JPH06298866A - 生分解性を有する水溶性重合体、その製造方法およびその用途 - Google Patents

生分解性を有する水溶性重合体、その製造方法およびその用途

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JPH06298866A
JPH06298866A JP5089012A JP8901293A JPH06298866A JP H06298866 A JPH06298866 A JP H06298866A JP 5089012 A JP5089012 A JP 5089012A JP 8901293 A JP8901293 A JP 8901293A JP H06298866 A JPH06298866 A JP H06298866A
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
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    • C08F22/00Homopolymers and copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by a carboxyl radical and containing at least one other carboxyl radical in the molecule; Salts, anhydrides, esters, amides, imides or nitriles thereof
    • C08F22/02Acids; Metal salts or ammonium salts thereof, e.g. maleic acid or itaconic acid

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生分解性に優れ、キレート作用および分散作
用にも優れている水溶性重合体およびその製造方法を提
供する。さらに、各用途において優れた性能を発揮し、
しかも、最終的に環境中に排出されても蓄積しにくい、
洗剤組成物、繊維処理剤、無機顔料分散剤および水処理
剤を提供する。 【構成】 マレイン酸および/またはその塩を95〜1
00重量%含む水溶性エチレン性不飽和単量体からなる
ビニル系重合体単位と、単糖、オリゴ糖およびそれらの
誘導体からなる糖単位とを有し、前記ビニル系重合体単
位の主鎖末端の炭素原子のうちの少なくとも1つが前記
糖単位のメチロール基の炭素原子に結合しており、前記
ビニル系重合体単位の全酸基の40〜90モル%が中和
されている、生分解性を有する水溶性重合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、キレート作用、およ
び、油性物質や水に難溶性の無機物質を分散させる作用
(以下、単に「分散作用」と言う)を有し、しかも、生
分解性を有する水溶性重合体、および、その製造方法に
関する。この発明は、さらには、その水溶性重合体の用
途、特に、洗剤組成物、繊維処理剤、無機顔料分散剤、
水処理剤といった、最終的に環境中へ排出されることの
ある用途における生分解可能な薬剤に関する。
【0002】
【従来の技術】水溶性重合体は、水溶液にして取り扱う
ことができるので、種々の用途に用いやすいという利点
を有している。従来の水溶性重合体としては、ポリアク
リル酸塩、ポリマレイン酸塩等の重合体が公知である。
これらの水溶性重合体は、多くのカルボキシル基を有し
ているので、優れたキレート作用および分散作用を有し
ている。このため、上記水溶性重合体は、洗剤添加剤、
分散剤、凝集剤、スケール防止剤、キレート剤、繊維処
理剤、洗浄剤等に広く使われている。
【0003】これらの薬剤は、大量に使用されており、
使用後には環境中に排出されている。我々を取り巻く自
然環境あるいは地球全体の環境への影響を考えると、環
境に大量に排出される物質は、微生物などの生物や自然
環境の働きで容易に分解されていくという特性を有する
必要がある。しかし、上記水溶性重合体は、生分解性に
著しく劣っている。しかも、水溶性重合体は、いったん
環境に出ると環境中の水に溶解して広く拡散するため、
回収が困難である。
【0004】近年、水溶性重合体に生分解性を付与する
試みがなされている。特開昭61−31497号公報で
は、多糖類とアクリル酸、マレイン酸等の水溶性エチレ
ン性不飽和単量体とが重合してなるグラフト重合体が、
特開昭61−31498号公報では、単糖類および/ま
たは少糖類とアクリル酸、マレイン酸等の水溶性エチレ
ン性不飽和単量体とが重合してなるグラフト重合体が、
カナダ特許第2034943号では単糖、オリゴ糖、多
糖または変性糖とアクリル酸、マレイン酸等の水溶性エ
チレン性不飽和単量体とが重合してなるグラフト重合体
が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記グラフト重合体で
は糖類の部分が水溶性エチレン性不飽和単量体のビニル
重合体部分の間に均一に導入されないため、糖類部分は
生分解されるが、前記ビニル重合体部分のうち分子量が
大きいものは生分解されないと言う問題がある。しか
も、上記グラフト重合体ではビニル重合体部分に比べて
糖類部分が多く、また、グラフト重合体の分子構造中に
おける糖類部分の分布の偏りも大きい。このため、グラ
フト重合体は、カルボキシル基の密度の低い部分が非常
に多くなり、キレート作用や分散作用が十分に得られな
い。
【0006】このように、従来の水溶性重合体は、生分
解性が劣っているか、または、キレート作用や分散作用
が劣っているという欠点を有しており、十分満足すべき
性能を有していない。すなわち、生分解性に優れ、キレ
ート作用および分散作用にも優れている水溶性重合体は
未だ見いだされていない。この発明は、生分解性に優
れ、キレート作用および分散作用にも優れている水溶性
重合体およびその製造方法を提供することを課題とす
る。
【0007】この発明は、各用途において優れた性能を
