JPH06279921A - 高耐食性鋼材 - Google Patents

高耐食性鋼材

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JPH06279921A
JPH06279921A JP7162893A JP7162893A JPH06279921A JP H06279921 A JPH06279921 A JP H06279921A JP 7162893 A JP7162893 A JP 7162893A JP 7162893 A JP7162893 A JP 7162893A JP H06279921 A JPH06279921 A JP H06279921A
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JP
Japan
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steel
steel material
corrosion resistance
plating
less
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Application number
JP7162893A
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English (en)
Inventor
Masaya Morita
正哉 森田
Yasuhiro Matsuki
康浩 松木
Yoshihiro Hosoya
佳弘 細谷
Tomoyoshi Okita
智良 大北
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動車の内外板や足廻り構造部材等に使用さ
れる高耐食性鋼材の提供を目的とする。 【構成】 極低炭素鋼に所定量のCu、Ni、Ti、N
b、等を含有する鋼材の表面にNiまたはNi−P皮膜
を5〜80mg/m2 付着した高耐食性鋼材である。さ
らに、耐食性を向上させるためにSn、Moなどの元素
を所定量添加させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車の内外板や自動
車の足廻り構造部材などに用いられる高耐食性鋼材に関
するものである。
【0002】
【従来技術】近年、地球環境問題が社会的に注目されて
おり、自動車の排気ガス規制の見地から、鋼板の高強度
化による自動車車体材料の薄肉化によって自動車の燃費
を向上させようとする動きがある。また、自動車の高級
化指向が進み、自動車内外板に用いられる薄鋼板には、
亜鉛めっき鋼板に代表される各種表面処理鋼板が用いら
れるようになっている。
【0003】しかし、足廻り部材のような突き合わせ溶
接が施される部材においては、特に溶接中に亜鉛が蒸発
しやすく、溶接部に亜鉛の気泡が残るという問題から、
亜鉛めっき鋼板の適用が困難となる。溶接性を重要視す
る場合、冷延鋼板等の裸鋼材はめっき皮膜が存在しない
ため、適している。
【0004】しかし、通常、自動車用鋼板は電着塗装を
行うが、電着塗装による防錆対策のみでは、耐食性が十
分とはいえない。そこで近年、鋼板そのものの耐食性を
大きく改善するいわゆる耐食鋼板が開発されつつある
(特開平4−141554号公報)。
【0005】この耐食鋼板は、その耐食機構がいわゆる
「錆で錆を制する」方式の防錆であるため、めっき鋼板
と比較するとその耐食性が低いばかりか、特に外面の耐
食性を重視する自動車用外板への適用は不可能と考えら
れている。本来、鋼板に耐食性を付与させる最も簡便な
方法は電気または溶融めっき方式等により亜鉛めっきを
施すことであるが、上述の問題が生じる場合がある。
【0006】したがって、溶接性を劣化させない極微量
のめっきを施し、耐食性を確保することも考えられる訳
であるが、特開昭63−79996号公報に示されるよ
うに、これらの技術の多くはリン酸塩処理性などの化成
処理性、あるいはプレス成形性を向上させる方法として
提案されているのみであり、耐食性の向上を考慮して極
