JP3826437B2 - スタンバイ四輪駆動車 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両の定常走行時には二輪駆動状態となり、悪路や氷雪路などを走行して駆動輪がスリップした場合には自動的に四輪駆動状態となるように構成されたスタンバイ四輪駆動車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
四輪駆動車の駆動方式には、車両の定常走行時に二輪駆動状態が維持され、悪路や氷雪路などを走行して駆動輪がスリップした場合には自動的に四輪にトルクが伝達されるように構成されたスタンバイ四輪駆動方式があり、その一例が特開昭63−186043号公報に記載されている。
【0003】
この公報に記載された四輪駆動車は、エンジンと変速機と差動装置とを備え、差動装置には車軸を介して前輪が連結されている。また、差動装置には、プロペラシャフトと動力伝達装置とビスカスカップリングとが順次直列に連結され、ビスカスカップリングには車軸を介して後輪が連結されている。
【0004】
ビスカスカップリングは、シリコンオイルと、相対回転可能なインナープレートおよびアウタープレートとを備えている。なお、動力伝達装置には、プロペラシャフトの入力軸からプロペラシャフトの出力軸に向けてのみトルク伝達可能な一方向クラッチが設けられている。
【0005】
そして、エンジンから出力されたトルクが、変速装置、差動装置、車軸を介して前輪に伝達されて車両が走行する一方、車両の定常走行状態ではビスカスカップリングが動作しないため、後輪にはトルクが伝達されず二輪駆動状態に維持される。
【0006】
また、車両の走行中に前輪がスリップした場合には、ビスカスカップリングのインナープレートとアウタープレートとが相対回転し、せん断力により相対回転を制限する働き、つまりトルクが発生して後輪に伝達されて四輪駆動状態となる。なお、この四輪駆動車の動力伝達装置には一方向クラッチが設けられているため、前輪に対する制動力が後輪に伝達されないという利点がある。
【0007】
上記のように、ビスカスカップリングを用いて前輪と後輪とに伝達するトルクの分配率を制御する構成のスタンバイ四輪駆動車においては、ビスカスカップリングに用いられるシリコンオイルの粘度により車両の走行性能が左右される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記公報に記載された四輪駆動車がコーナーを曲がる際、つまり、前輪と後輪との差動回転数の差が小さい走行状態で後輪に伝達されるトルクを抑制すれば、タイトコーナーブレーキング現象を回避することができる。これは、前述したビスカスカップリングの特性から、シリコンオイルの粘度を低く設定すれば達成可能である。
【0009】
一方、悪路や氷雪路を走行中に前輪がスリップした場合には、前輪に伝達されるトルクを抑制するとともに、後輪にトルクを伝達して四輪駆動状態にすれば、走行性能が向上する。これは、ビスカスカップリングのシリコンオイルの粘度を高く設定することで達成可能である。
【0010】
しかしながら、上記公報に記載された四輪駆動車では、ビスカスカップリングのシリコンオイルの粘度を同時に高低両方に設定することは不可能であり、タイトコーナーブレーキング現象の回避と、前輪と後輪との差動回転数が大きい走行状態での充分な伝達トルクの確保とを両立することは困難であった。
【0011】
この事態に対処するため、ビスカスカップリングのインナープレートおよびアウタープレートの外径を大きく設定したり、インナープレートおよびアウタープレートの枚数を増やすことにより、差動回転数が大きい走行状態での充分な伝達トルクの確保を図ることも可能であるが、ビスカスカップリング全体が大型化して車載性が低下するうえ、製造コストが上昇するため実用的ではない。
【0012】
