JPH0628073U - 仮設木質床 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 木質床を畳床上に仮設しても木質床材どうし
の連結部分が荷重によりＶ形に変形せず、在宅介護・リ
ハビリシステムの適用に好適なものとする。 【構成】 仮設木質床は、直交する２辺の上部にさね２
を、残りの２辺に小穴３をそれぞれ有しておりかつ直交
する２辺の下部に水平突出部４を、残りの２辺に隣接床
材水平突出部収容切欠部５をそれぞれ有する多数の木質
床材６よりなる。多数の木質床材６は相互に上部におい
てさねはぎせられるとともに、下部において切欠部５に
水平突出部４が収容せられて所定面積となるように前後
左右に連結せられている。複数の見切縁８どうしは相互
に連結せられている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、畳床などに施工せられる仮設木質床に関する。

【０００２】

【従来の技術】

近時、高齢化社会の到来で寝たきりの老人が増加している。また、自動車交通 事故による患者、不慮の転倒・墜落事故による患者などの神経・脊髄損傷者も増 えてきている。このような老人の介護や神経・脊髄損傷者のリハビリテイション のため、在宅介護・リハビリシステムが開発されている。この介護・リハビリシ ステムは、手すりが付設せられた特殊ベッド、ベッドの下方に出し入れ自在に収 納せられるキャスター付き浴槽、ポータブル便所を備えた給排水ユニット、車椅 子、ワゴン、移動可能なリハビリ設備などがセットになったものである。このよ うな在宅介護・リバビリシステムを洋室に設けることは可能であるが、和室の場 合は、畳床がその重量に耐えられないし、キャスタ付き浴槽および車椅子の移動 にも適さない。

【０００３】 しかしながら、介護・リハビリシステムはある期間必要なだけであるから、レ ンタルでも充分である。したがって、畳床をわざわざ木質床に変更するほどのこ ともなく、畳床上に仮設木質床を施工し、その必要性がなくなれば、これを撤去 して元の畳床に戻すことが望まれる。

【０００４】 ところで、従来の木質床は、図９に示されているように、隣接するものどうし の一方にさね(32)が設けられ、同他方に小穴(33)が設けられた多数の木質床材(3 6)を、小穴(33)にさね(32)をはめ入れることにより、左右前後に連結してなるも のである。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

上記木質床は、これを畳床（Ｍ）上に仮設した場合、木質床材(36)どうしの連 結部分に、図９に矢印で示すように、重量のある荷重（Ｌ）が加わると、やわら かい畳床が局部的に沈下して木質床がＶ形に変形するという問題がある。

【０００６】 本考案の目的は、畳床などの上に施工した場合、木質床材どうしの連結部分に 荷重が加わってもＶ形に変形するおそれがなく、在宅介護・リハビリシステムの 適用に好適な仮設木質床を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案による仮設木質床は、上部にさねはぎまたは相欠き加工部を有しかつ下 部に水平突出部および隣接床材水平突出部収容切欠部のうち少なくともいずれか 一方を有する多数の木質床材よりなり、多数の木質床材が相互に、上部において さねはぎまたは相欠き結合せられるとともに、下部において切欠部に水平突出部 が収容せられて所定面積となるように前後左右に連結せられ、さらに周側縁全体 に複数の見切縁が取付けられかつ見切縁どうしが相互に連結せられているもので ある。

【０００８】 木質板の具体例としては、合板が一般的であるが、その他パーティクルボード 、ハードボード、中質繊維板などをあげることができ、その表面には適宜化粧が 施される。この化粧は、銘木単板、挽板、パターンシート、合成樹脂シート、コ ルクを表面に貼着したり、塗装を施したりすることによって行なわれる。

【０００９】 木質板は通常方形であるが、六角形等の多角形、その他１辺とこれと対向する 辺が平面からみて階段状に形成せられたようなものでもよい。

【００１０】 また下部に水平突出部と隣接床材水平突出部収容切欠部を形成し易いように、 上部木質板と下部木質板の２枚の板を接着したものを用いることが好ましい。こ の場合、上部木質板の下面に単板等の反り防止板ないしシートを貼付けておいて もよい。

