JPH06293705A - 新規ポリフルオロ炭化水素基含有モノマー、その重合体、およびその用途 - Google Patents

新規ポリフルオロ炭化水素基含有モノマー、その重合体、およびその用途

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JPH06293705A
JPH06293705A JP16422793A JP16422793A JPH06293705A JP H06293705 A JPH06293705 A JP H06293705A JP 16422793 A JP16422793 A JP 16422793A JP 16422793 A JP16422793 A JP 16422793A JP H06293705 A JPH06293705 A JP H06293705A
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acrylates
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JP16422793A
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Takashige Maekawa
隆茂 前川
Ryoko Osawa
良子 大澤
Takashi Kamata
俊 鎌田
Seisaku Kumai
清作 熊井
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】Rf-(CH2)n-Q-(CH2)h -φ-[X-φ-]y-(CH2)mOC
(O)CR=CH2 で表されるポリフルオロ炭化水素基含有アク
リレート類[ただし、Rf はポリフルオロ炭化水素基、
φはパラ−フェニレン基、Rは水素原子、メチル基、ま
たはハロゲン原子、Qは酸素原子またはイオウ原子、n
は1〜22の整数、hは0〜22の整数、mは1〜11
の整数、yは0〜5の整数、Xは単結合、-CH=CH- 、-N
=CH-、-CH=N-、または-C(O)-]、その重合体、およびそ
の重合体を有効成分とする撥水撥油剤や表面改質剤。 【効果】撥水撥油性およびその耐久性あるいはその長期
維持性、さらに溶媒溶解性や樹脂との相溶性が改良され
たポリマーが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なポリフルオロ炭化
水素基含有のアクリレート類、その重合体、およびその
重合体を有効成分とする剤に関する。
【0002】
【従来の技術】撥水撥油剤や表面改質剤としてポリフル
オロアルキル基を有するポリマーは公知である。このポ
リマーを形成するモノマーとしては、ポリフルオロアル
キルエチルアルコールのアクリル酸エステルをはじめと
して種々のポリフルオロアルキル基含有アクリレート類
が広く知られている。ベンゼン環を有するポリフルオロ
アルキル基含有モノマー類も公知である。ベンゼン環を
2個以上有する含フッ素モノマー類も公知である。
【0003】従来、ベンゼン環を有するポリフルオロア
ルキル基含有モノマー類としてポリフルオロアルキルス
チレン誘導体(CH2=CH-Ph-CH2OCHR1R2、Phはフェニレン
基)が公知である。R1 が直鎖状パーフルオロアルキル
基であるもの(特開昭61−293943号公報参
照)、または接着性を改善する目的でR1 がパーフルオ
ロアルキルポリエーテル基であるモノマーを用いたもの
(特開平3−112938号公報参照)等が公知であ
る。また、液晶性を発現させる目的でベンゼン環を2個
以上有する特定構造のメタクリレートあるいはアクリレ
ート系モノマー類(USP5087672号明細書参
照)も公知である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これらのスチレン系モ
ノマーのポリマーは主鎖に直接ベンゼン環が結合するた
め本質的に剛直なポリマーであり、基材との接着性や密
着性の面で実用上充分ではない。さらにその剛直な主鎖
部分は側鎖部分の配向を阻害し、特にこれらのポリマー
を表面改質剤としての用途に用いた場合、ポリフルオロ
アルキル基による表面改質効果(特にその持続性の面)
は満足できるレベルとはならない。
【0005】一方、スチレン系モノマーに比較してアク
リル系モノマーは柔軟な主鎖骨格を有するポリマーを形
成することができる。アクリル系モノマーのポリマーは
スチレン系モノマーのポリマーに比較して接着性、密着
性の改善は容易であるが、ポリフルオロアルキル基を効
率的に配向させ、フッ素原子の表面改質効果を効率化す
るという観点からはいまだ充分とはいえず、特に表面改
質剤分野においてはその改善が望まれていた。また、前
述のUSP5087672号明細書記載のモノマーは、
液晶性を発現させる目的でなされており、本発明のよう
な撥水撥油性を発現するような構造ではない。
【0006】また、この種のアクリル系モノマーの重合
した単位を多量に含有するポリマーでは、石油系溶媒や
炭化水素系溶媒に対する溶解性が乏しく、溶剤型あるい
は水分散型等の表面改質剤として商品化する際の諸問題
となっていた。さらに汎用樹脂にこの種のポリマーを練
り込んで樹脂の表面改質を行う場合、フッ素含有ポリマ
ーは通常低相溶性のため均一に配合することが困難であ
り、期待した効果が得られないという諸問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、従来のポリフ
ルオロアルキル基含有ポリマーの諸問題である撥水撥油
性性能とその持続性、基材との密着性、接着性、さらに
炭化水素系溶剤に対する溶解性、汎用樹脂に対する相溶