発揮し、しかも、最終的に環境中へ排出されても蓄積し
にくい、洗剤組成物、繊維処理剤、無機顔料分散剤およ
び水処理剤を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するために、マレイン酸および/またはその塩を
95〜100重量%含む水溶性エチレン性不飽和単量体
からなるビニル系重合体単位と、単糖、オリゴ糖および
それらの誘導体からなる糖単位とを有し、前記ビニル系
重合体単位の主鎖末端の炭素原子のうちの少なくとも1
つが前記糖単位のメチロール基の炭素原子に結合してお
り、前記ビニル系重合体単位の全酸基の40〜90モル
%が中和されている、生分解性を有する水溶性重合体を
提供する。
【0009】この発明は、また、マレイン酸および/ま
たはその塩を95〜100重量%含み全酸基の40〜9
0モル%が中和されている水溶性エチレン性不飽和単量
体成分と、単糖、オリゴ糖およびそれらの誘導体から選
ばれる少なくとも1つの糖とを、重合触媒として過酸化
水素を用いてラジカル共重合する、生分解性を有する水
溶性重合体の製造方法を提供する。
【0010】この発明は、さらにまた、この発明の水溶
性重合体を含んでなる洗剤組成物、繊維処理剤、無機顔
料分散剤、水処理剤を提供する。この発明の水溶性重合
体は、水溶性エチレン性不飽和単量体からなる重合体単
位を90〜10重量%、糖単位を10〜90重量%有す
るものが好ましく、水溶性エチレン性不飽和単量体から
なる重合体単位を80〜20重量%、糖単位を20〜8
0重量%有するものがより好ましい。前記重合体単位
は、全酸基の40〜90モル%中和されている必要があ
り、50〜80モル%が中和されているのが好ましい。
重合体単位の全酸基の中和が前記範囲を下回ると、重合
後の残存単量体の増加、糖基の導入率の低下による生分
解性の低下という問題があり、上回ると、糖基の導入率
の低下による生分解性の低下、キレート性能の低下とい
う問題がある。また、重合体単位は、マレイン酸の単独
重合体、および、マレイン酸とアクリル酸の共重合体か
ら選ばれる少なくとも1つの重合体からなることが好ま
しい。
【0011】この発明の糖単位を構成する糖は、単糖、
オリゴ糖、およびそれらの誘導体から選ばれる少なくと
も1つの糖であり、この糖は、多糖、多糖誘導体、およ
び糖類含有物から選ばれる少なくとも1つをアルカリ性
の水性媒体中で加熱して得られた生成物であってもよ
い。ここで、糖類含有物とは、単糖、オリゴ糖、多糖、
変性糖類(ここで変性糖類としては、D−グルコース−
6−リン酸等のリン酸エステル;D−グルコース−3−
硫酸等のスルホン酸エステル;ケトアルドン酸、ウロン
酸等の酸化糖類;等が挙げられる)から選ばれる少なく
とも1つを40重量%以上含有するものである。
【0012】上記単糖は、たとえば、グルコース、マン
ノース、ガラクトース、および、それらの誘導体などで
ある。上記オリゴ糖は、たとえば、二糖類、三糖類、お
よび、それらの誘導体などである。二糖の具体例は、シ
ョ糖、麦芽糖、セロビオース、ラクトース、トレハロー
ス、ゲンチオビオース、メリビオース、ツラノース、コ
ウジオビオース、ソホロース、ニゲロース、ラミナリビ
オース、イソマルトース、プランテオビオース、ツラノ
ース、ビシアノース、アガロビオース、ネオアガロビオ
ース、シラビオース、ルチノース、プリメブロース、キ
シロビオース、ロジメナビオースなどである。この発明
では、二糖として、ショ糖、麦芽糖、ラクトースから選
ばれる少なくとも1つが好ましく使用される。特に、シ
ョ糖が好ましい。三糖類としては、三糖ゲンチアノース
等がある。
【0013】上記多糖の具体例は、セルロース、アミロ
ース、アミロペクチン、デンプン、グリコーゲンなどで
ある。この発明では、多糖として、セルロースが好まし
く使用される。セルロースは、たとえば、とうもろこし
の芯、紙類、藁、脱脂綿、濾紙、木材片など大量にある
安価な原料から得られる。これらの原料は、一般に、廃
棄物として処理されているが、この発明によれば再利用
することができる。
【0014】上記糖類含有物の具体例は、アミノ糖など
の多糖の誘導体、穀物表皮、穀物、藻類などである。こ
の発明では、糖類含有物として、アミノ糖、穀物表皮か
ら選ばれる少なくとも1つが好ましく使用される。アミ
ノ糖類の具体例は、キトサミン、D−ガラクトサミン、
D−マンノサミン、D−キノボサミン、D−フコサミ
ン、D−タロサミン、ムラミン酸、キチン、キトサン、
3−アミノ−3,6−ジデオキシ−D−グルコース、カ
ナマイシンB、カルボマイシン、アミセチン、プルマイ
シン、ヒアルロン酸、テイクロン酸などである。この発
明では、アミノ糖類として、キチン、キトサンが好まし
く使用される。
【0015】穀物表皮の具体例は、米ぬか、ふすま、粟
の表皮、稗の表皮、黍の表皮、とうもろこしの表皮など
大量にある安価なものが挙げられる。これらの穀物表皮
は、一般に、廃棄物として処理されているが、この発明
によれば再利用することができる。この発明では、水溶
性重合体の生分解性向上のために、二糖類、アミノ糖
類、穀物表皮、セルロースを用いることが好ましい。
【0016】この発明では、多糖および糖類含有物は、
アルカリ性条件下で加熱することにより行われる前処理
を施して使用される。多糖および糖類含有物を前処理せ
ずに使用すると、生分解性が非常に劣った水溶性重合体
となる。前記アルカリ性条件下での前処理とは、たとえ
ば、多糖および/または糖類含有物を含む反応媒体中
に、pHを10以上にするのに必要なアルカリ性物質を
加え、温度50〜200℃で、好ましくは80〜150
℃で、10〜120分間、好ましくは30〜90分間反
応させることである。アルカリ性物質としては、特に制
限はないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のア
ルカリ金属水酸化物;アンモニア、エタノールアミン等
の有機アミン類;等が挙げられるが、重合の際に用いら
れる水溶性エチレン性不飽和単量体であって酸基を有す
るものを中和するものが好ましく、アルカリ金属水酸化
物が最も好ましい。
