JPH06279257A - メラニン生合成阻害剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 カロチノイド、又は、ヤトロパ・ポダグリカ
（トウダイグサ科）のクロロホルム抽出物からなるメラ
ニン生合成阻害剤、又は、それからなる美白化粧料。 【効果】 本物質を皮膚のシミ、ソバカス、その他の色
素沈着部に適用することによって、異常色素を治療改善
し、正常な皮膚色に戻すことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は新規なメラニン生合成阻
害剤に関する。更に詳細には、カロチノイドを含有して
なるメラニン生合成阻害剤に関し、当該カロチノイドと
してはキサントフィル、ゼアキサンチン、ヘレニエン、
フィザリエン及びβ−カロチンなどを用いることを特徴
とするメラニン生合成阻害剤に関する。これのカロチノ
イドがヤトロパ・ポダグリカ（トウダイグサ科）のクロ
ロホルム抽出物であるメラニン生合成阻害剤にも関す
る。

【０００２】また、本発明は新規な美白化粧料にも関す
る。更に詳細には、カロチノイドを含有してなる美白化
粧料にも関し、当該カロチノイドとしてはキサントフィ
ル、ゼアキサンチン、ヘレニエン、フィザリエン及びβ
−カロチンなどを用いることをお特徴とする美白化粧料
に関する。これのカロチノイドがヤトロパ・ポダグリカ
（トウダイグサ科）のクロロホルム抽出物である美白化
粧料にも関する。

【０００３】

【従来の技術】皮膚の色は、皮膚の表皮内のメラニンの
量によって左右されるもので、このメラニンはメラノサ
イト内で常に一定の速度で産生された後、周囲の角化細
胞に放出され、角化に伴って脱落するため、一定の表皮
内密度を保っている。従って、皮膚の色は均一で一年中
ほとんど変化しない。しかし、紫外線、メラノサイト刺
激ホルモン（ＭＳＨ）、加齢等によりメラニン産生機能
が亢進し、皮膚の黒化が生じる。このような機能の亢進
が局所的に生じた場合には、シミ、ソバカスなどの色素
斑となる。

【０００４】このような、シミ、ソバカス、色黒などを
改善する処方として、従来酸化漂白剤、還元漂白剤等が
使用されてきた。かかる酸化漂白剤として過酸化水素、
ベンゾイルパーオキサイド等が、また、還元漂白剤とし
てＬ−アスコルビン酸、ハイドロキノン等がメラニンの
漂白用に使われてきたが、これらは効果が十分でなかっ
たり、薬品の安定性および安全性（刺激性、アレルギー
性）に問題があったりして、実用に耐える有効な物質は
ほとんどなかった。近年、アルブチン（式Ｉ）

【０００５】

【化１】

【０００６】やコウジ酸がメラニン生成抑制剤として上
市されているが、これらはコストが高く、また必しもそ
の効果は十分ではない。

【０００７】

【発明が解決しようとする問題点】安価でかつ安全にメ
ラニンの生合成を抑制し、安定性も優れた美白化粧品に
使用しうる物質を見出だし、この物質からなるメラニン
生合成抑制剤及び美白化粧料を提供する。

【０００８】

【問題点を解決するための手段】熱帯植物ヤトロパ・ポ
タグリカ（Jatropha podagrica（トウダイグサ科））の
葉のクロロホルム抽出物がメラニン生合成阻害作用を有
することを見出だし、これに基づいてこのクロロホルム
抽出物からなるメラニン生合成阻害剤及び美白化粧料を
提供するするものである。熱帯植物ヤトロパ・ポタグリ
カ（Ｊａｔｒｏｐｈａ ｐｏｄａｇｒｉｃａ（日本名ト
ックリヤトロパ、サンゴアブラギリ））は東南アジアで
栽培されている、トウダイグサ科の植物であり、赤い花
の観賞用低木である。このクロロホルム抽出物は、熱帯
植物ヤトロパ・ポタグリカの葉の乾燥物をクロロホルム
で抽出し、抽出溶媒を留去し、抽出物を乾燥することに
より得ることができる。

