JPH06302874A - 微小変位素子及びその製造方法、及びそれを用いたトンネル電流検出装置、情報処理装置 - Google Patents

微小変位素子及びその製造方法、及びそれを用いたトンネル電流検出装置、情報処理装置

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JPH06302874A
JPH06302874A JP5107186A JP10718693A JPH06302874A JP H06302874 A JPH06302874 A JP H06302874A JP 5107186 A JP5107186 A JP 5107186A JP 10718693 A JP10718693 A JP 10718693A JP H06302874 A JPH06302874 A JP H06302874A
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micro
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piezoelectric
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JP5107186A
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English (en)
Inventor
Yoshimasa Okamura
好真 岡村
Osamu Takamatsu
修 高松
Yoshihiro Yanagisawa
芳浩 柳沢
Yasuhiro Shimada
康弘 島田
Keisuke Yamamoto
敬介 山本
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 トンネル電流検出装置や走査型トンネル顕微
鏡に用いられ、大気中における変位特性の経時変化を防
止した微小変位素子を提供する。 【構成】 圧電体膜4,6と電極膜3,5,7とを積層
したカンチレバーの表面に、保護膜としてフロロカーボ
ン膜12を設けた構成を特徴とする微小変位素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トンネル電流検出装置
や走査型トンネル顕微鏡等に用いられる微小変位素子、
及びその製造方法並びにそれを応用した大容量、高密度
の情報処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体プロセス技術を背景にして
半導体を機械的構造体として用いた半導体圧力センサ
ー、半導体加速度センサー、マイクロアクチュエーター
等の機械的電気素子(マイクロメカニクス)が脚光を浴
びるようになってきた。
【0003】かかる素子の特徴として、小型でかつ高精
度の機械機構部品を提供でき、かつ半導体ウエハを用い
るために、Siウエハ上に素子と電気回路を一体化でき
ることが挙げられる。また、半導体プロセスをべースに
作製することで、半導体プロセスのバッチ処理による生
産性の向上を期待できる。特に微小変位素子としては、
圧電体薄膜を利用したカンチレバー状(片持ち梁)のも
のが挙げられ、これは非常に微細な動きを制御すること
が可能なので、原子レベル、分子レベルを直接観察でき
る走査型トンネル顕微鏡(以下「STM」と称す)に応
用されている。
【0004】例えばスタンフォード大学のクエート等に
より提案された微小変位素子を用いたSTMプローブ
(IEEE,Micro,Electro,Mecha
nical,Systems,p188−199,Fe
b.1990)がある。これは図6に示すようにSiウ
エハ1の裏面を一部除去しシリコンメンブレンを形成
し、表面にAl3,5,7とZnO4,6の薄膜を順次
積層し、バイモルフのカンチレバーを形成しその後、裏
面より反応性のドライエッチによりシリコンメンブレン
とウエハ表面のエッチングの保護層9(シリコン窒化
膜)を除去して、STMプローブ変位用のバイモルフカ
ンチレバーを作製している。このカンチレバーの上面自
由端部にトンネル電流検知用マイクロティップを取り付
け、良好なSTM像を得ている。
【0005】一方、STMの手法を用いて、半導体ある
いは高分子材料等の原子オーダー、分子オーダーの観察
評価、微細加工(E.E.Ehrichs,4th,I
nternational,Conference,o
n,Scanning,Tunneling,Micr
oscopy/spectroscopy,’89,S
13−3),及び記録再生装置の様々な分野への応用が