薄めっきを施している技術は存在しない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】最近の自動車業界で
は、各種防錆鋼板の使用により、車体の寿命延長化を図
っているが、自動車の製造過程で、溶接部における亜鉛
気泡の残留するため溶接性が問題となる部位では、亜鉛
めっき鋼板から、耐食性の優れた鋼板へ代替して行く動
きがあるため、鋼板そのものの耐食性を向上させた鋼材
の開発が急務となっている。このような状況の下、鋼の
成分組成を最適化することにより、従来の鋼板より耐食
性を高めることはある程度可能となったが、未だ十分な
性能まで至っていない。
【0008】そこで、本発明の目的とするところは、上
記従来技術の有する課題を解決するためになされたもの
であり、鋼としてIF(Interstitial−F
ree)鋼を用い、耐食性を向上させる元素としてP、
Cu、Niを添加することにより、耐食性を高めた鋼
や、これをベースとしてさらに耐食性を向上させる元素
であるSn、Moを添加した鋼にNiめっき等を施し、
極めて高い耐食性を有する鋼材、例えば熱延鋼板、冷延
鋼板を開発することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
従来技術における課題を解決することについて、検討を
重ねた結果、P、Cu、Niを添加した鋼と、これをベ
ースとして更にSn、Moを添加した鋼に、通常行なわ
れている鋼材製造工程中で極薄めっきを施すことによ
り、著しく耐食性を向上させることに成功したものであ
り、以下の如くである。
【0010】(1)請求項1の発明は下記の特徴(成分
組成はwt%である)を有する高耐食性鋼材である。 (a)C:0.002 〜0.01% 、 Si:1% 以下、Mn:0.05〜
2.2%、 P:0.02〜0.1%、S:0.003 〜0.02% 、 so
l.Al:0.1%以下、N:0.004 % 以下、 B:0.0005〜0.0
02%、Cu:0.2 〜0.5%、 Ni:0.1〜0.5%、更に、Ti:0.0
05〜0.1%とNb:0.002〜0.05% の何れか1種または2種を
含有し、残部が鉄および不可避的不純物組成からなって
いる鋼材であり、(b)前記鋼材の表面にNiまたはNi−
P皮膜が5〜80mg/m2 付着されている。
【0011】(2)請求項2の発明は下記の特徴(成分
組成はwt%である)を有する高耐食性鋼材である。 (a)C:0.002 〜0.01% 、 Si:1% 以下、Mn:0.05〜
2.2%、 P:0.02〜0.1%、S:0.003 〜0.02% 、 so
l.Al:0.1%以下、N:0.004 % 以下、 B:0.0005〜0.0
02%、Cu:0.2 〜0.5%、 Ni:0.1〜0.5%、Ti:0.005〜
0.1%とNb:0.002〜0.05% の何れか1種または2種を含有
し、更に、Sn:0.002〜0.05% とMo:0.02 〜0.35% の何れ
か1種または2種を含有し、残部が鉄および不可避的不
純物組成からなる鋼材であり、(b)前記鋼材の表面に
NiまたはNi−P皮膜が5〜80mg/m2 付着されてい
る。
【0012】
【作用】まず、本発明は以下のような研究に基づく知見
により開発されたものである。尚、以下において成分組
成はwt%である。NiまたはNi−P皮膜について まづ、成分組成が、C:0.002 〜0.01% 、 Si:1% 以
下、 Mn:0.05〜2.2%、P:0.02〜0.1%、
S:0.003 〜0.02% 、 sol.Al:0.1%以下、N:0.004 % 以
下、 B:0.0005〜0.002%、 Cu:0.2 〜0.5%、Ni:
0.1〜0.5%、Ti:0.005〜0.1%とNb:0.002〜0.05% の何れ
か1種または2種を含有し、残部が鉄および不可避的不
純物組成からなっているスラブを用意し、さらに、試験
の比較材として、上記鋼組成のうち、P、Cu、Niの
みの組成をP:0.02%未満かつCu:0.2%未満
かつNi:0.1%未満の鋼組成のスラブ(P、Cu、
Niフリー鋼)も用意した。
