JPH06275496A - 位置合わせ方法 - Google Patents

位置合わせ方法

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JPH06275496A
JPH06275496A JP5140580A JP14058093A JPH06275496A JP H06275496 A JPH06275496 A JP H06275496A JP 5140580 A JP5140580 A JP 5140580A JP 14058093 A JP14058093 A JP 14058093A JP H06275496 A JPH06275496 A JP H06275496A
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Masahiko Yasuda
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  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 各ショット領域に転写されるチップパターン
自体の伸縮や回転などの影響を小さく抑え、感光基板上
の各ショット領域のチップパターンとレチクルのパター
ンの投影像とをより高精度に重ね合わせる。 【構成】 ウエハ8上の各ショット領域27−nに基準
点28−nを原点として複数のアライメントマーク29
−n,30−nを形成しておく。所定の個数のアライメ
ントマークのステージ座標系(X,Y)での座標値を計
測し、各基準点28−nの設計上の配列座標及びアライ
メントマークの対応する基準点に対する設計上の相対座
標から、アライメントマークのステージ座標系(X,
Y)上での計算上の座標を算出するための誤差パラメー
タを最小自乗法により求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば統計的手法を用
いて予測した配列座標に基づいてウエハ上の各ショット
領域に順次レチクルのパターン像を転写する投影露光装
置において、レチクルとウエハ上の各ショット領域とを
順次位置合わせする場合に適用して好適な位置合わせ方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体素子又は液晶表示素子等をフォト
リソグラフィ工程で製造する際に、フォトマスク又はレ
チクル(以下「レチクル」と総称する)のパターン像を
投影光学系を介して感光基板上の各ショット領域に投影
する投影露光装置が使用されている。この種の投影露光
装置として近年は、感光基板を2次元的に移動自在なス
テージ上に載置し、このステージにより感光基板を歩進
(ステッピング)させて、レチクルのパターン像を感光
基板上の各ショット領域に順次露光する動作を繰り返
す、所謂ステップ・アンド・リピート方式の露光装置、
例えば縮小投影型の露光装置(ステッパー)が多用され
ている。
【0003】例えば半導体素子は、感光基板としての感
光材が塗布されたウエハ上に多数層の回路パターンを重
ねて形成されるので、2層目以降の回路パターンをウエ
ハ上に投影露光する際には、ウエハ上の既に回路パター
ンが形成された各ショット領域とこれから露光するレチ
クルのパターン像との位置合わせ、即ちウエハとレチク
ルとの位置合わせ(アライメント)を精確に行う必要が
ある。従来のステッパー等におけるウエハの位置合わせ
方法は、概略次のようなものである(例えば特開昭61
−44429号公報参照)。
【0004】即ち、被処理基板となるウエハ上の予め設
定された配列座標に基づいて規則的に配列された多数の
ショット領域上には、それぞれ位置合わせ用のマーク
(アライメントマーク)を含むチップパターンが形成さ
れている。しかしながら、形成されたパターン上に別の
パターンを重ねる際、設定された配列座標に基づいてウ
エハをステッピングさせても、以下のような要因により
必ずしも満足な重ね合わせ精度が得られるとは限らな
い。
【0005】(1) ウエハの残存回転誤差Θ (2) ステージ座標系(又はショット配列)の直交度誤差
W (3) ウエハの線形伸縮Rx,Ry (4) ウエハ(中心位置)のオフセット(平行移動)OX,
Y
【0006】これら4個の誤差量は6個のパラメータで
表すことができるので、その内の4個のパラメータで表
される要素からなる2行×2列の変換行列Aと、オフセ
ット(平行移動)OX,OY を要素とする2行×1列の変
換行列Oとを考える。そして、ウエハ上の各ショット領
域の設計上の配列座標値(DXn,DYn)(n=0,1,
2,‥‥)と、ステップ・アンド・リピート方式で位置
合わせすべき実際の配列座標値(FXn,FYn)とが、そ
れら変換行列A,Oを用いて次のように表されるものと
する。
【0007】
【数1】
【0008】このとき、ウエハ上から選択された複数の
ショット領域について実測して得られた配列座標値(F
Xn,FMYn)と、対応するショット領域について(数
1)に基づいて求めた計算上の配列座標値(FXn
Yn)との平均的な偏差が最小になるように、最小自乗
法を用いてそれら変換行列A,Oを決定する。そして従
来は、その決定された変換行列A,Oと設計上の配列座
標値(DXn,DYn)とに基づいて、上記の(数1)から
実際に位置合わせすべき位置の計算上の配列座標値(F
Xn,FYn)を算出し、その算出された座標値をもとにウ
エハの各ショット領域を位置決めしていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように算出された計算上の配列座標値(FXn,FYn)に
応じてウエハの位置合わせを行ったとしても、以下のよ
うな要因により必ずしも満足な重ね合わせ精度が得られ
るとは限らないという不都合があった。 (1) ウエハの各ショット領域上の回路パターン(チップ
パターン)の残存回転誤差θ、(2) ウエハ上の座標系
(チップパターン)の直交度誤差w、(3) チップパター
ンの直交する2方向への線形伸縮rx,ry これらは、ウエハ上の各ショット領域に最初に(第一層
目に)チップパターンを焼きつけた際の、レチクルの所
定の位置からのずれや回転、投影光学系の投影倍率の誤
差、又は投影光学系のディストーション(歪曲収差)な
どによって生じるものである。更にそれらの要因は、ウ
エハが加工プロセス等により受ける歪みによって変化す
るものである。
【0010】本発明は斯かる点に鑑み、統計的手法を用
いて予測した配列座標に基づいて感光基板上の各ショッ
ト領域とレチクルとの位置合わせを行う方法において、
各ショット領域に転写されるチップパターン自体の伸縮
や回転などの影響を小さく抑え、感光基板上の各ショッ
ト領域のチップパターンとレチクルのパターンの投影像
とをより高精度に重ね合わせることができるようにする
ことを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明による位置合わせ
方法は、例えば図1及び図4に示すように、基板(8)
上に配列されマスク上のパターンが転写される複数のシ
ョット領域(27−n)の各々を、基板(8)の移動位
置を規定する静止座標系(X,Y)内の所定の転写位置
に対して位置決わせするに当たって、複数のショット領
域(27−n)の内、予め選択された複数のショット領
域の静止座標系(X,Y)上における座標位置を計測
し、このように計測された複数の座標位置を統計演算す
ることによって、基板(8)上の複数のショット領域
(27−n)の各々の静止座標系(X,Y)上における
座標位置を算出し、このように算出された複数のショッ
ト領域(27−n)の各々の座標位置に従って基板
(8)の移動位置を制御することによって、複数のショ
ット領域(27−n)の各々をその転写位置に対して位
置合わせするものである。
【0012】そして、本発明は、各ショット領域(27
−n)内の基準位置(28−n)に対してそれぞれ設計
上一定の相対位置関係で配置された複数個の位置合わせ
用のマーク(29−n,30−n)(1次元座標を示す
マーク又は2次元座標を示すマークの何れでもよい)の
内、1次元座標を示すマークに換算した場合で、少なく
とも7個のそれら位置合わせ用のマークの静止座標系
(X,Y)上における座標位置を計測する第1工程(ス
テップ103)と、この第1工程で計測された静止座標
系(X,Y)上における座標位置を統計処理することに
より、各ショット領域(27−n)内の基準位置(28
−n)の設計上の配列座標及び基準位置(28−n)に
対する位置合わせ用のマーク(29−n,30−n)の
設計上の相対配列座標から、その第1工程で計測された
静止座標系(X,Y)上の座標位置を算出するための変
換パラメータを求める第2工程(ステップ104)と、
それら変換パラメータの内、基準位置(28−n)に対
する位置合わせ用のマーク(29−n,30−n)の設
計上の相対配列座標に関する変換パラメータ(B)に基
づいて、そのマスクと基板(8)との相対回転角と、そ
のマスクのパターンと基板(8)上のショット領域との
相対的な形状誤差(倍率誤差、歪み誤差、又は回転誤差
等)との少なくとも一方を補正する第3工程(ステップ
105,106)とを有し、その第2工程で算出された
変換パラメータ(A,O)を用いて、各ショット領域
