JPH06302184A - 磁性薄膜メモリおよびその記録または再生方法 - Google Patents

磁性薄膜メモリおよびその記録または再生方法

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JPH06302184A
JPH06302184A JP5086175A JP8617593A JPH06302184A JP H06302184 A JPH06302184 A JP H06302184A JP 5086175 A JP5086175 A JP 5086175A JP 8617593 A JP8617593 A JP 8617593A JP H06302184 A JPH06302184 A JP H06302184A
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magnetic
magnetic layer
thin film
magnetic field
magnetization
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Application number
JP5086175A
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English (en)
Inventor
Tatsuya Fukami
達也 深見
Motohisa Taguchi
元久 田口
Yuji Kawano
裕司 川野
Kazuhiko Tsutsumi
和彦 堤
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 少なくとも2種の磁性層5a,5bが非磁性
層5cを介して交換結合相互作用により結合するように
積層されたMR磁性層5からなるメモリ素子。前記メモ
リ素子がマトリックス状に並べられて、縦または横方向
に並ぶメモリ素子がセンス線により直列に接続され、該
センス線と交差する方向に並ぶ前記メモリ素子の列に近
接してワード線が配列されることにより、ワード線とセ
ンス線の電流によりその交差部のメモリ素子に記録再生
が行われる磁性薄膜メモリが構成される。 【効果】 大きな振幅信号がえられ、SN比が大幅に向
上し、再生時のアクセス速度およびデータ転送速度を著
しく改善できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁化の向きによって情
報を記録する磁性薄膜メモリ、およびその記録再生方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】図12(a)は、たとえば「アイ・イー・
イー トランザクションズ オン マグネティックス(I
EE TRANSACTIONS ON MAGNETICS)」24巻6号、3117〜311
9頁(1988年)に示された磁性薄膜メモリの構成図、ま
た図12(b)はその1個の素子部分の断面図である。図
12(b)において1はMR(Magneto-Resistivity)磁性
層、2はセンス線、3はワード線、4は絶縁層を示す。
【0003】記録したい2ビット情報はMR磁性層1の
磁化方向(紙面内の上向きまたは下向き)として記録さ
れる。MR磁性層1の磁化容易軸は紙面内で上下方向に
なるように作製されている。またMR磁性層1は、F
e、Niおよび少量のCoから構成されている。
【0004】つぎにこのような記録が成される過程を具
体的に説明する。
【0005】たとえば、図12(a)においてメモリ素子
111にランダムアクセス記録を行いたいときには、セン
ス線とワード線のうちメモリ素子111を通るセンス線21
とワード線31に電流を流す。センス線21に流れる記録セ
ンス電流はメモリ素子111の位置で、紙面内の上下方向
の記録センス磁界を発生する。上向きか下向きかは、記
録センス電流を紙面内で左に流すか、右に流すかによっ
て決定される。他方、ワード線31に流れる記録ワード電
流はメモリ素子111の位置で左右方向の記録ワード磁界
を発生する。センス電流と異なり、流れる方向は一方向
でよい。たとえばその方向を記録ワード磁界が右向きに
なるようにとる。さて、メモリ素子111には記録センス
磁界と記録ワード磁界が印加される。そのときのメモリ
素子111の磁化状態の変化を図13に示す。
【0006】図13(a)は磁界印加前のMR磁性層の磁
化状態を示す。磁化印加前の磁化状態は上向きであって
も、下向きであってもあとの記録過程には無関係であ
る。センス線に電流を流して生じる記録センス磁界が上
向きのときには、図13(b)〜(d)のごとく、記録セ
ンス磁界82と記録ワード磁界83の合成磁界85は図13
(b)のように右上方向となり、磁化も右上を向く(同
図(c))。そして磁界を取り去ると(電流を止める
と)、磁界は容易軸方向である上方を向き、安定になる
(同図(d))。他方、記録センス磁界が下向きのとき
には、図13(e)〜(g)のごとく記録センス磁界82と
記録ワード磁界83の合成磁界85は(同図(e))のよう
に右下方向となり、磁化も右下を向く(同図(f))。
磁界を取り去ると磁化方向は下を向き、安定になる(同
図(g))。以上のように記録センス電流の向きを変え
ることで、上向きあるいは下向きの記録が可能である。
また、図12においてメモリ素子111以外にも磁界が印加