【００１１】 水平突出部の突出長さは１５〜５０mm程度あればよく、とくに３０〜４０mmが 好ましい。

【００１２】 多数の木質床材が相互に下部において切欠部に水平突出部が収容せられるだけ でもよいが、水平突出部上面に粘着テープが貼付けられ、これを介して切欠部上 壁下面が接着せられることが好ましい。

【００１３】 見切縁には、車椅子などの移動が円滑に行なわれ、また人がつまずかないよう に、外方に向かって下り勾配の傾斜面が形成せられている。

【００１４】 見切縁には、木質床材とのバランス上および加工の容易性から、むく材を使用 するのが好ましいが、中質繊維板その他の材料に突板などの化粧材を被覆したも のでもよい。

【００１５】 木質床材と見切縁との連結構造は、上記木質床材どうしの連結構造と同様にし てもよい。いずれにしても、見切縁および隣接する木質床材のいずれかに荷重が 加わったさい、木質床材と見切縁との間に段違いが生じない連結構造が採用せら れる。

【００１６】 本考案による仮設木質床材は、必ずしも畳床のみへの施工に限らず、じゅうた んを敷きつめた床にも施工することができる。また、その大きさはたとえば６畳 用、８畳用としてあらかじめ所定面積に定められている。

【００１７】

【作用】

本考案による仮設木質床は、上部にさねはぎまたは相欠き加工部を有しかつ下 部に水平突出部および隣接床材水平突出部収容切欠部のうち少なくともいずれか 一方を有する多数の木質床材よりなり、多数の木質床材が相互に、上部において さねはぎまたは相欠きせられるとともに、下部において切欠部に水平水平突出部 が収容せられて所定面積となるように前後左右に連結せられ、さらに周側縁全体 に複数の見切縁が取付けられかつ見切縁どうしが相互に連結せられているので、 畳床などのうえに簡単に木質床を仮設することができるし、これは単に畳床など の上に載置されているだけのものであるから、不必要になったさいの除去も容易 である。

【００１８】 また、多数の木質床材が相互に、上部においてさねはぎまたは相欠きせられる とともに、下部においては切欠部に水平突出部が収容せられているので、仮設木 質床の下方が畳床のようにやわらかくても、床材どうしの連結部分に介護・リハ ビリシステムにおける重量物を置いたさい木質床がＶ形に変形するおそれがない し、キャスタ付き浴槽、車椅子、リハビリ設備などの移動も可能である。

【００１９】 さらに、周側縁全体に複数の見切縁が取付けられかつ見切縁どうしが相互に連 結せられているので、多数の木質床材は分離することなく一体化する。

【００２０】

【実施例】

本考案の実施例を図面を参照して説明する。

【００２１】 図１ないし図３はこの考案の１実施例を示す。この実施例において、前後とは 図１の上下を、左右とは図１の左右をいうものとする。図示の６畳用方形仮設木 質床(1) は、上部にさねはぎ加工部すなわちさね(2) および小穴(3) を有しかつ 下部に水平突出部(4) および隣接床板水平突出部収容切欠部(5) を有する多数の 木質床材(6) よりなり、多数の木質床材(6) が相互に、上部においてさねはぎせ られるとともに、下部において切欠部(5) に水平突出部(4) が収容せられしかも 水平突出部(4) 上面がその上に貼付けられた両面粘着テープ(7) を介して切欠部 (5) 上壁下面に接着せられることにより、所定面積となるように前後左右に連結 せられ、さらに周側縁全体に、下り勾配の傾斜面(8a)を有する複数の見切縁(8) が取付けられているものであって、畳床（Ｍ）上に施工させられている。