【0013】次に、これらのスラブを1200℃に加熱
し、均熱後、仕上げ温度900℃、巻取温度620℃の
条件で熱間圧延を行い、続いて酸洗、冷間圧延を行った
後、再結晶焼鈍(連続焼鈍:850℃×30s)を施し
た。その後、NiまたはNi−Pめっきを付着量を変え
てめっきを行い、最後に、0.5%の調質圧延を行って
供試材を採取し、その耐食性を調査した。
【0014】耐食性の評価は、温度30℃で、0.5%
のNaCl水溶液を6時間噴霧後、温度50℃、相対湿
度80%以上の条件下で18時間湿潤雰囲気にて乾燥さ
せるという1日1サイクルの腐食試験を行い、試験片全
面にわたって錆が発生するまでの時間を測定することに
より、初期錆発生状況の相違を調査した。また、腐食試
験を継続し、最大50サイクルまで行い、試験後の平均
腐食深さを測定し、錆成長速度を平均腐食深さ/サイク
ル数と定義し、この値で錆成長速度の評価を行った。さ
らに、50サイクル後の最大腐食深さの測定を行った。
【0015】図1、2は、初期錆発生時間におよぼすN
iまたはNi−Pめっきの付着量の影響を示し、図3は
錆成長速度におよぼすNiまたはNi−Pめっきの付着
量の影響を調査した結果である。図1、2から明らかな
ようにNiまたはNi−Pめっきを施した場合、5mg
/m2 以上の付着量で初期錆発生時間が長くなり、初期
錆防止にNiまたはNi−Pめっきが有効であることが
わかる。さらに、腐食試験を継続した場合、錆層の成長
速度は図3に示されるように本発明鋼はP、Cu、Ni
フリー鋼よりも小さく、これにNiまたはNi−Pめっ
きを施すると、錆成長速度は格段に抑えられていること
がわかる。以上の結果から、NiまたはNi−Pめっき
付着量の下限値は5mg/m2 である。
【0016】図4は、10、30および50サイクル後
の最大腐食深さとめっき皮膜付着量の関係を示すもので
ある。図4から、80mg/m2 以上の付着量領域にお
いては、特に長期間にわたる腐食試験後において最大侵
食深さが大きくなる傾向が認められる。この現象は次に
述べるメカニズムによるものと考えられる。付着量が8
0mg/m2 以下では皮膜が鋼板表面を完全に覆い切っ
ていないため、錆の発生が起こると、錆の生成および成
長が鋼板全面にわたり均一に起こる。このため、局部的
な腐食が進行せず、長期間の腐食試験後でも、最大腐食
深さは小さい。
【0017】しかし、付着量が80mg/m2 以上で
は、皮膜が鋼板表面を完全に覆うため、ある部分で錆が
発生すると、その部分のみで錆の成長が起こる。この結
果、一旦錆が発生しはじめると、局部的に腐食が進行す
るため、最大腐食深さが大きくなる。これらの実験事実
からわかるように、錆板表面に付着させるNiまたはN
i−Pめっきの皮膜性状にはある程度、皮膜のポーラス
さが要求され、緻密すぎても耐食性にはマイナスであ
る。したがって、NiまたはNi−Pめっき付着量の上
限値は80mg/m2 となる。
【0018】以上をまとめると、NiおよびNi−Pめ
っきによる高耐食メカニズムは以下のように考察され
る。NiおよびNi−Pめっきはいずれも下地の鉄より
も貴な金属であるため、少量の皮膜の存在により、下地
の鋼材の腐食を抑制する。この作用により、初期錆発生
時期が遅延化される訳であるが、その後錆が生成して
も、5〜80mg/m2 の付着量の範囲では皮膜がポー
ラスであるため、均一な錆生成および成長が起こる。
【0019】さらに、錆が成長すると、本来耐食鋼材の
有する、緻密な錆生成による腐食進行抑制作用が現れ、
腐食の進行が一段と抑えられる。特に、Ni−Pめっき
の場合、めっきを施した状態において既にPが鋼材表層
部に存在しており、その後、錆発生が起こると、錆層中
にPが濃化するために、より緻密で理想的な錆層となる
ため、耐食効果がより顕著となったものと考えられる。
【0020】このように下地鋼材として、IF鋼ベース
としてP、Cu、Niを添加した耐食性に優れる鋼材
や、これをベースとして更にSnまたはMoを添加した
鋼材を用い、その鋼材表面に5〜80mg/m2 以下の
NiめっきまたはNi−Pめっきを施すという組み合わ
