JPH06296330A - 瞬時電圧低下対策装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電力系統と自家発電設備が連携運転している
変電所において、系統停電時に瞬時に系統を解列して発
電機の瞬時電圧低下を最小限に押えることを可能とする
と共に、連携運転中瞬時電圧低下対策装置の半導体開閉
器が故障した場合でも運転を可能にする。 【構成】 電力系統側母線Ｂ₁と自家発電設備母線Ｂ₂を
連絡する母連遮断器５２Ｂ₁に直列に接続される半導体
開閉器５２Ｂ₂と遮断器５２Ｂ₃からなる直列回路とこの
直列回路をバイパスするバイパス遮断器５２Ｂ₄で構成
し、系統瞬時電圧低下時は半導体開閉器５２Ｂ₂により
１サイクル以内に系統を解列する。また連携運転中半導
体開閉器５２Ｂ₂が過電流又は故障した場合はバイパス
遮断器５２Ｂ₄をオン、遮断器５２Ｂ₃をオフし、バイパ
ス回路により連携運転をする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、コージェネシステムの
ように、電力系統と自家発電設備が連携運転している変
電所において、母線連絡用遮断器に半導体開閉器を用
い、系統停電時に瞬時に電力系統を解列して発電機の瞬
時電圧低下を最小限に押え、過負荷による共倒れを防止
する瞬時電圧低下対策装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、コージェネシステムは図５に示す
ように、電力系統側母線Ｂ１と、自家発電設備側母線Ｂ
₂とを母連（母線連絡）遮断器５２Ｂ₁で連結し、電力系
統側事故時には母連遮断器５２Ｂ₁を遮断し、需要家内
の重要負荷Ｌ₃〜Ｌ₅に給電が可能な回路構成となってい
る。

【０００３】母連遮断器５２Ｂ₁として真空遮断器（Ｖ
ＣＢ）を用いた場合の遮断時間は、次のように０．３秒
程度必要とする。

【０００４】 電力系統が停電又は瞬時電圧低下した時自家用発電機Ａ
Ｇは、母連遮断器５２Ｂ₁がトリップするまでの約０．
３秒間、需要家の全負荷Ｌ₁〜Ｌ₅はもとより電力系統に
連携している負荷も負担することになり、過負荷とな
る。

【０００５】現在のコージェネ用自家発電装置は、負荷
を選択遮断する場合、重要負荷Ｌ₃〜Ｌ₅８０％、その他
負荷Ｌ₁，Ｌ₂２０％、母連遮断器の５２Ｂ₁の遮断時間
が０．３秒〜０．５秒の条件で、電力系統停電時（過負
荷４００％と仮定）、エンジンＥＮＧが失速しないよう
に、駆動装置の慣性モーメントＧＤ²や発電機ＡＧの励
磁装置の特性を選定しているのが一般的である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記従来コージェネシ
ステムにおいて、発電機ＡＧの負荷が次の条件で、電力
系統で停電事故が発生した時に負荷を選択遮断すること
により、発電機の電圧、回転数、電力がどのように変化
するかをシュミレーションした結果を図６に示す。

【０００７】（１）発電装置の定格事項 ３７５ＫＶＡ−４Ｐ−６６００Ｖ−０．８ＰＦ−１５０
０ｒｐｍ ＧＤ²ＡＧ＝４４．０ｋｇ・ｍ²，ＧＤ²ＥＮＧ＝４８．
０ｋｇ・ｍ² （２）過負荷時間 ０．３秒 （３）発電機負荷 停電前１００％、停電開始時４００％、選択遮断後：８
０％ 図６から次のことがわかる。