研究されている。なかでも、コンピューターの計算情報
等では大容量を有する記録装置に対する要求がますます
高まっており、半導体プロセス技術の進展により、マイ
クロプロセッサが小型化し、計算能力が向上したために
記録装置の小型化が望まれている。これらの要求を満た
す目的で、記録媒体との間隔を微調整可能な駆動手段上
に存在する、トンネル電流発生用マイクロティップから
なる変換器から電圧印加することによって、記録媒体表
面の形状を変化させる事により記録書き込みし、形状の
変化によるトンネル電流の変化を検知することにより、
情報の読みだしを行い最小記録面積が10-4μm2とな
る記録再生装置が提案されている。
【0006】また、STMのマイクロティップをカンチ
レバーの自由端側に形成し、それぞれ独立に変位するカ
ンチレバーをマルチ化し、さらに半導体プロセスと一体
化して同一基板上にトンネル電流検知用のマイクロティ
ップ付きカンチレバーと、そのトンネル電流を増幅処理
するアンプ、カンチレバー駆動とトンネル電流の選択の
ためのマルチプレクサ、シフトレジスタ、等を積載する
記録再生装置が提案されている。
【0007】ここで、かかるカンチレバーの製造方法を
図を用いて詳細に説明する。先に示した図6は一個のカ
ンチレバー型微小変位素子の各製造工程を表している。
先ず、(100)Si基板1の両面にLPCVD装置で
Si34膜9を100nm成膜して裏面のみをパターニ
ングし(図6(a)),KOH水溶液等を用いSi34
膜9をマスクとしカンチレバー領域のSiの異方性エッ
チングを行い、数10μm厚のSiメンブレンを形成す
る(図6(b))。次に、表面にAl等の電極層3を成
膜してパターニングし、同様にしてZnOのような圧電
体薄膜層4をスパッタで成膜しパターニングを行い、そ
れらを繰り返す(図6(c))。次に、マイクロティッ
プ8をマスクを形成後に基板を傾斜させて成膜、あるい
はティップ材を成膜後にマスクを形成し等方性エッチ等
により形成する(図6(d))。最後にポリイミド等で
表面を覆いSiとSi34をエッチングし、ポリイミド
を除去する(図6(e))。以上が従来のカンチレバー
の製造工程である。
【0008】このようなカンチレバー型圧電素子をトン
ネル顕微鏡のSTMプローブとして使用する際は、その
変位量及び作動力は非常に重要となってくる。トンネル
顕微鏡はマイクロティップの先端を数Åまで試料に近づ
け、その間を流れるトンネル電流をモニターすることに
よって試料表面の凹凸を観察するものである。このた
め、STMプローブとしては、高速でかつ精度よく微小
変位することが望ましい。ここでカンチレバー型圧電素
子は、酸化亜鉛膜のような圧電体薄膜を逆圧電効果によ
り変位させているので、圧電体薄膜の圧電性を制御しな
けらばならない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来例
のカンチレバー型圧電素子では、カンチレバーの圧電体
層の側面が剥き出しになっており、空気中の水分等の吸
着により圧電性が劣化し変位特性が悪化することがあ
る。また、大気中に長期間放置していると、カンチレバ
ー先端の反りが助長され、特に複数の素子をマルチ化し
たものにあっては、その反り量のばらつきが増大し、高
速かつ精度の高い変位が得られないという問題が有っ
た。
【0010】以上のような従来例の問題点に鑑み、本発
明の目的とするところは圧電体層の圧電性の劣化を防止
すると共に、カンチレバーの反りの変化を防止し、高速
かつ精度の高い変位が得られる微小変位素子及びそれを
用いた信頼性の高いトンネル電流検出装置並びに情報処
理装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用】上記目的を達成
すべく成された本発明は、第1に、圧電体膜と該圧電体
膜を逆圧電効果により変位させるための電極とを積層し
てなるカンチレバー(片持ち梁)の上面自由端部に情報
入出力用マイクロティップを具備する微小変位素子にお
いて、上記カンチレバーを構成する圧電体膜の表面にフ
ロロカーボン膜を設けたことを特徴とする微小変位素子
である。
【0012】第2に、前記フロロカーボン膜が前記カン
チレバーの上面及び側面に設けられており、且つ該カン
チレバーの下面に引っ張り応力を有するSiONを設け
たことを特徴とする上記第1の微小変位素子である。
【0013】第3に、上記第1又は第2の微小変位素子
を同一Si基板上に複数設けたことを特徴とするマルチ
微小変位素子である。
【0014】第4に、前記フロロカーボン膜を、プラズ
マにより成膜する上記第1〜第3いずれかの微小変位素
