JPH08337745A - インクジェット用インク - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【構成】 着色剤と着色剤を溶解又は分散する液媒体
と、一般式 （ＲＯ）_n ＴｉＸ¹ _m （但し、Ｒは水素原子または炭素数１〜６のアルコキシ
基で置換されていてもよい炭素数１〜８のアルキル基、
Ｘ¹ はハロゲン原子、水酸基、アミノ基、アミノアルキ
ルイミノ基もしくはアルコキシ基で置換されていてもよ
い炭素数１〜６のアルコキシ基、アルキルカルボニルオ
キシ基、アルキルベンゼンスルホニルオキシ基、ジアル
キルフォスフェート基、またはジアルキルピロフォスフ
ェート基、ｍ，ｎはそれぞれ１以上の整数で、かつｍ＋
ｎは４）で示されるチタン化合物の少なくとも１種を含
有するインクジェット用インク。 【効果】 特定のチタン化合物を含有することにより、
塗工液のみならず、上質紙、中性紙、ボンド紙などの非
塗工液、いわゆる普通紙および再生紙などの被記録材に
対しても良好な印字濃度をもつ記録が行え、印字品位を
悪くすることなく、ブロンズ現象を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット用イン
クに関するものである。更に詳しくは、インクジェット
用インクとして用いた場合に、塗工紙のみならず、一般
のオフィスなどで使用されている上質紙、中性紙、ボン
ド紙などの非塗工紙、いわゆる普通紙および再生紙など
の被記録材に対しても良好な印字濃度をもつ記録が行
え、印字品位を悪くすることなく、ブロンズ現象を防止
するインクジェット用インクに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から筆記具（万年筆、サインペン、
水性ボールペン等）用インクおよびインクジェット用イ
ンクについては、様々な組成のものが報告されている。
主たるインクとしては顔料インクおよび染料インクがあ
る。顔料インクは染料インクに比較して耐光性、耐水性
に優れ、記録像は変色したり色あせることなく良好な画
像形成が可能であるため、様々な分野で使用されてい
る。

【０００３】しかしながら経済的に顔料が凝集しやす
く、ペン先やノズルの目詰まりを生じたり、インク保存
中に沈殿を生じたりして、インクの安定性としては不安
定であるという問題をかかえているのが現状である。一
方、染料インクは凝集などの問題は少ないため、種々検
討され、多様な分野で利用されている。例えば、ノンイ
ンパクト記録法などは、記録時に於ける騒音の発生が小
さいという利点があり、その中でも、高速記録が可能で
あり、而も所謂普通紙に特別の定着処理を必要とせずに
記録を行うことができるインクジェット記録法は極めて
有力な記録法であって、これまでにも様々な方式が考案
され、改良が加えられて商品化されたものもあれば、現
在も尚実用化への努力が続けられているものもある。

【０００４】この様なインクジェット記録法は、所謂イ
ンクと称される記録液の液滴（ｄｒｏｐｌｅｔ）を飛翔
させ、被記録材に付着させて記録を行うものである。斯
かる記録液は、記録剤（染料又は顔料が用いられる）及
び、これを溶解又は分散する液媒体（水又は各種水溶性
有機溶剤或いはこれらの混合物が用いられる）を基本的
成分とし、又必要に応じて各種添加剤が添加されてい
る。

【０００５】この様な記録法には、記録液の液滴の発生
方法及び液滴の飛翔方向の制御法によって、種々の方式
がある。例えば、ピエゾ振動子を有する記録ヘッド部に
記録信号を与え、該信号に応じて記録液の液滴を発生さ
せて記録を行う所謂ドロップ・オン・デマンド方式（圧
力パルス方式）、静電誘引力を利用することによりイン
クを吐出させる所謂電解制御方式、液滴を帯電させなが
ら連続的に発生させ、さらに制御電極で帯電したインク
液滴をコントロールし、インク液滴の一部を記録に利用
する荷電制御方式（コンティニュアス方式）、記録ヘッ
ドの室内の記録液に高熱を与え気泡を形成、成長させる
ことによって生じる圧力を利用してインクを吐出させる
所謂バブルジェット方式、高電圧印加状態のインク中に
スパークを生じさせ、その爆発力でインクを吐出させる
所謂スパークジェット方式などが知られている。この様
に液滴を発生させて記録を行う装置には種々のタイプの
ものがあり、従って良好な記録を行うには、液滴の発生
方法或いは液滴の飛翔方向の制御方法に応じて記録液が
適当な物性値（例えば電気伝導度・粘度・表面張力・ｐ
Ｈ等）を有することが必要である。

