JPH0627309Y2 - 工作機械のパレット交換装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は工作機械のパレット交換装置に関する。

〔従来の技術〕

従来から、工作機械にパレット交換装置を組み込むこと
が実施されている。パレット交換装置を有する工作機械
では、ワークを個別にパレットに取りつけておき、ワー
クの交換をパレット毎に実施するようになっている。こ
のようなワーク及びパレットの交換のために、工作機械
の正面にパレットストッカを配置し、パレットストッカ
上のパレットに次に使用するワークを取りつけて準備し
ておき、工作機械の加工作業終了とともにテーブル上の
加工済のワークを載置したパレットと、パレットストッ
カに準備したワーク付きパレットとを短時間で交換する
ことができるようになっている。

テーブルとパレットストッカとの間でパレットを交換す
るために、パレット交換アームを使用することは公知で
ある。例えば、特開昭63-62633号公報に記載された工作
機械のパレット交換装置では、ほぼ水平に延びるパレッ
ト交換アームを設け、パレット交換アームをパレットの
下面に係合させ上昇動作することによってパレットを持
ち上げてテーブル及びパレットストッカからそれぞれ抜
き取り、それから180度旋回して持ち上げたパレットを
テーブルとパレットストッカとの間で交換させ、そして
下降動作することによってパレットをテーブルとパレッ
トストッカにそれぞれ係合させるようになっている。パ
レット交換アームは工作機械のベッドに取りつけた基台
によって支持され、この基台に昇降用油圧シリンダ及び
旋回用油圧シリンダが配置されるようになっている。あ
るいは床面に固定した基台にパレット交換アームが支持
されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記したように、従来のパレット交換装置では、パレッ
ト交換アームが床面に固定した基台あるいはベッドに取
りつけた基台によって支持され、この基台に昇降用及び
旋回用油圧シリンダが配置され、そのような基台や昇降
用及び旋回用油圧シリンダの関連部品がパレットストッ
カの下方にあった。しかし、パレットストッカは上記し
たように次に使用するワークを取りつけたパレットを準
備しておき、且つ使用済のワークを取りつけたパレット
を取り外すために設けられたものであり、オペレータは
常にパレットストッカの近くで作業を行うところである
が、基台や昇降用及び旋回用油圧シリンダがパレットス
トッカの下方にあると、そのような部品が出っ張ってオ
ペレータの行動と干渉し、オペレータが自由に作業を行
い難い場合があるという問題があった。また、そのよう
な基台や昇降用及び旋回用油圧シリンダがパレットスト
ッカの下方にあると、パレットストッカの下方の空間を
その他の目的、たとえばパレットに取り付けるワーク自
動フィックスチャの油圧供給装置を収納したりするのに
有効に利用することができなくなるという問題があっ
た。

〔課題を解決するための手段〕

本考案による工作機械のパレット交換装置は、パレット
交換アームの上部に梁を含む骨組構造を設け、パレット
交換アームに固定したアーム軸を骨組構造の梁に昇降お
よび旋回自在に軸支し、梁に昇降および旋回のアクチュ
エータを設けて構成したものである。詳述すると、工作
機械のベッド上に設けたテーブルと、該テーブルに近接
して配置されるパレットストッカと、前記テーブルと前
記パレットストッカとの間の上方に位置し梁を含む骨組
構造と、該骨組構造の梁に昇降自在でかつ昇降軸線まわ
りで旋回自在に軸支され、下方に伸びたアーム軸と、該
アーム軸の下部に固着され前記テーブルと前記パレット
ストッカとの間でパレットを交換するパレット交換アー
ムと、前記アーム軸を昇降させる前記骨組構造の梁に設
けた第１のアクチュエータと、前記アーム軸をその軸線
まわりで旋回させる前記骨組構造の梁に設けた第２のア
クチュエータとを備えたものである。

〔作用〕

上記構成において、パレット交換アームはその上方の梁
に軸支されるアーム軸に固定されており、パレット交換
時には第１のアクチュエータによってアーム軸及びパレ
ット交換アームを持ち上げ、テーブル及びパレットスト
ッカから抜き取る。それから第２のアクチュエータによ
ってアーム軸及びパレット交換アームを旋回してテーブ
ルとパレットストッカとの間でパレットを交換し、第１
のアクチュエータによってアーム軸及びパレット交換ア
ームを降下させるとパレットがテーブル及びパレットス
トッカ上に支持されるようになる。