【０００９】また、このクロロホルム抽出物の主成分で
あるキサントフィル（式II）、

【００１０】

【化２】

【００１１】ゼアキサンチン（式 III）、

【００１２】

【化３】

【００１３】ヘレニエン（式IV）、

【００１４】

【化４】

【００１５】フィザリエン（式Ｖ）、

【００１６】

【化５】

【００１７】β−カロチン（式VI）

【００１８】

【化６】

【００１９】等のカロチノイド類にもまた、メラニン生
合成阻害作用を有することを見出だし、本発明はこれら
のカロチノイド類からなるメラニン生合成阻害剤及び美
白化粧料を提供するするものである。これらのカロチノ
イド類は、前記クロロホルム抽出物をクロマトグラフィ
ーで精製分離して得ることもできるが、このほかに合成
のものや、他の天然物から得られるものを使用してもよ
い。

【００２０】本発明のメラニン生合成阻害剤は、カロチ
ノイド類又はクロロホルム抽出物を、組成物中に０．０
１〜５０重量％、好ましくは１〜２０重量％配合され
る。また、本発明のメラニン生合成阻害剤は種々の形態
によることができるが、一般には、ローション状、乳液
状、、クリーム状、軟膏状、スティック状、有機溶媒に
よる溶液状、パック状、ゲル状等とするのが好ましい。
これには他の任意成分を配合することができ、任意成分
としては、化粧料に通常配合して使用されている成分、
例えば、油性物質、保湿剤、増粘剤、防腐剤、乳化剤、
薬効成分、香料、乳化安定剤等を使用することができ
る。また、種々の有効成分として、アラントイン、ビタ
ミンＥアセテート、グリチルリチン、サリチル酸、尿
素、ヨクイニン、各種植物抽出物等を添加することによ
り、メラニン生合成阻害効果の向上をはかることができ
る。更に、種々の紫外線吸収物質を添加することによ
り、日焼けの防止と治療効果を兼ね備えたメラニン生合
成阻害剤とすることもできる。

【００２１】本発明の美白化粧料は、これらの成分から
通常の化粧料の一般的な方法で製造することができる。

【００２２】斯くの如くして得られる本発明のメラニン
生合成阻害剤は、皮膚面のシミ、ソバカス、日焼けの色
素沈着部等の患部に局所的に適用される。一般にその用
量は、クリーム状、軟膏状製剤の場合には皮膚面１ｃｍ
² 当り１〜２０ｍｇ、また液状製剤の場合には同じく１
〜１０ｍｇとするのが好ましい。

【００２３】

【作用】叙上の如く、本発明のメラニン生合成阻害剤
は、皮膚面のシミ、ソバカス、日焼け後の色素沈着部に
局所的に適用することにより、該部位を治療、改善し、
正常な皮膚色に戻すことができ、美白作用を有するもの
であり、予め日焼けを防止する従来のサンスクリーン剤
とは全く異なる新しいものである。

【００２４】

【実施例】次に実施例を挙げて本発明をさらに説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。

【００２５】実施例１ 植物成分の抽出 天日または６０℃のオーブンで乾燥したヤトロパ・ポダ
グリカ（Jatropha podagrica HOOK ）の葉３０ｇを細断
後、１ｌの三角フラスコに入れ、クロロホルム２００ｍ
ｌを加えて室温で７時間撹拌した。溶媒を新しくして同
様の操作をくり返し、計３回の抽出を行った。３回分の
抽出液を合わせて減圧下にクロロホルム溶媒を留去し、
得られた抽出物をさらに凍結乾燥して黒褐色の粉末０．
５ｇを得た。この粉末を次の精製の原料とした。

