JPH06302870A - 薄膜素子およびその製造方法 - Google Patents
薄膜素子およびその製造方法Info
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- JPH06302870A JPH06302870A JP5084847A JP8484793A JPH06302870A JP H06302870 A JPH06302870 A JP H06302870A JP 5084847 A JP5084847 A JP 5084847A JP 8484793 A JP8484793 A JP 8484793A JP H06302870 A JPH06302870 A JP H06302870A
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- film
- insulating
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 特性が良好でそのバラツキが少なく、短く簡
単な工程で製造できる薄膜素子とその製造方法を提供す
るものである。 【構成】 第1の非絶縁層のパターン段差部を層間絶縁
膜を挟んで積層された第2の非絶縁層が被覆する構造を
有する薄膜素子において、パターン段差部における第1
の非絶縁層と第2の非絶縁層を第1の非絶縁層のパター
ン段差部に露出した部分を改質処理した絶縁膜によって
電気的に隔離する。
単な工程で製造できる薄膜素子とその製造方法を提供す
るものである。 【構成】 第1の非絶縁層のパターン段差部を層間絶縁
膜を挟んで積層された第2の非絶縁層が被覆する構造を
有する薄膜素子において、パターン段差部における第1
の非絶縁層と第2の非絶縁層を第1の非絶縁層のパター
ン段差部に露出した部分を改質処理した絶縁膜によって
電気的に隔離する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スイッチ、メモリー、
センサーなどの素子として電子回路に用いられる薄膜素
子およびその製造方法に関するものである。
センサーなどの素子として電子回路に用いられる薄膜素
子およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】薄膜素子は多くの場合何種類かの薄膜を
多層積層形成した構造からなる。その構造の中でも、半
導体、導体、超伝導体などからなる非絶縁層が複数層あ
り、その間に層間絶縁膜を設けた構造は最もよく用いら
れる構造である。この構造においては層間絶縁膜はそれ
を挟む2つの非絶縁層を互いに電気的に分離する役割あ
るいは非絶縁層間の電気的特性に特別な機能を付与する
役割をもつ。後者の例としては、層間絶縁膜の誘電体特
性あるいはトンネル電流やショットキー放出電流などの
微小漏洩電流の特性を積極的に利用してこの構造自身を
機能性薄膜素子として用いるものが挙げられる。
多層積層形成した構造からなる。その構造の中でも、半
導体、導体、超伝導体などからなる非絶縁層が複数層あ
り、その間に層間絶縁膜を設けた構造は最もよく用いら
れる構造である。この構造においては層間絶縁膜はそれ
を挟む2つの非絶縁層を互いに電気的に分離する役割あ
るいは非絶縁層間の電気的特性に特別な機能を付与する
役割をもつ。後者の例としては、層間絶縁膜の誘電体特
性あるいはトンネル電流やショットキー放出電流などの
微小漏洩電流の特性を積極的に利用してこの構造自身を
機能性薄膜素子として用いるものが挙げられる。
【0003】ところで、層間絶縁膜とそれを挟む2つの
非絶縁層(以下では基板上に先に積層される非絶縁層を
第1の非絶縁層、また後に積層される非絶縁層を第2の
非絶縁層と呼ぶ)の3つの層はそれぞれ別の形状にパタ
ーニングされることが一般に必要である。このことは多
数の薄膜素子を集積化して形成する場合には重要な問題
になる。特に、第1の非絶縁層と第2の非絶縁層はそれ
ら自身の位置関係だけでなく他の回路部分との電気的接
続を考慮する必要があるので、ほとんど独立した複雑な
形状にパターニングすることが必要であり、互いに交差
する形状になる場合が多い。これに対して、層間絶縁膜
は第1の非絶縁層と第2の非絶縁層を電気的に直接接触
させないことが主な目的であるから、そのパターン形状
に関する制約は比較的少ない。
非絶縁層(以下では基板上に先に積層される非絶縁層を
第1の非絶縁層、また後に積層される非絶縁層を第2の
非絶縁層と呼ぶ)の3つの層はそれぞれ別の形状にパタ
ーニングされることが一般に必要である。このことは多
数の薄膜素子を集積化して形成する場合には重要な問題
になる。特に、第1の非絶縁層と第2の非絶縁層はそれ
ら自身の位置関係だけでなく他の回路部分との電気的接
続を考慮する必要があるので、ほとんど独立した複雑な
形状にパターニングすることが必要であり、互いに交差
する形状になる場合が多い。これに対して、層間絶縁膜
は第1の非絶縁層と第2の非絶縁層を電気的に直接接触
させないことが主な目的であるから、そのパターン形状
に関する制約は比較的少ない。
【0004】ここで第1の非絶縁層を所望の形状にパタ
ーニングすることに注目すると、その方法として以下に
述べる従来例がある。
ーニングすることに注目すると、その方法として以下に
述べる従来例がある。
【0005】第1の従来例は第1の非絶縁層を積層する
ときに必要なパターン形状以外の部分をマスキングする
方法である。第1の非絶縁層を真空成膜法を用いて積層
形成する場合にはマスキングには一般にメタルマスクが
用いられる。
ときに必要なパターン形状以外の部分をマスキングする
方法である。第1の非絶縁層を真空成膜法を用いて積層
形成する場合にはマスキングには一般にメタルマスクが
用いられる。
【0006】第2の従来例は第1の非絶縁層の積層した
後で必要なパターン形状以外の部分をエッチングによっ
て取り除く方法である。この方法ではエッチングのとき
必要なパターンを残すために一般にレジスト膜が用いら
れる。したがって、第1の非絶縁層を積層する工程とエ
ッチング工程の間にレジスト膜を塗布する工程とそれを
描画する工程が必要である。
後で必要なパターン形状以外の部分をエッチングによっ
て取り除く方法である。この方法ではエッチングのとき
必要なパターンを残すために一般にレジスト膜が用いら
れる。したがって、第1の非絶縁層を積層する工程とエ
ッチング工程の間にレジスト膜を塗布する工程とそれを
描画する工程が必要である。
【0007】第3の従来例は下地薄膜を積層、パターニ
ングしてから第1の非絶縁層を積層する方法である。こ
の方法では、下地薄膜の有無によって第1の非絶縁層の
膜質が異なるように下地薄膜と第1の非絶縁薄膜の成長
条件を選択することによって、所望の膜質を有する第1
の非絶縁層が下地薄膜のパターン形状に応じた形状で積
層される。この方法を用いた具体的な例としては、たと
えば、T.Fujii,K.Sakuta,T.Awa
ji,K.Matsui,T.Hirano,Y.Og
awa and T.Kobayashi:Jpn.
