JPH06277271A - 脱臭剤及びそれを用いた脱臭材料 - Google Patents

脱臭剤及びそれを用いた脱臭材料

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JPH06277271A
JPH06277271A JP5090906A JP9090693A JPH06277271A JP H06277271 A JPH06277271 A JP H06277271A JP 5090906 A JP5090906 A JP 5090906A JP 9090693 A JP9090693 A JP 9090693A JP H06277271 A JPH06277271 A JP H06277271A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 初期の脱臭率や脱臭能力の高い脱臭剤、及び
脱臭材料を提供することを目的とする。 【構成】 鉄イオンとポリビニルアルコールとから形成
されたキレート物に、アルコールを添加した脱臭剤であ
る。また、この脱臭剤が不織布に付着した脱臭材料であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は脱臭性に優れた脱臭剤及
びそれを用いた脱臭材料に関する。
【0002】
【従来の技術】アンモニア、硫化水素、トリメチルアミ
ンなどの悪臭に対する脱臭剤として、本出願人は特願平
4−158763号において、クロムイオン、鉄イオ
ン、ニッケルイオン、マンガンイオン、銅イオンの中か
ら選ばれる、少なくとも1つの金属イオンと、水酸基を
有する高分子とがキレートを形成した脱臭剤を提供し
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明はより初期の脱
臭率や脱臭能力が高い脱臭剤及びそれを用いた脱臭材料
を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の脱臭剤は金属イ
オンと高分子とから形成されたキレート物に、親臭性物
質を添加した脱臭剤である。なお、鉄イオンを含んでい
たり、高分子が架橋していると、より脱臭性に優れてい
る。また、高分子がポリビニルアルコールで、親臭性物
質がアルコールであると、より脱臭性に優れている。
【0005】本発明の脱臭材料は上記の脱臭剤が基材に
付着したものである。
【0006】
【作用】本発明の脱臭剤は金属イオンと高分子とから形
成されたキレート物に、悪臭と親和性の高い親臭性物質
を添加したものであり、金属イオンが高分子と形成した
キレート物中に均一に分散しているため、金属イオンや
高分子の有する以上の脱臭能力を有するだけでなく、親
臭性物質が添加されて、悪臭とキレート物との親和性が
高いため、より脱臭しやすく、優れた初期の脱臭率を有
している。また、この脱臭剤を構成する高分子を接着剤
として使用できるため、この脱臭剤を基材に付着させて
も、脱臭能力や初期の脱臭率に影響を及ぼすことなく脱
臭材料を得ることができ、様々な用途に適合させること
ができる。
【0007】本発明に使用できる金属イオンとしては、
例えば、鉄イオン、クロムイオン、ニッケルイオン、マ
ンガンイオン、銅イオン、スズイオン、亜鉛イオン、ア
ルミニウムイオン、カルシウムイオン、チタンイオン、
ジルコニウムイオン、鉛イオン、コバルトイオン、銀イ
オンなどがあるが、特に、鉄イオンを含んだ脱臭剤は脱
臭能力、初期の脱臭率ともに優れているため、鉄イオン
を含んだものが好適に使用できる。なお、各々の金属イ
オンの原子価は特に問うものではない。
【0008】この金属イオンのうち、鉄イオンは50%
以上含まれているのが好ましい。50%未満であると、
脱臭能力が不十分であり、より好ましくは70%以上、
最も好ましくは100%である。
【0009】なお、これらの金属イオンを生じる金属塩
は限定するものではなく、塩化物、硫酸塩、酢酸塩、硝
酸塩、炭酸塩、その他の塩であっても、上記の金属イオ
ンを生じる塩である限り用いることができる。
【0010】このような、金属イオンを生じる金属塩と
高分子とを、溶媒に溶解させることによりキレートを形
成させ、キレート物を得る。
【0011】上記のような金属イオンとキレートを形成
