JPH06293946A - 微細結晶粒超耐熱合金部材の製造方法 - Google Patents

微細結晶粒超耐熱合金部材の製造方法

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JPH06293946A JP8185693A JP8185693A JPH06293946A JP H06293946 A JPH06293946 A JP H06293946A JP 8185693 A JP8185693 A JP 8185693A JP 8185693 A JP8185693 A JP 8185693A JP H06293946 A JPH06293946 A JP H06293946A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 歪速度の大きい熱間塑性加工条件を制御する
ことで、微細結晶粒の組織を得て、引張強度や疲労強度
の高い超耐熱合金部材の製造方法を提供する。 【構成】 本発明は、金属間化合物を析出する超耐熱合
金を当該金属間化合物の固溶温度以下に加熱して行う仕
上げ鍛造において、結晶粒度ASTMNo.6以上の素
材を用いて、かつ仕上げ鍛造中の被鍛造物の温度が加工
による昇温により当該金属間化合物の固溶温度を越える
ことなく仕上げ鍛造を行うことを特徴とする、結晶粒度
ASTMNo.7以上の微細結晶粒超耐熱合金部材の製
造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主に航空機用ジェット
エンジンおよびガスタービンエンジンのディスク等に用
いられる超耐熱合金部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】前記用途に使用される超耐熱合金部材
は、高温における高い引張強度および疲労強度が要求さ
れるが、結晶粒の微細化はそのための有効な方法であ
る。超耐熱合金部材の結晶粒を微細化するために、加工
と熱処理の組み合わせを厳密に制御する、いわゆる加工
熱処理が種々検討されてきた。特開昭46−6003号
には、インコネル718、インコロイ901、ワスパロ
イ等の超耐熱合金を加工熱処理および再結晶熱処理する
事によりASTMNo.10以上の微細な結晶粒を得る
方法が示されている。ここでは、合金の再結晶温度以上
で安定でかつ結晶粒成長を抑える作用をもつ金属間化合
物を利用する方法が述べられている。
【0003】インコネル718を例にとるとこの金属間
化合物はNi3Nbからなる通常δ相と呼ばれる相であ
り、871〜927℃におけるδ相析出処理後、δ相固
溶温度の996℃以下で鍛造し、δ相固溶温度より14
〜28℃低い温度で固溶化処理を行って、微細結晶粒を
得る方法である。また特開平3−64435には、一次
鍛造を1025〜1100℃で行い、次いで1030℃
以下の温度で二次鍛造を行うことにより前記δ相の析出
処理を省略でき結晶粒度ASTMNo.8以上の微細結
晶粒が得られることが述べられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記方法
を実際の超耐熱合金の製造、特に型打鍛造のような速い
歪速度で大きな鍛造比をかける製造法に適用した場合、
必ずしも部材の全面にわたって微細な結晶粒を得ること
は難しいことがわかってきた。その原因について本発明
者らは種々検討した結果、部分的に結晶粒が粗いところ
では結晶粒成長抑制作用をもつδ相の固溶がかなり進ん
でいることを見いだした。このことは仕上げ鍛造前の加
熱温度がδ相固溶温度以下であるにもかかわらず、鍛造
中に部分的にδ相固溶温度以上に昇温したことを示唆し
ている。
【0005】プレス鍛造のような比較的遅い歪速度の加
工の場合にはこのような加工中の昇温は比較的少ない。
しかし複雑形状の部材をプレス鍛造で仕上げるためには
大容量のプレスを必要とし多額の設備を要するので、比
較的小規模の設備で効率よく生産できる型打鍛造による
製造が望まれている。本発明の目的は、例えば型打鍛造
など歪速度の大きい熱間塑性加工条件を制御すること
で、微細結晶粒の組織を得て、引張強度や疲労強度の高
い超耐熱合金部材の製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の第一は、金属間
化合物を析出する超耐熱合金を当該金属間化合物の固溶
温度以下に加熱して行う仕上げ鍛造において、結晶粒度
ASTMNo.6以上の素材を用いて、かつ仕上げ鍛造
中の被鍛造物の温度が加工による昇温により当該金属間
化合物の固溶温度を越えることなく仕上げ鍛造を行うこ
とを特徴とする、結晶粒度ASTMNo.7以上の微細
