JPH06281377A - プレート式熱交換器用プレート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 プレート式熱交換器のプレートの積層時、ガ
スケットの接液する部分近傍に液の流れない滞留部分が
発生するのを防止することを目的とする。 【構成】 プレートを積層し、プレート式熱交換器を形
成する時、ガスケットの接液する部分近傍の液の流れな
い滞留部分と対抗する位置、或いは近接する個所に逃し
溝を形成し、この滞留部分に於ける液の流動を可能にし
たものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、プレート式熱交換器用
プレートに関するものであり、ガスケット溝のガスケッ
トの接液する部分近傍の液の流れない滞留部分でのスケ
ールの付着を防止したプレートに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】プレートに形成した通路孔と伝熱面との
間に位置する２重シール部と伝熱面との境界部について
従来の技術を以下に説明する。

【０００３】プレート式熱交換器に使用するプレート(1
a)は、一般に、図７に示す如く、長方形状をした平板か
らなり、その表面に凹凸状をした伝熱面(2)を有し、４
隅には、通路孔(3)が設けてある。

【０００４】また、プレート(1a)上の各通路孔(3)の周
囲及び伝熱面(2)の周囲を囲む部分には、ガスケット(5)
を装着するためのガスケット溝(4)が設けてあり、この
ガスケット溝(4)にガスケット(5)を装着することによ
り、図のプレートを形成する。

【０００５】また、図中(6)は、伝熱面(2)と連通する通
路孔(3)と伝熱面(2)との間に位置する堰部、(7)は、伝
熱面(2)と連通しない通路孔(3)と伝熱面(2)との間に位
置する２重シール部である。

【０００６】更に、プレート(1a)を平面上で１８０゜反
転させたプレート(1b)を図８に示す。

【０００７】そして、プレート式熱交換器の形成時に
は、図７のプレート(1a)と図８のプレート(1b)とを交互
に積層し、第１流路と第２流路とが交互に形成されたプ
レート式熱交換器を形成する。

【０００８】そして、上記プレート式熱交換器の第１及
び第２流路に２種の流体を供給することにより、２種の
流体間で熱交換を行うようにしている。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】プレート式熱交換器に
使用するプレート(1a)は、上記した如く、伝熱面(2)を
凹凸状とし、熱交換時の伝熱性能の向上を計るようにし
ている。

【００１０】ところが、伝熱面(2)を凹凸状にすると、
プレート(1a)とプレート(1b)との積層時、２重シール部
(7)の伝熱面(2)側のガスケット(5a)と、これに近接する
伝熱面(2)との間に、図９に示す如く、液の流れを阻止
する閉塞部(A)が断続的に形成されてしまい、この閉塞
部(A)によってプレート式熱交換器に供給される処理液
が滞留を起こし、この滞留を起こした部分にスケールが
推積するといった問題があった。

【００１１】また、上記のようにしてスケールが推積す
ると、プレート式熱交換器に供給される処理液が食品液
の場合には雑菌の繁殖の要因となるため、プレート式熱
交換器を定期的に分解洗浄する必要が生じるが、この作
業に多大な労力を要するといった問題があった。

【００１２】更に、処理液の滞留部分が形成されると、
液中に含まれるガスも滞留し、このガスがガスケット
(5)を浸食すると共に、場合によっては、プレート(1a)
自体を腐食させ、プレート式熱交換器のガスケット(5)
及びプレート(1a)の寿命を大幅に縮めるといった問題も
あった。

【００１３】

【課題を解決するための手段】通路孔、伝熱面及び伝熱
面の周囲を囲むガスケットが装着されるガスケット溝を
有するプレート式熱交換器用プレートに於いて、

【００１４】プレートの積層時、上記ガスケットの接液
する部分近傍の液の流れない滞留部分と対抗する位置
に、この滞留部分を縦断し、ガスケットの接液する部分
近傍に於ける液の流動を可能とするための逃し溝を形成
するか、

【００１５】プレートの積層時、上記ガスケット溝のガ
スケットの接液する部分近傍の液の流れない滞留部分に
沿う個所に、この滞留部分に於ける液の流動を可能にす
るためのガスケット溝より浅い逃し溝を併設するか、