(27−n)内の基準位置(28−n)の設計上の配列
座標から計算された静止座標系(X,Y)上の配列座標
に従って基板(8)の移動位置を制御することによっ
て、複数のショット領域(27−n)の各々をその転写
位置に対して位置合わせするものである(ステップ10
7,108)。
【0013】この場合、比較的簡単なマーク配置で、且
つチップパターンの形状誤差を2個のパラメータ(例え
ばチップローテーションの回転誤差θ、及び等方的なチ
ップスケーリングM)で表した場合には、各ショット領
域(27−n)内の基準位置(28−n)に対してそれ
ぞれ設計上一定の相対位置関係で2個以上のそれぞれ2
次元座標を示す位置合わせ用のマークを配置し、その第
1工程において、それら2次元座標を示す位置合わせ用
のマーク(29−n,30−n)の内、予め選択された
少なくとも4個の位置合わせ用のマークの静止座標系
(X,Y)上における座標位置を計測することが望まし
い。
【0014】
【作用】斯かる本発明によれば、基板(8)上の各々の
ショット領域(27−n)に設けた基準位置(28−
n)の配列に関する変換パラメータ(変換行列A,O内
のパラメータ)と、その基準位置(28−n)に対する
チップパターン(投影パターン)の倍率誤差及び回転誤
差等に関する変換パラメータ(変換行列B内のパラメー
タ)とが算出される。そして、回転に関する変換パラメ
ータ等に基づいてチップパターンの倍率誤差及び回転誤
差等の少なくとも1つの誤差を補正した後、変換パラメ
ータ(変換行列A,O内のパラメータ)に基づいて各シ
ョット領域(27−n)の位置決めを行うようにしてい
るので、基板(8)上の各ショット領域(27−n)の
基準位置(28−n)が正しく位置合わせされると共
に、チップパターンとマスクの投影像とが正確に重なり
合う。
【0015】この場合、1次元座標を示すマークに換算
した場合で、少なくとも7個の位置合わせ用のマークの
位置を計測しているため、従来の6個のパラメータ
(Θ、W,Rx,Ry,OX,OY)の他に、チップパター
ンに関する少なくとも1個のパラメータ(例えばチップ
ローテーションの回転誤差θ、チップパターンの直交度
誤差w、x方向のチップスケーリングrx、又はy方向
のチップスケーリングryの内の少なくとも1個)が決
定される。また、例えば2次元座標を示す位置合わせ用
のマークが使用されている場合には、計測すべき位置合
わせ用のマークの個数は、少なくとも4個となるが、そ
の内の1個の位置合わせ用のマークに関しては2次元座
標の内の1方向の座標を計測するだけで良いことにな
る。
【0016】また、各ショット領域(27−n)内のチ
ップパターンとマスクの投影像との間の線形の重ね合わ
せ誤差は、オフセット誤差を除いて一例として4個のパ
ラメータ(チップローテーションの回転誤差θ、チップ
パターンの直交度誤差w、チップスケーリングのx方向
のパラメータrx、及びチップスケーリングのy方向の
パラメータry)で表される。これら4個のパラメータ
の内で、チップパターンの直交度誤差wは無視するよう
にしても良く(w=0)、且つチップスケーリングは等
方的(rx=ry=M)としても良い場合がある。この
場合には、チップパターンに関して求めるべきパラメー
タの個数は2個であるため、オフセット分を考慮して、
各ショット領域の基板(8)上の2次元座標を示す1個
の2次元の位置合わせ用のマークの他に、1個の2次元
座標を示す位置合わせ用のマークがあれば良い。この場
合、従来の6個のパラメータ及び上述のチップパターン
に関する2個のパラメータの値を決定するためには、2
次元座標を示すマークの場合では、基板(8)上で少な
くとも4個の位置合わせ用のマークの座標を計測すれば
良いことになる。但し、1個の2次元座標を示す位置合
わせ用のマークは、それぞれ2個の1次元座標を示す位
置合わせ用のマークで代用できることは勿論である。
【0017】
【実施例】以下、本発明による位置合わせ方法の一実施
例につき図面を参照して説明する。本例はステップ・ア
ンド・リピート方式で感光基板としてのウエハ上の各シ
ョット領域にレチクルのパターンを露光する露光装置
(ステッパー)のアライメント工程に本発明を適用した
ものである。
【0018】図2は本例の露光装置を示し、この図2に
おいて、照明光学系1から射出された露光光ILが、ほ
ぼ均一な照度でレチクル2を照明する。レチクル2はレ
チクルステージ3上に保持され、レチクルステージ3は
ベース4上の2次元平面内で移動及び微小回転ができる
ように支持されている。装置全体の動作を制御する主制
御系6が、ベース4上の駆動装置5を介してレチクルス
テージ3の動作を制御する。
【0019】露光光ILのもとで、レチクル2のパター
ン像が投影光学系7を介してウエハ8上の各ショット領
域に投影される。ウエハ8はウエハホルダー9を介して
ウエハステージ10上に載置されている。ウエハステー
ジ10は、投影光学系7の光軸に垂直な面内でウエハ8
を2次元的に位置決めするXYステージ、投影光学系7
の光軸に平行な方向(Z方向)にウエハ8を位置決めす
るZステージ、及びウエハ8を微小回転させるステージ
等より構成されている。
【0020】ウエハステージ10の上面に移動ミラー1
1が固定され、移動ミラー11に対向するようにレーザ
ー干渉計12が配置されている。図2では簡略化して表
示しているが、投影光学系7の光軸に垂直な面内の直交
座標系をX軸及びY軸として、移動鏡11はX軸に垂直
な反射面を有する平面鏡及びY軸に垂直な反射面を有す
る平面鏡より構成されている。また、レーザー干渉計1
2は、X軸に沿って移動鏡11にレーザービームを照射
する2個のX軸用のレーザー干渉計及びY軸に沿って移
動鏡11にレーザービームを照射するY軸用のレーザー
干渉計より構成され、X軸用の1個のレーザー干渉計及
びY軸用の1個のレーザー干渉計により、ウエハステー
ジ10のX座標及びY座標が計測される。このように計
測されるX座標及びY座標よりなる座標系(X,Y)
を、以下ではステージ座標系又は静止座標系と呼ぶ。
【0021】また、X軸用の2個のレーザー干渉計の計
測値の差により、ウエハステージ10の回転角が計測さ
れる。レーザー干渉計12により計測されたX座標、Y
座標及び回転角の情報が座標計測回路12a及び主制御
系6に供給され、主制御系6は、供給された座標をモニ
ターしつつ駆動装置13を介して、ウエハステージ10
の位置決め動作を制御する。尚、図2には示していない
が、レチクル側にもウエハ側と全く同じ干渉計システム
が設けられている。
【0022】本例の投影光学系7には結像特性制御装置
14が装着されている。結像特性制御装置14は、例え
ば投影光学系7を構成するレンズ群の内の所定のレンズ
群の間隔を調整するか、又は所定のレンズ群の間のレン
ズ室内の気体の圧力を調整することにより、投影光学系
7の投影倍率、歪曲収差の調整を行う。結像特性制御装
置14の動作も主制御系6により制御されている。
【0023】本例では、投影光学系7の側面にオフ・ア
クシスのアライメント系15が配置され、このアライメ
ント系15において、光源16からの照明光がコリメー
タレンズ17、ビームスプリッター18、ミラー19及
び対物レンズ20を介してウエハ8上のアライメントマ
ーク29の近傍に照射される。この場合、対物レンズ2
0の光軸20aと投影光学系7の光軸7aとの間隔であ
るベースライン量が予め計測されている。そして、アラ
イメントマーク29からの反射光が、対物レンズ20、
ミラー19、ビームスプリッター18及び集光レンズ2
1を介して指標板22上に照射され、指標板22上にア
ライメントマーク29の像が結像される。
【0024】指標板22を透過した光が、第1リレーレ
ンズ23を経てビームスプリッター24に向かい、ビー
ムスプリッター24を透過した光が、X軸用第2リレー
レンズ25Xにより2次元CCDよりなるX軸用撮像素
子26Xの撮像面上に集束され、ビームスプリッター2
4で反射された光が、Y軸用第2リレーレンズ25Yに
より2次元CCDよりなるY軸用撮像素子26Yの撮像
面上に集束される。撮像素子26X及び26Yの撮像面
上にはそれぞれアライメントマーク19の像及び指標板
22上の指標マークの像が重ねて結像される。撮像素子
26X及び26Yの撮像信号は共に座標位置計測回路1
2aに供給される。
【0025】図3は図2の指標板22上のパターンを示
し、この図3において、中央部に十字形のアライメント
マーク29の像29Pが結像され、この像29Pの直交
する直線パターン像29XP及び29YPに垂直なXP
方向及びYP方向が、それぞれ図2のウエハステージ1
0のステージ座標系のX方向及びY方向と共役になって
いる。そして、アライメントマーク像29PをXP方向
に挟むように2個の指標マーク31A及び31Bが形成
され、アライメントマーク像29PをYP方向に挟むよ
うに2個の指標マーク32A及び32Bが形成されてい
る。
【0026】この場合、XP方向で指標マーク31A,
31B及び直線パターン像29XPを囲む検出領域33
X内の像が図2のX軸用撮像素子26Xで撮像され、Y
P方向で指標マーク32A,32B及び直線パターン像
29YPを囲む検出領域33Y内の像が図2のY軸用撮
像素子26Yで撮像される。更に、撮像素子26X及び
26Yの各画素から光電変換信号を読み取る際の走査方