J.Appl.Phys.31(1992)L612に
示されているように、MgO基板上にSiO薄膜を積
層、パターニングしてからYBCO薄膜を積層する例が
挙げられる。この例では、YBCO薄膜は、SiOが下
地として存在しない部分では超伝導体となり、また存在
する部分では絶縁体となる。したがって、超伝導体を得
たい部分のSiO下地薄膜を除去する形状にパターニン
グしてからYBCO薄膜を積層すると、YBCO超伝導
薄膜が積層形成と同時にパターニングされた状態で得ら
れる。この方法を用いるとパターン化された第1の非絶
縁層と層間絶縁膜を連続的に積層形成することが可能に
なる。
ングしてから第1の非絶縁層を積層する方法である。こ
の方法では、下地薄膜の有無によって第1の非絶縁層の
膜質が異なるように下地薄膜と第1の非絶縁薄膜の成長
条件を選択することによって、所望の膜質を有する第1
の非絶縁層が下地薄膜のパターン形状に応じた形状で積
層される。この方法を用いた具体的な例としては、たと
えば、T.Fujii,K.Sakuta,T.Awa
ji,K.Matsui,T.Hirano,Y.Og
awa and T.Kobayashi:Jpn.
J.Appl.Phys.31(1992)L612に
示されているように、MgO基板上にSiO薄膜を積
層、パターニングしてからYBCO薄膜を積層する例が
挙げられる。この例では、YBCO薄膜は、SiOが下
地として存在しない部分では超伝導体となり、また存在
する部分では絶縁体となる。したがって、超伝導体を得
たい部分のSiO下地薄膜を除去する形状にパターニン
グしてからYBCO薄膜を積層すると、YBCO超伝導
薄膜が積層形成と同時にパターニングされた状態で得ら
れる。この方法を用いるとパターン化された第1の非絶
縁層と層間絶縁膜を連続的に積層形成することが可能に
なる。
【0008】つづいて、以上に述べた第1から第3の従
来例とは注目点が異なる第4の従来例を述べる。第4の
従来例は、第1の非絶縁層と層間絶縁膜を連続的に積層
形成した後で層間絶縁膜、第1の非絶縁層をこの順番で
エッチングしてパターニングを行い、つづいて第1の非
絶縁層のパターンエッジ段差部に露出した部分をもう一
度絶縁体で被覆してから第2の非絶縁体を積層する方法
である。第1の非絶縁層のパターンエッジ段差部に露出
した部分をもう一度絶縁体で被覆する方法としては、絶
縁体を基板表面全体に積層形成してから被覆したい部分
以外の部分をフォトリソグラフィーによって除去する方
法が用いられる。また、これと類似した例として、第1
の非絶縁層、層間絶縁層、および第2の非絶縁層の3層
を連続的に積層形成した後で第2の非絶縁層、層間絶縁
層、第1の非絶縁層をこの順番でエッチングしてパター
ニングを行い、つづいて第1の非絶縁層のパターンエッ
ジ段差部に露出した部分をもう一度絶縁体で被覆してか
ら第2の非絶縁層に引き出し用の配線電極を取り付ける
方法もある。この方法は金属超伝導体ジョセフソン素子
を作製する方法としてよく用いられる。すなわち、第1
の非絶縁層と第2の非絶縁層に金属超伝導体を用いると
この方法はそのままジョセフソン素子の作製方法にな
り、金属超伝導体、層間絶縁膜、金属超伝導体の3層構
造が連続形成できるので、良好かつ安定な特性をもつジ
ョセフソン素子を作製することができる。
来例とは注目点が異なる第4の従来例を述べる。第4の
従来例は、第1の非絶縁層と層間絶縁膜を連続的に積層
形成した後で層間絶縁膜、第1の非絶縁層をこの順番で
エッチングしてパターニングを行い、つづいて第1の非
絶縁層のパターンエッジ段差部に露出した部分をもう一
度絶縁体で被覆してから第2の非絶縁体を積層する方法
である。第1の非絶縁層のパターンエッジ段差部に露出
した部分をもう一度絶縁体で被覆する方法としては、絶
縁体を基板表面全体に積層形成してから被覆したい部分
以外の部分をフォトリソグラフィーによって除去する方
法が用いられる。また、これと類似した例として、第1
の非絶縁層、層間絶縁層、および第2の非絶縁層の3層
を連続的に積層形成した後で第2の非絶縁層、層間絶縁
層、第1の非絶縁層をこの順番でエッチングしてパター
ニングを行い、つづいて第1の非絶縁層のパターンエッ
ジ段差部に露出した部分をもう一度絶縁体で被覆してか
ら第2の非絶縁層に引き出し用の配線電極を取り付ける
方法もある。この方法は金属超伝導体ジョセフソン素子
を作製する方法としてよく用いられる。すなわち、第1
の非絶縁層と第2の非絶縁層に金属超伝導体を用いると
この方法はそのままジョセフソン素子の作製方法にな
り、金属超伝導体、層間絶縁膜、金属超伝導体の3層構
造が連続形成できるので、良好かつ安定な特性をもつジ
ョセフソン素子を作製することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、以上に述べて
きた従来の技術には以下に述べる欠点があった。
きた従来の技術には以下に述べる欠点があった。
【0010】第1の従来例には複雑で微細なパターンを
形成することが難しいという問題がある。メタルマスク
を用いるマスキング方法では数10μmがパターン限界
であり、それより微細なパターンの形成は困難である。
形成することが難しいという問題がある。メタルマスク
を用いるマスキング方法では数10μmがパターン限界
であり、それより微細なパターンの形成は困難である。
【0011】第2の従来例には、第1の非絶縁層を積層
する工程と層間絶縁膜を積層する工程の間に他の工程が
入っているために、それら2層の連続積層形成が本質的
にできないこと、そしてまた第1の非絶縁層表面に汚染
や劣化が生じ易いことという問題がある。この問題は、
第1の非絶縁層、層間絶縁膜、第2の非絶縁層からなる
3層構造自身を機能性薄膜素子として用いる場合には特
