JP3769476B2 - 巾木および壁面下部の保護構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車椅子の衝突による壁の破れ,汚れ,破壊などを防止できる住宅用の巾木および壁面下部の保護構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、巾が約100〜150mmの巾木は公知である。しかしながら、このような巾狭の巾木では、たとえば一般の住宅内において、身障者や高齢者が利用している車椅子の衝突による壁面の損傷を防止することができなかった。なお、この巾狭の3枚の巾木をたとえば壁面の上方向に積み重ねることで可能であるが、この積み重ね状態が明らかに分かってしまい、意匠的美観が見劣りするという問題がある。
【0003】
一方、病院や福祉施設などの施設において、車椅子やストレッチャーなどの衝突による壁面の損傷を防止する壁面保護部付き巾木として、たとえば特開平9−125563号公報において、一定の巾の巾木部と、その巾木上端部の延長線上に壁保護部表面が形成されるように、巾木上端部と同じ高さの壁保護部が一体的に形成されたものが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報にて開示された壁面保護部付き巾木を一般の住宅に適用しようとした場合、施設イメージが濃厚であり、しかも、重量のあるストレッチャーの衝突まで考慮しているため、どうしても硬いものとなって、住宅のインテリアとしては調和せず、適用することができなかった。
【0005】
本発明の目的は、住宅のインテリアとして調和するとともに、車椅子の衝突による壁の汚れや破れなどを防止できる住宅用の巾木および壁面下部の保護構造を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、室内壁の下部に取り付けられる巾木であって、下部巾木部材と、上部押え縁部材と、この両部材の端面間にその上下端面が当接して位置するパネル材と、これらの三部材間に跨ってその裏面側に接着剤を介して接着固定される合板とから構成され、前記上部押え縁部材の上端位置が、室内で利用される車椅子の大車輪の外径の約1/2とされるとともに、前記上部押え縁部材の長手方向に沿って連続した複数の凹部が設けられているものである。
【0007】
請求項2記載の本発明は、室内の壁面下部に、床面側から順番に、下部巾木部材、パネル材および上部押え縁部材が隣接して取り付けられるとともに、この上部押え縁部材の取付け位置が、室内で利用される車椅子の大車輪の外径の約1/2に対応する床面からの高さ位置とされるとともに、前記上部押え縁部材の長手方向に沿って連続した複数の凹部が設けられている壁面下部の保護構造である。
【0008】
本発明における巾木の全高さ(巾)は車椅子の大車輪の外径のほぼ1/2とされるわけであるが、その理由は、室内で利用される車椅子の大車輪が壁面と衝突した場合、床面から車椅子の大車輪の外径のほぼ1/2に対応する高さに位置する壁面に衝突することになるからである。たとえば、一般的に使用されている自操式タイプの車椅子の場合、その大車輪の最大外径は約24インチであるので、巾木の全高さとしては約300〜350mmあればよい。
【0009】
本発明における巾木を構成している下部巾木部材や上部押え縁部材としては、天然木ムク材,中質繊維板,木粉混入の樹脂板,塩化ビニル樹脂板などが使用できる。中質繊維板の場合、表面を化粧紙などで化粧したものが良好である。この下部巾木部材および上部押え縁部材の巾は約50〜70mm,好ましくは約65mmあればよい。また、両部材の厚みは適当な厚みあればよいが、少なくとも、上部押え縁部材の厚みは約5〜20mm,好ましくは約10〜15mmとするのが望ましい。また、両部材の表面は平滑であってもよいが、少なくとも、上部押え縁部材の表面に凹凸模様が設けられているのが良好である。
【0010】
また、パネル材としては、天然木ムク材,中質繊維板,木粉混入の樹脂板,合板などが使用できる。この内、コスト面などから表面を化粧した合板が好適である。パネル材の巾は約200mm,厚みは約4〜7mmあればよい。
【0011】
