JPH06279717A

JPH06279717A - 水性インク組成物

Info

Publication number: JPH06279717A
Application number: JP6815293A
Authority: JP
Inventors: Sadahiro Inoue; 定広井上; Isao Tabayashi; 勲田林; Yutaka Yamada; 山田　　豊
Original assignee: Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Current assignee: DIC Corp
Priority date: 1993-03-26
Filing date: 1993-03-26
Publication date: 1994-10-04

Abstract

(57)【要約】【構成】水溶性染料を水に溶解してなる黒色水性イン
ク組成物において、水溶性染料が少なくとも（ａ）遊離
酸の形で一般式（Ｉ）【化１】（Ｘ；Ｈ、ＣＯＯＨ、Ｙ；Ｈ、ＣＯＯＨ、ＳＯ₃Ｈ、
Ｚ；Ｈ、ＣＯＯＨ、ＳＯ₃Ｈ、Ｗ；未置換又は置換アミ
ノ基、但し、化学式中に、少なくとも２個のＣＯＯＨ基
を有し、ＣＯＯＨ基の数は、ＳＯ₃Ｈ基の数と等しいか
又はそれより多い。）で表わされる１種類以上の染料
と、（ｂ）水可溶性基としてカルボキシル基を１個以
下、スルホン基を１個以上有する１種類以上の染料との
組合わせからなる水性インク組成物。【効果】黒色度が高く、耐水性に優れた印刷物を提供
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、水性インク組成物に関
し、更に詳しくは、インクジェット用、筆記具用として
使用可能で、黒色度が高く、耐水性に優れた水性インク
組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】インクジェット記録方式には、静電誘引
力を利用してインクを吐出させる、いわゆる電界制御方
式；ピエゾ素子の振動圧力を利用してインクを吐出させ
る、いわゆるドロップ・オン・デマンド方式（圧力パル
ス方式）；高熱によって気泡を形成、成長させる事によ
って生じる圧力を利用してインクを吐出させる、いわゆ
るバブルジェット方式；ノズルの後からポンプで圧力を
加え、同時にピエゾ素子で高周波の振動を加えてインク
を粒子化し、その後インク液滴に帯電電極で電荷を与
え、更に制御電極で帯電したインク液滴をコントロール
する荷電制御方式（コンティニュアス方式）；高電圧印
加状態のインク中にスパークを生じさせ、その爆発力で
インクを吐出させる、いわゆるスパークジェット方式等
の各種インクジェット記録方式が提案されており、これ
らの方式により、極めて高精細の画像を得ることができ
る。

【０００３】インクジェット記録用インクには、主溶剤
として水を用いる水性インクと、主溶剤として有機溶剤
を用いる油性インクが一般に用いられている。水性イン
クは、主溶剤が水であるため、安全性に優れ、かつ優れ
た品質の印刷画像を提供することができることから、イ
ンクジェット記録の主流となっている。しかしながら、
水性インクは、着色剤として水溶性の染料を使用してい
るため、印刷画像の耐水性が悪いという問題点を有して
いる。

【０００４】同様に、筆記具用の水性インクでも耐水性
の改善が望まれている。

【０００５】水性インクの欠点である耐水性の改善を目
的とした発明が、特開平３−９１５７７号公報、特開平
４−２２６１７５号公報に提案されている。

【０００６】

【本発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開
平３−９１５７７号公報、特開平４−２２６１７５号公
報に記載されているインク組成物は、耐水性には優れて
いるものの、黒色度が不十分であった。

【０００７】本発明が解決しようとする課題は、耐水性
を即なうことなく、黒色度の優れたインク組成物を提供
することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成す
るに至った。

【０００９】即ち、本発明は上記課題を解決するため
に、水溶性染料を水に溶解してなる黒色水性インク組成
物において、水溶性染料が少なくとも（ａ）遊離酸の形
で一般式（Ｉ）

【００１０】

【化３】

【００１１】（式中、ＸはＨ又はＣＯＯＨを表わし、Ｙ
はＨ、ＣＯＯＨ又はＳＯ₃Ｈを表わし、ＺはＨ、ＣＯＯ
Ｈ又はＳＯ₃Ｈを表わし、Ｗは未置換又は置換アミノ基
を表わすが、化学式中に、少なくとも２個のＣＯＯＨ基
を有し、ＣＯＯＨ基の数は、ＳＯ₃Ｈ基の数と等しいか
又はそれより多い。）で表わされる１種類以上の染料
と、（ｂ）水可溶性基としてカルボキシル基を１個以
下、スルホン基を１個以上有する１種類以上の染料との
組合わせからなることを特徴とする水性インク組成物を
提供する。

【００１２】成分（ｂ）として、水可溶性基としてカル
ボキシル基を有せず、スルホン基を２個以上有する１種
類以上の染料を選択すると、インクの溶解安定性が向上
するので好ましい。