向はそれぞれXP方向及びYP方向に設定され、撮像素
子26X及び26Yの撮像信号を処理することにより、
アライメントマーク像29Pと指標マーク31A,31
B及び32A,32BとのXP方向及びYP方向の位置
ずれ量を求めることができる。従って、図2において、
座標計測回路12aは、ウエハ8上のアライメントマー
ク29の像と指標板22上の指標マークとの位置関係及
びそのときのレーザー干渉計12の計測結果より、その
アライメントマーク29のステージ座標系(X,Y)上
での座標を求め、このように計測された座標値を主制御
系6に供給する。
【0027】次に、本実施例でウエハ8上の各ショット
領域とレチクル2のパターン像との位置合わせを行っ
て、各ショット領域への露光を行う際の動作につき説明
する。図4(a)は本実施例のウエハ8を示し、この図
4(a)において、ウエハ8上の直交する座標系(α,
β)に沿って複数のショット領域27−n(n=0,
1,2,‥‥)がマトリックス状に配列され、各ショッ
ト領域27−nには前工程での露光及び現像等によりそ
れぞれチップパターンが形成されている。図4では、複
数のショット領域の内の5つのショット領域27−1〜
27−5のみを代表して表している。
【0028】各ショット領域27−nにはそれぞれ基準
位置が定められている。例えば基準位置を各ショット領
域27−nの中心の基準点28−nとすると、この基準
点28−nの、ウエハ8上の座標系(α,β)における
設計上の座標値は、それぞれ(CXn,CYn)で表される
ものとする。また、各ショット領域27−nには、それ
ぞれ4個の位置合わせ用のアライメントマーク29−
n,30−n,34−n,35−nが付随して設けられ
ている。この場合、図4(a)のウエハ上の座標系
(α,β)に平行に、各ショット領域27−nに図4
(b)に示すようにショット領域上の座標系(x,y)
を設定すると、アライメントマーク29−n,30−
n,34−n,35−nの座標系(x,y)上における
設計上の座標はそれぞれ(S1Xn,S1Yn),(S2Xn,S
2Yn),(S3Xn,S3Yn)及び(S4Xn,S4Yn)で表される。
【0029】図4(a)に戻り、ウエハ8を図2のウエ
ハステージ10上に載置し、ステップ・アンド・リピー
ト方式で既にチップパターンが形成された複数のショッ
ト領域の各々にレチクルの投影像を順次重ね合わせて露
光が行われる。このとき、ウエハステージ10の移動位
置を規定するステージ座標系(X,Y)とウエハの座標
系(α,β)との対応関係が必ずしも前工程における関
係と同じには限らない。このため、座標系(α,β)に
関する各ショット領域27−nの基準点28−nの設計
上の座標値(CXn,CYn)からステージ座標系(X,
Y)上の座標を求めて、この座標に基づいてウエハを移
動させても、各ショット領域27−nが精密に位置合わ
せされないことがある。そこで、本実施例では、先ず従
来例と同様にその位置合わせの誤差が次の4つの要因か
ら生じたものとする。
【0030】ウエハの回転:これはステージ座標系
(X,Y)に対するウエハの座標系(α,β)の残留回
転誤差Θで表される。 ステージ座標系(X,Y)の直交度:これはX軸方向
及びY軸方向のウエハステージ10の送りが正確に直交
していないことにより生じ、直交度誤差Wで表される。
【0031】ウエハの座標系(α,β)におけるα方
向及びβ方向の線形伸縮(ウエハスケーリング):これ
はウエハ8が加工プロセス等によって全体的に伸縮する
ことである。この伸縮量はα方向及びβ方向についてそ
れぞれウエハスケーリングRx及びRyで表される。た
だし、α方向のウエハスケーリングRxはウエハ8上の
α方向の2点間の距離の実測値と設計値との比、β方向
のウエハスケーリングRyはβ方向の2点間の実測値と
設計値との比で表すものとする。 ウエハ上の座標系(α,β)のステージ座標系(X,
Y)に対するオフセット:これはウエハ8がウエハステ
ージ10に対して全体的に微小量だけずれることにより
生じ、オフセット量OX,OY で表される。
【0032】上記の〜の誤差要因が加わった場合、
基準点の設計上の座標値が(CXn,CYn)のショット領
域について、実際に露光するにあたって位置決めすべき
ステージ座標系(X,Y)上の座標(C′Xn,C′Yn
は以下のように表される。
【0033】
【数2】
【0034】ここで、直交度誤差W及び残留回転誤差Θ
が微小量であるとして一次近似を行うと、(数2)は次
のようになる。
【0035】
【数3】
【0036】ここまでは、各ショット領域27−n上の
基準位置(本例では各ショット領域の中心の基準点)を
正確に位置合わせすることについて説明してきた。しか
し、各ショット領域の基準点がそれぞれ正確に位置合わ
せされたからといって、必ずしも各ショット領域内のチ
ップパターン全体とレチクルの投影像とが隅々まで正確
に重なり合うとは限らない。
【0037】次にこの各ショット領域内の重ね合わせ誤
差について説明する。既に説明したように、図4(b)
において、任意のショット領域27−n上の座標系
(x,y)上の設計上の座標値が(S1Xn,S1Yn)〜(S
4Xn,S4Yn)である位置にそれぞれアライメントマーク2
9−n,30−n,34−n,35−nが形成されてい
る。本例では、その各ショット領域内の重ね合わせ誤差
が以下の要因から生じたものとする。
【0038】チップパターンの回転(チップローテー
ション):これは、例えばウエハ8上にレチクル2の投
影像の露光を行う際、レチクル2がステージ座標系
(X,Y)に対して回転していたり、あるいはウエハス
テージ10の動きにヨーイングが混入していたりすると
きに生じるものであり、ショット領域の座標系(x,
y)に対する回転誤差θで表される。 チップの直交度誤差:これは、例えばウエハ8上にレ
チクル2の投影像を露光する際に、レチクル2上のパタ
ーン自体の歪みや投影光学系7のディストーション(歪
曲収差)等によって生じるチップパターンの直交度の誤
差であり、角度誤差wで表される。
【0039】チップの線形伸縮(チップスケーリン
グ):これは、例えばウエハ8にレチクル2の投影像の
露光を行う際の投影倍率の誤差、あるいはウエハ8の加
工プロセスによってウエハ8が全体的又は部分的に伸縮
することによって生じるものである。ここでは、ショッ
ト領域の座標系(x,y)のx方向の2点間の距離の実
測値と設計値との比であるx方向のチップスケーリング
rx、及びy方向の2点間の距離の実測値と設計値との
比であるy方向のチップスケーリングryで2方向の線
形伸縮を表すものとする。
【0040】例えば、図5(a)は前工程で形成された
各ショット領域27−nのチップパターンに回転誤差及
び倍率誤差が生じているウエハ8Aを示し、この図5
(a)において、回転誤差及び倍率誤差が無い場合のシ
ョット領域の例を破線で囲んだショット領域36−6〜
36−10で表す。それに対して、ウエハ8A上に実際
に形成されているショット領域27−6〜27−10は
回転角及び倍率が異なっている。これらの誤差は、図5
(b)に示すように、ショット領域27−nが本来のシ
ョット領域36−nに対して傾斜しているチップローテ
ーション誤差と、図5(c)に示すように、ショット領
域27−nの倍率が本来のショット領域36−nの倍率
と異なっているチップスケーリング誤差とに分離でき
る。
【0041】但し、図5の例ではチップパターンの直交
度誤差wが無く、且つx方向のチップスケーリングrx
とy方向のチップスケーリングryとが等しい場合を示
している。上記の〜の誤差要因が加わった場合、シ
ョット領域27−n上の設計上の座標値が(SNXn,S
NYn)(N=1〜4)のアライメントマーク29−n,3
0−n,34−n,35−nについて、実際に位置合わ
せすべきショット領域の座標系(x,y)上での座標値
(S′NXn ,S′NYn )は以下のように表される。
【0042】
【数4】
【0043】ここで、直交度誤差w及び回転誤差θが微
小量であるとして一次近似を行うと、(数4)は次式で
表される。
【0044】
【数5】
【0045】さて、図4(b)において、任意のショッ
ト領域27−nの基準点28−nのステージ座標系
(X,Y)上での配列座標値は(CXn,CYn)であるた
め、その任意のショット領域上の任意のアライメントマ
ーク(29−n又は30−n)のステージ座標系(X,
Y)上の設計上の座標値(DNXn ,DNYn )は、次のよ
うに表される。但し、上述のようにNの値(1〜4)に
よってアライメントマーク29−n〜35−nの区別を
行っている。
【0046】
【数6】
【0047】上述の〜の3個の誤差は、ウエハ8上
の各ショット領域のアライメントマークを焼き付けた層
にチップパターンを焼き付けた際に生じる。実際には更
に、ウエハ8の加工プロセスによって生じる上述のや
の誤差の影響を受けるため、アライメントマーク29
−n,30−n,34−n,35−nがステージ座標系
(X,Y)上で実際にあるべき位置の座標を(FNXn,F
NYn)(N=1〜4)とすると、この座標値(FNXn,F
NYn)は(数3)及び(数5)から次のように表される。
【0048】
【数7】
【0049】次に、本実施例では最小自乗法の適用を容
易にするため、その(数7)中のα方向のウエハスケー
リングRx、及びβ方向のウエハスケーリングRyをそ