する高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、
ポリビニルアルコールの共重合物、ポリアリルアルコー
ル、ポリビニルアミン、ポリビニルピロリドン、ポリア
クリルアミド、ポリビニルアセテート、ポリエチレンイ
ミン、ポリエチレングリコール、ポリビニルホルマー
ル、ポリアクリル酸などがある。これらの中でも、ポリ
ビニルアルコールは水溶性で、鉄イオンとキレートを形
成しやすいので、脱臭剤を製造する際や使用する際に、
取り扱いやすく、しかも金属イオンを高分子中に、均一
に分散させることができるため、金属イオンの優れた脱
臭能力を引き出すことができる、という特長がある。
【0012】なお、ポリビニルアルコールは特に限定さ
れるものはなく、重合度500以上、けん化度70〜1
00程度のものであれば良い。
【0013】この金属塩の高分子のモノマー単位に対す
る配合比率は10〜100モル%であるのが好ましい。
100モル%を越えると、金属イオンが均一に分散でき
ず、金属イオン同士が接触して、金属イオンのもつ脱臭
能力を十分に引き出すことができなくなり、他方、10
モル%よりも少ないと、金属イオンの量が少な過ぎて、
脱臭能力が不十分となるためである。より好ましくは、
20〜80モル%である。
【0014】なお、本発明の脱臭剤はキレート物に親臭
性物質を添加するが、この親臭性物質を保持するため
に、高分子が架橋しているのがより好ましい。
【0015】この架橋は、高分子に、例えば、ホウ酸、
ホウ砂、アルデヒド、ジアルデヒド、尿素誘導体、グリ
コール、ジカルボン酸、モノ及びジアミン、ジイソシア
ナート、ビスエポキシ化合物、ビスエチレンイミン化合
物、重クロム酸塩、ジアゾ樹脂、或いはビスアジドなど
の架橋剤を添加して架橋構造を形成させたものでも良
い。なお、高分子がポリビニルアルコールである場合に
は、化1に示すような一般式で示される構成単位を有す
るポリビニルアルコールが架橋したものであれば、フリ
ーの水酸基が多いため、親臭性物質を多く保持できた
り、金属イオンとのキレートを形成しやすく、親臭性物
質がアルコールである場合には、より保持しやすいの
で、好適に使用することができる。
【0016】
【化1】 式中、R1は四級化された芳香族性含窒素複素環残基、
2は水素原子又はアルコキシ基、R3は水素原子又はア
シル基、mは0又は1、nは1〜6の自然数である。R
1としては、例えば、ピリジニウム基、キノリニウム
基、イソキノリニウム基、ピリミジニウム基、チアゾリ
ウム基、ベンゾチアゾリウム基、ベンゾオキサゾリウム
基などであり、これらの環の中にはアルキル基、アルコ
キシル基、アミノ基、カルバモイル基などの置換基が存
在していても良い。R2としては、例えば、水素原子又
はメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプ
ロポキシ基などのアルコキシル基である。R3として
は、例えば、水素原子又はホルミル基、アセチル基、プ
ロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基などのアシ
ル基である。
【0017】より具体的には、R3が水素原子である化
2〜化5や、R3がアセチル基である化6で示される構
成単位を有するポリビニルアルコールを例示できる。
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【0018】本発明の脱臭剤はこのようなキレート物に
親臭性物質を添加したもので、悪臭とキレート物との親
和性が高くなるため、脱臭作用がキレート物の表面だけ
ではなく、キレート物全体で行なわれるので、結果とし
て、脱臭能力及び初期の脱臭率を高めることができる。
更には、従来は脱臭しにくい、例えば、メチルメルカプ
タンのような悪臭であっても、脱臭することが可能とな
った。
【0019】この親臭性物質としては、アルコール、エ
ーテル、ナフサ、炭化水素などを例示できるが、対象と
なる悪臭に応じて適宜選択すれば良い。例えば、悪臭が
メチルメルカプタンの場合、アルコール、エーテル、ナ
フサなどがあり、アンモニアやトリメチルアミンの場
合、ポリアクリル酸ナトリウムなどのような高吸水性物
質やアルコールなどがあり、硫化水素の場合、ヘキサン
