JPH06271739A - 面衝撃強度の優れた高剛性難燃性樹脂組成物 - Google Patents

面衝撃強度の優れた高剛性難燃性樹脂組成物

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JPH06271739A
JPH06271739A JP6380893A JP6380893A JPH06271739A JP H06271739 A JPH06271739 A JP H06271739A JP 6380893 A JP6380893 A JP 6380893A JP 6380893 A JP6380893 A JP 6380893A JP H06271739 A JPH06271739 A JP H06271739A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 面衝撃強度、剛性、難燃性、耐熱性、及び流
動性の優れた芳香族ビニル系樹脂組成物の提供。 【構成】 (A)ゴム変性芳香族ビニル樹脂、(B)芳
香族ビニル単位ブロックと共役ジエン単位ブロックから
なる芳香族ビニル系熱可塑性エラストマ−、及び(C)
難燃剤を含有する樹脂組成物であって、該(B)芳香族
ビニル系熱可塑性エラストマ−の数平均分子量が4万〜
11万であり、かつ(B)成分中の共役ジエン単位ブロ
ックの不飽和結合の少なくとも90モル%が水素添加さ
れていることを特徴とする面衝撃強度の優れた高剛性難
燃性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は面衝撃強度の優れた難燃
性樹脂組成物に関する。更に詳しくは、面衝撃強度、剛
性、難燃性、耐熱性、及び流動性の優れた芳香族ビニル
系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ビニル系樹脂は、寸法安定性、成
形性に優れることに加え、剛性、電気絶縁性に優れてい
ることから、自動車部品、家電部品、OA機器部品を始
めとする多岐の分野で使用されているが、芳香族ビニル
系樹脂の易燃性のためにその用途が制限されている。
【0003】芳香族ビニル系樹脂の難燃化の方法として
は、ハロゲン系、リン系、無機系の難燃剤を芳香族ビニ
ル系樹脂に添加することが知られており、それによりあ
る程度難燃化が達成されている。しかしながら、近年火
災に対する安全性の要求がとみにクロ−ズアップされ、
家電製品、OA機器等に対する米国UL(アンダ−ライ
タ−ズ・ラボラトリ−)垂直法燃焼試験の規制が年とと
もに厳しくなってきた事や、軽量化、経済性向上の為、
製品、部品の肉厚が薄くなってきたことで、燃焼時に火
種が滴下し、このため他の製品や部品を損傷するといっ
たことが起こる様になり、この火種の落下を防止する技
術、いわゆるドリップ防止技術の開発が強く望まれてき
ている。ドリップ防止技術としては難燃剤を増量する方
法が知られているが、元来高価な難燃剤を大量に使用す
ることは経済的でないだけでなく有毒ガスの発生や機械
的性質、特に製品の梱包落下時の実用強度として重要な
面衝撃強度の低下を助長するために好ましくない。
【0004】また、家電部品の薄肉化や家電部品の大型
化の必要性が生じた場合には、従来以上に剛性が要求さ
れる。しかしながら、剛性を向上させるためにゴム量を
削減すると衝撃強度、特に面衝撃強度の低下が著しく、
二律背反の技術的制約があった。芳香族ビニル系樹脂の
衝撃強度を向上させる方法として、熱可塑性エラストマ
−を添加することが知られている。例えば、特開平4−
359044号公報には、(ア)ゴム変性スチレン系樹
脂、(イ)共役ジエンとビニル芳香族炭化水素とのブロ
ック共重合体(共役ジエンが40〜90)、(ウ)ハロ
ゲン化合物、(エ)三酸化アンチモン、及び(オ)フェ
ノ−ル系化合物からなる難燃性ゴム変性スチレン系樹脂
組成物が開示されている。しかしながら、該公報の樹脂
組成物は難燃性は優れているものの、衝撃強度、特に面
衝撃強度が劣り工業的使用が狭められる。また、該公報
には、特定量の分子量、共重合組成の芳香族ビニル系熱
可塑性エラストマ−の配合により面衝撃強度が著しく向
上し、流動性、剛性及び耐熱性のバランス特性が向上す
ることが開示されていないし、暗示さえされていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑み、上記のような問題点のない、即ち面衝撃強
度、剛性、難燃性、耐熱性及び流動性の優れた芳香族ビ
ニル系樹脂組成物の提供を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは芳香族ビニ
