JPH0212467Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はプレート式熱交換器用ガスケツトに関
するものであり、更に詳しくはプレート式熱交換
器の内部からの作動流体の漏出防止性能を向上せ
しめたプレート式熱交換器用ガスケツトに関する
ものである。

(イ) 従来技術 プレート式熱交換器は、多数のプレートエレメ
ントをガスケツトを介して積層し、与熱径路と受
熱径路とを交互に配置して作動流体間で熱交換を
行うものであるが、斯かるプレート式熱交換器の
運転に際しガスケツトによるシール性能が十分で
ないと高圧の作動流体が熱交換器の内部から系外
に漏出し、運転の経済性低下、或いは漏出した作
動流体による環境汚染等の問題を惹起するので、
作動流体の漏出防止性能の良好なガスケツト構造
を案出することが強く要望されていた。

即ち、周知のプレートエレメント１間に介在さ
せるガスケツト２は、第１図及び第２図に示す如
く、プレートエレメント１の外周縁に形成された
ガスケツト嵌着溝３と略同一形状をしており、該
ガスケツト嵌着溝３内に挿入された状態で各プレ
ートエレメント１間に介在し、内部の作動流体に
対しシール部材として機能している。

ところで、前記プレートエレメント１の表面に
は、多数のプレートエレメント１を積層したと
き、各プレートエレメント１間の間隔を一定に維
持し、且つ作動流体の流動方向を規整する多数の
うね状突起（図示せず）が設けられており、これ
に対応して該プレートエレメント１の外周縁に形
成されるガスケツト嵌着溝３の外縁には第３図乃
至第５図に示す如く、上下に位置する２枚のプレ
ートエレメント１間にガスケツト支持部位を形成
するように凹凸部４，５が形成されている。斯か
るプレートエレメント１をガスケツト２を介して
積層すると、第６図に示す如く、上方に位置する
プレートエレメント１の凹状部４の下面４ｂに、
下方に位置するプレートエレメント１の凸状部５
の上面５ａが当接し、各プレートエレメント１間
の間隔を一定に保持する。

ところが、前記の如くプレートエレメント１の
ガスケツト嵌着溝３の外縁に凹凸部４，５を設け
ると、ガスケツト嵌着溝３自体の形状も変化し、
その平面形状は第３図に示す如く櫛形になる。

このようにガスケツト嵌着溝３の形状が櫛形に
なると、下記の如き不都合が発生する。即ち、多
数のプレートエレメント１を積層して形成した受
熱径路及び／または与熱径路内に供給された作動
流体の圧力が上昇すると、該圧力上昇によりガス
ケツト嵌着溝３内に嵌装されたガスケツト２にプ
レートエレメント１の外縁方向への押圧力が働
き、ガスケツト嵌着溝３の前記凹状部４の側方に
位置する部分が第７図及び第８図に示す如く横方
向にずれ変形して該凹状部４内に押し出される。
この為、上記ずれ変形部分のシール性能が低下
し、プレート式熱交換器の内部から作動流体が系
外へ漏出する。

(ロ) 考案の目的 本考案の主要な目的は、ガスケツト本体と一体
に接合された状態でガスケツト嵌着溝内に嵌まり
込むリテイナーによつて該ガスケツトのずれ変形
を防止する、作動流体の漏洩防止性能を改善せし
めたプレート式熱交換器用ガスケツトを提供する
ことにある。

本考案の他の主要な目的は、構造の簡易性と保
守管理の容易性に優れたプレート式熱交換器用ガ
スケツトを提供することにある。

(ハ) 考案の構成 本考案は、外周縁に凹凸部を有するガスケツト
嵌着溝に嵌着されるプレート式熱交換器用ガスケ
ツトにおいて、ガスケツト内への嵌まり込み部位
をガスケツトの全周に亘つて有すると共に、該部
位の外方にガスケツト嵌着溝の各凹部に嵌合する
支持部位を一体に有するリテイナーを具備したこ
とを特徴とするプレート式熱交換器用ガスケツト
を要旨とするものである。