【００２２】 木質板(6) は２枚の合板製上板(6A)および同下板(6B)とよりなり、上板(6A)の 表面には化粧単板（図示略）が貼付けられている。木質板(6) の直角に交わる２ 辺の上部、すなわち上板(6A)にさね(2) が、残る２辺に同小穴(3) が設けられて いる。また、木質床材(6) の直角に交わる２辺の下部に水平突出部(4) が、残る ２辺に逆Ｌ形の隣接床材水平突出部収容部(5) が設けられている。これらは上板 (6A)を下板(6B)に対して対角線上に若干ずらして接着することにより形成せられ ている。

【００２３】 見切縁(8) はコーナ部に使用せられる一端が平面からみて４５°に切断せられ たコーナ用分割見切縁(8A)と直線部に使用せられる側縁用分割見切縁(8B)とが組 み合わされてなるものである。

【００２４】 見切縁(8) には、図２に示されているように、木質床材(6) と同様その上部に は小穴(3) が、その下部には逆Ｌ形の隣接床材水平突出部収容部(5) が設けられ ており、木質床材(6) どうしと同じようにして、見切縁(8) は木質床材(6) に取 付けられている。

【００２５】 仮設木質床(1) の施工にさいしては、図３に示されているように、すでに畳床 （Ｍ）上に載置せられている木質床材(6) に対してこれに連結せられる木質床材 (6) を上方から斜めにし、前者のさね(2) に対し後者の小穴(3) をはめ合わせる ようにすれば、前者の水平突出部(4) 上面の粘着テープ(7) が後者の切欠部(5) 上壁下面に触れず、両木質床材(6) どうしに隙間が生じることなく施工すること ができる。

【００２６】 図４は、木質床材の変形例を示す。すなわち、この方形木質床材(16)は上下２ 枚の板(16A)(16B)が接着せられたものであるが、相欠き加工部として上板(16A) の直角に交わる２辺に上向き段部(12)が、残りの２辺に下向き段部(13)がそれぞ れ形成せられたものである。

【００２７】 図５は側縁用分割見切縁(8B)どうしの連結状態の詳細を示す。すなわち、対向 する２つの側縁用分割見切縁(8B)の端部上面(8b)にまたがる長方形でかつ複数の ねじ込み孔(9) のあけられた板状連結金具(10)を用いるもので、前記両者の端部 上面(8b)に連結金具(10)の厚さ分に相当する深さの溝(11)が設けられており、こ れに連結金具(10)がはめ込まれ、これがビス(14)により両分割見切縁(8B)にねじ 止められる。図示は略したが、仮設木質床(1) のコーナ部分では、平面からみて Ｌ形の連結金具が使用せられる。

【００２８】 図５では、連結金具(10)が両分割見切縁(8B)の上面に当てがわれているが、逆 に下面に当てがわれていてもよいし、上下両面に当てがわれてもよい。

【００２９】 図６および図７は、それぞれ側縁用分割見切縁の連結構造の変形例を示すもの で、ともに相欠きせられたものである。

【００３０】 図６に示すものでは、一方の側縁用分割見切縁(8B)の上部水平突出部(17)に円 形凹陥部(19)が設けられ、凹陥部(19)の底から、他方の側縁用分割見切縁(8B)の 下部水平突出部(20)にビス(21)がねじ止められ、両分割見切縁(8B)が固定せられ ている。凹陥部(19)には木栓(22)が詰め込まれ、その上面が上部水平突出部(17) の上面と面一になされている。

【００３１】 図７に示すものでは、一方の側縁用分割見切縁(8B)の上部水平突出部(17)の上 面と、他方の側縁用分割見切縁(8B)の下部水平突出部(20)の下面とにそれぞれ円 形凹陥部(19)(21)が設けられるとともに、両凹陥部(19)(21)に達するように、ボ ルト挿通孔(22)が設けられ、上凹陥部(19)の底に頭が受けられるようにしてボル ト(23)が前記孔(22)に貫通状に落とし込まれ、その下方突出下端部が下凹陥部(2 1)においてナット(24)でねじ締められることにより、両側縁用分割見切縁(8B)が 固定せられている。上凹陥部(23)は着色合成樹脂(25)で上面が上部突出部(17)と 面一になるように埋められる。