ル系樹脂の面衝撃強度の改良技術を鋭意検討した結果、
(A)ゴム変性芳香族ビニル樹脂、(B)特定の芳香族
ビニル系熱可塑性エラストマ−、及び(C)難燃剤を組
み合わすことにより、驚くべきことに難燃性、流動性、
剛性及び耐熱性を保持しつつ、面衝撃強度を飛躍的に向
上させることが可能になることを見出し、本発明に到達
した。
【0007】即ち、本発明は、(A)ゴム変性芳香族ビ
ニル樹脂、(B)芳香族ビニル単位ブロックと共役ジエ
ン単位ブロックからなる芳香族ビニル系熱可塑性エラス
トマ−、及び(C)難燃剤を含有する樹脂組成物であっ
て、該(B)芳香族ビニル系熱可塑性エラストマ−の数
平均分子量が4万〜11万であり、かつ(B)成分中の
共役ジエン単位ブロックの不飽和結合の少なくとも90
モル%が水素添加されていることを特徴とする面衝撃強
度の優れた高剛性難燃性樹脂組成物を提供するものであ
る。
【0008】以下、本発明を詳しく説明する。本発明の
樹脂組成物は、(A)ゴム変性芳香族ビニル樹脂、
(B)特定の芳香族ビニル系熱可塑性エラストマ−、及
び(C)難燃剤からなる。上記(A)成分は成形用樹脂
組成物の主成分をなし、成形品の強度保持の役割を担
い、(B)成分は(A)成分に対して衝撃強度、特に面
衝撃強度を付与するための成分であり、(C)成分は
(A)成分に対して難燃性を付与するための成分であ
る。
【0009】ここで、(B)成分の数平均分子量は4万
〜11万であることが重要である。数平均分子量が4万
未満では、面衝撃強度の向上効果はない。一方、それが
11万を越えると、ゴム変性芳香族ビニル樹脂中で分散
不良を起こし補強効率が低下したり、または溶融粘度が
上昇し、射出成形等の成形時に樹脂の流れ方向にポリマ
−鎖が配向するために成形体に異方性が生じて面衝撃強
度が低下する。次に、(B)成分中の共役ジエン単位ブ
ロックの不飽和結合の少なくとも90モル%が水素添加
されていることが必要である。不飽和結合の水素添加量
が90モル%未満では面衝撃強度と熱安定性が低下す
る。このように特定の芳香族ビニル系熱可塑性エラスト
マ−を用いることによって初めて、面衝撃強度を大幅に
向上させることを見い出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0010】本発明の(A)成分は、ゴム変性芳香族ビ
ニル樹脂であり、必要に応じてゴム非変性芳香族ビニル
樹脂をも含む。本発明の上記(A)成分中のゴム変性芳
香族ビニル樹脂は、ビニル芳香族系重合体よりなるマト
リックス中にゴム状重合体が粒子状に分散してなる重合
体をいい、ゴム状重合体の存在下に芳香族ビニル単量体
及び必要に応じ、これと共重合可能なビニル単量体を加
えて単量体混合物を公知の塊状重合法、塊状懸濁重合
法、溶液重合法、または乳化重合法によりグラフト重合
することにより得られる。
【0011】このような樹脂の例としては、耐衝撃性ポ
リスチレン、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエ
ン−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリ
ル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、AES樹脂
(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレ
ン共重合体)等が挙げられる。ここで、前記ゴム状重合
体は、ガラス転移温度(Tg)が−30°C以下である
ことが必要であり、−30°Cを越えると耐衝撃性が低
下する。
【0012】このようなゴム状重合体の例としては、ポ
リブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ
(アクリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴム及
び上記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレン
ゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のア
クリル系ゴム及びエチレン−プロピレン−ジエンモノマ
−三元共重合体(EPDM)等を挙げることができ、特
にジエン系ゴムが好ましく、衝撃強度と熱安定性の観点
からブタジエン単位連鎖中に占めるシス1,4結合の割
合が70重量%以上であるブタジエン系重合体であるこ
とがより好ましい。