せが優れた耐食性に寄与するという知見に基づき、本発
明がなされたものである。
【0021】鋼の成分について 次に、上記発明について、鋼成分を上記したように限定
した理由について述べると以下の如くである。
【0022】C:0.002〜0.01%とする。Cは
鋼板の成形性を確保するためには少ない方がよいが、実
用上本発明の効果を損なわない範囲として、その上限を
0.01%に限定するが、好ましくは0.006%であ
る。また、下限については、過度に極低C化すること
は、コスト上昇を伴うので0.002%とする。
【0023】Si:1%以下とする。Siはプレス成形
性を劣化させることなく、固溶強化元素として鋼板の強
化に寄与するが、1%を越えて含有すると熱間圧延の加
熱時に発生するスケールが著しくなるばかりか、過剰に
添加すると鋼板の成形性を劣化させるので1%を上限と
した。
【0024】Mn:0.05〜2.2%とする。Mnは
Sの固定のため、その下限値を0.05%とした。ま
た、2.2%を越えて含有すると鋼板そのものの成形性
が劣化するので、その上限値を2.2%とした。
【0025】P:0.02〜0.1%とする。Pは最も
安価に鋼を強化できる元素であると共に、鋼板自体の耐
食性を向上させる元素である。IF鋼をベースとして、
0.1%を越えて含有させると、結果的に高強度化する
とともに、粒界に偏析しやすくなり、2次加工脆化の問
題が顕在化するため、0.1%以下に限定した。一方、
耐食性を付与するには、少なくとも0.02%の添加が
必要であり、これを下限とした。
【0026】S:0.003〜0.02%とする。Sは
低減するのが望ましいが、0.003%を下回ると酸洗
時にスケールの剥離性が低下するので、0.003%を
下限とした。一方、0.02%を超えて含有すると、鋼
の延性を劣化させるので、0.02%以下とした。
【0027】Sol.Al:0.1%以下とする。Al
は脱酸およびNの固定のために必要であるが、多量に添
加するとコストの上昇をもたらすため0.1%以下とし
た。好ましくは、0.06%以下である。
【0028】N:0.004%以下とする。Nは高ラン
クフォード値を得るためには、少ない方が望ましいが、
本発明の効果を損わない範囲として、その上限を0.0
04%とした。
【0029】B:0.0005〜0.002%とする。
Bは粒界に偏析して粒界を強化する作用を有する。特
に、IF鋼をベースとして、Pを添加する場合、2次加
工脆化の問題を回避するために、添加は必須である。
0.0005%未満では、その効果が小さく、0.00
2%を超えて含有させてもその改善効果がほとんど変わ
らないため、この範囲に限定した。
【0030】Cu:0.2〜0.5%とする。CuはP
と複合添加される場合に、鋼板自体の耐食性を向上させ
る元素であり、0.2%以上でその効果が得られる。過
剰に添加すると鋼板の延性を劣化させるばかりか、熱延
時の表面疵またはSnとの共存により、熱延時の熱間割
れが発生しやすくなるため、その上限を0.5%とし
た。
【0031】Ni:0.1〜0.5%とする。NiはC
uが添加された場合に、上記表面疵を減少させることに
有効である。過剰に添加すると鋼板の成形性の劣化、コ
スト上昇を招くので、その上限を0.5%とした。ま
た、上記効果を得るために、下限値を0.1%とした。
【0032】Ti:0.005〜0.1%とする。Ti
はCの固定を行い、鋼板の成形性を向上させる作用があ
る。すなわち、0.005%未満ではその効果が乏し
く、一方多量に添加するとコストの上昇を招くだけでな
く、表面欠陥の原因や化成処理性を劣化させるので、そ
の上限を0.1%とした。
【0033】Nb:0.002〜0.05%とする。N
bはTiと同様にCの固定を行う性質があり、鋼板の成
形性を上昇させる。すなわち、0.002%未満ではそ
の効果が乏しく、多量に添加すると、コストの上昇を招
くので上限を0.05%に限定した。なお、Tiとの複
合添加によりさらに鋼板の成形性を上昇させる。
【0034】Sn:0.002〜0.05%とする。S
nは鋼の耐食性を向上させる効果を有しており、0.0
