JP3220908B2 - 微小変位素子の製造方法 - Google Patents
微小変位素子の製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧電薄膜の逆圧電効果
により駆動することのできるマイクロアクチュエーター
に係り、とくに圧電体薄膜の機械的強度を高める手段を
有した微小変位素子の製造方法に関するものである。
により駆動することのできるマイクロアクチュエーター
に係り、とくに圧電体薄膜の機械的強度を高める手段を
有した微小変位素子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年半導体プロセス技術を背景にして半
導体を機械的構造体として用いた半導体圧力センサー、
半導体加速度センサー、マイクロアクチュエーター等の
機械的電気素子(マイクロメカニクス)が脚光を浴びる
ようになってきた。
導体を機械的構造体として用いた半導体圧力センサー、
半導体加速度センサー、マイクロアクチュエーター等の
機械的電気素子(マイクロメカニクス)が脚光を浴びる
ようになってきた。
【0003】かかる素子の特徴として、小型でかつ高精
度の機械機構部品を提供でき、かつ半導体ウエハを用い
るためにSiウエハ上に素子と電気回路を一体化できる
ことが挙げられる。また、半導体プロセスをベースに作
製することで、半導体プロセスのバッチ処理による生産
性の向上を期待できる。特に微小変位素子としては、圧
電体薄膜を利用したカンチレバー状(片もちばり)のも
のが挙げられ、これは非常に微細な動きを制御すること
が可能なので、原子レベル、分子レベルを直接観察でき
る走査型トンネル顕微鏡(以下STMと称す。)に応用
されている。例えば、スタンフォード大学のクエート等
により提案された微小変位素子をもちいたSTMプロー
ブ(IEEE Micro Electro Mech
anical Systems,pl88−199,F
eb.1990)がある。これは図7に示すようにSi
ウエハ71のウエハの裏面を一部除去しシリコンメンブ
レンを形成し、表面にAl薄膜74とZnO薄膜75を
順次積層し、バイモルフのカンチレバーを形成しその
後、裏面より反応性のドライエッチによりシリコンメン
ブレンとウエハ表面のエッチングの保護層(シリコン窒
化膜)を除去して、STMプローブ変位用のバイモルフ
カンチレバーを作製している。このカンチレバーの上面
自由端部にトンネル電流検知用プローブを取り付け、良
好なSTM像を得ている。
度の機械機構部品を提供でき、かつ半導体ウエハを用い
るためにSiウエハ上に素子と電気回路を一体化できる
ことが挙げられる。また、半導体プロセスをベースに作
製することで、半導体プロセスのバッチ処理による生産
性の向上を期待できる。特に微小変位素子としては、圧
電体薄膜を利用したカンチレバー状(片もちばり)のも
のが挙げられ、これは非常に微細な動きを制御すること
が可能なので、原子レベル、分子レベルを直接観察でき
る走査型トンネル顕微鏡(以下STMと称す。)に応用
されている。例えば、スタンフォード大学のクエート等
により提案された微小変位素子をもちいたSTMプロー
ブ(IEEE Micro Electro Mech
anical Systems,pl88−199,F
eb.1990)がある。これは図7に示すようにSi
ウエハ71のウエハの裏面を一部除去しシリコンメンブ
レンを形成し、表面にAl薄膜74とZnO薄膜75を
順次積層し、バイモルフのカンチレバーを形成しその
後、裏面より反応性のドライエッチによりシリコンメン
ブレンとウエハ表面のエッチングの保護層(シリコン窒
化膜)を除去して、STMプローブ変位用のバイモルフ
カンチレバーを作製している。このカンチレバーの上面
自由端部にトンネル電流検知用プローブを取り付け、良
好なSTM像を得ている。
【0004】一方、STMの手法を用いて、半導体ある
いは高分子材料等の原子オーダー、分子オーダーの観察
評価、微細加工(E.E.Ehrichs,4th I
nternational Conference o
n Scanning Tunnering Micr
oscopy/spectroscopy,’89,S
13−3)、及び記録再生装置の様々な分野への応用が
研究されている。なかでも、コンピューターの計算情報
等では大容量を有する記録装置の要求に対してますます
高まっており、半導体プロセス技術の進展により、マイ
クロプロセッサが小型化し、計算能力が向上したために
記録装置の小型化が望まれている。
いは高分子材料等の原子オーダー、分子オーダーの観察
評価、微細加工(E.E.Ehrichs,4th I
nternational Conference o
n Scanning Tunnering Micr
oscopy/spectroscopy,’89,S
13−3)、及び記録再生装置の様々な分野への応用が
研究されている。なかでも、コンピューターの計算情報
等では大容量を有する記録装置の要求に対してますます
高まっており、半導体プロセス技術の進展により、マイ
クロプロセッサが小型化し、計算能力が向上したために
記録装置の小型化が望まれている。
【0005】これらの要求を満たす目的で、記録媒体と
それとの間隔が微調整可能な駆動手段上に設けたトンネ
ル電流発生用プローブとの間に電圧印加することによっ
て、記録媒体表面の仕事関数を変化させる事により記録
書き込みし、仕事関数の変化によるトンネル電流の変化
を検知することで情報の読み出しを行い、最小記録面積