【００２６】実施例２ 活性物質の精製 （１）のクロロホルム抽出物２．３ｇをシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー（カラム：Ｗａｋｏｇｅｌ Ｃ−
２００、３００ｇ、径４×長４４ｃｍ）にかけ、クロロ
ホルム／メタノール（９７／３）を溶媒として７６０ｍ
ｌを流した後、続く２４０ｍｌの留分をとって溶媒を減
圧留去した。得られた生成物８６．７ｍｇをＨＰＬＣ
（カラム：ＡＱＵＡＳＩＬ、径１０×長２５０ｍｍ；移
動相：ベンゼン／酢酸エチル（７／３）；流速：２．０
ｍｌ／ｍｉｎ；検出波長：４５０ｎｍ）により更に精製
し、保持時間１６．８ｍｉｎのピークを単離した（溶媒
留去後７．８ｍｇ）。

【００２７】この単離物のＵＶ、ＮＭＲ、ＦＡＢ−ＭＡ
ＳＳスペクトルはキサントフィル標品と一致した。

【００２８】 実施例３ メラニン色素生成阻害活性測定 （１） マウス悪性黒色腫Ｂ−１６細胞（イーグル最少必須培地
に１０％牛胎児血清添加）２，０００個／ｍｌを６ｍｌ
シャーレ（直径６ｃｍ）に蒔き、５％炭酸ガス／９５％
空気下にて３７℃、５日間培養した後、各濃度のサンプ
ルを加えた培養液と交換し、さらに３日間培養した。培
養終了後、細胞を集めて遠心分離し、沈澱した細胞の色
を肉眼で観察した。サンプルとして実施例１のクロロホ
ルム抽出物を用いたところ、１２．５μｇ／ｍｌの濃度
で試験細胞は白色を示していた。一方、この細胞系に対
するアルブチンの効果は、１８．８μｇ／ｍｌで白色、
９．４μｇ／ｍｌで灰色であった。この時、本抽出物の
細胞毒性は全く認められなかったが、アルブチンは細胞
毒性が若干認められた。

【００２９】 実施例４ メラニン色素生成阻害活性測定 （２） 市販のキサントフィルをサンプルとして実施例３と同じ
方法で活性を測定したところ、７．５μｇ／ｍｌの濃度
で白色を示し、細胞の黒色化が防止され、３．７５μｇ
／ｍｌでもコントロールと比較して黒色化が押えられて
いた。この時、キサントフィルの細胞毒性は全く認めら
れなかった。

【００３０】 実施例５ メラニン色素生成阻害活性測定 (3) 種々のカロチノイド類をサンプルとした場合の細胞毒性
及びメラニン色素生成阻害活性の試験結果を表１に示
す。ゼアキサンチンとフィザリエンはサンプル自体が赤
（黄）色であるため、アッセイ系の細胞も着色された
が、細胞の黒色化は防止された。

【００３１】

【表１】

【００３２】細胞毒性 二重丸： 細胞量がコントロールと同量で細胞毒性はな
い。

【００３３】○ ： 細胞量がやや少ないが細胞毒性は
ほとんどない。

【００３４】メラニン色素生成阻害活性 白 ： 黒色化が防止され、細胞が白色を示す。

【００３５】灰 ： 黒色化の抑制が認められ、細胞が
灰色を示す。

【００３６】赤 ： 黒色化が防止され、細胞が使用カ
ロチノイド自体の赤色を示す。 − ： 細胞が黒色を示し、活性認められず。

【００３７】

【発明の効果】本物質を皮膚のシミ、ソバカス、その他
の色素沈着部に適用することによって、異常色素を治療
改善し、正常な皮膚色に戻すことができる。

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ａ６１Ｋ 31/215 ＡＤＡ 9283−4Ｃ (72)発明者 飯田 久美子 埼玉県入間郡大井町西鶴ケ岡一丁目３番１ 号 東燃株式会社総合研究所内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 カロチノイドの１種又は２種以上を含有
   してなるメラニン生合成阻害剤。
2. 【請求項２】 カロチノイドの１種又は２種以上を含有
   してなる美白化粧料。