【００１３】更に成分（ａ）を、遊離酸の形で一般式

【００１４】

【化４】

【００１５】（式中、ＸはＨ又はＣＯＯＨを表わし、Ｙ
はＨ、ＣＯＯＨ又はＳＯ₃Ｈを表わし、ＺはＨ、ＣＯＯ
Ｈ又はＳＯ₃Ｈを表わすが、化学式中、少なくとも２個
のＣＯＯＨ基を有し、ＣＯＯＨ基の数は、ＳＯ₃Ｈ基の
数と等しいか又はそれより多い。）で表わされる１種類
以上の染料から選択すると、インクの溶解安定性が一層
向上するので特に好ましい。

【００１６】また、成分（ａ）と成分（ｂ）の使用割合
は、組合わせる染料の特性を考慮し必要な効果が得られ
る比率を選択すればよい。

【００１７】成分（ａ）と成分（ｂ）の使用割合は、重
量比で３０：１〜１：１の範囲が好ましく、インク組成
物中の使用量は０．１〜１０重量％の範囲が好ましい。
成分（ａ）の使用割合が３０：１より小さい場合黒色度
の改善効果は少なく、１：１より大きくなると耐水性が
低下する傾向にあるので、好ましくない。

【００１８】成分（ａ）の染料の例としては、例えば、
式

【００１９】

【化５】

【００２０】で表わされる染料、式

【００２１】

【化６】

【００２２】で表わされる染料、式

【００２３】

【化７】

【００２４】で表わされる染料等が挙げられる。

【００２５】成分（ｂ）は、水可溶性基としてカルボキ
シル基を１個以下、スルホン基を１個以上有する１種類
以上の染料であればよい。中でも水可溶性基としてカル
ボキシル基を有せず、スルホン基を２個以上有する染料
は、インクの溶解安定性が向上するため特に好ましく、
酸性染料、直接染料、反応性染料、食品用色素等の中か
ら選択できる。

【００２６】水可溶性基としてカルボキシル基を有せ
ず、スルホン基を２個以上有する染料としては、酸性染
料の例では、Ｃ．Ｉ．アシッドブラック１、７、１
６、１７、２４、２６、２８、４１、９４；Ｃ．Ｉ．ア
シッドイエロー１７、１８、１９、３８、４２、４
４、５５；Ｃ．Ｉ．アシッドオレンジ１０、３３、４
５、５１、５６；Ｃ．Ｉ．アシッドレッド１、８、１
３、１４、１８、１９、２６、２７、３０、３４、３
５、３７、４０、５２、５４、８２、８５、８９、９
７、１０６、１０８、１１０、１１１、１１４、１１
５、１３３、１３４、１４４、１５２、１５４、１５
５、１７２、１７６、１８６、１８７、２４９；Ｃ．
Ｉ．アシッドバイオレット７、３４、；Ｃ．Ｉ．アシ
ッドブルー１、７、９、１５、２２、２３、２９、４
５、４９、５６、５９、８０、８１、８３、９０、９
２、９３、１０２、１０４、１１３、１２０、１３８、
１４５、２４９；Ｃ．Ｉ．アシッドグリーン３、９、
１６、１９、２０、２５、２７、４１、４４；Ｃ．Ｉ．
アシッドブラウン１４等が挙げられる。

【００２７】直接染料としては、例えば、Ｃ．Ｉ．ダイ
レクトブラック２、４、９、１１、１４、１９、２
２、２７、３２、３６、３８、４１、５６、７４、７
５、７７、７８、８０、１５４、１６８；Ｃ．Ｉ．ダイ
レクトイエロー４、１１、１２、２７、２８、３４、
３９、５０、５１、８６、１５７；Ｃ．Ｉ．ダイレクト
オレンジ１０、２６、４９；Ｃ．Ｉ．ダイレクトレッ
ド２、４、８、１３、１７、２０、２３、２４、２８、
３１、３７、３９、４４、４６、４７、４８、５１、６
２、７３、７５、７７、７９、８０、８１、８３、８
４、８５、９０、９９、１０１、１０８、１１０、１８
９；Ｃ．Ｉ．ダイレクトバイオレット１、７、９、１
２、３５、４８、５１；Ｃ．Ｉ．ダイレクトブルー
１、２、６、８、１５、２２、２５、６９、７０、７
１、７２、７５、７６、７８、８０、８１、８２、８
３、８６、９０、９８、１０６、１０８、１１０、１２
０、１２３、１６５、１９９、２３９、２５８；Ｃ．
Ｉ．ダイレクトグリーン１、６、３３；Ｃ．Ｉ．ダイ
レクトブラウン４４、１００、１０６、１１２等が挙
げられる。

