JPH0626979Y2 - カセツト式テ−プレコ−ダ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、テープカセットを押圧するためのカセット押
えばねと、誤消去防止のための検出部材とを具備するカ
セット式テープレコーダに関する。

〔考案の概要〕

本考案は、装着されたテープカセットを押圧するための
押えばねと、上記装着されたテープカセットの誤消去防
止用部材を検出するための検出部材とを備えたカセット
式テープレコーダにおいて、上記検出部材を回動駆動さ
せる第２のばねを上記押えばねと一体に設け、上記第２
のばねの弾性力を上記誤消去防止用部材に作用する上記
検出部材の押着力に変換することにより、誤消去防止用
部材が適切に大きな押着力によって確実に検出されるよ
うにしたものである。

〔従来の技術〕

従来から、コンパクトカセットを用いるテープレコーダ
においては、カセット装着部の背面側にカセット押えば
ねが設けられており、そのカセット装着部に装着される
テープカセットの背面側をカセット押えばねにて押圧す
ることによって、装着状態におけるテープカセットの位
置を安定させるようにしている。

また、コンパクトカセットの背面側には誤消去防止用の
被検出部が設けられており、この被検出部はカセット筐
体に一体成形された爪を折り取ることによって被検出孔
を開放させることができる。そして被検出部を検出する
ために、カセット装着部の背面側に検出部材である回動
自在の検出レバーが設けられており、通常この検出レバ
ーは復動付勢されている。そして従来は、この検出レバ
ーの戻し動作力を得るために、検出レバーに特別な専用
の戻しばねを取付けたり、検出レバーを合成樹脂によっ
てモールド成形して、これに一体成形された戻しばね部
のばね弾性を利用したりしている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところが、従来のカセット押えばねは、装着状態におけ
るテープカセットの位置を安定させることのみの単一機
能として使用されているものであった。

一方、検出レバーの戻し動作力を得るために、特別な専
用の戻しばねを取付けるものは、部品点数が増加する上
にばね掛け作業も著しく面倒であり、コスト高で作業性
も悪い問題があった。また、モールド成形された検出レ
バーの戻しばね部のばね弾性を利用するものは、モール
ドのクリープ現象によって戻しばね部のばね弾性が劣化
して動作不良が生じる問題があった。そしてこれを防止
するためには戻しばね部を大形かつ強固に成形しなけれ
ばならず、大きなスペースが必要となる問題があった。

そこで本考案は、検出部材を前記カセットの誤消去防止
用被検出部に適切な押圧力で押着させるための、またこ
の検出部材をもとの位置に復動させるための特別な専用
の戻しばねを不必要にすることができるようにするもの
である。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、カセット装着部に装着されるテープカセット
を押圧するカセット押えばねと、前記テープカセットに
設けられた誤消去防止用の被検出部を検出する検出部材
とを具備するカセット式テープレコーダにおいて、前記
被検出部に押着される検出爪と、この検出爪を前記被検
出部の方向に付勢するばねを係止するための係止部とを
前記検出部材に設けると共に、この検出部材を回動自在
に前記カセット装着部で保持して前記係止部に働らく付
勢力を前記検出爪の押着力に変換し、前記ばねは前記カ
セット押えばねと一体に設けてその自由端を前記ばね係
止部に係止させてカセット式テープレコーダを構成し
た。

〔実施例〕

以下、本考案をコンパクトカセットを用いる小型テープ
レコーダに適用した一実施例を第１図及び第２図に基づ
いて説明する。

まず、テープレコーダの本体外筐１は合成樹脂によって
成形され、この本体外筐１の上部に長方形状の凹所から
なるカセット装着部２が設けられている。そしてカセッ
ト装着部２の背面側２ａの中央部にカセット押えばね３
が設けられている。このカセット押えばね３は板ばねに
よって形成されたものであり、長方形状をなす係止部４
と、この係止部４の上部でくの字状に屈曲された押圧部
５とが一体に形成されている。そしてカセット押えばね
３はカセット装着部２の底面壁２ｂに形成されたスリッ
ト６に下方から挿入され、係止部４がスリット６にて係
止されて、押圧部５が底面壁２ｂ上に突出されている。