などの鎖式炭化水素やシクロヘキサンなどのような脂環
式炭化水素やベンゼンなどの芳香族炭化水素などを選択
するのが良い。
【0020】これらの中でも、アルコールは様々な悪臭
と親和性が高く、しかも脱臭剤を使用する際に、不快な
臭いを生じにくいという点で優れた親臭性物質である。
なお、高分子がポリビニルアルコールである場合には、
溶媒として水を使用することができるが、親臭性物質が
アルコールであれば、キレート物との親和性も良く、キ
レート物全体に、しかも均一に添加できるので、より脱
臭能力に優れた脱臭剤が得られる。
【0021】この親臭性物質の添加量としては、キレー
ト物に対して、10〜200重量%であるのが好まし
い。この添加量が10重量%未満であると、親臭性物質
を添加したことによる脱臭作用があまりなく、200重
量%を越えると、親臭性物質が多すぎて、キレート物が
保持できず、汎用性に劣るためである。より好ましく
は、40〜150重量%である。
【0022】なお、この親臭性物質の添加は、適量をキ
レート物に添加しても良いし、過剰量の親臭性物質を加
えた後、取り除いても良い。後者の方法によれば、キレ
ート物に対して適量の親臭性物質を添加しやすい。
【0023】このようにして得られた脱臭剤はビンなど
の容器に入れて使用しても良いが、基材に付着させるこ
とにより、より汎用性に優れた脱臭材料とすることがで
きる。
【0024】このような基材としては、例えば、フィル
ム、発泡体、織物、編物、不織布などがあり、これらの
中でも、織物、編物、不織布などの繊維シートは表面積
を広くとれるので、より優れた脱臭能力を引き出すこと
ができ、しかも可撓性があるため、様々な用途、場所に
使用することができるという特長がある。
【0025】このような脱臭剤を基材に付着させる方法
は、含浸、塗布、スプレーなどの方法で良く、特に限定
するものではない。この脱臭剤の付着状態もどのような
状態でも良いが、織物、編物、不織布などの繊維シート
に付着させる場合、主として繊維同士の交点や繊維表面
に付着させると、表面積が広くて通気性も高く、脱臭能
力に優れた脱臭材料となる。そのため、フィルタ用途の
材料として好適に使用することができる。
【0026】以下に本発明の脱臭剤及び脱臭材料の実施
例を例示するが、以下の実施例に限定されるものではな
い。
【0027】
【実施例】
(実施例1)けん化度97.0〜98.5%、重合度2,
000のポリビニルアルコールの10重量%水溶液に、
ポリビニルアルコールのモノマー単位に対して60モル
%の塩化鉄(II)のみを混合し、30分間撹拌してゾル
状のキレート物を得た。
【0028】一方、ポリアミド繊維(繊度45デニー
ル、繊維長76mm)70重量%と、レーヨン繊維(繊度
15デニール、繊維長76mm)30重量%とを混綿し、
カード機により繊維ウエブを得た後、ニードルパンチ処
理後にアクリル酸エステルバインダーの含浸処理をし
て、バインダー比率35重量%、目付350g/m2、厚さ
9mmの不織布を得た。
【0029】この不織布を9×17.5(cm)に裁断
し、前記のゾル状のキレート物を固形分で1.0g付着さ
せ、90℃で1時間乾燥した後、親臭性物質として、エ
チルアルコールを2ml添加して、脱臭材料を得た。
【0030】(比較例1)平均粒径10μmに粉砕した
塩化鉄(II)1.0gを脱臭材料とした。
【0031】(比較例2)エチルアルコールを添加しな
い以外は、実施例1と全く同様にして、脱臭材料を得
た。
【0032】(比較例3)塩化鉄(II)を含んでいない
以外は、実施例1と全く同様にして、脱臭材料を得た。
【0033】(実施例2)塩化鉄(II)に代えて、塩化
鉄(III)を使用した以外は、実施例1と全く同様にし
て、脱臭材料を得た。
【0034】(比較例4)平均粒径10μmに粉砕した
塩化鉄(III)1.0gを脱臭材料とした。
【0035】(比較例5)エチルアルコールを添加しな
い以外は、実施例2と全く同様にして、脱臭材料を得
た。
【0036】(実施例3)化2(a)に示すようなスチ
リルピリジニウム系の架橋基を、モノマー単位に対して
1.3モル%有する、重合度1,700、けん化度88の
ポリビニルアルコールの10重量%水溶液を得た。この
ポリビニルアルコールのモノマー単位に対して60モル
%の塩化鉄(II)のみを混合した後、30分間撹拌して
