載の洗濯機の重量センサ。