JPH06290489A - 光学的情報記録用媒体 - Google Patents

光学的情報記録用媒体

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JPH06290489A
JPH06290489A JP5102781A JP10278193A JPH06290489A JP H06290489 A JPH06290489 A JP H06290489A JP 5102781 A JP5102781 A JP 5102781A JP 10278193 A JP10278193 A JP 10278193A JP H06290489 A JPH06290489 A JP H06290489A
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JP
Japan
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film
recording layer
teo
recording medium
thin film
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JP5102781A
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English (en)
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Michikazu Horie
通和 堀江
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Mitsubishi Kasei Corp
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Mitsubishi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高密度かつ高速で情報の記録再生ができる文
書及び画像ファイルに適する情報記録用媒体で、特に記
録された情報の安定保存期間を大幅に改善した、光学的
情報記録用媒体を提供することを目的とする。 【構成】 基板上にTeまたはTe合金薄膜記録層を設
けた穴あけ型の光学的情報記録用媒体において、該記録
層表面にTe02不動態膜及び、厚さ50Å以下の有機
低分子化合物の薄膜を順次設けたことを特徴とする光学
的情報記録用媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高密度かつ高速で情報
の記録再生ができる文書及び画像ファイルに適する情報
記録用媒体で、特に記録された情報の安定保存期間を大
幅に改善した、光学的情報記録用媒体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】基板上に形成された薄膜にレーザービー
ムを照射して穴(ピット)を形成するようにした光学的
記録用媒体として、従来より低融点かつ低熱伝導率であ
るために低記録パワーで穴あけ可能なTe薄膜が知られ
ている(Appl.Phys.Lett., 34(1
9179), 835ページ)さらに、経時安定性を増
すためにTeにSe、Sb、Cuなどを添加した合金薄
膜やこれら金属を含有しさらに、炭素、窒素、弗素、酸
素等を含むプラズマ重合膜、反応性スパッタ膜等が用い
られている(特開昭53−31104公報、特開昭58
−54338公報、特開昭57−98394公報、特開
昭62ー252543公報、特開昭63−160027
公報、特開昭63−95983公報)。
【0003】これらの穴あけ型ライトワンス記録媒体
は、穴あけという物理的に安定な記録状態を用いている
ためエラーレートが増加しにくく、書換不能であるが故
に改ざん不能な記録媒体として高い信頼を得ており、既
に、文書ファイル、画像ファイルとして実用化されてい
る。この穴あけ型ライトワンス媒体は、穴あけを阻害す
るような保護層を設けることが困難であるため、上記の
ような保存安定化手段をもってしても金属記録層の酸化
を本質的に防止することは不可能であった。しかしなが
ら、記録層面を内側にして2枚の基板を張り合わせる、
エアーサンドイッチ構造をもちいることにより水分の直
接の凝縮を防ぐなどして、実際上100年以上の保存安
