JPH06279341A - クロロメチルアルキルエーテルの製造方法 - Google Patents

クロロメチルアルキルエーテルの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 アルコール類にパラホルムアルデヒドを加
え、塩化水素を吹き込むことにより、一般式 R−O−CHCl で示されるアルコキシメチルクロライドを製造する際、
生成する反応副生成物である一般式 R−OCH−OCHCl で示されるアルコキシメトキシメチルクロライドを低濃
度に抑制するために、反応混合物からアルコキシメチル
クロライドを回収した後、さらに塩化水素の吹き込みを
行うことを特徴とするアルコキシメチルクロライドの製
造方法。 (式中、Rはアルキル、アルコキシアルキル、ハロゲン
化アルキル、(置換)フェニル、または(置換)ベンジ
ルを表す) 【効果】 得られたアルコキシメチルクロライドは、さ
らに蒸留等の精製を加えること無しに、エーテル化等の
誘導体化反応に直接利用出来る。そのため、収率も高
く、蒸留工程も省略できるので、経済性に与える効果は
大である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルコール類にパラホ
ルムアルデヒド(CH2O)nを加え、塩化水素を吹き込
むことによりアルコキシメチルクロライドを製造する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルコキシメチルクロライド(特にメト
キシメチルクロライド)を製造する多くの方法が既に報
告されている。典型的ものは、USP2667616号
に示されているようにパラホルムアルデヒドとアルコー
ル(特にメタノール)との混合物を塩化水素と処理する
方法である。同様な一般的方法は、USP265243
2号および2681839号に記載されており、その方
法では、共生成物である水と共に溶液を形成するため、
塩化カルシウムをその反応容器に加えている。
【0003】さらにUSP380777号では、改良法
として、アルコール(特にメタノール)を塩化水素で飽
和させ、そこに十分な塩化水素と共に15℃以下の温度
でパラホルムアルデヒドを加え、その反応混合物からア
ルコキシメチルクロライドを回収している。
【0004】しかしながらこれらの方法では、アルコキ
シメチルクロライドのエーテル化等の反応を行う際に、
重要な副生成物を与える原因となる、アルコキシメトキ
シメチルクロライドが、相当量形成させてしまう。この
ため回収したアルコキシメチルクロライドは、さらに蒸
留等の精製工程が必要となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、前記の方法の不利な随伴現象を解決し、回収したア
ルコキシメチルクロライドの純度を向上させて精製工程
を省略し、経済性を向上させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は一般式
【0007】
【化4】
【0008】(式中、Rはアルキル、アルコキシアルキ
ル、ハロゲン化アルキル、フェニル、置換フェニル、ベ
ンジルまたは置換ベンジルを表す)で示されるアルコー
ル類に、パラホルムアルデヒド(CH2O)nを加え、塩
化水素を吹き込むことにより一般式
【0009】
【化5】
【0010】(式中、Rはアルキル、アルコキシアルキ
ル、ハロゲン化アルキル、フェニル、置換フェニル、ベ
ンジルまたは置換ベンジルを表す)で示されるアルコキ
シメチルクロライドを製造する際、生成する反応副生成
物である一般式
【0011】
【化6】 (式中、Rはアルキル、アルコキシアルキル、ハロゲン
化アルキル、フェニル、置換フェニル、ベンジルまたは
置換ベンジルを表す)で示されるアルコキシメトキシメ
チルクロライドを低濃度に抑制するために、反応混合物
からアルコキシメチルクロライドを回収した後、さらに
塩化水素の吹き込みを行うことを特徴とするアルコキシ
メチルクロライド[化5]の製造方法である。
【0012】本発明による方法では、反応式
【0013】
【数1】
【0014】により、アルコール[化4]にパラホルム
アルデヒドを加え、さらに十分な塩化水素を吹き込むこ
とにより、アルコキシメチルクロライド[化5]を得
る。
【0015】この時アルコール[化4]はパラホルムア
ルデヒドに対し、1.0〜1.2当量用いるのが望まし
く、またパラホルムアルデヒドを加えてからは、反応は
10℃以下で進行させるのが望ましい。さらに、アルコ
