JPH06272826A - ガス燃料用バーナ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガスタービン排気のような低酸素ガスを燃焼
用ガスとするガス焚きバーナにおいて安定した着火，火
炎を得ること。 【構成】 １） 燃料ノズルの燃料噴出口の一部を内向きに傾斜さ
せることにより、軸心部の保炎器の後流部にガス燃料を
強制的に供給し、リングフレームの安定形成を図る。 ２） ガス燃料ノズル（３）のすぐ後流部で保炎器
（２）の外周に接して保炎ホルダ（１４）を設けること
により、保炎ホルダ（１４）の背後に負圧を発生させ
る。この負圧に燃焼火炎の一部が引込まれ、各保炎ホル
ダ（１４）に着火してそれが火種となり、保炎器（２）
全体に伝播して良好な燃焼火炎を形成する。ガスタービ
ンが停止するなどして、通常の空気等で燃焼させる時
は、保炎ホルダ（１４）をガス燃料ノズル（３）の中間
位置まで回転移動させるとともに、軸線方向にも後退さ
せる。これにより、保炎ホルダ（１４）の影響をなく
し、着火火炎が必要以上に増大しないようにして、保炎
器（２）の過熱・焼損を防ぐ。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は工業用のガス焚バーナに
関する。

【０００２】

【従来の技術】図８は従来のガス焚バーナの一例を示す
正面図、図９は図８のIX−IX縦断面図である。これらの
図において、（１）は一次空気ノズル、（２）は保炎
器、（３）はガス燃料ノズル、（４）は保炎器支持管、
（５）は燃料ヘッダ、（６）は燃料分岐管、（７），
（７ａ），（７ｂ）は一次空気（燃焼用ガス）、
（８），（８ａ），（８ｂ）はガス燃料、（９）は燃料
噴出孔、（１０）はリングフレーム、（１１）は燃焼火
炎、（１２）は炉内をそれぞれ示す。ガス燃料（８）
は、燃料ヘッダ（５）燃料分岐管（６）を介してガス燃
料ノズル（３）に供給される。ガス燃料ノズル（３）は
バーナの中心軸線と同心の円周上に複数個配設され、バ
ーナ中心軸線に対しやや外向きのガス燃料噴出孔（９）
がそれぞれ複数個穿孔されている。

【０００３】燃料ノズル（３）に供給されたガス燃料
（８）は、燃料噴出孔（９）と同軸方向に噴出するガス
燃料（８ａ）と保炎器（２）の効果により内向きに噴出
するガス燃料（８ｂ）とに分かれ、炉内（１２）に供給
される。一方一次空気（７）は、一次空気ノズル（１）
からバーナ中心軸線に平行に噴出する一次空気（７ａ）
と保炎器（２）後流側に巻き込まれる一次空気（７ｂ）
となり、炉内（１２）に供給されて前述のガス燃料
（８）と拡散混合する。このような状態で図示していな
い点火源により着火させると、リングフレーム（１０）
および燃焼火炎（１１）を形成する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前記従来のガス燃料用
バーナには、次のような解決すべき課題があった。 １） ＣＯ₂ 削減およびエネルギ有効利用の方法とし
て、ガスタービン排気を燃焼用ガスとして用いる再燃ボ
イラが検討されているが、ガスタービン排気中の酸素濃
度は１２〜１８％であり、通常の燃焼用空気に比べて極
めて低濃度である。一方、バーナが安定した燃焼火炎を
保持するためには、保炎器の背部に安定したリングフレ
ームを形成させる必要がある。ところが、ガス燃料とし
て発熱量が低いものを用いたり、あるいは燃焼用ガスを
空気に代えて酸素濃度の低い上記のガスタービン排気等
に変更したりすると、リングフレームの安定形成が難し
くなり、燃焼火炎の自己保炎が不可能となる。

【０００５】２） 燃焼用ガスとしてガスタービン排気
を用いるボイラにおいても、ガスタービンの休止中やタ
ービントリップ時には、ボイラ単独運転となるから、バ
ーナへ供給する燃焼用ガスはガスタービン排気から空気
に変更される。このような酸素濃度の幅が広い燃焼用ガ
ス（空気も含む）を用いる場合、従来バーナでは次の問
題がある。

