JPH0629226U - 多芯通信線用高周波コモンモードノイズフィルタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 多芯の通信線に簡単に一度に取り付けること
ができ、コモンモードノイズに対して高周波の広い帯域
で高い減衰特性を示し、ノーマルモードのデジタル信号
に対してとは殆ど減衰特性を示さないようにすること。 【構成】 回路基板と、該回路基板上に実装した多芯用
の入力側及び出力側コネクタと、両コネクタの各端子間
に接続した多端子コモンモードノイズ用コイルと、上記
入力側コネクタの各端子に接続した多端子コンデンサ
と、全体を覆うフィルタ筐体とを設け、上記多端子コン
デンサの接地側を上記フィルタ筐体の底部を形成する導
電性底板に共通接続した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、通信線に重畳する高周波のコモンモードノイズに対して高い減衰特 性を持ち、小形にして１度に（同時に）に多くの通信線に対して対策できるよう にしたコモンモードノイズフィルタに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、通信線のコモンモードノイズを減衰させるために、高い透磁率を有する フェライト等でできたトロイダルコアに導線を巻き付けた２芯用や４芯用のコモ ンモードコイルを使用したり、或いはそれらのコイルや通信線とアース間に接続 したコンデンサを併用していた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、ビジネスホンやホームテレホン等のように多芯線を有する通信線に これらのコイルを使用した場合、コイルの数が多くなるので、挿入作業に手間が かかり、また、実装スペースも通信端末機器筐体内にとらなければならないので 、配線が絡まったり、接触不良や配線間でノイズが再結合してしまうという欠点 があった。

【０００４】 また、コモンモードノイズ用コイルだけでは、周波数特性が狭帯域で高周波成 分に十分な減衰特性をえることができない欠点もあった。

【０００５】 更に、デジルタ信号線に用いると、信号成分も減衰させてしまい、端末機が正 常に動作しなくなる欠点もあった。

【０００６】 本考案の目的は、多芯の通信線に簡単に一度に取り付けることができ、コモン モードノイズの高周波成分に対して広い帯域で高い減衰特性を示し、しかも高周 波でノーマルモードのデジタル信号に対してとは殆ど減衰特性を示さないよにう した多芯通信線用コモンモードノイズフィルタを提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

このために本考案の多芯通信線用コモンモードノイズフィルタは、回路基板と 、該回路基板上に実装した多芯用の入力側コネクタと、上記回路基板上に実装し た多芯用の出力側コネクタと、上記回路基板上に実装され上記入力側コネクタの 各端子と上記出力側コネクタの各端子との間に接続された多端子コモンモードノ イズ用コイルと、上記入力側コネクタの各端子に接続した多端子コンデンサと、 全体を覆うフィルタ筐体とを設け、上記多端子コンデンサの接地側を上記フィル タ筐体の底部を形成する導電性底板に共通接続して構成したものである。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の実施例について説明する。図１はその第１の実施例の説明図で ある。１は４端子（４芯線）コモンモードノイズ用チョークコイル、２は４端子 セラミックコンデンサであり、これらでコモンモードノイズフィルタの本体が構 成される。３は４端子入力側コネクタ、４は４端子出力側コネクタである。そし てこれらは、各々４個、つまり４組あり、回路基板５の上に搭載される。６はグ ラウンド用金属製底板（フィルタ筐体の底板）、７は基板５を底板６に留めるた めの基板留めネジ、８はフィルタ筐体の内部を覆う蓋である。

【０００９】 このように、この実施例では４本の通信線を１単位として扱えるように、４端 子コモンモードノイズ用チョークコイル、４端子セラミックコンデンサ２、４端 子入力側コネクタ３、及び４端子出力側コネクタ４によって、１組のコモンモー ドノイズフィルタを構成し、これを合計で４組分だけフィルタ筐体内に構成して いる。

【００１０】 図２は１組のコモンモードノイズフィルタの等価回路を示す図であり、入力側 の４本の通信線９は４端子入力側コネクタ３に接続され、出力側の４本の通信線 １０は４端子出力側コネクタ４に接続され、その出力側の通信線１０にノイズか ら保護すべき通信端末機１１が短い距離で接続される。

【００１１】 このコモンモードノイズフィルタでは、入力側の通信線９から伝導してきたノ イズ（誘導妨害波）が、セラミックコンデンサ２及びコモンモードノイズ用チョ ークコイル１を通る。この過程で、まずコンデンサ２においては、ノイズがキャ パシタンスが低インピーダンスとなる広い高周波帯域でアースにバイパスされる 。また、コイル１においては、高い透磁率を有するフェライトコアと導線の巻線 数を選ぶことで、目的の高周波コモンモードノイズにのみ高い減衰効果を持たせ ることができる。

【００１２】 これらコンデンサ２とコイル１の作用によって、従来のコモンモードノイズフ ィルタによりも、高い周波数の広い帯域にわたって２０〜２５ｄＢも高い減衰が 得られる。本考案の減衰周波数特性（コンデンサの値＝０．０１μＦ）を図３に 示す。