【００２８】反応性染料としては、例えば，Ｃ．Ｉ．リ
アクティブブラック１；Ｃ．Ｉ．リアクティブイエ
ロー２、３；Ｃ．Ｉ．リアクティブオレンジ２；Ｃ．
Ｉ．リアクティブレッド６、７、１２、１７、１８
０、１８４；Ｃ．Ｉ．リアクティブバイオレット２；
Ｃ．Ｉ．リアクティブブルー２、５、７、１９；Ｃ．
Ｉ．リアクティブブラウン１等が挙げられる。

【００２９】食用色素としては、例えば、Ｃ．Ｉ．フー
ドブラック１、２；Ｃ．Ｉ．フードイエロー４、
５；Ｃ．Ｉ．フードレッド２、３、７、９；Ｃ．Ｉ．
フードバイオレッド２；Ｃ．Ｉ．フードブルー１；
Ｃ．Ｉ．フードグリーン２、３等が挙げられる。

【００３０】水可溶性基としてカルボキシル基を１個以
下、スルホン基を１個以上有する染料としては、前記の
染料例以外には、酸性染料の例では、Ｃ．Ｉ．アシッド
ブラック３１、５２；Ｃ．Ｉ．アシッドイエロー
１、４、７、１１、１２、１３、１４、２３、２５、２
９、３４、３６、４０、４１、４９、５３、６１、７
６、９９、１２２、１７２；Ｃ．Ｉ．アシッドオレン
ジ７、８、１９、２０、２４、２８、４１；Ｃ．Ｉ．ア
シッドレッド６、１５、３２、４２、８０、８３、８
８、１３５、１８４；Ｃ．Ｉ．アシッドバイオレット
１１、４１、４３；Ｃ．Ｉ．アシッドブルー２５、２
７、４０、４１、４３、５１、５３、５５、６２、７
８、１１７、１２４；Ｃ．Ｉ．アシッドグリーン１
２；Ｃ．Ｉ．アシッドブラウン４等が挙げられる。

【００３１】直接染料としては、例えば、Ｃ．Ｉ．ダイ
レクトブラック１７、４８、４９、５１、１７１；
Ｃ．Ｉ．ダイレクトイエロー８、２４、４１、４２、
４４；Ｃ．Ｉ．ダイレクトオレンジ６、８、２９、４
１、１０２；Ｃ．Ｉ．ダイレクトレッド１、３３、５
９、６３、１４５；Ｃ．Ｉ．ダイレクトブルー１６
３；Ｃ．Ｉ．ダイレクトグリーン８、２８；Ｃ．Ｉ．
ダイレクトブラウン１Ａ、２、６、２７、５８、９５
等が挙げられる。

【００３２】本発明の成分（ｂ）は、これらの例に限定
されるものではない。また、本発明の成分（ｂ）は必要
に応じ複数を組合わせて使用することもできる。

【００３３】本発明の水性インクには、低湿時の水分蒸
発にともなうインクの固化を防ぐ目的、固化した場合で
も水やインクに対する再溶解性を確保する目的、普通紙
へのインクの浸透時間短縮する目的で、水溶性有機溶媒
を併用することができる。このような水溶性有機溶媒と
しては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリ
コール、ポリエチレングリコール、グリセリンのごとき
グリコール類；エチレングリコールモノメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレ
ングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコー
ルモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニ
ルエーテルのごときグリコールエーテル類；２−ピロリ
ドン、Ｎ−メチル−２−ピロリドンのごときピロリドン
類；トリエタノールアミンのごときアルカノールアミン
類；メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール
のごときアルコール類；ジメチルスルホキシド等が挙げ
られるが、これらに限られたものではない。

【００３４】これらの水溶性有機溶媒は、溶媒の吸湿
性、保湿性や、染料溶解性、インクの粘度や普通紙への
浸透時間などを考慮して、適宜単独若しくは複数を組合
せて使用でき、使用する場合のインク組成物中の使用量
は０．１〜９０重量％の範囲が望ましい。

【００３５】水としては、染料の溶解安定性、重金属イ
オンによるノズルの目詰りを防止するために、イオン交
換水以上の純度のものを用いることが好ましい。インク
組成物中の使用量は、１０〜９５重量％の範囲が望まし
い。

【００３６】本発明の水性インクには、アルカリ金属の
水酸化物や、アルカノールアミン、有機酸のようなｐＨ
調整剤、防菌・防黴剤、金属封鎖剤、界面活性剤、水溶
性高分子、水溶性樹脂等の助剤を使用することもでき
る。

