JPH0630937Y2 - 温風吹出型の洋風便器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は便器の前方部から温風を吹き出すようにした洋
風便器に関するものである。

［従来の技術］ トイレの使用感を良くするために、暖房便座が広く普及
し始めている。また、近年、トイレルーム全体の暖房を
図るために携帯式の電気ヒータをトイレルーム内に設置
しておくことも多くなっている。なお、ヒートポンプ式
等のエアコンをトイレに設けることもある。

［考案が解決しようとする課題］ 暖房便座では、トイレルームの全体を暖めることはでき
ない。また、ヒートポンプ式等のエアコンではトイレル
ーム全体の暖房が図れるものの、トイレルームの上方が
暖まり足元が暖まりにくいという問題がある。

電気ヒータでは、火災予防上、トイレの非使用時には該
ヒータをオフとしておかなければならず、トイレルーム
の全体温度を高めておくには不向きである。また、電気
ヒータではトイレ使用者に近づけると衣類が焦げる恐れ
があり、遠ざけると暖かさが急速に乏しくなる。しか
も、トイレルームが狭い場合にはあまり遠ざけることも
できず、該ヒータの出力を小さくして使わなければなら
ない場合が多く、十分な暖房を行ない難い場合もある。

また、水洗便器にあっては、便鉢のトラップ部にトラッ
プ水が溜められるのであるが、寒冷地においてはこのト
ラップ水が凍結するおそれがある。

［課題を解決するための手段］ 本考案の洋風便器は、温風通路を設け該便器の前方側か
ら温風を吹き出し可能とした。そして、この温風通路
は、便鉢の溜水面の部分の少なくとも一部と通路壁面を
共通となるように構成されている。なお、本明細書にお
いて『便器の前方』とは、当該便器に使用者が通常の便
器使用姿勢にて腰を掛けた際の該使用者にとっての前方
をいう。

［作用］ 本考案の洋風便器では、その前方部分から温風が吹き出
すから、使用者を足元から暖めることができる。また、
温風による暖房方式となるから、衣類を焦がす恐れがな
く、トイレ非使用時にも温風を吹き出しておくことによ
りトイレルーム内の全体の温度を高めておくことも可能
である。

また、本考案の洋風便器では、この温風通路を通過する
温風によってトラップ水の溜水面付近を加温することが
でき、トラップ水の凍結防止が図れる。

即ち、トラップ水の氷結はその表面から開始するのであ
るが、本考案にあっては便鉢の溜水面付近を暖めること
により、このような氷結を防止できるのである。

［実施例］ 以下図面を参照して実施例について説明する。

第１図ないし第４図は本考案の第１の実施例を示すもの
であり、第１図は側面図、第２図は第３図のII−II線に
沿う断面図、第３図は正面図、第４図は第２図のIV−IV
線に沿う断面図である。この洋風便器１は壁掛け形のも
のであり、後端側１ａがトイレルームの壁面に取り付け
られる。該便器１の前方側には便鉢２が設けられ、該便
鉢２の上部をリム通水路３が周回して設けられている。
この洋風便器１においては、その側方部分に温風通路４
が便器１と一体に前後方向に延設されており、該温風通
路４の先端は洋風便器１の前方の部分において開口し吹
出口５とされている。該温風通路４の後端は便器１の後
端側１ａにおいて開口している。なお、図の符号６はト
ラップ部、９は排水口を示す。

しかして、第４図に示す通り、便鉢２は左右側方におい
ては、温風通路４の壁面が該便鉢２と共通化されてお
り、該温風通路４を通る温風が便鉢２（とりわけ、トラ
ップ水Ｗの溜水面Ｌ付近）を直接に加温する構成となっ
ている。

このように構成された洋風便器においては、温風通路４
を温風発生機（図示略）に連通するように設置すること
により、吹出口５から温風を吹き出すことができる。吹
き出された温風は便器１の使用者の下半身とりわけ膝か
ら下の部分に当り、該使用者を足元から暖める。また、
前記した如くこの暖房は温風によるものであるから、衣
類を焦がしたりすることがなく、トイレ非使用時にも温
風を吹き出しておきトイレルーム内の全体の温度を高め
ておくこともできる。