結晶粒超耐熱合金部材の製造方法である。本発明の第二
は、金属間化合物を析出する超耐熱合金を当該金属間化
合物の固溶温度以下に加熱して行う仕上げ鍛造におい
て、結晶粒度ASTMNo.6以上の素材を用いて、か
つ仕上げ鍛造過程で鍛造を一旦中断した後再度加熱と鍛
造の過程を少なくとも一回以上行うことを特徴とする、
結晶粒度ASTMNo.7以上の微細結晶粒超耐熱合金
部材の製造方法である。
【0007】本発明の第三は、前記第一および第二の発
明における仕上げ鍛造の少なくとも一部が型打鍛造であ
り、かつ個々の型打鍛造の鍛造比が高さ比で3以下であ
ることを特徴とする、結晶粒度ASTMNo.7以上の
微細結晶粒超耐熱合金部材の製造方法である。本発明の
第四は、前記第一〜三における発明における超耐熱合金
の組成が、C0.1%以下、Si0.5%以下、Mn
0.5%以下、P0.02%以下、S0.02%以下、
Ni40〜60%、Cr15〜25%、Mo2〜4%、
Al0.2〜1.0%、Ti0.5〜1.5%、Nb+
Ta4.0〜6.0%、B0.001〜0.01%、残
部Feおよび不純物からなることを特徴とする、結晶粒
度ASTMNo.7以上の微細結晶粒超耐熱合金部材の
製造方法である。
【0008】
【作用】前述のように本発明の骨子は、仕上げ鍛造中の
被鍛造物の温度が加工による昇温により結晶粒粗大化抑
止作用をもつ金属間化合物の固溶温度を越えることなく
仕上げ鍛造を行うことである。加工による昇温は同一材
料の場合、鍛造比が大きいほど、また歪速度が速いほど
大きくなる。従って、型打鍛造のような高歪速度、高鍛
造比の鍛造法の場合は特に昇温が大である。型打鍛造を
前提としてこれを抑止するには鍛造比を調整することが
必要である。そのための最も簡単な方法は仕上げの鍛造
比を小さくすることである。型打鍛造の場合の鍛造比は
複雑であり正確に表すことは難しいが、円筒形状の素材
からディスク形状の部材を成形する場合の鍛造後のディ
スクの高さに対する鍛造前の円筒の高さの比の値をもっ
て鍛造比とすれば、鍛造比3以下とすることが必要とな
る。
【0009】しかし仕上げの鍛造比が小さいことは、仕
上げ鍛造中および/または続く固溶化処理中における再
結晶による結晶粒微細化のための駆動力が小さいことを
意味する。このために、仕上げ鍛造前の素材の結晶粒も
かなり微細化しておく必要があり、素材の結晶粒度をA
STMNo.6以上に限定した。また用いるインゴット
が小さい場合には型打ち鍛造素材の径も小さなものとな
る。この場合、仕上げの鍛造比をトータルで3以下とす
ることは困難となる。これを一度に鍛造すれば前述のよ
うに加工中の昇温により被鍛造物の温度は部分的にδ相
固溶温度を越えてしまう。従ってこのような場合は仕上
げ鍛造を一度に完了させず、δ相固溶温度に至る前に一
旦鍛造を中断し、再度加熱して鍛造することが必要であ
る。
【0010】なおこの場合、プレス鍛造、型打鍛造を併
用することが可能であるが型打鍛造の場合には個々の鍛
造比を3以下とすることが必要である。さらにこのよう
に仕上げ鍛造を数回に分けて行うことは一度に行う場合
に比べて、仕上げ鍛造中および/または続く固溶化処理
中における再結晶による結晶粒微細化のための駆動力が
小さいため、素材の結晶粒度はASTMNo.6以上に
微細化しておくことが必要である。
【0011】ここで述べた製造方法は、金属間化合物を
析出する超耐熱合金であれば、合金組成にかかわらず適
用できる。特にこの方法が有効なのは、C0.1%以
下、Si0.5%以下、Mn0.5%以下、Ni40〜
60%、Cr15〜25%、Mo2〜4%、Al0.2
〜1.0%、Ti0.5〜1.5%、Nb+Ta4.0
〜6.0%、B0.001〜0.01%、残部Feおよ
び不純物からなる合金(インコネル718)に適用した
場合である。
【0012】
【実施例】表1に示す組成(重量%)の超耐熱合金を溶
製し、分塊鍛造により直径150mmの棒とし、鍛造素
材として用いた。これを仕上げ鍛造により直径300m
m、高さ50mmのディスク形状に仕上げた。この際、
表2に示すように鍛造素材の高さを変えることにより、
鍛造比を調節した。表2に本発明および比較例における
素材の結晶粒度、仕上げ鍛造条件と得られたディスクの
結晶粒度および機械的性質を示す。素材の結晶粒度はA
STMNo.6.5であるが、比較例2に対しては熱処
理によりこれを意図的にNo.4.5まで粗くして用い
た。疲労試験は、500℃において回転曲げ疲労試験に
より107回の疲労強度を求めた。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】本発明によればいずれも結晶粒度No.