【０００６】更に、記録液は、長期間の保存或いは記録
の休止中に液媒体成分の気化或いは記録液の構成成分の
化学変化などにより、固形分が生じてはならない。一般
に、この種のインクジェット記録装置の吐出オリフィス
は微細な穴（一般に直径数１０μｍ程度）である為に、
他の筆記具用インクに比べ固形分の発生は大きく品質に
影響し、吐出オリフィスの目詰まりが発生し、液滴が全
く吐出しなくなることがある。又、吐出停止が起こらな
いまでも、固形分の発生は、均一な液滴の発生或いは液
滴の安定な飛翔等に対して悪影響を及ぼし、記録性、吐
出安定性、吐出応答性或いは連続記録性が低下すること
もある。或いは記録液の構成成分が化学変化を起こす
と、調合時に所望の値に調整された記録液の物性値が変
化し、記録性、吐出安定性、吐出応答性が低下する。従
って長期間保存後でも物性変化のない液媒体成分、化学
的に安定な記録剤或いは上記の欠点を生じない液媒体及
び記録剤の組み合わせが求められている。

【０００７】インクジェット記録法における目詰まり防
止性の向上としては特公昭６１−５２８７０号公報に
Ｎ，Ｎ−ジエタノールアミン誘導体、特公昭６１−２９
３９３号公報にγ−ブチロラクトン、特公昭６２−１４
１８８号公報にポリエチレングリコールフェニルエーテ
ル、特開平５−７０７２６号公報、特開平５−７０７２
７号公報にジカルボン酸エステルを配合する例が示され
てあるが、記録像の鮮明性、ブロンズ現象の防止など他
の要求性能を考慮に入れると十分ではなかった。

【０００８】記録剤として顔料を用いると耐光性、耐水
性に優れるものの、分散安定性、印字濃度などに劣り、
記録剤として染料を用いると保存安定性に優れるもの
の、記録像が乾燥するにつれて染料の結晶が被記録材上
に析出し、記録像が光を反射して黄色から茶色に光って
金属光沢を放つという、いわゆるブロンズ現象が生じる
という問題があった。この現象は顔料を用いた記録液で
も観察される。ブロンズ現象が生じると光を反射するの
で、記録像の濃度が低下するばかりでなく、色調もイン
クとして要求されるものとは大きくずれてしまう。

【０００９】この現像を防止するために、特にカーボン
ブラックを用いた印刷インクでのプロンズ防止及び鮮明
度向上剤として、特公昭６４−７１１１号公報に特定の
アルミニウム化合物を含有させることが提案されてい
る。また、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン
などのアルカノールアミンをインク中に添加することも
知られているが、これらはインク中に添加すると少量で
もｐＨが１１以上に上がってしまう。このような高ｐＨ
インクはインクに触れるノズルの腐食などインク吐出に
問題があり、さらには取り扱い時に誤って人が触れた場
合の安全性に欠ける。また、これらアルカノールアミン
を添加すると印字品位を低下させるという問題があり、
真に満足されるインクジェット用インクは得られていな
かった。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、インクジェ
ット用インクとして用いた場合に、塗工紙のみならず、
一般のオフィスなどで使用されている上質紙、中性紙、
ボンド紙などの非塗工紙、いわゆる普通紙および再生紙
などの被記録材に対しても良好な印字濃度をもつ記録を
行うことができ、印字品位を悪くすることなく、ブロン
ズ現象を防止するインクジェット用インクの提供を目的
とするものである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明者らは塗工紙はも
ちろんのこと、一般のオフィスなどで使用されている上
質紙、中性紙、ボンド紙などの非塗工紙、いわゆる普通
紙および再生紙などの被記録材に対しても印字品位を悪
くすることなく、ブロンズ現象を起こさずに良好な記録
が行えるインクジェット用インクを得るべく鋭意研究努
力した結果、インクジェット用インク中に、特定のチタ
ン化合物を含有させることにより、一般のオフィスなど
で使用されている上質紙、中性紙、ボンド紙などの非塗
工紙、いわゆる普通紙および再生紙などの被記録材に対
してもブロンズ現象を起こさずに、印字濃度を向上さ
せ、印字品位を悪くすることなく良好な記録のできるイ
ンクジェット用インクを見いだし、本発明に至った。