れぞれ新たなパラメータΓx、及びΓyを用いて次の
(数8)のように表す。同様に、その(数7)中のx方
向のチップスケーリングrx、及びy方向のチップスケ
ーリングryをそれぞれ新たなパラメータγx、及びγ
yを用いて次の(数8)のように表す。
【0050】
【数8】
【0051】これら新たなそれぞれ線形伸縮の変化分を
示す4個のパラメータΓx、Γy、γx、及びγyを用
いてその(数7)を書き換えると、(数7)は近似的に
次のようになる。
【0052】
【数9】
【0053】この(数9)において、2次元ベクトルを
2行×1列の行列とみなすと、この(数9)を以下のよ
うな変換行列を用いた座標変換式に書き直すことができ
る。
【0054】
【数10】
【0055】但し、(数10)の各変換行列は次のよう
に定義される。
【0056】
【数11】
【0057】即ち、(数10)では、2行×1列の行列
Nnが、行列ACn と、行列BSNnと、行列Oとの加算
で表されている。(数10)の座標変換式における変換
行列A,B,Oに含まれる10個の誤差パラメータ
(Θ,W,Γx(=Rx−1),Γy,OX,OY,θ,
w,γx(=rx−1),γy)は例えば最小自乗法に
より求めることができる。本例では、(数10)の座標
変換式に基づいてウエハ8の各ショット領域のステージ
座標系(X,Y)上での計算上の座標、及びチップの各
誤差を求める。そして、それをもとに、チップローテー
ション誤差及びチップ倍率誤差等の補正を行った上で、
ウエハ8の各ショット領域とレチクルとの位置合わせを
行う。なお、必ずしも最小自乗法を(数10)に適用す
る必要はなく、例えば(数7)の段階で10個の誤差パ
ラメータを求めても良い。
【0058】また、本例では以下で説明するように、ウ
エハ上のショット領域から予め選択されたショット領域
(サンプルショット)内で、更に選択されたアライメン
トマークの座標位置を計測し、この計測結果を(数1
0)に適用して最小自乗法により10個のパラメータを
求め、このパラメータに基づいて各ショット領域の配列
座標を算出している。このように予め選択されたアライ
メントマーク(サンプルショット)の計測結果から所定
(10個以下でも可)の誤差パラメータを求める演算
を、エンハンスト・グローバル・アライメント(以下、
「EGA」という)演算と呼び、この結果に基づいて位
置合わせを行う方式をEGA方式のアライメントと呼
ぶ。
【0059】次に、図1のフローチャートを参照して、
(数10)の座標変換式に基づいた本例のアライメント
動作及び露光動作の一例につき説明する。先ず図1のス
テップ101において、図2のウエハホルダー9上に今
回の露光対象であるウエハ8のロードが行われる。ウエ
ハ8の各ショット領域にはそれぞれ、前工程において既
にチップパターンが形成されている。更に、図4(b)
に示すように、ウエハ8上の各ショット領域27−nに
はそれぞれ4個の十字型のアライメントマーク29−
n,30−n,34−n及び35−nが形成されてい
る。また、レチクル2のアライメントが終了しており、
不図示の干渉計によって規定される直交座標に対するレ
チクル2のX,Y,回転方向のずれ量はほぼ零となって
いる。
【0060】次に、図1のステップ102において、ウ
エハ8の原点設定(プリアライメント)を行う。その後
ステップ103において、図2のオフ・アクシスのアラ
イメント系15を用いて、ウエハ8上の5個以上のアラ
イメントマーク(29−n,30−n,34−n又は3
5−n)のステージ座標系(X,Y)上での座標値(F
NXn,FMNYn)を実測する。1個のアライメントマーク
にはX方向及びY方向の2つの成分があるため、5個以
上のアライメントマークの座標値を実測することによ
り、10個以上のパラメータの値を決定することができ
る。
【0061】本例で実測するアライメントマークは、3
個以上のショット領域27−nから選択する必要がある
が、必ずしも1個のショット領域27−nから4個のア
ライメントマーク29−n〜35−nを選択する必要は
なく、1個のショット領域27−nからそれぞれ1個の
アライメントマーク(29−n,30−n,34−n又
は35−n)を選択するようにしてよい。
【0062】この場合、ウエハ8上で選択された複数の
ショット領域27−nの基準点28−nの、ウエハ8上
の座標系(α,β)上での設計上の配列座標値(CXn
Yn)と、測定されたアライメントマークの各ショット
領域27−n上の座標系(x,y)での設計上の座標値
(相対座標値)(SNXn,SNYn )とが予め分かってい
る。そこで、ステップ104において、(数8)の右辺
に、測定されたアライメントマークが属するショット領
域の基準点の設計上の配列座標値(CXn,CYn)、及び
そのアライメントマークの基準点に関する設計上の相対
座標値(SNXn,S NYn)を代入することにより、そのアラ
イメントマークがステージ座標系(X,Y)上であるべ
き計算上の座標値(FNXn,FNYn)を求める。
【0063】そして、最小自乗法により(数10)を満
足する10個の誤差パラメータ(Θ,W,Γx,Γy,
X,OY,θ,w,γx,γy)を求める。具体的には、
実際に計測された座標値(FMNXn,FMNYn)とその計算
上の座標値(FNXn,FNYn)との差(ENXn,ENYn)をアラ
イメント誤差と考える。従って、ENXn =FMNXn −F
NXn 、ENYn =FMNYn −FNYn が成立している。そし
て、5組以上のアライメント誤差(ENXn,ENYn)、即ち
10個以上のアライメント誤差の自乗和をそれら10個
の誤差パラメータで順次偏微分し、その値がそれぞれ0
になるような方程式をたてて、それら10個の連立方程
式を解けば10個の誤差パラメータを求めることができ
る。これが本例のEGA演算である。
【0064】その後ステップ105において、(数1
0)の変換行列B中のチップローテーションの回転誤差
θを補正するように、図2のレチクルステージ3を介し
てレチクル2に適当な回転を施すか、又はウエハ8を回
転させることにより、ステージ座標系(X,Y)に対す
るチップパターンの回転を補正する。これは(数9)で
示す変換行列Bの要素を構成する回転誤差θに合わせ
て、レチクル2又はウエハ8を回転することを意味す
る。
【0065】但し、ウエハ8を回転した場合には、ウエ
ハ8のオフセット誤差(OX,OY)が変化する虞があるた
め、再びアライメントマークの座標値の計測を行った
後、従来の通常のEGA演算を行って誤差パラメータを
求め直す必要がある。そこで、例えばウエハ8を角度θ
だけ回転した場合には、従来のチップパターン内の誤差
を考慮しない場合と同様に、ウエハ8上の少なくとも3
個のショット領域のアライメントマークのステージ座標
系(X,Y)での座標値を計測し直す。そして、その結
果から6個の誤差パラメータ(Θ,W,Rx,Ry,O
X,OY)の値を決定し、この結果から算出した配列座標に
基づいて各ショット領域の位置合わせを行って露光を行
う。
【0066】次に、チップの直交度誤差wは、厳密な意
味では補正できないが適度にレチクル2を回転させるこ
とで、その誤差を小さく抑えることができる。そこで、
回転誤差Θ、回転誤差θ及び直交度誤差wのそれぞれの
絶対値の和が最小になるように、レチクル2又はウエハ
8の回転量を最適化することも可能である。
【0067】次に、ステップ106において、(数1
0)の変換行列B中のチップスケーリング誤差を補正す
るように、図2の結像特性制御装置14を介して投影光
学系7の投影倍率を調整する。これは(数9)で示す変
換行列Bの要素を構成するチップスケーリングrx及び
ryに合わせて、投影光学系7の投影倍率を調整するこ
とを意味する。
【0068】その後、図1のステップ107において、
ステップ104で求めた誤差パラメータよりなる要素を
含む変換行列A及びOを用いて、次式にウエハ8上の各
ショット領域27−nの基準点28−nの設計上の配列
座標値(CXn,CYn)を代入することにより、その基準
点28−nのステージ座標系(X,Y)上での計算上の
配列座標値(GXn,GYn)を求める。但し、上述したよ
うに、ステップ105でローテーション誤差を補正する
ためにウエハ8側を回転した場合には、再び計測したア
ライメントマークの座標に基づいて、各基準点28−n
のステージ座標系(X,Y)上での計算上の配列座標値
(GXn,GYn)を求める。
【0069】
【数12】
【0070】そして、ステップ108において、計算に
より得られた配列座標(GXn,GYn)及び予め求めてあ
るベースライン量に基づいて、ウエハ8上の各ショット
領域27−nの基準点28−nを順次図2の投影光学系
7の露光フィールド内の所定の位置に位置合わせして、
当該ショット領域27−nに対してレチクル2のパター
ン像を投影露光する。そして、ウエハ8上の全てのショ
ット領域への露光が終了した後に、ウエハ8の現像等の
処理が行われる。
【0071】この場合、本例では(数10)に示すよう
に、変換行列A及びOのみならず、チップローテーショ
ン、チップの直交度誤差及びチップスケーリングのパラ
メータよりなる変換行列Bをも考慮しているので、各シ
ョット領域に転写されるチップパターン自体の伸縮や回
転などの影響を小さく抑え、ウエハ上の各ショット領域
のチップパターンとレチクルのパターンの投影像とをよ