【0017】また、この発明においては、多糖および糖
類含有物を、酸性条件下で加熱することにより行われる
前処理を施して使用してもよい。前記酸性条件下での前
処理とは、たとえば、多糖および/または糖類含有物を
含む反応媒体中に、pHを2以下にするのに必要な酸性
物質を加え、温度50〜200℃で、好ましくは80〜
150℃で、10〜120分間、好ましくは30〜90
分間反応させることである。酸性物質としては、特に制
限はないが、硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸類;酢酸、乳
酸、マレイン酸、アクリル酸、ビニルスルホン酸などの
有機酸等が挙げられるが、重合の際に用いられる酸基を
有する水溶性エチレン性不飽和単量体を用いるのが好ま
しく、マレイン酸を主体とした水溶性エチレン性不飽和
単量体を用いるのがより好ましい。
【0018】ただし、前記アルカリ条件下で前処理する
ほうが、得られる重合体の生分解性の向上に有効であ
り、使用する装置の腐食を防ぐという面からも好まし
い。前記反応媒体としては、水性媒体を用いるのが好ま
しく、水性媒体の中でも水を単独で用いることがより好
ましい。水性媒体としては、水単独、および、水とアル
コールとの混合溶媒(水:アルコール=100:0〜7
0:30)などが挙げられる。上記アルコールとして
は、たとえば、メタノール、エタノール、2−プロパノ
ール、ブタノール、エチレングリコール、グリセリンな
どが使用される。
【0019】この発明において使用される水溶性エチレ
ン性不飽和単量体としては、水溶性を有するエチレン性
不飽和単量体であれば特に制限はなく使用可能である。
水溶性エチレン性不飽和単量体は、たとえば、不飽和モ
ノカルボン酸系単量体、不飽和ポリカルボン酸系単量
体、水溶性ビニルエステル系単量体、一般式(1):
【0020】
【化1】
【0021】〔ここで、R1 およびR2 はそれぞれ水素
またはメチル基を表し;R1 とR2 は同時にメチル基と
なることはなく;R3 は−CH2 −、−(CH2)2 −、
または、−C(CH3)2 −を表し;2つのR1 とR2
3 中の合計炭素数は3であり;Yは炭素数2〜3のア
ルキレン基を表し;nは0または1〜100の整数であ
る。〕で表される水酸基含有ブテン系水溶性単量体、一
般式(2):
【0022】
【化2】
【0023】〔ここで、R1 は水素またはメチル基を表
し;a、b、cおよびdはそれぞれ独立に0または1〜
100の整数を表し;a+b+c+d=0〜100であ
り;−OC2 4 −単位と−OC3 6 −単位とはどの
ような順序に結合してもよく;c+dが0である場合に
Zは水酸基、スルホン酸基および(亜)リン酸基を表
し;c+dが1〜100である場合にZは水酸基を表
す。〕で表される(メタ)アリロキシ系水溶性単量体、
(メタ)アリルエーテル系水溶性単量体、スルホン酸基
含有水溶性不飽和単量体〔(メタ)アリロキシ系水溶性
単量体を除く。〕、アルキル基含有エステル系水溶性不
飽和単量体、モノエステル系水溶性不飽和単量体、ジエ
ステル系水溶性不飽和単量体などを挙げることができ、
これらの群の中から選ばれる1種以上を使用することが
できる。
【0024】上記不飽和モノカルボン酸系単量体は、た
とえば、アクリル酸、メタクリル酸、α−ヒドロキシア
クリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸および
それらの塩である。上記不飽和ポリカルボン酸系単量体
は、たとえば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シ
トラコン酸、アコニット酸等の不飽和ポリカルボン酸お
よびそれらの塩である。
【0025】上記水溶性ビニルエステル系単量体は、た
とえば、酢酸ビニルである。上記水酸基含有ブテン系水
溶性単量体は、たとえば、3−メチル−3−ブテン−1
−オール(イソプレノール)、3−メチル−2−ブテン
−1−オール(プレノール)、2−メチル−3−ブテン
−2−オール(イソプレンアルコール)、これらの単量
体1モルに対してエチレンオキサイドおよび/またはプ
ロピレンオキサイドを1〜100モルの割合で付加した
単量体である。
【0026】上記(メタ)アリロキシ系水溶性単量体
は、たとえば、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパ
ンスルホン酸およびその塩である。上記(メタ)アリル
エーテル系水溶性単量体は、たとえば、グリセロールモ
ノアリルエーテル、この単量体1モルに対してエチレン
オキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドを1〜
100モルの割合で付加した単量体である。
【0027】上記スルホン酸基含有水溶性不飽和単量体
〔(メタ)アリロキシ系水溶性単量体を除く。〕は、た
とえば、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリ
ルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミ
ド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホエチル(メ
タ)アクリレート、スルホプロピル(メタ)アクリレー
ト、スルホエチルマレイミドである。
【0028】上記アルキル基含有エステル系水溶性不飽
和単量体は、たとえば、炭素数1〜20のアルキルアル
コール、このアルキルアルコール1モルに対してエチレ
ンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドを1
〜100モルの割合で付加したモノエステルアルコール
と、上記不飽和モノカルボン酸とのモノエステル;また
は、上記不飽和ポリカルボン酸とのモノエステル、該モ
ノエステルの塩、またはジエステルである。
【0029】上記モノエステル系水溶性不飽和単量体
は、たとえば、上記不飽和モノカルボン酸系単量体1モ
ルに対してエチレンオキサイドおよび/またはプロピレ
