JPH06309B2 - 回転駆動可能な工具締付け装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、少なくとも２つの締付け円板及び共通の締付
けねじを有し、２つの締付け円板の間に工具シェルを締
付ける、回転駆動可能な工具締付け装置に関する。本発
明の範囲内において工具シェルとは、シェル状の工具、
従って工具を形成するシェル外面を備えたシェルのこと
である。その際例えば紙やすりから成る研磨シェル、半
径方向に突出した剛毛を有するブラシシェル等が考えら
れる。

従来の技術 前記の構成の工具締付け装置において、特に曲がり易い
工具シェルの、従って曲げ弾性を有する又は可とう性を
有する材料、いずれにせよ十分な曲げ強さを持たない材
料から成る工具シェルの締付けは、しばしば困難を生じ
る。このことは、使用の際に作用する応力を変形せずに
吸収できるようにするため、締付け円板の間の支障ない
位置決め又は心出しに関してだけでなく、十分な安定化
に関してもあてはまる。そのため通常ゴム心が使用さ
れ、これらゴム心は、工具シェル内に挿入され、かつ工
具シェルと共に締付け円板の間で締付けられる。ゴム心
において工具シェルを常に十分に支持するため、シェル
材料が長く使用した後に延びた場合、このようなゴム心
はいわば圧縮される。しかしこのような圧縮は問題であ
る。なぜならゴム心によつて工具シェルのふくらみも生
じるので、種々の加工プロセスに対して得られる支持面
はどんどん小さくなり、この支持面はさらに大きな磨耗
を受けるからである。工具支持面が小さくなった結果、
工具の使用が不経済になる。さらに磨耗が大きいことも
多くの費用を要する。さらに新しい工具シェルを支障な
く収容できるようにするため、ゴム心は特に大きな復帰
能力の点で優れていなければならないことは問題であ
る。本発明は、これらの欠点を除去しようとするもので
ある。

発明の目的 本発明の課題は、ゴム心又は同様な支持部材を省略して
常にそれぞれ締付けた工具シェルの支障ない位置決めと
安定性を保証し、従って工具シェルが曲がり易い材料か
ら成る場合でさえ、使用の際に作用する応力によって変
形を生じず、従って常に円筒形の工具表面を利用できる
ような、初めに述べたような回転駆動可能な工具締付け
装置を提供することにある。

発明の構成 初めに述べたような工具締付け装置において、本発明は
この課題を次のようにして解決する。すなわち両方の締
付け円板が、実質的に同じ直径の工具シェルを締付ける
ため、工具シェルの端部と係合することができる同心的
なリング溝を有する。本発明のこの処置の結果、驚くべ
きことに曲がり易い材料から成る工具シェルは、中心回
転軸線のまわりの回転速度の増加と共に増加する回転安
定度を有し、従ってその結果曲げ強さを有する作業シリ
ンダが構成され、この作業シリンダは、戻し効果を有す
る作用する最大の応力に耐え、使用中に変形を生じるこ
とはない。回転安定性が、生じる遠心力によることは明
らかであり、さらにこの遠心力は、リング溝内にある当
該の工具シェルを支障なく心出しするようになってい
る。いずれにせよ本発明による工具締付け装置によれ
ば、曲がり易い又は可とう性の材料から成る工具シェル
のためにゴム心又は同様な支持部材を従来のように使用
することは不要になる。

