JPH0958287A - 動力伝達装置 - Google Patents

動力伝達装置

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JPH0958287A
JPH0958287A JP21444795A JP21444795A JPH0958287A JP H0958287 A JPH0958287 A JP H0958287A JP 21444795 A JP21444795 A JP 21444795A JP 21444795 A JP21444795 A JP 21444795A JP H0958287 A JPH0958287 A JP H0958287A
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JP
Japan
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coupling
power transmission
shaft
transmission torque
transmission device
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JP21444795A
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English (en)
Inventor
Tatsuya Matsunami
辰哉 松波
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 相対回転数に対する伝達トルク特性の設定の
自由度を高くし、使用場所や使用条件などに応じて所望
の伝達トルク特性を容易に設定できるようにする。 【解決手段】 前輪(駆動輪)20,22にスリップ等
が生じて後輪34,36との間で相対回転が生じた場合
に後輪34,36に動力を伝達するスタンバイ4WDの
連結手段として機能する動力伝達装置10を、相対回転
数に対して伝達トルクが滑らかに変化するビスカスカッ
プリング40と、所定の相対回転数で伝達トルクが急増
するダイラタンシー性流体カップリング42とを組み合
わせて構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は動力伝達装置に係
り、特に、相対回転数に応じて動力伝達を行う動力伝達
装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】相対回転可能に設けられた一対の回転部
材間に配設され、両者の相対回転数に応じて動力伝達を
行う動力伝達装置が、例えば車両の前後輪の差動や左右
輪の差動を制限する差動制限手段、或いはスタンバイ4
WDの前後輪を連結する連結手段などとして広く用いら
れている。スタンバイ4WDは、基本的には前輪および
後輪の一方(通常は前輪)が駆動輪で他方が遊動輪とさ
れているが、スリップなどで駆動輪と遊動輪との間で相
対回転が生じた場合には、連結手段により両者を連結し
てその遊動輪にも動力を伝達するようにした車両のこと
である。
【0003】上記のような動力伝達装置としては、シリ
コンオイル等の高粘性のビスカス流体の剪断抵抗力を利
用したビスカスカップリングや、外力が加えられると膨
張,固化するダイラタンシー(dilatancy) 現象を利用し
たダイラタンシー性流体カップリングなどが知られてい
る。また、容量が異なる一対のビスカスカップリングを
組み合わせて使用したり、ビスカスカップリングと遠心
クラッチとを組み合わせて使用したりすることが、例え
ば特開平3−139438号公報、特開平5−1493
50号公報等に記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ビスカ
スカップリング同士の組合せでは、相対回転数に対する
伝達トルクの変化特性が基本的に共通しているため、特
性の設定の自由度が低く、差動制限手段など使用条件に
応じて所望の特性を設定することが難しかった。例え
ば、車両の差動制限手段やスタンバイ4WDの連結手段
として用いる場合、低μ路での発進,加速,登坂性など
の走行性能の点では比較的高い伝達トルク(差動制限ト
ルク)が要求される一方、タイトコーナーブレーキング
現象を回避する上では伝達トルクは低い方が良く、両者
の調和の上で伝達トルク特性が設定されるため、必ずし
も十分に満足できるものではなかった。また、車輪が脱
輪したときの緊急脱出のためには、上記低μ路などでの
伝達トルクよりも更に高いトルクが求められるが、その
高トルクとタイトコーナーブレーキング現象回避とを両