【０００６】まず、酸素濃度の低い燃焼用ガスを用いる
場合は、バーナ容量に見合った酸素量を得るために、バ
ーナに供給される燃焼用ガス流量が増加し保炎器とガス
ノズルの間を通過する流速が速くなる。そうすると、燃
焼火炎が保炎器に着火しようとする力よりも吹き飛ばさ
れる力の方が強くなり、安定した着火，火炎が得られな
い。

【０００７】保炎器を拡大し噴射ノズルに近づけること
により安定した着火，火炎を得ることはできるが、そう
すると今度は、酸素濃度の高い燃焼用ガスを用いた時に
保炎器への着火火炎が必要以上に増大し、メタル温度の
上昇により保炎器が焼損する。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、前記従来の課
題を解決するために、次のようなガス燃料用バーナを提
案するものである。 １） バーナの軸線と同心の円周上に複数のガス燃料ノ
ズルが配設され、同ガス燃料ノズルに上記軸線に対して
内向きの燃料噴出口と複数の外向きの燃料噴出口が穿孔
されたことを特徴とするガス燃料用バーナ。

【０００９】２） バーナの先端に設けられた保炎器
と、上記バーナの軸線と同心の円周上に配設された複数
のガス燃料ノズルと、上記保炎器の外方に近接して上記
ガス燃料ノズルと同数配設され、円周方向および軸線方
向に移動可能な保炎ホルダとを具えたことを特徴とする
ガス燃用バーナ。

【００１０】

【作用】

１） 前記解決手段１）によれば、バーナの軸線に対し
て内向きの燃料噴出口から、ガス燃料の一部が保炎器の
直ぐ後流部に強制的に供給されるので、リングフレーム
が安定して形成される。

【００１１】２） また前記解決手段２）の場合、酸素
濃度の低い燃焼用ガスを用いる時には、バーナ軸線方向
には保炎器の外周に接する位置、また円周方向にはガス
燃料ノズルが有る角度位置に、複数個の保炎ホルダを固
定し、保炎器とガスノズル間を高速で通過中の燃焼用ガ
スをこれに衝突させる。衝突拡散した燃焼用ガスは、保
炎ホルダ後流側に負圧を発生させる。この負圧に燃焼火
炎の一部が引込まれ、それぞれお保炎ホルダに着火して
それが火種となり、保炎器全体に伝播して良好な燃焼火
炎を形成する。

【００１２】また酸素濃度の高い燃焼用ガスを用いる時
には、保炎ホルダを円周方向に各ガス燃料ノズルの中間
位置まで回転させるとともに、軸線方向にはバーナ上流
方向に引込める。これにより保炎器は従来のバーナと同
様，保炎ホルダの影響を受けず、適正な着火，火炎を保
持する。

【００１３】

【第１実施例】図１は本発明の第１実施例を示す正面
図，図２は図１のII−II縦断面図，図３は図１の III−
III 縦断面図である。これらの図において、前記図８お
よび図９により説明した従来のものと同様の部分につい
ては、冗長になるのを避けるため、同一の符号を付け詳
しい説明を省く。

【００１４】本実施例においては、図３に示されるよう
に、ガス燃料ノズル（３）の一部のガス燃料噴出孔（１
３）がバーナの中心軸線に対し内向きとなるよう穿孔さ
れている。このガス燃料噴出孔（１３）から噴出するガ
ス燃料（８ｃ）は、保炎器（２）の直ぐ後流部に供給さ
れ、一次空気（７ｂ）と拡散混合して安定したリングフ
レーム（１０）を形成する。

【００１５】

【第２実施例】図４は本発明の第２実施例において、酸
素濃度の低い燃焼用ガスを用いる時の正面図、図５は図
４のＶ−Ｖ縦断面図、図６は同じく第２実施例におい
て、酸素濃度の高い燃焼用ガスを用いる時の正面図、図
７は図６の VII−VII 縦断面図である。これらの図にお
いても、前記と同様の部分については、同一の符号を付
け詳しい説明を省く。