ンオキサイドを1〜100モルの割合で付加したもので
ある。上記ジエステル系水溶性不飽和単量体は、たとえ
ば、上記不飽和ポリカルボン酸系単量体1モルに対して
エチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイ
ドを1〜100モルの割合で付加したモノエステル、該
モノエステルの塩、または、ジエステルである。
【0030】この発明において使用される水溶性エチレ
ン性不飽和単量体成分は、水溶性重合体のキレート能、
分散能等の性能向上および生分解性向上のために、単糖
および/またはオリゴ糖と重合する場合には、マレイン
酸およびその塩から選ばれる少なくとも1つを95重量
%以上有する必要があり、糖類含有物を前処理して得ら
れる生成物と重合する場合には、マレイン酸(塩)の含
有率が高いことがよく、50重量%以上が好ましく、9
5重量%以上がより好ましい。マレイン酸(塩)の割合
が95重量%未満であると、キレート能、分散能または
生分解性が劣る水溶性重合体が生成する。
【0031】この発明において水溶性エチレン性不飽和
単量体成分を重合するに際して、重合を高収率で行うた
めに鉄イオン、バナジウム原子含有イオンおよび銅イオ
ンから選ばれる少なくとも1つの存在下に重合を行うこ
とが好ましい。鉄イオン、バナジウム原子含有イオンお
よび銅イオンから選ばれる少なくとも1つは、水溶性エ
チレン性不飽和単量体成分の全重量に対して0.1〜5
00ppm の割合で用いることが好ましく、0.1〜30
0ppm がより好ましく、0.1〜50ppm がさらに好ま
しい。0.1ppm 未満であると重合が高収率で起こらな
いおそれがあり、500ppm を越えると、得られた重合
体に着色が大きくなり、洗剤として用いた場合には性能
低下のおそれがある。
【0032】上記鉄イオン、バナジウム原子含有イオ
ン、銅イオンは、たとえば、Fe2+、Fe3+、V2+、V
3+、VO2+、VO3 2- 、Cu2+等である。これらの中で
も、Fe2+、VO2+、Cu2+が好ましい。多価金属イオ
ンの重合系内への供給形態に特に制限がなく、重合系内
でイオン化するものであれば多価金属化合物あるいは単
体として使用することができる。
【0033】このような多価金属化合物あるいは単体と
しては、たとえば、鉄アセチルアセトナート、クエン酸
鉄アンモニウム、シュウ酸第二鉄アンモニウム、硫酸第
一鉄アンモニウム、硫酸第二鉄アンモニウム、クエン酸
鉄、フマル酸鉄、マレイン酸鉄、乳酸第一鉄、硝酸第二
鉄、鉄ペンタカルボニル、リン酸第二鉄、ピロリン酸第
二鉄、オキシ三塩化バナジウム、三塩化バナジウム、シ
ュウ酸バナジル、硫酸バナジル、無水バナジン酸、メタ
バナジン酸アンモニウム、硫酸アンモニウムハイポバナ
ダス、酢酸銅(II)、臭化銅(II)、銅(II)アセチル
アセトナート、塩化第二銅アンモニウム、炭酸銅、塩化
銅(II)、クエン酸銅(II)、ギ酸銅(II)、水酸化銅
(II)、硝酸銅、ナフテン銅、オレイン酸銅、マレイン
酸銅、リン酸銅、硫酸銅(II)等の水溶性多価金属塩;
酸化第一鉄、酸化第二鉄、五酸化バナジウム、酸化銅
(II)等の多価金属酸化物;硫化鉄(III) 、硫化鉄(I
I)、硫化銅等の多価金属硫化物;銅粉末、鉄粉末など
の金属単体などを挙げることができる。
【0034】この発明では、上記水溶性エチレン性不飽
和単量体成分と、糖との重合は、80〜150℃の温度
で行われる。この温度範囲で重合を行うと、重合時間を
短縮を図ることができる。この発明の製造方法において
は、重合開始剤として、過酸化水素を用いることが必要
である。使用される過酸化水素の量は、水溶性エチレン
性不飽和単量体成分1モルに対して、好ましくは5〜1
50g、より好ましくは10〜100g、更に好ましく
は15〜80gである。過酸化水素の量が5g未満の少
ない量では生分解性に優れた水溶性重合体が得られない
おそれがあり、150gを越える量で用いた場合、生分
解性は低下することはないが、得られた水溶性重合体中
に過酸化水素が残留しやすくなり、また、製造コストの
上昇となるおそれがある。
【0035】この発明では、上記重合開始剤として、他
の水溶性開始剤、たとえば、過硫酸アンモニウム、過硫
酸ナトリウムや過硫酸カリウム等の過硫酸塩;tert−ブ
チルヒドロパーオキサイド等の親水性有機過酸化物;
2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩等
の水溶性アゾ化合物を用いた場合、この発明の製造方法
のように優れた生分解性を有する水溶性重合体は得られ
ない。過酸化水素を反応系内に供給する方法としては特
に制限はなく、たとえば、反応系内へ初期一括仕込みし
ても良く、また、反応中に連続投入を行ってもよく、場
合によっては分割して2回以上に分けて投入することも
できる。
【0036】この発明において「生分解可能な」とは、
実施例の項で記載した生分解性試験において、30%以
上の生分解率を示すことを意味し、この数値が大きいほ
ど生分解性に優れており、70%以上の生分解率を示す
ことがより好ましい。この発明の水溶性重合体は、その
ままで洗浄剤、繊維処理剤、水処理剤として使用するこ
とができ、また、界面活性剤および酵素を配合して洗剤
組成物として使用することもできる。
【0037】この発明の洗剤組成物中の上記水溶性重合
体の使用量は、1〜50重量%が好ましく、より好まし
くは2〜30重量%である。また、界面活性剤は5〜7
0重量%配合するのが好適であり、10〜30重量%の
配合がより好ましい。界面活性剤としては、アニオン界
面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性およびカチオン界
面活性剤を好ましく使用することができる。アニオン界
面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ア
ルキルまたはアルケニルエーテル硫酸塩、アルキルまた
はアルケニル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α