この発明は上記事情を背景としてなされたもので、第1駆動輪と第2駆動輪との回転数比の変化量が所定値以下の場合、より具体的には第1駆動輪と第2駆動輪との回転数差が所定値以下の場合には第2駆動輪にトルクを伝達せず、かつ、第1駆動輪と第2駆動輪との回転数比の変化量が所定値を越えた場合、より具体的には第1駆動輪と第2駆動輪との回転数差が所定値を越えた場合には第2駆動輪にトルクを伝達することのできるスタンバイ四輪駆動車を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記目的を達成するためこの発明は、駆動力源に第1デファレンシャルギヤを介して連結された第1駆動輪と、前記駆動力源に第2デファレンシャルギヤを介して連結された第1トルク伝達部材と、この第1トルク伝達部材に連結された第2トルク伝達部材と、この第2トルク伝達部材に連結された第2駆動輪と、前記第1トルク伝達部材と第2トルク伝達部材との連結部分に配置され、かつ、互いに直列に連結された一方向クラッチおよびビスカスカップリングとを備えたスタンバイ四輪駆動車において、前記第1駆動輪および第2駆動輪の外径ならびに前記第1デファレンシャルギヤおよび第2デファレンシャルギヤのギヤ比が、車両の定常走行状態で前記第2トルク伝達部材の回転速度が前記第1トルク伝達部材の回転速度よりも速くなるように設定されていて、前記一方向クラッチが、前記第1トルク伝達部材の回転速度が前記第2トルク伝達部材の回転速度を越えた場合に係合するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
この発明で車両の定常走行状態とは、車両に設けられた制動装置の制動力が第1駆動輪および第2駆動輪に対して作用せず、かつ、第1駆動輪および第2駆動輪がスリップしていない走行状態をいう。
【0015】
この発明によれば、駆動力源の出力トルクが第1駆動輪に伝達されて車両が走行し、車両の定常走行状態では第1駆動輪と第2駆動輪との回転数比が一定となり、かつ、第2トルク伝達部材の回転速度が第1トルク伝達部材の回転速度よりも速く設定されるため、一方向クラッチが解放されてビスカスカップリングがトルクを発生せず二輪駆動状態になる。
【0016】
また、車両の走行中に第1駆動輪と第2駆動輪との回転数比に変化が生じた場合でも、回転数比の変化量が所定値よりも小さい場合、具体的には第1トルク伝達部材の回転速度が第2トルク伝達部材の回転速度以下の走行状態では一方向クラッチが解放状態に維持される。したがって、車両がコーナーを曲がる際に第1駆動輪と第2駆動輪とに小さな回転数比の変化が生じても、第2駆動輪にはトルクが伝達されず、タイトコーナーブレーキング現象を防止できる。
【0017】
一方、車両が悪路、氷雪路などを走行して第1駆動輪がスリップして第1駆動輪と第2駆動輪とに所定値を越える大きな回転数比の変化が生じた場合、具体的には第1トルク伝達部材の回転速度が第2トルク伝達部材の回転速度を越えた場合には一方向クラッチが係合される。その結果、ビスカスカップリングにより第1トルク伝達部材と第2トルク伝達部材との回転速度差に応じたトルクが発生し、充分なトルクが第2駆動輪に伝達されて四輪駆動状態になり、車両の走行性能が向上する。
【0018】
さらにこの発明では、第1トルク伝達部材と第2トルク伝達部材との回転速度の設定と、一方向クラッチの係合方向の設定とにより、第2駆動輪に伝達する充分なトルクを確保する構成となっているため、汎用のビスカスカップリングをそのまま使用でき、ビスカスカップリングの大型化による車載性の低下や製造コストの上昇を防止できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
つぎに、この発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1はこの発明を適用したFF(フロントエンジンフロントドライブ)車ベースのスタンバイ四輪駆動車の概略構成を示す平面図である。図1において、車両の前部にはエンジン1が搭載されている。エンジン1としては、例えばガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなどの内燃機関が用いられる。エンジン1の出力側には変速機2が連結されている。この変速機2としては、例えば選択歯車式変速機、遊星歯車式変速機、自動変速機などが用いられる。