定性を達成している(三菱電機技報、66(199
2)、43ページ)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、より保
存安定性を向上し、公文書として耐え得る信頼性を達成
することが望まれている。また、より高密度化するため
に、ピットの大きさを小さくしても十分な信号対雑音比
(SN比)が得られことが求められ、かつこの高SN比
が長期間安定であることが求められている。
【0005】本発明者らが行った、Teを主成分とする
記録層(Te71Se172)を用いた高温高湿下での加
速試験においては、局所的微小欠陥の拡大増加によるエ
ラーレートの増加は全くみられなかった。これは、エラ
ーレートの増加が劣化の主要因である光磁気媒体とは全
く異なる。一方で、記録層の酸化による透明化が反射率
を低下させ記録面全体のコントラストが一様に低下し、
やがてドライブの検出限界以下(フォーカスあるいはト
ラッキングが不可能になる状態)に到ることが明らかと
なった。
【0006】このコントラスト低下によるキャリア低下
はあるものの、実際のエラーレートには全く影響しない
レベルであった。したがって、この記録媒体の寿命はド
ライブで許容される反射率の下限で決まる。一般に、T
eを主成分とする穴開け型ライトワンス媒体においては
ほぼ同様の傾向がある。したがって、その保存安定性の
改善には、記録層酸化による反射率の低下を防止するこ
とが最も有効である。
【0007】Teを主成分とする合金薄膜を用いた記録
媒体においては、表面に均一かつある程度の厚みのTe
2不動態膜がないと、バルクに酸化が進行し易く、こ
のため透明化し易いことは知られており(W.Y.Le
e and R.H.Geiss, J.Appl.P
hys., 54(1983), 1351ページ)、
意図的にTeO2不動態膜を記録層の空気にさらされる
表面に設けることが提案されている(特開61−142
544、特開昭54ー77946等)。
【0008】しかしながら、本発明者らの検討によれ
ば、TeO2は金属酸化膜としては比較的水に対する溶
解度が高いために高湿下で吸着した水分により局所的に
溶解し、金属状Teが露出してバルク酸化にいたること
が確認され、TeO2不動態膜を設けるだけでは不十分
であることが確認された。一方、酸化防止のために酸素
の侵入を防止する保護膜を記録層上に設けることも提案
されている(特開昭54−97196、特開56−14
979)。
【0009】しかしながら、架橋度の高い高分子を用い
ていること、数十um以上の膜厚を用いていること、さ
らに、軟化点がプラスチック基板より高いことにより、
実際上保護層により穴開けが抑制されて記録感度が悪く
なったり、保護層部分を含む穴あけが、ピット形状を乱
したりする。また、無機物保護層、例えば酸化シリコン
膜等を用いると保護層への放熱も記録感度の低下につな
がっている(M.Chen and V.Marrel
lo, J.Vac.Sci.Technol., 1
8(1981), 75ページ)。
【0010】したがって、その膜厚には限度があり、実
際上100Å未満でかつ記録層より十分低融点であるこ
とが必要である。これを満たすものとして、有機単分子
層があげられるが、数Å程度の膜厚では、酸素の透過を
完全には防止できないため、やはり十分な酸化防止効果
が得られているとは言い難い。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記Te
2不動態膜または極めて薄い保護膜いずれかの単独を
用いていたのでは、十分な記録層保護効果が得られない
こと、また厚い保護膜や高融点の無機物保護膜を用いた
のでは穴形成が阻害されることに鑑み、化学的に安定な
TeO2不動態膜と穴あけに影響を及ぼさずかつTeO2
不動態膜への水分の吸着を防止できる保護層との組み合
わせについて鋭意検討した結果、本発明に到達した。
【0012】すなわち、本発明は基板上にTeまたはT
e合金薄膜記録層を設けた穴あけ型光学的情報記録用媒
体において、該記録層表面にTeO2不動態膜及び、厚
さ50Å以下の有機低分子化合物の薄膜を設けたことを
特徴とする光学的情報記録用媒体である。以下、本発明
を更に具体的に説明する。
【0013】本発明の光学的情報記録媒体を構成する基
板としては、ガラス等のセラミックス、Al等の金属、
ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のプラ
スチックが用いられる。基板を介して集束したレーザー
光を入射し、穴あけ記録及び、再生が行うことが広く実
用化されているが、この場合には、レーザー光波長に対
して透明な基板を用いる。基板には、特定の順に配列さ
れた穴(ピット)を追跡(トラッキング)するための、
溝や凹凸を設けたり、アドレス情報等の穴を別途形成す
るのが普通である。
【0014】このために、逆パターンの溝や凹凸を設け
たスタンパーを備えた射出成形装置により成形したプラ
スチック基板を用いることが、価格、生産性の上で好ま
しい。基板の表面にはTeまたはTe合金薄膜記録層が
設けられる。ここでレーザー光や、電子ビーム等のエネ
ルギービームを吸収し、溶融・蒸発が起こって穴が形成
される。
【0015】記録層の膜厚としては100〜1000Å
であることが望ましい。100Å未満下では、本発明の
不動態膜と有機保護膜の組み合わせを適用しても、酸化
等の影響が容易に膜全体におよび保存安定性に問題を生
じ易い。また、反射率が低くなりドライブでの再生が困
難となり易い。一方、1000Åより厚い場合には、穴
あけに要するエネルギーが大きくなりすぎ、安価な半導
体レーザーを用いることが難しく実用的ではない。
【0016】合金薄膜記録層に含まれる元素としてはT
eの他に、その経時安定性を向上させたり、ピット形状
を改善したり、記録感度を向上させたりすることを目的
としてSe、Pb、Bi、Sb、Sn、Ge、Si、I
n、As、Cu、Ag、Au、Ti、O、S、N、C、
F、H、あるいはAr等の不活性ガス等から1種または
2種以上の元素を好ましくは0.1〜20原子%程度選
び、同時真空蒸着、イオンプレーティング、合金を用い
た真空蒸着、スパッタ、反応性スパッタ等の手段により
上記基板上に形成される。
【0017】中でも、本発明者らが提案したTeSeF
合金薄膜記録層はTeまたはTeSe合金ターゲットを
弗化セレンガスと不活性ガスの混合ガス中で反応性スパ
ッタすること、あるいは、TeまたはTeSe合金を蒸
発させ弗化セレンガスと不活性ガスの混合ガス中でイオ
ンプレーティングすることで容易に形成され、高感度、
高信号品質、長寿命の記録媒体が得られる(特公平4ー
21956、4ー49175)。
【0018】なお、本発明における穴あけ型の記録媒体
とは必ずしも、穴内部が完全に溶融除去または蒸発除去
されて、基板面が露出されている場合だけでなく、穴状
の変形が形成されている場合も含まれる。上記TeSe
F媒体をはじめとして、真空蒸着あるいはスパッタ等で
成膜した直後の構造が非晶質である場合には、本発明の
TeO2不動態膜形成のための熱処理時に同時に結晶化
させて安定化することが望ましい。なぜなら、多くのT
eを主成分とする合金薄膜の結晶化温度は200℃以下
であり、経時的に結晶化して反射率変化等の光学的情報
記録用媒体として好ましくない現象を生じるからであ
る。
【0019】なお、下引き層を記録層と基板の間に設
け、記録感度、ピット形状の改善をはかることも可能で
ある。さらに、エアーサンドイッチ構造にして水滴やゴ
ミの付着を防ぐことも全体的な信頼性を高める上で有効
である。Te合金薄膜記録層の大気に接する表面側には
TeO2不動態膜を形成する。他原子が表面に析出して
いても構わないが、Te含有量がおおむね60原子%以
上であれば、ほとんど全表面をTeO2不動態膜で被覆
することができる。この不動態膜は均一で緻密であるこ
とが望ましく、また穴形成に影響を及ぼさないこと、多
大な反射率低下を生じさせないことが望ましい。
【0020】このためにはTeO2不動態膜の厚さを1
0〜50Åとすることが望ましく、さらには、20〜3
0Åとすることがより望ましい。自然酸化で形成される
ような10Å未満の膜厚ではTeO2が不均一または,
TeO2膜を介したトンネル効果で電荷移動が生じるた
め十分な不動態化ができないし、50Åより大では、記
録層全体の反射率を低下させる傾向がある。また、Te
2は通常の近赤外及び可視レーザー光を吸収しないか
ら50Åより大の膜厚では記録感度の低下にもつなが
る。
【0021】本発明者らが、干渉効果を考慮にいれた多
層構造の反射率を計算によって求めたところ、例えばT
