JPH06281603A - 熱分析装置 - Google Patents

熱分析装置

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JPH06281603A
JPH06281603A JP9205293A JP9205293A JPH06281603A JP H06281603 A JPH06281603 A JP H06281603A JP 9205293 A JP9205293 A JP 9205293A JP 9205293 A JP9205293 A JP 9205293A JP H06281603 A JPH06281603 A JP H06281603A
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Tetsuzo Harigai
哲三 針谷
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 試料(と基準物質)の加熱ムラを少なくし、
正確な熱分析を行なう。 【構成】 縦型筒状の加熱炉10の略中央に試料及び基
準物質を配置する示差熱分析装置において、加熱炉本体
部11の上部1/4から1/2の位置に、炉壁に接続し
た天蓋14を設ける。 【効果】 天蓋14の上部にもまだヒータ線12により
加熱されている本体部11が存在するため、天蓋14の
温度は炉壁の温度とほぼ等しい。従って、試料及び基準
物質は周囲の側壁と上部の天蓋14よりほぼ均一な輻射
を受ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、示差熱分析装置、熱重
量測定装置、膨張測定装置(熱機械測定装置)等の、縦
型筒状加熱炉を用いる熱分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】試料と基準物質を並べて加熱炉の中に置
き、両者を一定の速度で加熱しながら両者の温度差ΔT
を温度Tの関数として測定する技法を示差熱分析(Diff
erential Thermal Analysis、DTA)という。試料の
物理的変化や化学的変化は一般に熱容量の変化や反応熱
の発生等を伴うため、基準物質として熱変化を生じない
物質(一般にはα−アルミナ)を使用し、両者の昇温時
の温度差ΔTを測定することにより、試料の熱特性を測
定することができる。温度Tに対するこの温度差ΔTは
温度差曲線(DTA曲線)と呼ばれ、試料の熱変化に対
応してベースラインシフトや吸熱・発熱ピークが現われ
る。
【0003】従来の示差熱分析装置(Differential The
rmal Analyzer、DTA)の概要を図3により説明す
る。装置は縦型円筒状の加熱炉50と、主制御部61等
の制御装置から成る。加熱炉50は、本体部51、本体
部51の上部に設けられたフード部54及び本体部51
の下部に設けられた接続部53から成り、接続部53を
基礎部55に気密に差し込んで使用される。加熱用のヒ
ータ線52は本体部51にのみ設けられている。
【0004】加熱炉50の本体部51の内部のほぼ中央
に、横並びに配置された第1及び第2試料皿20、21
が設けられる。両試料皿20、21は、1本の線を共有
する2組の熱電対22、23、24の高温端となってお
り、一方には被測定試料が、他方には基準物質が載置さ
れる。熱電対22、23、24は導管25を通って主制
御部61に接続される。主制御部61は所定の昇温プロ
グラムで試料を加熱するように温度制御部62に対して
制御信号を送ると共に、熱電対22、23、24の端子
間の電圧を測定し、被測定試料と基準物質との温度差Δ
Tを検出する。これら試料の温度Tと温度差ΔTのデー
タは主制御部61から記録部63に送られ、記録紙上に
記録される。また、主制御部61内でDTA曲線を解析
することにより、試料の分解温度等が検出される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記構成の示差熱分析
装置ではヒータ線52が加熱源となり、それにより試料
及び基準物質が加熱されるが、試料及び基準物質は、比
較的低温では主に炉内の空気の対流により、高温になる
と炉壁からの輻射により加熱される。しかし、上記従来
の構成では試料及び基準物質の上下は空洞となっている
ため、上下からの輻射はなく、逆に試料からの輻射によ
り熱が逃げる。このため、試料及び基準物質の上部の空
間の形状、温度の不均一性により試料と基準物質との間
に輻射ムラが生じ、正確な熱分析が行なえないという問
題がある。
【0006】このような問題は示差熱分析装置のみにと
どまらず、熱重量測定装置、膨張測定装置(熱機械測定
装置)等の、縦型筒状加熱炉を用いる熱分析装置一般に
対して言える。本発明はこのような課題を解決するため
に成されたものであり、その目的とするところは、試料
の(基準物質を用いる場合には、試料と基準物質との)
加熱ムラを少なくし、正確な熱分析を行なうことができ
る熱分析装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に成された本発明に係る熱分析装置は、縦型筒状の加熱
炉の略中央に試料を配置する熱分析装置において、加熱
炉の端部から炉長の1/4〜1/2の位置に、炉壁に接
続した横断壁を設けたことを特徴としている。
【0008】
【作用】試料(基準物質を用いる場合には、試料と基準
物質)は筒状(円筒状、多角形筒状のいずれに拘らず)
加熱炉の略中央に配置され、横断壁は加熱炉の端部(上
端又は下端)から炉長の1/4〜1/2の位置に配置さ
れる。このため、例えば横断壁が加熱炉の上端から1/
4〜1/2の位置に配置された場合には、横断壁は試料
