JPH0626828B2 - 真空成形装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は成形装置、特に真空圧縮成形装置に関する。

＜従来技術＞ 本出願人に譲渡された米国特許第４，４８８，８６２
号、第４，５１１，０８５号、第４，６１２，１４９号
等に、部品を真空圧縮成形する方法並びに装置が開示さ
れている。下方ダイス型の上に成形すべきＦＲＰのチャ
ージを配置し、上方ダイス型をシリンダ等によって下降
させて気密シールされたモールド・キャビティを形成
し、該ーモールド・キャビティを真空化して所定の圧縮
成形を行う。成形終了後、上方ダイス型を下方ダイス型
から引き離すように上昇させて成形金型を開放し、成形
部品を取り出す。

＜発明が解決しようとする課題＞ この従来技術によるとき、成形終了後に成形金型を開放
して成形部品を取り出す際に、上方及び下方ダイス型間
に形成された気密シールを解除しなければならないが、
成形処理のために形成された真空状態が、このシール解
除を困難にさせる。即ち、成形終了後上方ダイス型を上
昇させる際に、モールド・キャビティにおける真空状態
を克服するに十分な力が要求される。このために過大な
シリンダ圧力を必要とし、また金型開放に比較的長時間
を要するために成形効率が低下するという課題を有して
いた。

＜課題を解決するための手段及び作用＞ 本発明はかかる課題を解決することを目的とし、モール
ド・キャビティにおける真空状態を解除して金型を開放
する作業を短時間に行い、成功効率を向上させるための
手段を提供しようとするものである。本発明の好適な実
施例によれば、上方ダイス型を取り囲むシール・リング
が設けられ、これが下方ダイス型を取り囲む固定部材と
間に適切な気密シールを形成する。このシール・リング
には更に、上方ダイス型と摺接し得るシール部材が備え
られる。上方ダイス型が所定位置にまで降下されると、
上方及び下方ダイス型間の気密シール状態が得られ、そ
の後上方ダイス型が更に下降してチャージと接触する。
かくしてモールド・キャビティの回りに真空室が形成さ
れる。次いで真空室が減圧・真空化されて、チャージを
真空圧縮成形して部品を製造する。成形終了後、キッカ
ー・シリンダによってシール・リングに与えられる上向
きの押圧力を用いて、上記ダイス型間の気密シール状態
を解除する。この押圧力はモールド・キャビティにおけ
る真空状態を克服するに十分なものであるので、比較的
短時間のうちに迅速に金型開放を行うことができる。

＜実施例＞ 第１図には本発明の一実施例による成形装置を示すもの
であって、部品サイクル（part cycle）の終期に現れる
状態が示されている。第１図に示されるサイクルの終期
に現れる成形装置の状態はサイクルの始期に現れる状態
をほぼ同様であり、第１図に示される終期において見ら
れる部品１２がサイクルの始期においては未だ成形され
ておらず、代わりに該部品の材料をなす繊維強化プラス
チック（ＦＲＰ）のチャージが配置されている点が、唯
一の大きな相違点である。上述の米国特許において記述
されているように、本発明は、９００cm²を越えるよう
な比較的大きな表面積を有し且つ高精度の表面特性を有
することが要求される自動車の車体パネルを成形する場
合に、特に有利性を発揮する。キッカー・シリンダ（ki
cker cylinder）６２のピストン・ロッド６４は第１図
において伸張した状態が示されているが、部品サイクル
始期には縮小している。キッカー・シリンダについての
詳細は後述される。

成形サイクルの始期において、上方ダイス型１４及びシ
ール・リング１６は、適当なラム１８の操作により、下
方ダイス型２０に向けて下降される。シール・リング１
６は複数の空気シリンダ２２を有し、この空気シリンダ
はその上端においてブラケット２４を介して上方ダイス
型１４に、従ってラム１８に、夫々接続されている。各
シリンダ２２に備えられるピストン・ロッド２６は、部
品サイクル始期においては、該シリンダに与えられる一
定の圧力によって、実質的に完全に伸び切った状態にあ
る。該ピストン・ロッド２６の下端は、下面３０と上面
３２とを有する１つの環状管２８に接続されている。