−スルホ脂肪酸塩またはエステル塩、アルカンスルホン
酸塩、飽和または不飽和脂肪酸塩、アルキルまたはアル
ケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、
N−アシルアミノ酸型界面活性剤、アルキルまたはアル
ケニルリン酸エステルまたはその塩等が例示される。
【0038】ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシ
アルキレンアルキルまたはアルケニルエーテル、ポリオ
キシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸ア
ルカノールアミドまたはそのアルキレンオキサイド付加
物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコキシド、脂
肪酸グリセリンモノエステル、アルキルアミンオキサイ
ド等が例示される。
【0039】両性界面活性剤としては、カルボキシ型ま
たはスルホベタイン型両性界面活性剤が例示され、カチ
オン界面活性剤としては第4アンモニウム塩等が例示さ
れる。酵素としては、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラ
ーゼ等を使用することができ、特にアルカリ洗浄液中で
活性が高いプロテアーゼ、アルカリリパーゼ、アルカリ
セルラーゼ等が好ましい。
【0040】この発明の洗剤組成物には、公知のアルカ
リビルダー、キレートビルダー、再付着防止剤、蛍光
剤、漂白剤、香料等の常用成分を添加しても良い。ま
た、ゼオライトを配合してもよい。アルカリビルダーと
しては、珪酸塩、炭酸塩、硫酸塩等を用いることができ
る。キレートビルダーとしては、ジグリコール酸、オキ
シカルボン酸塩、EDTA(エチレンジアミン四酢
酸)、DTPA(ジエチレントリアミン六酢酸)、クエ
ン酸等を必要に応じて使用することができる。
【0041】この発明の繊維処理剤は、繊維処理におけ
る精錬、染色、漂白、ソーピング等の工程で使用するこ
とができる。適用できる繊維は特に限定されないが、た
とえば、木綿、麻等のセルロース系繊維;ナイロン、ポ
リエステル等の化学繊維;羊毛、絹糸等の動物性繊維;
人絹等の半合成繊維およびこれらの織物または混紡品が
挙げられる。精錬工程に適用する場合は、この発明の水
溶性重合体、アルカリ剤および界面活性剤を配合するこ
とが好ましく、漂白工程では、過酸化水素漂白時の分解
抑制剤としての珪酸ナトリウム等の珪酸系薬剤等を配合
するとよい。
【0042】この発明の無機顔料分散剤は、紙コーティ
ングに用いられる重質ないしは軽質炭酸カルシウム、ク
レイ等の無機顔料の分散剤として良好な性能を発揮す
る。この発明の無機顔料分散剤を、従来の無機顔料分散
剤の代わりに、上記のような無機顔料に少量(たとえ
ば、無機顔料100重量部に対して0.05〜2.0重
量部の割合)添加して水中に分散することにより、低粘
度でしかも高流動性を有し、かつ、それらの性能の経日
安定性が良好である高濃度無機顔料スラリー(たとえ
ば、高濃度炭酸カルシウムスラリー)を製造することが
できる。しかも生分解性が良好であるので、この発明の
無機顔料分散剤を用いた紙をゴミとして土中へ投入した
際にも環境への影響を最小限にとどめることができる。
【0043】この発明の水処理剤は、冷却水系、ボイラ
ー水系、海水淡水化装置、パルプ蒸解釜、黒液濃縮釜等
でのスケール防止に有用であり、この発明の水溶性重合
体を単独で水処理剤として使用しても良いが、重合リン
酸塩、ホスホン酸塩、その他防蝕剤、スライムコントロ
ール剤、キレート剤等を配合した組成物とすることもで
きる。この発明の水処理剤は、使用後、排水が外界へ出
ても生分解性が良好であるため、環境への影響が非常に
小さくなる。
【0044】
【作用】この発明の水溶性重合体は、糖単位の部分で生
分解を受けやすく、この生分解により、ビニル系重合体
単位を生成する。このようなビニル系重合体単位は、キ
レート作用や分散作用を発揮するには低分子量すぎる
が、非常に生分解しやすい化合物である。
【0045】すなわち、この発明の水溶性重合体は、キ
レート作用および分散作用を発揮するには低分子量すぎ
るが、非常に生分解しやすい構造および分子量を有する
ビニル系重合体単位を生分解可能な糖単位を介して結び
付けることにより、キレート作用および分散作用が発現
する分子量にまで高められたものであり、生分解性と、
キレート作用および分散作用との両立を可能にした。
【0046】この発明の製造方法によれば、一旦、ビニ
ル系重合体単位を作ってからこのビニル系重合体単位同
士を糖単位を介して結合させるので、前記ビニル系重合
体単位の分子量を適宜の大きさに設定しやすい。この発
明の洗剤組成物、繊維処理剤、無機顔料分散剤、水処理
剤は、以上で説明したこの発明の水溶性重合体を含んで
なるものであるため、分散能、キレート能、生分解性に
優れ、各用途に非常に有用なものである。
【0047】
【実施例】以下に、この発明の具体的な実施例および比
較例を示すが、この発明は下記実施例に限定されない。
以下では、「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」
をそれぞれ表す。 (実施例1)温度計、攪拌機および還流冷却器を備えた
容量1リットルの四つ口フラスコに無水マレイン酸19
6部と水100部(マレイン酸として232部)、硫酸
鉄(III) アンモニウム12水和物0.020部(四つ口
フラスコに仕込んだマレイン酸の重量に対してFe3+
して10ppm の割合)、ならびに、糖類としてショ糖
(スクロース)49部を仕込んだ後、攪拌しながら48
%NaOH水溶液200部を滴下し、上記四つ口フラス
コ内のマレイン酸水溶液を60%中和された水溶液にし
た。ここで60%とは、四つ口フラスコ内の全カルボキ
シル基に対する中和度である。中和後、攪拌しながら該
水溶液を常圧下で沸騰温度まで昇温した。次に攪拌下に
35%過酸化水素水153.2部(四つ口フラスコに仕
込んだマレイン酸1モルに対してH2 2 として26.