請求項1記載の本発明では、下部巾木部材と、上部押え縁部材と、この両部材間に位置するパネル材とから構成される巾木の上部押え縁部材の高さ位置が、室内で利用される車椅子の大車輪の外径のほぼ1/2とされているので、住宅内の壁面下部を保護する巾木として好適であり、室内で利用される車椅子の衝突による壁面の汚れや破れなどを防止できる。
【0012】
請求項2記載の本発明の壁面下部の保護構造では、室内の壁面下部に、床面側から順番に、下部巾木材、パネル材および上部押え縁材が隣接して取り付けられ、この上部押え縁材の取付け位置が、室内で利用される車椅子の大車輪の外径のほぼ1/2に対応する床面からの高さ位置とされているので、室内で利用される車椅子の衝突による壁面の汚れや破れなどを防止できる。また、掃除機の衝突や子供が乗って遊ぶ足こぎ三輪車の衝突による壁面の破れや損傷も防止できる。
【0013】
また、本発明の壁面下部の保護構造では、上部押え縁材の厚みを約8〜16mmとすることで、たとえば車椅子の大車輪が上部押え縁材に衝突して衝突してそのゴムタイヤがへこんだとしても、ゴムタイヤが上部押え縁材の上端付近の壁面と接触せず、壁面の汚れを防止することができる。
【0014】
さらに、本発明の壁面下部の保護構造では、上部押え縁材の表面に凹凸模様を設けることで、車椅子のゴムタイヤとの接触による上部押え縁材の表面の汚れを目立たなくすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の巾木の一実施例を使用状態とともに示す断面図、図2は車椅子の衝突と壁面の高さ位置との関係を示す説明図である。
【0016】
図1において、1は巾木であり、床仕上面Fからの全高さ(巾)が約320mmで、所定の長さを有している。この巾木1の全高さは約300〜350mmあればよい。巾木1は、床仕上面F側に位置している下部巾木部材11と、壁面Wの上方に位置している上部押え縁部材13と、この両部材11,13の端面間に当接して配置されているパネル材12と、これらの三部材11,12,13間に跨がってその裏面側に接着剤を介して接着固定されている合板14とから構成されている。
【0017】
下部巾木部材11は巾が約65mm,厚みが約12mm、上部押え縁部材13は巾は約55mm,厚みが約12mmであり、ともに中質繊維板の表面に化粧紙が積層されたものである。パネル材12は巾が約200mm,厚みが約5mmの化粧合板製のものである。合板14の厚みは約3mmである。
【0018】
下部巾木部材11および上部押え縁部材13の表面には、長手方向に沿って連続した複数の凹部111,131が設けられている。また、下部巾木部材11の裏面側の上端部と、上部押え縁部材13の裏面側の下端部とには、図1に示すように、両部材の長手方向に沿って切欠部112,132が設けられている。この両切欠部112,132の厚みは上記合板14の厚みとほぼ同一とされている。この結果、巾木1の裏面側はほぼ面一となされている。
【0019】
巾木1の全高さ(巾)、つまり上部押え縁部材13の上端位置は、床仕上面Fから約320mmの高さに位置しており、室内で一般に利用されている自操式タイプの車椅子の大車輪の外径(24インチ)の1/2よりも少し上方に位置していることになる。
【0020】
図2において、床仕上面Fから約250〜305mmの高さ範囲に位置しているA部分は、自操式タイプの車椅子の大車輪が接触することで壁面に汚れが付く領域を示しており、また、床仕上面Fから約150〜205mmの高さ範囲に位置しているB部分は、介助型タイプの車椅子の大車輪が接触することで壁面に汚れが付く領域を示している。一方、床仕上面Fから約50〜170mmの高さ範囲に位置しているC部分は、車椅子のフットレストの衝突によって、壁面に破れや破損が生じる領域を示している。
【0021】
そして、図1に示すように、上記のように巾木1を構成している下部巾木部材11の下端面が床仕上面Fに当接するように配置され、接着剤を介して接着固定されるとともに、上部押え縁部材13または下部巾木部材11が不図示の縦桟または横桟に釘打ちされることで壁面W下部が巾木1にて保護された保護構造をなしている。
【0022】