【００１２】即ち、本発明は、記録像を形成する着色剤
と該着色剤を溶解又は分散する液媒体と、一般式

【００１３】

【化３】（ＲＯ）_n ＴｉＸ¹ _m

【００１４】（但し、Ｒは水素原子または炭素数１〜６
のアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数１〜８の
アルキル基を表わす。Ｘ¹ はハロゲン原子、水酸基、ア
ミノ基、アミノアルキルイミノ基もしくはアルコキシ基
で置換されていてもよい炭素数１〜６のアルコキシ基、
アルキルカルボニルオキシ基、アルキルベンゼンスルホ
ニルオキシ基、ジアルキルフォスフェート基、又はジア
ルキルピロフォスフェート基を表わす。ｍ，ｎはそれぞ
れ１以上の整数を表わし、かつｍ＋ｎは４である。）で
示されるチタン化合物の少なくとも１種を含有すること
を特徴とするインクジェット用インクを要旨とする。

【００１５】本発明においてインクジェット用インクと
しては通常水性インクであり、液媒体としては水及び水
溶性有機溶媒を使用するのが良い。本発明で使用する着
色剤としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料、反応
性染料、分散染料、食品用色素等から選択することがで
きる。例えば、Ｃ．Ｉ．アシッド ブラック２，７，１
６，１７，２４，２６，２８，３１，４１，５２，６
３，９４，１１２，１１８，１１９；Ｃ．Ｉ．アシッド
イエロー４，１１，１２，１３，１４，１７，１８，
２３，２５，２９，３４，４０，４１，４２，５３，５
５，６１，７１，７６，１１１，１２２；Ｃ．Ｉ．アシ
ッド レッド１，４，６，８，９，１５，１９，２１，
３０，３２，３４，３５，３７，４０，４２，５１，５
２，５４，８０，８２，８５，８７，９２，９４，１０
６，１０８，１１０，１１５，１１９，１３３，１４
３，１７２，１７６，１８０，１８７，２５６，３１
７；Ｃ．Ｉ．アシッド ブルー７，９，２２，２３，２
５，４０，４１，４３，４５，４９，５１，５３，５
５，５６，５９，６２，７８，８０，８１，９０，９
３，１０２，１０４，１１１，１１３，１１７，１２
０，１２４，１４５，１６７，１８５，１９２，２２
９，２３４，２５４；Ｃ．Ｉ．アシッド オレンジ７，
１９；Ｃ．Ｉ．アシッド バイオレット４９；Ｃ．Ｉ．
ベイシック ブラック２，８；Ｃ．Ｉ．ベイシック イ
エロー２，１２，３２；Ｃ．Ｉ．ベイシック レッド
１，２，９，１２，１３，１４，３７；Ｃ．Ｉ．ベイシ
ック ブルー１，３，５，７，９，２４，２５，２６，
２８，２９；Ｃ．Ｉ．ベイシック バイオレット７，１
４，２７；Ｃ．Ｉ．ダイレクト ブラック２，９，１
１，１４，１７，１９，２２，２７，３２，３６，３
８，４１，４８，４９，５１，５６，７１，７５，７
７，７８，８０，１０６，１０８，１４６，１５４；
Ｃ．Ｉ．ダイレクト イエロー１，２，４，８，１２，
２４，２６，３３，３４，４１，４２，４８，５０，５
１，７２，８７，９８；Ｃ．Ｉ．ダイレクト レッド
１，４，８，１１，１５，１７，２３，２８，３１，４
６，５９，６２，７３，７５，７７，８０，８１，８
３，８４，８５，９０，１０１，１０６，１０８，１１
０，１４５，１８９，１９３，２２５；Ｃ．Ｉ．ダイレ
クト ブルー１，２，６，８，２２，２５，３４，６
９，７０，７１，７２，７５，７６，７８，８１，８
２，８３，８６，９０，９８，１０６，１１０，１２
０，１６５，１９５，１９９，２１８，２３９，２５
８；Ｃ．Ｉ．ダイレクト オレンジ３４，３９，４４，
４６，６０；Ｃ．Ｉ．ダイレクト バイオレット４７，
４８；Ｃ．Ｉ．ダイレクト ブラウン１０９；Ｃ．Ｉ．
ダイレクト グリーン５９；Ｃ．Ｉ．フード ブラック
１，２；Ｃ．Ｉ．フード イエロー２，４，５；Ｃ．
Ｉ．フード レッド２，３，７，１４，５２，８７，９
４，１０５；Ｃ．Ｉ．フード ブルー１，２；Ｃ．Ｉ．
リアクティブ ブラック１，４，５，８，１４，２１，
２３，２６，３１，３２，３４；Ｃ．Ｉ．リアクティブ
ブルー２，３，４，５，７，８，１０，１３，１４，
１５，１７，１８，１９，２１，２５，２６，２７，２
８，２９，３８，３９，４０，４２，４３，４９，５
１，５２，６５，６６，６７，６８，７１，７３，７
４，７５，７７，７８，７９，８０，８９，９８，１０
０，１０１，１０４，１０５，１１２，１１３，１１
４，１１５，１１９，１４７，１４８，１５８，１６