【0020】
変速機2の出力側にはフロントデファレンシャル3が連結されている。フロントデファレンシャル3はフロントデフケース4を備えており、フロントデフケース4には、リングギヤ5とトランスファドライブギヤ6とが形成されている。また、フロントデフケース4の内部にはピニオンピン7に支持されたピニオンギヤ8が設けられており、ピニオンギヤ8に噛み合わされたサイドギヤ9にはフロントドライブシャフト10が連結され、フロントドライブシャフト10の端部に第1駆動輪としての前輪11が取り付けられている。
【0021】
一方、フロントデファレンシャル3の後方には、車両の前後方向に第1トルク伝達部材としてのフロントプロペラシャフト12が配置されており、フロントプロペラシャフト12の先端に形成されたトランスファドリブンギヤ13がトランスファドライブギヤ6に噛み合わされている。フロントプロペラシャフト12の後方には一方向クラッチ14およびビスカスカップリング15が直列に連結されているとともに、ビスカスカップリング15の後方には、車両の前後方向に配置された第1トルク伝達部材としてのリヤプロペラシャフト16が連結されている。
【0022】
図2は一方向クラッチ14およびビスカスカップリング15の構成を示す拡大断面図であり、一方向クラッチ14とビスカスカップリング15とが一体的に組み付けられている。17は、フロントプロペラシャフト12の後端に設けられたフランジヨークであり、フランジヨーク17の後部にはフランジ18が形成されている。一方向クラッチ14は、アウターレース19と、アウターレース19の内側に配置されたインナーレース20と、アウターレース19とインナーレース20との間に円周方向に配置された複数の係合体21とを備えており、アウターレース19とフランジ18とが、ねじ22により締め付け固定されている。
【0023】
なお、インナーレース20の後端外周にはフランジ23が形成されている。そして一方向クラッチ14は、フロントプロペラシャフト12の回転速度がリヤプロペラシャフト16の回転速度を越えた場合に、複数の係合体21がアウターレース19とインナーレース20とに係合されてアウターレース19のトルクがインナーレース20に伝達される構成となっている。
【0024】
また、ビスカスカップリング15は、フランジ23の外周に固定された円筒状のケース24と、リヤプロペラシャフト16の先端にスプライン嵌合された円筒状のハブ25とを備えており、ハブ25の一端はインナーレース20の内周に対して相対回転可能に挿入されている。また、ケース24の後端には断面L字形に成形された環状のカバー26が固定されており、ハブ25の他端がカバー26の内周に対して相対回転可能に挿入されている。
【0025】
上記のフランジ23、ケース24、ハブ25、カバー26により形成された環状の油室27にはシリコンオイル(図示せず)が充填されている。さらに、ケース24の内周には環状のアウタープレート28が複数スプライン嵌合されている一方、ハブ25の外周には環状のインナープレート29が複数スプライン嵌合されており、これらアウタープレート28とインナープレート29とが交互に配置されている。なお、インナーレース20の内周にはシールリング30が装着され、カバー26の内周にはシールリング31が装着されており、シールリング30,31により油室27の密封性が維持されている。
【0026】
一方、前記リヤプロペラシャフト16の後端にはドライブピニオンギヤ32が形成されており、リヤプロペラシャフト16の後端がリヤデファレンシャル33に連結されている。リヤデファレンシャル33はデフケース34を備えており、デフケース34には、ドライブピニオンギヤ32に噛み合わされたリングギヤ35が形成されているとともに、デフケース34の内部にはピニオンピン36に支持されたピニオンギヤ37が設けられている。また、ピニオンギヤ37にはサイドギヤ38が噛み合わされており、サイドギヤ38にはリヤドライブシャフト39を介して第2駆動輪としての後輪40が連結されている。
【0027】
