JPH06280900A

JPH06280900A - ２方向ローラクラッチユニット

Info

Publication number: JPH06280900A
Application number: JP7168493A
Authority: JP
Inventors: Masayuki Beppu; 雅之別府; Shunei Goto; 俊英後藤
Original assignee: NTN Corp; NTN Toyo Bearing Co Ltd
Current assignee: NTN Corp
Priority date: 1993-03-30
Filing date: 1993-03-30
Publication date: 1994-10-07

Abstract

(57)【要約】【目的】正・逆両回転方向のロック機能と空転機能と
を備え、しかも、取付誤差等に伴う回転軸の傾きに関わ
りなく、安定したクラッチ機能、耐久性を発揮する２方
向ローラクラッチユニットを提供する。【構成】２方向ローラクラッチユニットは、回転軸１
を回転制御するための２方向ローラクラッチ２と、ロー
ラクラッチ２と軸心を揃えて配置され、回転軸１を回転
自在に支持するための転がり軸受３と、転がり軸受３を
収容保持する筒状の軸受ハウジング６とを主要な要素と
して構成される。そして、クラッチ外輪２ａの外径フラ
ンジ部２ａ５を軸受ハウジング６の内径フランジ部６ｂ
の内側に組み入れると共に、爪部２ａ６を屈曲変形させ
てその先端から凹部６ｃに係合可能に適合させることに
より、クラッチ外輪２ａと軸受ハウジング６とを軸方向
および回転方向に係合可能な状態に一体化してある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、２方向ローラクラッチ
と転がり軸受とを一体にユニット化した２方向ローラク
ラッチユニットに関し、例えば、全自動洗濯機において
洗濯脱水槽の回転制御用機器として利用することができ
る。

【０００２】

【従来の技術】例えば、全自動洗濯機では洗濯物の洗い
・すすぎおよび脱水が一つの洗濯脱水槽で行なわれるた
め、洗濯脱水槽は洗い・すすぎ時は停止し、脱水時にの
み回転するようになっている。この洗濯脱水槽の回転制
御は、その底面中央部から下方に延びた筒状槽軸の回転
を制御することによりなされる。すなわち、筒状槽軸に
は回転源に正・逆回転自在に連結されたファン軸が挿通
されており、洗い・すすぎ時、筒状槽軸の正・逆回転を
１方向クラッチおよびブレーキベルトでロックしながら
ファン軸のみを正・逆回転させ、脱水時には、ブレーキ
ベルトのロックを解除すると共に、ファン軸を１方向ク
ラッチのフリー方向に回転させて、槽軸をファン軸と共
回りさせるのである。そして、脱水が完了すると、ブレ
ーキベルトを作動させて筒状槽軸の回転を停止させる。

【０００３】ところで、上記１方向クラッチとして、ロ
ーラクラッチが使用される場合が多い。ローラクラッチ
は、例えば、内周面に複数のカム面を備え、各カム面
で、制御すべき回転軸の外周面との間に一方の回転方向
（例えば、正回転方向）にくさび空間を形成するクラッ
チ外輪と、このくさび空間に係合・離脱可能に配された
複数のニードルローラと、ニードルローラを収容する複
数のポケットを備えた保持器と、ニードルローラをくさ
び空間側に押圧するバネ手段とで構成される。回転軸の
逆回転に対しては、ニードルローラが回転軸との間の摩
擦力を受けて逆回転方向に移動し、くさび空間から離脱
することによりトルク伝達を遮断する。逆に、回転軸の
正回転に対しては、ニードルローラが正回転方向に移動
し、くさび空間に係合することによりトルク伝達を行な
う。バネ手段は、ニードルローラを離脱状態から係合状
態へとすみやかに移行させ、クラッチの応答性を高め
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ローラクラッチは、本
来、トルクの伝達・遮断を行なうものであり、それ自
体、回転軸を回転自在に支持する機能は持たない。その
ため、従来より、ローラクラッチと転がり軸受とを併用
し、回転軸の支持機能を転がり軸受に負わせ、ローラク
ラッチには本来のトルクの伝達・遮断機能のみを行なわ
せるといった支持構造が採用されてきた。具体的には、
別体のローラクラッチと転がり軸受とをそれぞれ取付フ
レームに支持させるいわゆる分離タイプと、ローラクラ
ッチと転がり軸受とを一体にユニット化したものを取付
フレームに支持させるユニットタイプとが知られてい
る。後者のユニットタイプは、分離タイプに比べ組込み
が容易で、しかもローラクラッチと転がり軸受との同軸
度（平行度）を容易に確保できるという利点がある。