【０００８】負荷を選択遮断した時（０．３秒後）の発
電機電圧（点線）は５７％に低下する。

【０００９】即ち、選択遮断後残す重要負荷Ｌ₃〜Ｌ₅の
電圧降下は４０％以上になり、影響が出る負荷も少なく
なく、何らかの電圧低下対策が必要になる。

【００１０】この対策装置として一般的に用いられてい
るのが無停電電源装置（ＣＶＣＦ，ＵＰＳ）であり、そ
の他に専門対策装置も商品化されている。

【００１１】以上のことから明らかなように、電力系統
で停電もしくは瞬時停電事故が生じた時に、より高速に
電力系統側を解列すれば、それだけ発電装置の負担を軽
くすることができ、重要負荷への影響も少なくてすむ。

【００１２】本発明は、上記シュミレーションの結果に
基づいてなされたものであり、その目的とするところ
は、コージェネシステム等において、電力系統が停電も
しくは瞬時電圧低下が生じたとき半導体開閉器により電
力系統側を高速に解列し、発電機の電圧低下を最小限に
押え、また過負荷による発電機の共倒れを防止すると共
に、連携運転中に半導体開閉器が万一故障した場合でも
回路をバイパスに切替えることにより従来方式の連携運
転を可能にする瞬時電圧低下対策装置を提供することに
ある。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明における瞬時電圧低下対策装置は、以下のよ
うに構成される。

【００１４】（１）バイパス手動切替方式 半導体開閉器とそのバイパス回路及びこの半導体開閉器
とバイパス回路を切り替えて電力系統側母線と自家発電
設備側母線間の母線連絡遮断器と直列に接続させる断路
器とにより構成する。

【００１５】（２）バイパス自動切替方式 電力系統母線と自家発電設備側母線を連絡する母線連絡
遮断器に直列に接続される半導体開閉器と遮断器からな
る直列回路と、この直列回路をバイパスするバイパス遮
断器とにより構成する。

【００１６】

【作用】

（１）バイパス手動切替方式 半導体開閉器の使用、不使用を断路器で選択できる回路
方式で、常時は半導体開閉器を選択し、母線連絡遮断器
との直列回路で電力系統側と自家発電設備側とが連携運
転する。連携運転時に電力系統側が停電又は電圧低下す
ると、半導体開閉器は電圧低下を検出して、瞬時（１サ
イクル以内）に連携をオフする。次に母連遮断器がトリ
ップする前に瞬時電圧低下が復帰すれば、再投入条件
（例えば系統発電機電圧差±１０％以内、周波数差±２
％以内、位相差±２０°以内）が満足されていれば、半
導体開閉器をオンし、連携運転を続行する。瞬時電圧低
下が長びき（停電）母連遮断器がトリップした場合、ま
た再投入条件が満足されない場合は、その後の同期投入
は発電機の同期投入装置で行う。

【００１７】半導体開閉器が故障した場合、母線連絡遮
断器をトリップし断路器をバイパス回路側に切替え、同
期投入装置で母線連絡遮断器をオンさせることによりバ
イパス回路を用いての連携運転が可能となる。

【００１８】（２）バイパス自動切替方式 半導体開閉器の使用、不使用を遮断器で選択できる回路
方式で、常時運転は上記（１）と同様である。

【００１９】半導体開閉器が故障した場合、バイパス遮
断器をオン、半導体側遮断器をオフすることにより、故
障時でも連携運転が継続できる。

【００２０】

【実施例】本発明の実施例を図面を参照して説明する。

【００２１】図１はコージェネシステムを示す単線接続
図、図２、図３はコージェネシステムの母線連絡部の各
例を示す単線結線図である。

【００２２】実施例１ 図１、図２について、ＡＧはエンジンＥＮＧで回転され
る自家発電機、Ｂ₁は受電用遮断器５２Ｒを介して電力
系統に接続された電力系統側母線、Ｂ₂は自家発電用遮
断器５２Ｇを介して発電機ＡＧに接続された自家発電側
母線、５２Ｂ₁は母線Ｂ₁とＢ₂を連絡する真空遮断器等
の母連（母線連絡）遮断器、１は母連遮断器５２Ｂ₁と
直列に接続された瞬時電圧低下対策装置。