7.0以上の微細結晶粒が得られ、しかも場所による差
はほとんどない。また機械的性質も良好である。一方、
比較例の1は、一回の鍛造で鍛造比3.5をかけたた
め、中心部がδ相固溶温度以上に昇温してしまい微細結
晶粒が得られていない。また比較例2においては鍛造条
件は本発明条件に合致しているが、素材の結晶粒度がN
o.4.5と粗かったために製品の結晶粒度は均一では
あるがNo.7以上には至っていない。また比較例3
は、結晶粒度No.6.5の素材を用いたものの鍛造加
熱温度がδ相固溶温度以上であったため、加熱中に結晶
粒が粗大化してしまい最終部材で微細結晶粒を得ること
ができなかった。これら比較例における機械的性質は、
いずれも結晶粒が粗いために、本発明よりも低い値を示
している。
【0016】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば従来
困難であった微細結晶粒超耐熱合金部材が型打鍛造によ
り効率よく製造でき、引張り強度、疲労強度の高い超耐
熱合金部材を得ることが可能である。
フロントページの続き (72)発明者 遠山 文夫 島根県安来市安来町2107番地の2 日立金 属株式会社安来工場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属間化合物を析出する超耐熱合金を当
    該金属間化合物の固溶温度以下に加熱して行う仕上げ鍛
    造において、結晶粒度ASTMNo.6以上の素材を用
    いて、かつ仕上げ鍛造中の被鍛造物の温度が加工による
    昇温により当該金属間化合物の固溶温度を越えることな
    く仕上げ鍛造を行うことを特徴とする、結晶粒度AST
    MNo.7以上の微細結晶粒超耐熱合金部材の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 金属間化合物を析出する超耐熱合金を当
    該金属間化合物の固溶温度以下に加熱して行う仕上げ鍛
    造において、結晶粒度ASTMNo.6以上の素材を用
    いて、かつ仕上げ鍛造過程で鍛造を一旦中断した後、再
    度加熱と鍛造の過程を少なくとも一回以上行うことを特
    徴とする、結晶粒度ASTMNo.7以上の微細結晶粒
    超耐熱合金部材の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1および2における仕上げ鍛造の
    少なくとも一部が型打鍛造であり、かつ個々の型打鍛造
    の鍛造比が高さ比で3以下であることを特徴とする、結
    晶粒度ASTMNo.7以上の微細結晶粒超耐熱合金部
    材の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3における超耐熱合金の組成
    が、C0.1%以下、Si0.5%以下、Mn0.5%
    以下、Ni40〜60%、Cr15〜25%、Mo2〜
    4%、Al0.2〜1.0%、Ti0.5〜1.5%、
    Nb+Ta4.0〜6.0%、B0.001〜0.01
    %、残部Feおよび不純物からなることを特徴とする、
    結晶粒度ASTMNo.7以上の微細結晶粒超耐熱合金
    部材の製造方法。
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