【０００５】ところで、全自動洗濯機などにおいて、取
付誤差等によって回転軸に傾きが生じる場合がある。回
転軸の傾きが大きいと、トルク伝達時、ローラクラッチ
のクラッチ外輪に偏荷重が作用することにより、各カム
面に均等にトルクが伝達されず、カム面の耐久性に影響
が生じることが予想される。ニードルローラをくさび空
間側に押圧するバネ手段の耐久性も懸念される。

【０００６】また、上述したように、洗濯脱水槽の回転
制御には正・逆両回転方向のロック機能と空転機能とが
同時に要求されるが、従来、１方向クラッチとブレーキ
ベルトとを併用することによってこの要求を達成するよ
うにしている。しかし、洗い・すすぎ時、洗濯脱水槽は
１方向クラッチでロックされる方向には動かないが、ブ
レーキベルトでロックされる方向には少しづつ動き、フ
ャン軸が正・逆回転を繰り返すうちに徐々に締まってゆ
く。そのため、長時間使用するとブレーキベルトの劣化
や、ブレーキドラムの摩耗等が生じる可能性がある。

【０００７】本発明の目的は、正・逆両回転方向のロッ
ク機能と空転機能とを備え、しかも、取付誤差等に伴う
回転軸の傾きに関わりなく、安定したクラッチ機能、耐
久性を発揮する２方向ローラクラッチユニットを提供す
ることにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】請求項１の２方向ローラ
クラッチユニットは、内周面に複数のカム面を備え、各
カム面で、制御すべき回転部材の外周面との間に正・逆
両回転方向にクサビ空間を形成するクラッチ外輪、クサ
ビ空間に係合・離脱可能に配されたローラ、ローラを収
容するポケットを備え、クラッチ外輪の内径部に揺動可
能に挿入された保持器、および保持器の揺動を制御する
制御手段を有する２方向ローラクラッチと、この２方向
ローラクラッチと軸心を揃えて配置され、回転部材を回
転自在に支持する転がり軸受と、転がり軸受を収容保持
する筒状の軸受ハウジングとで構成されるものであっ
て、クラッチ外輪と軸受ハウジングとを係合一体化した
ものである。

【０００９】請求項２の２方向ローラクラッチユニット
は、上記構成において、クラッチ外輪と軸受ハウジング
との間に、２方向ローラクラッチの回転部材の傾きに応
じた移動を許容する調心すきまを設けたものである。

【００１０】

【作用】クラッチ外輪と軸受ハウジングとは、相互に軸
方向及び回転方向に係合可能な状態に一体化される。２
方向クラッチと転がり軸受とは、クラッチ外輪と軸受ハ
ウジングとの係合構造を介して一体にユニット化され
る。

【００１１】また、クラッチ外輪と軸受ハウジングとの
間に調心すきまを設けることにより、回転部材に傾きが
あると、２方向ローラクラッチがこの傾きに応じて調心
すきま内を移動し、軸心のずれを自動的に調心する。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に従って説明す
る。

【００１３】図１に示すように、この実施例の２方向ロ
ーラクラッチユニットは、回転軸１を回転制御するため
の２方向ローラクラッチ２（以下、ローラクラッチ２と
いう）と、ローラクラッチ２と軸心を揃えて配置され、
回転軸１を回転自在に支持するための転がり軸受３（例
えば、密封型の深溝玉軸受）と、転がり軸受３を収容保
持する筒状の軸受ハウジング６とを主要な要素として構
成される。

【００１４】ローラクラッチ２は、図２〜図３に拡大し
て示すように、内周面に複数のカム面２ａ１を備え、各
カム面２ａ１で、回転軸１の外周面との間に正・逆両回
転方向に対称なくさび空間を形成する例えばシェル型の
クラッチ外輪２ａと、くさび空間に係合・離脱可能に配
された複数のニードルローラ２ｂと、ニードルローラ２
ｂを収容保持する複数のポケット２ｃ１を備えた例えば
樹脂製の保持器２ｃと、保持器２ｃのポケット２ｃ１の
側壁とニードルローラ２ｂの外周面との間に介在し、ニ
ードルローラ２ｂをくさび空間側に押圧するバネ手段２
ｄとで構成される。