立させることは困難である。ビスカスカップリングの伝
達トルク特性は、その外径寸法や内径寸法、プレートの
数、隙間、流体の粘性、空気の混入率などによって変化
し、空気の混入率を適当に設定することによりハンプ現
象を生じさせることができ、高伝達トルクが得られる
が、ハンプ現象が生じる相対回転数とその相対回転数に
達するまでの伝達トルク特性とを独立に設定することは
できない。
【0005】ビスカスカップリングと遠心クラッチとを
組み合わせたものについては、遠心クラッチは車速によ
って係合,解放されるため、上記のような相対回転数に
対する伝達トルク特性に関してはビスカスカップリング
のみによって定まり、その設定の自由度は小さい。
【0006】本発明は以上の事情を背景として為された
もので、その目的とするところは、相対回転数に対する
伝達トルク特性の設定の自由度を高くし、使用場所や使
用条件などに応じて所望の伝達トルク特性を容易に設定
できるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、第1発明は、相対回転可能に設けられた一対の回
転部材間に配設され、両者の相対回転数に応じて動力伝
達を行う動力伝達装置であって、ビスカスカップリング
およびダイラタンシー性流体カップリングの両方を含ん
で構成されていることを特徴とする。
【0008】第2発明は、上記第1発明の動力伝達装置
において、ビスカスカップリングおよびダイラタンシー
性流体カップリングが直列または並列に連結されている
ことを特徴とする。
【0009】第3発明は、前輪および後輪の一方が駆動
輪で他方が遊動輪とされているが、その駆動輪と遊動輪
との間で相対回転が生じた場合には、連結手段により両
者を連結してその遊動輪にも動力を伝達するスタンバイ
4WDにおいて、その連結手段として上記第1発明また
は第2発明の動力伝達装置が用いられることを特徴とす
る。
【0010】
【発明の効果】ビスカスカップリングは相対回転数に対
して伝達トルクが比較的滑らかに変化する特性を有する
のに対し、ダイラタンシー性流体カップリングは所定の
相対回転数で伝達トルクが急激に変化する特性を有する
ため、両者の伝達トルク特性は全く相違し、それ等を直
列に連結したり並列に連結したりすることより伝達トル
ク特性の設定の自由度が大幅に向上する。これにより、
使用場所や使用条件などに応じて所望の伝達トルク特性
を比較的容易に設定できるようになる。
【0011】スタンバイ4WDの連結手段として用いら
れる第3発明では、例えばダイラタンシー性流体カップ
リングおよびビスカスカップリングを直列に配置した場
合、低相対回転数での伝達トルクはダイラタンシー性流
体カップリングの作用で略零となり、タイトコーナーブ
レーキング現象が完全に防止されるとともに、所定の相
対回転数以上ではビスカスカップリングの伝達トルク特
性が有効となって伝達トルクが滑らかに上昇させられ、
脱輪時などにおける車両の急発進を回避しつつ低μ路で
の発進,加速,登坂性などの走行性能を満足させること
ができる。ビスカスカップリングおよびダイラタンシー
性流体カップリングを並列に配置した場合には、所定の
相対回転数まではビスカスカップリングにより比較的小
さい伝達トルクで動力伝達が行われ、低μ路での発進,
加速,登坂性などの走行性能を満足させつつタイトコー
ナーブレーキング現象を回避できるとともに、所定の相
対回転数以上ではダイラタンシー性流体カップリングに
より大きな伝達トルクで動力伝達が行われることにより
脱輪時の緊急脱出が可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】ここで、本発明の動力伝達装置
は、ビスカスカップリングおよびダイラタンシー性流体
カップリングを並列に連結する場合、例えば(a)前記
一対の回転部材の一方と一体的に軸心まわりに回転させ
られるシャフトと、(b)そのシャフトの外周側に相対
回転可能に配設され、前記一対の回転部材の他方と一体
的に回転させられるとともに、そのシャフトの軸方向に
隔ててそのシャフトの外周面との間に2つの液密なカッ
プリング収容室を形成するケースと、(c)その2つの
カップリング収容室の一方および他方にそれぞれ配設さ
れるビスカスカップリングおよびダイラタンシー性流体
カップリングとを有して構成される。すなわち、ビスカ
スカップリングおよびダイラタンシー性流体カップリン
グを、単一のケースとシャフトとの間に並列に配設する
のであり、装置がコンパクトに構成される。
【0013】また、ビスカスカップリングおよびダイラ
タンシー性流体カップリングを直列に連結する場合は、
例えば(a)軸心まわりの回転可能なシャフトと、