性を改良する目的でなされたものである。本発明は、こ
のようなポリマーを形成することのできる新規なモノマ
ー、そのモノマーの重合体、その重合体の製造方法、お
よびその重合体を有する剤に関する発明である。
【0008】式(1)で表されるポリフルオロ炭化水素
基含有のアクリレート類。 Rf-(CH2)n-Q-(CH2)h -φ-[X-φ-]y-(CH2)mOC(O)CR=CH2 ・・・(1)
【0009】ただし、 Rf :フッ素原子が結合した炭素原子の数が2〜22個
で、かつ炭素原子の一部がエーテル性酸素原子で置換さ
れていてもよい、ポリフルオロ炭化水素基、 φ:フッ素および塩素から選ばれるハロゲン原子が1以
上置換していてもよいパラ−フェニレン基(ただし、1
分子中に複数のφが存在する場合、複数のφは互いに異
なっていてもよい)、 R:水素原子、メチル基、フッ素原子、塩素原子、また
は臭素原子、 Q:酸素原子またはイオウ原子、 X:単結合、-CH=CH- 、-N=CH-、-CH=N-、または-C(O)
-、
【0010】n:1〜22の整数、 h:0〜22の整数、 m:1〜11の整数、 y:0〜5の整数。
【0011】本発明のポリフルオロ炭化水素基含有アク
リレート類は、そのポリフルオロ炭化水素(Rf で表
す)基として種々のRf 基を採用することができる。こ
のRf基はフッ素原子が結合した炭素原子を2〜22個
有することが必要であり、4〜18個有することが好ま
しく、さらに好ましくは6〜14個有する。フッ素原子
の数は、未置換炭化水素基の水素原子の数に対する置換
フッ素原子の数の割合(置換率)で表して60%以上、
特に80%以上であることが好ましい。水素原子の残り
の一部ないし全部は塩素原子で置換されていてもよい。
最も好ましいRf基は未置換炭化水素基の水素原子の全
てがフッ素原子に置換されたパーフルオロ炭化水素基で
ある。
【0012】Rf 基としてはポリフルオロアルキル基が
好ましい。このポリフルオロアルキル基は少数の分岐を
有していてもよいが、好ましくは直鎖状のポリフルオロ
アルキル基である。分岐を有するポリフルオロアルキル
基の場合、その分岐部分は短鎖でありかつポリフルオロ
アルキル基末端やその近傍に存在していることが好まし
い。最も好ましいポリフルオロアルキル基は、CF3(CF2)
k-で表される直鎖状パーフルオロアルキル基である(た
だし、kは1〜21の整数)。特に好ましいこの直鎖状
パーフルオロアルキル基の炭素数(k+1)は6〜14
である。
【0013】ポリフルオロアルキル基以外のRf 基とし
ては炭素−炭素不飽和二重結合などの不飽和基を1以上
有する鎖状ポリフルオロ炭化水素基であってよい。また
f基はポリフルオロアルキル基の炭素原子の一部がエ
ーテル性酸素原子で置換されているポリフルオロオキサ
アルキル基であってもよい。特に、パーフルオロオキシ
プロピレン基を1以上有するポリフルオロオキサアルキ
ル基(特にパーフルオロオキサアルキル基)が好まし
い。この場合の炭素数は酸素原子に置換される前の炭素
原子を含め6〜18であることが好ましい。
【0014】具体的なRf 基としては、例えば次のRf
基があるが、これに限られるものではない。CF3(CF2)
7-、CF3(CF2)9-、CF3(CF2)11- 、HCF2(CF2)7- 、ClCF
2(CF2)9-、CF3(CF2)3(CH2CF2)7- 、CF3(CF2)3(CFClCF2)
7-、(CF3)2CF(CF2)4- 、CF3CF=CFCF2CF=CF- 、C3F7O-{C
F(CF3)CF2O}i-CF(CF3)- 、C3F7O-{CF(CF3)CF2O}i-(CF2)
j-[ただし、iは1〜4の整数、jは2〜6の整数]。
【0015】φはパラ−フェニレン基、即ち1,4−フ
ェニレン基、である。このフェニレン基の4個の水素原
子の一部ないし全部はフッ素および塩素から選ばれるハ
ロゲン原子で置換されていてもよい。好ましいφは置換
されていないパラ−フェニレン基である。また、φが1
分子中に複数個存在する場合は、複数のφは互いに異な
っていてもよい。たとえば、1分子中に2個のφを有す
る化合物において、一方のφがパラ−フェニレン基であ
り、他方のφがハロゲン置換パラ−フェニレン基である
場合があってよい。
【0016】Rは水素原子またはメチル基であることが
好ましい。即ち、式(1)で表されるアクリレート類と
しては、アクリレート誘導体であるかまたはメタクリレ
ート誘導体であることが好ましい。また、Qは酸素原子
であることが好ましい。
【0017】nは1〜22の整数であることが必要であ
り、ポリフルオロ炭化水素基の配向性を考慮すると1〜
11程度が好ましい。より好ましいnは1〜4の整数で
ある。hは0〜22の整数であり、0〜4程度が好まし
い。さらに好ましくは合成上の簡便さから0〜2であ
り、特に0〜1である。mは1〜11の整数であること
が必要であり、好ましくは2〜4の整数である。1分子
中のφの数を表すyは、0〜5の整数であることが必要
であり、好ましいyは0〜1である。1分子中に複数の
φが含有される場合のφ同士の結合部分がXである。X
としては、単結合、-CH=CH- 、-N=CH-、-CH=N-、または
-C(O)-から選ばれる。好ましいXは-CH=N-または-C(O)-
である。
【0018】本発明のポリフルオロ炭化水素基含有アク
リレート類はたとえば以下の方法で合成することができ
る。即ち、Rf-(CH2)n-Q-(CH2)h -φ-[X-φ-]y-(CH2)mOH
で表されるアルコールとHOC(O)CR=CH2で表されるアクリ
ル酸類あるいはその反応性誘導体とを反応させて合成で
きる。上記アルコールは、たとえば、パラ位にRf-(CH2)