０，１６２，１６９，１７０，１７１，１７９，１８
２，１８７；Ｃ．Ｉ．リアクティブ レッド３，６，１
３，１７，１９，２１，２２，２３，２４，２９，３
５，３７，４０，４１，４３，４５，４９，５５，５
６，５８，６３，６７，８０，８１，８２，８５，８
６，８７，１０４，１０６，１０８，１０９，１１０，
１１１，１１２，１１３，１１４，１１７，１１８，１
１９，１２０，１２３，１２４，１２６，１２８，１３
０，１３１，１３２，１４１，１４７，１５８，１５
９，１７０，１７１，１７４，１７６；Ｃ．Ｉ．リアク
ティブ イエロー２，３，１３，１４，１５，１７，１
８，２３，２４，２５，２６，２７，２９，３５，３
７，４１，４２，４９，５０，５２，５４，５５，５
７，５８，６３，６４，７５，７６，７７，７９，８
１，８２，８３，８４，８５，８７，８８，９１，９
２，９３，９５，９６，１１１，１１５，１１６，１３
１，１３５；Ｃ．Ｉ．リアクティブ オレンジ１，２，
５，７，１０，１１，１２，１３，１５，１６，２０，
３０，３４，３５，４１，４２，４４，４５，４６，５
６，５７，６２，６３，６４，６７，６９，７１，７
２，７３，７４，７８，８２，８４，８７；Ｃ．Ｉ．リ
アクティブバイオレット１，２，３，４，５，６，７，
８，９，１６，１７，２２，２３，２４，２６，２７，
３３；Ｃ．Ｉ．リアクティブ ブラウン１，２，５，
６，７，８，９，１６，１７，１８，１９，２１，２
４，２６，３０；Ｃ．Ｉ．ディスパース ブラック１，
３，１０，２４；Ｃ．Ｉ．ディスパース ブルー３，
７，９，１４，１６，１９，２０，２６，２７，３５，
４３，４４，５４，５５，５６，５８，６０，６２，６
４，７０，７２，７３，７５，７９，８１，８２，８
３，８７，９１，９３，９４，９５，９６，１０２，１
０６，１０８，１１２，１１３，１１５，１１８，１２
０，１２２，１２５，１２８，１３０，１３９，１４
１，１４２，１４３，１４６，１４８，１４９，１５
３，１５４，１５８，１６５，１６７，１７１，１７
３，１７４，１７６，１９１，１８３，１８５，１８
６，１８７，１８９，１９７，１９８，２００，２０
１，２０５，２０７，２１１，２１４，２２４，２２
５，２５７，２５９，２６７，２６８，２７０，２８
４，２８５，２８７，２８８，２９１，２９３，２９
５，２９７，３０１，３１５，３３０，３３３；Ｃ．
Ｉ．ディスパース レッド１，４，５，７，１１，１
２，１３，１５，１７，２７，４３，４４，５０，５
２，５３，５４，５５，５６，５８，５９，６０，６
５，７２，７３，７４，７５，７６，７８，８１，８
２，８６，８８，９０，９１，９２，９３，９６，１０
３，１０５，１０６，１０７，１０８，１１０，１１
１，１１３，１１７，１１８，１２１，１２２，１２
６，１２７，１２８，１３１，１３２，１３４，１３
５，１３７，１４３，１４５，１４６，１５１，１５
２，１５３，１５４，１５７，１５９，１６４，１６
７，１６９，１７７，１７９，１８１，１８３，１８
４，１８５，１８８，１８９，１９０，１９１，１９
２，２００，２０１，２０２，２０３，２０５，２０
６，２０７，２１０，２２１，２２４，２２５，２２
７，２２９，２３９，２４０，２５７，２５８，２７
７，２７８，２７９，２８１，２８８，２９６，３０
３，３１０，３１１，３１２，３２０，３２４，３２
８；Ｃ．Ｉ．ディスパース イエロー３，４，５，７，
９，１３，２４，３０，３３，３４，４２，４４，４
９，５０，５１，５４，５６，５８，６０，６３，６
４，６６，６８，７１，７４，７６，７９，８２，８
３，８５，８６，８８，９０，９１，９３，９８，９
９，１００，１０４，１１４，１１６，１１８，１１
９，１２２，１２４，１２６，１３５，１４０，１４
１，１４９，１６０，１６２，１６３，１６４，１６
５，１７９，１８０，１８２，１８３，１８６，１９
２，１９８，１９９，２０２，２０４，２１０，２１
１，２１５，２１６，２１８，２２４；Ｃ．Ｉ．ディス
パース オレンジ１，３，５，７，１１，１３，１７，
２０，２１，２５，２９，３０，３１，３２，３３，３
７，３８，４２，４３，４４，４５，４７，４８，４
９，５０，５３，５４，５５，５６，５７，５８，５
９，６１，６６，７１，７３，７６，７８，８０，８
９，９０，９１，９３，９６，９７，１１９，１２７，
１３０，１３９，１４２；Ｃ．Ｉ．ディスパース ブラ
ウン１，２，４，９，１３，１９等が挙げられる。