次に本発明にとって重要な別の特徴について説明する。
本発明によれば、一方の締付け円板は、締付けた工具シ
ェルを外側からつかむ軸線方向橋絡片を有し、かつ他方
の締付け円板は、相応して分散して、例えば120°の分
散で軸線方向橋絡片の橋絡片端部用の差込み切欠きを有
する。これら軸線方向橋絡片によれば、工具シェルの円
筒形は、遠心力が極めて大きい場合でも維持されてい
る。その際工具シェルは、軸線方向橋絡片をカバーして
収容する長手溝を有することができるが、軸線方向橋絡
片は、これら軸線方向橋絡片を越えて突出した工具素子
の間においてシェル表面上に延びていてもよい。軸線方
向橋絡片が所属のリング溝の外周面を区切っており、従
って締付け円板の外周面を越えて突出してはいないと有
利である。リング溝の内周面にはそれぞれ１つの中心円
錐が続いていてもよく、これら中心円錐によれば、工具
シェルの心出し又は位置決めが容易になる。さらに本発
明によれば、両方の締付け円板は、工具シェルを締付け
た際、締付けねじを通すため長手孔を備えた中心軸を介
して間隔をあけられており、その際一方の締付け円板
は、端部側に複数の縁を有する差込み切欠きを備えた中
心軸を有し、かつ他方の締付け円板は、対応した差込み
心棒を有する。複数の縁を有する差込み切欠き又は複数
の縁を有する差込み心棒は、次のように軸線方向橋絡片
の周面分散に合わされている。すなわち両方の締付け円
板が、複雑な操作なしに当該の工具シェルをはさんで迅
速にかつ支障なくいわば差込むことができ、かつ締付け
ねじによって締付けることができるようにする。軸線方
向橋絡片と同様に中心軸も、両方の締付け円板が常に支
障なく間隔をあけるようにし、従って曲がり易い工具シ
ェルの変形がすでに締付け円板の間の締付けの途中で防
止されるようにする。さらに軸線方向橋絡片及び中心軸
は、両方の締付け円板の間で回らないように結合され、
その際回転軸線は、常に締付け円板及び中心軸又は締付
けねじを通って延びている。さらに本発明によれば、締
付けねじがアダプタとして形成された締付けナットを有
し、このアダプタが、一方において当該の締付け円板の
外側差込み切欠き内に回らないように差込み可能であ
り、かつ他方において回転駆動装置、例えばボール盤又
はアングル研削盤を接続するように構成されていること
は望ましい。通常複数の縁を持つものとして形成された
このアダプタは、例えば困難なくボール盤又はアングル
研削盤の締付けヘッド内に挿入でき、かつその他に締付
けねじの端部側をねじ込むねじ孔を有する。同時に所属
の締付け円板の差込み切欠き内にアダプタを回らないよ
うに配置するようにする。所定の動作状態において、例
えば低い回転速度で動作する際、曲がり易い材料から成
る工具シェルを安定化するため、実質的に同じ幅を有す
る安定化ブシュを工具シェル内に挿入することは望まし
い。同時にこのような安定化ブシュは、工具素子のため
支持体として使うことができ、従って工具素子がシェル
内部に作用する応力のためにつぶれないようにするため
に使うことができる。なぜなら工具シェルは曲がり易い
材料から成ると有利だからである。その際半径方向に突
出した剛毛、例えばＵ字形剛毛を備えたブラシシェルを
取扱うことができ、その際この工具シェルは、この工具
シェルを上からつかむ軸線方向橋絡片の範囲に剛毛を持
たない。

実施例 本発明の実施例を以下図面によって詳細に説明する。

図には、少なくとも２つの締付け円板１，２及び共通の
締付けねじ３を有しかつ２つの締付け円板１，２の間に
工具シェル４を締付ける回転駆動可能な工具締付け装置
が示されており、その際回転軸線５は、締付け円板又は
締付けねじ３を通って延びている。両方の締付け円板
１，２は、実質的に同じ直径の工具シェル４を締付ける
ために同心的なリング溝６を有し、従ってそれぞれの締
付け円板１，２は、それぞれ少なくとも１つのこのよう
なリング溝６を有する。一方の締付け円板１は、締付け
た工具シェルを外側からつかむ軸線方向橋絡片７を有
し、他方の締付け円板２は、相応して分散して、例えば
120°の分散で軸線方向橋絡片７の橋絡片端部用の差込
み切欠き８を有する。軸線方向橋絡片７は、所属のリン
グ溝６の外周面を区切っている。リング溝の内周面には
それぞれ１つの中心円錐９が続いている。両方の締付け
円板１，２は、工具シェル４を締付けた際、締付けねじ
３を通すため長手孔11を備えた中心軸10を介して間隔を
あけられており、その際一方の締付け円板１は、端部側
に複数の縁を有する差込み切欠き12を備えた中心軸10を
有し、かつ他方の締付け円板２は、対応した複数の縁を
有する差込み心棒13を有する。締付けねじ３は、アダプ
タ14として形成された締付けナットを有する。このアダ
プタ14は、一方において当該の締付け円板１の外側に差
込み可能であり、かつ他方において回転駆動装置、例え
ばボール盤を接続するように構成されている。差込み切
欠き15は、種々の大きさ又は横断面のアダプタ14を収容
するように構成されている。それぞれの工具シェル４内
には、実質的に同じ幅を有する安定化ブシュ16を挿入す
ることができる。曲がり易い材料から成る工具シェル４
を使用すると有利である。本実施例によれば、半径方向
に突出した剛毛17、例えばＵ字形剛毛を備えたブラシシ
ェルが使われ、その際この工具シェル４は、この工具シ
ェルを上からつかむ軸線方向橋絡片７の範囲に剛毛を持
たない。