5%を超えて含有させると、熱間延性が低下するばかり
か鋼板の延性を低下させるので0.05%を上限とし
た。また、Snによる耐食性向上効果を得るために、
0.002%を下限値とした。
【0035】Mo:0.02〜0.35%とする。Mo
は鋼の耐食性を向上させる効果を有しており、0.35
%を超えて含有させると、鋼板の成形性が劣化するので
0.35%を上限とした。また、Moによる耐食性向上
効果を得るために、0.02%を下限値とした。
【0036】製造条件について 次に、本発明における製造条件について述べる。上記成
分組成を有する全ての鋼材に適用できる。しかし、特に
本発明の有用性が高いのは熱延鋼板、冷延鋼板であり、
以下冷延鋼板へ適用した場合を中心に述べる。上記成分
組成をもつ鋼材の製造方法は特に制限されない。転炉ま
たは電気炉で溶製された鋼を造塊−分塊法あるいは連続
鋳造法にてスラブとなし、通常の熱間圧延、冷間圧延を
施し、鋼材とする。再結晶焼鈍は箱焼鈍あるいは連続焼
鈍いずれも可能である。鋼板の成形性を確保するために
は、熱延はAr3 変態点以上で仕上げ、600〜700
℃で巻き取ることが望ましく、冷間圧延率は70〜90
%、焼鈍は700℃〜Ac 3 変態点範囲が好ましい。
【0037】再結晶焼鈍後の鋼板に対するNiめっきま
たはNi−Pめっきについては、電解めっき法または無
電解めっき法のいずれの方法でもよい。電解めっき法を
用いる場合、連続焼鈍ラインに組み込んだインライン電
気めっき設備だけでなく、オフラインで既存の電気めっ
き設備を用いることに何ら問題はない。また、めっきの
タイプとして、電解槽が横型、竪型または湾曲型のいず
れの方法でもよく、特に竪型または湾曲型の場合、Gr
avitelセル、CAROSELセルなどでめっきす
ることが可能である。一例として、横型めっきセルを有
する電気めっきラインにて電解法を用いる場合、めっき
条件は次のようになる。
【0038】Niめっき めっき水溶液の成分組成:硫酸ニッケル;120〜24
0g/l、塩化ニッケル;23〜45g/l、ほう酸;
15〜30g/l、pH;2.5〜3.5、浴温;40
〜60℃、電流密度:1〜30A/dm2 である。
【0039】Ni−Pめっき めっき水溶液の成分組成:硫酸ニッケル;120〜24
0g/l、塩化ニッケル;23〜45g/l、ほう酸;
15〜30g/l、亜りん酸;0.1〜30g/l、p
H;2.5〜3.5、浴温;40〜60℃、電流密度:
1〜30A/dm2 である。この場合、皮膜組成は亜り
ん酸濃度、電流密度を変化させ組み合わせることによ
り、めっき皮膜のP濃度はどのようにも変えることが可
能である。
【0040】耐食性の優れた鋼材に極微量のNiめっき
またはNi−Pめっきを施すことにより、格段に優れた
耐食性を付与させることが可能となるとともに、この鋼
材にリン酸塩処理および電着塗装を施したものや各種亜
鉛系めっきを施した鋼板においても更に優れた耐食性が
得られる。
【0041】
【実施例】本発明によるものの具体的な実施例について
以下に説明するが、本発明は無論これらの実施例に限定
されず、既述の構成を有する全ての鋼材に適用できるも
のである。
【0042】実施例1 次の表1に示す化学成分組成の鋼を溶製し、連続鋳造法
によりスラブとしたものを加熱温度1200℃、仕上温
度900℃、巻取温度650℃の条件下で熱間圧延によ
り4.0mm厚の熱延板に仕上げた。次に、酸洗後冷間
圧延を施して0.8mmとしたものを850℃で連続焼
鈍を行い、次に表2に示すめっき浴条件でNiまたはN
i−Pめっきを施し、さらに0.5%の調質圧延を行っ
た。
【0043】その後、耐食性試験を実施し、得られた試
験結果を表3に示す。なお、耐食性の評価は、温度30
℃で0.5%のNaCl水溶液を6時間噴霧後、温度5
0℃、相対湿度80%以上の条件の下で18時間湿潤雰
囲気にて乾燥させるという1日1サイクルの腐食試験を
行い、試験片全面にわたって錆が発生するまでの時間を
測定した。さらに、腐食試験を継続し、最大50サイク
ルまで行い、50サイクル後の平均腐食深さを測定し
た。
【0044】表3から本発明の鋼材は試験片全面にわた