されるメモリ素子112、113・・・、121、131・・・があ
るが、これらには記録センス磁界か記録ワード磁界かの
どちらか一方のみしか印加されないため、磁化反転を起
こすには不十分であり、最初の記録状態を保持すること
ができる。逆に言えば、メモリ素子111の磁化方向のみ
が反転するような、記録センス電流や記録ワード電流の
適当な値を選べばよい。以上が記録の原理である。
【0007】つぎに再生の原理について述べる。たとえ
ば、メモリ素子111をランダムアクセス再生したいとき
には、図12においてセンス線21とワード線31とに電流を
流す。このとき、センス線21に流れる再生センス電流お
よびワード線31に流れる再生ワード電流は、それぞれメ
モリ素子111の位置に再生センス磁界、再生ワード磁界
を生じる。この再生センス磁界や再生ワード磁界は、記
録センス磁界や記録ワード磁界に比べて小さく設定する
ので、記録情報を壊すことはない。
【0008】これらの磁化によって行われる再生の様子
を図14を用いて説明する。図14(b)に示されるよう
に、再生センス磁界は82は上向き、再生ワード磁界83は
右向きになるように電流の方向を設定してあるので、合
成磁界85は右上向きとなる。合成磁界85の影響で上向き
の記録(図14(a))に対しては、磁化は右上方向にわ
ずかに傾く(同図(c))。一方、下向きの記録(同図
(e))に対しては、より大きな角度で磁化を傾ける
(同図(f))。そして磁界を取り去ると、いずれのば
あいにも磁化は元の記録状態に戻る(同図(d)および
(g))。ところで、図15に示すように、いわゆる異方
性MR効果における抵抗値Rは、センス電流方向と磁化
方向のなす角度をφとして、 R=R0(1+Δcos2φ) (ただし、R0は磁化方向が平行のときの抵抗、Δは物
質によって決まるMR係数)で与えられる。したがって
センス線の両端の抵抗を測定すると、図14(c)の磁化
方向はセンス電流となす角度が大きいため、磁界印加に
より小さな抵抗変化しか生じないが、同図(f)の磁化
方向はセンス電流となす角度が小さいため、大きな抵抗
変化を生じる。実際には、再生センス電流は一定値であ
り、センス線の両端の抵抗と電圧は比例するから、電圧
を測定する。
【0009】以上により、上向きの磁化に対しては小さ
な電圧変化を、下向きの磁化に対しては大きな電圧変化
を生じることがわかる。図12(a)に示すように、セン
ス線上には複数個のメモリ素子が直列につながっている
が、メモリ素子111以外の磁化は、再生ワード磁界が印
加されていないので抵抗変化はなく、再生には寄与しな
い。すなわちメモリ素子111のみが選択的に再生され
る。以上が再生の原理である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術において
は、MR磁性層の磁化方向と電流方向のなす角度によっ
て抵抗が変化する異方性MR効果を用いているため、抵
抗変化率は0.5%程度と極めて小さく、再生時のSN比
を充分に確保するためには、数μ秒程度のあいだ平均化
処理を行いSN比を向上させなければならない。このよ
うな長い時間の平均化処理は、再生時のアクセス速度お
よびデータ転送速度を大きく低下させ、その用途が制限
されるという問題がある。
【0011】本発明の目的はSN比を著しく向上させ、
再生時のアクセス速度およびデータ転送速度を著しく改
善した磁性薄膜メモリおよびその記録、再生方法を提供
することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の磁性薄膜メモリ
は、保磁力が大きい磁性材料と保磁力が小さい磁性材料
とからなる少なくとも2種類の磁性層が、非磁性層を介
して交換結合相互作用により結合するように積層されて
いることを特徴とする。
【0013】前記少なくとも2種類の磁性層が、外部磁
界が0のとき、2種類の磁性層の磁化方向が互いに平行
になるように結合されているか、または反平行になるよ
うに結合されている。
【0014】また、前記磁性層および非磁性層が良導体
からなることが、抵抗率の変化を大きくする上で好まし
い。
【0015】また、前記非磁性層はCuが主成分として
用いられることが、磁性層とフェルミエネルギー順位が
近く、密着性もよいため、磁性体との界面で隣接する磁
性層の磁化のなす角度によって抵抗の差が生じ易く好ま
しい。
【0016】本発明の磁性薄膜メモリは、前記メモリ素
子がマトリックス状に配列され、縦または横方向に並ぶ
該メモリ素子を直列に接続するセンス線と、該センス線
と交差する方向に並ぶ前記メモリ素子列に近接して設け
られるワード線とが具備されていることを特徴とする。
【0017】前記磁性薄膜メモリの前記メモリ素子の各
磁性層の磁化容易軸が前記センス線と平行になるように
前記メモリ素子が配列されることが、磁性層の保磁力が
小さくなって、記録や再生時の電流を小さくできるとい
う点から好ましい。
【0018】また、前記磁性薄膜メモリの前記メモリ素
子の各磁性層の磁化容易軸が前記ワード線と垂直になる
ように前記メモリ素子が配列されることが、ワード磁界
を効率よく利用でき、消費電力を小さくできるという点
から好ましい。
【0019】本発明の磁性薄膜メモリはまた、前記メモ
リ素子が帯状体として形成され、該帯状体が複数本平行
に配列され、該帯状体と交差するように近接してワード
線が複数本平行に設けられ、前記帯状体と前記ワード線
とが交差した部分以外の前記帯状体上にセンス線が接し