が10nm平方となる記録再生装置が提案されている。
それとの間隔が微調整可能な駆動手段上に設けたトンネ
ル電流発生用プローブとの間に電圧印加することによっ
て、記録媒体表面の仕事関数を変化させる事により記録
書き込みし、仕事関数の変化によるトンネル電流の変化
を検知することで情報の読み出しを行い、最小記録面積
が10nm平方となる記録再生装置が提案されている。
【0006】また、STMの探針(プローブ)をカンチ
レバーの自由端側に形成し、それぞれ独立に変位するカ
ンチレバーをマルチ化し、さらに半導体プロセスと一体
化して同一基板上にトンネル検知用のプローブ付きカン
チレバーと、そのトンネル電流を増幅処理するアンプ、
カンチレバー駆動とトンネル電流の選択のためのマルチ
プレクサ、シフトレジスタ、等を積載する記録再生装置
が提案されている。
レバーの自由端側に形成し、それぞれ独立に変位するカ
ンチレバーをマルチ化し、さらに半導体プロセスと一体
化して同一基板上にトンネル検知用のプローブ付きカン
チレバーと、そのトンネル電流を増幅処理するアンプ、
カンチレバー駆動とトンネル電流の選択のためのマルチ
プレクサ、シフトレジスタ、等を積載する記録再生装置
が提案されている。
【0007】ここで、かかるカンチレバーの製造方法を
図を用いて説明する。図7は一個のカンチレバー型微小
変位素子の各製造工程を示す図である。(100)Si
基板71の両面にLPCVD装置でSi3 N4 膜73を
1000Å成膜して裏面のみをパターニングし(図7
(a))、KOH水溶液等を用いSi3 N4 膜73をマ
スクとしカンチレバー領域のSiの異方性エッチングを
行い、数10μm厚のSiメンブレンを形成する(図7
(b))。次に、表面にAl等の電極層74を成膜して
パターニングし、同様にしてZnOのような圧電体薄膜
層75をスパッタで成膜しパターニングを繰り返す(図
7(c))。次に、ポリイミド等で表面を覆いSiとS
i3N4 をエッチングし、ポリイミドを除去する(図7
(d))。以上が従来のカンチレバーの製造工程であ
る。
図を用いて説明する。図7は一個のカンチレバー型微小
変位素子の各製造工程を示す図である。(100)Si
基板71の両面にLPCVD装置でSi3 N4 膜73を
1000Å成膜して裏面のみをパターニングし(図7
(a))、KOH水溶液等を用いSi3 N4 膜73をマ
スクとしカンチレバー領域のSiの異方性エッチングを
行い、数10μm厚のSiメンブレンを形成する(図7
(b))。次に、表面にAl等の電極層74を成膜して
パターニングし、同様にしてZnOのような圧電体薄膜
層75をスパッタで成膜しパターニングを繰り返す(図
7(c))。次に、ポリイミド等で表面を覆いSiとS
i3N4 をエッチングし、ポリイミドを除去する(図7
(d))。以上が従来のカンチレバーの製造工程であ
る。
【0008】しかしながら、従来のカンチレバーは構造
体がすべて薄膜であり、またその厚さは数μm程度であ
るために機械的強度が弱い。このために衝撃等により微
小変位素子が破壊を起こしたり、故障が多いという問題
があった。さらに、薄膜には異種の薄膜同士を接合ない
しは積層すると内部応力が必然的に発生する。このた
め、薄膜で積層したカンチレバーはこの内部応力のため
に反ってしまうという問題が発生した。また、薄膜形成
時の面内に膜厚の違いや密度の違いによって、面内の複
数のカンチレバーの高さが異なる問題も生じた。従っ
て、マルチ化し、記録再生装置として情報の書き込み或
いは読みだしを行うためには、微小変位素子1本1本に
生じる内部応力による反りに起因した精度の悪化を補償
するために、外的な補正の手段等を加える必要があっ
た。
体がすべて薄膜であり、またその厚さは数μm程度であ
るために機械的強度が弱い。このために衝撃等により微
小変位素子が破壊を起こしたり、故障が多いという問題
があった。さらに、薄膜には異種の薄膜同士を接合ない
しは積層すると内部応力が必然的に発生する。このた
め、薄膜で積層したカンチレバーはこの内部応力のため
に反ってしまうという問題が発生した。また、薄膜形成
時の面内に膜厚の違いや密度の違いによって、面内の複
数のカンチレバーの高さが異なる問題も生じた。従っ
て、マルチ化し、記録再生装置として情報の書き込み或
いは読みだしを行うためには、微小変位素子1本1本に
生じる内部応力による反りに起因した精度の悪化を補償
するために、外的な補正の手段等を加える必要があっ
た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上のような従来例の
問題点を鑑み、本発明の目的とするところは、 微小変位素子の機械的強度を高める。 微小変位素子の反り量を少なくし、かつ複数のカンチ
レバーの反り量のばらつきを抑える。
問題点を鑑み、本発明の目的とするところは、 微小変位素子の機械的強度を高める。 微小変位素子の反り量を少なくし、かつ複数のカンチ
レバーの反り量のばらつきを抑える。
【0010】以上が本発明の目的であり、及びを同
時に満足する微小変位素子の製造方法を提供することに
ある。
時に満足する微小変位素子の製造方法を提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用】すなわち、上記
目的を達成すべく成された本発明は、第1に、Si基板
の一方の面に、圧電体及び電極のバイモルフ構造からな
る圧電薄膜カンチレバーを有する微小変位素子を製造す
る方法において、該圧電薄膜カンチレバーの軸方向と同