に大きな欠点になる。たとえば、この従来例の方法を用
いて作製したジョセフソン素子は特性のバラツキが大き
く、再現性、信頼性、そして安定性に乏しいことは周知
の事実である。
する工程と層間絶縁膜を積層する工程の間に他の工程が
入っているために、それら2層の連続積層形成が本質的
にできないこと、そしてまた第1の非絶縁層表面に汚染
や劣化が生じ易いことという問題がある。この問題は、
第1の非絶縁層、層間絶縁膜、第2の非絶縁層からなる
3層構造自身を機能性薄膜素子として用いる場合には特
に大きな欠点になる。たとえば、この従来例の方法を用
いて作製したジョセフソン素子は特性のバラツキが大き
く、再現性、信頼性、そして安定性に乏しいことは周知
の事実である。
【0012】第3の従来例には、下地薄膜の積層、パタ
ーニングという工程が付加されて全体の工程が長くなる
という問題がある。また、下地薄膜のパターニングによ
り再露出した表面の状態は下地薄膜形成前の表面状態よ
り一般に荒れているので、後者を前者と同等の平坦かつ
清浄な状態に作り込むことが難しいという問題もある。
ーニングという工程が付加されて全体の工程が長くなる
という問題がある。また、下地薄膜のパターニングによ
り再露出した表面の状態は下地薄膜形成前の表面状態よ
り一般に荒れているので、後者を前者と同等の平坦かつ
清浄な状態に作り込むことが難しいという問題もある。
【0013】第4の従来例には、第1の非絶縁層のパタ
ーンエッジ段差部に露出した部分をもう一度絶縁体で被
覆するという工程が付加されるため全体のプロセスが長
くなるという問題がある。この工程は絶縁体の積層形成
とフォトエッチングからなる長い工程であるから、特に
大きな問題である。
ーンエッジ段差部に露出した部分をもう一度絶縁体で被
覆するという工程が付加されるため全体のプロセスが長
くなるという問題がある。この工程は絶縁体の積層形成
とフォトエッチングからなる長い工程であるから、特に
大きな問題である。
【0014】そこで本発明は、かかる問題点を取り除
き、特性が良好かつ安定でそのバラツキが少なく、短く
簡単な工程で製造できる薄膜素子とその製造方法を提供
するものである。
き、特性が良好かつ安定でそのバラツキが少なく、短く
簡単な工程で製造できる薄膜素子とその製造方法を提供
するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、基板上に、第
1の非絶縁層、層間絶縁膜、そして第2の非絶縁層がこ
の順番に積層され、第1の非絶縁層のパターンエッジ段
差部を第2の非絶縁層が被覆する構造を有する薄膜素子
において、該パターンエッジ段差部における第1の非絶
縁層と第2の非絶縁層は第1の非絶縁層のパターンエッ
ジ段差部に露出した部分を改質処理して得られた絶縁膜
によって互いに電気的に隔離されていることを特徴とす
る。また本発明は、第1の非絶縁層と層間絶縁膜を真空
成膜法を用いて真空中で連続的に積層形成し、次に層間
絶縁膜と第1の非絶縁層を連続エッチングにより同一形
状にパターニングし、該エッチングの後に第1の非絶縁
層のパターンエッジ段差部に露出した部分を改質処理に
よって絶縁化し、その後で第2の非絶縁層を形成してパ
ターニングすることを特徴とする。さらにまた本発明
は、第1の非絶縁層、層間絶縁膜、および第2の非絶縁
層を真空成膜法を用いて真空中で連続的に積層形成し、
次に第2の非絶縁層をパターン形成し、続いて層間絶縁
膜と第1の非絶縁膜を連続エッチングにより同一形状に
パターニングし、該エッチングの後に第1の非絶縁層の
パターンエッジ段差部に露出した部分を改質処理によっ
て絶縁化し、その後で第2の非絶縁層と電気的に接続す
る配線電極を形成してパターニングすることを特徴とす
る。また、必要に応じて、改質処理は、不活性ガス雰囲
気におけるプラズマ処理であること、第1の非絶縁層は
酸化物超伝導体であることを特徴とする。
1の非絶縁層、層間絶縁膜、そして第2の非絶縁層がこ
の順番に積層され、第1の非絶縁層のパターンエッジ段
差部を第2の非絶縁層が被覆する構造を有する薄膜素子
において、該パターンエッジ段差部における第1の非絶
縁層と第2の非絶縁層は第1の非絶縁層のパターンエッ
ジ段差部に露出した部分を改質処理して得られた絶縁膜
によって互いに電気的に隔離されていることを特徴とす
る。また本発明は、第1の非絶縁層と層間絶縁膜を真空
成膜法を用いて真空中で連続的に積層形成し、次に層間
絶縁膜と第1の非絶縁層を連続エッチングにより同一形
状にパターニングし、該エッチングの後に第1の非絶縁
層のパターンエッジ段差部に露出した部分を改質処理に
よって絶縁化し、その後で第2の非絶縁層を形成してパ
ターニングすることを特徴とする。さらにまた本発明
は、第1の非絶縁層、層間絶縁膜、および第2の非絶縁
層を真空成膜法を用いて真空中で連続的に積層形成し、
次に第2の非絶縁層をパターン形成し、続いて層間絶縁
膜と第1の非絶縁膜を連続エッチングにより同一形状に
パターニングし、該エッチングの後に第1の非絶縁層の
パターンエッジ段差部に露出した部分を改質処理によっ
て絶縁化し、その後で第2の非絶縁層と電気的に接続す
る配線電極を形成してパターニングすることを特徴とす
る。また、必要に応じて、改質処理は、不活性ガス雰囲
気におけるプラズマ処理であること、第1の非絶縁層は
酸化物超伝導体であることを特徴とする。
【0016】
【実施例】以下、本発明を実施例にもとづいて詳細に説
明する。
明する。
【0017】(実施例1)図1は、本発明の実施例1に
おける薄膜素子の製造工程を示す図である。図1の
(a)から(d)は各工程における断面構造を示してい
る。図1において、1は基板、2は超伝導薄膜、3は誘
電体薄膜、4はレジスト膜、5は段差部絶縁膜、そして
6は制御電極薄膜である。超伝導薄膜2は第1の非絶縁