り高精度に重ね合わせることができる。
【0072】なお、上述実施例では図4(b)に示した
ように、ステージ座標系上のX方向及びY方向に同時に
位置合わせできる十字型のアライメントマーク29−n
〜35−nをショット領域の座標系上のx軸上に2個、
及びy軸上に2個設けている。しかしながら、例えば1
直線上に4個のアライメントマークが配列されないよう
にすれば、必ずしもそのような配置でなくとも良い。一
例として例えば各ショット領域の4隅にアライメントマ
ークを配置すると良い。また、各アライメントマークは
各ショット領域間のストリートライン領域上に形成して
も良い。また、X方向用の1次元のアライメントマーク
とY方向用の1次元のアライメントマークとをそれぞれ
別に設けても、その配置に注意すれば上述実施例と全く
同様に(数10)の変換行列A,B,Oを求めることが
できる。
【0073】但し、本例のような2次元の位置を特定で
きる十字マークの代わりに、X方向又はY方向の位置だ
けを検出できる1次元のアライメントマーク(回折格子
マーク等)を使用する場合には、10個のパラメータの
値を決定するために、10個以上の1次元のアライメン
トマークの座標値を実測する必要がある。なお、上述実
施例では、チップローテーションの回転誤差θ、チップ
の直交度誤差w及びチップスケーリングrx,ryを求
めるために、ウエハ8の各ショット領域27−n内に4
個の2次元のアライメントマーク29−n〜35−nを
設けている。しかしながら、各ショット領域27−nの
基準点のオフセット(x方向及びy方向)を考慮して
も、求めるべきパラメータは6個であるため、各ショッ
ト領域27−nには3個の2次元のアライメントマーク
(例えば29−n,30−n及び34−n)を設けるだ
けでも良い。このように2次元のアライメントマークを
使用する際には、常に2つのアライメントマークが選択
されることになる。但し、1次元のアライメントマーク
であれば、各ショット領域27−nにそれぞれ6個のア
ライメントマークを形成する必要がある。
【0074】なお、上述実施例ではチップパターンに関
する4個のパラメータ(チップローテーションの回転誤
差θ、直交度誤差w、チップスケーリングrx、チップ
スケーリングry)を用いて、レチクル(又はウエハ)
の回転及び投影光学系の倍率の補正を行っていた。しか
しながら、必ずしもレチクル(又はウエハ)の回転及び
投影光学系の倍率の補正を行う必要はなく、上述実施例
で求めた配列座標値に従って各ショット領域を位置合わ
せするだけでも良い。このとき、例えばウエハに関する
スケーリングのパラメータRx及びRy(又はΓx及び
Γy)を用いた倍率補正は行っても良いし、行わなくと
も良い。
【0075】また、上述実施例ではチップパターンに関
する4個のパラメータ(チップローテーションの回転誤
差θ、直交度誤差w、チップスケーリングrx(=1+
γx)、チップスケーリングry(=1+γy))の全
てを求めているが、これら4個の何れか1つのパラメー
タのみに着目して(数7)(又は(数9))を用いても
良い。具体的に、回転誤差θのみに着目する場合には、
直交度誤差wは0とみなし、チップスケーリングrx及
びryはそれぞれ1とみなして(数7)を用いることに
なる。これに関して、チップスケーリングrx及びry
に着目する場合には、rx=ryであるとして、即ち線
形伸縮が等方的であるとして、(数7)を用いハの種類
(特徴)に応じて選択すれば良い。
【0076】また、チップパターンに関する4個のパラ
メータ(チップローテーションの回転誤差θ、直交度誤
差w、チップスケーリングrx、チップスケーリングr
y)の内で、直交度誤差wを0とみなし、チップスケー
リングが等方的であるとみなす(即ち、rx=ry=
M)と、(数7)は次のように単純化される。
【0077】
【数13】
【0078】また、等方的なチップスケーリングMを
(1+δM)として(数8)を用いて、2次の微小量を
無視すると、その(数13)は次のように近似できる。
【0079】
【数14】
【0080】この(数14)ではチップパターンに関す
るパラメータは2個であるため、オフセット分を考慮し
て、ウエハ8の各ショット領域27−nには、それぞれ
図4(b)の2個の2次元のアライメントマーク29−
n及び30−nを設けるだけで良い。また、誤差パラメ
ータは全部で8個であるため、最小自乗法を(数14)
に適用してそれら誤差パラメータの値を決定するために
は、計測する2次元のアライメントマークの個数は少な
くとも4個で良いことになる。
【0081】次に、実際に使用できるアライメントマー
クの例につき図6を参照して説明する。先ず、2次元座
標を示すアライメントマーク(2次元マーク)として
は、上述実施例で使用している十字型のアライメントマ
ーク29(これを図6(a)にも示す)の他に、L字
状、T字状、又はハの字状のマークがある。更に、所謂
2光束干渉方式のアライメント系又はレーザステップア
ライメント方式のアライメント系を用いる場合には、図
6(b)に示すような、2次元の格子パターン41も2
次元マークとなる。また、レーザステップアライメント
方式のアライメント系又は上述実施例のように撮像方式
のアライメント系を用いた場合には、図6(c)に示す
ように、X方向へのライン・アンド・スペースパターン
42X及びY方向へのライン・アンド・スペースパター
ン42Yを並列に並べたアライメントマーク43も2次
元マークとなる。
【0082】斯かる2次元マークを1つ選択すること
は、(数10)内の10個(又はそれ以下の個数でも
可)のパラメータを最小自乗法で求める際のデータとし
て、X座標分とY座標分との2つのデータが得られる。
従って、上述実施例で1つの十字型のアライメントマー
ク(例えば29−1)を選択するときには、2つの1次
元座標を示すアライメントマーク(1次元マーク)を選
択するのと等価である。但し、2次元マークを選択する
場合でも、X座標又はY座標の何れか1つの座標データ
のみを利用するようにしても良い。
【0083】また、1次元マークの内のX方向の座標を
示すマークとしては、図7(a)に示すように、X方向
へ所定ピッチで配列されたライン・アンド・スペースパ
ターン(又は回折格子マーク)42Xがあり、Y方向の
座標を示すマークとしては、図7(b)に示すように、
Y方向へ所定ピッチで配列されたライン・アンド・スペ
ースパターン(又は回折格子マーク)42Yがある。更
に、図6(b)の2次元の格子パターン41は、X方向
への1次元マークとみなすこともでき、Y方向への1次
元マークとみなすこともできる。
【0084】次に、サンプルショット及び計測するアラ
イメントマークの選択方法の他の例について詳細に説明
する。この場合、前提として露光装置では、前層の露光
工程で形成されたアライメントマークの計測結果を用い
て、EGA演算を実行する。そのため、ウエハ上の各シ
ョット領域に付設されたアライメントマークの設計上の
位置及び数は、全てのショット領域で同一である。
【0085】先ず、従来のチップパターン内の誤差を考
慮しない通常のEGA方式のアライメント方法では、6
個の誤差パラメータ(Θ,W,Rx,Ry,OX,OY)が
あるため、1次元マークに換算した場合で少なくとも6
個のアライメントマークの座標を計測する必要がある。
即ち、ウエハ上で同一直線上にない少なくとも3つの計
測点の各々でのX座標及びY座標を計測すれば良い。こ
の際、1つの計測点のX座標及びY座標は同一ショット
内のX方向の1次元マーク42及びY方向の1次元マー
クをそれぞれ計測する必要はなく、異なる2つのショッ
ト領域の一方に付設されたX方向の1次元マークと、他
方のショット領域に付設されたY方向の1次元マークと
を個別に計測し、この計測結果を用いても良い。
【0086】図8はそのようなアライメントマークの選
択方法を示し、この図8において、ウエハ8上の各ショ
ット領域44A,44B,…にはそれぞれX方向の座標
を示す1次元マーク(以下、「Xマーク」という)42
XA,42XB,…及びY方向の座標を示す1次元マー
ク(以下、「Yマーク」という)42YA,42YB,
…が付設されている。そこで、例えば6個のアライメン
トマークの座標を計測する場合には、先ず図8(a)に
示すように、3個のショット領域44A,44B及び4
4Cに付設されたYマーク42YA,42YB及び42
YCのY座標を計測し、この計測結果から3個のパラメ
ータ(Θ,Ry,OY)を求める。その後、図8(b)に
示すように、3個のショット領域44A,44B及び4
4Dに付設されたXマーク42XA,42XB及び42
XDのY座標を計測し、この結果から3個のパラメータ
(W,Rx,OX)を算出するようにしても良い。この場
合、図8(b)で使用されるショット領域44Dは、図
8(a)で使用されるショット領域44Cと異なってい
るが、差し支えは無い。
【0087】なお、異なるショット領域のXマークとY
マークとを計測して、計算上で所定の計測点でのX座標
及びY座標を算出し、この座標を用いてEGA演算を行
っても良い。次に、従来の6個の誤差パラメータの他
に、上述実施例で導入された4個の誤差パラメータ(チ
ップローテーションの回転誤差θ、直交度誤差w、チッ
プスケーリングrx、チップスケーリングry)の内か
ら選択された所定の誤差パラメータの値を求める場合の