一方向でかつSi基板内に、V字型の溝を設けることに
より、前記圧電薄膜カンチレバーの断面を凸状に湾曲さ
せることを特徴とする微小変位素子の製造方法にある。
第2に、Si基板の一方の面に、圧電体及び電極のバイ
モルフ構造からなる圧電薄膜カンチレバーを有する微小
変位素子を製造する方法において、薄膜形成条件を制御
し薄膜の厚さ方向に内部応力の非対称性分布を持たせる
ことにより、前記圧電薄膜カンチレバーの断面を凸状に
湾曲させることを特徴とする微小変位素子の製造方法に
ある。
目的を達成すべく成された本発明は、第1に、Si基板
の一方の面に、圧電体及び電極のバイモルフ構造からな
る圧電薄膜カンチレバーを有する微小変位素子を製造す
る方法において、該圧電薄膜カンチレバーの軸方向と同
一方向でかつSi基板内に、V字型の溝を設けることに
より、前記圧電薄膜カンチレバーの断面を凸状に湾曲さ
せることを特徴とする微小変位素子の製造方法にある。
第2に、Si基板の一方の面に、圧電体及び電極のバイ
モルフ構造からなる圧電薄膜カンチレバーを有する微小
変位素子を製造する方法において、薄膜形成条件を制御
し薄膜の厚さ方向に内部応力の非対称性分布を持たせる
ことにより、前記圧電薄膜カンチレバーの断面を凸状に
湾曲させることを特徴とする微小変位素子の製造方法に
ある。
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】本発明においては、微小変位させる微小変
位素子を、圧電体薄膜にて形成する段階から凸型状に湾
曲させて形成し、機械的強度を向上させ、さらに薄膜の
もつ内部応力を緩和させ、その結果反り量を最低限に抑
えるものである。
位素子を、圧電体薄膜にて形成する段階から凸型状に湾
曲させて形成し、機械的強度を向上させ、さらに薄膜の
もつ内部応力を緩和させ、その結果反り量を最低限に抑
えるものである。
【0021】すなわち本発明の第1においては、Si基
板の一方の面に、圧電体及び電極のバイモルフ構造から
なる前記圧電薄膜カンチレバーを有する微小変位素子を
製造する際に、Si基板内にV字型の溝を設けることで
応力を緩和することにより、凸型の薄膜カンチレバーを
製造できると共に、これがダンパー材となり機械的Q値
の低減につながることも特徴である。
板の一方の面に、圧電体及び電極のバイモルフ構造から
なる前記圧電薄膜カンチレバーを有する微小変位素子を
製造する際に、Si基板内にV字型の溝を設けることで
応力を緩和することにより、凸型の薄膜カンチレバーを
製造できると共に、これがダンパー材となり機械的Q値
の低減につながることも特徴である。
【0022】また、本発明の第2においては、Si基板
の一方の面に、圧電体及び電極のバイモルフ構造からな
る圧電薄膜カンチレバーを有する微小変位素子を製造す
る際に、薄膜形成条件を制御し薄膜内部に応力分布を持
たせ、圧電薄膜カンチレバーの断面を凸状に湾曲させる
ことにより、微小変位素子の凸型の形状を任意に作製す
ることも可能となる。これは薄膜の厚さ方向に内部応力
の非対称性分布をもたせることにより、薄膜カンチレバ
ーの断面形状を凸型に形成するものである。
の一方の面に、圧電体及び電極のバイモルフ構造からな
る圧電薄膜カンチレバーを有する微小変位素子を製造す
る際に、薄膜形成条件を制御し薄膜内部に応力分布を持
たせ、圧電薄膜カンチレバーの断面を凸状に湾曲させる
ことにより、微小変位素子の凸型の形状を任意に作製す
ることも可能となる。これは薄膜の厚さ方向に内部応力
の非対称性分布をもたせることにより、薄膜カンチレバ
ーの断面形状を凸型に形成するものである。
【0023】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を具体的に詳述
する。
する。
【0024】(実施例1)本実施例で示すものは本発明
の微小変位素子である。
の微小変位素子である。
【0025】図1に本発明の微小変位素子の一部分の斜
視図を示す。これは、Si基板上に、通常のIC作製プ
ロセスとSiの異方性エッチングとにより作製したもの
である。異方性エッチングで残った111面2とカンチ
レバー断面を凸型に湾曲して形成するためにあらかじめ
設けたV字型溝3よりなるSi基板1に、圧電体に電圧
をかけるための下電極4,中電極6,上電極8及び圧電
体5,7が積層状に構成されている。9はトンネル電流
検出用プローブである。これはSiとの接合面を支点と
してバイモルフ型カンチレバーとなっており、電極に電
圧を加えることによって、自由端先端部が微小変位する
ことができる。尚カンチレバーのサイズは幅100μ
m、長さ500μmである。
視図を示す。これは、Si基板上に、通常のIC作製プ
ロセスとSiの異方性エッチングとにより作製したもの
である。異方性エッチングで残った111面2とカンチ
レバー断面を凸型に湾曲して形成するためにあらかじめ
設けたV字型溝3よりなるSi基板1に、圧電体に電圧
をかけるための下電極4,中電極6,上電極8及び圧電
体5,7が積層状に構成されている。9はトンネル電流
検出用プローブである。これはSiとの接合面を支点と
してバイモルフ型カンチレバーとなっており、電極に電
圧を加えることによって、自由端先端部が微小変位する
ことができる。尚カンチレバーのサイズは幅100μ
m、長さ500μmである。
【0026】上記カンチレバーの作製方法を、図2を用
いて説明する。図2は薄膜カンチレバー作製前の基板製
造工程を示す図である。(100)Siウエハー1の両
面にLPCVD装置でSi3 N4 膜10を1000Å成