ール[化4]に予め塩化水素を飽和させておくことが望
ましい。このことにより、その後のパラホルムアルデヒ
ドの添加及び反応中の温度調節を容易にすることができ
る。
【0016】反応初期には、単一相のみが存在するが、
反応が進行するにつれ、生成物であるアルコキシメチル
クロライド[化5]の相が軽い上相として分離してく
る。重い下相はほとんどが、水、アルコール、及びHC
lの混合物である。その相分離により回収されたアルコ
キシメチルクロライド[化5]中には、副生成物アルコ
キシメトキシメチルクロライド[化6]が、アルコキシ
メチルクロライドに対して1〜3%存在している。
【0017】本発明では、回収されたアルコキシメチル
クロライド[化5]中にさらに塩化水素を吹き込み、そ
の後過剰の酸分を窒素バッキにより除去することによっ
て、アルコキシメトキシメチルクロライド[化6]をア
ルコキシメチルクロライド[化5]に対して、0.5%
以下にまで減少させることが可能となった。しかも90
%以上の収率で、目的物であるアルコキシメチルクロラ
イド[化5]を得ることが出来る。
【0018】この反応によって得られたアルコキシメチ
ルクロライド[化5]は、さらに精製を加えること無し
に、エーテル化等の誘導体化反応に直接利用することが
出来る。
【0019】最も一般的な精製方法として、仮に蒸留工
程を加えると、本化合物の場合は収率の低下が認められ
ており、本発明による精製工程の省略がもたらす効果は
絶大である。
【0020】本発明の製造工程は反応式
【0021】
【数2】
【0021】のように示される。
【0022】アルコキシメチルクロライド[化5]、ア
ルコキシメトキシメチルクロライド[化6]およびアル
コール類[化4]は、回収されたアルコキシメチルクロ
ライドの相を、ナトリウムアルコキシドまたは石炭酸ナ
トリウムと反応させ、より安定な誘導体を形成させて、
ガスクロマトグラフにより分析することができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。
【0024】 〔実施例1〕エトキシメチルクロライドの合成 エタノール280.3ml(4.8モル)に塩化水素を
飽和に達するまで吹き込み、塩化水素飽和エタノールと
なったところで、5℃以下にて、パラホルムアルデヒド
120.1g(4.0モル)を一括仕込する。その後も
引き続き、塩化水素を吹き込み、塩化水素218.8g
(6.0モル)吹き込んだ時点で、エトキシメチルクロ
ライドが上相として得られる。この時の副生成物である
エトキシメトキシメチルクロライドは、エトキシメチル
クロライドに対し、1.70%であった。この反応液を
分液した後、得られたエトキシメチルクロライド相に、
さらに塩化水素18.2g(0.5モル)吹き込み、そ
の後窒素バッキをする事により、エトキシメチルクロラ
イドが348.3g、パラホルムアルデヒドに対する収
率92.1%で得られた。この時の副生成物であるエト
キシメトキシメチルクロライドは、エトキシメチルクロ
ライドに対し、0.45%であった。
【0025】
【発明の効果】この反応によって得られたアルコキシメ
チルクロライドは、アルコキシメトキシメチルクロライ
ドが低濃度に抑えられているので、さらに蒸留等の精製
を加えること無しに、エーテル化等の誘導体化反応に直
接利用することが出来る。そのため、収率も高く、蒸留
工程も省略することができるので、経済性に与える効果
は絶大である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年2月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 クロロメチルアルキルエーテルの製造
方法
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【化1】(式中、Rはアルキル、アルコキシアルキル、
ハロゲン化アルキル、フェニル、置換フェニル、ベンジ
ルまたは置換ベンジルを表す)で示されるアルコール類
に、パラホルムアルデヒド(CH2O)nを加え、塩化水
素を吹き込むことにより一般式
【化2】(式中、Rはアルキル、アルコキシアルキル、
ハロゲン化アルキル、フェニル、置換フェニル、ベンジ
ルまたは置換ベンジルを表す)で示されるクロロメチル
アルキルエーテルを製造する際、生成する反応副生成物
である一般式
【化3】(式中、Rはアルキル、アルコキシアルキル、
ハロゲン化アルキル、フェニル、置換フェニル、ベンジ
ルまたは置換ベンジルを表す)で示されるクロロメチル