て設けられることにより、MR磁性層とセンス線の接続
の際の段差はなくなり、信頼性が向上すると共に電流は
抵抗の小さいセンス線を流れ特性は維持される。
【0020】本発明の磁性薄膜メモリの記録方法は、マ
トリックス状に配列された請求項1記載のメモリ素子
と、センス線と、ワード線とからなる磁性薄膜メモリに
おいて、ワード線とセンス線に電流を流し該電流により
生じる合成磁界により前記保磁力の大きい磁性層の磁化
方向を定め、前記ワード線の電流を流す方向を変えるこ
とにより“0”と“1”の状態を記録することを特徴と
する。
【0021】前記磁化の方向がセンス線を接続した方向
と実質的に平行な方向になるように記録することが、前
述のように記録時の電流を小さくできるという点から好
ましい。
【0022】また、前記磁化の方向がワード線の方向と
実質的に垂直な方向になるように記録することが、記録
ワード磁界を効率よく利用できるという点から好まし
い。
【0023】本発明の磁性薄膜メモリの再生方法は、マ
トリックス状に配列された請求項1記載のメモリ素子
と、センス線と、ワード線とからなる磁性薄膜メモリに
おいて、再生時のワード電流により生じる磁界により、
前記メモリ素子の保磁力の小さい磁性層のみの磁化方向
が反転することにより生じる抵抗変化を利用することを
特徴とする。
【0024】前記抵抗変化を、縦または横方向に並ぶメ
モリ素子を直列に接続するセンス線の両端で測定するこ
とが、同じ方法で異なるメモリ素子を順次測定できるた
め好ましい。
【0025】前記ワード電流により生じる磁界が、保磁
力の小さい磁性層の反転磁界より大きく、保磁力の大き
い磁性層の反転磁界より小さいことが、記録を壊すこと
なく確実に再生できるため好ましい。
【0026】
【作用】本発明の磁性薄膜メモリ素子によれば、保磁力
の大きい磁性層と保磁力の小さい磁性層とを非磁性層を
介して交換結合をしたMR磁性層をメモリ素子として用
いているため、再生磁界により保磁力の小さい磁性層の
磁化方向を変えることにより、磁性層と非磁性層の界面
で大きく変わる抵抗の変化を検出でき、高いSN比で確
実に再生することができる。すなわち、保磁力の大きい
磁性層と保磁力の小さい磁性層のあいだで磁化方向が互
いに平行の強磁性交換結合のときは、平行状態から反平
行状態に変ることにより10%程度の抵抗率が変化し、保
磁力の大きい磁性層と保磁力の小さい磁性層とのあいだ
で相互に磁化の方向が反対向きとなるように結合する反
強磁性交換結合のばあいには、20%程度の抵抗率が変化
する。
【0027】また、記録をするばあいは、ワード線とセ
ンス線により生じる合成磁界を保磁力の大きい磁性体の
保磁力以上になるようにすることにより記録でき、記録
ワード線の電流の向きを変えることにより“0”と
“1”を記録する。
【0028】
【実施例】図1(a)は本発明の磁性薄膜メモリ素子の
断面説明図、図1(b)は磁性薄膜メモリ素子のMR磁
性層の拡大断面図、図2は磁性薄膜メモリ素子がマトリ
ックス状に並べられて形成された磁性薄膜メモリの平面
説明図である。
【0029】図1において2〜4は図12と同じ部分を
示し、5はMR磁性層で図1(b)に示すように、保磁
力の小さい第1磁性層5aと保磁力の大きい第2磁性層
5bとが非磁性層5cを介在させて積層され、第1磁性
層5aと第2磁性層5cとがそれぞれ交換結合されたも
のである。保磁力の大きい第2磁性層5bとしてはたと
えば保磁力が10〜30Oe程度のものが使用され、その材
料としては通常FeCo100−x(0≦x≦50),N
(FeCo100−x100−y(0≦x≦50,0<
y≦20)などが用いられる。また保磁力の小さい第1磁
性層5aとしては、たとえば保磁力が第1磁性層の半分
程度以下のものが使用され、その材料としては通常Fe
80Ni20、Ni(FeCo100−x100−y(50≦
x≦90,0<y≦100)などが用いられる。しかしこれ
らの材料に限定されるものではなく、第1磁性層5aと
第2磁性層5bのあいだに保磁力の差があればよい。
【0030】非磁性層5cは第1磁性層5aと第2磁性
層5bとを交換結合させるもので、後述する理由により
良導体のものが好ましく、とくに銅を主成分とする非磁
性材料は磁性層とフェルミエネルギー準位が近く、密着
性もよいため、磁化方向が変わるときに界面で抵抗が生
じ易く、大きなMR比をうるのに好都合である。第1磁
性層5aと第2磁性層5bの交換結合は非磁性層5cの
厚さにより強磁性交換結合と反強磁性結合とが周期的に
繰り返される。すなわち、非磁性層がないばあいは強磁
性交換結合になり、反強磁性交換結合させるには非磁性
層5cの厚さが10Å程度、25Å程度など周期的に反強磁
性交換結合となる厚さが現れるが、厚くなるにつれて結
合力が低下する。
【0031】また、前記強磁性交換結合させるために
は、前記反強磁性結合と交互に周期的に現れるため、非
磁性層の厚さを前記反強磁性交換結合の現れる厚さの中
間程度にすると強磁性交換結合がえられる。ただし50Å
以上になると交換結合力が弱くなるため、それ以下が好
ましい。
【0032】前記各磁性層はそれぞれ10〜80Å程度に設
けられるのが好ましく、第1磁性層/非磁性層/第2磁
性層/非磁性層の組は40組以下、さらに好ましくは5〜
20組程度に設けられるのが好ましい。積層する組数は多
い程MR比が大きくなり好ましいが、余り多くするとM
R磁性層が厚くなり、電流を多く必要とするからであ