【００１６】これらの染料の中でも特にアゾ系及びフタ
ロシアニン系の染料が好ましく、また、酸性染料、直接
染料、反応性染料、食品用色素等が特に好ましい。これ
らの染料の一部の構造を例示すれば、例えば遊離酸の形
で下記〔Ａ〕、〔Ｂ〕、〔Ｃ〕、〔Ｄ〕で表されるアゾ
系染料が挙げられる。

【００１７】

【化４】

【００１８】また、遊離酸の形で下記〔Ｅ〕で示される
フタロシアニン系の染料も挙げられる。

【００１９】

【化５】

【００２０】また、この他、好ましい染料は遊離酸の形
で下記〔Ｆ〕、〔Ｇ〕、〔Ｈ〕、〔Ｉ〕、〔Ｊ〕などで
表される。

【００２１】

【化６】

【００２２】（式中Ａ及びＢは各々独立に低級アルキル
カルボニルアミノ基、低級アルコキシ基、スルホン酸
基、もしくはカルボキシル基で置換されたフェニル基も
しくはナフチル基を表す。）

【００２３】

【化７】

【００２４】（式中Ｃはスルホン酸基もしくはカルボキ
シル基で置換されたナフチル基、スルホン酸基もしくは
カルボキシル基で置換されていてもよいフェニルアゾ
基、低級アルキル基、低級アルコキシル基もしくは低級
アルキルカルボニルアミノ基で置換されたフェニル基を
表し、Ｒ¹ は低級アルキル基、低級アルコキシル基、ま
たは低級アルキルカルボニルアミノ基を表し、Ｒ² は水
素原子、またはスルホン酸基もしくはカルボキシル基で
置換されたフェニル基を表し、ｐは０または１を表
す。）

【００２５】

【化８】

【００２６】（式中Ｄ、Ｅ及びＦは各々独立にスルホン
酸基、アミノ基、アルキル基、アルコキシル基もしくは
カルボキシル基で置換されていてもよいフェニル基もし
くはナフチル基を表す。）

【００２７】

【化９】

【００２８】（式中Ｄ、Ｅは上記一般式〔Ｈ〕の定義と
同じであり、Ｒ³ 、Ｒ⁴ 、Ｒ⁵ 及びＲ ⁶ は各々独立に水
素原子、水酸基、アルキル基、またはアルキル基、アル
コキシル基、スルホン酸基もしくはカルボキシル基で置
換されていてもよいフェニル基を表す。）