nO(CH2)h- 基を有するスチレン誘導体のビニル基を2−
ヒドロキシエチル基に変換して得られる。このようなR
f 基を有するスチレン誘導体は、たとえば前記公知例に
記載されている。あるいはhが0であるアルコール、た
とえば、Rf-(CH2)n-O-φ-[X-φ-]y-(CH2)mOHは、Rf-(CH
2)nZ(Zは塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を表
す)を塩基性条件下でフェノール性水酸基を含有するア
ルコール、即ち、 HO-φ-[X-φ]y-(CH2)mOH と反応させ
ることにより得られる。Qがイオウ原子である化合物も
対応する HS-基を有する化合物から同様に得られる。
【0019】本発明はまた、式(1)で表されるポリフ
ルオロ炭化水素基含有アクリレート類の重合体またはそ
れと共重合性の他のモノマーとの共重合体、およびその
製造方法である。
【0020】本発明のポリフルオロ炭化水素基含有アク
リレート類は、公知のポリフルオロ炭化水素基含有アク
リレート類と同様な方法により重合してホモポリマーや
コポリマーである重合体(以下、2種以上のモノマーの
コポリマーを含めてポリマーという)を製造することが
できる。その際、本発明のポリフルオロ炭化水素基含有
アクリレート類としては種類の異なる2以上の化合物の
混合物を使用することもできる。たとえばRf 基の炭素
数のみが異なる2以上の化合物の混合物の使用が好まし
い。特にCF3(CF2)k-のkのみが異なる2以上のパーフル
オロアルキル基含有アクリレート類の混合物の使用が好
ましい。
【0021】重合体としてはさらに本発明のポリフルオ
ロ炭化水素基含有アクリレート類と共重合しうる種々の
他の共重合性モノマー(以下コモノマーという)とのコ
ポリマーである重合体(以下本発明のモノマーとコモノ
マーの重合体をコポリマーという)であってもよい。本
発明のモノマーの特性を利用しポリマーの物性をさらに
改良する目的でコモノマーの種類や共重合量を調整し
て、より優れたコポリマーとすることが可能である。コ
モノマーとしては特に限定されず、種々のコモノマーを
使用することができ、また2種以上を併用することもで
きる。なお、以下(メタ)アクリレートとは、アクリレ
ートとメタクリレートの両者を意味し、(メタ)アクリ
ル酸、(メタ)アクリルアミド等も同様である。
【0022】コモノマーとしては、たとえば、オレフィ
ン類、ビニルエステル類、ハロゲン化ビニル類、(メ
タ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸類、(メタ)ア
クリレート類、(メタ)アルリロニトリル類、(メタ)
アクリルアミド類、スチレン類、ビニルエーテル類、不
飽和多価カルボン酸、その無水物、エステルなどの不飽
和多価カルボン酸類、本発明のポリフルオロ炭化水素基
含有アクリレート類以外のポリフルオロ炭化水素基含有
(メタ)アクリレートなどのポリフルオロ炭化水素基含
有モノマー、等がある。
【0023】好ましいコモノマーとしては、炭素数4以
上の直鎖飽和アルキル基を有する(メタ)アクリレート
類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビ
ニルエステル類が挙げられる。さらにこれらのコモノマ
ーは水酸基、アミノ基、スルホン酸基、カルボキシル基
等の官能基を含有していてもよい。さらに塩化ビニル、
エチレン、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニ
リデン、クロロトリフルオロエチレン等の通常共重合可
能なエチレン系モノマーを用いてもよい。
【0024】本発明のモノマーとコモノマーとを共重合
するにあたって、全モノマーに対する本発明のモノマー
の割合は本発明のモノマーの特徴を発揮しうる有効量
(通常約2モル%)以上であることが好ましい。好まし
くは10モル%以上、特に15モル%以上が適当であ
る。上限は特にないが、好ましいコモノマーを使用する
意義からは85モル%、さらに好ましくは75モル%程
度が適当である。したがって、重合体中の本発明モノマ
ーが重合した単位の割合は、重合体中の重合した全モノ
マー単位に対して特に15モル%以上が適当である。
【0025】ポリマーやコポリマーの分子形態としては
通常のラジカル重合法により得られるランダム重合体の
他、多段回の重合により得られるブロック重合体やグラ
フト重合体であってもよい。ポリマーやコポリマーの分
子量は特に限定されず、たとえば約1000程度のオリ
ゴマー領域から100万程度の高重合体領域までの広い
範囲のものであってよい。好ましい分子量は1000〜
50万である。
【0026】本発明のポリマーは、有機溶媒を用いた溶
液重合法、水を分散媒とする分散重合法、乳化重合法等
通常の重合手法を用いることが可能であり特に限定はさ
れない。乳化重合法としては通常の一括仕込による重合
方法のほかシード重合等の多段回重合も特に限定なく使
用される。本発明のポリマーの特徴の1つは石油系炭化
水素有機溶媒に対する親和性が高いという点にある。し
たがって、このポリマーは炭化水素系溶媒を多量に含有
する有機溶媒に対する溶解性も従来のポリマーに比較し
て向上している。よって、重合媒体としてこのような有
機溶媒を使用でき、また以下のこのポリマーを含む剤に
おいてもこのような有機溶媒を使用することができる。
【0027】本発明のポリマーやコポリマー(以下両者
を単にポリマーと総称する)を剤として使用する場合、
本発明のポリマーをそのままの形態で用いることは勿
論、溶液、分散液、あるいは乳化液の形態で用いること
もできる。また、この剤には本発明のポリマー以外のポ