環状管の上面３２には、第４図及び第５図に明瞭に示さ
れるように、シール部材３４が取り付けられている。こ
のシール部材３４はハジング４０を有し、その内側面３
６は上方ダイス型１４の外壁面３８から離隔している。
これは、ハウジング４０内に水平に延長するものとして
螺刻されたネジ穴４２に調節ネジ４４が挿通され、該調
節ネジの内側端に固着された“Teflon”（登録商標）の
ワイパー・シール（wiper seal）４６がハウジング内側
面３６よりも更に内方に突出するよう位置せしめられる
ことによって達成される。ワイパー・シール４６は、上
方ダイス型１４の円滑な垂直面３８に摺接して拭き取り
作用をもたらす。シール４６が摩耗したときは、調節ネ
ジ４４を適宜回転させて、シール４６と上方ダイス型１
４の外壁面３８との間の適切な接合関係を確保すること
によって、該摩耗による不利を解消することができる。

環状管２８の下面３０には環状管シール５０が支承さ
れ、該シールは下方ダイス型２０に固着された環状部材
５２に相対している。ラム１８によって上方ダイス型１
４とシール・リング１６が下降すると、シール５０はま
ず環状部材５２の上面に当接する。これによって、モー
ルド・キャビティ（成形金型空間）を取り囲む真空室が
形成される。この真空室は、後に上方ダイス型及び下方
ダイス型が完全に密着一体化することによって、更に厳
密な真空状態が形成される。第２図において符号５４に
よって概括的に示されるこの真空室は、上方ダイス型１
４と下方ダイス型２０との間におけるシール５０と、リ
ング１６と上方ダイス型１４との間におけるシール４６
とによって、形成される。この真空室５４は、上方ダイ
ス型１４が、下方ダイス型２０上に（符号１２の箇所
に）配置されていＦＲＰのチャージ（図示せず）と接触
する直前に、形成される。真空室５４が形成された後、
中空の管状部材５２とこれに形成された開口５６とを介
して該真空室５４と連通している真空ポンプ５５によっ
て、該真空室５４内に真空状態が形成される。

ラム１８は更に下降を続け、上方及び下方ダイス型は、
それらに各々被着された停止部材５８，６０同士が当接
している第２図に示される位置を占める。この上方ダイ
ス型１４が更なる下降によって、シリンダ２２内の空気
圧によって与えられる力がラム１８によって与えられる
より大きな力に打ち負かされ、かくしてピストン・ロッ
ド２６は夫々のシリンダ２２内に徐々に収容されるよう
縮小することに留意されたい。

ＦＲＰチャージを硬化させるに十分な温度、十分な時間
及び十分な圧力によって、部品１２が完全に成形された
後、型を開放して成形部品を取り出す。本発明によれば
型の開放は極めて迅速に行うことができ、且つ本発明に
よらない場合に生じ得るメンテナンス上の問題を最小に
押さえることができ、これが本発明の１つの特徴をなし
ている。そうすることによって部品サイクルの時間を極
小化し、成形効率を向上させることができる。この目的
のために、本実施例においては、複数のキッカー・シリ
ンダ６２を配設して型部材の迅速な開放を可能にしてい
る。このシリンダ６２は、好ましくは、シール・リング
１６の下方において成形金型１０の回りに実質的に均等
な間隔を配して配置される。各々のシリンダ６２におけ
るピストン・ロッド６４は、シール・リング１６のエプ
ロン部６６と垂直方向において整列されている。第３図
を特に参照して、シリンダ６２によって、シリンダ２２
による下向きの押圧力に打ち勝つに十分な上向きの押圧
力ないしは「キック力」がもたらされ、真空状態が形成
されているが故にシール５０が必要以上に更に近付くリ
スクを未然に回避する。本実施例においては、シリンダ
６２は水圧シリンダであって、型開放のための初期段階
において、ラム１８を上昇させる前に駆動される。かく
して上方ダイス型と下方ダイス型との間のシール状態が
消失する。このような手段を講じないとすると、既に形
成されているダイス型間の真空シール状態を克服するだ
けの力を、ラム１８に与えなければならない。キッカー
・シリンダ６２を用いてこれによってシール状態を破る
ようにすることによって、ラムを極めて迅速に上昇さ
せ、部品サイクルを速めることができる。