【００２９】

【化１０】

【００３０】（式中Ｄは上記一般式〔Ｈ〕の定義と同じ
であり、Ｒ⁷ は水素原子、またはアルキル基、アルコキ
シル基、スルホン酸基もしくはカルボキシル基で置換さ
れていてもよいフェニル基、もしくはベンゾイル基を表
す。） 着色剤としてはこの他、前記の色素以外にも使用可能で
あり、これら着色剤の記録液中における濃度は、通常全
組成物に対して０．５〜１０重量％、好ましくは１〜５
重量％の範囲である。

【００３１】また、これら染料は一種のみならず二種以
上を混合して用いてもよい。また、本発明で用いられ
る、チタン化合物は一般式

【００３２】

【化１１】（ＲＯ）_n ＴｉＸ¹ _m

【００３３】で示されるものであり、好ましくは、下記
一般式〔Ｋ〕、〔Ｌ〕、〔Ｍ〕、〔Ｎ〕であらわされる
ものが挙げられる。

【００３４】

【化１２】

【００３５】（ただしＲは炭素数１〜６のアルコキシ基
で置換されていてもよい炭素数１〜８のアルキル基、Ｒ
¹ は炭素数１〜２２までのアルキル基を表わし、ｒは０
〜５の整数を表わし、ｍ、ｎはそれぞれ１以上の整数で
あり、かつｍ＋ｎ＝４である。）

【００３６】このようなチタン化合物としては、水と水
溶性有機溶媒を含有する水性インクに用いる場合には記
録液中における溶解安定性及び保存安定性の面から上記
一般式〔Ｋ〕、〔Ｏ〕で表されるものが特に好ましく、
中でも水を５０％以上含有する水性インクに用いる場合
には、水への溶解度、記録液中における溶解安定性及び
保存安定性の面から、下記の式〔Ｐ〕、〔Ｑ〕で示され
るものがより好ましい。

【００３７】

【化１３】

【００３８】一般式〔Ｋ〕〜〔Ｎ〕のＲにおいて、炭素
数が９以上のアルキル基の場合と一般式〔Ｌ〕〜〔Ｎ〕
のＲ¹ において炭素数が２３以上のアルキル基の場合
は、水性インクに対する溶解安定性、保存安定性の面か
ら好ましくなく、特に結晶の析出なとが起こりやすく好
ましくない。

【００３９】本発明で用いられるチタン化合物の記録液
中における濃度は通常全組成物に対して０．００１〜２
０重量％、好ましくは０．０１〜１０重量％、さらに好
ましくは０．１〜５重量％の範囲がよい。２０重量％を
超えると水性インクでは結晶の析出が起こりやすく、イ
ンクの保存安定性の面から好ましくない。本発明で用い
られる水溶性有機溶媒としては、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、アセトン、
メチルエチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサンなどのエーテル類、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジエ
チレングリコール、グリセリン、１，２，６−ヘキサン
トリオール、ヘキシレングリコール、１，５−ペンタン
ジオールなどのグリコール類、エチレングリコールモノ
メチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノ
ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエ
ーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルな
どのグリコールエーテル類、モノエタノールアミン、ジ
エタノールアミン、トリエタノールアミン、エチルジエ
タノールアミンなどのアミン類、Ｎ−ヒドロキシエチル
モルホリン、Ｎ−メチル−２−ピロリドン、２−ピロリ
ドンなどの複素環式水溶性有機溶媒、２−ブタノール、
１−ブタノール、２−プロパノール、１−プロパノー
ル、エタノール、メタノールなどのアルコール類、スル
ホラン、１，３−ジメチル−２−イミダゾリジノンなど
が挙げられる。

【００４０】また、上記の他に必要に応じてカチオン界
面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性
剤、両性界面活性剤などの界面活性剤、ｐＨ調整剤、防
腐剤、防カビ剤、蒸発促進剤、キレート化剤、尿素、チ
オ尿素などの添加剤を添加してもよい。

