JPH0626939B2 - 四輪駆動車の駆動力伝達・断続装置 - Google Patents

四輪駆動車の駆動力伝達・断続装置

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JPH0626939B2
JPH0626939B2 JP5823588A JP5823588A JPH0626939B2 JP H0626939 B2 JPH0626939 B2 JP H0626939B2 JP 5823588 A JP5823588 A JP 5823588A JP 5823588 A JP5823588 A JP 5823588A JP H0626939 B2 JPH0626939 B2 JP H0626939B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) この発明は、二輪駆動と四輪駆動とに切り換えが可能な
四輪駆動車の駆動力伝達系に組み込まれ、粘性流体を利
用したビスカスカップリングの機能を有するとともに、
駆動力の断続を行う四輪駆動車の駆動力伝達・断続装置
に関する。
(従来の技術) 従来、内燃機関からのトルクを前輪および後輪へ伝達す
る四輪駆動車にあっては、車庫入れ時等にいわゆるタイ
トコーナーブレーキング現象が起こる。このため、前輪
駆動軸と後輪駆動軸との間に生じる回転数差を吸収する
差動装置をこの四輪駆動車に配設している。
ところで、車両走行中にぬかるみ等の路面摩擦係数の小
さな路面に、例えば前輪が入り込んでスリップすると、
差動装置の構造上、内燃機関からのトルクは前後輪とも
摩擦係数の小さい車輪と同じトルクだけしか伝達され
ず、ぬかるみからの迅速な脱出ができなくなる。このた
め、前記差動装置の差動を制限して、ぬかるみから脱出
を図るための差動制限装置をこの四輪駆動車に配設して
いる。このような差動制限付差動装置としてビスカスカ
ップリングがある([自動車工学]1987年6月号6
2頁参照)。
一方、パートタイム方式四輪駆動車は、二輪駆動と四輪
駆動との切換えを選択するトランスファーを備えてい
る。そのトランスファーによって二輪駆動を行う場合に
は、非駆動側の従動側動力伝達系(トランスファーから
従動側車輪に至る動力伝達系をいう)は、走行時につれ
回る従動側車輪から回転させられてしまう。このように
従動側動力伝達系が回転されると、車両は走行抵抗が増
大したり、振動、騒音等にも影響が及ぶ。したがって、
二輪駆動時に従動側動力伝達系をその一部で切離してつ
れ回る従動側を自由状態とし、前記の走行抵抗及び振
動,騒音等を可及的に低減する四輪駆動車の駆動力断続
装置(特開昭60−215428号公報参照)が考えら
れている。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、このような前者のビスカスカップリング
を用いた四輪駆動車にあっては、前輪駆動軸と後輪駆動
軸との間に回転数差を吸収したり、ぬかるみからの迅速
な脱出はできるものの、常に四輪がエンジンの回転によ
って駆動されるため車両走行時の燃費が悪くなる。
一方、後者の四輪駆動車の駆動力断続装置を用いたもの
にあっては、二輪駆動時することにより燃費の向上が図
れるとともに従動側動力伝達系の回転による走行抵抗及
び振動・騒音等を可及的に低減することはできるもの
の、四輪駆動走行時には前輪駆動軸と後輪駆動軸との間
に生じる回転数差の吸収が出来ず、タイトコーナブレー
キ現象が発生し、円滑な走行ができなかった。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) このような課題を解決するために、この発明にあって
は、同一軸線上に配設された第1回転部材および第2回
転部材と、この第1回転部材および第2回転部材と相対
回転可能に配設された第3回転部材と、この第3回転部
材と第1回転部材および第2回転部材とによって画成さ
れ粘性流体が封入された作動室と、この作動室に収納さ
れ第1回転部材および第2回転部材と第3回転部材とに
それぞれ交互に係合された第1抵抗板および第2抵抗板
と、前記第3回転部材に相対回転可能に設けられトルク