る。
【0033】前述の第1磁性層5aと第2磁性層5bと
の交換結合とは、保磁力の小さい第1磁性層5aが保磁
力の大きい第2磁性層5bに近接して配置されることに
より、保磁力の小さい第1磁性層5aの磁化の方向が保
磁力の大きい第2磁性層5bの磁化の方向により影響を
受けて第1磁性層の磁化方向が決められる相互作用をい
い、非磁性層を介して隣り合う磁性層の磁性を担う電子
のスピンが平行なときに系全体のエネルギーが低くなる
ように相互作用する強磁性的交換結合と、非磁性層を介
して隣り合う磁性層の電子スピンが相互に逆方向を向く
反平行のときに系全体のエネルギーが低くなるように相
互作用する反強磁性的交換結合とがある。
【0034】本発明では、交換結合したMR磁性層が平
行状態から反平行状態になると抵抗が顕著に増大し、反
平行状態から平行状態になると抵抗が顕著に減少すると
いう巨大MR効果を利用している。すなわち、巨大MR
効果とは、非磁性層を介して隣接する磁性層の相対磁化
方向が、平行か反平行かによって抵抗が異なる現象で、
異方性MR効果と異なり磁化方向と電流方向とには依存
しない。さらに、巨大MR効果は、異方性MR効果に比
べて著しく大きな抵抗変化を示す。たとえば、本実施例
で用いる素子では、第1磁性層の磁化方向と第2磁性層
の磁化方向が平行のときの抵抗率ρと反平行のときの
抵抗率ρは大きく異なり、(ρ−ρ)/ρが強
磁性的交換結合では10%、反強磁性的交換結合では20%
の変化が現れる。したがって、抵抗率変化(ρ
ρ)/ρは、磁性層と非磁性層の組合せが重要な決
定要因になる。この式よりρが小さい程抵抗率変化は
大きくなるため、ρが小さい程好ましい。すなわち、
磁性層も非磁性層も抵抗率が、たとえば室温で10-4Ωc
m程度以下の小さな材料である良導体が選択されるべき
である。
【0035】前述の磁性薄膜メモリ素子をたとえば図2
に示すように、マトリックス状に配列し、横方向に並ぶ
各メモリ素子をセンス線21、22、23で接続し、縦方向に
並ぶ各メモリ素子の磁性層上にワード線31、32、33が配
線されて磁性薄膜メモリが構成されている。MR磁性層
5は磁化の方向が揃い易い方向である磁化容易軸を有
し、各メモリ素子の磁化容易軸はセンス線の方向でもワ
ード線の方向でも各メモリ素子で揃っていればよいが、
本実施例では磁化容易軸をセンス線の方向に合わせてい
る。
【0036】磁化容易軸をセンス線の方向と実質的に平
行にすることにより、磁性層の保磁力が小さくなり、記
録や再生時に電流が小さくて済むため好ましい。また図
2に示す実施例ではワード線はセンス線にほぼ直角方向
に設けられているが、必ずしも直角方向でなくても、交
差する方向であればよい。しかし磁化容易軸はワード線
と実質的に直角方向であることが、ワード線により生じ
る磁界を効率よく利用することができるため、消費電力
を小さくする点から好ましい。
【0037】つぎに、強磁性交換結合と反強磁性交換結
合の例により記録方法および再生方法について詳細に説
明する。
【0038】[実施例1]MR磁性層5の第1磁性層5
aとしてNi80Fe20、第2磁性層5bとしてNi80
15Co5、非磁性層5cとしてCuを用い、第1磁性
層5a(35Å)/非磁性層5c(35Å)/第2磁性層5
b(50Å)/非磁性層5c(35Å)の4層を1周期と
し、全体として10周期積層したものを用いた。また第1
磁性層5aと第2磁性層5bは共に強い磁気異方性を有
し、その磁化容易軸はセンス線と平行になるように作製
し、1本のセンス線上には8個のメモリ素子を直列に配
列した。
【0039】このメモリ素子のMR磁性層5の磁化ルー
プ(VSMループ)を図3(a)に示す。磁界は磁化容
易軸方向に印加して測定している。図3(a)におい
て、横軸は印加磁界で縦軸は磁気モーメントを示し、磁
性体のヒステリシス曲線を示しているが、本実施例では
保磁力の小さい第1磁性層5aと保磁力の大きい第2磁
性層5bとを非磁性層5cを介して交換結合させている
ため、保磁力の小さい第1磁性層5aの磁化の反転が第
2磁性層5bの影響を受けて遅れが生じている。すなわ
ち、保磁力が約20Oeの第2磁性層5bは20Oe以上の
磁界の印加により磁化方向が右向き(保磁力の弱い第1
磁性層5aも右向き)になり、両層の磁化方向は右向き
で揃い、“1”の状態となる(図3の)その状態から
印加磁界を弱くしていくと、印加磁界が0になってもそ
の状態が維持され、さらに負(逆方向)の磁界を印加す
ると、約−9Oe以下(負の絶対値が大)の印加磁界で
第1磁性層5aの磁化方向が反転し、両層の磁化方向は
逆向きの反平行になる(図3の)。第1磁性層5aの
保磁力は約4Oeであるため、本来−4Oeで反転する
のであるが、第2磁性層5bと強磁性交換結合をしてい
るため、約5Oeシフトしている。この状態で印加磁界
を戻して大きく(負の絶対値を小さく)すると、第1磁
性層5aのヒステリシスのため−1Oeまで反平行の状
態を維持し、小ループAを描く。さらに印加磁界を負の
方向に大きくすると−20Oe以下(負の絶対値が大)で
第2磁性層5bの磁化方向も反転し、両層共に左向きの
平行となり、“0”の状態になる(図3の)。この状
態から印加磁界を+側に大きくしていくと、磁性層のヒ
ステリシスにより印加磁界が0でもの状態を維持し、
9Oeになって第1磁性層5aの磁化が右向きに反転す
る。第2磁性層5bはまだ反転しないため、第1磁性層