ゾル状のキレート物を得た。
【0037】このキレート物を実施例1と同じ不織布
に、固形分で1.0g付着させた後、日光に1時間あて
て、ポリビニルアルコールを架橋させた。その後、エチ
ルアルコールを2ml添加して、脱臭材料を得た。
【0038】(実施例4)塩化鉄(II)に代えて、塩化
鉄(III)を使用した以外は、実施例3と全く同様にし
て、脱臭材料を得た。
【0039】(メチルメルカプタンの脱臭能力測定−
1)実施例1〜2、比較例1〜5の各脱臭材料を500
mlの三角フラスコに各々入れた後、メチルメルカプタン
の濃度が10ppmとなるように調整し、パラフィルムで
密封した。そして、5分後、10分後、15分後、30
分後、45分後、60分後、90分後におけるメチルメ
ルカプタンの残留濃度を、ガスクロマトグラフ(島津製
作所製、GC−14A)により測定した。この結果は図
1〜2に示すように、本発明の脱臭材料は初期の脱臭
率、及び脱臭能力に優れていることがわかる。
【0040】(メチルメルカプタンの脱臭能力測定−
2)実施例1〜4の脱臭材料を作成してから、2日間室
温中に放置した脱臭材料を、メチルメルカプタンの脱臭
能力測定−1と全く同様にして、メチルメルカプタンの
残留濃度を測定した。この結果は図3〜4に示すよう
に、架橋した脱臭材料の方が、より初期の脱臭率、及び
脱臭能力に優れていることがわかる。
【0041】
【発明の効果】本発明の脱臭剤は金属イオン(特に、鉄
イオン)と高分子とから形成されたキレート物に、親臭
性物質を添加しているため、脱臭能力及び初期の脱臭率
を高まるばかりでなく、従来は脱臭しにくい悪臭であっ
ても脱臭することが可能となった。
【0042】脱臭剤を構成する高分子が架橋している
と、親臭性物質を強固に保持することができるため、よ
り脱臭能力が優れている。
【0043】特に、高分子がポリビニルアルコールで、
親臭性物質がアルコールであると、キレートを形成しや
すく、均一に分散でき、製造上或いは使用上好ましいば
かりでなく、各種悪臭を脱臭できるため、優れた脱臭剤
である。
【0044】これら脱臭剤が基材に付着した脱臭材料は
加工しやすいため、様々な用途に使用できる汎用性に優
れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 メチルメルカプタンの残留濃度と経過時間と
の関係を表すグラフ
【図2】 メチルメルカプタンの残留濃度と経過時間と
の関係を表すグラフ
【図3】 メチルメルカプタンの残留濃度と経過時間と
の関係を表すグラフ
【図4】 メチルメルカプタンの残留濃度と経過時間と
の関係を表すグラフ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属イオンと高分子とから形成されたキ
    レート物に、親臭性物質を添加したことを特徴とする脱
    臭剤。
  2. 【請求項2】 鉄イオンを含む金属イオンであることを
    特徴とする請求項1記載の脱臭剤。
  3. 【請求項3】 高分子が架橋していることを特徴とする
    請求項1又は請求項2記載の脱臭剤。
  4. 【請求項4】 高分子がポリビニルアルコールで、親臭
    性物質がアルコールであることを特徴とする請求項1又
    は請求項2又は請求項3記載の脱臭剤。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4記載のいずれかの脱臭剤が
    基材に付着していることを特徴とする脱臭材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH1072782A (ja) * 1996-08-22 1998-03-17 Toray Ind Inc ポリエステル系繊維材料およびその製造方法
JP2004358027A (ja) * 2003-06-06 2004-12-24 Lintec Corp 消臭剤組成物および水解性消臭体
KR100813797B1 (ko) * 2006-09-14 2008-03-13 대한주택공사 유해물질 저감촉매와 그 제조방법 및 이를 이용한환경성능개선 건축자재

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