なお、この実施例では前輪11の外径と後輪40の外径とがほぼ同一に設定されている一方、フロントデファレンシャル3とリヤデファレンシャル33とのギヤ比は、フロントデファレンシャル3の値よりもリヤデファレンシャル33の値の方が大きく設定されている。
【0028】
つぎに、上記構成のスタンバイ四輪駆動車の動作を説明する。まず、エンジン1から出力されたトルクは変速機2、差動装置(フロントデファレンシャル)3、フロントドライブシャフト10を介して前輪11に伝達され、前輪11の駆動力により車両が走行する。車両の定常走行状態、つまり、車両側に設けられた制動装置の制動力が前輪11および後輪40に作用せず、かつ、前輪11および後輪40がスリップしていない走行状態では、前輪11と後輪40との回転数はほぼ同一、つまり回転数比は1:1であり、フロントプロペラシャフト12の回転速度よりもリヤプロペラシャフト16の回転数の方が速く設定される。
【0029】
これは、前輪11および後輪40の外径と、フロントデファレンシャル3とリヤデファレンシャル33のギヤ比の設定とに基づくものである。その結果、一方向クラッチ14が解放状態になってビスカスカップリング15は動作せず二輪駆動状態になる。
【0030】
また、車両がコーナーを曲がる際に前輪11と後輪40との回転数比に変化が生じた場合、つまり移動半径の差により差動回転が生じた場合には、フロントプロペラシャフト12の回転速度とリヤプロペラシャフト16の回転速度との差が減少するが、フロントプロペラシャフト12およびリヤプロペラシャフト16の回転速度がほぼ同一になるまでは一方向クラッチ14が解放状態に維持される。したがって、後輪40にはトルクが伝達されず二輪駆動状態が維持され、タイトコーナーブレーキング現象を防止できる。
【0031】
一方、車両が悪路や氷雪路などを走行して前輪11がスリップして前輪11と後輪40との差動回転数が所定値を越えた場合、具体的にはフロントプロペラシャフト12の回転数がリヤプロペラシャフト16の回転数を越えた場合には、一方向クラッチ14が係合状態となってフロントプロペラシャフト12のトルクがインナーレース20を介してビスカスカップリング15のケース24に伝達される。
【0032】
すると、アウタープレート28とインナープレート29との回転数差に応じてシリコンオイルにせん断力が生じ、せん断力により回転されるインナープレート29のトルクがリヤプロペラシャフト16、リヤデファレンシャル33、リヤドライブシャフト39を介して後輪40に伝達され、四輪駆動状態になる。したがって、前輪11と後輪40との差動回転数が所定値を越えた場合には、後輪40に対して充分なトルクを伝達することができ、車両の走行性能が向上する。なお、この実施例では、フロントデファレンシャル3とリヤデファレンシャル33とのギヤ比を変更すれば、後輪40にトルク伝達が開始される差動回転数を任意に設定できる。
【0033】
図3は上記実施例に係るスタンバイ四輪駆動車の走行性能と、比較例に係るスタンバイ四輪駆動車の走行性能とを比較した線図である。なお、実施例および比較例で用いたビスカスカップリングのシリコンオイルの粘度は同一に設定されているものとする。
【0034】
図3に示すように、比較例では前輪と後輪とに小さな差動回転が生じた時点でビスカスカップリングが動作して後輪にトルクが伝達されるため、タイトコーナーブレーキング現象が生じやすい。このタイトコーナーブレーキング現象を回避するため、ビスカスカップリングのシリコンオイルの粘度を低く設定して後輪に伝達されるトルクを抑制することも可能であるが、ビスカスカップリングの総合的なトルク伝達能力が低下し、前輪と後輪との差動回転数が大きい走行状態で後輪に伝達されるトルクが不充分となりトラクション性不良を招く。
【0035】
これに対して、実施例によれば前輪と後輪との差動回転数が所定値以下の場合には後輪にトルクが伝達されない領域、言い換えれば不感帯領域が設定されているため、車両がコーナーを曲がる場合のタイトコーナーブレーキング現象を防止できる。また、車両が悪路や氷雪路を走行して前輪がスリップし、前輪と後輪との差動回転数が所定値を越えるような走行状態になった場合には、ビスカスカップリングが動作して後輪に充分なトルクが伝達され、前後輪のトルク分配率が適正に制御されてトラクション性が良好に維持される。
