JPH0626651Y2 - カ−テンウオ−ルの取付け装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） 本考案は耐震性の向上等のためにカーテンウォールを梁
に回動許容状態で取付ける構造のカーテンウォールの取
付け装置に関する。

（従来の技術） カーテンウォールは躯体の梁に完全な鋼構造にて固定す
ると、地震や強風時に上下の梁が互いにずれ動く層間変
位を生じたときに無理な力が加わってカーテンウォール
に損傷を生じさせたりその耐久性を低下させたりするこ
とになる。このため、カーテンウォールは梁に柔構造に
て取付けられるのが一般的で、その取付け方式の１つと
してカーテンウォールの上下を梁に僅かな回動許容状態
で取付けるいわゆるロッキング構法がある。ここで、こ
の種の取付け装置の従来例を第４図及び第５図を参照し
て述べるに、図に示す１は鉄骨梁、２，２はこれに上下
に並んで取付けられている例えば軽量気泡コンクリート
（以下ＡＬＣと称す）製のカーテンウォールであり、上
側のカーテンウォール２の下部取付け部分と下側のカー
テンウォール２の上部取付け部分とが図示されている。
カーテンウォール２内にはアンカー鋼棒３が横方向に延
びて埋設されると共に、これにＯボルト４が嵌合されて
その先端部がカーテンウォール２の上下から屋内側に向
けて突出している。一方、鉄骨梁１にはＬ型鋼５が溶接
により固定され、これにＬ型の受け金具６及び短冊状の
鋼板７が溶接されている。受け金具６には第５図に示す
ように上向きに開放する受け溝６ａが形成されており、
ここにカーテンウォール２の下部に位置するＯボルト４
が上から嵌め込まれてカーテンウォール２の荷重を受け
支えると共に回動許容状態としている。また、カーテン
ウォール２の下側のＯボルト４は鋼板７を貫通してナッ
トにて締付けられ、やはり回動許容状態となっている。

（考案が解決しようとする問題点） 上記構成では、カーテンウォール２の下部におけるＯボ
ルト４は鉄骨梁１が層間変位する際のカーテンウォール
２の回動中心として機能する。しかし、これと同時にＯ
ボルト４はカーテンウォール２の荷重受けとしても機能
するため、Ｏボルト４と受け金具６との間の摩擦抵抗は
相当に大きく、カーテンウォール２が僅かに回動する度
にＯボルト４が大きなねじり力を受け、これがためにカ
ーテンウォール２のうちＯボルト４の埋設部分に無理な
力が及んでカーテンウォール２にクラックが発生する等
の虞がある。

本考案は上記事情に鑑みてなされ、従ってその目的は、
カーテンウォールを回動許容状態で梁に取付けるものに
おいて、カーテンウォールに無理な力が及ぶことを極力
防止して取付けの耐久性及び信頼性を向上させることが
できるカーテンウォールの取付け装置を提供するにあ
る。

［考案の構成］ （問題点を解決するための手段） 本考案に係るカーテンウォールの取付け装置は、カーテ
ンウォールをその下面部と梁との間に設けた支持部材に
より荷重を受け支えながら板面に沿う方向に回動許容状
態に支持させると共に、下向きに開放せる嵌合溝を有す
る取付け金具をカーテンウォールの下部に設け、その嵌
合溝に係合してカーテンウォールの横方向の移動を規制
する揺れ規制部及びカーテンウォールと前記取付け金具
との間に位置してカーテンウォールの梁からの離れ方向
の移動を規制する連結片部を備えた受け金具を梁に固定
する構成としたところに特徴を有するものである。

（作用） 取付け金具と受け金具との組合わせによりカーテンウォ
ールの横方向及び梁からの離れ方向の移動が規制され
る。この場合、カーテンウォールの荷重は支持部材によ
り受けられるから、取付け金具の嵌合溝と受け金具の揺
れ規制部との間の係合部分にはカーテンウォールの荷重
がほとんど作用せず、カーテンウォールに無理な力が作
用することがない。

（実施例） 以下本考案の一実施例につき第１図ないし第３図を参照
して説明する。

１１はコンクリート製の梁であり、これの上面の図示左
半部には段部１１ａが形成され、右半部はアンカーボル
ト１２に固定した溝型鋼１３により覆われている。１
４，１４は梁１１の上下に取付けたＡＬＣ製のカーテン
ウォールで、上側のカーテンウォール１４の下部取付け
部分と下側のカーテンウォール１４の上部取付け部分と
が上下に図示されている。まず、下側に図示した上部取
付け部分につき述べるに、梁１１の下面にはカーテンウ
ォール１４を挟む位置に１対のＬ型鋼１５，１５がアン
カーボルト１６，１６に固定されており、右側のＬ型鋼
１５の下部には頭付のスタッドボルト１７が固着されて
いる。一方、カーテンウォール１４の図示右側面のうち
上部略中央には段付鋼板１８がカーテンウォール１４を
貫通させたボルト１９にて固定されている。この段付鋼
板１８の上部には上向きに開放する嵌合溝１８ａが形成
されており、その嵌合溝１８ａをＬ型鋼１５のスタッド
ボルト１７に係合させることによりカーテンウォール１
４の上部が回動許容状態で取付けられている。尚、２０
は右側のＬ型鋼１５と段付鋼板１８との間に設けた硬質
ゴムパッキン、２１は左側のＬ型鋼１５とカーテンウォ
ール１４との間に設けたシーリング、２２はカーテンウ
ォール１４の上面部と梁１１との間に充填されたロック
ウールである。