5aが右向き、第2磁性層5bが左向きの反平行の状態
になる(図3の)。この状態で印加磁界を小さくする
と、第1磁性層5aのヒステリシスにより、前述と同様
の小ループBを描く。さらに印加磁界を大きくして20O
e以上になると第2磁性層5bも磁化の方向が反転して
最初のの状態“1”になる。
【0040】前述のように両磁性層5a,5bの磁化方
向が反平行のときMR磁性層の抵抗が増大するが、その
様子を図3(b)に示す。図3(b)において、記録状
態が“0”(図3(a)の)のときプラスの印加磁界
を大きくしていくと9Oeで抵抗が大きくなり、20Oe
以上になると抵抗は元に戻る。印加磁界が9Oe以上20
Oe未満の状態から9Oeより下げると1Oeで抵抗が
下がり元に戻る(図3(a)の小ループBによる)。ま
た“1”の状態で負の磁界を印加すると、−9Oe以下
(負の絶対値が大)の磁界で抵抗が増大し、−20Oe以
下(負の絶対値が大)で抵抗は元に戻る。したがって、
たとえば9〜20Oeの磁界を印加したとき、MR磁性層
5の抵抗変化(センス線2の両端電圧などにより測定で
きる)が生じれば、“0”の記録状態、抵抗変化が生じ
なければ“1”の記録状態であることがわかる。
【0041】つぎに、この磁性薄膜メモリの記録方法お
よび再生方法ついて具体的に説明する。
【0042】図2に示す磁性薄膜メモリのメモリ素子51
1にたとえば、ランダムアクセス記録を行うときは、セ
ンス線21とワード線31とに電流を流す。ワード線31に流
れる記録ワード電流はメモリ素子511の位置で左右方向
の記録ワード磁界約16Oeを発生する。左向きか右向き
かは、記録ワード電流を紙面内で上方に流す(左向き)
か、下向きに流す(右向き)かによって決定される。他
方、センス線21に流れる記録センス電流はメモリ素子51
1の位置で上下方向の記録センス磁界約8Oeを発生す
る。ワード電流と異なり、流れる方向は一方向でよい。
たとえばその方向を記録センス磁界が上向きになるよう
にとる。
【0043】メモリ素子511に記録センス磁界と記録ワ
ード磁界が印加されたときのMR磁性層5の磁化状態の
変化を図4に示す。
【0044】本実施例では、第1磁性層5aと第2磁性
層5bを強磁性交換結合にしているため、第1磁性層5
aおよび第2磁性層5bの磁化方向は同一方向を向いて
いる。いま、磁界印加前の磁化状態(図4(a))は左
向きであっても右向きであってもあとの記録過程には無
関係である。記録ワード磁界83が図4(b)に示すよう
に左向きのときには、記録センス磁界82と記録ワード磁
界83の合成磁界85は図4(b)のように左上方向であ
る。このとき、第1、2両磁性層5a,5bの磁化も左
上を向く(図4(c))。そして磁界を取り去ると(電
流を止めると)、両層5a,5bの磁化は磁化容易軸方
向である左を向き、安定になり、“0”の状態が記録さ
れる(図4(d))。他方、記録ワード磁界が右向きの
ときには、記録センス磁界82と記録ワード磁化83との合
成磁界85は図4(e)のように右上方向である。このと
きには、第1、第2両磁性層5a,5bも右上を向き
(図4(f))、磁界を取り去ると両層5a,5bの磁
化方向は右を向き、安定になり、“1”の状態が記録さ
れる(図4(g))。以上のように記録ワード電流の向
きを記録したい2ビット情報に応じて変えることで、左
向き(たとえば“0”)または右向き(たとえば
“1”)の記録ができる。すなわち、記録する磁化の向
きはセンス線と実質的に平行な方向で、この方向にする
ことにより、磁性層の保磁力が小さくなり、記録時の電
流を小さくできる。またワード線と実質的に垂直方向に
磁化の方向を記録することにより、記録ワード磁界を効
率よく利用できる。また、図2に示される磁性薄膜メモ
リにおいてメモリ素子511以外にも磁界が印加されるメ
モリ素子があるが、これらには記録センス磁界か記録ワ
ード磁界のどちらか一方のみしか印加されないため、磁
化反転を起こすには不充分であり、磁界の印加時には磁
化が少し傾くことはあっても、磁界を取り去れば最初の
記録状態に戻る。以上が記録方法の原理である。
【0045】つぎに再生方法の原理について述べる。た
とえば、メモリ素子511をランダムアクセス再生したい
ときには、センス線21とワード線31に電流を流す。この
とき、センス線21に流れる再生センス電流およびワード
線31に流れる再生ワード電流は、それぞれメモリ素子51
1の位置に再生センス磁界、再生ワード磁界を生じる
が、再生センス電流を充分小さく設定してあるため、再
生センス磁界は充分に小さく、ここでは問題にしなくて
もよい。また再生ワード磁界も約10(Oe)と、記録セ
ンス磁界と記録ワード磁界との合成磁界に比べて充分小
さく設定してあるため、記録情報を壊すことはない。す
なわち第1磁性層5aの磁化方向が反転しても、第2磁
性層5bの磁化方向は反転しないため、後述するように
情報は壊れない。
【0046】これらの磁界によって行われる再生の様子
を図5を用いて説明する。図5に示されているように、
再生ワード磁界83は右向き(図5(b)参照)に設定す
る。左向きの記録(図5(a)参照)に対しては、第1
磁性層5aの磁化は右向きに反転する(図5(c)参
照)。そしてセンス線の両端の電圧を観測しておけば、
電圧変化は抵抗変化に比例するので、抵抗変化を知るこ
とができる。再生ワード磁界を取り去ると、第1磁性層
5aの磁化は、第2磁性層5bからの交換結合力により