層、誘電体薄膜3は層間絶縁膜、そして制御電極薄膜6
は第2の非絶縁層に対応する。
おける薄膜素子の製造工程を示す図である。図1の
(a)から(d)は各工程における断面構造を示してい
る。図1において、1は基板、2は超伝導薄膜、3は誘
電体薄膜、4はレジスト膜、5は段差部絶縁膜、そして
6は制御電極薄膜である。超伝導薄膜2は第1の非絶縁
層、誘電体薄膜3は層間絶縁膜、そして制御電極薄膜6
は第2の非絶縁層に対応する。
【0018】本実施例の薄膜素子の製造工程を図1を用
いて説明すると、次のとおりである。まず、基板1上に
MBEを用いて膜厚が10〜30nmの超伝導薄膜2を
形成する。この超伝導薄膜は薄膜素子においてはチャネ
ルとして機能する。超伝導薄膜2の材料はYBCO系酸
化物超伝導体であり、その臨界温度は90Kである。基
板1の材料はSTOであるが、超伝導薄膜との格子定数
整合性が良い材料でさえあればこれに限られるものでは
ない。超伝導薄膜形成に続いて、真空を破ることなく誘
電体薄膜3を連続して積層形成する。誘電体薄膜3の材
料はSTOであり、その膜厚は100〜500nmであ
る。以上までの工程によって図1の(a)に示す断面構
造が得られる。次にフォトリソグラフィーを用いて誘電
体薄膜3と超伝導薄膜2をエッチングする。なお、この
フォトリソグラフィーの工程はレジスト膜4の塗布工程
を含んでいる。エッチングの順番は、誘電体薄膜、超伝
導薄膜の順番に必然的になる。誘電体薄膜のエッチング
だけを行うこともプロセス的には可能であるが、本実施
例では両薄膜を連続的にエッチングして同一形状にパタ
ーニングした。次に、レジスト膜4を付けたままの状態
でプラズマ処理装置を用いて不活性ガスであるアルゴン
ガスの雰囲気中でプラズマ処理を行う。プラズマ処理に
より超伝導薄膜であるYBCOのパターンエッジ段差部
の露出した部分は酸素が還元されて絶縁化し、段差部絶
縁膜5になる。プラズマ処理においてレジスト膜4は誘
電体薄膜表面を保護する役割を果たす。絶縁化される膜
厚はプラズマの出力と時間によって制御することができ
る。本実施例ではその膜厚を500〜1000nmにな
るように設定した。なお、プラズマ処理にはアルゴンガ
ス以外の不活性ガスを用いることもできる。以上までの
工程によって図1の(b)に示す断面構造が得られる。
その後レジスト膜4を剥離してから、制御電極薄膜6の
形成とパターニングを行い、制御電極を得る。制御電極
薄膜6の材料はNiである。制御電極薄膜の材料は、そ
の仕事関数を通じて薄膜素子の特性を支配する因子の一
つになる。本実施例ではNiを選択したが、薄膜素子の
要求特性に応じて他の材料を選択してもよい。以上まで
の工程によって図1の(c)に示す断面構造が得られ
る。この構造が本実施例の薄膜素子の超伝導素子として
の本質的な構造である。ただし、薄膜素子を実際に駆動
させるためには、超伝導薄膜と外部との電気的接続をと
る必要がある。そこで、もう一度フォトリソグラフィー
を用いて誘電体薄膜のパターニングを行い、誘電体に表
面を被覆された超伝導薄膜の一部を露出させて、本実施
例の薄膜素子が完成する。図1の(d)は完成した薄膜
素子の断面構造である。
いて説明すると、次のとおりである。まず、基板1上に
MBEを用いて膜厚が10〜30nmの超伝導薄膜2を
形成する。この超伝導薄膜は薄膜素子においてはチャネ
ルとして機能する。超伝導薄膜2の材料はYBCO系酸
化物超伝導体であり、その臨界温度は90Kである。基
板1の材料はSTOであるが、超伝導薄膜との格子定数
整合性が良い材料でさえあればこれに限られるものでは
ない。超伝導薄膜形成に続いて、真空を破ることなく誘
電体薄膜3を連続して積層形成する。誘電体薄膜3の材
料はSTOであり、その膜厚は100〜500nmであ
る。以上までの工程によって図1の(a)に示す断面構
造が得られる。次にフォトリソグラフィーを用いて誘電
体薄膜3と超伝導薄膜2をエッチングする。なお、この
フォトリソグラフィーの工程はレジスト膜4の塗布工程
を含んでいる。エッチングの順番は、誘電体薄膜、超伝
導薄膜の順番に必然的になる。誘電体薄膜のエッチング
だけを行うこともプロセス的には可能であるが、本実施
例では両薄膜を連続的にエッチングして同一形状にパタ
ーニングした。次に、レジスト膜4を付けたままの状態
でプラズマ処理装置を用いて不活性ガスであるアルゴン
ガスの雰囲気中でプラズマ処理を行う。プラズマ処理に
より超伝導薄膜であるYBCOのパターンエッジ段差部
の露出した部分は酸素が還元されて絶縁化し、段差部絶
縁膜5になる。プラズマ処理においてレジスト膜4は誘
電体薄膜表面を保護する役割を果たす。絶縁化される膜
厚はプラズマの出力と時間によって制御することができ
る。本実施例ではその膜厚を500〜1000nmにな
るように設定した。なお、プラズマ処理にはアルゴンガ
ス以外の不活性ガスを用いることもできる。以上までの
工程によって図1の(b)に示す断面構造が得られる。
その後レジスト膜4を剥離してから、制御電極薄膜6の
形成とパターニングを行い、制御電極を得る。制御電極
薄膜6の材料はNiである。制御電極薄膜の材料は、そ
の仕事関数を通じて薄膜素子の特性を支配する因子の一
つになる。本実施例ではNiを選択したが、薄膜素子の
要求特性に応じて他の材料を選択してもよい。以上まで
の工程によって図1の(c)に示す断面構造が得られ
る。この構造が本実施例の薄膜素子の超伝導素子として
の本質的な構造である。ただし、薄膜素子を実際に駆動
させるためには、超伝導薄膜と外部との電気的接続をと
る必要がある。そこで、もう一度フォトリソグラフィー
を用いて誘電体薄膜のパターニングを行い、誘電体に表
面を被覆された超伝導薄膜の一部を露出させて、本実施
例の薄膜素子が完成する。図1の(d)は完成した薄膜