【００２３】Ｔ₁，Ｔ₂はき電用遮断器５２Ｌ₁，５２Ｌ₂
を介して母線Ｂ₁に接続されたトランス、Ｔ₃〜Ｔ₅はき
電用遮断器５２Ｌ₃〜５２Ｌ₅を介して母線Ｂ₂に接続さ
れたトランス、Ｌ₁，Ｌ₂はトランスＴ₁，Ｔ₂から給電さ
れる負荷、Ｌ₃はトランスＴ₃からＣＶＣＦ装置を介して
給電される最重要負荷、Ｌ₄，Ｌ₅はトランスＴ₄，Ｔ₅か
ら給電される重要負荷である。

【００２４】瞬時電圧低下対策装置１は母連遮断器５２
Ｂ₁と直列に接続される電力ヒューズ付の切時間１サイ
クル以内の半導体開閉器５２Ｂ₂と、この半導体開閉器
のバイパス回路２及び半導体開閉器５２Ｂ₂とバイパス
回路２を選択して母連遮断器５２Ｂ₁と直列に接続する
断路器ＤＳ₁，ＤＳ₂で構成されている。

【００２５】通常、半導体開閉器５２Ｂ₂を断路器Ｄ
Ｓ₁，ＤＳ₂によって選択し、遮断器５２Ｂ₁と半導体開
閉器５２Ｂ₂の直列回路で電力系統側と自家発電系統側
を連携させて運転する。

【００２６】この連携運転中に電力系統に停電が発生す
ると、自家発電機ＡＧの電圧が低下する。半導体開閉器
５２Ｂ₂は電圧波形等から電圧の低下を瞬時に検出して
１サイクル以内にＯＦＦする。

【００２７】以上のように電力系統側母線Ｂ₁は半導体
開閉器５２Ｂ₂により瞬低発生から１サイクル以内に自
家発電系統側母線Ｂ₂から切り離されるので、図６より
発電機電圧は７３％（電圧降下２７％）となり、母連遮
断器５２Ｂ₁（切時間０．３秒）に比べ１６％改善され
る。

【００２８】この模様を電気協同研究第４６巻第３号
「瞬時電圧低下対策」の第１−２−３図に乗せてみると
図４のとおりになる。

【００２９】図４によると、切時間２０ｍｓの半導体開
閉器５２Ｂ₂を用いると、可変速モータには影響がでる
が、その他の負荷機器には影響がなく、運転を続行する
ことができる。それと比べ母連遮断器５２Ｂ₁の（切時
間０．３秒）の場合には、電磁開閉器と不足電圧継電器
以外の負荷機器には影響がでることになる。また瞬時電
圧低下が短時間で、母連遮断器５２Ｂ₁がトリップする
前に電圧が正常に戻った場合は、半導体開閉器５２Ｂ₂
は再投入条件（例えば系統発電機電圧±１０％以内、周
波数±２％以内、位相差±２０°以内）が整えば、オン
となり連携運転を続行する。

【００３０】瞬時電圧低下が長びき（停電）母連遮断器
５２Ｂ₁がトリップした場合、まはた再投入条件が満足
されない場合は、その後の同期投入は発電機の同期投入
装置で行う。

【００３１】半導体開閉器５２Ｂ₂が故障の時は母連遮
断器５２Ｂ₁をトリップし、連携運転を除去する。この
場合、断路器ＤＳ₁，ＤＳ₂によりバイパス回路２を選択
し、同期投入装置で母連遮断器５２Ｂ₁をＯＮすれば母
連遮断器５２Ｂ₁とバイパス回路２による電力系統側と
自家発電系統側との連携運転が可能となる。

【００３２】実施例２ 図４において、瞬時電圧低下対策装置１は母連遮断器５
２Ｂ₁と直列に接続される電力ヒューズ付の半導体開閉
器５２Ｂ₂とこの半導体開閉器を回路から切離すための
遮断器５２Ｂ₃との直列回路と、半導体開閉器５２Ｂ₂と
半導体側遮断器５２Ｂ₃の直列回路をバイパスするバイ
パス遮断器で構成される。通常、半導体開閉器５２Ｂ₂
を半導体側遮断器５２Ｂ₃によって選択し、母連遮断器
５２Ｂ₁と半導体開閉器５２Ｂ₂の直列回路で電力系統側
と自家発電系統側を連携させて運転する。