左向きに戻り、図3から明らかなように、左向きの平行
状態になる(図5(d)参照)。一方、右向きの記録
(図5(e)参照)に対しては、図3のの状態で磁化
方向の反転は起らず(図5(f)参照)、もちろんセン
ス線上で電圧変化は観測されない。以上より、左向きの
磁化に対してのみ、大きな電圧変化を生じ、“0”と
“1”を判別することができる。図2に示すように、セ
ンス線上には複数個のメモリ素子が直列に接続されてい
るが、メモリ素子511以外の磁化は、再生ワード磁界が
印加されていないので、抵抗変化はなく、再生には寄与
しない。すなわちメモリ素子511のみが選択的に再生さ
れる。以上が再生方法の原理である。
【0047】前記実施例1においては、再生ワード磁界
を約10Oeで行ったが、再生ワード電流(すなわち再生
ワード磁界)を変化させて、センス線の両端での電圧変
化を調べた結果を図6に示すように、再生ワード磁界が
約9Oe以上、20Oe以下で大きな電圧変化が発生す
る。これは図3から明らかなように、第2磁性層5bの
磁化方向は反転せず、第1磁性層5aの磁化方向のみが
反転し、隣り合う磁性層の磁化が反平行になったときに
抵抗の変化が起こるためである。すなわち、一般的には
再生ワード磁界としてはつぎの条件を満たすように再生
ワード電流を設定すればよい。
【0048】第1磁性層5aの反転磁界<再生ワード磁
界<第2磁性層5bの反転磁界 [実施例2]前述のように、非磁性層の膜厚に依存し
て、隣り合う磁性層が強磁性または反強磁性に交換結合
することが知られている。実施例1では隣り合う磁性層
が強磁性に結合した例を示したが、本実施例においては
反強磁性に結合した例を示す。
【0049】非磁性層(Cu層)の膜厚のみを25Åに変
えたほかは実施例1と同様のメモリ素子を作製した。す
なわちMR磁性層は第1磁性層としてNi80Fe20、第
2磁性層としてNi80Fe15Co5 、非磁性層として
Cuを用い、第1磁性層(35Å)/非磁性層(25Å)/
第2磁性層(50Å)/非磁性層(25Å)を1周期とし、
全体として10周期積層した。また第1磁性層と第2磁性
層の磁化容易軸は、センス線と平行になるように作製
し、1本のセンス線上には8個のメモリ素子を直列に配
列した。
【0050】本実施例で用いたMR磁性層では、第1磁
性層の磁化方向と第2磁性層の磁化方向が同じ方向であ
る平行のときの抵抗率ρと、反対方向である反平行の
ときの抵抗率ρは、Cu層を薄くしたことにより、反
強磁性結合となり、実施例1とは大きく異なり、 (ρ−ρ)/ρ=0.2 の関係になった。すなわちMR効率は20%もある。
【0051】この人工格子膜の磁化ループ(VSMルー
プ)およびMRループを図7に示す。図7は実施例1で
示した図3と同様の図であるが、本実施例では反強磁性
交換結合であるため、第1磁性層5aのヒステリシスで
ある小ループAが磁界の零点から+側に約10Oeシフト
している。すなわち、5〜15Oeの範囲で小ループAを
形成している。第2磁性層5bの磁化方向は約28Oeで
反転している。また図7(b)に示されるMRループも
磁界が磁化容易軸方向に印加された状態で測定してい
る。実施例1のばあいと異なり、磁界が0のときに第1
磁性層5aの磁化方向と第2磁性層5bの磁化方向は反
平行になっている。したがって記録状態は、第1磁性層
5aの磁化方向が右を向き、第2磁性層5bの磁化方向
が左を向いた状態“0”と、第1磁性層5aの磁化方向
が左を向き、第2磁性層5bの磁化方向が右を向いた状
態“1”の2通りで記録される。
【0052】つぎにこのような反強磁性に交換結合され
た磁性薄膜メモリに記録する方法について具体的に説明
する。
【0053】たとえば、図2においてメモリ素子511に
ランダムアクセス記録を行うときには、ワード線31とセ
ンス線21に電流を流す。ワード線31に流れる記録ワード
電流はメモリ素子511の位置で左右方向の記録ワード磁
界約23Oeを発生する。左向きか右向きかは、記録ワー
ド電流を紙面内の上向きに流すか、下向きに流すかによ
って決定される。他方、センス線21に流れる記録センス
電流はメモリ素子511の位置で上下方向の記録センス磁
界約12Oeを発生させる。ワード電流と異なり、流れる
方向は一方向でよい。たとえばその方向を記録センス磁
界が上向きになるようにとる。メモリ素子511に記録セ
ンス磁界と記録ワード磁界が印加されるときのMR磁性
層の磁化状態の変化を図8に示す。
【0054】図8において、磁界印加前の磁化状態は第
2磁性層5bの磁化方向(図8において上側の矢印)が
左向きであっても、右向きであっても(第1磁性層の磁
化状態は反強磁性結合のため、反対方向になる)、あと
の記録過程には無関係である。記録ワード磁界83が左向
きのときには、記録センス磁界82と記録ワード磁界83の
合成磁界85は図8(b)のように左上方向である。この
とき、第1、2両磁性層5a,5bの磁化も左上を向く
(図8(c)参照)。そして磁界を取り去ると(電流を
止めると)、第2磁性層5bの磁化は磁化容易軸方向で
ある左向きになり、保磁力の小さな第1磁性層5aの磁
化は反強磁性交換結合によって右方向を向き安定になる
(図8(d)参照)。他方、記録ワード磁界が右向きの
ときは、記録センス磁界と記録ワード磁界との合成磁界
は図8(e)に示すように、右上方向になる。このとき
には、両磁性層5a,5bの磁化も右上を向き(図8
(f)参照)、磁界を取り去ると反強磁性交換結合によ