また、この温風は便鉢２のトラップ水Ｗの溜水面Ｌ付近
の裏面に接触し、便鉢２の当該部分を加温する。そのた
め、トラップ水Ｗの氷結が防止される。

第５図及び第６図は本考案の第２の実施例を示すもので
あり、第５図は下方より上方を見上げた状態の斜視図、
第６図は第５図のVI−VI線の切断端面図である。

この洋風便器１も壁掛け形のものであり、後端側１ａが
トイレルームの壁面に取り付けられる。該便器１の前方
側には便鉢２が設けられ、該便鉢２の上部をリム通水路
３が周回して設けられている。この洋風便器１において
は、温風通路４は温風ダクト７と凹条８とにより構成さ
れている。該温風ダクト７は便鉢２の下側を回り込むよ
うに便器１と一体に前後方向に延設されており、該温風
ダクト７の先端は洋風便器１の前端から所要距離後方の
部分（本実施例ではトラップ部６の側方の箇所）におい
て開口し吹出口５とされている。該温風ダクト７の後端
は便器１の後端側１ａにおいて開口している。該吹出口
５よりも前方側の便鉢２の下面には凹条８が設けられ、
吹出口５から吹き出された温風を便器１の前方へ向かっ
て案内可能としている。

この凹条８の上面壁８ａは便鉢２の底面壁と共通とされ
ており、凹条８内の温風がトラップ水Ｗの溜水面Ｌ付近
の便鉢２の裏面に直接に接触する構成となっている。

なお、第５図の符号１０は便器１を壁面に取り付けるた
めのボルト挿通孔である。また、第５図に示す如く、温
風ダクト７の後端開口には例えば温風発生機１２が接続
され、温風ダクト７内に温風が供給される。

このように構成された洋風便器においては、温風発生機
１２からの温風は吹出口５から吹き出され、次いで凹条
８を通り、広角度に広がりながら凹条８の先端から吹き
出される。このように吹き出された温風は便器１の使用
者の下半身とりわけ膝から下の部分に当り、該使用者を
足元から暖める。また、トラップ水の氷結も防止でき
る。

ことに、本実施例にあっては、温風ダクト７の先端の吹
出口５が便器１の前端よりも、所要距離後退した位置に
設けられているので、便器前部の外表面に掛った尿（特
に、起立姿勢で便器の使用を行なったときの男子小水）
や清掃水などの汚水が伝わって流れ落ちてきても該吹出
口５の中に入りにくい。そのため、該汚水が温風ダクト
７内で乾固して悪臭発生源となることが防止される。な
お、凹条８の天井壁や側面壁で汚水が乾固して固着して
も拭き掃除等により容易に除去できる。

上記実施例は、いずれも壁掛け形洋風便器に関するもの
であるが、本考案では洋風便器を単にトイレルーム床面
上に載置する如く設置する床置形、あるいは洋風便器の
項端面を壁面に密着させつつ床面上に設置する床壁形な
ど各種の洋風便器に適用することができる。

上記の実施例はいずれも本考案の一例であって、本考案
では吹出口の個数、温風の吹き出し方向などを図示以外
のものとしても良いことは明らかである。また、温風通
路の断面形状も例えば第７図に示すものなど、上記以外
の各種形状とできる。

［効果］ 以上の通り、本考案の洋風便器においては、該便器から
温風を吹き出して暖房を行なうことができ、使用者を足
元から暖めることができる。また、温風による暖房方式
であるから、衣類を焦がしたりする恐れがない等安全性
に優れる。更に、トイレルーム内の全体の暖房を図るこ
とができる。従って、本考案によれば、特に気温の低い
冬期等において極めて快適なトイレの使用が可能とな
る。

本考案においてはトラップ水の凍結を防止できる。

また、本考案においては、梅雨時等湿度の高い時期にあ
っては温風を通風することにより便器を暖め、その結露
を防止することも可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１の実施例を示す側面図、第２図は
同断面図、第３図は正面図、第４図は同断面図である。
第５図は本考案の第２の実施例を示す斜視図、第６図は
同断面図である。第７図は別の実施例を示す断面図であ
る。 １…洋風便器、 ２…便鉢、３…リム通水路、 ４…温風通路、５…吹出口、 ６…トラップ、７…ダクト、 Ｗ…トラップ水、Ｌ…溜水面。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 小町 洋 愛知県刈谷市昭和町１丁目１番地 日本電 装株式会社内 (72)考案者 財前 ▲禮▼二 愛知県刈谷市昭和町１丁目１番地 日本電 装株式会社内 (72)考案者 成田 直政 愛知県刈谷市昭和町１丁目１番地 日本電 装株式会社内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】前方側に便鉢を備える洋風便器において、
   該便器の前方側へ温風通路を該便器と一体に延設し、該
   温風通路の先端を便器前方側に設けた便器であって、該
   温風通路は前記便鉢の溜水面の部分の少なくとも一部と
   通路壁面を共通としていることを特徴とする温風吹出型
   の洋風便器。