JPH06306029A - 新規フェニルアラニン塩結晶とその製造法 - Google Patents
新規フェニルアラニン塩結晶とその製造法Info
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- JPH06306029A JPH06306029A JP6197293A JP6197293A JPH06306029A JP H06306029 A JPH06306029 A JP H06306029A JP 6197293 A JP6197293 A JP 6197293A JP 6197293 A JP6197293 A JP 6197293A JP H06306029 A JPH06306029 A JP H06306029A
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Abstract
ルアラニンの淘汰性の高いL−フェニルアラニンを含む
塩を見いだす。 【構成】 モノメチル硫酸及びフェニルアラニンを含
む溶液を晶析操作に晒して、新規物質 光学活性フェニ
ルアラニン モノメチル硫酸塩結晶を取得する。
Description
アラニン モノメチル硫酸塩結晶及びその製造法に関す
る。
Pheと略記する)製造に於て、その品質面で問題とさ
れる不純物が2つあげられる。その1つが、発酵法で製
造する場合は発酵液に共存するL−チロシン(以下L−
Tyrと略記する)の混入であり、もう1つが、L−P
heの光学異性体であるD−フェニルアラニン(以下D
−Pheと略記する)である。
淘汰性の良いとされるいくつかのL−Phe誘導体結晶
も見いだされている(例えば、特開昭60ー13746
のL−フェニルアラニン1ナトリウム5水和物、特開昭
56ー79652のL−フェニルアラニン1/2硫酸塩
1/2水和物)。しかし、それらは、いずれもL−Ph
e誘導体結晶の溶解度が極めて高くなるため、晶析母液
へのL−Pheの損失が多くなり収率が低下する問題が
ある。そこで、高収率を得るために、L−Phe濃度を
高くして晶析しているが、その結果、晶析させるスラリ
ー濃度が高くなり、晶析スラリーの攪拌動力の増大、分
離結晶に付着した母液中の不純物の混入といった問題が
生じる。
eを含む発酵液を処理する段階での、高温条件、アルカ
リ性条件下で、L−Pheがラセミ化して生じるもので
ある。又、L−Pheを原料として用いた各種物質の製
造に於て、目的物質となり得なかったL−Phe誘導体
は、加水分解等の方法で置換基を脱離させ、生成したL
−Pheを回収し、再度原料として用いる方法が経済的
に有利であるために、工業的に行われることが多いが、
製造工程中及び回収工程中でのラセミ化によっても生じ
る。
通常の晶析条件では、L−Pheから効率よく除去する
ことが困難である。それは、溶液中のD−Pheが結晶
として析出する場合には、共存するL−Pheと一対に
なり、ラセミ化合物であるDL−Phe結晶を形成し、
その溶解度は、一般にL−Pheのそれよりもはるかに
低いことに起因する。
が簡便で且つ不純物としてのL−Tyr,D−Pheの
淘汰性の高いL−Pheの塩を見いだすことにある。
鋭意検討した結果、驚くべきことにモノメチル硫酸(以
下CH3SO4Hと略記する)とL−Pheを含む水性溶
液から晶析操作により得られた結晶が、今まで知られて
いないL−フェニルアラニン モノメチル硫酸塩(以
下、L−Phe・CH3SO4H塩 と略記する)である
こと、又、光学的に純度の低いL−PheとCH3SO4
H塩の晶析系からも、光学純度の極めて高いL−Phe
・CH3SO4H塩が得られること、さらには、L−Ty
rの淘汰性も極めて高いことを見いだし、本発明を完成
した。
を含む水性溶液から晶析によって得た結晶も、L−Ph
eから得られた結晶と同一の粉末X線回折スペクトル、
赤外線吸収スペクトルであることから、DL−Phe・
CH3SO4H塩はラセミ混合物であることが判明した。
このことは、光学的に不純なL−Pheを効率よく光学
精製するうえで、重要な知見である。
量は、対応するL−Pheに対し等モル以上あればよ
い。CH3SO4H量が少ないと、晶析収率の低下を招く
が、CH3SO4HがL−Pheより等モル以下の場合に
は、L−Phe・CH3SO4H塩結晶とL−Phe結晶
とが共存した状態で得られることもある。この場合も、
後述する方法で容易に、この混合結晶から、遊離したL