り、第1磁性層5aの磁化は左向きに安定になる(図8
(g)参照)。以上のように記録ワード電流の向きを記
録したい2ビット情報に応じて変えることにより、第2
磁性層5bが左向きまたは右向きの記録をすることがで
きる。この記録する磁化の方向がセンス線と実質的に平
行な方向やワード線と実質的に垂直な方向になるように
するのが好ましいのは実施例1と同じである。また、メ
モリ素子511以外にも磁界が印加されるメモリ素子があ
るが、これらには記録センス磁界か記録ワード磁界かの
どちらか一方のみしか印加されないため、磁化反転を起
こすには不充分であり、磁界印加時には磁化が少し傾く
ことはあっても、磁界を取り去れば最初の記録状態に戻
る。以上が記録の原理である。
【0055】つぎに再生方法について説明する。
【0056】たとえば、図2においてメモリ素子511を
ランダムアクセス再生するときは、センス線21とワード
線31に電流を流す。このとき、センス線21に流れる再生
センス電流およびワード線31に流れる再生ワード電流
は、それぞれメモリ素子511の位置に再生センス磁界、
再生ワード磁界を生じるが、再生センス磁界は充分に小
さく、ここでは問題にしなくてもよい。また再生ワード
磁界も約10Oeと、記録センス磁界と記録ワード磁界の
合成磁界に比べて小さく設定してあるため、記録情報を
壊すことはない。これらの磁界によって行われる再生の
様子を図9を用いて説明する。
【0057】図9に示されるように、再生ワード磁界83
は右向き(図9(b)参照)に設定してある。第1磁性
層5aの磁化方向が左向きの記録(図9(a)参照)に
対しては、第1磁性層5aの磁化は右向きに反転し平行
となる(図9(c)参照)。そしてセンス線の両端の電
圧を観測しておけば電圧変化は抵抗変化に比例するの
で、抵抗変化を観測できる。再生ワード磁界を取り去る
と、図7から明らかなように、第1磁性層5aの磁化
は、第2磁性層からの反強磁性的な交換結合力により左
向きに戻る(図9(d)参照)。一方、第1磁性層5a
が右向きの記録(図9(e)参照)に対しては、磁化方
向の反転は起こらず(図9(f)参照)、もちろんセン
ス線上で電圧変化は観測されない。以上より、第1磁性
層5aが左向きの磁化に対してのみ、大きな電圧変化を
生じ、“0”と“1”を判別することができる。図2に
示すように、センス線21上には複数個のメモリ素子が直
列につながっているがメモリ素子511以外の磁化は、再
生ワード磁界が印加されていないので、抵抗変化はなく
再生には寄与しない。すなわちメモリ素子511のみが選
択的に再生される。以上が再生方法の原理である。
【0058】前記実施例2においては、再生ワード磁界
を約10Oeで行ったが、再生ワード電流(すなわち再生
ワード磁界)を変化させて、センス線の両端での電圧変
化を調べた結果を図10に示すように、再生ワード磁界が
約17Oe以上、28Oe以下で大きな電圧変化を観測し
た。これは図7から明らかなように、第2磁性層5bの
磁化は反転せず、第1磁性層5aの磁化のみが反転し、
隣り合う磁性層の磁化が平行になったときに抵抗の変化
が起こるためである。すなわち、一般的には再生ワード
磁界としてはつぎの条件を満たすように再生ワード電流
を設定すればよい。
【0059】第1磁性層5aの反転磁界<再生ワード磁
界<第2磁性層5bの反転磁界 [実施例3]図11は本発明の磁性薄膜メモリの他の実施
例を示す構成図である。本実施例では、メモリ素子のM
R磁性層5がメモリ素子部だけに四角形状にパターニン
グされるのではなく、帯状にパターニングされている。
しかし図11(b)にメモリ素子の断面図を示すように、
各メモリ素子間のセンス線2をMR磁性層5よりも導電
率の大きな良導体で形成し、かつ、膜厚を厚くすること
により、センス線2がある部分はほとんどの電流が抵抗
値のより小さいセンス線2を流れる。したがって、再生
時にはセンス線2の抵抗が大きくなることがなく、従来
の四角形状にパターニングしたのと同等の特性がえらえ
る。またこのような構成にすることにより、センス線2
とMR磁性層5との接続がしやすく、さらに接続の際の
段差が生じないなどのプロセス上の利点もある。
【0060】
【発明の効果】本発明の磁性薄膜メモリによれば、巨大
MR効果を示すMR磁性層を用いているので、大きな信
号振幅がえられ、SN比が大幅に向上する。その結果、
データの平均化操作も不要となり、再生時のアクセス速
度およびデータ転送速度を著しく向上でき、幅広い分野
で使用できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁性薄膜メモリ素子の一実施例を示す
断面説明図である。
【図2】本発明の磁性薄膜メモリの一実施例を示す構成
図である。
【図3】(a)は実施例1の強磁性結合をしたMR磁性
層の磁化ループ(VSMループ)を示す図、(b)は同
じくMRループを示す図である。
【図4】実施例1の強磁性結合をしたMR磁性層の記録
時の磁化状態の変化を示す図である。
【図5】実施例1の強磁性結合をしたMR磁性層の再生
時の磁化状態の変化を示す図である。
【図6】実施例1の再生ワード磁界に対する強磁性結合
をしたMR磁性層の電圧変化を示す図である。
【図7】(a)は実施例2の反強磁性結合をしたMR磁
性層の磁化ループ(VSMループ)を示す図、(b)は
同じくMRループを示す図である。
【図8】実施例2の反強磁性結合をしたMR磁性層の記