【0013】上記のゴム状重合体の存在下に重合させる
グラフト重合可能な単量体混合物中の必須成分の芳香族
ビニル単量体とは、例えば、スチレン、、パラメチルス
チレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、
p−tert−ブチルスチレン、p−クロロスチレン、
p−ブロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン
等の核アルキル置換スチレン、または、α−メチルスチ
レン、α−メチル−p−メチルスチレン等のα−アルキ
ル置換スチレンであり、スチレンが最も好ましいが、ス
チレンを主体に上記他の芳香族ビニル単量体を共重合し
てもよい。
【0014】また、ゴム変性芳香族ビニル樹脂の成分と
して必要に応じ、芳香族ビニル単量体に共重合可能な単
量体成分を一種以上導入することができる。耐油性を高
める必要のある場合は、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル等の不飽和ニトリル単量体を用いることができ
る。そして、ブレンド時の溶融粘度を低下させる必要の
ある場合は、炭素数が1〜8のアルキル基からなるアク
リル酸エステルを用いることができる。また更に、樹脂
組成物の耐熱性を更に高める必要のある場合は、α−メ
チルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイ
ン酸、N−置換マレイミド等の単量体を共重合してもよ
い。上記ビニル芳香族単量体と共重合可能なビニル単量
体の含量は、単量体混合物中、0〜40重量%である。
【0015】本発明のゴム変性芳香族ビニル樹脂におけ
るゴム状重合体は、好ましくは5〜80重量%、特に好
ましくは10〜50重量%、グラフト重合可能な単量体
混合物は、好ましくは95〜20重量%、更に好ましく
は90〜50重量%の範囲にある。この範囲外では、目
的とする樹脂組成物の耐衝撃性と剛性のバランスが取れ
なくなる。更には、スチレン系重合体のゴム粒子径は、
0.1〜5.0μmが好ましく、特に0.2〜3.0μ
mが好適である。上記範囲内では、衝撃強度が向上す
る。
【0016】本発明の(B)成分の芳香族ビニル系熱可
塑性エラストマ−は、芳香族ビニル単位と共役ジエン単
位からなるブロック共重合体の、上記共役ジエン単位部
分が水素添加されたブロック共重合体である。上記ブロ
ック共重合体を構成する芳香族ビニル単量体は、(A)
成分の説明において記載した芳香族ビニル単量体であ
り、スチレンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記
他の芳香族ビニル単量体を共重合してもよい。
【0017】また、上記ブロック共重合体を構成する共
役ジエン単量体は、1,3−ブタジエン、イソプレン等
を挙げることができる。そして、ブロック共重合体のブ
ロック構造は、芳香族ビニル単位からなる重合体ブロッ
クをSで表示し、共役ジエン及び/またはその水素添加
された単位からなる重合体ブロックをBで表示する場
合、SB、S(BS)n 、(但し、nは1〜3の整
数)、S(BSB)n 、(但し、nは1〜2の整数)の
リニア−ブロック共重合体や、(SB)n X(但し、n
は3〜6の整数。Xは四塩化ケイ素、四塩化スズ、ポリ
エポキシ化合物等のカップリング剤残基。)で表示され
る、B部分を結合中心とする星状(スタ−)ブロック共
重合体であることが好ましい。なかでもSBの2型、S
BSの3型、SBSBの4型のリニア−ブロック共重合
体が好ましい。
【0018】本発明の(B)成分の芳香族ビニル系熱可
塑性エラストマ−(ブロック共重合体)の数平均分子量
が4万〜11万であり、かつ好ましくは(B)成分中の
芳香族ビニル単位が10〜50重量%である。(B)成
分中の芳香族ビニル単位が10重量%未満では、(A)
成分のゴム変性芳香族ビニル樹脂との相溶性が低下し、
衝撃強度が低下する。一方、それが、50重量%を越え
ると、(B)成分のガラス転移温度が上がり、衝撃強度
が低下する。
【0019】このようなブロック共重合体は、公知のリ
ビングアニオン重合により製造することができる。例え
ば、シクロヘキサン等の溶媒中でスチレンをn−ブチル
リチウム等のアルカリ金属開始剤で重合し、次いで1,
3−ブタジエンを同様に重合するという手順で逐次重合
法によりブロック共重合体が得られる。ここで、数平均
分子量は、開始剤量を加減することににより任意に制御
することができる。開始剤量を増量することにより数平