〔実施例〕

以下本考案の実施例について図面を参照して説明する。

第２図及び第３図を参照すると、工作機械はベッド１０
と、コラム１２と、コラム１２に取りつけられた主軸頭
１４と、主軸１６と、テーブル１８と、パレット交換用
のパレットストッカ２０とを含む。この実施例において
は、主軸１６は横型に配置され、主軸頭１４は公知のス
ライドガイド機構によってコラム１２に対して上下方向
（Ｙ方向）に移動可能に取りつけられる。コラム１２は
スライドガイド機構によって工作機械の正面（第１図）
から見てベッド１０上を左右方向（Ｘ方向）に移動可能
であり、テーブル１８はベッド１０上を前後方向（Ｚ方
向）に移動可能である。従って、主軸１６はテーブル１
８に対してＸ，Ｙ，Ｚの３方向に相対移動可能である。
さらに、主軸１６の左側には自動工具交換装置の工具マ
ガジン２２が配置され、主軸１６の右側にはＮＣ装置２
４が配置される。

テーブル１８上面には４箇所テーパーコーン（図示せ
ず）が設けられており、ワークを取りつけたパレットＰ
には対応する凹部が形成されているので、パレットＰを
テーブル１８に置くだけでパレットＰが所定の位置に精
度よく支持されるようになっている。テーブル１８は、
上記したように前後方向（Ｚ軸方向）に移動可能であ
り、よって加工作業のために主軸１６に対して相対移動
を行うとともに、パレット交換時には第３図の二点鎖線
で示したパレットＰの位置（以後パレット交換位置と言
う）に移動可能である。第１図はテーブル１８がパレッ
ト交換位置にあるころを示している。パレットストッカ
２０にも同様のテーパーコーン（図示せず）が設けられ
ており、次に使用すべきパレットＰを載置しておくこと
ができる。また、パレットＰ上にはワークの自動フィッ
クスチャ装置を装着することができ、その油圧配管をテ
ーブル１８及びパレットストッカ２０にそれぞれの下部
から行う構成にすることがある。

第３図及び第１図を参照すると、パレット交換アーム２
６はパレットストッカ２０とパレット交換位置にあるテ
ーブル１８のほぼ上面に沿った高さで水平も設けられて
いる。パレット交換アーム２６は垂直なアーム軸２８の
下部に固着され、アーム軸２８を中心とし左右にパレッ
トつかみ部を有するダブルグリッパ構造となっている。
第１図及び第２図から分かるように、アーム軸２８は上
方に延びている。

各アーム端部には第３図の平面図を見て外端が開口した
コの字形のパレットつかみ部26ａが設けられている。各
パレットＰの底面側部にはパレット交換アーム２６のパ
レットつかみ部26ａと係合可能な受座３０が形成され
る。従って、テーブル１８が加工位置からパレット交換
位置に移動するときに、テーブル１８に支持されたパレ
ットＰの受座３０がパレット交換アーム２６のパレット
つかみ部26ａと係合可能な位置にもたらされることがで
き、その後でパレット交換アーム２６を上昇させるとパ
レットＰが持ち上がるようになっている。

第１図及び第２図に参照すると、工作機械のベッド１０
から上向きに枠組柱３２が立てられ、枠組柱３２の上端
部にはベッド１０の両側部上方に沿って前後方向に延び
る梁３４が取りつけられ、この前後方向の梁３４に対し
て左右方向に延びる梁３６が取りつけられる。アーム軸
２８が支持駆動機構３８を介してこの左右方向の梁３６
に支持される。なお、アーム軸２８の最下端部４０はベ
ッド１０から延びるソケット４２に嵌められ、上部で支
持され且つ旋回されるアーム軸２８の振れ止めの作用を
するようになっている。

アーム軸２８の支持駆動機構３８は左右方向の梁３６に
固定された支持ブロック４４を有し、アーム軸２８は支
持ブロック４４内を通過するとともに軸受４６によって
回転及び摺動可能に支持される。第１のアクチュエータ
として、支持ブロック４４には油圧シリンダ４８が取り
つけられ、油圧シリンダ４８内に挿入したピストン５０
にアーム軸２８の上端部が固定される。油圧供給ポート
52，54が油圧シリンダ４８内のピストン５０の上下に接
続される。従って、図示しない油圧源から油圧供給ポー
ト52，54の一方に油圧を供給することによって、アーム
軸２８を昇降させることができる。