録時の磁化状態の変化を示す図である。
【図9】実施例2の反強磁性結合をしたMR磁性層の再
生時の磁化状態の変化を示す図である。
【図10】実施例2の再生ワード磁界に対する反強磁性
結合をしたMR磁性層の電圧変化を示す図である。
【図11】(a)は本発明の磁性薄膜メモリの他の実施
例を示す構成図、(b)はそのメモリ素子の断面説明図
である。
【図12】従来の磁性薄膜メモリの一例を示す構成図で
ある。
【図13】従来例における記録時のMR磁性層の磁化状
態の変化を示す図である。
【図14】従来例における再生時のMR磁性層の磁化状
態の変化を示す図である。
【図15】異方性MR効果の説明図である。
【符号の説明】 511 メモリ素子 512 メモリ素子 513 メモリ素子 521 メモリ素子 532 メモリ素子 2 センス線 3 ワード線 5 MR磁性層 5a 第1磁性層 5b 第2磁性層 5c 非磁性層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堤 和彦 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機 株式会社材料デバイス研究所内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 保磁力が大きい磁性材料と保磁力が小さ
    い磁性材料とからなる少なくとも2種類の磁性層が、非
    磁性層を介して交換結合相互作用により結合するように
    積層されてなる磁性薄膜メモリ素子。
  2. 【請求項2】 前記少なくとも2種類の磁性層が、外部
    磁界が0のとき、2種類の磁性層の磁化方向が互いに平
    行になるように結合されてなる請求項1記載の磁性薄膜
    メモリ素子。
  3. 【請求項3】 前記少なくとも2種類の磁性層が、外部
    磁界が0のとき、2種類の磁性層の磁化方向が互いに反
    平行になるように結合されてなる請求項1記載の磁性薄
    膜メモリ素子。
  4. 【請求項4】 前記磁性層および非磁性層が良導体から
    なる請求項1、2または3記載の磁性薄膜メモリ素子。
  5. 【請求項5】 前記非磁性層はCuが主成分として用い
    られてなる請求項1記載の磁性薄膜メモリ素子。
  6. 【請求項6】 請求項1記載のメモリ素子がマトリック
    ス状に配列され、縦または横方向に並ぶ該メモリ素子を
    直列に接続するセンス線と、該センス線と交差する方向
    に並ぶ前記メモリ素子列に近接して設けられるワード線
    とが具備されてなる磁性薄膜メモリ。
  7. 【請求項7】 前記メモリ素子の各磁性層の磁化容易軸
    が前記センス線と平行になるように前記メモリ素子が配
    列されてなる請求項6記載の磁性薄膜メモリ。
  8. 【請求項8】 前記メモリ素子の各磁性層の磁化容易軸
    が前記ワード線と垂直になるように前記メモリ素子が配
    列されてなる請求項6記載の磁性薄膜メモリ。
  9. 【請求項9】 請求項1記載のメモリ素子が帯状体とし
    て形成され、該帯状体が複数本平行に配列され、該帯状
    体と交差するように近接してワード線が複数本平行に設
    けられ、前記帯状体と前記ワード線とが交差した部分以
    外の前記帯状体上にセンス線が接して設けられてなる磁
    性薄膜メモリ。
  10. 【請求項10】 マトリックス状に配列された請求項1
    記載のメモリ素子と、センス線と、ワード線とからなる
    磁性薄膜メモリにおいて、ワード線とセンス線に電流を
    流し該電流により生じる合成磁界により前記保磁力の大
    きい磁性層の磁化方向を定め、前記ワード線の電流を流
    す方向を変えることにより“0”と“1”の状態を記録
    することを特徴とする磁性薄膜メモリの記録方法。
  11. 【請求項11】 前記磁化の方向がセンス線を接続した
    方向と実質的に平行な方向になるように記録することを
    特徴とする請求項10記載の磁性薄膜メモリの記録方法。
  12. 【請求項12】 前記磁化の方向がワード線の方向と実
    質的に垂直な方向になるように記録することを特徴とす
    る請求項10記載の磁性薄膜メモリの記録方法。
  13. 【請求項13】 マトリックス状に配列された請求項1
    記載のメモリ素子と、センス線と、ワード線とからなる
    磁性薄膜メモリにおいて、再生時のワード電流により生
    じる磁界により、前記メモリ素子の保磁力の小さい磁性
    層のみの磁化方向が反転することにより生じる抵抗変化
    を利用することを特徴とする磁性薄膜メモリの再生方
    法。
  14. 【請求項14】 前記抵抗変化を、縦または横方向に並
    ぶメモリ素子を直列に接続するセンス線の両端で測定す
    ることを特徴とする請求項13記載の磁性薄膜メモリの再
    生方法。
  15. 【請求項15】 前記ワード電流により生じる磁界が、
    保磁力の小さい磁性層の反転磁界より大きく、保磁力の
    強い磁性層の反転磁界より小さいことを特徴とする請求
    項13記載の磁性薄膜メモリの再生方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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