【００１５】クラッチ外輪２ａの一方の端面には、外径
側に延びた外径フランジ部２ａ５と、この外径フランジ
部２ａ５から円周等配位置の３箇所において外径側に突
出した３つの爪部２ａ６とが設けられ、他方の端面に
は、内径側に屈曲した鍔部２ａ７と、この鍔部２ａ７に
切欠き形成されたストッパ溝２ａ２とが設けられてい
る。

【００１６】保持器２ｃは、クラッチ外輪２ａの内径部
に揺動可能に挿入され、鍔部２ａ７、および、内径部に
嵌着された係止リング７とによって軸方向の両側に抜け
止め規制されている。また、保持器２ｃの内周面には突
状のドラグ突起２ｃ２が一体に形成され、端面には軸方
向に延びたストッパピン２ｃ３が一体に形成されてい
る。ドラグ突起２ｃ２の先端は、回転軸１の外周面に締
代をもって弾性的に接触している。ストッパピン２ｃ３
は、クラッチ外輪２ａのストッパ溝２ａ２に係合可能に
適合している。保持器２ｃは、ストッパピン２ｃ３とス
トッパ溝２ａ２の側壁との間の間隔分だけ、クラッチ外
輪２ａに対して、正・逆回転方向に揺動することができ
る。尚、２ｃ４は、ドラグ突起２ｃ２部分に弾性を付与
するために設けられたぬすみ部である。

【００１７】軸受ハウジング６には、転がり軸受３のク
ラッチ外輪３ａが嵌合される大径円筒部６ａと、大径円
筒部６ａの他方の端面から内径側に延びた内径フランジ
部６ｂと、内径フランジ部６ｂを円周等配位置の３箇所
において切欠いた３つの凹部６ｃとが設けられている。
そして、クラッチ外輪２ａの外径フランジ部２ａ５を軸
受ハウジング６の内径フランジ部６ｂの内側に組み入れ
ると共に、爪部２ａ６を屈曲変形させてその先端から凹
部６ｃに係合可能に適合させることにより、クラッチ外
輪２ａと軸受ハウジング６とを軸方向および回転方向に
係合可能な状態に一体化してある。また、外径フランジ
部２ａ５と内径フランジ部６ｂとの間に軸方向すきまＳ
１、外径フランジ部２ａ５と転がり軸受３の端面との間
に軸方向すきまＳ２を設け、さらに、爪部２ａ６と凹部
６ｃの壁面との間に半径すきまＳ３、回転方向すきまＳ
５、Ｓ６を設けてある。尚、これらすきまは、例えば
０．５ｍｍ程度の僅かなものである。

【００１８】この２方向ローラクラッチユニットの機能
について説明する（尚、ローラクラッチ２は、本出願人
による特願平４−７７１６７号に記載されたものと実質
的に同一の機能を有する）。例えば、図３において回転
軸１が時計方向に回転すると、ドラグ突起２ｃ２と回転
軸１との間に発生する摩擦力によって保持器２ｃが時計
方向に揺動する。そうすると、ニードルローラ２ｂが保
持器２ｃに押圧されて時計方向のくさび空間に係合する
ことにより、回転軸１が時計方向にロックされる。この
状態から、回転軸１が半時計方向に回転すると、今度
は、ドラグ突起２ｃ２の摩擦力によって保持器２ｃが半
時計方向に揺動し、ニードルローラ２ｂが半時計方向の
くさび空間に係合することにより、回転軸１が半時計方
向にロックされる。すなわち、この２方向ローラクラッ
チユニットは、何らの操作も必要とせず、回転軸１の正
・逆回転を自動的にロックすることができる。次に、例
えば、保持器２ｃが時計方向に揺動した時の状態（スト
ッパピン２ｃ３がストッパ溝２ａ２の側壁に係合した状
態）を適宜の手段で保持すると、回転軸１は時計方向に
ロック、半時計方向にフリーになる。保持器２ｃが半時
計方向に揺動した時の状態を保持すると、回転軸１は時
計方向にフリー、半時計方向にロックされる。そして、
ストッパピン２ｃ３を自動的に保持・解除する手段を付
加することにより、回転軸１の正・逆両方向の回転制御
を完全自動化することができる。

【００１９】また、軸方向すきまＳ１、Ｓ２、半径すき
まＳ３、および、回転方向すきまＳ５、Ｓ６の存在によ
り、ローラクラッチ２が、軸受ハウジング６に対し軸方
向および半径方向に揺動移動することが可能となる。そ
のため、例えば取付誤差等によって回転軸１に傾きが生
じると、ローラクラッチ２が回転軸１の傾きに応じてこ
れらすきま内を揺動移動し、ローラクラッチ２と回転軸
１との軸心のずれを自動的に調心する。したがって、こ
の実施例では、軸方向すきまＳ１、Ｓ２、半径すきまＳ
３、および回転方向すきまＳ５、Ｓ６が調心すきまにな
る。