膜した(図2(a))。次に、裏面にパターニングしK
OH水溶液等を用いてのエッチング時のSi3 N4 膜1
0のマスクパターンを形成した(図2(b)は裏面の平
面図である。)。尚図中の11はカンチレバー形成用の
メンブレンを形成する領域で、3はV字型溝を形成する
領域である。その後、KOHによるSiの異方性エッチ
ングを行い、数10μm厚のSiメンブレンを形成する
(図2(c)はA−A断面図である。)。
いて説明する。図2は薄膜カンチレバー作製前の基板製
造工程を示す図である。(100)Siウエハー1の両
面にLPCVD装置でSi3 N4 膜10を1000Å成
膜した(図2(a))。次に、裏面にパターニングしK
OH水溶液等を用いてのエッチング時のSi3 N4 膜1
0のマスクパターンを形成した(図2(b)は裏面の平
面図である。)。尚図中の11はカンチレバー形成用の
メンブレンを形成する領域で、3はV字型溝を形成する
領域である。その後、KOHによるSiの異方性エッチ
ングを行い、数10μm厚のSiメンブレンを形成する
(図2(c)はA−A断面図である。)。
【0027】次に、将来薄膜カンチレバーの固定端にな
る領域に下電極薄膜4′を形成する。この薄膜は強い圧
縮応力をもつPt薄膜を用いた。尚、Ptの成膜は基板
温度200℃でスパッタ法にて約1000Å成膜した。
これは圧縮応力をもつもので、約−400MPa程度の
応力であった。これによりKOHエッチングで形成され
たV字溝3はSiウエハ1の変形に寄与しPt薄膜4は
湾曲する(図2(d)はB−B断面図である。)。この
ように、将来薄膜カンチレバーの固定端になるところの
形状を凸型にすることができた。以上が薄膜カンチレバ
ー作製前の基板製造工程である。
る領域に下電極薄膜4′を形成する。この薄膜は強い圧
縮応力をもつPt薄膜を用いた。尚、Ptの成膜は基板
温度200℃でスパッタ法にて約1000Å成膜した。
これは圧縮応力をもつもので、約−400MPa程度の
応力であった。これによりKOHエッチングで形成され
たV字溝3はSiウエハ1の変形に寄与しPt薄膜4は
湾曲する(図2(d)はB−B断面図である。)。この
ように、将来薄膜カンチレバーの固定端になるところの
形状を凸型にすることができた。以上が薄膜カンチレバ
ー作製前の基板製造工程である。
【0028】次に、薄膜カンチレバーの製造工程につい
て述べる。予め作製したPt電極4と導通がとれるよう
に位置あわせをしたPt電極4を基板温度室温でスパッ
タし(厚さ1000Å)、フォトリソグラフィとリフト
オフによりPt電極4を所望の形状にパターニングを行
った。その後スパッタ法により、圧電体薄膜5を形成し
た。圧電体薄膜としてZnOを3000Å成膜した。タ
ーゲットにはZnOを用い、Ar+O2 雰囲気で基板温
度200℃でスパッタを行った。さらに、フォトリソグ
ラフィーとウエットエッチングによりパターニングを行
った。その後、同様の作製法にて電極6,圧電体薄膜
7,電極8を順次に積層した。尚、圧電体薄膜のスパッ
タ条件は、下圧電体薄膜5形成条件と上圧電体薄膜7形
成条件と同じ条件下で行った。
て述べる。予め作製したPt電極4と導通がとれるよう
に位置あわせをしたPt電極4を基板温度室温でスパッ
タし(厚さ1000Å)、フォトリソグラフィとリフト
オフによりPt電極4を所望の形状にパターニングを行
った。その後スパッタ法により、圧電体薄膜5を形成し
た。圧電体薄膜としてZnOを3000Å成膜した。タ
ーゲットにはZnOを用い、Ar+O2 雰囲気で基板温
度200℃でスパッタを行った。さらに、フォトリソグ
ラフィーとウエットエッチングによりパターニングを行
った。その後、同様の作製法にて電極6,圧電体薄膜
7,電極8を順次に積層した。尚、圧電体薄膜のスパッ
タ条件は、下圧電体薄膜5形成条件と上圧電体薄膜7形
成条件と同じ条件下で行った。
【0029】次に、プローブ用電極材としてPtをスパ
ッタし、フォトリソグラフィーとリフトオフによりプロ
ーブ9を作製した(図3(a))。その後裏面からRI
EによるドライエッチングによりSi基板の所望の部分
を除去し微小変位素子を作製した。この工程であらかじ
め作製していた薄膜カンチレバー固定端はV字型溝によ
って凸型に形成されていたので薄膜カンチレバーの断面
形状も凸型に沿って湾曲した形となっている(図3
(c))。以上のようにして、断面が凸型形状をもつ微
小変位素子を作製した。
ッタし、フォトリソグラフィーとリフトオフによりプロ
ーブ9を作製した(図3(a))。その後裏面からRI
EによるドライエッチングによりSi基板の所望の部分
を除去し微小変位素子を作製した。この工程であらかじ
め作製していた薄膜カンチレバー固定端はV字型溝によ
って凸型に形成されていたので薄膜カンチレバーの断面
形状も凸型に沿って湾曲した形となっている(図3
(c))。以上のようにして、断面が凸型形状をもつ微
小変位素子を作製した。
【0030】このようにして作製した微小変位素子を同
一Siウエハ中に200本形成したところ、各カンチレ
バーの自由端の先端とSi基板との高さのズレは、すべ
て薄膜カンチレバーの厚さに対して±20%以内であっ
た。
一Siウエハ中に200本形成したところ、各カンチレ
バーの自由端の先端とSi基板との高さのズレは、すべ
て薄膜カンチレバーの厚さに対して±20%以内であっ
た。
【0031】次に、この微小変位素子の周波数応答性を
とったところ、一次の共振周波数は約5KHzであり、
この共振時の機械的Q値は約10であった(大気中)。
この値は断面形状が凸型になっているために剛性が高ま