(b)そのシャフトの外周側に相対回転可能に配設さ
れ、前記一対の回転部材の一方と一体的に回転させられ
るとともに、そのシャフトの外周面との間に液密な第1
カップリング収容室を形成する第1ケースと、(c)前
記シャフトの軸方向において前記第1ケースに隣接して
そのシャフトの外周側に相対回転可能に配設され、前記
一対の回転部材の他方と一体的に回転させられるととも
に、そのシャフトの外周面との間に液密な第2カップリ
ング収容室を形成する第2ケースと、(d)前記第1カ
ップリング収容室および前記第2カップリング収容室の
一方および他方にそれぞれ配設されるビスカスカップリ
ングおよびダイラタンシー性流体カップリングとを有し
て構成される。すなわち、単一のシャフトの軸方向に隔
てて一対の第1ケースおよび第2ケースを配設し、それ
らのケース内にビスカスカップリングおよびダイラタン
シー性流体カップリングを収容するのであり、この場合
も装置がコンパクトに構成される。
【0014】次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。図1は、本発明の動力伝達装置10がス
タンバイ4WDの連結手段として用いられている場合
で、エンジン12の出力はフロント側差動装置14から
左右の車軸16,18に分配されて駆動輪である左右の
前輪20,22に伝達される一方、差動装置14の入力
回転部材24は傘歯車を介してプロペラシャフト26に
連結されており、そのプロペラシャフト26に動力伝達
装置10が介在させられている。プロペラシャフト26
は、入力回転部材24に連結されたフロント側シャフト
26aと、リヤ側差動装置28に傘歯車を介して連結さ
れたリヤ側シャフト26bとに2分割されており、それ
等の間に動力伝達装置10が配設されている。リヤ側差
動装置28は、左右の車軸30,32を介して左右の後
輪34,36に連結されているが、その後輪34,36
と前輪20,22との間の相対回転数が略零の場合、す
なわちフロント側シャフト26aとリヤ側シャフト26
bとの回転速度差が略零の場合は、動力伝達装置10に
よる伝達トルクは零で動力伝達は行われず、後輪34,
36は車両の走行に伴って回転させられる遊動輪であ
る。しかし、前輪20,22のスリップや脱輪などで後
輪34,36との間に相対回転が生じると、動力伝達装
置10はその相対回転数に応じて動力伝達を行うように
なり、後輪34,36がエンジン12によって回転駆動
される。本実施例では、上記フロント側シャフト26a
およびリヤ側シャフト26bが、相対回転可能に設けら
れた一対の回転部材に相当する。
【0015】動力伝達装置10は、図2に具体的に示す
ように、ビスカスカップリング40とダイラタンシー性
流体カップリング42とを一体的に組み合わせたもの
で、軸心O1 まわりの回転可能なシャフト46と、円筒
形状のケース本体44aの両端に一対のカバー44b,
44cが溶接などにより一体的に固設され、シャフト4
6の外周側に軸心O1 まわりの相対回転可能に配設され
たケース44とを備えており、そのケース44とシャフ
ト46との間にビスカスカップリング40およびダイラ
タンシー性流体カップリング42が並列に配設されてい
る。すなわち、ケース本体44aには仕切り板部44d
が一体に設けられており、その仕切り板部44dとカバ
ー44bとの間の第1カップリング収容室48内にビス
カスカップリング40が配設されている一方、仕切り板
部44dとカバー44cとの間の第2カップリング収容
室50内にダイラタンシー性流体カップリング42が配
設されているのである。カバー44b,44cおよび仕
切り板部44dとシャフト46との間はOリング等のシ
ール部材52によって液密にシールされているととも
に、カバー44bおよびシャフト46には、それぞれ回
転部材に相対回転不能に連結されるスプライン等の連結
部54,56が一体に設けられている。図1では、シャ
フト46がフロント側シャフト26aに連結され、ケー
ス44がリヤ側シャフト26bに連結されているが、反
対に連結しても差し支えない。
【0016】ビスカスカップリング40は、上記第1カ
ップリング収容室48内においてケース本体44aに相
対回転不能にスプライン嵌合された複数のアウタプレー
ト58と、軸心O1 方向においてアウタプレート58と
交互に配設されるとともにシャフト46に相対回転不能
にスプライン嵌合された複数のインナプレート60と、
第1カップリング収容室48内に封入されたシリコンオ
イル等の高粘性のビスカス流体とを含んで構成されてい
る。このビスカスカップリング40は、ケース44とシ
ャフト46との相対回転数ΔNに応じてビスカス流体の