【００４１】また、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩
化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化
アンモニウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カ
リウム、臭化マグネシウム、臭化カルシウム、臭化アン
モニウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化
カリウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カルシウム、ヨ
ウ化アンモニウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類
金属及びアンモニアのハロゲン化物、硝酸リチウム、硝
酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸
カルシウム、硝酸アンモニウム、硝酸鉄、硝酸銅、硝酸
銀、硝酸亜鉛などの硝酸塩およびモルホリン、アミンな
どの硝酸塩、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリ
ウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アンモ
ニウム、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸銀、硫酸亜鉛などの無機
硫酸塩およびモルホリン、アミンなどの有機硫酸塩、チ
オシアン酸塩、塩化モノメチルアンモニウム、塩化ジメ
チルアンモニウム、塩化トリメチルアンモニウム、塩化
テトラメチルアンモニウム、塩化モノエチルアンモニウ
ム、酢酸アンモニウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウ
ム、ギ酸リチウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸アンモニウム
などの有機塩などの導電性付与剤を添加してもかまわな
い。また、水性インクで分散染料を使用する場合等着色
剤を分散させたインクでは分散剤を使用するのが良い。
これら添加剤のなかでもグリコール類、グリコールエー
テル類、複素環式水溶性有機溶媒、アルカノールアミン
類、アルコール類、界面活性剤などが好ましい。特にグ
リコール類、グリコールエーテル類、複素環式水溶性有
機溶媒は染料の溶解安定性、分散安定性を一層向上さ
せ、また被記録材への浸透定着安定性をも向上させるの
で好ましく、アルカノールアミン類、アルコール類、界
面活性剤は速乾性を向上させるので好ましい。これら添
加剤の記録液中における濃度はそれらの添加剤が充分機
能し、かつ経済性を考慮した公知の範囲で各々使用する
が通常全組成物に対して、界面活性剤の場合、１０ｐｐ
ｍ〜１０重量％、好ましくは０．０１〜５重量％がよ
い。界面活性剤以外のものは０．１〜３０重量％、好ま
しくは１〜２０重量％が良い。

【００４２】

【実施例】本発明を以下の実施例で詳細に説明するが、
本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではな
い。 実施例１ 前記構造式〔Ａ〕においてスルホン酸基のＨがリチウム
に置き換わった構造で示される水溶性アゾ染料〔Ａ〕の
リチウム塩型を用い、下記組成の記録液を調整した。

【００４３】

【表１】 記録液組成 水溶性アゾ染料〔Ａ〕リチウム塩型 ３．０重量％ チタン化合物〔Ｐ〕 １．０重量％ グリセリン １２．０重量％ Ｎ−メチル−２−ピロリドン ３．０重量％ ２−プロパノール ４．０重量％ 脱塩水 ７７．０重量％ ────────────────────────────────── １００．０重量％

【００４４】上記組成にて記録液を攪拌混合した後、
０．２μｍメンブランフィルターで濾過し、記録液を市
販のインクジェットプリンター（キヤノン社製、商品名
ＢＪ−１０）でベタ印字させ、２４時間乾燥させた後、
マクベス反射濃度計（商品名ＲＤ−９１４）によりＯＤ
（Ｏｐｔｉｃａｌ Ｄｅｎｓｉｔｙ）として印字濃度を
測定した。記録紙にキヤノン社製ＰＰＣ用ドライペーパ
ーを用いると印字濃度は１．３４、ゼロックス社製酸性
紙４０２４紙を用いると１．３８であり、良好な印字濃
度を示した。また、記録液のブロンズ現象を目視測定し
たところ、全くブロンズ現象はみられず、鮮明な黒色の
記録像が得られた。 実施例２

【００４５】

【表２】 記録液組成 水溶性アゾ染料〔Ａ〕リチウム塩型 ３．０重量％ チタン化合物〔Ｐ〕 ２．０重量％ ジエチレングリコール １０．０重量％ Ｎ−メチル−２−ピロリドン ５．０重量％ ２−プロパノール ４．０重量％ 脱塩水 ７６．０重量％ ────────────────────────────────── １００．０重量％

【００４６】上記組成にて記録液を調製した以外は実施
例１と同様に印字を行い、印字濃度を測定した。記録紙
にキヤノン社製ＰＰＣ用ドライペーパーを用いると印字
濃度は１．３９、ゼロックス社４０２４紙を用いると
１．３７であり、良好な印字濃度を示した。また、記録
液のブロンズ現象を目視測定したところ、全くブロンズ
現象はみられず、鮮明な黒色の記録像が得られた。 実施例３

【００４７】

【表３】 記録液組成 水溶性アゾ染料〔Ａ〕リチウム塩型 ３．０重量％ チタン化合物〔Ｐ〕 ０．５重量％ グリセリン １２．０重量％ Ｎ−メチル−２−ピロリドン ３．０重量％ ２−プロパノール ４．０重量％ 脱塩水 ７７．５重量％ ────────────────────────────────── １００．０重量％