が伝達されるケーシングと、このケーシングと第3回転
部材とを離接可能に設けられた駆動部材とを備える構成
としたものである。
(作用) この装置はプロペラシャフトと後輪駆動軸との間に介設
される。二輪駆動走行時には駆動部材を移動させて、ケ
ーシングと第3回転部材との連結を遮断すれば、このケ
ーシングからトランスファーまでの駆動系を、トルクの
流れの逆方向から駆動してしまうことはないため、燃費
が向上できる。また、四輪駆動走行時には駆動部材を移
動させて、ケーシングと第3回転部材と連結すれば、四
輪駆動走行が可能となるとともに、タイトコーナブレー
キ現象が防止され、さらに、一方の車輪がスリップして
も他方の車輪によって車両を押し出し、左右他方側車輪
のうち一方の車輪がスリップすると他方の車輪によって
車両を押し出し、車両は安定走行する。したがって、こ
の四輪駆動車の駆動力伝達・断続装置は二輪駆動による
燃費の向上が図れるとともにタイトコーナブレーキ現象
が防止できる。
(実施例) 以下、この発明を図面に基づいて説明する。第1図およ
び第2図はこの発明に係る四輪駆動車の駆動力伝達・断
続装置の一実施例を示す図である。四輪駆動車の駆動力
伝達・断続装置はFFベースの四輪駆動車のプロペラシ
ャフトと後輪駆動軸との間に設けられる差動歯車装置の
代りに介設した例である。
まず、構成を説明する。
1は内燃機関からのトルクがプロペラシャフトを介して
伝達されるドライブピニオンギアであり、このドライブ
ピニオンギア1はリングギア2と噛合し、このリングギ
ア2はケーシングとしての略円筒状のアウターケース3
a に取り付けられている。アウターケース3a の内側に
は、このアウターケース3a と略同一な略円筒状であっ
て、第3回転部材としてのインナーケース3b が嵌合す
る形で配設されており、このインナーケース3b はアウ
ターケース3a を回動自在に支持している。インナーケ
ース3b 内には第1回転部材としての第1ハブ4および
第2回転部材としての第2ハブ5が相対回転可能に収納
され、この第1ハブ4および第2ハブ5は同一軸線上に
配設されているとともに、それぞれ後輪駆動軸の左側輪
駆動軸6a と右側輪駆動軸6b とにそれぞれスプライン
連結されている。インナーケース3b と第1ハブ4およ
び第2ハブ5とによって作動室7が画成され、この作動
室7には粘性流体としてのシリコンオイルが封入されて
いる。作動室7には第1抵抗板8と第2抵抗板9とが収
納され、この第1抵抗板8と第2抵抗板9とは、それぞ
れインナーケース3b と第1ハブ4および第2ハブ5と
に交互にスプライン結合されている。作動室7の略中央
にはスペーサ10が配設され、このスペーサ10によっ
て作動室7は第1作動室11と第2作動室12とに区画
されている。ここで、これらインナーケース3b 、第
1,2ハブ4,5、作動室7第1,2抵抗板8,9およ
びシリコンオイルは全体として従来のビスカスカップリ
ングの機能を果している。
アウターケース3a は第1図中左右端部に、軸受13を
介してデフキャリア14に回転自在に支持される第1支
持円筒部15a ,15b を有している。また、第1支持
円筒部15a ,15b の内周側には、インナーケース3
b の第2支持円筒部16a ,16b が位置している。第
2支持円筒部16a の右方端は、第1支持円筒部15a
よりも第1図中右方向に延設されており、この延設され
た第2支持円筒部16a の外周側には略環状の駆動部材
17が右側輪駆動軸6b の軸線方向(第1図中左右方
向)に摺動可能にスプライン嵌合されている。第1支持
円筒部15a と駆動部材17とは対向しており、これら
の対向する側には一対の歯18,19(係合部)がそれ
ぞれ形成され、噛合可能である。駆動部材17の外周側
には嵌合溝17a が形成され、この嵌合溝17a にはフ
ォーク20が嵌合し、このフォークを移動機構(図示せ
ず)によって摺動させると、駆動部材17の歯19と第
1支持円筒部15a の歯18とは噛合(係合)する。こ
こでアウターケース3a 、インナーケース3b 、駆動部
材17および歯18,19は、全体として従来の四輪駆
動車の駆動力断続装置の機能を有している。さらに、ア