リマーや他の添加剤を配合することができる。本発明の
ポリマー以外のポリマーとしては前記コモノマーの単独
重合体や共重合体がある。また、縮合系重合体や縮合系
重合体となりうる化合物がある。ポリマー以外の添加剤
としては、溶媒や分散媒は勿論、たとえば安定剤、界面
活性剤などの化学剤がある。
【0028】本発明はまた上記剤、特に前記ポリマーを
有効成分とする繊維用撥水撥油剤と表面改質剤である。
【0029】撥水撥油剤として用いられるポリマーは本
発明のポリマー単独は勿論、本発明のポリマーを主成分
として含有する2種以上のポリマーのブレンド物でもよ
い。ブレンドするポリマーとしては、本発明のポリマー
が他のポリマーとの相溶性に優れているため、たとえば
ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステ
ル、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等汎用
のポリマーや樹脂が特に限定なく用いられる。また、こ
の本発明のポリマーと他のポリマーとを含む組成物も撥
水撥油剤、表面改質剤、その他の用途に有用であり、組
成物中の本発明ポリマーの量は本発明ポリマーに基く効
果の発揮できる有効量であるかぎり特に制限されるもの
ではない。
【0030】本発明の撥水撥油剤や表面活性剤の使用形
態としては上述の水分散体、有機溶剤分散体、溶液等を
被処理物表面に塗布したり、先に示した重合法により得
られたポリマーを樹脂中に練り込んでもよく、特にその
使用形態は限定されない。
【0031】本発明の撥水撥油剤や表面活性剤で処理さ
れる対象製品としては、その素材として天然、合成繊維
およびその混紡繊維等からなる繊維製品のほか金属、ガ
ラス、樹脂成形体、樹脂フィルム等の物品が特に限定な
く用いられる。特に本発明のポリマーを用いることによ
り、より高い撥水撥油性およびその維持性が要求される
作業用衣料、ユニフォーム、濾過材料としての用途へも
展開可能である。さらに撥水撥油性の他、低表面張力
性、低摩擦性、低粘着性を生かした表面改質剤としても
応用可能である。
【0032】本発明のモノマーはその構造に分子レベル
で配向しやすいベンゼン環を含有しているためその先端
部に位置するポリフルオロアルキル基の配向が助けられ
る結果、高い表面改質効果、およびその維持性が達成さ
れるものと考えられる。また従来から知られているポリ
フルオロアルキルアクリレート系ポリマーに比較してこ
のポリマーは、低いフッ素濃度でも充分なポリフルオロ
アルキル基側鎖の配向が実現されるため、従来のこの種
のポリマーの諸問題であった有機溶媒に対する親和性、
あるいは他の樹脂との相溶性が向上している。
【0033】以下実施例を用いて説明するが本発明はこ
れらに限定されるものではない。なお評価方法は以下の
方法を採用した。 融点測定:JIS K7121−1987記載の方法に
したがって示差走査熱量測定(DSC)により測定し
た。 動的接触角測定:25℃における水とポリマーコーティ
ングされたスライドグラスの動的接触角をオリエンテッ
ク社製DCA−20を用い移動速度30mm/秒で測定
した。 撥水性:JIS L1092 撥油性:AATCC 118−1978 ただし、撥水性、撥油性の数値に+を付したものはその
数値よりも多少高いこと、−を付したものはその数値よ
りも多少低いことを意味する。
【0034】
【実施例】
[実施例1]500ml四つ口フラスコに n-C8F17CH2O
CH2-C6H4-CH=CH2 [ただし、-C6H4-はパラ−フェニレン
基を表す、以下同様]9.6g(16.6mmol)と
乾燥THF(テトラヒドロフラン)20mlを装入し、
0℃に冷却した。次いで滴下漏斗よりボラン−ジメチル
スルフィド錯体(10M)1.5mlを徐々に滴下し
た。室温で3時間撹拌した後、水5mlをゆっくり滴下
し、その後3M水酸化ナトリウム水溶液20mlと30
%過酸化水素水50mlを加えてそのまま一晩撹拌し
た。
【0035】有機層をR−113(1,1,2−トリク
ロロトリフルオロエタン)で抽出した後溶媒留去したと
ころ、10.0gの粗生成物が得られた。これは1級ア
ルコール n-C8F17CH2OCH2-C6H4-CH2CH2OH 、および2級
アルコール n-C8F17CH2OCH2-C6H4-CH2(OH)CH3 が85/
15(モル比)の割合からなる混合物であった。ヘキサ
ンで再結晶し、純度95%の1級アルコール5.4g
(9.2mmol)を得た。
【0036】100ml四つ口フラスコに、得られた上
記1級アルコール n-C8F17CH2OCH2-C6H4-CH2CH2OH を
5.4g(9.2mmol)、R−113を20ml、
トリエチルアミンを1.1g仕込み、0℃に冷却した。
ここにアクリル酸クロリド1.0gを徐々に滴下した
後、室温で2時間撹拌した。反応液をグラスフィルター
を用いて濾過した後、濾液から溶媒を留去した。固形分
を水洗後、粗生成物4.0gを得た。粗生成物をエタノ
ールから再結晶し、目的とする n-C8F17CH2OCH2-C6H4-C
H2CH2O-C(O)CH=CH2 (以下「F8」という)2.6g
(4.0mmol)を得た。
【0037】1H-NMR(TMS,CDCl3) :2.86ppm(2H,t,J=7.1H
z),3.95(2H,t,J=10.0Hz),4.40(2H,t,J=7.1Hz),4.64(2H,
S),5.75-6.50(3H,m),7.25(4H,S)19 F-NMR(CFCl3,CDCl3):-81.4ppm(3F,t,J=7.6Hz),-119.
8ppm(2F,S),-122.5 〜-123.6ppm(10F,m),-126.6ppm(2F,
S).