上記図1の実施例の場合、巾木1を構成している上部押え縁部材13の上端位置が床仕上面Fから約320mmの高さに位置しているので、たとえば自操式タイプの車椅子の大車輪の壁面Wへの直接の衝突を防止できる。そして、この車椅子の大車輪が上部押え縁部材13の表面に衝突してゴムタイヤがへこんでも、上部押え縁部材13の厚みが約12mmであるので、ゴムタイヤが上部押え縁部材13の上方に位置している壁面と接触せず、壁面Wに汚れが生じない。
【0023】
その際、上部押え縁部材13の表面に、長手方向に沿って連続した複数の凹部131が設けられているので、車椅子のゴムタイヤとの接触による上部押え縁部材13表面の汚れは目立ちにくい。
【0024】
また、上部押え縁部材13の下方には、パネル材12と下部巾木部材11が存在しているので、車椅子のフットレストの衝突による壁面Wの損傷や破損を防止できる。
【0025】
さらに、巾木1を構成している上部押え縁部材13,パネル材12および下部巾木部材11の表面の化粧材として、住宅のインテリアに調和したものを選択できる。
【0026】
また、巾木1の上端、つまり上部押え縁部材13の上端位置が床仕上面Fから約320mmの高さに位置しているので、車椅子で使いやすい位置(通常は床仕上面Fから約340〜480mm)にコンセントを設置することができる。
【0027】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明では、巾木の上部押え縁部材の高さ位置が、室内で利用される車椅子の大車輪の外径のほぼ1/2とされているので、住宅内の壁面下部を保護する巾木として好適であり、室内で利用される車椅子の衝突による壁面の汚れや破れなどを防止することができる。
【0028】
請求項2〜4記載の本発明の壁面下部の保護構造では、室内の壁面下部に、床面側から順番に、下部巾木材、パネル材および上部押え縁部材が隣接して取り付けられ、この上部押え縁部材の取付け位置が、室内で利用される車椅子の大車輪の外径のほぼ1/2に対応する床面からの高さ位置とされているので、室内で利用される車椅子の衝突による壁面の汚れや破れなどを防止することができる。また、掃除機の衝突や子供が乗って遊ぶ足こぎ三輪車の衝突による壁面の破れや損傷も防止することができる。
【0029】
また、請求項3記載の本発明では、たとえば車椅子の大車輪が上部押え縁部材に衝突して衝突してそのゴムタイヤがへこんだとしても、ゴムタイヤが上部押え縁部材の上端付近の壁面と接触せず、壁面の汚れを防止することができる。
【0030】
さらに、本発明では、上部押え縁部材の表面に連続した複数の凹部が設けられているので、車椅子のゴムタイヤとの接触による上部押え縁部材の表面の汚れが目立ちにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の巾木の一実施例を使用状態とともに示す断面図である。
【図2】車椅子の衝突と壁面の高さ位置との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 巾木
11 下部巾木部材
12 化粧パネル材
13 上部押え縁部材
131 凹部
14 合板
F 床面
W 壁面
Claims (4)
- 室内壁の下部に取り付けられる巾木であって、下部巾木部材と、上部押え縁部材と、この両部材の端面間にその上下端面が当接して位置するパネル材と、これらの三部材間に跨ってその裏面側に接着剤を介して接着固定される合板とから構成され、前記上部押え縁部材の上端位置が、室内で利用される車椅子の大車輪の外径の約1/2とされるとともに、前記上部押え縁部材の長手方向に沿って連続した複数の凹部が設けられていることを特徴とする巾木。
- 室内の壁面下部に、床面側から順番に、下部巾木部材、パネル材および上部押え縁部材が隣接して取り付けられるとともに、この上部押え縁部材の取付け位置が、室内で利用される車椅子の大車輪の外径の約1/2に対応する床面からの高さ位置とされるとともに、前記上部押え縁部材の長手方向に沿って連続した複数の凹部が設けられていることを特徴とする壁面下部の保護構造。
- 上部押え縁部材の厚みが約8〜16mmである請求項2記載の壁面下部の保護構造。
- 前記上部押え縁部材の上端位置が、床仕上面から約300〜350mmである請求項2記載の壁面下部の保護構造。
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