っていることを示している。
とったところ、一次の共振周波数は約5KHzであり、
この共振時の機械的Q値は約10であった(大気中)。
この値は断面形状が凸型になっているために剛性が高ま
っていることを示している。
【0032】(比較例)実施例1と同様に作製しV字型
溝および固定端領域に圧縮応力の薄膜を形成しない工程
にて断面が比較的平らな薄膜カンチレバーを作製し微小
変位素子を形成した。尚、この時の微小変位素子の寸法
は実施例1のものと同一寸法とした。この時のカンチレ
バーの自由端の先端と、Si基板との高さのずれは、2
00本中で薄膜カンチレバーの厚さに対して±200%
の範囲であった。
溝および固定端領域に圧縮応力の薄膜を形成しない工程
にて断面が比較的平らな薄膜カンチレバーを作製し微小
変位素子を形成した。尚、この時の微小変位素子の寸法
は実施例1のものと同一寸法とした。この時のカンチレ
バーの自由端の先端と、Si基板との高さのずれは、2
00本中で薄膜カンチレバーの厚さに対して±200%
の範囲であった。
【0033】さらに、この微小変位素子の周波数応答性
は一次の共振周波数は約2.4KHzであり、このとき
の機械的Q値は約20であった。
は一次の共振周波数は約2.4KHzであり、このとき
の機械的Q値は約20であった。
【0034】(実施例2)本実施例では、本発明の微小
変位素子の他の態様を示す。実施例1と違う点はあらか
じめ薄膜カンチレバーの固定端を湾曲させるための薄膜
作製工程がない点である。
変位素子の他の態様を示す。実施例1と違う点はあらか
じめ薄膜カンチレバーの固定端を湾曲させるための薄膜
作製工程がない点である。
【0035】図4は、Cr(膜厚50Å)/Au電極上
(膜厚1000Å)にさまざまなスパッタ条件で作製し
たZnO圧電体薄膜(膜厚3000Å)の薄膜内部応力
値を示した図である。この時はAr/O2 =1で基板温
度200℃で行い、スパッタ圧をいろいろ変化させた。
この図4により、スパッタ圧を制御することにより圧縮
応力から引っ張り応力まで所望の薄膜内部応力値を制御
することが可能となる。本実施例では、この薄膜内部応
力の制御によって作製した微小変位素子について述べ
る。
(膜厚1000Å)にさまざまなスパッタ条件で作製し
たZnO圧電体薄膜(膜厚3000Å)の薄膜内部応力
値を示した図である。この時はAr/O2 =1で基板温
度200℃で行い、スパッタ圧をいろいろ変化させた。
この図4により、スパッタ圧を制御することにより圧縮
応力から引っ張り応力まで所望の薄膜内部応力値を制御
することが可能となる。本実施例では、この薄膜内部応
力の制御によって作製した微小変位素子について述べ
る。
【0036】実施例1と同様にSi基板にSiメンブレ
ンおよびV字型溝を作製した。その後、下電極4を抵抗
加熱法にて成膜した。この時はCrを下引き層(膜厚2
0Å)にしたAuを材料として選んだ。このAu膜の膜
厚は1000Åであった。次に、この電極4をフォトリ
ソグラフィーとウエットエッチングによりパターニング
した。次に下の圧電体薄膜5としてZnO膜を3000
Å程度成膜した。このZnO膜の薄膜内部応力値が−3
00MPaの圧縮応力になるような条件下でのスパッタ
を行った。さらにフォトリソグラフィーとウエットエッ
チングによりパターニングした。次に上述したのと同様
に中電極6を作製した。その後ZnO膜の薄膜内部応力
値が−500MPaの圧縮応力になるような条件下でス
パッタを行った。その後同様の方法で上圧電体薄膜7を
形成した。同様に上電極8も形成した。次に実施例1と
同様な方法でプローブを形成した(図5(a))。次
に、RIEによるドライエッチングにてSi基板の所望
の部分を除去した。これは下の圧電体薄膜5の内部応力
値が上部の圧電体薄膜7より小さくなるように作製した
ので、薄膜カンチレバーの断面はこの応力のモーメント
のつりあいによって凸型に形成される(図5(b))。
尚、固定端部分は積層した薄膜の内部応力が全体とし
て強い圧縮応力をもつのでV字溝の部位は湾曲する。
ンおよびV字型溝を作製した。その後、下電極4を抵抗
加熱法にて成膜した。この時はCrを下引き層(膜厚2
0Å)にしたAuを材料として選んだ。このAu膜の膜
厚は1000Åであった。次に、この電極4をフォトリ
ソグラフィーとウエットエッチングによりパターニング
した。次に下の圧電体薄膜5としてZnO膜を3000
Å程度成膜した。このZnO膜の薄膜内部応力値が−3
00MPaの圧縮応力になるような条件下でのスパッタ
を行った。さらにフォトリソグラフィーとウエットエッ
チングによりパターニングした。次に上述したのと同様
に中電極6を作製した。その後ZnO膜の薄膜内部応力
値が−500MPaの圧縮応力になるような条件下でス
パッタを行った。その後同様の方法で上圧電体薄膜7を
形成した。同様に上電極8も形成した。次に実施例1と
同様な方法でプローブを形成した(図5(a))。次
に、RIEによるドライエッチングにてSi基板の所望
の部分を除去した。これは下の圧電体薄膜5の内部応力
値が上部の圧電体薄膜7より小さくなるように作製した
ので、薄膜カンチレバーの断面はこの応力のモーメント
のつりあいによって凸型に形成される(図5(b))。
尚、固定端部分は積層した薄膜の内部応力が全体とし
て強い圧縮応力をもつのでV字溝の部位は湾曲する。
【0037】このように作製した微小変位素子は、カン
チレバーの上部自由端部分が内部応力のモーメントのつ
りあいにより若干Si基板側に反る。この反り量は約1