【0038】[実施例2]100mlのガラス製耐圧反
応器に実施例1で合成したF8を2.6g、R−113
を20.0g、アゾビスイソブチロニトリルを0.07
g加えて凍結脱気後、気相を窒素置換し、65℃で12
時間重合した。得られたポリマーをエタノールで再沈、
精製したところ白色微粉末ポリマー2.1gが得られ
た。ポリマーのDSC測定を行ったところ89℃および
121℃の2点に側鎖部分の凝集構造の融点に相当する
ピークが確認された。分子量はGPC測定により重量平
均分子量約20万であることが確認された。また、この
ポリマーをTHFに5重量%となる割合の量添加したと
ころ、完全に溶解した。以下、このポリマーを「P−F
8」と表し、同様にして他のポリマーの略号もモノマー
の略号の前にP−を付して表す。
【0039】[実施例3〜6]原料以外は実施例1と同
様の方法を用いてF8にかえて次の略号で示すモノマー
を合成し、それを用いる以外は実施例2と同様の方法で
ポリマーを合成し結晶部融点を測定した。その分子量と
結晶融点を表1に示す。
【0040】F7:n-C7F15CH2OCH2-C6H4-CH2CH2O-C(O)
CH=CH2 F10:n-C10F21CH2OCH2-C6H4-CH2CH2O-C(O)CH=CH2 FPO:n-C3F7O[CF(CF3)CF2O]2CF(CF3)CH2OCH2-C6H4-C
H2CH2O-C(O)CH=CH2 F8H:n-C8F17C2H4OCH2-C6H4-CH2CH2O-C(O)CH=CH2
【0041】
【表1】
【0042】[実施例7]200ml四つ口フラスコに
n-C6F13(CH2)4I 20.0g(39.8mmol)、2
−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアルコール5.5
g(39.8mmol)、および水酸化ナトリウム2.
0gと乾燥ジグライム50mlを装入し、110℃で4
時間撹拌した。反応混合物を冷水500ml中に投入し
た後、固形物を遠心分離した。得られた固形物を水で洗
浄し、n-C6F13(CH2)4-O-C6H4-C2H4OH 17.3gを得た
(純度95%、収率84%)。
【0043】100ml四つ口フラスコに、得られた上
記1級アルコールn-C6F13(CH2)4-O-C6H4-C2H4OH を1
5.0g(29.2mmol)、R−113を20m
l、トリエチルアミンを3.3g仕込み、0℃に冷却し
た。ここにアクリル酸クロリド2.9gを徐々に滴下し
た後、室温で2時間撹拌した。反応液をグラスフィルタ
ーを用いて濾過した後、濾液から溶媒を留去した。固形
分を水洗後、粗生成物12.0gを得た。粗生成物をメ
タノールから再結晶し、目的とする n-C6F13(CH2)4-O-C
6H4-C2H4OC(O)CH=CH2 (以下「F6H4」という)8.
9gを得た。
【0044】1H-NMR(TMS,CDCl3) :1.50-2.52ppm(6H,m),
2.92(2H,t,J=7.07Hz),3.80-4.10(2H,m),4.33(2H,t,J=7.
15Hz),5.70-6.60(3H,m),6.82(2H,d,J=8.95Hz),7.14(2H,
d,J=8.95Hz) .19 F-NMR(CFCl3,CDCl3):-81.3ppm(3F,t,J=7.6Hz),-114.
9ppm(2F,broad S),-122.3 〜-124.0ppm(6F,m),-126.7pp
m(2F,broad S) .
【0045】[実施例8]100mlのガラス製耐圧反
応器に実施例7で合成したF6H4を6.0g、R−1
13を20.0g、アゾビスイソブチロニトリルを0.
09g加えて凍結脱気後、気相を窒素置換し、65℃で
12時間重合した。得られたポリマーをエタノールで再
沈、精製したところ白色微粉末ポリマー5.7gが得ら
れた。ポリマーのDSC測定を行ったところ117℃お
よび144℃の2点に側鎖部分の凝集構造の融点に相当
するピークが確認された。分子量はGPC測定により重
量平均分子量約15万であることが確認された。また、
このポリマーをTHFに5重量%となる割合の量添加し
たところ、完全に溶解した。
【0046】[実施例9〜10]原料以外は実施例7と
同様の方法を用いてF6H4にかえて次の略号で示すモ
ノマーを合成し、それを用いる以外は実施例8と同様の
方法でポリマーを合成し結晶部融点を測定した。その分
子量と結晶融点を表2に示す。
【0047】F8H4:n-C8F17(CH2)4-O-C6H4-CH2CH2O
-C(O)CH=CH2 FPOH4:n-C3F7OCF(CF3)CF2OC2F4C4H8-O-C6H4-CH2C
H2O-C(O)CH=CH2
【0048】
【表2】
【0049】[実施例11]水分離器を装着した300
ml四つ口フラスコにパラクロロメチルベンズアルデヒ
ド15g(100mmol)、エチレングリコール7.
4g(120mmol)、およびパラトルエンスルホン
酸0.8gと乾燥トルエン100mlを装入し、トルエ
ンの還流温度下15時間撹拌したところ水約2mlが分
離された。反応混合物からトルエンを減圧除去した後、
エーテルを加え、1%炭酸ナトリウム水溶液で有機層を
洗浄した。有機層を乾燥した後、エーテルを減圧留去し
たところ、液体18.4g(純度94%、収率92%)
を得た。液体は、パラクロロベンズアルデヒドのアセタ
ール化物であった。
【0050】500ml四つ口フラスコに得られたアセ
タール化物9.0g、n-C8F17CH2OH20.4g(45.