アライメントマークの選択方法につき、図9を参照し
て、以下の場合に分けて説明する。
【0088】(1) y方向のチップスケーリングry(又
はγy)のみを算出する場合:この場合、求めるべき誤
差パラメータは7個であるため、最低で3個のXマーク
及び4個のYマークの座標を計測する必要がある。この
際、図9(a)に示すように、ショット領域44には1
個のXマーク42X及び1個のYマーク42Yの他に、
Yマーク42YとはY座標が異なる1個のYマーク46
Yが付設されている必要がある。そして、EGA計算に
使用するYマークの選択条件は、選択された1個のYマ
ーク42Yを通りX軸と平行な直線45上には無い1個
のYマーク(例えば46Y)を選択することである。但
し、その条件を満足する2個のYマークは同一ショット
領域上に存在する必要はない。
【0089】また、通常は図9(a)のようなマーク配
置は採用されず、図9(b)に示すように、各ショット
領域44に隣接するストリートライン領域にそれぞれ2
個の2次元マーク47及び48が付設されることがあ
る。この場合には、4つのYマークを第1のショット領
域の2次元マーク47のY座標と、同一又は他のショッ
ト領域の2次元マーク48のY座標とに振り分けて選択
する。
【0090】(2) チップローテーションの回転誤差θの
みを算出するとき:この場合は、最低でも3つのXマー
ク及び3つのYマークの他に、少なくとも1つのXマー
ク又はYマークの位置を計測する必要がある。最後のX
マークの選択条件は、図9(c)に示すように、既に選
択されたXマーク42Xを通りX軸に平行な直線50上
にないXマーク51Xを選択することである。また、X
マークの代わりにYマークを選択する場合には、既に選
択されたYマーク42Yを通りY軸に平行な直線49上
にないYマーク51Yを選択する必要がある。この場合
でも、上記条件を満足する2個のXマーク(又はYマー
ク)は、同一ショット領域44内に存在する必要はな
い。
【0091】(3) y方向のチップスケーリングry及び
チップローテーションの回転誤差θを算出するとき:こ
の場合には、最低でも3つのXマーク及び3つのYマー
クの他に、2つのYマーク(内1つはXマークでも可)
を選択する必要がある。また、上記の(1) 及び(2) の条
件を満たす他に、同一直線上にない3つのマークを選ぶ
必要がある。 (4) x方向のチップスケーリングrx(又はγx)のみ
を算出する場合:この場合、最低でも4個のXマーク及
び3個のYマークの座標を計測する必要がある。上記の
(1) の場合と同様に、4つのXマークの選択条件は、Y
軸と平行にならない2点を選ぶことである。
【0092】(5) 直交度誤差wのみを算出するとき:こ
の場合には、最低でも3個のXマーク及び3このYマー
クの他に、1つの例えばXマークを選択する。4つのX
マークの選択条件は、上記の(2) の場合と同様に、X軸
と平行にならない2点を選ぶことである。 (6) x方向のチップスケーリングrx及び直交度誤差w
を算出するとき:この場合、最低でも3個のXマーク及
び3個のYマークの他に、2個のXマークを選択する。
4個のXマークの選択条件は、上記の(3) 及び(4) の場
合と同様に、同一直線上にない3点を選ぶことである。
【0093】以上の説明において、チップローテーショ
ンの回転誤差θは、YマークとXマークとの何れの座標
を用いて算出してもよく、直交度誤差wも、Xマークと
Yマークとの何れの座標を用いて算出してもよい。但
し、直交度誤差wについて、上述実施例の(数7)(又
は(数9))では、Xマークを用いる形式で表現されて
いるため、上述実施例ではXマークを用いている。ま
た、以上のアライメントマークの選択条件は、同一のシ
ョット領域内での選択には限定されない。
【0094】更に、例えばチップの直交度誤差wを0で
あるとみなした場合には、(数10)で決定すべき誤差
パラメータの個数は9個になる。従って、図1のステッ
プ104で決定するパラメータの個数は9個となり、図
1のステップ103においては、それぞれX方向又はY
方向の位置を規定する9個以上の1次元のアライメント
マークの座標値を計測するだけで良い。
【0095】更に、チップの直交度誤差wを0であると
みなすと共に、チップの線形伸縮が等方性である(rx
=ry)とすると、各ショット領域27−n内には2個
のアライメントマーク(例えば29−n及び30−n)
を設けるだけでも良い。この場合、決定すべきパラメー
タは8個であるため、図1のステップ103において
は、4個以上の2次元のアライメントマークの座標値
(又は8個以上の1次元のアライメントマークの座標
値)を計測するだけで良い。
【0096】逆に、各ショット領域27−n内に4個を
超える個数のアライメントマークを設けてもよい。この
場合、アライメントマークの座標値を実測する際の計測
誤差が平均化され、また、最初にウエハ上にチップパタ
ーンを焼き付けたとき(第一層目)の、投影光学系のデ
ィストーションによるアライメントマークの設計位置か
らのずれの影響が平均化されるという利点がある。
【0097】特に、上述実施例のようにオフ・アクシス
方式のアライメント系を使用する場合と異なり、投影光
学系を介してアライメントマークを直接観察又は検出し
て位置合わせするTTL(スルー・ザ・レンズ)方式の
アライメント系を使用する場合には、アライメントマー
クの個数を多くすることにより、投影光学系のディスト
ーションによる座標値の計測誤差を軽減することができ
る。また、各ショット領域のアライメントマークの個数
をその配置を考慮して増やすことにより、チップパター
ンの回転と線形伸縮だけでなく、チップパターン内の非
線形な歪み等をも求めたりすることができる。
【0098】例えばX軸に沿って各ショット領域に3個
のアライメントマークを付設することにより、X方向の
非線形な歪みをも求めることができる。このようにアラ
イメントマークの個数を増やすことにより、チップパタ
ーンの所謂ディストーション成分(チップパターンの平
行移動、回転、倍率、直交度、台形歪、樽型歪、糸巻型
歪など)を総合的に検出することも可能である。即ち、
アライメントマークの個数を増やすことにより、誤差パ
ラメータの数を増やすことができ、誤差の発生状況をよ
り正確に把握することが可能となる。
【0099】なお、上述実施例のように、ウエハ内のシ
ョット配列誤差が線形であるものとしたアライメント方
式は、EGA方式に属するものである。更に、上述実施
例のEGA方式では、ショット領域毎のチップローテー
ションやチップ倍率(ディストーションを含む)の誤差
が同一ウエハ内では一定であるものとして、チップロー
テーションやチップ倍率誤差を求めていた。このため、
ウエハ上の局所的な配列誤差やディストーション成分の
変動(非線形性)が大きいと、上述実施例では重ね合わ
せ精度を向上させることが難しくなる。そこで、非線形
な歪みを持つウエハであっても、それらチップローテー
ションやチップ倍率誤差を良好に補正して、高精度に位
置合わせができるアライメント方式が望まれる。以下で
は、上述のEGA方式を改良してより高精度に位置合わ
せができる実施例につき説明する。このアライメント方
式は、上述実施例に特願平4−297121号で提案さ
れているアライメント方式を適用したものである。
【0100】そのような本発明の他の実施例につき図1
0を参照して説明する。本例でも図2に示す投影露光装
置を使用するが、本例では第1実施例で使用されたEG
A方式のアライメントを更に改良した、第1の重み付き
のエンハンスト・グローバル・アライメント方式(以
下、「W1−EGA方式」という)のアライメントを行
う。このW1−EGA方式のアライメントは、「規則的
な非線形歪み」に対して有効なもので、「規則的な非線
形歪みを持つ基板であっても、当該基板上の局所領域内
での配列誤差はほぼ等しい」ことに着目したものであ
る。そして、このW1−EGA方式のアライメントで
は、後述のようにサンプルショットとの距離に応じて重
み付けが行われる。
【0101】図10は本例で露光対象とするウエハ8を
示し、この図10において、ウエハ8上のi番目のショ
ット領域ESiの計算上の座標位置を決定する際、この
ショット領域ESiとm個(図10ではm=9)のサン
プルショットSA1〜SA9との間の距離LK1〜LK
9に応じて、それら9個のサンプルショット内のアライ
メントマークの計測された座標位置(アライメントデー
タ)のそれぞれに重みWinが与えられる。具体的にサン
プルショットSA1の2個のアライメントマークMA
1,MB1の計測された座標位置には、距離LK1に応
じた重みWi1が与えられる。なお、より厳密には、ショ
ット領域ESiの基準点から各サンプルショット内の各
アライメントマークまでの距離に応じて、それぞれ重み
を付すことが望ましい。また、各サンプルショットにお
いて、必ずしも2個のアライメントマークの座標を計測
する必要はない。
【0102】このW1−EGA方式では、EGA方式に
おける単なる自乗和の残留誤差成分の代わりに、次の
(数15)よりなる残留誤差成分Eiを定義する。この
(数15)において、座標値(FMNXn ,FMNYn
は、n番目のサンプルショット内のN番目のアライメン
トマークの実際に計測された座標値、座標値(FNXn
NYn )はその計算上の座標値である。