均分子量を低下させることができ、一方、開始剤量を削
減することにより数平均分子量を上昇させることができ
る。また、ブロック共重合体の組成及び構造は、単量体
の仕込み量、仕込み順序により制御することができる。
【0020】また、上記ブロック共重合体中の共役ジエ
ン単位ブロックの不飽和結合が水素添加された割合であ
る水素添加率は、90モル%以上であり、好ましくは9
5モル%以上、より好ましくは98モル%以上である。
以上の要件を満たすブロック共重合体は公知のスチレン
−共役ジエンブロック共重合体に、公知の水素添加処
理、例えば特開昭59−133203号公報に開示の方
法の水素添加処理をすることにより得ることができる。
【0021】本発明の(C)成分の難燃剤は、ハロゲン
系、リン系及び無機系の難燃剤である。上記ハロゲン系
難燃剤としては、芳香族ハロゲン化合物、ハロゲン化エ
ポキシ樹脂、ハロゲン化ポリカーボネート、ハロゲン化
芳香族ビニル系重合体、ハロゲン化シアヌレート樹脂、
ハロゲン化ポリフェニレンエーテル等が挙げられ、好ま
しくはデカブロモジフェニルオキサイド、テトラブロム
ビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールAのオ
リゴマー、ブロム化ビスフェノール系エポキシ樹脂、ブ
ロム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ビス
フェノール系ポリカーボネート、ブロム化ポリスチレ
ン、ブロム化架橋ポリスチレン、ブロム化ポリフェニレ
ンオキサイド、ポリジブロムフェニレンオキサイド、デ
カブロムジフェニルオキサイドビスフェノール縮合物及
び含ハロゲンリン酸エステル等である。
【0022】また、上記リン系難燃剤としては、有機
リン化合物、赤リン、無機系リン酸塩等が挙げられ
る。上記有機リン化合物とは、例えば、ホスフィン、
ホスフィンオキシド、ビホスフィン、ホスホニウム塩、
ホスフィン酸塩、リン酸エステル、亜リン酸エステル等
を挙げることができる。より具体的には、トリフェニル
フォスフェート、メチルネオベンチルフォスファイト、
ヘンタエリスリトールジエチルジフォスファイト、メチ
ルネオペンチルフォスフォネート、フェニルネオペンチ
ルフォスフェート、ペンタエリスリトールジフェニルジ
フォスフェート、ジシクロペンチルハイポジフォスフェ
ート、ジネオペンチルハイポフォスファイト、フェニル
ピロカテコールフォスファイト、エチルピロカテコール
フォスフェート、ジピロカテコールハイポジフォスフェ
ートなどを挙げることができる。
【0023】ここで特にヒドロキシル基含有芳香族系リ
ン酸エステルが流動性、耐熱性、耐衝撃性のバランス
上、好ましく、上記ヒドロキシル基を含有していない有
機リン化合物と併用してもよい。また、本発明において
使用する上記赤リンとは、一般の赤リンの他に、その
表面をあらかじめ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネ
シウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンよりえらばれる金属
水酸化物の被膜で被覆処理されたもの、水酸化アルミニ
ウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン
より選ばれる金属水酸化物及び熱硬化性樹脂よりなる被
膜で被覆処理されたもの、水酸化アルミニウム、水酸化
マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンより選ばれる
金属水酸化物の液膜の上に熱硬化性樹脂の被膜で二重に
被覆処理されたものなども好適に用いることができる。
【0024】本発明において使用する上記無機系リン
酸塩は、ポリリン酸アンモニウムが代表的である。さら
に、無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸
化マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水
酸化カルシウム、水酸化バリウム、塩基性炭酸マグネシ
ウム、水酸化ジルコニウム、酸化スズの水和物等の無機
金属化合物の水和物、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メ
タホウ酸バリウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、ムー
カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、酸化マグ