3mmol)、30%水酸化ナトリウム水溶液20m
l、THF 50ml、R−113 50ml、80%
トリオクチルアンモニウムクロリド水溶液2mlを装入
し、60℃で、20時間反応させた。水200mlを加
え、有機層を分離した。水層をR−113で抽出し、先
の有機層と併せた。有機層に、濃塩酸水溶液を150m
l加え、30分撹拌した後、分液し、有機層を除去した
ところ、含フッ素アルデヒドn-C8F17CH2OCH2-C6H4-CHO
が、22.8g得られた(純度88%、収率89%)。
【0051】この含フッ素アルデヒド誘導体の全量を1
00mlのTHFに溶解し、ここにパラアミノフェニル
エチルアルコール5.5gのTHF溶液120mlをゆ
っくりと加え、室温で1時間反応させた。THFを減圧
留去し、得られた固形物をメタノールで3回洗浄したと
ころ、純度92.5%の含フッ素イミン誘導体n-C8F17C
H2OCH2-C6H4-CH=N-C6H4-C2H4-OH が20.4g得られた
(収率74%)。
【0052】100ml四つ口フラスコに、得られた上
記含フッ素イミン誘導体n-C8F17CH2OCH2-C6H4-CH=N-C6H
4-C2H4-OH を17.4g(25.3mmol)、R−1
13を20ml、トリエチルアミンを3.8g仕込み、
0℃に冷却した。ここにアクリル酸クロリド2.5gを
徐々に滴下した後、室温で2時間撹拌した。反応液をグ
ラスフィルターを用いて濾過した後、濾液から溶媒を留
去した。固形分を水洗後、粗生成物18.0gを得た。
粗生成物をメタノールから再結晶し、目的とするn-C8F
17CH2OCH2-C6H4-CH=N-C6H4-C2H4-OCOCH=CH2(以下「F
8IM」という)16.1g(21.7mmol)を得
た(収率86%)。
【0053】1H-NMR(TMS,CDCl3) :3.00ppm(2H,t),4.00
ppm(2H,t),4.40ppm(2H,t),4.75ppm(2H,S),5.75-6.55ppm
(3H,m),7.15-7.35ppm(4H,m),7.45ppm(2H,d),7.90ppm(2
H,d),8.50ppm(1H,s) .19 F-NMR(CFCl3,CDCl3,R-113):-81.3ppm(3F,t,J=7.6H
z),-119.8ppm(2F,broadS), -122.3〜-124.0ppm(10F,m),
-126.7ppm(2F,broad S).
【0054】[実施例12]100mlのガラス製耐圧
反応器に実施例11で合成したF8IMを3.0g、メ
チルアクリレート3.0g、R−113を20.0g、
アゾビスイソブチロニトリルを0.09g加えて凍結脱
気後、気相を窒素置換し、65℃で12時間重合した。
得られたポリマーをエタノールで再沈、精製したところ
白色微粉末ポリマー5.1gが得られた。ポリマーのD
SC測定を行ったところ96℃に側鎖部分の凝集構造の
融点に相当するピークが確認された。分子量はGPC測
定により重量平均分子量約8万であることが確認され
た。
【0055】[実施例13]原料以外は実施例11と同
様の方法を用いてF8IMにかえて次の略号で示すモノ
マーを合成し、それを用いる以外は実施例12と同様の
方法でメチルアクリレートとのコポリマーを合成し結晶
部融点を測定した。その分子量と結晶融点を表3に示
す。
【0056】F7IM:n-C7F15CH2OCH2-C6H4-CH=N-C6H
4-C2H4-OCOCH=CH2
【0057】
【表3】
【0058】[実施例14]200ml四つ口フラスコ
にマグネシウム0.6g、乾燥THFを20ml装入し
た。ここにブロモプロパンを1滴滴下し、マグネシウム
を活性化した後に、滴下漏斗からパラブロモベンジルア
ルコールのt−ブチルジメチルシリルエーテル化物5.
1g(16.9mmol)の乾燥THF溶液10ml
を、反応温度を30℃に保ちながら滴下した。滴下終了
後、30℃で1時間撹拌した後、実施例11で得られた
含フッ素アルデヒドn-C8F17CH2OCH2-C6H4-CHO 9.6g
(16.9mmol)の乾燥THF溶液20mlを徐々
に滴下した。室温で5時間反応させた後、反応物を水2
00ml中に投入し、R−113で抽出した。溶媒を留
去したところ、粗生成物11.3gが得られた。構造解
析を行ったところ、カップリング生成物であるn-C8F17C
H2OCH2-C6H4-CH(OH)-C6H4-CH2OSi(CH3)2(t-Bu)が主成分
であった。
【0059】500ml四つ口フラスコに先に得られた
カップリング生成物11.3g、乾燥塩化メチレン10
0mlを装入し、ここにピリジニウムクロロクロメート
を2.8g徐々に添加した。室温で1時間反応させた
後、5%炭酸ナトリウム水溶液100mlを加えて有機
層を分液した。有機層を別途準備した還流器付きのフラ
スコに装入し、ここにTHF20ml、濃塩酸20ml
を入れ、60℃で2時間反応させた。反応物を室温にま
で冷却し、R−113を加えて有機層を分液した。溶媒
留去後、得られた固形物をメタノールから再結晶し、1
級アルコールn-C8F17CH2OCH2-C6H4-C(O)-C6H4-CH2OH を
5.8g得た。
【0060】得られた1級アルコールは、アクリル酸ク
ロリドおよびトリエチルアミンにより、エステルn-C8F
17CH2OCH2-C6H4-C(O)-C6H4-CH2OC(O)CH=CH2(以下「F
8BP」という)に変換した(収量5.0g)。
【0061】[実施例15]100mlのガラス製耐圧
反応器に実施例14で合成したF8BPを3.0g、メ
チルアクリレート3.0g、R−113を20.0g、
アゾビスイソブチロニトリルを0.09g加えて凍結脱
気後、気相を窒素置換し、65℃で12時間重合した。
得られたポリマーをエタノールで再沈、精製したところ