μmでこの値は薄膜カンチレバーの膜厚と同程度であっ
た。さらに、Si基板に対してのずれは200本のカン
チレバーに対して±0.5μmの範囲内であった。
チレバーの上部自由端部分が内部応力のモーメントのつ
りあいにより若干Si基板側に反る。この反り量は約1
μmでこの値は薄膜カンチレバーの膜厚と同程度であっ
た。さらに、Si基板に対してのずれは200本のカン
チレバーに対して±0.5μmの範囲内であった。
【0038】次に、この微小変位素子の周波数応答性を
とったところ、一次の共振周波数は約6KHzであり、
この共振時の機械的Q値は約7であった(大気中)。こ
の値は実施例1で作製した微小変位素子よりも凸型の湾
曲率が高くなっていることを示している。
とったところ、一次の共振周波数は約6KHzであり、
この共振時の機械的Q値は約7であった(大気中)。こ
の値は実施例1で作製した微小変位素子よりも凸型の湾
曲率が高くなっていることを示している。
【0039】(実施例3)本実施例では、本発明の微小
変位素子の他の態様を示す。実施例2と違う点はあらか
じめ薄膜カンチレバーの固定端を湾曲させるためのV字
型溝がない点である。
変位素子の他の態様を示す。実施例2と違う点はあらか
じめ薄膜カンチレバーの固定端を湾曲させるためのV字
型溝がない点である。
【0040】実施例1と同様にSi基板にSiメンブレ
ンを作製した。この時にはフォトマスクパターンを変え
てV字型溝形成のパターンのないものを用いた。その後
実施例2と同様に電極および圧電体薄膜を交互に積層し
た。なお、ZnO圧電体薄膜は、下部圧電体の内部応力
値を−100MPaになるようにし、上部圧電体薄膜を
−300MPaになるように形成した。
ンを作製した。この時にはフォトマスクパターンを変え
てV字型溝形成のパターンのないものを用いた。その後
実施例2と同様に電極および圧電体薄膜を交互に積層し
た。なお、ZnO圧電体薄膜は、下部圧電体の内部応力
値を−100MPaになるようにし、上部圧電体薄膜を
−300MPaになるように形成した。
【0041】このようにして作製した微小変位素子は、
V字型溝がなくてもカンチレバーの上部自由端部分は内
部応力の非対称性によるモーメントのつりあいにより、
凸型形状のものが得られる。この微小変位素子の特性は
実施例2と同様であった。
V字型溝がなくてもカンチレバーの上部自由端部分は内
部応力の非対称性によるモーメントのつりあいにより、
凸型形状のものが得られる。この微小変位素子の特性は
実施例2と同様であった。
【0042】(実施例4)実施例3と同様に電極および
圧電体薄膜を交互に積層した。この時圧電体薄膜材料と
してPbTiO3 を用い、電極材料としてPtを用い
た。なおこのPbTiO3 成膜にはスパッタ法を用いタ
ーゲットにはPbTiO3 焼結体を用い、O2 :Ar=
1:1雰囲気でスパッタを行った。なお、PbTiO3
圧電体薄膜は、下部圧電体の内部応力値を−100MP
aになるようにし、上部圧電体薄膜を−300MPaに
なるように形成した。
圧電体薄膜を交互に積層した。この時圧電体薄膜材料と
してPbTiO3 を用い、電極材料としてPtを用い
た。なおこのPbTiO3 成膜にはスパッタ法を用いタ
ーゲットにはPbTiO3 焼結体を用い、O2 :Ar=
1:1雰囲気でスパッタを行った。なお、PbTiO3
圧電体薄膜は、下部圧電体の内部応力値を−100MP
aになるようにし、上部圧電体薄膜を−300MPaに
なるように形成した。
【0043】このようにして作製した微小変位素子の特
性は実施例2と同様であった。
性は実施例2と同様であった。
【0044】(実施例5)実施例3と同様に電極および
圧電体薄膜を交互に積層した。この時圧電体薄膜材料と
してAlNを用い、電極材料としてAlを用いた。な
お、このAlN成膜にはスパッタ法を用い、ターゲット
にはAlN焼結体を用い、N2 :Ar=1:1雰囲気で
スパッタを行った。なお、AlN圧電体薄膜は、下部圧
電体の内部応力値を−100MPaの圧縮応力になるよ
うにし、上部圧電体薄膜を−200MPaの圧縮応力に
なるように形成した。
圧電体薄膜を交互に積層した。この時圧電体薄膜材料と
してAlNを用い、電極材料としてAlを用いた。な
お、このAlN成膜にはスパッタ法を用い、ターゲット
にはAlN焼結体を用い、N2 :Ar=1:1雰囲気で
スパッタを行った。なお、AlN圧電体薄膜は、下部圧
電体の内部応力値を−100MPaの圧縮応力になるよ
うにし、上部圧電体薄膜を−200MPaの圧縮応力に
なるように形成した。
【0045】このようにして作製した微小変位素子の特
性は実施例2と同様であった。
性は実施例2と同様であった。
【0046】(実施例6)本実施例では、本発明の微小
変位素子を用いて情報の記録、再生等を行う情報処理装
置について述べる。
変位素子を用いて情報の記録、再生等を行う情報処理装
置について述べる。
【0047】実施例1で作製した5×6=30本の複数
の微小変位素子をもつマルチ微小変位素子を図6に示す
情報処理装置に取り付けた。
の微小変位素子をもつマルチ微小変位素子を図6に示す
情報処理装置に取り付けた。
【0048】101は媒体の基板、102は金属電極
層、103は記録層である。201はXYステージ、2
02はマルチ微小変位素子のプローブ、203は微小変
位素子の支持体、204は微小変位素子をZ軸方向に駆
動するリニアアクチュエーター、205、206はXY
ステージをそれぞれX,Y軸方向に駆動するリニアアク
チュエーター、207は記録・再生用のバイアス回路で