e記録層膜厚300Å前後に対して、TeO2膜厚50
Åより大では、TeO2膜厚0の場合に比べ数%の反射
率低下があり、好ましくない。このTeO2不動態層の
存在及び膜厚は、通常XPS法(X線励起光電子分光
法)及び高分解SEM(走査型電子顕微鏡)等の表面分
析手段によって評価できる。すなわち、熱処理後の記録
層表面を高分解SEMで1万倍以上の倍率で観察すると
均一な不動態TeO2膜が形成されておれば、該TeO2
膜は通常非晶質であるために、極めて滑らかな表面が観
察される。
【0022】この場合、AFM(原子間力走査型顕微
鏡)によって表面荒さを評価すれば、その平均荒さは2
0Å未満となるのが普通である。均一な不動態TeO2
膜が形成されていないと、下地の結晶粒が見えたり、平
均荒さが大きくなったりする。一方、TeO2膜厚の定
量的評価はXPS法によって行う。すなわち、図1にX
PS法による表面のTe3dピークの1例を示すが、T
eピークは金属状TeピークとTeO2となって4価に
帯電し束縛エネルギーが高エネルギー側にシフトしたT
4+ピークの2つにわかれる。各ピークの面積強度をI
0、I+4と表示すれば、不動態TeO2膜厚dは以下の様
に求められる(Wen−Yan.Leeなど、J.Ap
pl.Phys., 54(1983),1351ペー
ジ)。
【0023】
【数1】 d=λ・Cosθ・ln[1+(ρM/ρOX)・(I4+/I0)] ここで、θは膜面垂直方向に対する光電子の脱出角度、
ρM.ρOXはそれぞれ金属状態のTe及びTeO2状態の
Teの原子密度(それぞれ2.8及び2.2x2022
cm3)である。また、λはTeからの光電子の脱出深
さ(約20Å)である。
【0024】上記TeO2不動態膜を形成する手段とし
ては通常の熱処理(アニール)で十分である。アニール
温度としては基本的に記録層の融点以下であれば問題な
いが、安価なオーブンとプラスチック基板を用いるため
には、70C以上130C未満であることが望ましい。
実際のアニール温度及び時間は用いるプラスチック基
板等の熱的安定性を考慮して決定される。また、同時に
非晶質記録層の結晶化を行う場合には結晶化温度、速度
も考慮されるべきである。均一で緻密なTeO 2不動態
膜を得るためには、やはり上記の温度範囲で30分以上
の時間をかけてゆっくりと熱酸化させるのが望ましい。
しかしながら、適度な酸化雰囲気でフラッシュランプア
ニールを行うなどして、数秒以内に酸化を行っても実用
上十分な特性が得られる。この場合光が熱源として用い
られるだけでなく、化学的な作用を及ぼす励起源として
の効果を有していてもかまわない。電子ビーム等他の熱
源についても同様である。
【0025】本発明における熱処理時の酸化雰囲気と
は、少なくとも酸素を含有する雰囲気をいい、通常の大
気、不活性ガスや窒素と酸素との混合ガスが挙げられ
る。もちろん、大気圧、減圧、加圧いずれの状態であっ
ても構わない。ただし、良質のTeO2不動態膜を得る
ためには、湿度は低い方がよく、例えば大気中では、相
対湿度60%未満であることが望ましい。
【0026】特に、TeまたはTe合金薄膜記録層を真
空蒸着またはスパッタ法によって成膜した場合、大気中
に取り出す際に相対湿度60%未満の乾燥雰囲気に取り
出し、この乾燥雰囲気を保持したまま、できるだけ速や
かに熱処理を行い、さらにできるだけ速やかに有機低分
子化合物薄膜を設けることが望ましい。本発明において
は、上記TeO2不動態膜上に低分子有機薄膜を形成す
る。本発明における低分子化合物の有機薄膜は、特定の
配向性や配列を有することを特に要しない。
【0027】また、個々の分子がファンデルワールス力
のみによってTeO2不動態膜と結合していても良い
し、相互に共有結合により結合していても良い。また、
必ずしも連続膜であることを要せず、島状構造であって
も、その被覆面積が大きければ、十分保護効果を発揮す
ることができる。薄膜を形成する有機分子としては、蒸
気圧が低く、TeO2不動態膜上に安定に吸着または結
合するような有機分子であれば、基本的にどのような有
機分子であってもよいが、特に、TeO2表面に吸着し
たあと、TeO2と強固な結合を形成する一方、水分の
吸着を防ぐ効果にすぐれているものが望ましい。
【0028】ただし、本発明においては、低分子化合物
であることが肝要で、一般のハードコート剤のように記
録層表面で高度に架橋することは穴あけを阻害する要因