【００１６】プレートの積層時、上記ガスケットの接液
する部分近傍の液の流れない滞留部分に沿う個所に、こ
の滞留部分に於ける液の流動を可能にするための逃し溝
をガスケットに刻設するかしたものである。

【００１７】

【作用】上記した如く、プレートを積層し、プレート式
熱交換器を形成する時、ガスケットの接液する部分近傍
の液の流れない滞留部分と対抗する位置、或いは近接す
る個所に逃し溝を形成し、この滞留部分に於ける液の流
動を可能にすることにより、この部分にスケールが推積
するのを防止したものである。

【００１８】

【実施例】図１及び図２は、本発明に係るプレート(20
a)の第１実施例の要部を示すものである。

【００１９】同図に於いて、(21)は、プレート(20a)の
伝熱面、(22)は、プレート(20a)の４隅に形成される通
路孔、(23)はガスケット溝、(24)は、ガスケット溝(23)
に装着させたガスケット、(25)は、伝熱面(21)と連通す
る通路孔(22)と伝熱面(21)との間に位置する堰部、(26)
は、伝熱面(21)と連通しない通路孔(22)と伝熱面(21)と
の間に位置する２重シール部である。

【００２０】そして、上記堰部(25)と伝熱面(21)との境
界部分には、プレートを積層した時、上述した閉塞部
(A)を縦断する逃し溝(27)が形成してある。

【００２１】上記構成からなるプレート(20a)と、この
プレート(20a)を平面状で１８０゜反転させたプレート
(20b)とを従来と同様に交互に積層し、プレート式熱交
換器を形成すると、プレート(20a)の堰部(25)と伝熱面
(21)との境界部に形成した逃し溝(27)が、図２に示す如
く、２重シール部(26)の伝熱面側(21)のガスケット(24
a)と、これに近接する伝熱面(21)との間に断続的に形成
される閉塞部(A)を縦断するため、この逃し溝(27)によ
って閉塞部(A)の周囲に液が滞留するのを確実に防止で
きる。

【００２２】図３及び図４は、本発明に係るプレート(2
0a)の第２実施例の要部を示すものである。

【００２３】同図に於いて、(21)は、プレート(20a)の
伝熱面、(22)は、プレート(20a)の４隅に形成される通
路孔、(23)はガスケット溝、(24)は、ガスケット溝(23)
に装着させたガスケット、(25)は、伝熱面(21)と連通す
る通路孔(22)と伝熱面(21)との間に位置する堰部、(26)
は、伝熱面と連通しない通路孔(22)と伝熱面(21)との間
に位置する２重シール部である。

【００２４】そして、上記２重シール部(26)の伝熱面側
のガスケット溝(23a)の両側部の内、伝熱面側に位置す
る部分には、ガスケット溝(23a)より浅い逃し溝(28)が
併設してある。

【００２５】上記構成からなるプレート(20a)と、この
プレート(20a)を平面状で１８０゜反転させたプレート
(20b)とを従来と同様に交互に積層し、プレート式熱交
換器を形成すると、プレート(20a)の２重シール部(26)
の伝熱面側のガスケット溝(23a)に併設した逃し溝(28)
が、図４に示す如く、２重シール部(26)の伝熱面側のガ
スケット(24a)と、これに近接する伝熱面(21)との間に
断続的に形成される閉塞部(A)を縦断するため、この逃
し溝(28)によって閉塞部(A)の周囲に液が滞留するのを
確実に防止できる。

【００２６】図５及び図６は、本発明に係るプレート(2
0a)の第３実施例の要部を示すものである。

【００２７】同図に於いて、(21)は、プレート(20a)の
伝熱面、(22)は、プレート(20a)の４隅に形成される通
路孔、(23)はガスケット溝、(24)は、ガスケット溝(23)
に装着させたガスケット、(25)は、伝熱面(21)と連通す
る通路孔(22)と伝熱面(21)との間に位置する堰部、(26)
は、伝熱面(21)と連通しない通路孔(22)と伝熱面(21)と
の間に位置する２重シール部である。

【００２８】そして、上記２重シール部(26)の伝熱面側
のガスケット溝(23a)に装着するガスケット(24a)の両側
部の内、伝熱面側に位置する部分には、側縁部を切り欠
くことにより逃し溝(29)が形成してある。