ウターケース3a とインナケース3b との間には空隙2
1を有している。
次に、作用を説明する。
FF方式の四輪駆動車において、トランスファーを操作
して前輪駆動(二輪駆動)で走行するときには、移動機
構によってフォーク20を移動させて、駆動部材17を
第1図中右方へ摺動させる。このため、駆動部材17は
第1支持円筒部15a から離隔された状態にあり、駆動
部材17の歯19と第1支持円筒部15a の歯18とは
噛合しておらず、係合状態は遮断されている。したがっ
て、つれ回る左・右側後輪は左・右側輪駆動軸6a ,6
b を回転させ、さらに第1,2ハブ4,5、第1,2抵
抗板8,9およびインナーケース3b を回転するのみで
ある。すなわち左・右側輪駆動軸6a ,6b 、等1,2
ハブ4,5、第1,2抵抗板8,9およびインナーケー
ス3b は空転するのみで、アウターケース3a 、リング
ギア2およびドライブピニオンギア1を回転させること
はない。その結果、アウターケース3a 、リングギア
2、ドライブピニオンギア1からトランスファーまでの
駆動系をトルクの流れの逆方向から駆動してしまうこと
はなく、この駆動系の回転抵抗を減じ、またデフキャリ
ア14内に流入された潤滑油の撹拌抵抗を生じさせず、
さらに燃費の向上と摩耗の低減を図ることができる。加
えて駆動系から発生する騒音を低減させることができ
る。
次に、トランスファーを操作して四輪駆動で走行すると
きには、移動機構によってフォーク20を移動させて、
駆動部材17を第1図中左方へ摺動させる。駆動部材1
7とアウターケース3a との回転が同期すると、第2図
に示すように駆動部材17の歯19とアウターケース3
a の歯18とは噛合して係合状態となる。このため、ア
ウターケース3a は駆動部材17を介してインナーケー
ス3b と連結される。このようにして、アウターケース
3a がインナーケース3b と連結されると、内燃機関の
トルクはトランスファー等に駆動系からドライブピニオ
ンギア1へ伝達され、さらにリングギア2、アウターケ
ース3a 、駆動部材17、インナーケース3b 、第1,
2抵抗板8,9、第1,2ハブ4,5からそれぞれ左側
輪駆動軸6a および右側輪駆動軸6b へ伝達され、四輪
駆動で走行する(第2図において、太線によってトルク
の流れを示す)。
次に、車両が路面摩擦係数の小さな路面を走行するとき
に前輪がスリップすると、前輪駆動軸の回転の方が後輪
駆動軸6a ,6b の回転より速くなり、インナーケース
3b と連結している第1抵抗板8と、左側輪駆動軸6a
および右側輪駆動軸6b と連結している第2抵抗板9と
は相対回転し、シリコンオイルを剪断する。このため、
シリコンオイルの剪断力がトルクとして後輪駆動軸6a
,6b へ伝達され、後輪によって車両を押し出し、前
輪をスリップしている状態から脱出させる。
また、左・右側後輪のうち一方の車輪、例えば右側後輪
が路面からスリップすると、スリップしない左側後輪は
大きな抵抗を受ける。このため、第1ハブ4とインナー
ケース3b との間には回転数差が生じ、第1作動室11
内の第1抵抗板8と、第2抵抗板9とは相対回転し、シ
リコンオイルを剪断する。次に、この第1抵抗板8と第
2抵抗板9とによって剪断されるシリコンオイルの剪断
力は上昇して大きくなり、さらにアウタケース3a とイ
ンナケース3b との間に形成される空隙21によって、
インシュレータ効果が得られ、放熱がおこりにくくなる
ため、迅速にハンプ現象が起こる。このため、内燃機関
のトルクはインナーケース3b から左側輪駆動軸6a へ
直接伝達され、左側輪によってスリップしている右側輪
を脱出させ、車両は安定走行する。
さらに、車庫入れ等のようにハンドルを大きく切るとき
には、前輪駆動軸と後輪駆動軸との間には回転数差が生
じるが、この回転数差はインナーケース3b と第1,2
ハブ4,5とが相対回転することによって吸収させ、タ
イトコーナーブレーキング現象の発生を防止する。
このように、二輪駆動走行時には駆動部材17を摺動さ
せてアウターケース3a とインナーケース3b との連結
を遮断すれば、アウターケース3a 、リングギア2、ド
ライブピニオンギア1からトランスファーまでの駆動系