【0036】
なお、この実施例によれば、前輪と後輪との差動回転数が所定値以上になる走行状態でのトルク伝達能力を向上させることを目的として、ビスカスカップリング15のシリコンオイルの粘度を高めた場合でも、前輪と後輪との差動回転数が所定値以下の不感帯領域では後輪にトルクが伝達されないため、タイトコーナーブレーキング現象を容易に回避可能である。
【0037】
さらに、上記実施例では、フロントプロペラシャフト12およびリヤプロペラシャフト16の回転速度の設定と、一方向クラッチ14の係合方向の設定とに基づいて、後輪40に充分なトルクが伝達される構成となっている。したがって、ビスカスカップリング15は汎用の構成のものをそのまま用いることができ、ビスカスカップリング15の大型化による車載性の低下や製造コストの上昇を防止できる。
【0038】
さらにまた、上記実施例では、フロントプロペラシャフト12とリヤプロペラシャフト16との連結部分に一方向クラッチ14が設けられているため、四輪駆動車がアンチロックブレーキシステム(以下、ABSと略す)を備えていた場合において、制動装置の制動力が前輪11に作用してフロントプロペラシャフト12の回転速度が、車両の定常走行状態の際よりも一層遅くなった場合でも、一方向クラッチ14の解放状態が維持されて後輪40にはトルクが伝達されず、ABS機能に支障を及ぼすことがない。
【0039】
図4は、一方向クラッチ14およびビスカスカップリング15のほかの取り付け例を示す断面図である。この実施例では一方向クラッチ14およびビスカスカップリング15が、リヤデファレンシャル33のデファレンシャルキャリヤ41に対して直接取り付けられている。
【0040】
すなわち、デファレンシャルキャリヤ41の前部にはフランジ42が設けられており、フランジ42の前方には円筒状のフロントカバー43がねじ44により固定されている。一方向クラッチ14のインナーレース20およびビスカスカップリング15はフロントカバー43の内部に配置されており、インナーレース20はフロントカバー43の内周に設けられた軸受45により回転可能に保持されている。また、カバー26はフロントカバー42の内周に設けられた軸受46により回転可能に保持されている。
【0041】
ビスカスカップリング15のハブ25の内周にはリヤプロペラシャフト47がスプライン嵌合されており、リヤプロペラシャフト47の後端にはドライブピニオンギヤ48が形成されている。ドライブピニオンギヤ48はリヤデファレンシャル33のリングギヤ35に噛み合わされている。さらに、リヤプロペラシャフト47は、デファレンシャルキャリヤ41の内部に設けられた軸受49,50により保持されている。なお、そのほかの構成は図1、図2の実施例と同様に構成されている。
【0042】
この図4の実施例によれば、一方向クラッチ14およびビスカスカップリング15がリヤデファレンシャル33側に一体的に取り付けられているため、一方向クラッチ14およびビスカスカップリング15に対する保持力が高められ、一方向クラッチ14およびビスカスカップリング15の振動や、振動による異音を抑制することができる。
【0043】
なお、この発明は、フロントプロペラシャフトにビスカスカップリングを取り付け、リヤプロペラシャフトに一方向クラッチを取り付けた構成のスタンバイ四輪駆動車に適用しても上記実施例と同様の効果を得られる。また、前輪の外径を後輪の外径よりも大きく設定することにより、車両の定常走行状態でのフロントプロペラシャフトとリヤプロペラシャフトとの回転速度を設定することも可能である。
【0044】
このように、前輪および後輪の外径を設定した場合は、車両の定常走行状態で前輪および後輪に所定の差動回転が生じ、かつ、前輪と後輪との回転数比の変化量が所定値を越えた場合にはフロントプロペラシャフトの回転速度がリヤプロペラシャフトの回転速度を越えて後輪に充分なトルクが伝達され、上記実施例と同様の効果を得られる。さらにまた、この発明はパワートレインの配置としてミッドシップ式やリヤエンジン式が採用された四輪駆動車にも適用可能である。