ある。301はプローブ電極から記録層103を介して
電極層102へ流れる電流を検出する記録再生用のトン
ネル電流検出器である。302はカンチレバーをZ軸方
向に移動させるためのサーボ回路である。304は複数
のカンチレバーをZ軸方向に動かすための駆動回路であ
り、これは、微小変位素子に駆動する電圧値を独立に制
御することができ、これにより各微小変位素子のZ軸方
向の位置を制御することができる。305はXYステー
ジの位置制御を行う駆動回路である。306は、これら
の操作を制御するコンピューターである。
層、103は記録層である。201はXYステージ、2
02はマルチ微小変位素子のプローブ、203は微小変
位素子の支持体、204は微小変位素子をZ軸方向に駆
動するリニアアクチュエーター、205、206はXY
ステージをそれぞれX,Y軸方向に駆動するリニアアク
チュエーター、207は記録・再生用のバイアス回路で
ある。301はプローブ電極から記録層103を介して
電極層102へ流れる電流を検出する記録再生用のトン
ネル電流検出器である。302はカンチレバーをZ軸方
向に移動させるためのサーボ回路である。304は複数
のカンチレバーをZ軸方向に動かすための駆動回路であ
り、これは、微小変位素子に駆動する電圧値を独立に制
御することができ、これにより各微小変位素子のZ軸方
向の位置を制御することができる。305はXYステー
ジの位置制御を行う駆動回路である。306は、これら
の操作を制御するコンピューターである。
【0049】本実施例では、この情報処理装置にマルチ
微小変位素子を取り付け、記録媒体としてガラス基板上
にCr/Auを蒸着し、その上部にポリイミドLB膜を
4層(約15Å)成膜したものを用いた。記録媒体の電
極と微小変位素子の先端のプロ―ブに1.Vの電圧を印
加した。30本全ての微小変位素子のプローブが、それ
ぞれ1nA程度のトンネル電流になるように微小変位素
子の圧電体薄膜に電界を加えてプローブの位置をZ軸方
向に移動させた。この際、30本に各自独立に圧電薄膜
にかけた電界の値はほとんど±1%以内の電圧であっ
た。
微小変位素子を取り付け、記録媒体としてガラス基板上
にCr/Auを蒸着し、その上部にポリイミドLB膜を
4層(約15Å)成膜したものを用いた。記録媒体の電
極と微小変位素子の先端のプロ―ブに1.Vの電圧を印
加した。30本全ての微小変位素子のプローブが、それ
ぞれ1nA程度のトンネル電流になるように微小変位素
子の圧電体薄膜に電界を加えてプローブの位置をZ軸方
向に移動させた。この際、30本に各自独立に圧電薄膜
にかけた電界の値はほとんど±1%以内の電圧であっ
た。
【0050】次に、微小変位素子30本に各自圧電薄膜
にかける電圧を同じにしたところ、それぞれのプローブ
のトンネル電流値は0.1nA〜5nAの範囲内におさ
まっていた。尚、この記録媒体にはパルス電圧を加える
と、記録媒体の抵抗率が2桁程度変化する特徴がある。
にかける電圧を同じにしたところ、それぞれのプローブ
のトンネル電流値は0.1nA〜5nAの範囲内におさ
まっていた。尚、この記録媒体にはパルス電圧を加える
と、記録媒体の抵抗率が2桁程度変化する特徴がある。
【0051】その後、プローブにパルス電圧(5V 1
μsec)を加え、所望の位置に情報を記録した。尚、
その領域は約100Å×100Å程度と非常に小さく、
超高密度の記録を行うことができた。
μsec)を加え、所望の位置に情報を記録した。尚、
その領域は約100Å×100Å程度と非常に小さく、
超高密度の記録を行うことができた。
【0052】次に、プロ―ブと記録媒体の電極間に1V
の電圧を印加し、トンネル電流の変化をみたところ、先
ほど記録した領域に抵抗値が変化した部分を検出した。
このように、本実施例においては、記録情報の書き込
み、読み出しが行えることを確認した。
の電圧を印加し、トンネル電流の変化をみたところ、先
ほど記録した領域に抵抗値が変化した部分を検出した。
このように、本実施例においては、記録情報の書き込
み、読み出しが行えることを確認した。
【0053】(実施例7)本実施例では、前述した情報
処理装置を使って、STMとして実験を行った結果につ
いて述べる。
処理装置を使って、STMとして実験を行った結果につ
いて述べる。
【0054】実施例6でのべた記録媒体を被観察物とし
て走査し、プローブ電極と被観察物との間に電圧を印加
し、トンネル電流値の結果を出力するとSTM像が得ら
れる。本実施例では被観察物としてHOPGを用いてS
TM像を得たところ、広範囲にわたって像を原子オーダ
ーで観察でき、さらに安定な像が得られた。さらに、耐
久性も向上し、長時間にわたって観察することができ
た。
て走査し、プローブ電極と被観察物との間に電圧を印加
し、トンネル電流値の結果を出力するとSTM像が得ら
れる。本実施例では被観察物としてHOPGを用いてS
TM像を得たところ、広範囲にわたって像を原子オーダ
ーで観察でき、さらに安定な像が得られた。さらに、耐
久性も向上し、長時間にわたって観察することができ
た。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の微小変位
素子及びその製造方法によれば、カンチレバー断面形状
を凸型に湾曲形成することにより、剛性が高まり機械的
強度が向上する。これにより耐久性の向上が挙げられ
る。このプローブを有した微小変位素子は応答性、操作
性ともに高くSTMを応用した情報処理装置が実現でき
る。また、複数のプローブをもつマルチ微小変位素子に