【００２０】尚、本実施例においては、爪部２ａ６と凹
部６ｃとの係合構造が円周等配位置の３箇所に設けられ
ているが、この係合構造は少なくとも１箇所に設ければ
良い。また、図示は省略するが、上記すきまＳ１〜Ｓ６
に樹脂あるいはゴム等からなる弾性部材を介在させると
（この場合でも、すきまは確保されるようにするのが望
ましい。）、クラッチＯＮ、ＯＦＦ時の衝撃・振動を吸
収させることができ、特に、タタキ音対策として有効で
ある。

【００２１】さらに、本発明は以上例示した構成に限定
されず、例えば、ローラクラッチ２として他の構成の２
方向ローラクラッチを使用する（例えば、本出願人によ
る特願平４−７７１６７号、特願平４−１５８４２号記
載の構成等）、ローラクラッチ２に内輪を具備させる、
クラッチ外輪２ａと軸受ハウジング６とを他の構成で係
合一体化する（例えば、本出願人による特願平５−３８
７２６号、特願平５−３８７２７号記載の構成等）、軸
受ハウジング６として他の形状のものを使用する、転が
り軸受としてアンギュラー玉軸受等他の形式を使用する
といった種々の改変が可能である。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の２方向ロ
ーラクラッチユニットは、クラッチ外輪と軸受ハウジン
グとの係合構造を介して２方向ローラクラッチと転がり
軸受とを一体にユニット化したものである。したがっ
て、本発明の２方向ローラクラッチユニットを、例え
ば、全自動洗濯機に使用することにより、従来、１方向
クラッチとブレーキベルトとで行なっていた洗濯脱水槽
の回転制御をこの２方向ローラクラッチユニットで行な
うことができる。そのため、ブレーキベルトの使用頻度
を減少させることができ（主に、停止用に使用する）、
場合によっては、ブレーキベルトの使用を不要とするこ
とができる可能性がある。

【００２３】また、クラッチ外輪と軸受ハウジングとの
間に、２方向ローラクラッチの回転部材の傾きに応じた
移動を許容する調心すきまを設けることにより、取付誤
差等によって回転部材に傾きが生じた場合でも、この傾
きが２方向ローラクラッチの移動によって自動的に調心
されるので、トルク伝達時の偏荷重が防止され、安定し
たクラッチ機能を確保することができると共に、２方向
ローラクラッチの耐久性を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示すｂ方向矢視図（図ａ）、
ａ−ａ断面図（図ｂ）である。

【図２】図１における２方向ローラクラッチを示す拡大
縦断面図（図ａ）、図ａにおけるｂ方向矢視図（図ｂ）
である。

【図３】図１における２方向ローラクラッチを示す拡大
横断面図である。

【符号の説明】

１回転軸２２方向ローラクラッチ２ａクラッチ外輪２ａ１カム面２ａ２ストッパ溝２ｂローラ２ｃ保持器２ｃ１ポケット２ｃ３ストッパピン２ｄバネ手段３転がり軸受６軸受ハウジングＳ１軸方向すきまＳ２軸方向すきまＳ３半径すきまＳ５回転方向すきまＳ６回転方回すきま

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】内周面に複数のカム面を備え、各カム面
で、制御すべき回転部材の外周面との間に正・逆両回転
方向にクサビ空間を形成するクラッチ外輪、前記クサビ
空間に係合・離脱可能に配されたローラ、前記ローラを
収容するポケットを備え、前記クラッチ外輪の内径部に
揺動可能に挿入された保持器、および、前記保持器の揺
動を制御する制御手段を有する２方向ローラクラッチ
と、この２方向ローラクラッチと軸心を揃えて配置さ
れ、回転部材を回転自在に支持する転がり軸受と、前記
転がり軸受を収容保持する筒状の軸受ハウジングとで構
成されるものであって、前記クラッチ外輪と前記軸受ハ
ウジングとを係合一体化したことを特徴とする２方向ロ
ーラクラッチユニット。
【請求項２】前記クラッチ外輪と前記軸受ハウジング
との間に、前記２方向ローラクラッチの回転部材の傾き
に応じた移動を許容する調心すきまを設けたことを特徴
とする２方向ローラクラッチユニット。