【００３２】 見切縁どうし相互の連結は、上記したものに限らず接着剤を用いた接着による ものでもよい。この場合は、仮設木質床の撤去時、見切縁を適当に切断すればよ い。

【００３３】 コーナ用分割見切縁(8A)と側縁用分割見切縁(8B)とも、上述したいずれかの手 段により連結せられる。

【００３４】 図８は見切縁の変形例を示す。すなわち、この見切縁(18)は木質床材(26)の側 縁が真直ぐ垂直になされたものに用いられるものであって、そのために見切縁(1 8)の厚さは、木質床材(26)のそれより厚くなされて木質床材(26)の縁部(26a) の 収容凹所(15)が形成せられている。見切縁(18)には、その水平上面(18b) の一側 縁から外方勾配の傾斜面(18a) が設けられるとともに、同他側縁から内方下り勾 配の傾斜面(18c) が設けられている。

【００３５】

【考案の効果】

本考案の仮設木質床によれば、畳床などのうえに簡単に木質床を仮設すること ができるし、これは単に畳床などの上に載置されているだけであるから、不必要 になったさいの除去も容易であり、したがって、非常に便利である。

【００３６】 また、仮設木質床は、その下方が畳床のようにやわらかくても、床材どうしの 連結部分に介護・リハビリシステムにおける重量物を置いたさい木質床がＶ形に 変形するおそれがないし、キャスタ付き浴槽、車椅子、リハビリ設備などの移動 も可能であるから、仮設木質床としてきわめて優れたものである。

【００３７】 さらに、周側縁全体に取付けられた複数の見切縁どうしが相互に連結せられて いることにより、多数の木質床材が一体化しているので、全体ががんじょうなも のとなる。したがって、木質床材どうし相互の連結に接着剤を用いる必要がない から、はり出した接着剤で仮設木質床と畳床などの下地が接着するおそれもなく 、施工能率がよく、また施工に特殊な技能を必要としない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による仮設木質床の平面図である。

【図２】図１のII-II 線にそう拡大断面図である。

【図３】図１の仮設木質床の施工途上の状態を示す拡大
部分垂直断面図である。

【図４】木質床材の変形例を示す垂直断面図である。

【図５】側縁用見切縁どうしの連結途上の状態を示す拡
大斜視断面図である。

【図６】側縁用見切縁どうしの連結構造の変形例を示す
部分縦断面図である。

【図７】側縁用見切縁どうしの連結構造のさらに他の変
形例を示す部分縦断面図である。

【図８】見切縁と木質床材との連結構造の変形例を示す
部分横断面図である。

【図９】従来の木質床を畳床上に仮設した状態を示す部
分垂直断面図である。

【符号の説明】

(2)(3)(12)(13)：さねはぎ、相欠き加工部（さね、小
穴；上向き段部、下向き段部） (4) ：水平突出部 (5) ：隣接床材水平突出部収容切欠部 (6)(16)(26) ：木質床材 (8)(18) ：見切縁

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上部にさねはぎまたは相欠き加工部(2)
   (3)(12)(13)を有しかつ下部に水平突出部(4) および隣
   接床材水平突出部収容切欠部(5) のうち少なくともいず
   れか一方を有する多数の木質床材(6)(16)(26) よりな
   り、多数の木質床材(6)(16)(26) が相互に、上部におい
   てさねはぎまたは相欠き結合せられるとともに、下部に
   おいて切欠部(5) に水平突出部(4) が収容せられて所定
   面積となるように前後左右に連結せられ、さらに周側縁
   全体に複数の見切縁(8)(18) が取付けられかつ見切縁
   (8)(18) どうしが相互に連結せられている仮設木質床。