剪断抵抗力により動力伝達を行うもので、その伝達トル
ク特性は、プレート58,60の外径寸法や内径寸法、
枚数、隙間、ビスカス流体の種類や粘性、空気の混入率
などによって設定される。図3は、かかるビスカスカッ
プリング40の伝達トルク特性の一例で、伝達トルクT
v は相対回転数ΔNに対して比較的滑らかに変化する。
【0017】ダイラタンシー性流体カップリング42
は、第2カップリング収容室50内においてシャフト4
6に相対回転不能に配設された単一のプレート62と、
第2カップリング収容室50内に封入されたダイラタン
シー性流体とを含んで構成されており、図4に示すよう
にケース44とシャフト46との相対回転数ΔNが所定
の回転数N1 に達すると、ダイラタンシー性流体が膨
張,固化して伝達トルクTd が急激に上昇する。このダ
イラタンシー性流体カップリング42の伝達トルク特性
は、ダイラタンシー性流体の種類やケース44とプレー
ト62との間の隙間、プレート62の外径寸法、外周形
状、軸方向寸法などによって設定される。
【0018】そして、上記ビスカスカップリング40と
ダイラタンシー性流体カップリング42とが並列に組み
合わされた動力伝達装置10の全体の伝達トルクTの特
性は、図3および図4の伝達トルクTv とTd とを加算
したもので、図5に示すように所定の相対回転数N1
達するまではビスカスカップリング40のみで動力伝達
する場合と略同じ特性を示し、その相対回転数N1 を超
えるとダイラタンシー性流体カップリング42の作用で
伝達トルクTは急激に上昇する。したがって、ダイラタ
ンシー性流体カップリング42の伝達トルク特性につい
ては、例えば相対回転数N1 がタイトコーナーブレーキ
ング現象を確実に回避できる回転数以上、すなわちスリ
ップを生じない乾燥路での急カーブ時における相対回転
数より高い値となり、且つ動力伝達時には脱輪時の脱出
を可能とする程度の高伝達トルクが得られるように設定
され、ビスカスカップリング40の伝達トルク特性につ
いては、例えば低μ路での発進,加速,登坂性などの走
行性能を満足させつつタイトコーナーブレーキング現象
を回避する上で最適な特性となるように設定される。こ
のようにすれば、低μ路での発進,加速,登坂性などの
走行性能を満足させつつタイトコーナーブレーキング現
象を回避できるとともに脱輪時の緊急脱出が可能とな
る。
【0019】このように、本実施例の動力伝達装置10
は伝達トルク特性が全く異なるビスカスカップリング4
0とダイラタンシー性流体カップリング42とを並列に
組み合わせたものであるため、低μ路走行やコーナリン
グなどの通常走行時の伝達トルク特性についてはビスカ
スカップリング40によって設定すれば良い一方、緊急
脱出時の伝達トルクについてはダイラタンシー性流体カ
ップリング42によって通常走行時の伝達トルク特性と
は独立に設定すれば良いなど、全体の伝達トルクTの特
性の設定の自由度が大幅に向上し、低μ路での発進,加
速,登坂性などの走行性能を満足させつつタイトコーナ
ーブレーキング現象を回避できるとともに脱輪時の緊急
脱出が可能となる。また、本実施例の動力伝達装置10
は、ビスカスカップリング40およびダイラタンシー性
流体カップリング42を単一のケース44とシャフト4
6との間に並列に配設したものであるため、装置がコン
パクトに構成され、スタンバイ4WDの連結手段として
好適に配設できる利点がある。
【0020】次に、本発明の他の実施例を説明する。な
お、以下の実施例において前記実施例と実質的に共通す
る部分には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0021】図6は、前記動力伝達装置10を差動制限
手段として車両の各部に配設した場合で、(a)はエン
ジン12によりリヤ側差動装置28を介して後輪34,
36を回転駆動する後輪駆動車両において、そのリヤ側
差動装置28の差動を制限するためにリヤ側差動装置2
8の入力回転部材66と車軸32との間に配設した場合
であり、それ等の入力回転部材66および車軸32が一
対の回転部材に相当する。(b)はエンジン12により
フロント側差動装置14を介して前輪20,22を回転
駆動する前輪駆動車両において、そのフロント側差動装
置14の差動を制限するためにフロント側差動装置14
の入力回転部材24と車軸18との間に配設した場合
で、それ等の入力回転部材24および車軸18が一対の
回転部材に相当する。(c)はエンジン12の出力をセ
ンタ差動装置68により前後に分配し、フロント側プロ
ペラシャフト70およびリヤ側プロペラシャフト72か
らフロント側差動装置14,リヤ側差動装置28に伝達