子の製造方法である。
【0015】第5に、上記第1〜第3いずれかの微小変
位素子と、該微小変位素子の駆動手段と、該駆動手段を
制御する制御手段を具備し、該微小変位素子に対向配置
された電気導電体と前記マイクロティップとの間に電圧
を印加し、これらの間に流れるトンネル電流の検出結果
に基づき、電気導電体表面の情報を出力することを特徴
とするトンネル電流検出装置である。
【0016】第6に、上記第1〜第3いずれかの微小変
位素子と、該微小変位素子の駆動手段と、該駆動手段を
制御する制御手段と、前記マイクロティップと記録媒体
との間にパルス電圧を印加しうる情報記録用パルス電圧
印加回路を具備することを特徴とする情報処理装置であ
る。
【0017】第7に、上記第1〜第3いずれかの微小変
位素子と、該微小変位素子の駆動手段と、該駆動手段を
制御する制御手段と、前記マイクロティップと記録媒体
との間にバイアス電圧を印加しうる情報再生用バイアス
電圧印加回路を具備することを特徴とする情報処理装置
である。
【0018】第8に前記制御手段が、前記記録媒体と前
記マイクロティップとの間に流れるトンネル電流の検出
結果に基づき、前記微小変位素子を変位させるための駆
動電圧を変化させ、その信号を微小変位素子を構成する
電極に与えるものであることを特徴とする上記第6又は
第7の情報処理装置である。
【0019】以下、本発明を図面を用いて説明する。
【0020】図1は本発明の微小変位素子の特徴を最も
良く表す図であり、図1(a)は縦断面図、図1(b)
は横断面図である。これは、Si基板1上に通常のIC
作製プロセスとSiの異方性エッチングとにより作製し
たものである。2はSi基板1の異方性エッチングで残
った面であり、Si基板1上に圧電体に電圧をかけるた
めの下電極3および中電極5と上電極7と圧電体4,6
を積層してカンチレバーを形成している。8は情報入出
力用マイクロティップであり、取り出し電極11を介し
てカンチレバーの上面自由端部に設けられている。尚、
10は上記電極と圧電体を積層する前に基板1に形成し
たSiON膜である。本素子では、更に、カンチレバー
全体の表面にフロロカーボン膜12を設けている。
【0021】かかるフロロカーボン膜はプラズマにより
成膜できるため、常温で均一に緻密な膜を形成できると
共に、軽量且つ疎水性の膜であるため、カンチレバーの
応答性,変位量に大きな影響を与えることなく圧電体表
面を安定して保護することができ、大気中の水分等の吸
着による圧電性の劣化を防止できる。
【0022】図1に示した素子は、Si基板1との接合
面を支点とするバイモルフ型カンチレバーとし、カンチ
レバー部全面を覆うようにフロロカーボン膜を形成した
ものであるが、本発明はこのような構成に限定されるも
のではない。例えばカンチレバーをユニモルフ型として
も良く、また電極構成も図1の素子のように上電極7及
び下電極3を2分割電極としなくても良い。
【0023】また、図1の素子において、引っ張り応力
を有するSiON膜10をカンチレバー下面に残し、カ
ンチレバーの上面及び側面のみにフロロカーボン膜を形
成することもできる。このような構成とすることによ
り、圧電性の低下を防止できると共に、圧電体と電極の
薄膜積層体であるカンチレバーの内部応力に起因する上
反りを補正することができる。
【0024】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を具体的に詳述
する。
【0025】実施例1 本実施例は図1に示したような本発明の微小変位素子を
作製したものである。本実施例の微小変位素子の作製方
法を、先ず、カンチレバー作製前の基板製造工程から説
明する。
【0026】図2は、この基板製造工程を示す図であ
る。先ず、(100)Siウエハー1の裏面にSi34
膜9を、表面にSiON膜10をプラズマCVD装置で
それぞれ100nmずつ成膜した(図2(a))。次
に、Si34膜9をパターニングし、KOH水溶液等を
用いたSi基板1の異方性エッチング時のマスクパター
ンを形成した(図2(b))。その後、KOHによるS
iの異方性エッチングを行い、数10μm厚のSiメン
ブレンを形成した(図2(c))。
【0027】このようにして作製した基板の上面に、下
電極3としてRFマグネトロンスパッタ法によりPtを
100nm積層し、パターニングした。さらにRFマグ
ネトロンスパッタ法により圧電体ZnO薄膜4を500
nm積層した。ターゲットはZnOを用い、Ar+O2
雰囲気中で成膜した。さらにスパッタ法によりPt中電
極5を200nm積層しパターニング後、再度スパッタ
法にて圧電体ZnO薄膜6を500nm積層し、パター