おいては面内の1本1本のカンチレバーの反り量も高精
度に作製でき、平面度も高いので、歩留まりが向上する
と共に、制御性も高まる。
素子及びその製造方法によれば、カンチレバー断面形状
を凸型に湾曲形成することにより、剛性が高まり機械的
強度が向上する。これにより耐久性の向上が挙げられ
る。このプローブを有した微小変位素子は応答性、操作
性ともに高くSTMを応用した情報処理装置が実現でき
る。また、複数のプローブをもつマルチ微小変位素子に
おいては面内の1本1本のカンチレバーの反り量も高精
度に作製でき、平面度も高いので、歩留まりが向上する
と共に、制御性も高まる。
【図1】本発明の微小変位素子の斜視図である。
【図2】本発明の微小変位素子の作製工程を示す模式図
である。
である。
【図3】本発明の微小変位素子の作製工程を示す模式図
である。
である。
【図4】スパッタ条件と内部応力の関係を示す図であ
る。
る。
【図5】他の実施例の微小変位素子の作製工程を示す模
式図である。
式図である。
【図6】本発明の記録再生装置のブロック図である。
【図7】従来例の微小変位素子の作製工程を示す模式図
である。
である。
1 Si基板 2 エッチング面 3 V字型溝 4 下部電極 5 圧電体薄膜 6 中電極 7 圧電体薄膜 8 上部電極 9 プローブ 10 Si3 N4 薄膜 11 エッチングされる面 71 Siウエハ 73 Si3 N4 膜 74 Al薄膜 75 ZnO薄膜 101 記録媒体基板 102 金属電極層 103 記録層 201 XYステージ 202 プローブ電極 203 支持体 204 Z軸方向リニアアクチュエーター 205 X軸方向リニアアクチュエーター 206 Y軸方向リニアアクチュエーター 207 記録再生用バイアス回路 301 トンネル電流検出器 302 サーボ回路 303 サーボ回路 304 駆動回路 305 駆動回路 306 コンピューター
フロントページの続き (72)発明者 酒井 邦裕 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−247843(JP,A) 特表 平3−503463(JP,A) 特表 平3−503586(JP,A) 特表 平3−504762(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 13/10 - 13/24 G12B 21/00 - 21/24 G01B 7/34 G01B 21/30 H01J 37/28 G11B 9/00 H01L 21/66
Claims (2)
- 【請求項1】 Si基板の一方の面に、圧電体及び電極
のバイモルフ構造からなる圧電薄膜カンチレバーを有す
る微小変位素子を製造する方法において、該圧電薄膜カ
ンチレバーの軸方向と同一方向でかつSi基板内に、V
字型の溝を設けることにより、前記圧電薄膜カンチレバ
ーの断面を凸状に湾曲させることを特徴とする微小変位
素子の製造方法。 - 【請求項2】 Si基板の一方の面に、圧電体及び電極
のバイモルフ構造からなる圧電薄膜カンチレバーを有す
る微小変位素子を製造する方法において、薄膜形成条件
を制御し薄膜の厚さ方向に内部応力の非対称性分布を持
たせることにより、前記圧電薄膜カンチレバーの断面を
凸状に湾曲させることを特徴とする微小変位素子の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24022691A JP3220908B2 (ja) | 1991-08-28 | 1991-08-28 | 微小変位素子の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24022691A JP3220908B2 (ja) | 1991-08-28 | 1991-08-28 | 微小変位素子の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0552506A JPH0552506A (ja) | 1993-03-02 |
JP3220908B2 true JP3220908B2 (ja) | 2001-10-22 |
Family
ID=17056328
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24022691A Expired - Fee Related JP3220908B2 (ja) | 1991-08-28 | 1991-08-28 | 微小変位素子の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3220908B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108242275B (zh) * | 2016-12-23 | 2024-04-02 | 上海昊佰智造精密电子股份有限公司 | 一种预设压痕线的导电布 |
CN113433348A (zh) * | 2021-06-03 | 2021-09-24 | 中北大学 | 一种用于微波测试的探针 |
-
1991
- 1991-08-28 JP JP24022691A patent/JP3220908B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0552506A (ja) | 1993-03-02 |
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