【0103】
【数15】
【0104】そして、このように定義される残留誤差成
分Eiが最小になるように(数10)を満足する10個
の誤差パラメータ(Θ,W,Γx,Γy,OX,OY,θ,
w,γx,γy)を求める。なお、ここでは各ショット
領域ESi毎に使用するサンプルショットSA1〜SA
9は同一であるが、当然に各ショット領域ESi毎に各
サンプルショットSAnまでの距離は異なる。従って、
サンプルショットSAnの座標位置(アライメントデー
タ)に与える重みWinはショット領域ESi毎に変化す
る。そして、ショット領域ESi毎に誤差パラメータ
(Θ,W,Rx,Ry,OX,OY,θ,w,rx,ry)
を決定して、先ず(数10)の変換行列A中のウエハロ
ーテーション誤差Θ、及び変換行列B中のチップローテ
ーション誤差θを補正すると共に、(数10)の変換行
列B中のチップ倍率誤差(チップスケーリングγx,γ
y)を補正する。
【0105】その後、誤差パラメータ(Θ,W,Γx,
Γy,OX,OY)よりなる要素を含む変換行列A及びOを
用いて、(数12)にウエハ8上の当該ショット領域E
Siの設計上の配列座標値を代入することにより、その
ショット領域ESiの基準点のステージ座標系(X,
Y)上での計算上の配列座標値を求める。なお、既に説
明したように、ウエハ側を回転させた場合には、改めて
計測したアライメントマークの座標に基づいて、通常の
EGA演算により配列座標値を求める。
【0106】このようにW1−EGA方式ではウエハ8
上の各ショット領域ESi毎に、各サンプルショットS
Anの座標データに対する重みWinが変化する。一例と
してその重みWinを、i番目のショット領域ESiとn
番目のサンプルショットSAnとの距離LKnの関数と
して次のように表す。但し、パラメータSは重み付けの
度合いを変更するためのパラメータである。
【0107】
【数16】
【0108】この(数16)から明かなように、i番目
のショット領域ESiまでの距離LKnが短いサンプル
ショットSAn程、そのアライメントデータに与える重
みW inが大きくなるようになっている。また、(数1
6)において、パラメータSの値が十分大きい場合、統
計演算処理の結果は上述実施例のEGA方式で得られる
結果とほぼ等しくなる。一方、ウエハ上の露光すべきシ
ョット領域ESiを全てサンプルショットSAnとし、
パラメータSの値を十分零に近づけると、各ショット領
域毎にウエハマークの位置を計測して位置合わせを行う
所謂ダイ・バイ・ダイ方式で得られる結果とほぼ等しく
なる。即ち、W1−EGA方式では、パラメータSを適
当な値に設定することにより、EGA方式とダイ・バイ
・ダイ方式との中間の効果を得ることができる。例え
ば、非線形成分が大きなウエハに対しては、パラメータ
Sの値を小さく設定することで、ダイ・バイ・ダイ方式
とほぼ同等の効果(アライメント精度)を得ることがで
き、非線形成分によるアライメント誤差を良好に除去す
ることができる。また、アライメントセンサーの計測再
現性が悪い場合には、パラメータSの値を大きく設定す
ることで、EGA方式とほぼ同等の効果を得ることがで
き、平均化効果によりアライメント誤差を低減すること
ができる。
【0109】更に、(数16)の重み付け関数を、アラ
イメントマークのX座標及びY座標について別々に用意
し、X座標とY座標とで重みWinを独立に設定すること
ができるようにしてもよい。この場合には、ウエハの非
線形歪みの程度(大小)、規則性又はステップピッチ、
即ち隣接した2つのショット領域の中心間距離(ウエハ
上のストリートラインの幅にも依るが、ほぼショットサ
イズに対応した値)がX方向とY方向とで異なっていて
も、パラメータSの値を独立に設定することで、ウエハ
上のショット配列誤差を高精度に補正することができる
ようになっている。この際、パラメータSの値は上記の
如くX座標とY座標とで異ならせるようにしても良く、
更にX座標及びY座標のパラメータSの値が同一又は異
なる場合の何れであっても、パラメータSの値は、「規
則的な非線形歪み」の大小、規則性、ステップピッチ又
はアライメントセンサーの計測再現性等に応じて適宜変
更すれば良い。
【0110】以上のことから、パラメータSの値を適宜
変更することで、EGA方式からダイ・バイ・ダイ方式
までその効果を変えることができる。従って、各種レイ
ア、更には各成分(X方向及びY方向)に対し、例えば
非線形成分の特徴(例えば大小、規則性等)、ステップ
ピッチ、アライメントセンサーの計測再現性の良否等に
応じてアライメントを柔軟に変更させ、各レイア、各成
分に対して最適な条件でアライメントを行うことができ
る。
【0111】次に、図11を参照して、第2の重み付き
のエンハンスト・グローバル・アライメント方式(以
下、「W2−EGA方式」という)のアライメント方法
につき説明する。ここでは説明を簡単にするため、ウエ
ハWに規則的に、特に点対称な非線形歪みが生じ、且つ
その点対称中心がウエハWの中心(ウエハセンター)と
一致しているものとする。
【0112】図11は本例で露光対象とするウエハ8を
示し、この図11において、ウエハ8の変形中心点(非
線形歪みの点対称中心)、即ちウエハセンターWcと、
ウエハ8上のi番目のショット領域ESiとの間の距離
(半径)をLEiとして、ウエハセンターWcとm個
(図11ではm=9)のサンプルショットSA1〜SA
9のそれぞれとの間の距離(半径)をLW1〜LW9と
する。そして、このW2−EGA方式でも、W1−EG
A方式と同様に、距離LEi及び距離LW1〜LW9に
応じて、9個のサンプルショットSA1〜SA9中のア
ライメントマークの計測された座標位置(アライメント
データ)の各々に重みWin′を与える。このW2−EG
A方式では、サンプルショット毎に2個のアライメント
マーク(MAi,MBi)を検出した後、(数15)と
同様に、残留誤差成分Ei′を次の(数17)で定義
し、その(数17)が最小となるように(数10)の誤
差パラメータ(Θ,W,Γx,Γy,OX,OY,θ,w,
γx,γy)を決定する。
【0113】
【数17】
【0114】このW2−EGA方式でもW1−EGA方
式と同様に、アライメントデータに与える重みWin′は
ショット領域ESi毎に変化するため、ショット領域E
Si毎に統計演算を行って誤差パラメータ(Θ,W,Γ
x,Γy,OX,OY,θ,w,γx,γy)を決定して、
チップローテーション、チップ直交度、チップ倍率誤差
及び計算上の配列座標値を決定することになる。
【0115】そして、ウエハW上の各ショット領域ES
i毎に、各サンプルショットに対する重みWin′を変化
させるため、(数17)における重みWin′を、ウエハ
8上のi番目のショット領域ESiとウエハセンターW
cとの距離(半径)LEiの関数として次のように表
す。但し、パラメータSは重み付けの度合を変更するた
めのパラメータである。
【0116】
【数18】
【0117】この(数18)から明かなように、サンプ
ルショットSAnからウエハセンターWcに対する距離
LWnが、ウエハセンターWcとウエハW上のi番目の
ショット領域ESiとの間の距離LEiに近いサンプル
ショット程、そのアライメントデータに与える重み
in′が大きくなるようになっている。換言すれば、ウ
エハエンターWcを中心とした半径LEiの円上に位置
するサンプルショットのアライメントデータに対して最
も大きな重みWin′が与えられ、その円から半径方向に
離れるに従ってアライメントデータに対する重みWin
が小さくなっている。
【0118】また、(数18)におけるパラメータSの
値は、W1−EGA方式と同様に要求されるアライメン
ト精度、非線形歪みの特徴(例えば大小、規則性等)、
ステップピッチ、アライメントセンサーの計測再現性の
良否等に応じて適宜定めれば良い。即ち、非線形成分が
比較的大きいときには、パラメータSの値をより小さく
設定することで、ウエハセンターWcからの距離LWn
が大きく異なるサンプルショットの影響を小さくするこ
とができる。一方、非線形成分が比較的小さいときに
は、パラメータSの値をより大きく設定することで、計
測再現性が悪いアライメントセンサー(又はレイア)に
おけるアライメント精度の低下を防止することができ
る。
【0119】更に、W2−EGA方式では、ウエハW上
の点対称中心からほぼ等距離にある複数のショット領
域、即ちその点対称中心を中心とした同一の円上に位置
する複数のショット領域の各々では、当然ながらサンプ
ルショットのアライメントデータに与える重みWin′が
同一となる。このため、その点対称中心を中心とした同
一の円上に複数のショット領域が位置している場合、何
れか1つのショット領域のみにおいて上記の重み付け及
び統計演算を行って誤差パラメータ(Θ,W,Γx,Γ
y,OX,OY,θ,w,γx,γy)を算出すれば、残り
のショット領域については先に算出した誤差パラメータ
をそのまま用いてそのチップローテーション、チップ直
交度、チップ倍率誤差及び座標位置を決定することがで
きる。これにより、計算量が減少するという利点があ
る。
【0120】ところで、W2−EGA方式に好適なサン
プルショットの配置は、非線形歪みの点対称中心、即ち
ウエハセンターWcに関して対称となるように指定する
ことが望ましく、例えばウエハセンターWcを基準とし