を、トルクの流れの逆方向から駆動してしまうことはな
い。したがって、この駆動系の回転抵抗を減じ、またデ
フキャリア14内に流入された潤滑油の撹拌抵抗を生じ
させず、さらに燃費の向上と摩耗の低減を図ることがで
きる。加えて駆動系から発生する騒音を低減させること
ができる。
また、四輪駆動走行時には駆動部材17を摺動させてア
ウターケース3a とインナーケース3b とを連結すれ
ば、前輪がスリップすると後輪によって車両を押し出
し、前輪のスリップしている状態から脱出させる、一
方、左右側後輪のうち一方の車輪がスリップすると、他
方の車輪によってスリップしている一方の車輪を脱出さ
せて、車両は安定走行する。さらに、車庫入れ時には、
インナーケース3b と第1,2ハブ4,5が相対回転す
るのでタイトコーナーブレーキング現象の発生は防止さ
れる。
したがって、四輪駆動車にこの発明に係る四輪駆動車の
駆動力伝達・断続装置を設けたことにより、従来のビス
カスカップリングと四輪駆動車の駆動力断続装置との機
能を併せて持たせることができる。すなわち、ぬかるみ
から迅速に脱出したり、また車庫入れ時等には前輪駆動
軸と後輪駆動軸との間に生じる回転数差を吸収してタイ
トコーナーブレーキング現象の発生を防止することがで
きるとともに、二輪駆動時には従動側動力伝達系の回転
による走行抵抗及び振動・騒音等を可及的に低減するこ
とができる。
ところで、インナーケース3b と第1,2ハブ4,5の
相対回転によって、封入されたシリコンオイルが急膨張
してインナーケース3b が損壊し、このインナーケース
3b からシリコンオイルが流出しても、インナーケース
3b の外側にはアウターケース3a が配設されているの
で、急激にシリコンオイルがデフキャリア内に漏出する
ことはないため、ベアリングB等の焼き付きが抑止でき
る。
[発明の効果] 以上説明したように、この発明によれば、従来のビスカ
スカップリングと四輪駆動車の駆動力断続装置の機能を
併せて持たせることができる。すなわち、ぬかるみから
迅速に脱出したり、また車庫入れ時等には前輪駆動軸と
後輪駆動軸との間に生じる回転数差を吸収してタイトコ
ーナーブレーキング現象の発生を防止することができる
とともに、二輪駆動時には従動側動力伝達系の回転によ
る燃費の悪化や走行抵抗及び振動・騒音等を可及的に低
減することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図はこの発明に係る四輪駆動車の駆動
力伝達・断続装置の一実施例を示す図であり、第1図は
この駆動力伝達・断続装置のケーシングと第3回転部材
とが連結されていない状態を示す断面図、第2図はこの
駆動力伝達・断続装置のケーシングと第3回転部材とが
連結されている状態を示す断面図である。 3a ……ケーシング、3b ……第3回転部材 4……第1回転部材、5……第2回転部材 7……作動室、8……第1抵抗板 9……第2抵抗板、17……駆動部材 18,19……係合部(歯)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】同一軸線上に配設された第1回転部材およ
    び第2回転部材と、この第1回転部材および第2回転部
    材と相対回転可能に配設された第3回転部材と、この第
    3回転部材と第1回転部材および第2回転部材とによっ
    て画成され粘性流体が封入された作動室と、この作動室
    に収納され第1回転部材および第2回転部材と第3回転
    部材とにそれぞれ交互に係合された第1抵抗板および第
    2抵抗板と、前記第3回転部材に相対回転可能に設けら
    れトルクが伝達されるケーシングと、このケーシングと
    第3回転部材とを離接可能に設けられた駆動部材とを備
    えたことを特徴とする四輪駆動車の駆動力伝達・断続装
    置。
JP5823588A 1988-03-14 1988-03-14 四輪駆動車の駆動力伝達・断続装置 Expired - Fee Related JPH0626939B2 (ja)

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