白色微粉末ポリマー4.8gが得られた。分子量はGP
C測定により重量平均分子量約8.5万であることが確
認された。
【0062】[実施例16] 温水浸漬後の動的後退角 実施例2で得たP−F8のホモポリマーをR−113に
30℃で溶解し(固形分濃度1重量%)この温度を保ち
ながらスライドグラスにポリマー溶液を50mm/分の
速度でコーティングした。このスライドグラスを150
℃で30分熱風乾燥した後、ウィルヘルミー法(オリエ
ンテック社製動的表面張力測定装置)で測定した25℃
における水の動的接触角の後退角は97度であった。引
き続きポリマーをコーティングしたスライドグラスを4
0℃の恒温水に10時間浸漬、風乾の後同様の手法によ
り水の動的接触角を測定したところその後退角は97度
であり初期の撥水性を維持した。
【0063】[実施例17] 撥水処理布帛の撥水撥油性 実施例16で用いたポリマー溶液(ポリマー濃度1重量
%)を用い、東レ社製ポリエステルドスキン布に処理
し、150℃で1分間キュアリングした後、撥水性、撥
油性を評価したところそれぞれ100、7級であった。
処理布を40℃の恒温水に10時間浸漬、風乾後撥水
性、撥油性を測定したところ撥水性は100を維持し、
撥油性は7- であった。
【0064】また同じポリマー溶液を用いて東レ社製ス
パンライクナイロン布(20cm×20cm)に処理
し、180℃で1分間キュアリングし撥水性を測定し
た。この時点での撥水性、撥油性はそれぞれ100、6
級であった。
【0065】この織物に、流動パラフィン/タバコ灰
(重量比10/1)より調製した汚れをピペットで10
滴滴下し、ピリングテスタにて70回摩擦(摩擦荷重4
50g/cm2 )した後、さらに水を20滴滴下して3
50回摩擦した(摩擦荷重450g/cm2 )。一夜風
乾した後、撥水性を測定したところ撥水性は70+ であ
った。ドライクリーニング後風乾し撥水性を測定したと
ころ撥水性は90に回復した。
【0066】[実施例18および比較例1]用いるポリ
マーを表4に示したものを用いる以外は実施例17と同
様の処理および評価(初期撥水性、温水浸漬後撥水性、
汚れ摩擦試験後撥水性、溶解性)を行った。結果を表4
に示す。
【0067】実施例18および比較例1に用いたポリマ
ーの略号は以下の通りである。前出表1〜2記載のポリ
マー以外の表4記載のポリマーやコポリマーの分子量は
いずれも約20万である。なお、溶解性とはTHFに対
して5重量%のポリマーをTHFに添加した場合のポリ
マーの溶解性を表すものである。
【0068】P−F8S:F8とステアリルアクリレー
ト(モル比1/1)のコポリマー P−F8SH:F8、ステアリルアクリレート、および
2−ヒドロキシエチルアクリレート(モル比48/50
/2)のコポリマー P−FA7:n-C7F15C2H4OC(O)CH=CH2のポリマー P−FA8:n-C8F17C2H4OC(O)CH=CH2のポリマー P−FS8:n-C8F17CH2OCH2-C6H4-CH=CH2のポリマー P−FS10:n-C10F21CH2OCH2-C6H4-CH=CH2 のポリマ
【0069】
【表4】
【0070】[実施例19] ポリマーブレンド P−F8/ナイロン66樹脂(重量比1/1)からなる
固形分1重量%のヘキサフルオロイソプロパノール溶液
を調製した。溶液は透明で均質であった。この溶液にス
ライドグラスを浸漬、引き上げることによりポリマーブ
レンドコーティング膜を作成した。これを200℃で3
0分間熱処理した後、冷却し、水の動的接触角を測定し
た。後退接触角は95度であった。
【0071】[実施例20] ポリマーブレンド P−F6H4/ポリエチレンテレフタレート樹脂(重量
比1/1)からなる固形分1重量%のヘキサフルオロイ
ソプロパノール溶液を調製した。溶液は透明で均質であ
った。この溶液にスライドグラスを浸漬、引き上げるこ
とによりポリマーブレンドコーティング膜を作成した。
これを150℃で30分間熱処理した後、冷却し、水の
動的接触角を測定した。後退接触角は90度であった。
【0072】[比較例2]実施例19においてP−F8
にかえてP−FA8を用い、ポリマーブレンド溶液を調
製した。溶液は40℃では透明であったが室温付近では
白濁した。この溶液を用いて実施例19と同様にスライ
ドグラス上にポリマーブレンドコーティング膜を作成し
た。水の動的後退角を測定したところ70度とポリフル
オロアルキル基による表面疎水化効果は低かった。
【0073】[実施例21]原料としてn-C8F17C2H4-S-
CH2-C6H4-CH=CH2 12.0g(20mmol) を用いる以外
実施例1と同様の方法でアルコール化反応を行ったとこ
ろ9.7gの粗生成物が得られた。これは1級アルコー
ルn-C8F17C2H4SCH2-C6H4-CHCH2OHおよび2級アルコール
n-C8F17C2H4SCH2-C6H4-CH2(OH)CH3 が85/15(モル
%)からなる混合物であった。ヘキサンで再結晶し、純
度91%の1級アルコール5.8g(9.4mmol)を得
た。
【0074】100ml四つ口フラスコに、得られた上
記1級アルコールn-C8F17C2H4SCH2-CH2CH2OH 5.8g
(9.4mmol) を実施例1と同様の方法でアクリル酸エ
ステルに変換した。粗生成物をエタノールから再結晶
し、目的とするn-C8F17C2H4SCH2-C6H4-CH2CH2O-C(O)CH=
CH2 5.5g(8.2mmol)を得た。
【0075】1H-NMR(TMS,CDCl3) :2.1-2.8ppm(2H,m),
3.0(2H,t,J=7.0Hz),3.2-3.4(4H,m),4.50(2H,t,J=7.0H
z),5.75-6.50(3H,m),7.25(4H,S)19 F-NMR(CFCl3,CDCl3):-81.4ppm(3F,t,J=7.6Hz),-119.