して前輪20,22および後輪34,36を常時回転駆
動する4輪駆動車両において、そのセンタ差動装置68
の差動を制限するためにセンタ差動装置68の入力回転
部材74とリヤ側プロペラシャフト72との間に配設し
た場合で、それ等の入力回転部材74およびリヤ側プロ
ペラシャフト72が一対の回転部材に相当する。何れの
場合も、その伝達トルクTの基本特性は前記図5と同じ
であるが、伝達トルクTが急激に増大する相対回転数N
1 や、その相対回転数N1 以下における伝達トルクTの
大きさ、変化特性などは、配設場所の条件などに応じて
適宜設定される。なお、この場合は、前記図2における
シャフト46の両端部をケース44から突き出させ、そ
の両端部にスプライン等の連結部を設けて車軸や差動装
置等に連結するようにすれば良い。また、図1および図
6の(c)におけるフロント側差動装置14やリヤ側差
動装置28にも、図6の(a),(b)と同様に本実施
例の動力伝達装置10を差動制限手段として配設するこ
とができる。
【0022】図7は、ビスカスカップリング82とダイ
ラタンシー性流体カップリング84とを直列に接続した
動力伝達装置80を、スタンバイ4WDの連結手段とし
て配設した場合である。この動力伝達装置80は、図8
に示すように、軸心O2 まわりの回転可能なシャフト8
6と、そのシャフト86の外周側に相対回転可能に配設
されるとともに、そのシャフト86の外周面との間に第
1カップリング収容室88を形成する第1ケース90
と、シャフト86の軸方向において第1ケース90に隣
接して軸心O2 まわりの相対回転可能に配設されるとと
もに、そのシャフト86の外周面との間に液密な第2カ
ップリング収容室92を形成する第2ケース94とを備
えており、第1カップリング収容室88内にビスカスカ
ップリング82が配設され、第2カップリング収容室9
2内にダイラタンシー性流体カップリング84が配設さ
れている。上記第1カップリング収容室88,第2カッ
プリング収容室92は、それぞれ一対のシール部材9
6,98によって液密にシールされているとともに、第
1ケース90,第2ケース94には、それぞれ回転部材
に相対回転不能に連結されるスプライン等の連結部10
0,102が一体に設けられている。図7では、第2ケ
ース94がフロント側シャフト26aに連結され、第1
ケース90がリヤ側シャフト26bに連結されている
が、反対に連結しても差し支えない。
【0023】ビスカスカップリング82は、上記第1カ
ップリング収容室88内において第1ケース90に相対
回転不能にスプライン嵌合された複数のアウタプレート
104と、軸心O2 方向においてアウタプレート104
と交互に配設されるとともにシャフト86に相対回転不
能にスプライン嵌合された複数のインナプレート106
と、第1カップリング収容室88内に封入されたビスカ
ス流体とを含んで構成されており、第1ケース90とシ
ャフト86との相対回転数ΔNAに対して例えば図9に
示すような伝達トルク特性を有する。ダイラタンシー性
流体カップリング84は、第2カップリング収容室92
内においてシャフト86に相対回転不能に配設された単
一のプレート108と、第2カップリング収容室92内
に封入されたダイラタンシー性流体とを含んで構成され
ており、第2ケース94とシャフト86との相対回転数
ΔNBに対して例えば図10に示すような伝達トルク特
性を有する。そして、上記ビスカスカップリング82と
ダイラタンシー性流体カップリング84とが直列に組み
合わされた動力伝達装置80の全体の伝達トルクTの特
性は、第1ケース90と第2ケース94との相対回転数
ΔN(=ΔNA+ΔNB)に対して図11に示すように
なる。
【0024】ここで、ダイラタンシー性流体カップリン
グ84の伝達トルクTd が上昇する相対回転数N2 に達
するまでは、ダイラタンシー性流体カップリング84の
みが相対回転させられ、ビスカスカップリング82は略
一体回転させられており、その時の全体の相対回転数Δ
N≒ΔNBで全体の伝達トルクTは略零である。全体の
相対回転数ΔNすなわちダイラタンシー性流体カップリ
ング84の相対回転数ΔNBが相対回転数N2 に達する
と、ダイラタンシー性流体カップリング84の伝達トル
クTd が上昇し、Td =Tv の状態で動力伝達が行われ
ることからダイラタンシー性流体カップリング84の相
対回転数ΔNBは(N2 +α)となる。αは図10にお
ける回転数n以下の値であり、ビスカスカップリング8
2の相対回転数ΔNAは(ΔN−ΔNB)=(ΔN−N
2 −α)となるが、α≒0であるため、全体の伝達トル
クTの特性は、図9のグラフをN2 だけずらした特性と