【００１６】本実施例では、バーナ先端の保炎器（２）
の外方に近接して円周方向および軸線方向に移動できる
複数（ガス燃料ノズル（３）と同数，図示例では６）の
保炎ホルダ（１４）とその保炎ホルダ（１４）を移動さ
せる駆動軸（１５）が設けられる。

【００１７】一次空気ノズル（バーナスロート）（１）
内を高速で通過させる必要のある酸素濃度の低い燃焼用
ガスを用いる時は、図４および図５に示されるように、
燃焼用ガス（７）は保炎器（２）及び同保炎器（２）の
外方に近接して設けられている複数の保炎ホルダ（１
４）と衝突し、それぞれの後流側で負圧を発生する。一
方ガス燃料（８）は、ガス燃料ノズル（３）から噴射さ
れた後、燃焼用ガス（７）と混合拡散燃焼し、その一部
は保炎ホルダ（１４）背後の負圧に引込まれ着火保炎す
る。それが火種となり保炎器（２）全体に伝播して良好
な燃焼火炎（１１）を形成する。

【００１８】また高酸素濃度で流速が遅い燃焼用ガスを
用いる時は、図６および図７に示されるように、駆動軸
（１５）により、保炎ホルダ（１４）を円周方向に約３
０°回転させて各ガス燃料ノズル（３）の中間に位置さ
せるともに、さらにバーナ上流側軸線方向に引込める。
そうすると、いわゆる従来のバーナ形式と同様になって
保炎ホルダ（１４）の影響を受けないから、燃焼用ガス
の流速は遅くなり、保炎器（２）の焼損原因となる過度
な着火火炎をさけることができる。

【００１９】

【発明の効果】本発明によれば、酸素濃度の極めて低い
ガスタービン排気から空気までを燃焼用ガスとして用い
るバーナにおいても、良好な着火，火炎を形成できるか
ら、酸素濃度の範囲が広い燃焼用ガスの運用が可能とな
った。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の第１実施例を示す正面図であ
る。

【図２】図２は図１のII−II縦断面図である。

【図３】図３は図１の III−III 縦断面図である。

【図４】図４は本発明の第２実施例において、酸素濃度
の低い燃焼用ガスを用いる時の正面図である。

【図５】図５は図４のＶ−Ｖ縦断面図である。

【図６】図６は上記第２実施例において、酸素濃度の高
い燃焼用ガスを用いる時の正面図である。

【図７】図７は図６の VII−VII 縦断面図である。

【図８】図８は従来のガス燃料用バーナの一例を示す正
面図である。

【図９】図９は図８のIX−IX縦断面図である。

【符号の説明】

（１） 一次空気ノズル （２） 保炎器 （３） ガス燃料ノズル （４） 保炎器支持管 （５） 燃料ヘッダ （６） 燃料分岐管 （７），（７ａ），（７ｂ） 一次空気（燃焼用ガ
ス） （８），（８ａ），（８ｂ） ガス燃料 （９），（１３） 燃料噴出孔 （１０） リングフレーム （１１） 燃焼火炎 （１２） 炉内 （１４） 保炎ホルダ （１５） 駆動軸

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大栗 正治 長崎市深堀町５丁目717番地１ 長菱エン ジニアリング株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 バーナの軸線と同心の円周上に複数のガ
   ス燃料ノズルが配設され、同ガス燃料ノズルに上記軸線
   に対して内向きの燃料噴出口と複数の外向きの燃料噴出
   口が穿孔されたことを特徴とするガス燃料用バーナ。
2. 【請求項２】 バーナの先端に設けられた保炎器と、上
   記バーナの軸線と同心の円周上に配設された複数のガス
   燃料ノズルと、上記保炎器の外方に近接して上記ガス燃
   料ノズルと同数配設され、円周方向および軸線方向に移
   動可能な保炎ホルダとを具えたことを特徴とするガス燃
   料用バーナ。