ニングを行った。続いて、スパッタ法によってPt上電
極7及び取り出し電極11を100nm堆積し、パター
ニングを行った。次に、マイクロティップ用電極材とし
てAuを蒸着し、フォトリソグラフィーとリフトオフに
よりマイクロティップ8を作製した。その後、KOH溶
液によるSiの異方性エッチングを行い、反応性イオン
エッチング法によりSiON膜10を除去し、カンチレ
バーを作製した。最後にカンチレバーの保護膜としてフ
ロロカーボン薄膜12を成膜した。
【0028】フロロカーボン薄膜12は、通常の平行平
板型の反応性イオンエッチング装置を用い、以下の成膜
条件で数10nm〜100nm程度の膜厚で成膜した。
【0029】エッチングガス:CF4/H2 圧力 :40Pa RFパワー :100W (13.56MHz)
【0030】この時、マイクロティップ8の先端にもフ
ロロカーボン膜が堆積してしまうので、これを除去しな
ければならない。本実施例ではマイクロティップ8の横
方向からArFエキシマレーザー(193nm)を照射
し、レーザー励起エッチングによりティップ先端に付着
したフロロカーボン膜のみを除去した。
【0031】この除去方法について図3を用いて説明す
る。真空チャンバー内で、ArFレーザーをカンチレバ
ーの横方向からレバーや基板表面には照射しないよう
に、マイクロティップ先端にのみ照射する。この時、O
2またはCF4/O2混合ガスをチャンバー内へ導入して
おく。レーザーのエネルギー(約6.4eV)はOラジ
カル(約5.1eV)やFラジカル(約5.6eV)を
生成するのに充分であり、レーザーの照射しているティ
ップ先端のフロロカーボン膜を解離し、Oラジカルある
いはFラジカル/Oラジカルと反応してその反応生成物
が排気される。このようにすることでティップ先端の形
状をほとんど変化させずにフロロカーボン膜のみを除去
でき、素子をマルチ化してもレーザーをある範囲走査さ
せれば複数個の処理も容易に行うことができる。
【0032】尚、マイクロティップ先端に付着したフロ
ロカーボン膜の除去方法としては、FIB(Focus
ed Ion Beam)によりマイクロティップの先
端のみをスパッタする方法等も挙げられ、この方法によ
れば比較的容易に先端部のみの膜を除去できるが、ティ
ップ先端もエッチングされて曲率の大きい先端ができる
のと、レバーを複数個並べてマルチ化した時に全てのテ
ィップを一つずつ処理していかなくてはならない。
【0033】以下のようにして作製した本実施例の微小
変位素子のカンチレバーのサイズは幅100μm、長さ
500μmであり、カンチレバーを構成している電極間
に電圧を印加することにより、自由端先端部を微小変位
させることができる。
【0034】次に、フロロカーボン膜を約50nm成膜
した本実施例の微小変位素子の周波数応答性をとったと
ころ、一次の共振周波数は約4.2kHzであり、変位
量は、1.8μm/Vであった。比較例としてフロロカ
ーボンの保護膜を用いないで同じサイズ、構成の微小変
位素子を作製し、同様に周波数応答性をとったところ、
一次の共振周波数は約4.0kHzであり、変位量は
2.1μm/Vでありフロロカーボン薄膜で保護しても
応答性、変位量に大きく影響しないことがわかる。
【0035】さらに、大気中で両微小変位素子を放置し
たところ、フロロカーボン保護膜のない素子の中には2
カ月後に変位が減少する素子もあるばかりでなく、反り
量が増加しているが、フロロカーボン保護膜を付けた素
子は全て何ら変化無かった。
【0036】この様に、高速な応答性、精度良い変位量
を保ったまま、経時変化の少ないカンチレバー型圧電素
子を形成することができた。さらに所望の応答性ならび
に変位量を必要とする場合は、カンチレバー型圧電素子
の長さや厚さを変えたり、圧電体薄膜の材料を変える等
の設計を行えばよい。本実施例では圧電体薄膜としてZ
nO薄膜を用いたが、これは、PbTiO3、PZTや
AlN,Ta25、PLZT、等の他の圧電材料でも構
わない。
【0037】実施例2 本実施例では、実施例1で示したマイクロティップ上に
付着したフロロカーボン薄膜の除去工程を必要としない
方法で本発明の微小変位素子を作製した。本実施例の素
子作製工程を図4を用いて説明する。尚、基板製造工程
から上層のZnO薄膜6のパターニングまでは、実施例
1と全く同じである。
【0038】上記のZnO薄膜6のパターニングが終わ
った後、レジストマスクをそのままにし、厚さ100n
mのSiON膜10を約50nm反応性イオンエッチン
グによりエッチングする(図4(a))。続いて、スパ
ッタ法によってPt上電極7及び取り出し電極11を1