次に、上側に図示したカーテンウォール１４の下部取付
け部分につき述べるに、２３は梁１１の段部１１ａ上に
載置された支持部材で、これはグラスファイバーにて強
化した板状のコンクリート製であり、第３図に示すよう
にカーテンウォール１４の横幅方向の両側が面取りする
ように弧状に形成され、カーテンウォール１４の荷重を
受けてこれを板面に沿う方向に回動許容状態に支持して
いる。一方、カーテンウォール１４には段付状の鋼板に
より形成した取付け金具２４がカーテンウォール１４を
貫通するボルト２５により固定され、第２図に示すよう
に、その取付け金具２４には下向きに開放する嵌合溝２
４ａが形成されている。２６は梁１１の横型鋼１３の上
面に溶接したＬ型鋼により構成した受け金具で、これの
立上り片部２６ａはカーテンウォール１４と取付け金具
２４との間に挿入されるように位置する連結片部とさ
れ、これにてカーテンウォール１４の梁１１からの離れ
方向の移動が規制されている。２７は揺れ規制部で、こ
れは受け金具２６の立上り片部２６ａと底辺部２６ｂと
の間に渡るように鋼板を溶接することにより構成され、
この揺れ規制部２７に前記取付け金具２４の嵌合溝２４
ａを嵌合することによりカーテンウォール１４の横方向
の移動が規制された状態にされている。尚、２８はカー
テンウォール１４の下面部と梁１１の段部１１ａとの間
に設けられたシーリング、２９はカーテンウォール１４
の下部と梁１１との間に充填したロックウールである。

さて、上記構成によれば、地震や強風時に上下の梁１１
が互いに逆方向にずれ動いて層間変位を生ずるときに
は、カーテンウォール１４が上部においてはスタッドボ
ルト１７を中心に僅かに回動し、下部においては支持部
材２３との接触点を中心に僅かに回動し、これによりカ
ーテンウォール１４が傾いて梁１１の層間変位に追従す
る。この場合、カーテンウォール１４の下部において横
方向の移動は取付け金具２４の嵌合溝２４ａと受け金具
２６の揺れ規制部２７との係合に基づき規制されるが、
カーテンウォール１４の荷重は支持部材２３に受けられ
その係合部分にはほとんど及ばないから、取付け金具２
４ひいてはカーテンウォール１４に無理な力が作用する
ことが確実に防止される。これにて、カーテンウォール
１４に局部的なクラックが生じて破損したり、或は取付
けの耐久性や信頼性を低下させることを未然に防止する
ことができるものである。尚、上記実施例ではＡＬＣ製
のカーテンウォール１４に適用した例を示した。しか
し、ＡＬＣ製のカーテンウォールはコンクリート製のも
のに比べて強度的に及ばない点があるためこれに適用す
れば著効を奏するものであるが、本考案はこれに限られ
ず、コンクリート製のカーテンウォールに適用した場合
にもやはり耐久性及び信頼性の向上を図り得ることは勿
論である。また、上記実施例では取付け金具２４をカー
テンウォール１４に貫通させたボルト２５により固定す
るようにしたが、これに限らず、例えばカーテンウォー
ル１４に埋設したアンカーボルトに固定する構成であっ
ても良く、また支持部材２３は必ずしもグラスファイバ
ー強化のコンクリート板とするに限らず、例えば梁に固
定したボルト等によりカーテンウォールを受け支持する
ようにしても良い。その他、本考案は上記し且つ図面に
示す実施例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しな
い範囲内で種々変形して実施することができるものであ
る。

［考案の効果］ 本考案は以上述べたように、カーテンウォールの荷重を
支持部材により受けて揺れ規制及び梁からの離れ規制を
行う部分にはカーテンウォールの荷重がほとんど作用し
ないようにしたから、カーテンウォールに無理な力が及
んでその破損を招いたり取付けの耐久性や信頼性を低下
させたりすることを確実に防止できるという優れた効果
を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本考案の一実施例を示し、第１図
は要部の縦断面図、第２図は要部の斜視図、第３図はカ
ーテンウォールの取付け状態での正面図、第４図及び第
５図は従来例を示す要部の縦断面図及び一部破断斜視図
である。 図面中、１１は梁、１４はカーテンウォール、２３は支
持部材、２４は取付け金具、２４ａは嵌合溝、２６は受
け金具、２６ａは連結片部、２７は揺れ規制部である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】カーテンウォールの下部を躯体の梁に回動
   許容状態で取付けるためのものであって、前記梁と前記
   カーテンウォールの下面部との間に設けられカーテンウ
   ォールの荷重を受けてそれを板面に沿う方向に回動許容
   状態に受け支持する支持部材と、前記カーテンウォール
   の下部に設けられ下向きに開放する嵌合溝を有する取付
   け金具と、前記梁に固定され前記嵌合溝に係合して前記
   カーテンウォールの横方向の移動を規制する揺れ規制部
   及び前記カーテンウォールと前記取付け金具との間に位
   置してカーテンウォールの梁からの離れ方向の移動を規
   制する連結片部を備えた受け金具とを具備してなるカー
   テンウォールの取付け装置。