となるので好ましくない。また、穴あけを阻害しないた
めには、記録層の融点よりも低温で分解もしくは昇華す
ることが望ましいが、100℃程度までは安定にTeO
2表面に吸着しているものが望ましい。その分子量とし
ては通常数百以下が好ましい。
【0029】より具体的には、弗素アルコール、シラン
またはチタンのカップリング剤、アルキルアミン、高級
脂肪酸等TeO2に吸着し易い親水性基と水分の吸着を
防ぐ疎水性基を同一分子内に有する界面活性剤のような
ものがあげられる。また、通常の接着剤に使われるアク
リレート基、イソシアネート基などの反応基を有する化
合物があげられる。これらは架橋性分子であるが、50
Å未満といった極薄膜状態では、酸素雰囲気下では架橋
反応は阻害され、高分子化することはなく、高々オリゴ
マー状の低分子として安定にTeO2不動態膜に吸着し
うる。
【0030】さらに、トリアゾール類、テトラゾール
類、チアゾール類、トリアジンチオール類のような表面
処理剤を塗布することも効果的である。これらの有機物
を溶剤に溶かしてスピンコーティング法より塗布しても
よいし、蒸着重合等真空中でのモノマー昇華による成膜
法によってもよい。また、蒸気圧が高ければ大気圧中で
蒸発したモノマー蒸気中にさらすだけで吸着させること
も可能である。
【0031】さらに、これら有機薄膜の成膜時に光、熱
等のエネルギーによりTeO2不動態膜との結合反応を
促進することも可能である。ただし、本発明の主旨から
して、上記有機薄膜成膜時にたとえば、スピンコート法
などにおいて、水を溶媒として用いることはTeO2
動態膜を劣化させるので好ましくない。もちろん、水面
上に展開したいわゆるラングミュアー・ブロジェット膜
のような単分子膜を用いることも好ましくない。
【0032】これら有機薄膜の膜厚がおおむね50Å以
上となると記録時の穴あけ過程に影響するので望ましく
ない。上記有機薄膜の膜厚は、もし、屈折率が既知であ
ればエリプソメトリー法によって測定できる。また、有
機薄膜を形成した状態でXPS法による測定を行い下地
のTeO2不動態膜からのTeピークが検出できれば、
光電子の脱出深さ(高々50Å程度)以下であると判断
できる。
【0033】
【実施例】以下、実施例をもって本発明を詳細に説明す
るが、本発明は、その要旨を越えない限り以下の実施例
に限定されるものではない。以下の実施例において、特
に断りのない限り記録層の経時安定性をその表面形態に
よって評価した。
【0034】すなわち、本発明の有機分子層膜をTeO
2不動態層と組み合わせることにより、TeO2不動態層
の水分による腐食が有効に防止されていることを確認す
るため、本発明記録媒体を温度80℃,相対湿度80%
の加速試験環境下に500時間放置したのち高分解能S
EMで1万から3万倍の倍率で観察を行った。TeO2
不動態膜が水分に溶融し腐食すれば、その部分は凹部と
してバルクが露出している。従って、ある限られた領域
の全表面積に対する凹部の面積の割合Rを求めれば腐食
の度合いを定量的に表すことができる。引き続くバルク
の酸化にともなう反射率低下はこの割合Rが大きければ
促進される。
【0035】以下に述べる実施例においては、記録層は
射出成形によってトラッキング用の溝を設けたポリカー
ボネート樹脂基板上にスパッタまたは反応性スパッタに
より成膜した。なお、記録層膜厚は触針式膜厚計によっ
て求め、TeO2不動態膜厚は既に述べたようにXPS
法で求めた。 実施例1および比較例1、2 Te(85)Se(15)(数値は成分割合)ターゲットをSe
6/Ar混合ガス中で反応性スパッタし、膜厚300
ÅのTeSeF膜を成膜後ただちに、オーブンに投入し
大気中で90℃1時間のアニールを行ったのち、2ーヒ
ドロキシプロピルメタアクリレートまたは3ーヒドロキ
シメタアクリレートを加熱して得られた蒸気に記録層表
面を数秒さらした。
【0036】この間、記録層を80℃に加熱した。有機
薄膜を形成しない状態でXPS法によって測定したTe
2不動態膜厚は20Åであった。有機薄膜そのものが
形成されていることは、同じく有機薄膜形成後XPS法
で測定した記録層表面の炭素ピーク(C1sピーク)の
強度が未処理の場合と比較して著しく増大していること
から確認できた。また、下地のTeピークが検出される
ことから、この有機薄膜の膜厚は光電子の脱出深さ以下