ネシウム、酸化モリブデン、酸化ジルコニウム、酸化ス
ズ、酸化アンチモン、赤リン等が挙げられる。これら
は、1種でも2種以上を併用してもよい。この中で特
に、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性
炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトからなる群から
選ばれたものが難燃効果が良く、経済的にも有利であ
る。
【0025】そして、本発明の難燃性をさらに向上させ
ることが必要な場合には、リン系、無機系等の難燃剤、
または酸化アンチモン、シリコ−ン樹脂、フッ素系樹
脂、トリアジン骨格含有化合物等の難燃助剤等の添加剤
を配合することができる。さらに、その他の添加剤とし
ては例えば、シリコ−ンオイル、熱可塑性エラストマ−
等の耐衝撃改良剤、流動パラフィン、高級脂肪酸アミド
化合物等の流動性改良剤、ヒンダードフェノール等の酸
化防止剤、ベンゾトリアゾールやヒンダードアミン等の
紫外線吸収剤、錫系熱安定剤、ステアリン酸やステアリ
ン酸亜鉛等の滑剤、充填剤、ガラス繊維等の補強剤、染
料や顔料等の着色剤等を挙げることができる。
【0026】本発明の樹脂組成物は、(A)ゴム変性芳
香族ビニル樹脂100重量部に対して、(B)芳香族ビ
ニル系熱可塑性エラストマ−が1〜20重量部、好まし
くは3〜10重量部、(C)難燃剤が1〜40重量部、
(D)添加剤が0〜40重量部の範囲にあることが好ま
しい。ここで上記範囲内では、面衝撃強度、剛性、難燃
性、耐熱性、流動性のバランス特性が優れている。
【0027】本発明の樹脂組成物は、上記各成分を市販
の単軸押出機あるいは、二軸押出機などで例えば溶融混
練することにより製造することができる。 このように
して得られた本発明の組成物を例えば、射出成形機また
は押出成形することにより、耐ドリップ性、難燃性、流
動性、耐熱性及び耐衝撃性の優れた成形品が得られる。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるもので
はない。尚、実施例、比較例における測定は、以下の方
法もしくは測定機を用いて行なった。 (1)ゴム重量平均粒子径 ゴム変性スチレン系樹脂の重量平均粒子径は、樹脂組成
物の超薄切片法により撮影した透過型電子顕微鏡写真中
のブタジエン系重合体粒子径を求め、次式により算出す
る。
【0029】 重量平均粒子径=ΣNi・Di4/ΣNi・Di3 (ここでNiは、粒子がDiであるブタジエン系重合体
粒子の個数である) (2)還元粘度ηSP/C ゴム変性スチレン系樹脂1gにメチルエチルケトン18
mlとメタノール2mlの混合溶媒を加え、25℃で2
時間振とうし、5℃、18000rpmで30分間遠心
分離する。上澄み液を取り出しメタノールで樹脂分を析
出させた後、乾燥した。
【0030】このようにして得られた樹脂0.1gをト
ルエンに溶解し、濃度0.5g/dlの溶液とし、この
溶液10mlをキャノン−フェンスケ型粘度計に入れ、
30℃でこの溶液流下秒数t1 を測定した。一方、別に
同じ粘度計で純トルエンの流下秒数t0 を測定し、以下
の数式により算出した。 ηSP/C=(t1 /t0 − 1)/C (C:ポリマ
−濃度 g/dl) (3)数平均分子量(Mn ) 測定装置として東ソ−(株)製ゲルパ−ミエ−ションク
ロマトグラフHLC−8020及びカラムとして東ソ−
(株)製TSK−Gel−GMHXLを用いた。測定方
法については、まずテトラヒドロフラン(THF)を移
動相にして、上記装置を用いて、標準ポリスチレンのゲ
ルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−分析(GPC分
析)を行ない、検量線を作成した。次いで、試料10m
gをTHF10mlに溶解して上記のGPC分析を行な
い、上記検量線を用いてMnを算出した。 (4)アイゾット衝撃強さ ASTM−D256に準拠した方法で23℃で測定し
た。(Vノッチ、1/8インチ試験片) (5)面衝撃強度 ASTM−D1709に類似の方法で23℃で測定し
た。具体的には、半球の直径が3/4インチRのダ−ト
を100cmの高さから、固定された厚さ3mm、15
0mm角の正方形の成形体に落下させて、成形体の50
%が破壊する時のダ−トの重量を50%破壊荷重とし、
それに落下荷重を乗じて50%破壊エネルギ−を算出し
た。この50%破壊エネルギ−を面衝撃強度とした。単
位はkgcmである。(6)引張強さ、引張伸度 ASTM−D638に準拠した方法で23℃で測定し