(ニ) 実施例 第９図及び第１０図は、それぞれ本考案装置に
使用するリテイナー１０とガスケツト２の接合状
態で示す平面図及び横断面図である。これらの図
面に於いて、ガスケツト２は合成ゴム等の弾性材
料から製作された作動流体の漏出防止部材であつ
て、プレートエレメント１の嵌着溝３内に嵌装
れ、隣り合うプレートエレメント１間に与熱径路
と受熱径路とを交互に形成している。ガスケツト
２は、その外壁面から内部に向つて延びるリテイ
ナー嵌着空間６を有し、該ガスケツト２の弾性変
形能を利用して前記リテイナー嵌着空間を拡開し
該部にリテイナー１０を挿入、固定し得るように
構成されている。リテイナー１０は、前記リテイ
ナー嵌着空間６への嵌まり込み部位７と嵌着溝３
内へガスケツト２から露出したままの状態で挿入
される支持部位８とを平板状の接合部位９を介し
て一体構造に接合したものであり、作動流体の内
圧によるガスケツト２のずれ変形に対し抵抗部材
として機能する。リテイナー１０は、ガスケツト
２のずれ変形防止能を所定の水準に維持する為、
前記ガスケツト２よりも剛性の大きな材料、例え
ば合成樹脂或いは金属材料等から形成することが
望ましいが、ガスケツト２内へ嵌まり込み部位
７、支持部位８及び接合部位９の形状並びに寸法
は、ガスケツト２及び嵌着溝３の形状並びに寸法
に応じて自由に選択することができる。また、上
記嵌まり込み部位７は、ガスケツト２の全周に亘
つて配置することが好ましく、これに対応してガ
スケツト２のリテイナー嵌着空間６もガスケツト
２の全周に亘つて形成されている。一方、リテイ
ナー１０の支持部位８は、作動流体の内圧による
ガスケツト２のずれ変形量が大きい部分、即ち、
ガスケツト嵌着溝３の外周縁の凹部４のみに部分
的に配置する。

このような構造を有するガスケツト２とリテイ
ナー１０とを一体構造に接合した状態でガスケツ
ト嵌着溝３内に挿入し、この後、所定枚数のプレ
ートエレメント１を積層すれば、第１０図に示す
如く、リテイナー１０がガスケツト嵌着溝３の内
壁面を押圧し、作動流体の内圧によるガスケツト
２のずれ変形に対し抵抗部材として機能する強固
なシール構造が形成される。

(ホ) 考案の効果 本考案によれば、リテイナーでガスケツトの変
形発生部のみを確実にバツクアツプさせてシール
作用の低下を効果的に防止させることができる。

しかも、リテイナーの支持部位は、ガスケツト
嵌着溝の各凹部に対応した位置にのみ形成されて
いるのであり、該凹部は、本来、ガスケツトの装
着されない部分であるから、ガスケツトの幅寸法
を減少させずにリテイナーを具備させることがで
き、シール作用に悪影響を与えることがない。

また、リテイナーの上記支持部位以外の部分
は、ガスケケツト内に嵌着されているため、リテ
イナーの装着に当つて、ガスケツト嵌着溝の溝幅
は広くする必要がなく、変更を要さない。

【図面の簡単な説明】

第１図はプレートエレメントの一例を示す平面
図、第２図はガスケツトの一例を示す平面図、第
３図はガスケツト嵌着溝の部分拡大図、第４図は
第３図の−線に沿うガスケツト嵌着溝の横断
面図、第５図は第３図の−線に沿うガスケツ
ト嵌着溝の横断面図、第６図は在来のガスケツト
を嵌着したプレートエレメントの積層状態を例示
する横断面図、第７図及び第８図は在来のプレー
トエレメントに嵌着されたガスケツトに作動流体
の内圧が作用した際のガスケツトの変形状態を示
す平面図及び横断面図である。一方、第９図及び
第１０図は、それぞれ本考案装置要部の平面図及
び横断面図である。 １……プレートエレメント、２……ガスケツ
ト、３……ガスケツト嵌着溝、４……リテイナー
嵌着用凹部、６……リテイナー嵌着空間、７……
嵌まり込み部位、８……支持部位、９……接合部
位、１０……リテイナー。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 外周縁に凹凸部を有するガスケツト嵌着溝に嵌
   着されるプレート式熱交換器用ガスケツトにおい
   て、 ガスケツト内への嵌まり込み部位をガスケツト
   の全周に亘つて有すると共に、該部位の外方にガ
   スケツト嵌着溝の各凹部に嵌合する支持部位を一
   体に有するリテイナーを具備したことを特徴とす
   るプレート式熱交換器用ガスケツト。