(高々50Å程度)であることが確認できた。
【0037】一方、比較例1として上記有機薄膜を形成
していない媒体を用意し、比較例2としてオーブンで熱
処理を行わないで、有機薄膜のみを形成した媒体を用意
した。実施例1と比較例1の記録特性を評価したとこ
ろ、全く同等の特性で、有機薄膜形成による悪影響は見
られなかった。
【0038】引き続き、温度80℃、80%相対湿度下
で500時間の加速試験を行い、表面のSEM観察を行
ったところ、実施例では腐食領域はほとんど0であり、
良好な保護特性を示した。一方、比較例1では腐食面積
の割合がほぼ半分に広がっていた。また、比較例2で
は、全表面が荒れていた。記録特性では、実施例のみが
ほとんど劣化を示さなかった。
【0039】比較例3 実施例1の媒体上に有機保護膜として、膜厚80Åのポ
リ4弗化エチレンのスパッタ膜を形成した。腐食防止効
果には優れていたものの、有機保護膜の膜厚が厚く、高
度に架橋しているために穴あけが阻害され、記録感度が
悪くなり、かつ、ピット形状が悪くなって雑音が増加し
た。
【0040】実施例2 実施例1と同様に、アニールによって、厚さ約20Åの
TeO2不動態膜を形成した後、Tiイソシアネート
(イソプロパノール75%希釈液)をエタノールでさら
に3倍に希釈した溶液を、スピンコート法により塗布し
た。一方、HMDS(ヘキサ・メチル・ジ・シラザン)
の原液をスピンコート法により塗布した。Tiイソシア
ネートほどではなかったが、表面荒れの抑制効果があっ
た。
【0041】実施例3 実施例1と同様に、アニールによって、厚さ約20Åの
TeO2不動態膜を形成した後、市販の界面活性剤{マ
マレモン(商品名)ライオン(株)製}を純水にて20
0倍に希釈して、スピンコート法により塗布した。温度
80℃、80%相対湿度下で500時間の加速試験を行
い、表面のSEM観察を行ったところ、表面荒れは全く
見られなかった。
【0042】
【発明の効果】本発明におけるTeO2不動態膜と有機
低分子化合物の薄膜を記録膜上に形成することにより、
高温高湿下での記録層の腐食が抑制され、記録層酸化の
進行による、反射率低下、記録感度低下のほとんどな
い、経時安定性にすぐれた穴あけ型光学的情報記録用媒
体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】XPS法による表面のTe3dピークの1例を
示す図
【符号の説明】
1:Te3dピークの1例を示すグラフ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上にTeまたはTe合金薄膜記録層
    を設けた穴あけ型の光学的情報記録用媒体において、該
    記録層表面にTe02不動態膜及び、厚さ50Å以下の
    有機低分子化合物の薄膜を順次設けたことを特徴とする
    光学的情報記録用媒体。
JP5102781A 1993-02-02 1993-04-28 光学的情報記録用媒体 Pending JPH06290489A (ja)

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JP5102781A JPH06290489A (ja) 1993-02-02 1993-04-28 光学的情報記録用媒体

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JP1547393 1993-02-02
JP5102781A JPH06290489A (ja) 1993-02-02 1993-04-28 光学的情報記録用媒体
JP5-15473 1993-05-26

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012510694A (ja) * 2008-11-28 2012-05-10 ブリガム・ヤング・ユニバーシティ ハイパワー光ディスクドライブ

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JP2012510694A (ja) * 2008-11-28 2012-05-10 ブリガム・ヤング・ユニバーシティ ハイパワー光ディスクドライブ

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