8gの割合)を3時間にわたって連続的に滴下し、重合
反応を行った。滴下終了後、四つ口フラスコ内の水溶液
の沸騰温度でさらに1時間攪拌し、重合反応を完了させ
て、水溶性重合体(1)を固形分49.2%の水溶液で
得た。
【0048】得られた水溶性重合体(1)の、分子量、
粘度、キレート能および生分解率を以下の方法で測定し
た。結果を表1に示した。分子量は、下記条件のゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析によ
り測定した。 〔GPC分析条件〕 カラム:アサヒパックGFA−7MF(商品名、旭化成
工業株式会社製のゲルパーミエーションカラム) 溶離液:リン酸緩衝液 流 量:0.5cc/分 検出器:紫外線(UV)、波長214nm 標準サンプル:ポリアクリル酸ソーダ標準サンプル(創
和化学株式会社製) 粘度は、得られた水溶性重合体を20重量%水溶液に
し、B型粘度計(東京計器株式会社製)1型(精機工業
研究所製)で25℃の温度で測定された。
【0049】生分解率は、OECDテストガイドライン
記載の修正MITI法に準拠した28日間の生分解性試
験を行って求めた。生分解率は、有機炭素分析計(島津
製作所製のTOC500)を用いて測定されたTOC
〔全有機炭素濃度(Total organic carbon)〕を次式に
あてはめて算出した。次式において、開始時の試験液の
TOCは、試験液中の未反応単量体のTOCを除いた水
溶性重合体のTOCである。 28日後の生分解率=〔{生分解性試験開始時の試験液
のTOC(ppm)−28日後の試験液のTOC(pp
m)}/開始時の試験液のTOC(ppm)〕×100
〔%〕 キレート能は、50mlビーカーに水溶性重合体を計り取
り、塩化カルシウムが1.0×10-3M、塩化カリウム
が0.08Mとなるよう調製した水溶液50mlに溶解さ
せ、攪拌を行い、溶液中のカルシウムイオン濃度を二価
陽イオン電極(オリオン・リサーチ・インク(Orion Re
search INC) 製のMODEL93−32)を用い、イオ
ンアナライザー(オリオン・リサーチ・インク(Orion
ResearchINC) 製のEA920)を使用して測定し、水
溶性重合体1gによってキレートされるカルシウムイオ
ンを炭酸カルシウムに換算したmg数で示した。
【0050】実施例1で得られた水溶性重合体(1)に
ついて、繊維処理剤、水処理剤、洗剤、無機顔料分散剤
としての性能評価を以下に記載した方法で行い、結果を
表3に示した。 〔繊維処理剤としての評価〕 1.染色性向上能と染料分散性(染色助剤としての評
価) 木綿ツイル織物を次の条件で染色した。染色向上剤とし
て水溶性重合体を水1リットルに1gの割合(固形分換
算)で用いた。 (染色条件) 使用水の硬度 30°DH(ド
イツ硬度) 染料(Kayaras Supra Blue 4BL) 1% (日本化薬社製の金属含有型直接染料) 硫酸ナトリウム 10% 浴比 1:30 温度 95℃ 時間 30分 染色後の布をスガ試験機社製SMカラーコンピューター
SM−3型により測色し、Hue値(マンセル色相環上
の値)を求めた。Hue値のPBとはPurple(紫)とBl
ue(青)の間の青紫の意味で、値の小さい方が青に近い
青紫であり、染色性が優れていることを示している。染
色後の布の部分的な色むらを肉眼で目視観察した。さら
に、上記染色に使用した水、染料(0.1%)、水溶性
重合体(0.1%)の混合液を300g作製し、24時
間放置後に東洋ろ紙社製5Cろ紙を用いてろ過し、ろ過
残渣なしを○、ろ過残渣若干ありを△、ろ過残渣の多い
ものを×として染料分散性を評価した。
【0051】2.漂白性能と縫製性能(漂白助剤として
の評価) 精錬した綿天竺編ニットを次の条件で漂白した。漂白助
剤として水溶性重合体を水1リットルに1gの割合(固
形分換算)で用いた。 (漂白条件) 使用水の硬度 35°DH 浴比 1:25 温度 85℃ 時間 30分 使用薬剤 過酸化水素 10g/l 水酸化ナトリウム 2g/l 珪酸ナトリウム(3号) 5g/l 漂白後の布の風合いは官能検査法により決定し、ソフト
な風合いのものを○、ややハードな風合いのものを△、
かなりハードなものを×とした。また、白色度はスガ試
験機社製SMカラーコンピューターSM−3型により測
色し、下記のLab系の白色度式によって白色度Wを求
めた。
【0052】 W=100−〔(100−L)2 +a2 +b2 1/2 ただし、L=測定された明度 a=測定されたクロマチックネス指数 b=測定されたクロマチックネス指数 さらに、漂白後の布を4枚重ねとして本縫ミシンで針♯
11Sを用いて30cm縫った場合の地糸切れ箇所の数を
調べた。
【0053】〔水処理剤としての評価〕 1.スケール抑制率 容量225mlのガラスビンに水を170g入れ、1.5
6%塩化カルシウム2水塩水溶液10g、および、スケ
ール防止剤として水溶性重合体の0.02%水溶液3g
(得られる過飽和水溶液に対して水溶性重合体3pp
m)を混合し、さらに3%重炭酸ナトリウム水溶液10
gおよび水7gを加え全量を200gとした。得られた
炭酸カルシウム530ppmの過飽和水溶液を密栓して
70℃で8時間の加熱処理を行った。冷却した後、沈殿
物を孔径0.1μmのメンブランフィルターでろ過し、
ろ液をJIS K0101に従って分析した。次式によ
り炭酸カルシウムスケール抑制率(%)を求めた。
【0054】 スケール抑制率(%)=(C−B)/(A−B) ただし、A:試験前の液中に溶解していたカルシウム濃
度 B:スケール防止剤無添加ろ液中でのカルシウム濃度 C:試験後のろ液中のカルシウム濃度 〔洗剤としての評価〕以下に示した組成の人工汚垢を四
塩化炭素中に分散し、綿の白布を人工汚垢液に通した