−Pheを得ることができる。逆に、CH3SO4Hが多
くなるにつれ生成する塩の溶解度は著しく減少する傾向
を示し晶析収率は増大するが、必要以上に多くすること
は経済的でない。
から容易に調製されるが、CH3SO4Hと塩基との塩を
硫酸、塩酸等の酸で遊離させたものも使用できる。この
ような塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ
金属塩、カルシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニ
ア、トリエチルアミン等のアミン塩等があげられる。
るが、水と混和する他の有機溶媒が含まれていても、問
題ない。他の有機溶媒としては、メタノール、エタノー
ル等のアルコール類、アセトン等のケトン類、蟻酸、酢
酸等のカルボン酸類、アセトニトリル等のニトリル類が
あげられる。
晶析方法で可能であるが、温度による溶解度の差が大き
いので、冷却晶析が効率良い。又、L−Phe・CH3
SO4H塩の溶解度が、一般に水に比べて有機溶媒に低
いことから、L−PheとCH3SO4Hを含む水溶液
を、水と混和する有機溶媒と混合することによっても得
られる。更には、CH3SO4Hが塩基との塩の場合は酸
による中和晶析も可能である。
とL−Pheとが存在すれば良く、両者の混合順序には
影響されない。例えば、モノメチル硫酸ナトリウム塩
(以下、CH3SO4Naと略記する)を硫酸で中和した
後、結晶状のL−Pheを添加しても、L−Pheを硫
酸水溶液に加え溶解させたものにCH3SO4H、あるい
はモノメチル硫酸ナトリウムを加えて晶析させても、い
ずれもL−Phe・CH3SO4H塩が得られる。
H3SO4Hの量及び、水と混和する有機溶剤を含む水性
溶媒を用いた場合、その有機溶媒の種類と含有量に、溶
解度が大きく影響されるために、特に限定されないが、
0.1g/dl以上の濃度であれば晶析は可能である。
溶媒として実質的に有機溶媒を含まない場合、望ましく
は、1g/dl以上で晶析するのがよい。
度が下がり晶析率が増加する為、60℃以下、望ましく
は30℃以下に保つ。
3SO4H塩は、その水溶液を陰イオン交換樹脂を用いて
CH3SO4Hを除去するか、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アン
モニア等の通常用いられる塩基で中和して、晶析に賦す
ること等で容易に遊離のL−Pheを得ることができ
る。
he・CH3SO4H塩を目的物質として記述している
が、対掌体であるD−Phe・CH3SO4H塩が目的物
質の場合も同様であることは、言うまでもない。
l)、L−Phe 4.13g(25mmol)を水3
5mlに加え、硫酸でpH=0に調整した。これを、約
70℃で加熱溶解した後、冷却した。析出した結晶を吸
引濾過分離し、少量の冷水で洗浄、減圧乾燥した。得量
5.78g。本結晶は各種物性測定の結果L−Phe
・CH3SO4Hであった。それらの物性測定結果は、表
1、図1、図2及び図3に示した。
l)を用いる以外は実施例1と同様にした。結晶得量
4.57g。本結晶のIRスペクトル及び粉末X線回折
は実施例1で得られた結晶のそれと同一であった。又、
融点は、173〜174.5℃であった。
l)、D−Phe 0.41g(2.5mmol)(D
−Phe/L−Phe=11%)を用いる以外は実施例
1と同様にした。結晶得量 5.01g。得られた結晶
を光学活性カラムを用いたHPLCで分析したところ、
D−Pheは、L−Pheに対し1%含まれるのみであ
った。
l)、D−Phe 0.41g(2.5mmol)(D
−Phe/L−Phe=11%)を水50mlに懸濁さ
せ、これに硫酸を加えて溶解させた。この溶液を50%
水酸化ナトリウム水溶液でpHを6に調整し、析出した
結晶を40℃で濾過分離した。結晶得量 2.98g。
得られた結晶を光学活性カラムを用いたHPLCで分析
したところ、D−Pheは、L−Pheに対し14.7
%含まれていた。
mol)、L−Phe 1.97g(11.9mmo
l)、L−Tyr 98mg(5wt%対L−Phe)
を水15mlに加え、硫酸でpH=0に調整した。これ
を、約70℃で加熱溶解した後、冷却した。析出した結
晶を吸引濾過分離し、少量の冷水で洗浄、減圧乾燥し
た。結晶得量 2.62g。 本結晶中にはL−Phe
1.54g(9.3mmol)、L−Tyrは28.