たX字型又は十字型等に指定すれば良い。それ以外に、
W1−EGA方式と同様の配置としても良い。また、非
線形歪みの点対称中心がウエハセンターWc以外の場合
には、その点対称中心を基準としたX字型又は十字型の
配置とすればよい。また、誤差パラメータの値を決定す
るに際しては、(数18)に示す重み付け関数をX方向
及びY方向の各々で独立に設定するようにしても良い。
また、アライメントマーク毎に重み付け関数を独立に設
定してもよいことは言うまでもない。
【0121】なお、W1−EGA方式及びW2−EGA
方式では、チップパターンに関する4個の誤差パラメー
タ(θ,w,rx,ry)を基に回転誤差や倍率誤差を
補正するときには、各ショット領域毎に求められるそれ
らパラメータを用いて各ショット領域毎に補正を行って
も良い。又は、ショット領域毎に求められる1組のパラ
メータを平均化して1組のパラメータを求め、このパラ
メータに基づいてウエハ全体として1回だけ補正を行う
ようにしても良い。更に、ウエハを複数のブロックに分
け、各ブロック毎に補正を行うようにしても良い。ま
た、W2−EGA方式では、点対称の中心に対して同心
円上に位置するショット領域では、ショット領域毎にパ
ラメータを求める必要はなく、何れか1つのショット領
域について求めたパラメータを使用するようにしても良
い。
【0122】また、本発明はステップ・アンド・リピー
ト方式の露光装置(例えば縮小投影型のステッパーや等
倍投影型のステッパー)のみならず、所謂ステップ・ア
ンド・スキャン露光方式の露光装置、又はプロキシミテ
ィタイプのステッパー(X線露光装置等)等にも広く適
用できるものである。また、露光装置以外でも半導体ウ
エハや複数のチップパターンを有するレチクル等を検査
する装置(欠陥検査装置、プローバ等)で、各チップ毎
にステップ・アンド・リピート方式で検査視野やプロー
ブ針等の基準位置に対して位置合わせする装置において
も、本発明を同様に適用することができる。
【0123】なお、ステップ・アンド・スキャン露光方
式の露光装置を始めとする走査型の露光装置で上述のア
ライメント方法を適用する場合には、上述の実施例で求
めた座標位置に所定のオフセット(パターンサイズ、レ
チクル及びウエハの助走区間等に応じて一義的に定まる
値)を加えた位置にウエハを位置決めしてから、走査露
光を行うことになる。
【0124】このように、本発明は上述実施例に限定さ
れず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取
り得る。
【0125】
【発明の効果】本発明によれば、被処理基板上の複数の
ショット領域の基準位置全てに対して、位置合わせの誤
差が平均的に小さくなると同時に、それらショット領域
上のチップパターン全てに対してマスクのパターン像と
の重ね合わせの誤差が平均的に小さくなる。従って、各
ショット領域に転写されるチップパターン自体の伸縮や
回転などの影響を小さく抑え、基板上の各ショット領域
のチップパターンとマスクのパターンの投影像とをより
高精度に重ね合わせることができる利点がある。これに
より、1枚の被処理基板から取れる良品チップの数が多
くなり、半導体素子等のチップの生産性を向上すること
ができる。
【0126】また、被処理基板上の幾つかのショット領
域について、それに属する位置合わせ用のマークの位置
を実測している、即ち同じ形状の位置合わせ用のマーク
を使った位置計測が複数回繰り返されるので、検出系の
機械的又は電気的なランダムな誤差が低減される利点も
ある。また、各ショット領域に2個以上の2次元の位置
合わせ用のマークを設定し、予め選択された少なくとも
4個以上の位置合わせ用のマークの座標位置を計測する
ようにした場合には、各ショット領域の配列座標の他
に、各ショット領域内のチップパターンの2個の線形誤
差(チップローテーション及び等方的なチップスケーリ
ング等)を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による位置合わせ方法の一実施例が適用
されたアライメント動作及び露光動作を示すフローチャ
ートである。
【図2】その実施例のアライメント動作及び露光動作が
実施される投影露光装置の一例を示す構成図である。
【図3】図2の指標板上のアライメントマークの像を示
す拡大図である。
【図4】(a)は実施例のウエハ上のショット領域の配
列の一例を示す平面図、(b)は図4(a)内のショッ
ト領域を示す拡大平面図である。
【図5】(a)はチップパターンの回転誤差及びチップ
倍率の誤差を含んだウエハの一例を示す平面図、(b)
はチップローテーション誤差の説明図、(c)はチップ
倍率誤差の説明図である。
【図6】2次元座標を示すアライメントマークの例を示
す図である。
【図7】1次元座標を示すアライメントマークの例を示
す図である。
【図8】通常のEGA方式でアライメントを行う場合の
アライメントマークの選択例を示す説明図である。
【図9】実施例の方式でアライメントを行う場合のアラ
イメントマークの選択例を示す説明図である。
【図10】本発明の他の実施例においてW1−EGA方
式のアライメントが行われるウエハ上のショット配列を
示す平面図である。
【図11】本発明の他の実施例においてW2−EGA方
式のアライメントが行われるウエハ上のショット配列を
示す平面図である。
【符号の説明】
1 照明光学系 2 レチクル 6 主制御系 7 投影光学系 8 ウエハ 10 ウエハステージ 12 レーザー干渉計 14 結像特性制御装置 15 オフ・アクシスのアライメント系 27−1〜27−5,27−n ショット領域 28−1〜28−5,28−n 基準点 29−1〜29−3,29−n アライメントマーク 30−1〜30−3,30−n アライメントマーク 34−1〜34−3,34−n アライメントマーク 35−1〜35−3,35−n アライメントマーク
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年7月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0103
【補正方法】変更
【補正内容】
【0103】
【数15】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に配列されマスク上のパターンが
    転写される複数のショット領域の各々を、前記基板の移
    動位置を規定する静止座標系内の所定の転写位置に対し
    て位置決わせするに当たって、前記複数のショット領域
    の内、予め選択された複数のショット領域の前記静止座
    標系上における座標位置を計測し、該計測された複数の
    座標位置を統計演算することによって、前記基板上の複
    数のショット領域の各々の前記静止座標系上における座
    標位置を算出し、該算出された複数のショット領域の各
    々の座標位置に従って前記基板の移動位置を制御するこ
    とによって、前記複数のショット領域の各々を前記転写
    位置に対して位置合わせする方法において、 前記各ショット領域内の基準位置に対してそれぞれ設計
    上一定の相対位置関係で配置された複数個の位置合わせ
    用のマークの内、1次元座標を示すマークに換算した場
    合で、少なくとも7個の前記位置合わせ用のマークを選
    択し、該選択された位置合わせ用のマークの前記静止座
    標系上における座標位置を計測する第1工程と、 該第1工程で計測された前記静止座標系上における座標
    位置を統計処理することにより、前記各ショット領域内
    の前記基準位置の設計上の配列座標及び前記基準位置に
    対する前記位置合わせ用のマークの設計上の相対配列座
    標から、前記第1工程で計測された前記静止座標系上の
    座標位置を算出するための変換パラメータを求める第2
    工程と、 前記変換パラメータの内、前記基準位置に対する前記位
    置合わせ用のマークの設計上の相対配列座標に関する変
    換パラメータに基づいて、前記マスクと前記基板との相
    対回転角と、前記マスクのパターンと前記基板上のショ
    ット領域との相対的な形状誤差との少なくとも一方を補
    正する第3工程と、を有し、 前記第2工程で算出された変換パラメータを用いて、前
    記各ショット領域内の前記基準位置の設計上の配列座標
    から計算された前記静止座標系上の配列座標に従って前
    記基板の移動位置を制御することによって、前記複数の
    ショット領域の各々を前記転写位置に対して位置合わせ
    することを特徴とする位置合わせ方法。
  2. 【請求項2】 前記各ショット領域内の基準位置に対し
    てそれぞれ設計上一定の相対位置関係で2個以上のそれ
    ぞれ2次元座標を示す位置合わせ用のマークが配置さ
    れ、前記第1工程において、前記2次元座標を示す位置
    合わせ用のマークの内、予め選択された少なくとも4個
    の位置合わせ用のマークの前記静止座標系上における座
    標位置を計測することを特徴とする請求項1記載の位置
    合わせ方法。
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