後、乾燥し、切断することにより、10cm×10cmの汚
染布を作製した。 (汚垢組成) カーボンブラック 0.5% 粘度 49.75% ミリスチン酸 8.3% オレイン酸 8.3% トリステアリン酸 8.3% トリオレイン 8.3% コレステリン 4.38% コレステリンステアレート 1.09% パラフィンロウ 0.552% スクワレン 0.552% 以下に示した配合で洗剤組成物を調製し、下記条件下で
汚染布の洗濯を行った。布を洗濯して乾燥した後、布の
反射率の測定を行った。 (洗剤組成物) LAS(平均炭素数11.5の直鎖 20% アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム) ポリオキシエチレンアルキルエーテル(平均炭素数 15% 12、エチレンオキサイド(EO)の平均重合度8) ゼオライト 20% 酵素(プロテアーゼ) 0.5% 水溶性重合体 20% 炭酸ナトリウム 15% 珪酸ナトリウム(JIS K1408 1号) 9.5% (洗濯条件) 温度 20℃ 浴比 1/60 洗剤濃度 0.5% 水質 水道水 洗浄装置 ターグ−オー−ツーメーター
(Terg-O-Tometer) 洗浄時間 10分間 反射率の測定結果から、次式により洗浄率を求め、洗浄
性評価を行った。 洗浄率〔%〕=〔(洗浄後の反射率−洗浄前の反射率)
/(白布の反射率−洗浄前の反射率)〕×100 〔無機顔料分散剤としての評価〕容量1リットル(材質
SUS 304、内径90mm、高さ160mm)のビーカ
ーに、カルサイト系立方体状の軽質炭酸カルシウム(一
次粒子径0.15μm)のフィルタープレス脱水ケーキ
(固形分65.3%)400部をとり、そこへ分散剤と
して水溶性重合体の40%水溶液3.26部(炭酸カル
シウムの重量に対して水溶性重合体0.5%)および固
形分濃度調整用の水6.9部を加え、ディゾルバー攪拌
羽根(50mmφ)で低速で3分間混練した後、3000
rpm で10分間分散し、固形分濃度64%の水分散液
(1)を得た。得られた水分散液(1)の粘度(B型粘
度計を使用して25℃で測定した粘度)および経日安定
性の試験を行った。
【0055】(実施例2〜4)ショ糖の使用量を表4に
記載した量とした以外は、実施例1と全く同様にして重
合を行い、水溶性重合体(2)〜(4)を得た。得られ
た水溶性重合体(2)〜(4)について実施例1と全く
同様にして、特性を調べ、性能評価を行った。結果を表
1,3に示した。
【0056】(実施例5,6)温度計、攪拌機および還
流冷却器を備えた容量1リットルの四つ口フラスコに水
100部を加え、糖類として表1に記載したものを表1
に記載した量で仕込み、攪拌しながら、48%NaOH
水溶液200部を滴下した。フラスコ内の液を攪拌しな
がら100℃で1時間加熱して糖類の前処理を行った。
その後、フラスコ内の混合物に無水マレイン酸196
部、硫酸鉄(III)アンモニウム12水和物0.02部
を添加し、攪拌しながら35%過酸化水素水153.2
部(四つ口フラスコに仕込んだマレイン酸1モルに対し
てH2 2 として26.8gの割合)を3時間にわたっ
て連続的に滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、四
つ口フラスコ内の混合物を沸騰温度でさらに1時間攪拌
し、重合反応を完了させて、水溶性重合体(5),
(6)を得た。ここで行った前処理は、アルカリ性条件
下での前処理である。得られた水溶性重合体(5),
(6)について実施例1と全く同様にして、特性を調
べ、性能評価を行った。結果を表1、3に示した。
【0057】(実施例7〜14)温度計、攪拌機および
還流冷却器を備えた容量1リットルの四つ口フラスコに
水100部、硫酸鉄(III)アンモニウム12水和物
0.02部(四つ口フラスコに仕込んだマレイン酸重量
に対してFe3+として10ppmの割合)を加え、糖類
含有物としてフスマを49部仕込み、攪拌しながら、4
8%NaOH水溶液200部を滴下した。フラスコ内の
液を攪拌しながら100℃で1時間加熱して糖類の前処
理を行った。その後、フラスコ内の混合物に無水マレイ
ン酸196部を添加し、攪拌しながら該水溶液を常圧下
で沸騰温度まで昇温した。次に、35%過酸化水素水1
53.2部(四つ口フラスコに仕込んだマレイン酸1モ
ルに対してH22 として26.8gの割合)および表
1、2記載のマレイン酸以外の水溶性エチレン性不飽和
単量体を表1、2記載の量用いて3時間にわたって連続
的に滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、四つ口フ
ラスコ内の混合物を沸騰温度でさらに1時間攪拌し、重
合反応を完了させて、水溶性重合体(7)〜(14)を
得た。ここで行った前処理は、アルカリ性条件下での前
処理である。得られた水溶性重合体(7)〜(14)に
ついて実施例1と全く同様にして、特性を調べ、性能評
価を行った。結果を表1〜4に示した。
【0058】(実施例15〜19)35%H22 の使
用量、金属塩の使用量を表2記載の通りとした以外は実
施例1と全く同様にして重合を行い、水溶性重合体(1
5)〜(19)を得た。得られた水溶性重合体(15)
〜(19)について実施例1と全く同様にして、特性を
調べ、性能評価を行った。結果を表2、4に示した。
【0059】(実施例20)糖含有物として、トイレッ
トペーパー(主成分;セルロース)を分解酵素で処理し
たもの(トイレットペーパー49部にセルラーゼ20部
と水50部を加えて25℃で24時間処理したもの)を
用いた以外は実施例1と全く同様にして重合を行い、水
溶性重合体(20)を得た。得られた水溶性重合体(2