素子の断面構造である。
【0019】図2は、本発明の実施例1における薄膜素
子の平面図である。図2中の線分AA’に沿って薄膜素
子を切断すると、その断面は図1の(d)になる。図2
において、Sはソース、Dはドレイン、そしてGはゲー
トの各電極である。
子の平面図である。図2中の線分AA’に沿って薄膜素
子を切断すると、その断面は図1の(d)になる。図2
において、Sはソース、Dはドレイン、そしてGはゲー
トの各電極である。
【0020】以上によって得られた薄膜素子の電気特性
を測定した。測定は、ドレイン電流IDを流して制御電
極に制御電圧VGを印加したときのドレイン電圧VD を
測定する方法を用いた。測定温度は60Kである。図3
は、本発明の実施例における薄膜素子のI/V特性とそ
の制御電圧依存性の一例を示す図である。図3において
Icは薄膜素子の臨界電流値である。図3は、I/V特
性がSNS型のジョセフソン特性であり、それが制御電
圧によって変調されることを示している。
を測定した。測定は、ドレイン電流IDを流して制御電
極に制御電圧VGを印加したときのドレイン電圧VD を
測定する方法を用いた。測定温度は60Kである。図3
は、本発明の実施例における薄膜素子のI/V特性とそ
の制御電圧依存性の一例を示す図である。図3において
Icは薄膜素子の臨界電流値である。図3は、I/V特
性がSNS型のジョセフソン特性であり、それが制御電
圧によって変調されることを示している。
【0021】本実施例の薄膜素子を10個作製して、変
調特性とそのバラツキを評価した。変調特性の評価はド
レイン電圧VD が0Vおよび20mVにおける相互コン
ダクタンス(∂ID/∂VG)の平均値を用いて行い、ま
たバラツキの評価は相互コンダクタンスの標準偏差をそ
の平均値で割った量を用いて行った。その結果を比較の
ための従来例の結果とともに表1に示す。従来例は、超
伝導薄膜を形成後に大気中に取り出してパターニングを
行い、続いて誘電体薄膜と制御電極をこの順番で形成お
よびパターニングして作製した薄膜素子である。従来例
の材料および形状は実施例のそれらと同じである。比較
に用いた従来例の試料数は10個である。
調特性とそのバラツキを評価した。変調特性の評価はド
レイン電圧VD が0Vおよび20mVにおける相互コン
ダクタンス(∂ID/∂VG)の平均値を用いて行い、ま
たバラツキの評価は相互コンダクタンスの標準偏差をそ
の平均値で割った量を用いて行った。その結果を比較の
ための従来例の結果とともに表1に示す。従来例は、超
伝導薄膜を形成後に大気中に取り出してパターニングを
行い、続いて誘電体薄膜と制御電極をこの順番で形成お
よびパターニングして作製した薄膜素子である。従来例
の材料および形状は実施例のそれらと同じである。比較
に用いた従来例の試料数は10個である。
【0022】
【表1】
【0023】表1から次のことが結論できる。相互コン
ダクタンスの平均値については本実施例の方が従来例よ
り高く、本実施例の方が大きな変調が可能である。ま
た、標準偏差/平均値については本実施例の方が従来例
より小さく、本実施例の方が特性のバラツキは小さい。
すなわち、変調特性、特性均一性ともに本実施例の方が
従来例より優れている。このことは超伝導薄膜と誘電体
薄膜を真空中で連続形成したことによって清浄で安定し
た界面が薄膜間に得られたことに因るものである。
ダクタンスの平均値については本実施例の方が従来例よ
り高く、本実施例の方が大きな変調が可能である。ま
た、標準偏差/平均値については本実施例の方が従来例
より小さく、本実施例の方が特性のバラツキは小さい。
すなわち、変調特性、特性均一性ともに本実施例の方が
従来例より優れている。このことは超伝導薄膜と誘電体
薄膜を真空中で連続形成したことによって清浄で安定し
た界面が薄膜間に得られたことに因るものである。
【0024】本実施例は、先に述べた第4の従来例と比
較的類似しているように見える。しかし本実施例では、
チャネル段差部絶縁膜をプラズマ処理による表面改質を
用いて形成しているので、パターニングのためのフォト
リソグラフィー工程が不要である。したがって、本実施
例は第4の従来例と比較して全体の工程が短く簡単であ
る。
較的類似しているように見える。しかし本実施例では、
チャネル段差部絶縁膜をプラズマ処理による表面改質を
用いて形成しているので、パターニングのためのフォト
リソグラフィー工程が不要である。したがって、本実施
例は第4の従来例と比較して全体の工程が短く簡単であ
る。
【0025】(実施例2)図4は、本発明の実施例2に
おける薄膜素子の製造工程を示す図である。図4の
(a)から(d)は各工程における断面構造を示してい
る。図4において、1は基板、2は超伝導薄膜、3は誘
電体薄膜、4はレジスト膜、5は段差部絶縁膜、6は制
御電極薄膜、そして7は配線電極薄膜である。超伝導薄
膜2は第1の非絶縁層、誘電体薄膜3は層間絶縁膜、そ
して制御電極薄膜6は第2の非絶縁層に対応する。
おける薄膜素子の製造工程を示す図である。図4の
(a)から(d)は各工程における断面構造を示してい
る。図4において、1は基板、2は超伝導薄膜、3は誘
電体薄膜、4はレジスト膜、5は段差部絶縁膜、6は制
御電極薄膜、そして7は配線電極薄膜である。超伝導薄
膜2は第1の非絶縁層、誘電体薄膜3は層間絶縁膜、そ
して制御電極薄膜6は第2の非絶縁層に対応する。
【0026】本実施例の薄膜素子の製造工程を図4を用
いて説明すると、次のとおりである。まず、基板1上に
MBEを用いて膜厚が10〜30nmの超伝導薄膜2を
形成する。この超伝導薄膜は薄膜素子においてはチャネ
ルとして機能する。超伝導薄膜2の材料はYBCO系酸
化物超伝導体であり、その臨界温度は90Kである。基
板1の材料はSTOであるが、超伝導薄膜との格子定数