(及び基準物質)の直上または近い上部に存在し、試料
の上部を覆うこととなる。この横断壁は加熱炉の炉壁に
接続されているため、熱伝達により炉壁から熱が供給さ
れ、しかも、横断壁の上部にもまだ、ヒータにより加熱
されている炉壁が存在する(少なくとも1/4は存在す
る)ため、横断壁の温度は炉壁の温度とほぼ等しい。従
って、試料は周囲の側壁と上部の横断壁よりほぼ均一な
輻射を受け、試料(及び基準物質)は均等な加熱を受け
るようになる。なお、横断壁が加熱炉の下端から1/4
〜1/2の位置に配置された場合も、上下が逆になるの
みであり、同様の効果が得られる。
【0009】
【実施例】本発明の第1の実施例である示差熱分析装置
の加熱炉を図1により説明する。本実施例の示差熱分析
装置では、加熱炉10の本体部11にはフード部を設け
ず、代わりに本体部11の上部からほぼ1/3程度の位
置に、本体部11の内壁から内部にほぼ水平に延びる天
蓋部14(横断壁)を設けている。第1、第2試料皿2
0、21は従来(図3)の示差熱分析装置とほぼ同様の
位置に置かれているため、天蓋部14は試料及び基準物
質のほぼ直上を覆うようになっている。なお、本実施例
の示差熱分析装置では測定時の雰囲気を調整するため、
雰囲気ガスを逃がす孔15を天蓋部14の中央に設けて
いる。また、基礎部は図3に示した従来のものと同じで
あるため、図示を省略した。
【0010】本実施例の示差熱分析装置の加熱炉10は
以上のような構造を有しているため、ヒータ線12に通
電して加熱したとき、その熱は円筒状の本体部11の内
壁に伝わると共に、内壁を通じて天蓋部14にも伝達さ
れる。ここで、本体部11のヒータ線12は天蓋部14
の更に上部にも設けられているため、天蓋部14は内壁
との温度差がほとんどない。従って、第1、第2試料皿
20、21上の試料及び基準物質は周囲及び上部よりム
ラなく輻射を受け、両者は均等に加熱される。
【0011】本発明の第2実施例の示差熱分析装置の加
熱炉の構成を図2(a)に示す。本実施例の加熱炉30
は試料の雰囲気調整を行なわない場合に使うものであ
り、雰囲気ガスを逃がすための通気孔を設ける必要がな
いため、天蓋部34をフラットにし、試料及び基準物質
の上部を完全に覆って、より均等な輻射を行なうように
している。
【0012】本発明の第3実施例の示差熱分析装置の加
熱炉の構成を図2(b)に示す。本実施例の加熱炉40
は、第1実施例と同様、雰囲気調整を行なう場合に使用
するものであるが、第1実施例で用いた通気孔45付天
蓋部44に加え、炉の下部よりセラミックス製の反射板
47を第1、第2試料皿20、21の真下の位置まで差
し込んでいる。これにより、試料及び基準物質は周囲及
び上部から均等な輻射を受けることに加え、下面からの
輻射損失が最小限に抑えられるため、さらに均等な加熱
が行なわれる。なお、反射効率を上げるために、反射板
47の上面に白金等の金属層を設けるようにしてもよ
い。
【0013】本発明の第4実施例として、熱重量測定装
置(TG)の加熱炉70を図4に示す。熱重量測定装置
では、試料76を天秤により吊り下げるため、横断壁7
4を試料76よりも下に設けている。この場合も、上記
第1〜第3実施例の場合と同様、横断壁74より下部に
もヒータ72が存在するため、横断壁74は加熱炉の内
壁とほぼ等しい温度となり、試料76は周囲及び下部か
ら均等に加熱される。熱重量測定装置は基準物質を用い
ず、試料76のみを加熱するため、炉内温度分布は示差
熱分析装置のような横方向の均一性は要求されないが、
本発明に従って横断壁を設けることにより、熱電対77
の測温端(高温部)と試料76との温度差が少なくなる
ため、測定精度が向上するという効果が得られる。図示
しないが、熱機械測定装置でも同様に加熱炉の上部から
試料を挿入する形式となるため、図4に示すように試料
よりも下に横断壁を設ける。熱機械測定装置では、試料
の縦方向の温度分布の均一性が要求されるため、同様に
本発明により、高精度の測定を行なうことができるよう
になる。
【0014】
【発明の効果】本発明に係る熱分析装置では、試料(及
び基準物質)の直上(又は直下)に周囲の炉壁とほぼ同
じ温度となっている横断壁が存在するため、試料(及び
基準物質)は周囲の側壁と上部(又は下部)の横断壁よ
りほぼ均一な輻射を受け、試料は均一な加熱を受ける
(試料と基準物質とが併置されている場合には、両者が
均等に加熱される)。このため、示差熱分析装置ではベ
ースラインシフトのない、正確な分析を行なうことがで
き、その他の熱分析装置でも、温度精度の高い分析を行
なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例である示差熱分析装置の
加熱炉の縦断面図。
【図2】 本発明の第2及び第3実施例である示差熱分
析装置の加熱炉の縦断面図。
【図3】 従来の示差熱分析装置の加熱炉の縦断面図及
び制御装置のブロック図。
【図4】 本発明の第4実施例である熱重量測定装置の
加熱炉の縦断面図。
【符号の説明】
10、30、40、50、70…加熱炉 11、51…加熱炉本体部 12、52、7
2…ヒータ線 14、34、44…天蓋部 74…横断壁 20、21…第1、第2試料皿 22、23、2
4…熱電対 47…反射板

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 縦型筒状の加熱炉の略中央に試料を配置
    する熱分析装置において、加熱炉の端部から炉長の1/
    4〜1/2の位置に、炉壁に接続した横断壁を設けたこ
    とを特徴とする熱分析装置。
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