支持ブロック４４には歯車室５６が形成され、アーム軸
２８にキー固定されたピニオンギヤ５８がこの歯車室５
６に配置される。ピニオンギヤ５８がアーム軸２８とと
もに昇降するのにかかわらず、ラック６０がこのピニオ
ンギヤ５８と係合して配置され、ラック６０を第１図の
紙面に垂直な方向に駆動することによってピニオンギヤ
５８及びアーム軸２８を回転させることができる。第２
アクチュエータとして、支持ブロック４４の側部に油圧
シリンダ６２が取りつけられる。油圧シリンダ６２のピ
ストンロッド６４は第１図の紙面に垂直な方向に動くこ
とができ、リンク（図示せず）を介してラック６０に連
結され、ラック６０及びピニオンギヤ５８を介してアー
ム軸２８を回転させることができるようになっている。

なお、アーム軸２８の下方位置は通常は油圧シリンダ４
８内の油圧によって規定されるが、非使用状態において
油圧シリンダ４８内の油圧がなくなった場合には上記ア
ーム軸２８の最下端部４０がソケット４２に支持され、
或いはピニオンギヤ５８の下面が支持ブロック４４に支
持されるようになっている。

以上の構成において、工具交換時には、まず油圧シリン
ダ４８によってアーム軸２８を上昇させ、よってパレッ
ト交換アーム２６を上昇させるとパレットＰがそれぞれ
テーブル１８及びパレットストッカ２０から外れる。次
いで油圧シリンダ６２によってアーム軸２８を180度旋
回し、前にパレットストッカ２０上に準備しておいたパ
レットＰをテーブル１８上に位置させ、且つテーブル１
８上にあった加工済のパレットＰをパレットストッカ２
０上に位置させる。そこで油圧シリンダ４８によってア
ーム軸２８とともにパレット交換アーム２６を下降させ
るとパレットＰがそれぞれテーブル１８及びパレットス
トッカ２０に係合する。この状態から、パレットＰとと
もにテーブル１８を加工位置に移動させ、工作機械の加
工作業を行うことができる。このときに、テーブル１８
側のパレットつかみ部26ａは空になっており、加工作業
を終了したパレットＰをいつでもパレット交換位置に移
動させることができる。一方、パレットストッカ２０上
のパレットＰはオペレータによって加工済のワークが取
り外されて、次に加工するワークがパレットＰ上に準備
される。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案によれば、テーブルとパレ
ットストッカとの間でパレットを交換するためのパレッ
ト交換アームを、該パレット交換アームの上方に位置す
る梁に回転及び上下動自在に軸支されるアーム軸の下部
に固定し、アーム軸を昇降させる第１のアクチュエータ
と旋回させる第２のアクチュエータとを備えた構成とす
ることにより、これらのアクチュエータ及びアーム軸を
パレットストッカの上方に配置することができる。よっ
てパレットストッカの下方に自由な空間を形成すること
ができて、オペレータがパレットストッカにおいて作業
しやすくなるばかりでなく、例えばパレット上に装着す
るワーク自動フィックスチャ装置の油圧配管スペースの
確保、切削油タンク或いは切り屑除去装置等の周辺装置
を効率的に配置できるようになり、機械全体をコンパク
トにまとめることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるパレット交換装置で第２図の矢印
Ｉから見た部分断面図、第２図は第３図の矢印IIから見
た本考案の工作機械の正面図、第３図は第２図の工作機
械の平面図である。 １６…主軸、１８…テーブル、 ２０…パレットストッカ、 ２６…工具交換アーム、２８…アーム軸、 ３２…枠組柱、34，36…梁、 48，62…油圧シリンダ、５８…ピニオンギヤ、 ６０…ラック。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】工作機械のベッド上に設けたテーブルと、
   該テーブルに近接して配置されるパレットストッカと、
   前記テーブルと前記パレットストッカとの間の上方に位
   置し梁を含む骨組構造と、該骨組構造の梁に昇降自在で
   かつ昇降軸線まわりで旋回自在に軸支され、下方に伸び
   たアーム軸と、該アーム軸の下部に固着され前記テーブ
   ルと前記パレットストッカとの間でパレットを交換する
   パレット交換アームと、前記アーム軸を昇降させる前記
   骨組構造の梁に設けた第１のアクチュエータと、前記ア
   ーム軸をその軸線まわりで旋回させる前記骨組構造の梁
   に設けた第２のアクチュエータとを備えた工作機械のパ
   レット交換装置。