整合性が良い材料でさえあればこれに限られるものでは
ない。超伝導薄膜形成に続いて、真空を破ることなく誘
電体薄膜3と制御電極薄膜6をこの順番で連続的に積層
形成する。誘電体薄膜3の材料はSTOであり、その膜
厚は100〜500nmである。制御電極薄膜6の材料
はNiであるが、必要に応じて他の材料を選択してもよ
い。その選択基準は実施例1の場合と同様である。次に
フォトリソグラフィーを用いて制御電極薄膜6のパター
ニングを行い、制御電極を得る。以上までの工程によっ
て図4の(a)に示す断面構造が得られる。続いて、も
う一度フォトリソグラフィーを用いて誘電体薄膜3と超
伝導薄膜2をエッチングする。なお、このフォトリソグ
ラフィーの工程はレジスト膜4の塗布工程を含んでい
る。エッチングの順番は、誘電体薄膜、超伝導薄膜の順
番に必然的になる。誘電体薄膜のエッチングだけを行う
こともプロセス的には可能であるが、本実施例では両薄
膜を連続的にエッチングして同一形状にパターニングし
た。次に、レジスト膜4を付けたままの状態でプラズマ
処理装置を用いて不活性ガスであるアルゴンガスの雰囲
気中でプラズマ処理を行う。プラズマ処理により超伝導
薄膜であるYBCOのパターンエッジ段差部の露出した
部分は酸素が還元されて絶縁化し、段差部絶縁膜5にな
る。プラズマ処理においてレジスト膜4は制御電極表面
を保護する役割を果たす。絶縁化される膜厚はプラズマ
の出力と時間によって制御することができる。本実施例
ではその膜厚を500〜1000nmになるように設定
した。プラズマ処理には、実施例1と同様、アルゴンガ
ス以外の不活性ガスを用いることもできる。以上までの
工程によって図4の(b)に示す断面構造が得られる。
その後レジスト膜4を剥離してから、超伝導薄膜と外部
との電気的接続をとるための誘電体薄膜のパターニング
を行う。以上までの工程によって図4の(c)に示す断
面構造が得られる。その後、配線電極薄膜7を形成、パ
ターニングして配線電極を得る。本実施例では、誘電体
薄膜を超伝導薄膜と外部との電気的接続をとるために除
去した部分にも配線電極薄膜を残す形状にパターニング
を行った。これは、超伝導薄膜と外部との電気的な接続
特性を向上させるためである。なお、プラズマ処理によ
ってNiからなる制御電極のパターンエッジ段差部に露
出した部分も酸化されるが、このことは、配線電極が酸
化されていない制御電極表面と接続する構造になってい
るので、問題にはならない。以上によって本実施例の薄
膜素子を得る。図4の(d)は完成した薄膜素子の断面
構造である。
いて説明すると、次のとおりである。まず、基板1上に
MBEを用いて膜厚が10〜30nmの超伝導薄膜2を
形成する。この超伝導薄膜は薄膜素子においてはチャネ
ルとして機能する。超伝導薄膜2の材料はYBCO系酸
化物超伝導体であり、その臨界温度は90Kである。基
板1の材料はSTOであるが、超伝導薄膜との格子定数
整合性が良い材料でさえあればこれに限られるものでは
ない。超伝導薄膜形成に続いて、真空を破ることなく誘
電体薄膜3と制御電極薄膜6をこの順番で連続的に積層
形成する。誘電体薄膜3の材料はSTOであり、その膜
厚は100〜500nmである。制御電極薄膜6の材料
はNiであるが、必要に応じて他の材料を選択してもよ
い。その選択基準は実施例1の場合と同様である。次に
フォトリソグラフィーを用いて制御電極薄膜6のパター
ニングを行い、制御電極を得る。以上までの工程によっ
て図4の(a)に示す断面構造が得られる。続いて、も
う一度フォトリソグラフィーを用いて誘電体薄膜3と超
伝導薄膜2をエッチングする。なお、このフォトリソグ
ラフィーの工程はレジスト膜4の塗布工程を含んでい
る。エッチングの順番は、誘電体薄膜、超伝導薄膜の順
番に必然的になる。誘電体薄膜のエッチングだけを行う
こともプロセス的には可能であるが、本実施例では両薄
膜を連続的にエッチングして同一形状にパターニングし
た。次に、レジスト膜4を付けたままの状態でプラズマ
処理装置を用いて不活性ガスであるアルゴンガスの雰囲
気中でプラズマ処理を行う。プラズマ処理により超伝導
薄膜であるYBCOのパターンエッジ段差部の露出した
部分は酸素が還元されて絶縁化し、段差部絶縁膜5にな
る。プラズマ処理においてレジスト膜4は制御電極表面
を保護する役割を果たす。絶縁化される膜厚はプラズマ
の出力と時間によって制御することができる。本実施例
ではその膜厚を500〜1000nmになるように設定
した。プラズマ処理には、実施例1と同様、アルゴンガ
ス以外の不活性ガスを用いることもできる。以上までの
工程によって図4の(b)に示す断面構造が得られる。
その後レジスト膜4を剥離してから、超伝導薄膜と外部
との電気的接続をとるための誘電体薄膜のパターニング
を行う。以上までの工程によって図4の(c)に示す断
面構造が得られる。その後、配線電極薄膜7を形成、パ
ターニングして配線電極を得る。本実施例では、誘電体
薄膜を超伝導薄膜と外部との電気的接続をとるために除
去した部分にも配線電極薄膜を残す形状にパターニング
を行った。これは、超伝導薄膜と外部との電気的な接続
特性を向上させるためである。なお、プラズマ処理によ
ってNiからなる制御電極のパターンエッジ段差部に露
出した部分も酸化されるが、このことは、配線電極が酸
化されていない制御電極表面と接続する構造になってい
るので、問題にはならない。以上によって本実施例の薄
膜素子を得る。図4の(d)は完成した薄膜素子の断面
構造である。
【0027】図5は、本発明の実施例2における薄膜素
子の平面図である。図5中の線分BB’に沿って薄膜素
子を切断すると、その断面は図4の(d)になる。図5
において、Sはソース、Dはドレイン、そしてGはゲー
トの各電極である。
子の平面図である。図5中の線分BB’に沿って薄膜素