た。 (7)曲げ強さ、曲げ弾性率 ASTM−D790に準拠した方法で23℃で測定し
た。ここで、曲げ弾性率を剛性の指標とした。 (8)ビカット軟化温度 ASTM−D1525に準拠した方法で測定し、耐熱性
の尺度とした。 (9)メルトフロレート(MFR) 流動性の指標でASTM−D1238に準拠した方法で
測定した。荷重5kg、溶融温度200℃の条件で10
分間あたりの押出量(g/10分)から求めた。 (10)難燃性 UL−94に準拠した垂直試験VB(Vertical
Burning)法により評価した。(1/8インチ
試験片) (11)組成物のモルフォロジィ 樹脂組成物のシートから0.1mm角以下の超薄切片を
作製し、面をダイヤモンドナイフを用いて切削し、仕上
げる。この試料を密閉容器内で、遮光状態にして1%ル
テニウム酸水溶液の蒸気に数時間暴露し、染色した。
【0031】このようにして作製した試験片を、透過型
電子顕微鏡でモルフォロジィを観察した。実施例、比較
例で用いる各成分は以下のものを用いた。 (イ)ゴム変性芳香族ビニル樹脂の製造 ゴム変性芳香族ビニル樹脂(HIPS)の製造 ポリブタジエン{(シス1,4結合/トランス1,4結
合/ビニル1,2結合重量比=95/2/3)(日本ゼ
オン(株)製、商品名Nipol 122 OSL)}
を、以下の混合液に溶解し、均一な溶液とした。
【0032】 ポリブタジエン 11.0重量% スチレン 73.7重量% エチルベンゼン 15.0重量% α−メチルスチレン2量体 0.27重量% 1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5− トリメチルシクロヘキサン 0.03重量% 次いで、上記混合液を撹拌機付の直列4段式反応機に連
続的に送液して、第1段は撹拌数190rpm、126
℃、第2段は50rpm、133℃、第3段は20rp
m、140℃、第4段は20rpm、155℃で重合を
行った。引き続きこの固形分73%の重合液を脱揮装置
に導き、未反応単量体及び溶媒を除去し、ゴム変性スチ
レン樹脂を得た(HIPSと称する)。得られたゴム変
性スチレン樹脂を分析した結果、ゴム含量は12.8重
量%、ゴムの重量平均粒子径は1.6μm、還元粘度η
sp/cは0.60dl/gであった。
【0033】ゴム非変性芳香族ビニル樹脂 ポリス
チレン(GPPS−1) ) 市販のポリスチレン(重量平均分子量20万、数平
均分子量8.8万 流動パラフィン3%含有)〔(旭化
成工業(株)製 )(以後、GPPS−1と称する)〕
を用いた。 ゴム非変性芳香族ビニル樹脂 ポリスチレン(GP
PS−2) 市販のポリスチレン(重量平均分子量35万、数平均分
子量16万 流動パラフィンなし)〔(旭化成工業
(株)製 )(以後、GPPS−2と称する)〕を用い
た。 (ロ)芳香族ビニル系熱可塑性エラストマ−の製造 水素添加処理芳香族ビニル系熱可塑性エラストマ−
(TPE−1)の製造 オ−トクレ−ブ中にシクロヘキサン400重量部、1,
3−ブタジエン9重量部、n−ブチルリチウム0.15
重量部、及びテトラヒドロフラン〔n−ブチルリチウム
/テトラヒドロフラン=40/1(モル比)〕を加え、
70℃で1時間重合し、次いでスチレン16重量部を加
えて30分間、次いで1,3ブタジエン59重量部を加
えて75分間、そして最後にスチレンを16重量部を加
えて30分間重合し、ブロックスチレン含有量32重量
%、ブタジエン単位の1,2−ビニル結合含有量36モ
ル%、数平均分子量48000のブタジエン−スチレン
−ブタジエン−スチレン(BSBS)型ブロック共重合
体を得た。次いで、特開昭59−133203号公報に
開示の方法の水素添加処理を行ない、ブタジエン単位の
水素添加率99モル%のブロック共重合体(TPE−1
と称する)を得た。表1にその結果を示した。
【0034】水素添加処理芳香族ビニル系熱可塑性エ
ラストマ−(TPE−2〜−6)の製造 前記TPE−1と、共重合組成及び/または数平均分子
量の異なったブロック共重合体を製造した。 即ち、T
PE−1の製造において、数平均分子量の異なったブロ
ック共重合体を得るためには、開始剤のn−ブチルリチ
ウム/テトラヒドロフランを増量して数平均分子量を低
下させ、また上記開始剤量を減量して数平均分子量を上
昇させた。一方、共重合組成の異なったブロック共重合
体を得るためには、単量体の添加順序及び仕込み組成を
変更した。次いで、前記TPE−1と同様の水素添加処
理を行なった。このようにして得られたブロック共重合
体を表1に示した。
【0035】水素添加未処理芳香族ビニル系熱可塑性