略一致する。したがって、ダイラタンシー性流体カップ
リング84の伝達トルク特性については、例えば相対回
転数N2 がタイトコーナーブレーキング現象を確実に回
避できる回転数以上、すなわちスリップを生じない乾燥
路での急カーブ時における相対回転数より高い値となる
ように設定され、ビスカスカップリング82の伝達トル
ク特性については、例えば低μ路での発進,加速,登坂
性などの走行性能が得られるように、タイトコーナーブ
レーキング現象回避とは無関係に独立に設定される。こ
のようにすれば、タイトコーナーブレーキング現象を確
実に回避できるとともに、相対回転数N2 以上ではビス
カスカップリング82の作用で伝達トルクTが滑らかに
上昇させられ、脱輪時などにおける車両の急発進を回避
しつつ低μ路での発進,加速,登坂性などの走行性能を
満足させることができる。なお、上記相対回転数N
2 は、前記第1実施例の相対回転数N1 よりも小さな値
である。
【0025】このように、本実施例の動力伝達装置80
は伝達トルク特性が全く異なるビスカスカップリング8
2とダイラタンシー性流体カップリング84とを直列に
組み合わせたものであるため、タイトコーナーブレーキ
ング現象についてはダイラタンシー性流体カップリング
84の伝達トルク特性を適当に設定することにより確実
に回避できる一方、低μ路などで必要十分な走行性能を
得るための伝達トルク特性については、ビスカスカップ
リング82によってタイトコーナーブレーキング現象回
避とは無関係に独立に設定すれば良いなど、全体の伝達
トルクTの特性の設定の自由度が大幅に向上し、タイト
コーナーブレーキング現象を確実に回避できて燃料消費
量を低減できるとともに、脱輪時などにおける車両の急
発進を回避しつつ低μ路での発進,加速,登坂性などの
走行性能を満足させることができる。また、本実施例の
動力伝達装置80は、単一のシャフト86の軸方向に隔
てて第1ケース90および第2ケース94を配設し、そ
れ等のケース内にビスカスカップリング82およびダイ
ラタンシー性流体カップリング84を配設したものであ
るため、装置がコンパクトに構成され、スタンバイ4W
Dの連結手段として好適に配設できる利点がある。
【0026】図12は、上記動力伝達装置80を差動制
限手段として車両の各部に配設した場合で、(a)〜
(c)はそれぞれ前記図6の(a)〜(c)に対応し、
(a)は後輪駆動車両においてリヤ側差動装置28の入
力回転部材66と車軸32との間に歯車等を介して並列
に配設した場合であり、入力回転部材66および車軸3
2が一対の回転部材に相当する。(b)は前輪駆動車両
においてフロント側差動装置14の入力回転部材24と
車軸18との間に歯車等を介して並列に配設した場合
で、それ等の入力回転部材24および車軸18が一対の
回転部材に相当する。(c)は4輪駆動車両においてセ
ンタ差動装置68の入力回転部材74とリヤ側プロペラ
シャフト72との間に歯車等を介して並列に配設した場
合で、それ等の入力回転部材74およびリヤ側プロペラ
シャフト72が一対の回転部材に相当する。何れの場合
も、その伝達トルクTの基本特性は前記図11と同じで
あるが、伝達トルクTが増大し始める相対回転数N
2 や、その相対回転数N2 以上における伝達トルクTの
大きさ、変化特性などは、配設場所の条件などに応じて
適宜設定される。なお、図7および図12の(c)にお
けるフロント側差動装置14やリヤ側差動装置28に
も、図12の(a),(b)と同様に本実施例の動力伝
達装置80を差動制限手段として配設することができ
る。
【0027】図13の動力伝達装置110は、前記動力
伝達装置10と同様にビスカスカップリング112とダ
イラタンシー性流体カップリング114とを並列に連結
したものに、更にダイラタンシー性流体カップリング1
16を直列に連結したもので、スタンバイ4WDの連結
手段として用いられている場合である。このような動力
伝達装置110においては、フロント側シャフト26a
とリヤ側シャフト26bとの相対回転数ΔNに対する伝
達トルクTの特性を図14に示すように設定することが
可能で、低μ路での発進,加速,登坂性などの走行性能
を満足させつつタイトコーナーブレーキング現象を確実
に回避できて燃料消費量が低減される一方、脱輪時の緊
急脱出に必要な十分な伝達トルクが得られるようにな
る。なお、この動力伝達装置110についても、前記図
12に示すような配設形態で使用することにより、差動
制限手段として用いることが可能である。
【0028】以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳
細に説明したが、本発明は更に別の態様で実施すること