アルコキシメチルエーテルを低濃度に抑制するために、
反応混合物からクロロメチルアルキルエーテルを回収し
た後、さらに塩化水素の吹き込みを行うことを特徴とす
クロロメチルアルキルエーテル[化2]の製造方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルコール類にパラホ
ルムアルデヒド(CH2O)nを加え、塩化水素を吹き込
むことにより、クロロメチルアルキルエーテルを製造す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】クロロメチルアルキルエーテル(特に
ロロメチルメチルエーテル)を製造する多くの方法が既
に報告されている。典型的ものは、USP266761
6号に示されているようにパラホルムアルデヒドとアル
コール(特にメタノール)との混合物を、塩化水素と処
理する方法である。同様な一般的方法は、USP265
2432号および2681839号に記載されており、
その方法では、共生成物である水と共に溶液を形成する
ため、塩化カルシウムをその反応容器に加えている。
【0003】さらにUSP380777号では、改良法
として、アルコール(特にメタノール)を塩化水素で飽
和させ、そこに十分な塩化水素と共に15℃以下の温度
でパラホルムアルデヒドを加え、その反応混合物から
ロロメチルアルキルエーテルを回収している。
【0004】しかしながらこれらの方法では、クロロメ
チルアルキルエーテルのエーテル化等の反応を行う際
に、重大な副生成物を与える原因となる、クロロメチル
アルコキシメチルエーテルを、相当量形成させてしま
う。このため回収したクロロメチルアルキルエーテル
は、さらに蒸留等の精製工程を必要としていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、前記の方法の不利な随伴現象を解決し、回収した
ロロメチルアルキルエーテルの純度を向上させて精製工
程を省略し、経済性を向上させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は一般式
【0007】
【化4】
【0008】(式中、Rはアルキル、アルコキシアルキ
ル、ハロゲン化アルキル、フェニル、置換フェニル、ベ
ンジルまたは置換ベンジルを表す)で示されるアルコー
ル類に、パラホルムアルデヒド(CH2O)nを加え、塩
化水素を吹き込むことにより一般式
【0009】
【化5】
【0010】(式中、Rはアルキル、アルコキシアルキ
ル、ハロゲン化アルキル、フェニル、置換フェニル、ベ
ンジルまたは置換ベンジルを表す)で示されるクロロメ
チルアルキルエーテルを製造する際、生成する反応副生
成物である一般式
【0011】
【化6】(式中、Rはアルキル、アルコキシアルキル、
ハロゲン化アルキル、フェニル、置換フェニル、ベンジ
ルまたは置換ベンジルを表す)で示されるクロロメチル
アルコキシメチルエーテルを低濃度に抑制するために、
反応混合物からクロロメチルアルキルエーテルを回収し
た後、さらに塩化水素の吹き込みを行うことを特徴とす
クロロメチルアルキルエーテル[化5]の製造方法で
ある。
【0012】本発明による方法では、反応式
【0013】
【数1】
【0014】により、アルコール[化4]にパラホルム
アルデヒドを加え、さらに十分な塩化水素を吹き込むこ
とにより、クロロメチルアルキルエーテル[化5]を得
る。
【0015】この時アルコール[化4]はパラホルムア
ルデヒドに対し、1.0〜1.2当量用いるのが望まし
く、またパラホルムアルデヒドを加えてからは、反応は
10℃以下で進行させるのが望ましい。さらに、アルコ
ール[化4]に予め塩化水素を飽和させておくことが望
ましい。このことにより、その後のパラホルムアルデヒ
ドの添加及び反応中の温度調節を容易にすることができ
る。
【0016】反応初期には、単一相のみが存在するが、
反応が進行するにつれ、生成物であるクロロメチルアル
キルエーテル[化5]の相が軽い上相として分離してく
る。重い下相はほとんどが、水、アルコール、及びHC
lの混合物である。その相分離により回収されたクロロ
メチルアルキルエーテル[化5]中には、副生成物クロ
ロメチルアルコキシメチルエーテル[化6]が、クロロ
メチルアルキルエーテルに対して1〜3%存在してい
る。
【0017】本発明では、このクロロメチルアルコキシ
メチルエーテル[化6]含有率を低下させるために、
収されたクロロメチルアルキルエーテル[化5]中にさ
らに塩化水素を吹き込み、その後過剰の酸分を除去する