0)について実施例1と全く同様にして、特性を調べ、
性能評価を行った。結果を表2、4に示した。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】(比較例1〜3)実施例7において、アル
カリ条件下での前処理を行わず、使用する糖類の種類お
よび量、マレイン酸以外の水溶性エチレン性不飽和単量
体の量を表5に示した通りとした以外は実施例7と同様
にして、比較水溶性重合体(1)〜(3)を得た。得ら
れた比較水溶性重合体(1)〜(3)について実施例1
と全く同様にして、特性を調べ、性能評価を行った。結
果を表5、6に示した。
【0065】(比較例4、5)実施例1において、仕込
み時系内の中和度を表5に示した通りとした以外は実施
例1と同様にして、比較水溶性重合体(4)、(5)を
得た。得られた比較水溶性重合体(4)、(5)につい
て実施例1と全く同様にして、特性を調べ、性能評価を
行った。結果を表5、6に示した。
【0066】(比較例6)実施例1において、糖類とし
てショ糖(スクロース)を仕込まなかった以外は実施例
1と同様にして、比較水溶性重合体(6)を得た。得ら
れた比較水溶性重合体(6)について実施例1と全く同
様にして、特性を調べ、性能評価を行った。結果を表
5、6に示した。
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】表1〜4にみるように、実施例の水溶性重
合体は、生分解性が34%以上と非常に良好であり、か
つ、繊維処理剤、無機顔料分散剤、水処理剤、洗剤とし
ての各用途にも良好な性能を発揮した。これに対して、
比較例のものは、生分解性において著しく劣り繊維処理
剤、無機顔料分散剤、水処理剤、洗剤の各用途での性能
も劣るものであった。
【0070】
【発明の効果】この発明の水溶性重合体は、キレート作
用、分散作用を有し、水への分散性が良く、かつ、生分
解性に優れている。この発明の製造方法は、そのような
水溶性重合体を効率良く安価に作ることができる。
【0071】この発明の水溶性重合体を洗剤に用いる
と、洗剤組成物の状態に関わらずこれに配合されてその
洗浄力を向上させることができ、微生物などの生物によ
り分解可能であり、河川湖沼などに排出されたときに富
栄養化を起こさず、安全なビルダーとして有用である。
この発明の水溶性重合体を、繊維処理剤、無機顔料分散
剤、水処理剤に使用すると、繊維処理剤の場合、精錬、
染色、漂白、ソーピングの各工程での繊維製品の品質向
上に有用であり、無機顔料分散剤の場合、無機顔料分散
スラリーの低粘度化と粘度安定性の向上に有用であり、
水処理剤の場合、スケール析出抑制に有用であり、か
つ、これらが環境中へ放出された時も生分解を受けて環
境への影響を最小限に止めるという利点を持つ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06L 1/12 7199−3B 3/00 7199−3B

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マレイン酸および/またはその塩を95
    〜100重量%含む水溶性エチレン性不飽和単量体から
    なるビニル系重合体単位と、単糖、オリゴ糖およびそれ
    らの誘導体からなる糖単位とを有し、前記ビニル系重合
    体単位の主鎖末端の炭素原子のうちの少なくとも1つが
    前記糖単位のメチロール基の炭素原子に結合しており、
    前記ビニル系重合体単位の全酸基の40〜90モル%が
    中和されている、生分解性を有する水溶性重合体。
  2. 【請求項2】 マレイン酸および/またはその塩を95
    〜100重量%含み全酸基の40〜90モル%が中和さ
    れている水溶性エチレン性不飽和単量体成分と、単糖、
    オリゴ糖およびそれらの誘導体から選ばれる少なくとも
    1つの糖とを、重合触媒として過酸化水素を用いてラジ
    カル共重合する、生分解性を有する水溶性重合体の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 糖が、多糖、多糖誘導体および糖類含有
    物から選ばれる少なくとも1つをアルカリ性の水性媒体
    中で加熱して得られた生成物である請求項2記載の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の水溶性重合体と界面活性
    剤を含んでなる洗剤組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の水溶性重合体、請求項2
    記載の製造方法により得られた水溶性重合体および請求
    項3記載の製造方法により得られた水溶性重合体から選
    ばれる少なくとも1つと、染料、過酸化物および界面活
    性剤から選ばれる少なくとも1つとを含んでなる繊維処
    理剤。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の水溶性重合体、請求項2
    記載の製造方法により得られた水溶性重合体および請求
    項3記載の製造方法により得られた水溶性重合体から選
    ばれる少なくとも1つを含んでなる無機顔料分散剤。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の水溶性重合体、請求項2
    記載の製造方法により得られた水溶性重合体および請求
    項3記載の製造方法により得られた水溶性重合体から選
    ばれる少なくとも1つを含んでなる水処理剤。
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