【００１３】 更に、本実施例の場合、この図３に示すように、３．５ＭＨｚ〜５７ＭＨｚの 帯域で３０ｄＢ以上のコモンモード減衰特性を示し、ノーマルモードの減衰は３ ＭＨｚで１．４ｄＢに留まっている。よって、ＩＳＤＮ（２Ｂ＋Ｄ）基本インタ ーフェースの損失許容値３．８ｄＢ（９６ＫＨｚ）に対して十分適用できる。ま た、コンデンサのキャパシタンスの選定によって、デジタル信号などのデータ線 （例えば、１．６ＭＨｚ）に影響を与えずに、コモンモードノイズのみを効果的 に減衰させることができる。このように、本実施例のコモンモードノイズフィル タは、広帯域で高損失の特性を示し、アナログ、デジタルの両方の通信線（宅内 線も含む）に使用できる。

【００１４】 次に、第２の実施例を図４に示す。２１は多芯用のコモンモードノイズ用コイ ル（実願平３−３１５０２）、２２はチップコンデンサ、２３は多端子入力側コ ネクタ、２４は多端子出力側コネクタ、２５は回路基板、２６はグラウンド用金 属製底板（フィルタ筐体の底板）、２７は基板留めネジ、２８はフィルタ筐体の 蓋である。

【００１５】 この実施例では、入力側の通信線が多端子入力側コネクタ２３に、出力側の通 信線が多端子出力側コネクタ２４に各々接続され、出力側の通信線にノイズから 保護すべき通信端末機が短い距離で接続される。

【００１６】 入力側の通信線から伝導したきた誘導妨害波は、チップコンデンサ２２及び多 芯のコモンモードノイズ用コイル２１を通過する。その過程で、まずコンデンサ ２２においては、ノイズがキャパシタンスが低インピーダンスとなる広い高周波 帯域でアースにバイパスされる。また、コイル２１においては、複数の櫛歯状突 起を有する櫛形磁性体を用いることで、小形化、多芯線化できると同時に、通信 線における高周波コモンモードノイズに対して高い減衰効果を持たせることがで きる。この実施例のコイル２１は１６芯用である。

【００１７】 これらコンデンサ２２とコイル２１の作用で、従来のコモンモードノイズフィ ルタよりも、小型で多芯の通信線に一括して適用でき、２０〜２５ｄＢ高い減衰 特性が得られる。

【００１８】

【考案の効果】

以上から明らかなように、本考案のコモンモードノイズフィルタによれば、多 芯線用のコモンモードコイルとコンデンサを組み合せるので、一括して一度に多 芯の通信線に簡単に組み込むことができる。また、高周波ノイズに対して広帯域 、高損失な減衰特性を示す。更に、デジタル信号などのデータ信号に対して悪影 響を与えることがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の第１の実施例のコモンモードノイズ
フィルタの斜視図である。

【図２】 同フィルタの等価回路図である。

【図３】 同フィルタの減衰特性図である。

【図４】 第２の実施例のコモンモードノイズフィルタ
の斜視図である。

【符号の説明】

１：４端子コモンモードノイズ用コイル、２：４端子セ
ラミックコンデンサ、３：４端子入力側コネクタ、４：
４端子出力側コネクタ、５：回路基板、６：金属製のフ
ィルタ筐体底板、７：基板用留めネジ、８：フィルタ筐
体の蓋、９：入力側の通信線、１０：出力側の通信線、
１１：通信端末機、２１： 多端子コモンモードノイズ
用コイル、２２：多端子セラミックコンデンサ、２３：
入力側多端子コネクタ、２４：出力側多端子コネクタ、
２５：回路基板、２６：金属製筐体底板、２７：基板用
留めネジ、２８：筐体の蓋。

フロントページの続き (72)考案者 雨宮 不二雄 東京都千代田区内幸町１丁目１番６号 日 本電信電話株式会社内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 通信線にコモンモード用インダクタン
   スを直列接続し、該通信線とアースとの間にコャパシタ
   ンスを接続したコモンモードノイズフィルタにおいて、 回路基板と、該回路基板上に実装した多芯用の入力側コ
   ネクタと、上記回路基板上に実装した多芯用の出力側コ
   ネクタと、上記回路基板上に実装され上記入力側コネク
   タの各端子と上記出力側コネクタの各端子との間に接続
   された多端子コモンモードノイズ用コイルと、上記入力
   側コネクタの各端子に接続した多端子コンデンサと、全
   体を覆うフィルタ筐体とを具備し、上記多端子コンデン
   サの接地側を上記フィルタ筐体の底部を形成する導電性
   底板に共通接続して成り、同時に多数の通信線に接続で
   きるようにしたことを特徴とする多芯通信線用高周波コ
   モンモードノイズフィルタ。