子を切断すると、その断面は図4の(d)になる。図5
において、Sはソース、Dはドレイン、そしてGはゲー
トの各電極である。
【0028】以上によって得られた薄膜素子の電気特性
を測定した。測定は、ドレイン電流IDを流して制御電
極に制御電圧VGを印加したときのドレイン電圧VD を
測定する方法を用いた。測定温度は60Kである。本発
明の実施例における薄膜素子のI/V特性とその制御電
圧依存性は、実施例1の場合と同様に図3に示される形
状の特性になった。すなわち、本実施例でもI/V特性
はSNS型のジョセフソン特性であり、制御電圧によっ
て変調される。
を測定した。測定は、ドレイン電流IDを流して制御電
極に制御電圧VGを印加したときのドレイン電圧VD を
測定する方法を用いた。測定温度は60Kである。本発
明の実施例における薄膜素子のI/V特性とその制御電
圧依存性は、実施例1の場合と同様に図3に示される形
状の特性になった。すなわち、本実施例でもI/V特性
はSNS型のジョセフソン特性であり、制御電圧によっ
て変調される。
【0029】本実施例の薄膜素子を10個作製して、そ
の特性とそのバラツキを評価した。評価方法は実施例1
の場合と同様であり、その評価結果を比較のための従来
例の結果とともに表2に示す。従来例は実施例1と同じ
ものである。
の特性とそのバラツキを評価した。評価方法は実施例1
の場合と同様であり、その評価結果を比較のための従来
例の結果とともに表2に示す。従来例は実施例1と同じ
ものである。
【0030】
【表2】
【0031】表2から次のことが結論できる。相互コン
ダクタンスの平均値については本実施例の方が従来例よ
り高く、本実施例の方が大きな変調が可能である。ま
た、標準偏差/平均値については本実施例の方が従来例
より小さく、本実施例の方が特性のバラツキは小さい。
すなわち、変調特性、特性均一性ともに本実施例の方が
従来例より優れている。このことは超伝導薄膜、誘電体
薄膜、および制御電極薄膜を真空中で連続形成したこと
によって清浄で安定な界面が各薄膜間に得られたことに
因るものである。
ダクタンスの平均値については本実施例の方が従来例よ
り高く、本実施例の方が大きな変調が可能である。ま
た、標準偏差/平均値については本実施例の方が従来例
より小さく、本実施例の方が特性のバラツキは小さい。
すなわち、変調特性、特性均一性ともに本実施例の方が
従来例より優れている。このことは超伝導薄膜、誘電体
薄膜、および制御電極薄膜を真空中で連続形成したこと
によって清浄で安定な界面が各薄膜間に得られたことに
因るものである。
【0032】本実施例は、実施例1と同様、第4の従来
例と比較して全体の工程が短く簡単であるという長所を
もつ。
例と比較して全体の工程が短く簡単であるという長所を
もつ。
【0033】ここで、本発明における実施例1と実施例
2を比較すると、以下に述べるようになる。表1と表2
の比較からわかるように、特性の観点からは実施例2の
方が実施例1よりも優れている。このような優劣が生じ
た理由は、制御電極薄膜を誘電体薄膜上に真空中で連続
形成したか否かの相違に因るものである。一方、図1と
図4の比較からわかるように、構造と工程の簡易性とい
う観点からは実施例1の方が実施例2よりも優れてい
る。このように実施例1と実施例2にはそれぞれ一長一
短がある。したがって、目的に応じて各々の長所を生か
せるように使い分けることが望ましい。
2を比較すると、以下に述べるようになる。表1と表2
の比較からわかるように、特性の観点からは実施例2の
方が実施例1よりも優れている。このような優劣が生じ
た理由は、制御電極薄膜を誘電体薄膜上に真空中で連続
形成したか否かの相違に因るものである。一方、図1と
図4の比較からわかるように、構造と工程の簡易性とい
う観点からは実施例1の方が実施例2よりも優れてい
る。このように実施例1と実施例2にはそれぞれ一長一
短がある。したがって、目的に応じて各々の長所を生か
せるように使い分けることが望ましい。
【0034】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明によれ
ば、基板上に、第1の非絶縁層、層間絶縁膜、そして第
2の非絶縁層がこの順番に積層され、第1の非絶縁層の
パターンエッジ段差部を第2の非絶縁層が被覆する構造
を有する薄膜素子において、第1の非絶縁層と層間絶縁
膜を真空成膜法を用いて真空中で連続的に積層形成し、
次に層間絶縁膜と第1の非絶縁層を連続エッチングによ
り同一形状にパターニングし、該エッチングの後に第1
の非絶縁層のパターンエッジ段差部に露出した部分を改
質処理によって絶縁化し、その後で第2の非絶縁層を形
成してパターニングする工程からなる製造方法、あるい
は、第1の非絶縁層、層間絶縁膜、および第2の非絶縁
層を真空成膜法を用いて真空中で連続的に積層形成し、
次に第2の非絶縁層をパターン形成し、続いて層間絶縁
膜と第1の非絶縁膜を連続エッチングにより同一形状に
パターニングし、該エッチングの後に第1の非絶縁層の
パターンエッジ段差部に露出した部分を改質処理によっ
て絶縁化し、その後で第2の非絶縁層と電気的に接続す
る配線電極を形成してパターニングする工程からなる製
造方法を用い、また必要に応じて、改質処理を、不活性
ガス雰囲気におけるプラズマ処理で行う工程を用いて、
パターンエッジ段差部における第1の非絶縁層と第2の
非絶縁層を第1の非絶縁層のパターンエッジ段差部に露
出した部分を改質処理して得られた絶縁膜によって互い
に電気的に隔離することによって、良好かつ安定な特性
をもち、そのバラツキが少ない薄膜素子を短く簡単な製
造工程により提供することができる。
ば、基板上に、第1の非絶縁層、層間絶縁膜、そして第
2の非絶縁層がこの順番に積層され、第1の非絶縁層の