【００２９】上記構成からなるプレート(20a)と、この
プレート(20a)を平面状で１８０゜反転させたプレート
(20b)とを従来と同様に交互に積層し、プレート式熱交
換器を形成すると、プレート(20a)の２重シール部(26)
の伝熱面側のガスケット溝(23a)に装着したガスケット
(24a)に形成した逃し溝(29)が、図６に示す如く、２重
シール部(26)の伝熱面側のガスケット(24a)と、これに
近接する伝熱面(21)との間に断続的に形成される閉塞部
(A)を縦断するため、この逃し溝(29)によって閉塞部(A)
の周囲に液が滞留するのを確実に防止できる。

【００３０】尚、上記各実施例は、プレート(20a)の２
重シール部(26)の伝熱面側のガスケット(24a)と、これ
に近接する伝熱面(21)との間に断続的に形成される閉塞
部(A)の周囲に液が滞留するのを防止する例について説
明したが、本発明は、プレート(20a)のガスケット(24)
の接液する部分近傍に形成される全ての閉塞部(A)に対
して適応できるのは無論である。

【００３１】また、本発明は、上述した第１乃至第３の
実施例に示す各逃し溝(27)(28)(29)を単独で使用する以
外に、各逃し溝(27)(28)(29)を任意に組合わせて使用し
てもよい。

【００３２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明は、プレー
トを積層し、プレート式熱交換器を形成する時、ガスケ
ットの接液する部分近傍の液の流れない滞留部分と対抗
する位置、或いは近接する個所に逃し溝を形成し、この
滞留部分に於ける液の流動を可能にしたものである。

【００３３】従って、従来の如く、この部分にスケール
が推積するのを防止することが可能となり、また、スケ
ールの推積を防止することによりプレート式熱交換器の
定期的な分解洗浄も不用となる。

【００３４】更に、液の滞留を防止することにより、液
中に含まれるガスによるガスケット及びプレートの腐食
を防止でき、プレート式熱交換器の長寿命化を計ること
も可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るプレートの第１実施例の要部を示
す平面図。

【図２】本発明に係るプレートの第１実施例の積層状態
を示す部分断面図。

【図３】本発明に係るプレートの第２実施例の要部を示
す平面図。

【図４】本発明に係るプレートの第２実施例の積層状態
を示す部分断面図。

【図５】本発明に係るプレートの第３実施例の要部を示
す平面図。

【図６】本発明に係るプレートの第３実施例の積層状態
を示す部分断面図。

【図７】プレートの従来例を示す平面図。

【図８】プレートの従来例を示す平面図。

【図９】従来のプレートの積層状態を示す部分断面図。

【符号の説明】

２０ａ プレート ２０ｂ プレート ２１ 伝熱面 ２２ 通路孔 ２３ ガスケット溝 ２４ ガスケット ２７ 逃し溝 ２８ 逃し溝 ２９ 逃し溝

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 通路孔、伝熱面及び伝熱面の周囲を囲む
   ガスケットが装着されるガスケット溝を有するプレート
   式熱交換器用プレートに於いて、 プレートの積層時、上記ガスケットの接液する部分近傍
   の液の流れない滞留部分と対抗する位置に、この滞留部
   分を縦断し、ガスケットの接液する部分近傍に於ける液
   の流動を可能とするための逃し溝を形成したことを特徴
   とするプレート式熱交換器用プレート。
2. 【請求項２】 通路孔、伝熱面及び伝熱面の周囲を囲む
   ガスケットが装着されるガスケット溝を有するプレート
   式熱交換器用プレートに於いて、 プレートの積層時、上記ガスケット溝のガスケットの接
   液する部分近傍の液の流れない滞留部分に沿う個所に、
   この滞留部分に於ける液の流動を可能にするためのガス
   ケット溝より浅い逃し溝を併設したことを特徴とするプ
   レート式熱交換器用プレート。
3. 【請求項３】 通路孔、伝熱面及び伝熱面の周囲を囲む
   ガスケットが装着されるガスケット溝を有するプレート
   式熱交換器用プレートに於いて、 プレートの積層時、上記ガスケットの接液する部分近傍
   の液の流れない滞留部分に沿う個所に、この滞留部分に
   於ける液の流動を可能にするための逃し溝をガスケット
   に刻設したことを特徴とするプレート式熱交換器用プレ
   ート。