発明の効果 上記のように、本発明によれば、可撓性又は屈曲性のあ
る材料で製作された工具シェルであつても特製のゴム心
又は同様な支持部材を必要としないので、部品点数が減
少し製作が比較的簡単になると共に安価になり、更にゴ
ム心等を使用した場合に工具シェルがゴム心から受ける
不都合が作用、例えばゴム心を圧縮することによって生
じる工具シェルのふくらみ等、が回避されるので、工具
シェルを正常な状態で長期間に亘って安定的に使用する
ことができ、従って経済的である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、工具シェルと安定化ブシュを含む本発明によ
る工具締付け装置の展開図、第２図は、工具シェルと安
定化ブシュを含まない第１図の装置を組立てた状態で示
す図、第３図は、第１図の矢印Ａの方向から見た第１図
の装置のための締付け円板の図、第４図は、第１図の矢
印Ｂの方向から見た第１図の装置の締付け円板の図、第
５図は、第１図の装置のためアダプタとして形成された
締付けナットと締付けねじを示す図である。 １，２……締付け円板、３……締付けねじ、４……工具
シェル、５……回転軸線、６……リング溝、７……軸線
方向橋絡片、８……差込み切欠き、９……中心円錐、10
……中心軸、11……長手孔、12……差込み切欠き、13…
…差込み心棒、14……アダプタ、15……差込み切欠き、
16……安定化ブシュ、17……剛毛

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】少なくとも２つの締付け円板及び共通の締
   付けねじを有し、２つの締付け円板の間に工具シェルを
   締付ける、回転駆動可能な工具締付け装置において、 両方の締付け円板（１，２）が、実質的に同じ直径の工
   具シェル（４）を締付けるため、工具シェル（４）の端
   部と係合することができ同心的なリング溝（６）を有す
   ることを特徴とする、回転駆動可能な工具締付け装置。
2. 【請求項２】一方の締付け円板（１）が、締付けた工具
   シェル（４）を外側からつかむ軸線方向橋絡片（７）を
   有し、かつ他方の締付け円板（２）が、相応して分散し
   て、例えば１２０°の分散で軸線方向橋絡片（７）の橋
   絡片端部用の差込み切欠き（８）を有する、請求項１記
   載の工具締付け装置。
3. 【請求項３】軸線方向橋絡片（７）が、所属のリング溝
   （６）の外周面を区切っている、請求項１又は２記載の
   工具締付け装置。
4. 【請求項４】内周面においてそれぞれ１つの中心円錐
   （９）がリング溝（６）に続いている、請求項１〜３の
   １つに記載の工具締付け装置。
5. 【請求項５】両方の締付け円板（１，２）が、工具シェ
   ル（４）を締付けた際、締付けねじ（３）を通すため長
   手孔（１１）を備えた中心軸（１０）を介して間隔をあ
   けられており、その際一方の締付け円板（１）が、端部
   側に複数の縁を有する差込み切欠き（１２）を備えた中
   心軸（１０）を有し、かつ他方の締付け円板（２）が、
   対応した差込み心棒（１３）を有する、請求項１〜３の
   １つに記載の工具締付け装置。
6. 【請求項６】締付けねじ（３）が、アダプタ（１４）と
   して形成された締付けナットを有し、このアダプタが、
   一方において当該の締付け円板（１）の外側差込み切欠
   き（１５）内に回らないように差込み可能であり、かつ
   他方において回転駆動装置、例えばボール盤又はアング
   ル研削盤を接続するように構成されている、請求項１〜
   ５の１つに記載の工具締付け装置。
7. 【請求項７】工具シェル（４）内に、実質的に同じ幅を
   有する安定化ブシュ（１６）が挿入可能である、請求項
   １〜６の１つに記載の工具締付け装置。
8. 【請求項８】工具シェル（４）が曲がり易い材料から成
   り、例えば半径方向に突出した剛毛、例えばＵ字形剛毛
   （１７）を備えたブラシシェルとして形成されており、
   かつ工具シェルを上からつかむ軸線方向橋絡片（７）の
   範囲に剛毛がない、請求項１〜７の１つに記載の工具締
   付け装置。