00nm堆積し、パターニングを行った。ここで、カン
チレバーの保護膜としてフロロカーボン薄膜12を、実
施例1と同様に反応性イオンエッチング装置を用いて、
数10nm〜100nm程度の膜厚で成膜する(図4
(b))。次に、マイクロティップ形成用のSiのリフ
トオフパターンを行い、取り出し電極11上に開口部を
形成し、ここで反応性イオンエッチング(CF4/O2
で同時に開口部分のフロロカーボン薄膜を除去する(図
4(c))。次に、マイクロティップ用電極材としてA
uを蒸着し、リフトオフによりマイクロティップ8を作
製した。その後、KOH溶液によるSiの異方性エッチ
ングを行う(図4(d))。最後に、反応性イオンエッ
チング法によりSiON膜10を裏面から除去するが、
カンチレバーの下の部分だけ厚いのでレバーの周囲のみ
エッチングが終わると、カンチレバーの下だけ約50n
mのSiON膜が残り、SiON膜とフロロカーボン薄
膜を保護膜としたカンチレバーが得られる(図4
(e))。
【0039】この時、実施例1のカンチレバーでは上反
りであったが、SiON膜が引っ張り応力を持った膜で
あり、本実施例のカンチレバーではほとんど反りはなか
った。
【0040】次に、フロロカーボン膜を約50nm成膜
した本実施例の微小変位素子の周波数応答性をとったと
ころ、一次の共振周波数は約4.4kHzであり、変位
量は1.6μm/Vであった。実施例1の素子と比較
し、周波数応答性は若干良いが、変位量が少し落ちる。
さらに、大気中で微小変位素子を放置したところ、実施
例1の素子同様に2カ月後も周波数応答性、変位量、反
り量は全く変化無かった。
【0041】この様に、高速な応答性、精度良い変位量
を保ったまま、経時変化が少なく、上反りを補正してほ
とんど反りのないカンチレバー型圧電素子を形成するこ
とができた。さらに所望の応答性ならびに変位量を必要
とする場合は、カンチレバー型圧電素子の長さや厚さを
変えたり、圧電体薄膜の材料を変える等の設計を行えば
よい。
【0042】実施例3 本実施例では、本発明の微小変位素子を用いて情報の記
録、再生等を行う情報処理装置について述べる。
【0043】図1に示したような本発明の微小変位素子
を同一Si基板上に実施例1と同様にして5×6=30
本作製し、このマルチ微小変位素子を図5に示す情報処
理装置に取り付けた。
【0044】同図において、101は記録媒体の基板、
102は金属電極層、103は記録層であり、これらに
より記録媒体を構成している。201はXYステージ、
202は本発明によるマルチ微小変位素子のプローブ
(マイクロティップ)、203は微小変位素子の支持
体、204は微小変位素子をZ軸方向に駆動するリニア
アクチュエーター、205,206はXYステージをそ
れぞれX,Y軸方向に駆動するリニアアクチュエータ
ー、207は記録・再生用のバイアス回路である。30
1はプローブ電極202から記録層103を介して電極
層102へ流れる電流を検出する記録再生用のトンネル
電流検出器である。302はカンチレバーをZ軸方向に
移動させるためのサーボ回路である。304は複数のカ
ンチレバーをZ軸方向に動かすための駆動回路であり、
これは、微小変位素子を駆動する電圧値を独立に制御す
ることができ、これにより各微小変位素子のZ軸方向の
位置を制御することができる。305は微小変位素子の
プローブ202,支持体203及びリニアアクチュエー
ター204全体のZ軸方向の位置制御を行う駆動回路で
ある。303はアクチュエーター204を駆動するため
のサーボ回路である。306は、これらの操作を制御す
るコンピューターである。
【0045】本実施例では、記録媒体の基板101とし
てガラス基板を用い、この上に電極層102としてCr
/Auを蒸着し、その上部に記録層103としてポリイ
ミドLB膜を4層(約15Å)成膜したものを用いた。
尚、この記録媒体には、パルス電圧を加えると抵抗率が
2桁程度変化する特徴がある。記録媒体の電極102と
微小変位素子の先端のマイクロティップ202に1Vの
電圧を印加した。30本全ての微小変位素子のマイクロ
ティップが、それぞれ1nA程度のトンネル電流になる
ように各微小変位素子の圧電体薄膜に電界を加えてプロ
ーブの位置をZ軸方向に移動させた。この際、30本の
カンチレバーの圧電薄膜に各自独立にかけた電界の値の
ばらつきはほとんど±5%以内でありほぼ均一であっ
た。また、30本のカンチレバーの先端の反り量のばら
つきは±3%以内の均一性で得られている。
【0046】次に、30本の微小変位素子の圧電薄膜に
かける電圧を全て同じにしたところ、それぞれのプロー
ブのトンネル電流値は0.1nA〜5nAの範囲内にお