6mg(1.9wt%対L−Phe)含まれていた。
l)、L−Tyr98mg(5wt%対Phe)を水3
0mlに加え、80℃で加熱溶解した後、40℃まで徐
冷した。析出した結晶を吸引濾過分離し、少量の水で洗
浄、減圧乾燥した。結晶得量0.65g。本結晶中には
L−Phe 0.59g(3.6mmol)、L−Ty
rは55mg(9.4wt%対L−Phe)含まれてい
た。
mol)、L−Phe 1.97g(11.9mmo
l)を水10mlと酢酸5mlの混合液に加え、これを
硫酸でpHを0.6に調整して得られた溶液を氷冷し、
析出した結晶を吸引濾過分離した。結晶得量 1.78
g。本結晶中にはL−Pheが1.01g含まれてい
た。
を水 9mlに溶解させた液をアセトン 50mlに滴
下すると、混合液は白濁した。冷蔵庫内で結晶を熟成さ
せた後、吸引濾過分離した。乾燥後の結晶重量 1.8
6g。
8mlを加え、加熱還流した。その後、メタノールを減
圧下留去した後、全体が15mlになるまで水を加えC
H3SO4H溶液を調製した。これに、L−Phe 2.
7gとD−Phe 0.3gを加え(DーPhe/L−
Phe=11.1%)、加熱して溶解した後、氷冷し
た。析出した結晶を吸引濾過により分離し、少量の冷水
で洗浄した。結晶得量3.73g。 光学活性カラムを
用いたHPLC分析の結果、本結晶中には、L−Phe
が1.66g、D−Pheが0.049g含まれていた
(DーPhe/L−Phe=2.9%)。又、CH3S
O4H溶液中に残存するメタノールによりエステル化さ
れたL−フェニルアラニンメチルエステルが41mg含
まれていた。
安価な物質を用い、高収率で高純度な光学活性Pheを
製造することができる。
uKα線)
r法)
媒:重水)
Claims (2)
- 【請求項1】 光学活性フェニルアラニン モノメチル
硫酸塩結晶 - 【請求項2】 モノメチル硫酸及びフェニルアラニンを
含む溶液を晶析操作に晒すことを特徴とする光学活性フ
ェニルアラニン モノメチル硫酸塩の製造法
Priority Applications (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06197293A JP3316917B2 (ja) | 1993-02-25 | 1993-03-22 | 新規フェニルアラニン塩結晶とその製造法 |
US08/190,450 US5466864A (en) | 1993-02-25 | 1994-02-02 | Method for recovering L-phenylalanine |
DE69403109T DE69403109T2 (de) | 1993-02-25 | 1994-02-08 | Verfahren zur Wiedergewinnung von L-Phenylalanin |
EP94101925A EP0612717B1 (en) | 1993-02-25 | 1994-02-08 | Method for recovering L-phenylalanine |
CA002115883A CA2115883A1 (en) | 1993-02-25 | 1994-02-17 | Method for recovering l-phenylalanine |
US08/441,737 US5616766A (en) | 1993-02-25 | 1995-05-16 | Method for recovering L-phenylalanine |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5-36880 | 1993-02-25 | ||
JP3688093 | 1993-02-25 | ||
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06306029A true JPH06306029A (ja) | 1994-11-01 |
JP3316917B2 JP3316917B2 (ja) | 2002-08-19 |
Family
ID=26375971
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
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Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3316917B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010001235A (ja) * | 2008-06-19 | 2010-01-07 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 光学活性な4−アミノ−3−置換フェニルブタン酸の製造方法 |
-
1993
- 1993-03-22 JP JP06197293A patent/JP3316917B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010001235A (ja) * | 2008-06-19 | 2010-01-07 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 光学活性な4−アミノ−3−置換フェニルブタン酸の製造方法 |
US8791295B2 (en) | 2008-06-19 | 2014-07-29 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Method of producing purified optically acitve 4-amino-3-(substituted phenyl)butanoic acid compound |
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---|---|
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