ところで、カセット押えばね３には、係止部４の一部分
を細幅形状で一側方へ延長させてなる延長部７が一体に
設けられている。従って、カセット押えばね３の取付状
態で、延長部７はカセット装着部２の底面壁２ｂの下方
で一側方へ延長されている。なおこの延長部７は、ばね
として後述する検出部材に作用し、この検出部材に付勢
力を与える。

一方、カセット装着部２の背面側２ａの一端部には検出
部材である検出レバー１０が設けられている。この検出
レバー１０は合成樹脂によって検出爪１１と規制部１２
とばね係止部１３とが一体成形されている。そして検出
レバー１０はその軸挿入孔１４が底面壁２ｂの下面に一
体成形された軸１５に下方から挿入されて、矢印ａ、
ａ′方向へ回動自在に枢支され、検出爪１１が底面壁２
ｂに形成された切欠孔１６から上方へ突出されている。

そして、前記ばねとして作用する延長部７の先端７ａが
検出レバー１０のばね係止部１３に係止されている。従
って、延長部７の弾性によって検出レバー１０は矢印
ａ′方向へ復動付勢されている。なおこの復動は底面壁
２ｂの下面に一体成形されたストッパ突起１７によって
規制される。

なお、カセット装着部２の下方には、消去ヘッド２０が
取付けられた記録操作板２１が矢印ｂ、ｂ′方向へ摺動
自在に配置されており、この記録操作板２１の一端に取
付けられた記録釦２２が本体外筐１の前面側に突出され
ている。そして記録操作板２１の他端に設けられた突部
２３が前記検出レバー１０の規制部１２に対向されてい
る。またカセット装着部２の下方には、録再ヘッド２４
が取付けられたヘッド基板２５が軸２６を中心として矢
印ｃ、ｃ′方向へ回動自在に配置されており、このヘッ
ド基板２５に取付けられた再生釦２７が本体外筐１の前
面側に突出されている。

上述のテープレコーダにおいて、第２図に示すようにテ
ープカセット３０がカセット装着部２に装着されると、
テープカセット３０の左右一対のリールハブ３１がカセ
ット装着部２上に突出する左右一対のリール駆動軸３２
に係合されると共に、テープカセット３０のカセット筐
体に設けられた左右一対のガイド孔３３がカセット装着
部２上に突出する左右一対のカセットガイド軸３４に挿
入される。そしてテープカセット３０の背面側３０ａの
中央部がカセット押えばね３の押圧部５によって矢印ｄ
方向へ押圧され、両ガイド孔３３が両カセットガイド軸
３４に対して直角方向から当接されて位置決めされる。
これによって、装着されたテープカセット３０のテープ
走行時の安定が図られる。

そして、テープカセット３０の背面側３０ａの端部に
は、被検出孔３５とカセット筐体に一体成形された爪３
６とによって構成された誤消去防止用の被検出部３７が
設けられている。ここで爪３６が折り取られて被検出孔
３５が開放されていると、第２図の実線で示すように、
テープカセット３０の装着時に検出レバー１０の検出爪
１１が被検出孔３５内に挿入されるので、検出レバー１
０はカセット押えばね３の延長部７の弾性によって矢印
ａ′方向へ復動された状態が保持される。従って、検出
レバー１０の規制部１２が記録操作板２１の突部２３に
対向しているので、記録釦２２の押圧によって記録操作
板２１を矢印ｂ方向へ往動させることはできず、誤消去
（誤記録）が防止される。そして再生釦２７を押圧すれ
ば、ヘッド基板２５のみが矢印ｃ方向へ往動されて録再
ヘッド２４がテープ２８に接触され、再生が行われる。

一方、爪３６によって被検出孔３５が閉塞されている
と、第２図の一点鎖線で示すように、テープカセット３
０の装着時にその爪３６によって検出レバー１０の検出
爪１１が押圧され、検出レバー１０がカセット押えばね
３の延長部７の弾性に抗して矢印ａ方向へ往動される。
検出レバー１０の規制部１２が記録操作板２１の突部２
３に対して逃がされるので、記録釦２２を押圧すると記
録操作板２１が矢印ｂ方向へ往動され、消去ヘッド２０
がテープ２８に接触される。またこれと同時に記録操作
板２１の突片２１ａによってヘッド基板２５が押圧され
て矢印ｃ方向へ往動され、録再ヘッド２４がテープ２８
に接触される。これによって記録（録音）を行うことが
できる。