さまっていた。
【0047】その後、プローブにパルス電圧(5V,1
μsec)を加え、所望の位置に情報を記録した。尚、
その領域は約100Å×100Å程度と非常に小さく、
超高密度の記録を行うことができた。
【0048】次に、プローブと記録媒体の電極間に1V
の電圧を印加し、トンネル電流の変化をみたところ、先
ほど記録した領域に抵抗値が変化した部分を検出した。
このように、本実施例においては、記録情報の書き込
み、読みだしが行えることを確認した。
【0049】実施例4 本実施例では、実施例2で示したような本発明の微小変
位素子を同一Si基板上に実施例2と同様の方法で5×
6=30本作製し、このマルチ微小変位素子を図5に示
した情報処理装置に取り付けた。
【0050】実施例3と同様に、記録媒体としてガラス
基板上にCr/Auを蒸着し、その上部にポリイミドL
B膜を4層(約15Å)成膜したものを用いた。記録媒
体の電極と微小変位素子の先端のマイクロティップに1
Vの電圧を印加し、30本全ての微小変位素子のマイク
ロティップが、それぞれ1nA程度のトンネル電流にな
るように各微小変位素子の圧電体薄膜に電界を加えてプ
ローブの位置をZ軸方向に移動させた。この際、30本
のカンチレバーの圧電薄膜に各自独立にかけた電界の値
のばらつきはほとんど±1%以内と非常に均一性が高か
った。また、30本のカンチレバーの先端の反りは全て
0であった。
【0051】次に、30本の微小変位素子の圧電薄膜に
かける電圧を全て同じにしたところ、それぞれのプロー
ブのトンネル電流値は0.1nA〜5nAの範囲内にお
さまっていた。
【0052】その後、プローブにパルス電圧(5V,1
μsec)を加え、所望の位置に情報を記録した。尚、
その領域は約100Å×100Å程度と非常に小さく、
超高密度の記録を行うことができた。
【0053】次に、プローブと記録媒体の電極間に1V
の電圧を印加し、トンネル電流の変化をみたところ、先
ほど記録した領域に抵抗値が変化した部分を検出した。
このように、本実施例においても、記録情報の書き込
み、読みだしが行えることを確認した。
【0054】実施例5 本実施例では、図5に示したような装置をSTMとして
用い、被観察物の表面観察を行った結果について述べ
る。
【0055】実施例3,4で述べた記録媒体を被観察物
として走査し、プローブ電極と被観察物との間に電圧を
印加し、トンネル電流値の結果を出力するとSTM像が
得られる。更に本実施例では、被観察物としてHOPG
(グラファイト)を用いて、STM像を得たところ、広
範囲にわたって像を原子オーダーで観察でき、再現性良
く非常に安定な像が得られた。
【0056】また、装置の耐久性も向上し、長時間にわ
たって良好な観察を行うことができ、更には、2カ月間
記録再生装置を大気中に放置した後でも、同様に安定な
像が得られた。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の微小変位
素子は以下の効果を奏する。
【0058】カンチレバーを構成する圧電体薄膜の表
面保護膜としてフロロカーボン薄膜を用いることによ
り、カンチレバーの応答性,変位量に大きな影響を与え
ることなく圧電体表面を安定して保護でき、大気中の水
分等の吸着を防ぎ、圧電性の劣化を防止できると共に反
り量の経時変化も防止できる。
【0059】圧電薄膜カンチレバーの下部に引っ張り
応力を持つSiON膜を残し、側面と上部にフロロカー
ボン薄膜を保護膜として用いることにより、圧電性を低
下させないだけでなく、カンチレバー形成時の内部応力
による上反りも補正できる。さらに複数のカンチレバー
を同一基板上に作製した時に、それらの反りを全て補正
できるので、反りのバラツキをなくすことができる。
【0060】また、本発明の微小変位素子を用いて構成
した本発明のトンネル電流検出装置及び情報処理装置
は、耐久性が向上すると共に、安定かつ信頼性の高い装
置となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の微小変位素子の断面図であ
る。
【図2】本発明の微小変位素子の基板製造工程を示す模
式図である。
【図3】本発明の実施例1の微小変位素子の作製工程
で、マイクロティップ先端に付着したフロロカーボン膜
の除去方法を説明するための図である。
【図4】本発明の実施例2の微小変位素子の作製工程を
示す模式図である。
【図5】本発明の情報処理装置のブロック図である。
【図6】従来例の微小変位素子の作製工程を示す模式図
である。
【符号の説明】