部品１２を取り出した後、キッカー・シリンダ６２にお
けるピストン・ロッド４３を退避せしめ、次の新たな部
品サイクルを開始することができる。

以上本発明の特定の実施例について詳述したが、本発明
はこれに限定されることなく請求項に定義された範囲内
で様々な変形態様を取り得ることを理解されたい。

＜発明の効果＞ 本発明によれば、成形終了後の金型開放が迅速に行われ
るので、成形処理の迅速化・効率化が達成される。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至は第３図は本発明の一実施例による成形装置
の一部破断側面図であって、第１図は成形処理工程の初
期段階及び終期段階を、第２図は成形中の段階を、また
第３図は成形終了後の型開放段階を夫々示すもの、第４
図は第３図に示されるワイパー・シールの部分について
の平面図、第５図は第４図５−５線による断面図であ
る。 符号の説明 １０……成形金型、１２……成形部品、１４……上方ダ
イス型、１６……シール・リング、１８……ラム、２０
……下方ダイス型、２２……空気シリンダ、２６……ピ
ストン・ロッド、２８……環状シール部材、３４……シ
ール部材、４６……ワイパー・シール、５０……環状シ
ール部材、５４……真空室、５５……真空ポンプ、６２
……キッカー・シリンダ、６４……ピストン・ロッド

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ラムによって少なくともその一方が他方に
   関して可動である第１及び第２の成形部材を有するもの
   であって、 上記第１成形部材を取り囲むよう配置されると共に第１
   及び第２のシール部材を有して、上記ラムによって上記
   第１及び第２の成形部材が一体化せしめられたときにこ
   れら成形部材間に真空気密状態を形成することを可能に
   するためのシール・リングと、 上記第２成形部材を取り囲むよう、上記シール・リング
   及び上記ラムとは離隔して配置される分離手段と、 上記第１及び第２の成形部材間において部品が成形され
   た後に上記分離手段を作動せしめ、該分離手段を介して
   上記シール・リングを上記第２成形部材から引き離し、
   かくして上記第２シール部材によって該第１及び第２の
   成形部材間の真空気密状態を解除せしめる作動手段とを
   有して成ることを特徴とする真空成形装置。
2. 【請求項２】上記真空気密状態が解除された後に、上記
   ラムを介して上記第１成形部材を上記第２成形部材から
   引き離す手段を更に有する、請求項１記載の真空成形装
   置。
3. 【請求項３】上記シール・リングがピストン・ロッドを
   有する複数の空気シリンダを有して成り、上記第１成形
   部材が上記第２成形部材に気密的に当接されるときに該
   ピストン・ロッドが該空気シリンダ内に格納される、請
   求項１記載の真空成形装置。
4. 【請求項４】上記分離手段が上記シール・リングの一部
   と整列するピストン・ロッドを有する少なくとも１のキ
   ッカー・シリンダであって、上記作動手段によって上記
   シール・リングを上記第２成形部材から引き離すよう該
   ピストン・ロッドが作動せしめられる、請求項１記載の
   真空成形装置。
5. 【請求項５】上記シール・リングがピストン・ロッドを
   有する複数の空気シリンダを有して成り、上記第１成形
   部材が上記第２成形部材に気密的に当接されるときに該
   ピストン・ロッドが該空気シリンダ内に格納される、請
   求項４記載の真空成形装置。
6. 【請求項６】上記キッカー・シリンダが複数設けられ、
   上記分離手段が作動されたときに、夫々のキッカー・シ
   リンダに設けられたピストン・ロッドによって上記空気
   シリンダのピストン・ロッドが更に該空気シリンダ内に
   退避せしめられる、請求項４記載の真空成形装置。
7. 【請求項７】上記第１シール部材が上記第１成形部材と
   摺接するワイパー・シール部材であって、このワイパー
   ・シール部材は、該第１成形部材が上記第２成形部材と
   接触するとき及び上記分離手段によってこれら第１及び
   第２成形部材間の真空気密状態が解除されるときに、該
   第１成形部材に対してワイパー作用をもたらす、請求項
   １記載の真空成形装置。
8. 【請求項８】上記第１シール部材が、上記ワイパー・シ
   ール部材と上記第１成形部材に対する該ワイパー・シー
   ル部材の調節手段とを有するハウジングより成る、請求
   項７記載の真空成形装置。
9. 【請求項９】上記調節手段が上記ハウジング内のネジ穴
   と共働する調節ネジである、請求項８記載の真空成形装
   置。
10. 【請求項１０】上記キッカー・シリンダが水圧シリンダ
    である、請求項４記載の真空成形装置。