このように、カセット押えばね３に一体に設けられた延
長部７の弾性によって検出レバー１０が矢印ａ′方向へ
復動付勢されるので、カセット押えばね３によって検出
レバー１０の戻し動作を兼用させることができる。そし
てカセット押えばね３をカセット装着部２に取付ける作
業と同時に、延長部７の先端７ａを検出レバー１０のば
ね係止部１３に簡単に係止させることができる。しかも
延長部７はカセット押えばね３の一部分を細幅形状で延
長して弾性を弱めたものであるが、カセット押えばね３
自体はテープカセット３０を押圧するに足る比較的強い
ばね力を有するものであるから、延長部７はその形状、
例えば幅や厚さ等によって弾性を自由に設定することが
できる。

さらに本考案では、検出レバー１０の回動中心からばね
係止部１３までの距離と、この回動中心から検出爪１１
までの距離との比を１より大にすれば、爪３６を押圧す
る検出爪１１の押着力を、ばね係止部１３に作用する延
長部７の付勢力よりも大きくすることができる。たとえ
ば第２図の場合、この比が約２であるから、検出爪１１
の押着力は延長部７の付勢力の約２倍となる。

かくして上記押着力を適切に設定すると、検出レバー１
０の作動が正確になって被検出部３７は確実に検出され
ることになるから、誤動作は防止される。

以上、本考案の一実施例に付き述べたが、本考案は実施
例に限定されることなく、本考案の技術的思想に基づい
て各種の有効な変更が可能である。

例えば、カセット押えばねとして実施例では板バネを示
したが、必ずしも板ばねに限られることなく、各種の有
効なばねを用いることができる。

なお本考案は、コンパクトカセットを用いるテープレコ
ーダに限定されることなく、カセット押えばねと検出部
材とを具備する各種のカセット式テープレコーダに適用
可能である。

〔考案の効果〕

本考案は、カセット装着部に装着されるテープカセット
を押圧してその位置を安定させるためのカセット押えば
ねに第２のばねを一体に設け、このばねで検出部材に付
勢力を与えるようにしたから、検出部材を復動付勢させ
るための特別な専用の戻しばねが不必要になり、部品点
数並びに面倒なばね掛け作業の削減によって、大幅な低
コスト化及び作業性の向上を図ることができる。

しかも、カセット押えばね自体はテープカセットを押圧
するに足る比較的強いばね力を有するものであるが、こ
れとは関係なく上記第２のばねは、その形状たとえば、
幅や厚さを適当に選び、ばね常数を自由に設定すること
ができる。またこのばねは弾性劣化のおそれがなく、省
スペースの点でも寄与するところが大である。

さらに上記検出部材には、上記誤消去防止用被検出部に
押着される検出爪と、上記第２のばねの自由端を係止す
るための係止部とを設け、この検出部材を回動自在に保
持して上記係止部に働らく第２のばねの付勢力を上記検
出爪の押着力に変換するようにしたから、上記押着力を
適切な大きさに設定することによって、上記誤消去防止
用被検出部の検出を確実に行わせるようにすることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案をコンパクトカセットを用いる小型テープ
レコーダに適用した一実施例を示すものであって、第１
図は要部の分解斜視図、第２図は全体の一部切欠き平面
図である。 なお図面に用いた符号において、 ２……カセット装着部 2a……背面側 ３……カセット押えばね ５……押圧部 ７……延長部ばね 7a……先端 10……検出レバー（検出部材） 11……検出爪 12……規制部 13……ばね係止部 21……記録操作板 30……テープカセット 30a……背面側 35……被検出孔 36……爪 37……被検出部 である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】カセット装着部に装着されるテープカセッ
   トを押圧するカセット押えばねと、前記テープカセット
   に設けられた誤消去防止用の被検出部を検出する検出部
   材とを具備するカセット式テープレコーダにおいて、 前記被検出部に押着される検出爪と、この検出爪を前記
   被検出部の方向に付勢するばねを係止するための係止部
   とを前記検出部材に設けると共に、この検出部材を回動
   自在に前記カセット装着部で保持して前記係止部に働ら
   く付勢力を前記検出爪の押着力に変換し、 前記ばねは前記カセット押えばねと一体に設けてその自
   由端を前記ばね係止部に係止させたカセット式テープレ
   コーダ。