ために、窒素バッキするという工程を付加した。その結
果、クロロメチルアルコキシメチルエーテル[化6]
を、クロロメチルアルキルエーテル[化5]に対して、
0.5%以下にまで減少させることが可能となった。し
かも目的物であるクロロメチルアルキルエーテル[化
5]を90%以上の収率で、得ることが出来るようにな
った
【0018】この反応によって得られたクロロメチルア
ルキルエーテル[化5]は、重大な副生成物であるクロ
ロメチルアルコキシメチルエーテル[化6]含有率が低
いので、さらに精製を加えること無しに、エーテル化等
の誘導体化反応に直接利用することが出来る。
【0019】仮に最も一般的な精製方法である蒸留工程
を加えると、本化合物の場合は収率の低下が認められて
おり、本発明による精製工程の省略がもたらす、コスト
削減の効果は絶大である。
【0020】本発明の製造工程は反応式
【0021】
【数2】
【0021】のように示される。不純物を除去するため
には不純物の分離操作を行うのが一般的であるが、本発
明は反応工程の延長と類似の操作によって、反応工程で
生じた不純物を目的物に転化する、という画期的なもの
である。
【0022】クロロメチルアルキルエーテル[化5]、
クロロメチルアルコキシメチルエーテル[化6]および
アルコール類[化4]は、回収されたクロロメチルアル
キルエーテルの相を、ナトリウムアルコキシドまたは石
炭酸ナトリウムと反応させ、より安定な誘導体を形成さ
せて、ガスクロマトグラフにより分析することができ
る。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。
【0024】 〔実施例1〕クロロメチルエチルエーテルの合成 エタノール280.3ml(4.8モル)に塩化水素を飽
和に達するまで吹き込み、塩化水素飽和エタノールとな
ったところで、5℃以下にて、パラホルムアルデヒド1
20.1g(4.0モル)を一括仕込する。その後も引き
続き、塩化水素を吹き込み、塩化水素218.8g(6.
0モル)吹き込んだ時点で、クロロメチルエチルエーテ
が上相として得られる。この時の副生成物であるクロ
ロメチルエトキシメチルエーテルは、クロロメチルエチ
ルエーテルに対し、1.70%であった。この反応液を
分液した後、得られたクロロメチルエチルエーテル
に、さらに塩化水素18.2g(0.5モル)吹き込み、
その後窒素バッキをする事により、クロロメチルエチル
エーテルが348.3g、パラホルムアルデヒドに対す
る収率92.1%で得られた。この時の副生成物である
クロロメチルエトキシメチルエーテルは、クロロメチル
エチルエーテルに対し、0.45%であった。
【0025】
【発明の効果】この反応によって得られたクロロメチル
アルキルエーテルは、クロロメチルアルコキシメチルエ
ーテルが低濃度に抑えられているので、さらに蒸留等の
精製を加えること無しに、エーテル化等の誘導体化反応
に直接利用することが出来る。そのため、収率も高く、
蒸留工程も省略することができるので、経済性に与える
効果は絶大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 笠原 郁 茨城県つくば市御幸が丘45番地 保土谷化 学工業株式会社筑波研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 (式中、Rはアルキル、アルコキシアルキル、ハロゲン
    化アルキル、フェニル、置換フェニル、ベンジルまたは
    置換ベンジルを表す)で示されるアルコール類に、パラ
    ホルムアルデヒド(CH2O)nを加え、塩化水素を吹き
    込むことにより一般式 【化2】 (式中、Rはアルキル、アルコキシアルキル、ハロゲン
    化アルキル、フェニル、置換フェニル、ベンジルまたは
    置換ベンジルを表す)で示されるアルコキシメチルクロ
    ライドを製造する際、生成する反応副生成物である一般
    式 【化3】 (式中、Rはアルキル、アルコキシアルキル、ハロゲン
    化アルキル、フェニル、置換フェニル、ベンジルまたは
    置換ベンジルを表す)で示されるアルコキシメトキシメ
    チルクロライドを低濃度に抑制するために、反応混合物
    からアルコキシメチルクロライドを回収した後、さらに
    塩化水素の吹き込みを行うことを特徴とするアルコキシ
    メチルクロライド[化2]の製造方法。
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