って錆が発生するまでの試験サイクル数(回数)は比較
鋼(C)に比較していずれもその数が高く、また50サ
イクル後の平均腐食深さ(dmm)は従来鋼に比較し小
さくなっている。従って、本発明の鋼材の耐食性は著し
く優れていることが明らかである。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】実施例2 表1に示される本発明鋼(鋼番:2、8、11、15、
20、23、25)について、表4に示す種々のめっき
種、めっき方法、めっき付着量の条件で、製造し、耐食
性、およびリン酸塩処理後20μmの電着塗装を行い、
その耐食性を調査した。その結果を表4に合わせて示
す。表4から、本発明の製造方法で製造された鋼板、ま
た、この鋼板に電着塗装した鋼板は、従来材に比較し平
均侵食深さが小さく、いずれも平均侵食深さは0.34
mm以下であり、優れた耐食性を示している。
【0049】
【表4】
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によるとき
には、焼鈍後の極薄めっきにより耐食性に優れた鋼材を
提供し、自動車車体の車体寿命の延長化をすることがで
き、工業的にその効果が大きい発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】Niめっき付着量と初期錆発生までの時間(サ
イクル)との関係を示す図である。
【図2】NiーPめっき付着量と初期錆発生までの時間
(サイクル)関係を示す図である。
【図3】めっき付着量と錆層成長速度との関係を示す図
である。
【図4】Ni又はNiーPめっき皮膜付着量と最大浸食
深さとの関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大北 智良 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の特徴(成分組成はwt%である)
    を有する高耐食性鋼材。 (a)C:0.002 〜0.01% 、 Si:1% 以下、 Mn:0.05 〜2.2%、 P:0.02〜0.1%、 S:0.003 〜0.02% 、 sol.Al:0.1% 以下、 N:0.004 % 以下、 B:0.0005〜0.002%、 Cu:0.2〜0.5%、 Ni:0.1〜0.5%、 Ti:0.005〜0.1%とNb:0.002〜0.05% の何れか1種または
    2種を含有し、 残部が鉄および不可避的不純物組成からなっている鋼材
    であり、(b)前記鋼材の表面にNiまたはNi−P皮膜が
    5〜80mg/m2 付着されている。
  2. 【請求項2】 下記の特徴(成分組成はwt%である)
    を有する高耐食性鋼材。 (a)C:0.002 〜0.01% 、 Si:1% 以下、 Mn:0.05 〜2.2%、 P:0.02〜0.1%、 S:0.003 〜0.02% 、 sol.Al:0.1% 以下、 N:0.004 % 以下、 B:0.0005〜0.002%、 Cu:0.2〜0.5%、 Ni:0.1〜0.5%、 Ti:0.005〜0.1%とNb:0.002〜0.05% の何れか1種または
    2種を含有し、 更に、Sn:0.002〜0.05% とMo:0.02 〜0.35% の何れか1
    種または2種を含有し、 残部が鉄および不可避的不純物組成からなる鋼材であ
    り、(b)前記鋼材の表面にNiまたはNi−P皮膜が5〜
    80mg/m2 付着されている。
JP7162893A 1993-03-30 1993-03-30 高耐食性鋼材 Pending JPH06279921A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009120957A (ja) * 2002-06-19 2009-06-04 Nippon Steel Corp 原油油槽用鋼およびその製造方法、原油油槽およびその防食方法

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