【００４８】上記組成にて記録液を調製した以外は実施
例１と同様に印字を行い、印字濃度を測定した。記録紙
にキヤノン社製ＰＰＣ用ドライペーパーを用いると印字
濃度は１．１５、ゼロックス社４０２４紙を用いると
１．３６であった。また、記録液のブロンズ現象を目視
測定したところ、全くブロンズ現象はみられず、鮮明な
黒色の記録像が得られた。 実施例４

【００４９】

【表４】 記録液組成 水溶性アゾ染料〔Ａ〕リチウム塩型 ３．０重量％ チタン化合物〔Ｑ〕 １．０重量％ グリセリン １２．０重量％ Ｎ−メチル−２−ピロリドン ３．０重量％ ２−プロパノール ４．０重量％ 脱塩水 ７７．０重量％ ────────────────────────────────── １００．０重量％

【００５０】上記組成にて記録液を調製した以外は実施
例１と同様にして印字を行い、印字濃度を測定した。記
録液にキヤノン社製ＰＰＣ用ドライペーパーを用いると
印字濃度は１．１０であり、また、記録液のブロンズ現
象を目視測定したところ、全くブロンズ現象はみられ
ず、鮮明な黒色の記録像が得られた。

【００５１】比較例１ 実施例１においてチタン化合物を加えない以外は同様に
して、脱塩水の増量により全量を１００．０％とした記
録液を調製し、印字を行い、印字濃度を測定した。記録
紙にキヤノン社製ＰＰＣ用ドライペーパーを用いると印
字濃度は１．００、ゼロックス社４０２４紙を用いると
１．１３であった。また、記録像のブロンズ現象を目視
判定したところ、ブロンズが激しく記録像は光を反射し
て金属光沢を放った。

【００５２】

【発明の効果】本発明はインクジェット用インクにおい
て、特定のチタン化合物を含有することにより、塗工紙
のみならず、一般のオフィスなどで使用されている上質
紙、中性紙、ボンド紙などの非塗工紙、いわゆる普通紙
および再生紙などの被記録材に対しても良好な印字濃度
をもつ記録が行え、印字品位を悪くすることなく、ブロ
ンズ現象を防止するインクを得るというものである。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 着色剤と、該着色剤を溶解又は分散する
   液媒体と、一般式 【化１】（ＲＯ）_n ＴｉＸ¹ _m （但し、Ｒは水素原子または炭素数１〜６のアルコキシ
   基で置換されていてもよい炭素数１〜８のアルキル基を
   表わす。Ｘ¹ はハロゲン原子、水酸基、アミノ基、アミ
   ノアルキルイミノ基もしくはアルコキシ基で置換されて
   いてもよい炭素数１〜６のアルコキシ基、アルキルカル
   ボニルオキシ基、アルキルベンゼンスルホニルオキシ
   基、ジアルキルフォスフェート基、またはジアルキルピ
   ロフォスフェート基を表わす。ｍ，ｎはそれぞれ１以上
   の整数であり、かつｍ＋ｎは４である。）で示されるチ
   タン化合物の少なくとも１種を含有することを特徴とす
   るインクジェット用インク。
2. 【請求項２】 着色剤と、該着色剤を溶解又は分散する
   液媒体と、一般式 【化２】（ＲＯ）_n ＴｉＸ² _m （但し、Ｒは炭素数１〜６のアルコキシ基で置換されて
   いてもよい炭素数１〜８のアルキル基を表わす。Ｘ² は
   アミノアルキルイミノ基で置換されていてもよい炭素数
   １〜６のアルコキシ基、またはジアルキルピロフォスフ
   ェート基を表わす。ｍ，ｎはそれぞれ１以上の整数であ
   り、かつｍ＋ｎは４である。）で示されるチタン化合物
   の少なくとも１種を含有することを特徴とするインクジ
   ェット用インク。
3. 【請求項３】 少なくとも着色剤と水と水溶性有機溶媒
   からなる請求項１に記載のインクジェット用インク。
4. 【請求項４】 該着色剤がアゾ系染料である請求項１又
   は２のいずれかに記載のインクジェット用インク。
5. 【請求項５】 該着色剤がフタロシアニン系染料である
   請求項１又は２のいずれかに記載のインクジェット用イ
   ンク。