【００３３】瞬時電圧低下発生時の動作及び瞬時電圧低
下復帰時の動作は実施例１の場合と同様である。

【００３４】半導体開閉器５２Ｂ₂が故障の時は半導体
側遮断器５２Ｂ₃をトリップすると同時にバイパス遮断
器５２Ｂ₄を投入し、連携運転を続行する。

【００３５】なお、上記各遮断器は真空開閉器等の開閉
器とすることができる。また、回路等についても適宜変
更できることはいうまでもない。

【００３６】

【発明の効果】本発明は、上述のとおり構成されている
ので、次に記載する効果を奏する。

【００３７】（１）選択遮断後の重要負荷に対する瞬時
電圧低下対策が低減される。

【００３８】（２）電力側系統の瞬時電圧低下時、高速
選択遮断が可能となるため、発電機出力電圧の低下が少
なく発電装置の運転続行の信頼性がより向上する。

【００３９】（３）高速選択遮断により発電装置への過
負荷時間が短くなるので、慣性モーメント（ＧＤ²）の
小さいエンジンを使用しうる等、発電装置のコストダウ
が可能になる。

【００４０】（４）本装置が万一故障時でも、従来シス
テムでの運転が可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例にかかるコージェネシステムを示す単線
接続図。

【図２】実施例１かかるコージェネシステムの母線連絡
部を示す単線接続図。

【図３】実施例２にかかるコージェネシステムの母線連
絡部を示す単線接続図。

【図４】負荷機器の瞬時電圧低下の影響例を示す説明
図。

【図５】従来例にかかるコージェネシステムを示す単線
接続図。

【図６】発電機瞬時過負荷時の電力、電圧、回転数を示
す線図。

【符号の説明】

１…瞬時電圧低下対策装置 ２…バイパス回路 ５２Ｂ₁…母線連絡（母連）遮断器（発電機同期投入遮
断器） ５２Ｂ₄…バイパス遮断器 ５２Ｇ，５２Ｌ₁〜５２Ｌ₅，５２Ｒ…遮断器 ５２Ｂ₂…半導体開閉器 ＡＧ…発電機 Ｂ₁，Ｂ₂…母線 ＤＳ₁，ＤＳ₂…断路器 Ｌ₁〜Ｌ₅…負荷

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片岡 康夫 東京都品川区大崎２丁目１番17号 株式会 社明電舎内 (72)発明者 小川 吉晴 東京都品川区大崎２丁目１番17号 株式会 社明電舎内 (72)発明者 古口 敏行 東京都品川区大崎２丁目１番17号 株式会 社明電舎内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 半導体開閉器とそのバイパス回路及びこ
   の半導体開閉器とバイパス回路を切り替えて電力系統側
   母線と自家発電設備側母線間の母線連絡遮断器と直列に
   接続させる断路器とからなり、 常時は断路器により半導体開閉器を選択して電力系統側
   と自家発電設備側を連携運転し系統側の停電時等に半導
   体開閉器により瞬時に系統側を解列し、半導体開閉器の
   故障時等にはバイパス回路を用いての連携運転を可能に
   したことを特徴とする瞬時電圧低下対策装置。
2. 【請求項２】 電力系統母線と自家発電設備側母線を連
   絡する母線連絡遮断器に直列に接続される半導体開閉器
   と遮断器からなる直列回路と、この直列回路をバイパス
   するバイパス遮断器とからなり、 常時はバイパス遮断器をオフ状態として電力系統側と自
   家発電設備側を連携運転し系統側の停電時等に半導体開
   閉器により瞬時に系統側を解列し、半導体開閉器の故障
   時にはバイパス回路を用いての連携運転を可能にしたこ
   とを特徴とする瞬時電圧低下対策装置。