エラストマ−(TPE−7) 前記TPE−1と、共重合組成及び/または数平均分子
量の異なったブロック共重合体を製造した。 即ち、T
PE−1の製造において、開始剤のn−ブチルリチウム
/テトラヒドロフランを減量して数平均分子量を上昇さ
せた。一方、単量体の添加順序及び仕込み組成を変更
し、共重合組成の異なったブロック共重合体(TPE−
7)を得た。このようにして得られたブロック共重合体
を表1に示した。 (ハ)ハロゲン系難燃剤 ブロム化変性エポキシ樹脂(FR−1) 大日本インキ化学工業(株)製 商品名 プラ−ム E
C−14 を用いた。 (FR−1と称する)
【0036】
【化1】
【0037】(ニ)添加剤 難燃助剤(FR−2) 難燃助剤として、三酸化アンチモンを用いた。(FR−
2と称する) 耐衝撃改良剤(TH−1) 耐衝撃改良剤として、シリコ−ンオイル(ポリジメチル
シロキサン 粘度100cp)を用いた。(TH−1と
称する) 流動性改良剤(MO) 流動性向上剤として、流動パラフィンを用いた。(MO
と称する)
【0038】
【実施例 1〜4 比較例 1〜3】 (芳香族ビニル系熱可塑性エラストマ−の数平均分子量
の効果)HIPS/GPPS−1/GPPS−2/表2
記載の芳香族系熱可塑性エラストマ−/FR−1/FR
−3/TH−1/MOを、それぞれ50/30/20/
5/24/5/0.05/2の重量比率で混合し、30
mmΦ2軸押出機(ナカタニ機械(株)製型式AS3
0)で200℃で溶融押出しし、ペレットを作製した。
このようにして得られたペレットを射出成形機(東芝機
械(株)製 型式IS80A)でシリンダ−温度200
℃、金型温度60℃の条件で試験片を作製し、各種物性
評価を行なった。表2及び図1にその結果を示す。
【0039】表2及び図1によると、数平均分子量が4
万〜11万の時のみ面衝撃強度が優れていることが分か
る。上記成形体の電子顕微鏡観察を行なった結果、数平
均分子量が11万を越えると芳香族ビニル系熱可塑性エ
ラストマ−の凝集物が見られた(図2参照)。以上の結
果から、数平均分子量が4万未満では熱可塑性エラスト
マ−としての補強効果はなく、一方、11万を越えると
分散不良を起こすことが判明した。
【0040】また、水素添加未処理の上記エラストマ−
をブレンドした場合(図1中で×で表示)は、面衝撃強
度が劣ることが分かる。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【発明の効果】本発明の組成物は、面衝撃強度、剛性、
難燃性、耐熱性、及び流動性の優れた芳香族系樹脂組成
物である。この組成物は、家電部品、OA機器部品等に
好適であり、これら産業界に果たす役割は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】芳香族ビニル系熱可塑性エラストマ−の数平均
分子量と、面衝撃強さ及びアイゾット衝撃強さとの関係
を示した図である。図中、●は水素添加処理品を示し、
×は水素添加未処理品を示す。
【図2】数平均分子量の異なった芳香族ビニル系熱可塑
性エラストマーを含有した樹脂組成物の透過型電子顕微
鏡写真を示す。図中、サラミ状の粒子はゴム変性ポリス
チレンのゴム粒子であり、黒い筋状物は芳香族ビニル系
熱可塑性エラストマーを示す。実施例1(TPE−1)
の前記エラストマーは、筋状に均一に分散しているのに
対して、比較例2(TPE−4)の前記エラストマーは
数平均分子量が高く、本発明の要件を満たさないため、
凝集していることが観察される。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ゴム変性芳香族ビニル樹脂、
    (B)芳香族ビニル単位ブロックと共役ジエン単位ブロ
    ックからなる芳香族ビニル系熱可塑性エラストマ−、及
    び(C)難燃剤を含有する樹脂組成物であって、該
    (B)芳香族ビニル系熱可塑性エラストマ−の数平均分
    子量が4万〜11万であり、かつ(B)成分中の共役ジ
    エン単位ブロックの不飽和結合の少なくとも90モル%
    が水素添加されていることを特徴とする面衝撃強度の優
    れた高剛性難燃性樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015081340A (ja) * 2013-10-24 2015-04-27 東洋スチレン株式会社 樹脂組成物およびそれからなる成形体

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