1 Si基板 2 エッチング面 3 下部電極 4 圧電体薄膜 5 中電極 6 圧電体薄膜 7 上部電極 8 マイクロティップ 9 Si34薄膜 10 SiON薄膜 11 取り出し電極 12 フロロカーボン薄膜 101 記録媒体基板 102 金属電極層 103 記録層 201 XYステージ 202 プローブ電極 203 支持体 204 Z軸方向リニアアクチュエーター 205 X軸方向リニアアクチュエーター 206 Y軸方向リニアアクチュエーター 207 記録再生用バイアス回路 301 トンネル電流検出器 302 サーボ回路 303 サーボ回路 304 駆動回路 305 駆動回路 306 コンピューター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島田 康弘 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 山本 敬介 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電体膜と該圧電体膜を逆圧電効果によ
    り変位させるための電極とを積層してなるカンチレバー
    (片持ち梁)の上面自由端部に情報入出力用マイクロテ
    ィップを具備する微小変位素子において、上記カンチレ
    バーを構成する圧電体膜の表面にフロロカーボン膜を設
    けたことを特徴とする微小変位素子。
  2. 【請求項2】 前記フロロカーボン膜が前記カンチレバ
    ーの上面及び側面に設けられており、且つ該カンチレバ
    ーの下面に引っ張り応力を有するSiONを設けたこと
    を特徴とする請求項1に記載の微小変位素子。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の微小変位素子を
    同一Si基板上に複数設けたことを特徴とするマルチ微
    小変位素子。
  4. 【請求項4】 前記フロロカーボン膜を、プラズマによ
    り成膜する請求項1〜3いずれかに記載の微小変位素子
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3いずれかに記載の微小変位
    素子と、該微小変位素子の駆動手段と、該駆動手段を制
    御する制御手段を具備し、該微小変位素子に対向配置さ
    れた電気導電体と前記マイクロティップとの間に電圧を
    印加し、これらの間に流れるトンネル電流の検出結果に
    基づき、電気導電体表面の情報を出力することを特徴と
    するトンネル電流検出装置。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3いずれかに記載の微小変位
    素子と、該微小変位素子の駆動手段と、該駆動手段を制
    御する制御手段と、前記マイクロティップと記録媒体と
    の間にパルス電圧を印加しうる情報記録用パルス電圧印
    加回路を具備することを特徴とする情報処理装置。
  7. 【請求項7】 請求項1〜3いずれかに記載の微小変位
    素子と、該微小変位素子の駆動手段と、該駆動手段を制
    御する制御手段と、前記マイクロティップと記録媒体と
    の間にバイアス電圧を印加しうる情報再生用バイアス電
    圧印加回路を具備することを特徴とする情報処理装置。
  8. 【請求項8】 前記制御手段が、前記記録媒体と前記マ
    イクロティップとの間に流れるトンネル電流の検出結果
    に基づき、前記微小変位素子を変位させるための駆動電
    圧を変化させ、その信号を微小変位素子を構成する電極
    に与えるものであることを特徴とする請求項6又は7に
    記載の情報処理装置。
JP5107186A 1993-04-12 1993-04-12 微小変位素子及びその製造方法、及びそれを用いたトンネル電流検出装置、情報処理装置 Withdrawn JPH06302874A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100451435B1 (ko) * 2001-12-27 2004-10-06 학교법인 포항공과대학교 고종횡비 팁을 갖는 압전 캔티레버 및 그 제조 방법

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KR100451435B1 (ko) * 2001-12-27 2004-10-06 학교법인 포항공과대학교 고종횡비 팁을 갖는 압전 캔티레버 및 그 제조 방법

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