もできる。
【0029】例えば、前記実施例では本発明が車両用の
動力伝達装置に適用された場合について説明したが、車
両以外の動力伝達装置に適用することも可能である。
【0030】また、前記実施例ではビスカスカップリン
グのハンプ現象について触れていないが、ビスカスカッ
プリングのハンプ現象を積極的に利用して伝達トルク特
性を設定することも可能である。
【0031】また、前記実施例における動力伝達装置の
ビスカスカップリングとダイラタンシー性流体カップリ
ングとの組合せ、すなわち連結形態はあくまでも一例で
あり、他の種々の組合せを採用できる。
【0032】その他一々例示はしないが、本発明は当業
者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実
施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である動力伝達装置がスタン
バイ4WDの連結手段として用いられている場合の一例
を説明する骨子図である。
【図2】図1の動力伝達装置の構成を説明する断面図で
ある。
【図3】図2の動力伝達装置におけるビスカスカップリ
ングの伝達トルク特性を説明する図である。
【図4】図2の動力伝達装置におけるダイラタンシー性
流体カップリングの伝達トルク特性を説明する図であ
る。
【図5】図2の動力伝達装置の全体の伝達トルク特性を
説明する図である。
【図6】図2の動力伝達装置を差動制限手段として用い
る場合の種々の配設形態を説明する骨子図である。
【図7】本発明の別の実施例の動力伝達装置がスタンバ
イ4WDの連結手段として用いられている場合の一例を
説明する骨子図である。
【図8】図7の動力伝達装置の構成を説明する断面図で
ある。
【図9】図8の動力伝達装置におけるビスカスカップリ
ングの伝達トルク特性を説明する図である。
【図10】図8の動力伝達装置におけるダイラタンシー
性流体カップリングの伝達トルク特性を説明する図であ
る。
【図11】図8の動力伝達装置の全体の伝達トルク特性
を説明する図である。
【図12】図8の動力伝達装置を差動制限手段として用
いる場合の種々の配設形態を説明する骨子図である。
【図13】本発明の更に別の実施例の動力伝達装置がス
タンバイ4WDの連結手段として用いられている場合の
一例を説明する骨子図である。
【図14】図13の動力伝達装置の全体の伝達トルク特
性を説明する図である。
【符号の説明】
10,80,110:動力伝達装置 40,82,112:ビスカスカップリング 42,84,114,116:ダイラタンシー性流体カ
ップリング

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相対回転可能に設けられた一対の回転部
    材間に配設され、両者の相対回転数に応じて動力伝達を
    行う動力伝達装置であって、 ビスカスカップリングおよびダイラタンシー性流体カッ
    プリングの両方を含んで構成されていることを特徴とす
    る動力伝達装置。
  2. 【請求項2】 ビスカスカップリングおよびダイラタン
    シー性流体カップリングが直列または並列に連結されて
    いる請求項1に記載の動力伝達装置。
  3. 【請求項3】 前輪および後輪の一方が駆動輪で他方が
    遊動輪とされているが、該駆動輪と遊動輪との間で相対
    回転が生じた場合には、連結手段により両者を連結して
    該遊動輪にも動力を伝達するスタンバイ4WDにおい
    て、該連結手段として用いられる請求項1または2に記
    載の動力伝達装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6834738B2 (en) 2000-03-24 2004-12-28 Fuji Jukogyo Kabushiki Kaisha Power transmitting system for four-wheel drive vehicle
DE102005053965B4 (de) * 2004-11-12 2013-01-03 Toyota Jidosha K.K. Abnormalitätserfassungsvorrichtung für Raddrehzahlsensoren und ein dieselbe aufweisendes Fahrzeug
WO2018011965A1 (ja) 2016-07-15 2018-01-18 和歌山県 トルク伝達装置、制動装置および動力伝達装置

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