【0045】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、駆動力源の出力トルクが第1駆動輪に伝達されて車両が走行し、車両の定常走行状態では第1駆動輪と第2駆動輪との回転数比が一定となり、かつ、第2トルク伝達部材の回転速度が第1トルク伝達部材の回転速度よりも速く設定されるため、一方向クラッチが解放されてビスカスカップリングがトルクを発生せず二輪駆動状態になる。
【0046】
また、車両の走行中に第1駆動輪と第2駆動輪との回転数比に変化が生じた場合でも、回転数比の変化量が所定値よりも小さい場合、具体的には第1トルク伝達部材の回転速度が第2トルク伝達部材の回転速度以下の走行状態では一方向クラッチが解放状態に維持される。したがって、車両がコーナーを曲がる際に第1駆動輪と第2駆動輪とに小さな回転数比の変化が生じても、第2駆動輪にはトルクが伝達されず、タイトコーナーブレーキング現象を防止できる。
【0047】
一方、車両が悪路、氷雪路などを走行して第1駆動輪がスリップして第1駆動輪と第2駆動輪とに所定値を越える大きな回転数比の変化が生じた場合、具体的には第1トルク伝達部材の回転速度が第2トルク伝達部材の回転速度を越えた場合には一方向クラッチが係合される。その結果、ビスカスカップリングにより第1トルク伝達部材と第2トルク伝達部材との回転速度差に応じたトルクが発生し、充分なトルクが第2駆動輪に伝達されて四輪駆動状態になり、車両の走行性能が向上する。
【0048】
さらにこの発明では、第1トルク伝達部材と第2トルク伝達部材との回転速度の設定と、一方向クラッチの係合方向の設定とにより、第2駆動輪に伝達する充分なトルクを確保する構成となっているため、汎用のビスカスカップリングをそのまま使用でき、ビスカスカップリングの大型化による車載性の低下や製造コストの上昇を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を適用したFFベースのスタンバイ四輪駆動車の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1の実施例で用いられる一方向クラッチおよびビスカスカップリングの構成を示す拡大断面図である。
【図3】この発明の実施例の四輪駆動車の走行性能と、比較例に係る四輪駆動車の走行性能とを比較した線図である。
【図4】この発明に用いられる一方向クラッチおよびビスカスカップリングのほかの取り付け例を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1 エンジン(駆動力源)
11 前輪(第1駆動輪)
12 フロントプロペラシャフト(第1トルク伝達部材)
14 一方向クラッチ
15 ビスカスカップリング
16 リヤプロペラシャフト(第2トルク伝達部材)
40 後輪(第2駆動輪)

Claims (1)

  1. 駆動力源に第1デファレンシャルギヤを介して連結された第1駆動輪と、前記駆動力源に連結された第1トルク伝達部材と、この第1トルク伝達部材に連結された第2トルク伝達部材と、この第2トルク伝達部材に第2デファレンシャルギヤを介して連結された第2駆動輪と、前記第1トルク伝達部材と第2トルク伝達部材との連結部分に配置され、かつ、互いに直列に連結された一方向クラッチおよびビスカスカップリングとを備えたスタンバイ四輪駆動車において、
    前記第1駆動輪および第2駆動輪の外径ならびに前記第1デファレンシャルギヤおよび第2デファレンシャルギヤのギヤ比が、車両の定常走行状態で前記第2トルク伝達部材の回転速度が前記第1トルク伝達部材の回転速度よりも速くなるように設定されていて、
    記一方向クラッチが、前記第1トルク伝達部材の回転速度が前記第2トルク伝達部材の回転速度を越えた場合に係合するように構成されていることを特徴とするスタンバイ四輪駆動車。
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