8ppm(2F,S), -122.5〜-123.6ppm(10F,m),-126.6ppm(2F,
S)
【0076】[実施例22]上記実施例21で合成した
n-C8F17C2H4SCH2-C6H4-CH2CH2O-C(O)CH=CH2 (以下「S
−F8」という)を5.5g、R−113を20.0
g、アゾビスイソブチロニトリルを0.09g加えて実
施例2と同様の方法で重合し、ポリマーを精製したとこ
ろ、白色粉末ポリマーが4.8g得られた。ポリマーの
DSC測定を行ったところ82℃および125℃の2点
に側鎖部分の凝集構造の融点に相当するピークが確認さ
れた。分子量はGPC測定により重量平均分子量約15
万であることが確認された。また、このポリマーをTH
F5重量%となる割合の量添加したところ、完全に溶解
した。
【0077】
【発明の効果】本発明のモノマーは、ポリマーとしたと
きに側鎖となる部分に分子レベルで配向しやすいベンゼ
ン環を含有していることにより、その先端部に位置する
ポリフルオロアルキル基の配向が助けられる結果、従来
から知られているポリフルオロアルキル基含有モノマー
のポリマーに比較して高い表面改質効果、およびその維
持性が達成されるものと考えられる。
【0078】また比較的低いフッ素濃度でも表面改質に
必要な充分な側鎖配向が実現されるため、従来のこの種
のポリマーの問題点であった有機溶媒に対する親和性、
あるいは他の樹脂との相溶性が大幅に向上する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09K 3/18 103 8318−4H D06M 15/277 (72)発明者 熊井 清作 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社中央研究所内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(1)で表されるポリフルオロ炭化水素
    基含有のアクリレート類。 Rf-(CH2)n-Q-(CH2)h -φ-[X-φ-]y-(CH2)mOC(O)CR=CH2 ・・・(1) ただし、 Rf :フッ素原子が結合した炭素原子の数が2〜22個
    で、かつ炭素原子の一部がエーテル性酸素原子で置換さ
    れていてもよい、ポリフルオロ炭化水素基、 φ:フッ素および塩素から選ばれるハロゲン原子が1以
    上置換していてもよいパラ−フェニレン基(ただし、1
    分子中に複数のφが存在する場合、複数のφは互いに異
    なっていてもよい)、 R:水素原子、メチル基、フッ素原子、塩素原子、また
    は臭素原子、 Q:酸素原子またはイオウ原子、 X:単結合、-CH=CH- 、-N=CH-、-CH=N-、または-C(O)
    -、 n:1〜22の整数、 h:0〜22の整数、 m:1〜11の整数、 y:0〜5の整数。
  2. 【請求項2】φが置換基を有しないパラ−フェニレン
    基、Rが水素原子またはメチル基、Qが酸素原子、nが
    1〜4の整数、hが0〜2の整数、mが2〜4の整数、
    かつyが0または1である、請求項1のアクリレート
    類。
  3. 【請求項3】Rf が、未置換アルキル基の数にして80
    %以上の水素原子がフッ素原子に置換されてなり、かつ
    残余の水素原子が存在する場合はその一部ないし全部が
    塩素原子に置換されていてもよい、炭素数4〜18のポ
    リフルオロアルキル基である、請求項1または2のアク
    リレート類。
  4. 【請求項4】Rf が炭素数6〜14の直鎖状パーフルオ
    ロアルキル基である、請求項1または2のアクリレート
    類。
  5. 【請求項5】Rf がパーフルオロオキシプロピレン基を
    1以上有する炭素数6〜18のパーフルオロオキサアル
    キル基である、請求項1または2のアクリレート類。
  6. 【請求項6】Xが-CH=N-または-C(O)-である、請求項1
    または2のアクリレート類。
  7. 【請求項7】請求項1のアクリレート類の少なくとも1
    種の重合体、または、請求項1のアクリレート類と共重
    合しうる他のモノマーの少なくとも1種と請求項1のア
    クリレート類の少なくとも1種との重合体。
  8. 【請求項8】請求項1のアクリレート類が、Rf が炭素
    数6〜14の直鎖状パーフルオロアルキル基、φが置換
    基を有しないパラ−フェニレン基、Rが水素原子または
    メチル基、Xが-CH=N-または-C(O)-、Qが酸素原子、n
    が1〜4の整数、hが0〜2の整数、mが2〜4の整
    数、かつyが0または1であるアクリレート類である、
    請求項7の重合体。
  9. 【請求項9】請求項1のアクリレート類と共重合しうる
    他のモノマーが、アクリレート類またはメタクリレート
    類である、請求項7の重合体。
  10. 【請求項10】重合体中のモノマーが重合した単位に対
    する請求項1のアクリレート類の重合した単位の割合が
    15モル%以上である、請求項7の重合体。
  11. 【請求項11】請求項7または8の重合体を有効成分と
    する繊維用撥水撥油剤。
  12. 【請求項12】請求項7または8の重合体を有効成分と
    する表面改質剤。
  13. 【請求項13】請求項7または8の重合体と他の重合体
    とを含む組成物。
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