【００３７】

【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。実施
例中、「％」は「重量％」を表わす。

【００３８】（実施例１）式（１）の染料２．２％Ｃ．Ｉ．フードブラック２０．１５％ジエチレングリコール５．０％２−ピロリドン２．０％イオン交換水９０．６５％

【００３９】上記の各成分を混合し、室温で十分に溶解
させた後、０．４５ミクロンのメンブランフィルターで
濾過を行ない、水性インクとした。このインクをヒュー
レット・パッカード（HEWLETT PACKARD）社製の「Ｄｅ
ｓｋＪｅｔ５００Ｊ」に搭載し、印刷を行ったとこ
ろ、黒色度の高い印刷物が得られた。得られた印刷物の
耐水性は良好であった。

【００４０】（実施例２）式（１）の染料２．０％Ｃ．Ｉ．ダイレクトブラック１５４０．５％ジエチレングリコール５．０％２−ピロリドン２．０％イオン交換水９０．６５％

【００４１】上記の各成分を混合し、室温で十分に溶解
させた後、０．４５ミクロンのメンブランフィルターで
濾過を行ない、水性インクとした。このインクをヒュー
レット・パッカード社製の「ＤｅｓｋＪｅｔ５００
Ｊ」に搭載し、印刷を行ったところ、黒色度の高い印刷
物が得られた。得られた印刷物の耐水性は良好であっ
た。

【００４２】（実施例３）式（１）の染料２．２％Ｃ．Ｉ．ダイレクトブルー１９９０．１４％Ｃ．Ｉ．アシッドレッド１８０．０９％Ｃ．Ｉ．フードイエロー４０．０６％ジエチレングリコール５．０％２−ピロリドン２．０％イオン交換水９０．５１％

【００４３】上記の各成分を混合し、室温で十分に溶解
させた後、０．４５ミクロンのメンブランフィルターで
濾過を行ない、水性インクとした。このインクをヒュー
レット・パッカード社製の「ＤｅｓｋＪｅｔ５００
Ｊ」に搭載し、印刷を行ったところ、黒色度の高い印刷
物が得られた。得られた印刷物の耐水性は良好であっ
た。

【００４４】（実施例４）実施例１で得られた水性イン
クを万年筆へ充填し、筆記サンプルを作成した。得られ
た筆記サンプルの黒色度は高く、耐水性は良好であっ
た。

【００４５】（比較例１）式（１）の染料２．５％ジエチレングリコール５．０％２−ピロリドン２．０％イオン交換水９０．５％

【００４６】上記の各成分を混合し、室温で十分に溶解
させた後、０．４５ミクロンのメンブランフィルターで
濾過を行ない、インクジェット記録用水性インクとし
た。このインクをヒューレット・パッカード社製の「Ｄ
ｅｓｋＪｅｔ５００Ｊ」に搭載し、印刷を行ったとこ
ろ、得られた印刷物の耐水性は良好であったが、黒色度
は実施例１〜３に比べて劣っていた。

【００４７】

【発明の効果】本発明の水性インク組成物により、黒色
度が高く耐水性に優れた印刷物を提供することができ
る。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】水溶性染料を水に溶解してなる黒色水性
インク組成物において、水溶性染料が少なくとも（ａ）
遊離酸の形で一般式（Ｉ）【化１】（式中、ＸはＨ又はＣＯＯＨを表わし、ＹはＨ、ＣＯＯ
Ｈ又はＳＯ₃Ｈを表わし、ＺはＨ、ＣＯＯＨ又はＳＯ₃Ｈ
を表わし、Ｗは未置換又は置換アミノ基を表わすが、化
学式中に、少なくとも２個のＣＯＯＨ基を有し、ＣＯＯ
Ｈ基の数は、ＳＯ₃Ｈ基の数と等しいか又はそれより多
い。）で表わされる１種類以上の染料と、（ｂ）水可溶
性基としてカルボキシル基を１個以下、スルホン基を１
個以上有する１種類以上の染料との組合わせからなるこ
とを特徴とする水性インク組成物。
【請求項２】成分（ｂ）が、水可溶性基としてカルボ
キシル基を有せず、スルホン基を２個以上有する１種類
以上の染料である請求項１記載の水性インク組成物。
【請求項３】成分（ａ）が、遊離酸の形で一般式【化２】（式中、ＸはＨ又はＣＯＯＨを表わし、ＹはＨ、ＣＯＯ
Ｈ又はＳＯ₃Ｈを表わし、ＺはＨ、ＣＯＯＨ又はＳＯ₃Ｈ
を表わすが、化学式中、少なくとも２個のＣＯＯＨ基を
有し、ＣＯＯＨ基の数は、ＳＯ₃Ｈ基の数と等しいか又
はそれより多い。）で表わされる１種類以上の染料であ
る請求項１又は２記載の水性インク組成物。
【請求項４】成分（ａ）及び成分（ｂ）の使用割合が
重量比で３０：１〜１：１の範囲にある請求項１、２又
は３記載の水性インク組成物。