パターンエッジ段差部を第2の非絶縁層が被覆する構造
を有する薄膜素子において、第1の非絶縁層と層間絶縁
膜を真空成膜法を用いて真空中で連続的に積層形成し、
次に層間絶縁膜と第1の非絶縁層を連続エッチングによ
り同一形状にパターニングし、該エッチングの後に第1
の非絶縁層のパターンエッジ段差部に露出した部分を改
質処理によって絶縁化し、その後で第2の非絶縁層を形
成してパターニングする工程からなる製造方法、あるい
は、第1の非絶縁層、層間絶縁膜、および第2の非絶縁
層を真空成膜法を用いて真空中で連続的に積層形成し、
次に第2の非絶縁層をパターン形成し、続いて層間絶縁
膜と第1の非絶縁膜を連続エッチングにより同一形状に
パターニングし、該エッチングの後に第1の非絶縁層の
パターンエッジ段差部に露出した部分を改質処理によっ
て絶縁化し、その後で第2の非絶縁層と電気的に接続す
る配線電極を形成してパターニングする工程からなる製
造方法を用い、また必要に応じて、改質処理を、不活性
ガス雰囲気におけるプラズマ処理で行う工程を用いて、
パターンエッジ段差部における第1の非絶縁層と第2の
非絶縁層を第1の非絶縁層のパターンエッジ段差部に露
出した部分を改質処理して得られた絶縁膜によって互い
に電気的に隔離することによって、良好かつ安定な特性
をもち、そのバラツキが少ない薄膜素子を短く簡単な製
造工程により提供することができる。
【0035】本発明を超伝導素子などのように良好な特
性とその再現性や安定性の確保のために厳しい界面特性
制御が要求される機能性素子に応用すれば、その効果は
特に大きい。
性とその再現性や安定性の確保のために厳しい界面特性
制御が要求される機能性素子に応用すれば、その効果は
特に大きい。
【図1】本発明の実施例1における薄膜素子の製造工程
を示す図。
を示す図。
【図2】本発明の実施例1における薄膜素子の平面図。
【図3】本発明の実施例における薄膜素子のI/V特性
とその制御電圧依存性の一例を示す図。
とその制御電圧依存性の一例を示す図。
【図4】本発明の実施例2における薄膜素子の製造工程
を示す図。
を示す図。
【図5】本発明の実施例2における薄膜素子の平面図。
1 基板 2 超伝導薄膜 3 誘電体薄膜 4 レジスト膜 5 段差部絶縁膜 6 制御電極薄膜 7 配線電極薄膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 下田 達也 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内
Claims (5)
- 【請求項1】 基板上に、第1の非絶縁層、層間絶縁
膜、そして第2の非絶縁層がこの順番に積層され、第1
の非絶縁層のパターンエッジ段差部を第2の非絶縁層が
被覆する構造を有する薄膜素子において、該パターンエ
ッジ段差部における第1の非絶縁層と第2の非絶縁層は
第1の非絶縁層のパターンエッジ段差部に露出した部分
を改質処理して得られた絶縁膜によって互いに電気的に
隔離されていることを特徴とする薄膜素子。 - 【請求項2】 第1の非絶縁層と層間絶縁膜を真空成膜
法を用いて真空中で連続的に積層形成し、次に層間絶縁
膜と第1の非絶縁層を連続エッチングにより同一形状に
パターニングし、該エッチングの後に第1の非絶縁層の
パターンエッジ段差部に露出した部分を改質処理によっ
て絶縁化し、その後で第2の非絶縁層を形成してパター
ニングすることを特徴とする薄膜素子の製造方法。 - 【請求項3】 第1の非絶縁層、層間絶縁膜、および第
2の非絶縁層を真空成膜法を用いて真空中で連続的に積
層形成し、次に第2の非絶縁層をパターン形成し、続い
て層間絶縁膜と第1の非絶縁膜を連続エッチングにより
同一形状にパターニングし、該エッチングの後に第1の
非絶縁層のパターンエッジ段差部に露出した部分を改質
処理によって絶縁化し、その後で第2の非絶縁層と電気
的に接続する配線電極を形成してパターニングすること
を特徴とする薄膜素子の製造方法。 - 【請求項4】 改質処理は、不活性ガス雰囲気における
プラズマ処理であることを特徴とする請求項2あるいは
3記載の薄膜素子の製造方法。 - 【請求項5】 第1の非絶縁層は酸化物超伝導体である
ことを特徴とする請求項1から4記載の薄膜素子あるい
はその製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5084847A JPH06302870A (ja) | 1993-04-12 | 1993-04-12 | 薄膜素子およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5084847A JPH06302870A (ja) | 1993-04-12 | 1993-04-12 | 薄膜素子およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06302870A true JPH06302870A (ja) | 1994-10-28 |
Family
ID=13842200
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5084847A Pending JPH06302870A (ja) | 1993-04-12 | 1993-04-12 | 薄膜素子およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06302870A (ja) |
-
1993
- 1993-04-12 JP JP5084847A patent/JPH06302870A/ja active Pending
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